JP2016013677A - 記録媒体 - Google Patents

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JP2016013677A JP2014138143A JP2014138143A JP2016013677A JP 2016013677 A JP2016013677 A JP 2016013677A JP 2014138143 A JP2014138143 A JP 2014138143A JP 2014138143 A JP2014138143 A JP 2014138143A JP 2016013677 A JP2016013677 A JP 2016013677A
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Tetsuro Noguchi
哲朗 野口
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友和 小竹
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Abstract

【課題】 耐折り割れ性が高く、かつ、保存安定性が高い記録媒体を提供すること。【解決手段】 基材とインク受容層とを有する記録媒体であって、前記インク受容層が、無機粒子と、バインダーと、第1の化合物を内包する第1の樹脂粒子と、前記第1の化合物と接触することで硬化反応をする第2の化合物を内包する第2の樹脂粒子を含有することを特徴とする記録媒体。【選択図】 なし

Description

本発明は記録媒体に関する。
近年、インクジェット用記録媒体を用いたフォトブックやフォトアルバムの需要が高まっている。このフォトブックやフォトアルバムを製本する方法としては、片面にのみ画像を記録した複数のインクジェット用記録媒体に予め折り目を付け、この折り目を境界として、画像が記録されていない面同士を貼り合わせる方法が挙げられる。このような製法方法によって、ページを跨ぐような大きな画像を記録媒体に配置したようなフォトブックやフォトアルバムを作製することができる。
しかしながら、画像を記録した記録媒体に折り目を付けた際に、記録媒体のインク受容層がひび割れるなどして、画像の一部が剥がれてしまう場合があった。そこで、折り目を付けた際にもそのようなインク受容層の割れが起きないような、即ち、耐折り割れ性の高い記録媒体への需要が高まっている。
記録媒体の耐折り割れ性を改善する方法としては、インク受容層と基材との間に水溶性樹脂を含む中間層を設ける方法が挙げられる(特許文献1)。中間層を設けることで、折り目を付けた際の応力を緩和し、耐折り割れ性が改善すると考えられる。
一方、エマルジョン型接着剤の微粒子がポリウレア−ポリウレタン樹脂によって凝集した形態である感圧接着性複合微粒子を含有する感圧接着剤層を有するインクジェット用圧着紙に関する発明も知られている(特許文献2)。
特開2008−183807号公報 特開2012−214044号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、上述した特許文献1に記載の記録媒体において、中間層が薄いと、折り目を付けた際の応力を十分に緩和できず、高い耐折り割れ性が得られなかった。一方で、中間層を厚くすると耐折り割れ性は改善するものの、画像を記録した際に中間層とインク受容層との膨潤度の違いによる歪みが大きくなり、インク受容層にひび割れが発生してしまう場合があった。
また、特許文献2に記載の圧着紙は、圧着はがきや配送用伝票用に、記録面同士が圧着されるように接着剤を多く含有する構成となっているため、粘着性が高く、上述したようなフォトブックやフォトアルバムに適用することはできなかった。また、記録媒体を熱湿環境下で保存した場合などに、接着性が低下してしまい、保存安定性が低かった。
したがって、本発明の目的は、フォトブックやフォトアルバムに用いた際に、耐折り割れ性が高く、かつ、保存安定性が高い記録媒体を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかる記録媒体は、基材とインク受容層とを有し、前記インク受容層が、無機粒子と、バインダーと、第1の化合物を内包する第1の樹脂粒子と、前記第1の化合物と接触することで硬化反応をする第2の化合物を内包する第2の樹脂粒子を含有することを特徴とする記録媒体。を特徴とする。
本発明によれば、耐折り割れ性が高く、かつ、保存安定性が高い記録媒体を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明者らが検討したところ、無機粒子及びバインダーを含有するインク受容層中に、互いに接触することで硬化反応をするような化合物を内包する2種類の樹脂粒子を含有することで、画像を記録した記録媒体に折り目を付けた際の衝撃により、それぞれの樹脂粒子に内包されている化合物が放出されて硬化反応をし、インク受容層を接着するため、インク受容層や画像の一部が剥がれてしまう現象を抑制できることが分かった。更に、熱湿環境下で保存した場合でも、2種類の樹脂粒子が互いに分かれて存在している分には、硬化反応をしないため、保存安定性が高い。
互いに接触することで硬化反応をするような化合物の組合せとしては、2つ以上の水酸基を有する化合物と、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物との組合せや、エポキシ基を有する化合物と、酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物、及び多価カルボン酸から選択される少なくとも1種の化合物との組合せが好ましい。それぞれの具体的な化合物種については後述する。
また、本発明においては、インク受容層に用いる無機粒子が、アルミナ水和物、アルミナ及び気相法シリカから選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの無機粒子は、形成される細孔が非常に小さくなるため、毛細管力により、放出された接着剤をより効率的に細孔内に保持することができる。本発明においては、インク受容層に用いる無機粒子に占める、アルミナ水和物、アルミナ及び気相法シリカの合計の含有量の割合が、95質量%以上であることが好ましく、100質量%であることがより好ましい。また、インク受容層に用いる無機粒子が、湿式法シリカを含有しないことが特に好ましい。湿式法シリカは、形成される細孔が大きく、毛細管力が弱いため、放出された接着剤を保持する効果が十分に得られない場合があるからである。
[記録媒体]
本発明の記録媒体は、基材と、少なくとも1層のインク受容層とを有する。本発明においては、インクジェット記録方法に用いるインクジェット用記録媒体であることが好ましい。以下、本発明の記録媒体を構成する各成分について、それぞれ説明する。
<基材>
基材としては、基紙のみから構成されるものや、基紙と樹脂層を有するもの、即ち、基紙が樹脂で被覆されているものが挙げられる。本発明においては、基紙と樹脂層を有する基材を用いることが好ましい。その場合、樹脂層は、基紙の片面のみに設けられていてもよいが、両面に設けられていることが好ましい。
(基紙)
基紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレンなどの合成パルプや、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パルプとしては広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹溶解パルプ(LDP)、針葉樹溶解パルプ(NDP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)などが挙げられる。これらは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。木材パルプの中でも短繊維成分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPを用いることが好ましい。パルプとしては、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましい。また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも好ましい。紙基材中には、サイズ剤、白色顔料、紙力増強剤、蛍光増白剤、水分保持剤、分散剤、柔軟化剤などを適宜添加してもよい。
本発明において、基紙の膜厚は、50μm以上130μm以下であることが好ましく、更には、90μm以上120μm以下であることがより好ましい。尚、本発明において、基紙の膜厚は、以下の方法で算出する。まず、記録媒体の断面をマイクロトームで切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察する。そして、基紙の任意の100点以上の膜厚を測定し、その平均値を基紙の膜厚とする。尚、本発明におけるその他の層の膜厚も同様の方法で算出するものとする。
本発明において、基紙のJIS P 8118で規定される紙密度は、0.6g/cm以上1.2g/cm以下であることが好ましい。更には、0.7g/cm以上1.2g/cm以下であることがより好ましい。
(樹脂層)
本発明において、基紙が樹脂で被覆されている場合は、樹脂層は基紙の表面の一部を被覆するように設けられていればよいが、樹脂層の被覆率(樹脂層で被覆された基紙の表面の面積/基紙の表面の全面積)が70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、更には、100%であること、即ち、基紙の表面の全面が樹脂層で被覆されていることが特に好ましい。
また、本発明において、樹脂層の膜厚は、20μm以上60μm以下であることが好ましく、更には、樹脂層の膜厚は、35μm以上50μm以下であることがより好ましい。樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、両面の樹脂層の膜厚がそれぞれ上記範囲を満足することが好ましい。
樹脂層に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。本発明において、ポリオレフィン樹脂とは、モノマーとしてオレフィンを用いた重合体を意味する。具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどの単重合体や共重合体が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンを用いることが好ましい。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることが好ましい。
本発明において、樹脂層は、不透明度や白色度や色相を調整するために、白色顔料や蛍光増白剤や群青などを含有してもよい。中でも、不透明度を向上することができるため、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが挙げられる。本発明において、樹脂層中の白色顔料の含有量は、3g/m以上30g/m以下であることが好ましい。尚、樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、2つの樹脂層中の白色顔料の合計の含有量が、上記範囲を満足することが好ましい。また、樹脂層中の、白色顔料の含有量は、樹脂の含有量に対して、25質量%以下であることが好ましい。25質量%より大きいと、白色顔料の分散安定性が十分に得られない場合がある。
本発明において、樹脂層のJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さRaは、0.12μm以上0.18μm以下であることが好ましく、更には、0.13μm以上0.15μm以下であることがより好ましい。
本発明において、樹脂層の算術平均粗さRaが、記録媒体の表面の算術平均粗さRaより大きいこと(Ra>Ra)が好ましい。また、樹脂層の算術平均粗さRaと記録媒体の表面の算術平均粗さRaの差ΔRa(=Ra−Ra)が、0.03μm以上0.05μm以下であることが好ましい。
また、本発明において、樹脂層のJIS B 0601:2001で規定される粗さ曲線要素の平均長さRSmは、0.01mm以上0.20mm以下であることが好ましく、更には、0.04mm以上0.15mm以下であることがより好ましい。
<インク受容層>
本発明において、インク受容層は上記基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。基材の片面における、インク受容層の膜厚は、15μm以上60μm以下であることが好ましく、更には、25μm以上40μm以下であることがより好ましい。尚、本発明における膜厚とは、絶乾時の膜厚であり、走査電子顕微鏡を用いて断面を4点測定した平均値である。本発明では、膜厚を測定する対象を四角形とし、四隅から四角形の重心方向に1cm離れた部分を4点としている。
以下、インク受容層に含有することができる材料について、それぞれ説明する。
(無機粒子)
本発明において、インク受容層は無機粒子を含有する。無機粒子の平均一次粒子径は、50nm以下が好ましい。更には、1nm以上30nm以下がより好ましく、3nm以上10nm以下が特に好ましい。本発明において、無機粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡によって観察したときの無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒子径である。このとき少なくとも100点以上で測定を行う。
本発明において、無機粒子は、分散剤によって分散されている状態で、インク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。分散状態での無機粒子の平均二次粒子径は、0.1nm以上500nm以下が好ましく、更には、1.0nm以上300nm以下がより好ましく、10nm以上250nm以下が特に好ましい。尚、分散状態での無機粒子の平均二次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
本発明において、インク受容層中に占める、無機粒子の含有量(質量%)は、50質量%以上98質量%以下であることが好ましく、更には、60質量%以上96質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、インク受容層を形成する際に塗布する無機粒子の塗布量(g/m)は、8g/m以上45g/m以下であることが好ましい。上記範囲とすることで、好ましいインク受容層の膜厚となりやすい。
本発明に用いる無機粒子としては、例えば、アルミナ水和物、アルミナ、シリカ、コロイダルシリカ、二酸化チタン、ゼオライト、カオリン、タルク、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらの無機粒子は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。上述の通り、本発明においては、アルミナ水和物、アルミナ及び気相法シリカから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。以下、アルミナ水和物、アルミナ及び気相法シリカについて詳細に説明する。
インク受容層に用いるアルミナ水和物は、
一般式(X):Al3−n(OH)2n・mH
(一般式(X)中、nは0、1、2、又は3であり、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下である。ただし、mとnは同時に0にはならない。)
により表されるものを好適に用いることができる。尚、mHOは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でなくてもよい。また、アルミナ水和物を加熱するとmは0となり得る。
本発明においてアルミナ水和物は、公知の方法で製造することができる。具体的には、アルミニウムアルコキシドを加水分解する方法、アルミン酸ナトリウムを加水分解する方法、アルミン酸ナトリウムの水溶液に、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムの水溶液を加えて中和する方法などが挙げられる。
アルミナ水和物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、非晶質、ギブサイト型、ベーマイト型が知られている。尚、アルミナ水和物の結晶構造は、X線回折法によって分析することができる。本発明においては、これらの中でも、ベーマイト型のアルミナ水和物又は非晶質のアルミナ水和物が好ましい。具体例としては、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報などに記載されたアルミナ水和物や、市販品としてはDisperal HP14、HP18(以上、サソール製)などを挙げることができる。これらのアルミナ水和物は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また、本発明において、アルミナ水和物のBET法で求められる比表面積が100m/g以上200m/g以下であることが好ましく、125m/g以上175m/g以下であることがより好ましい。ここでBET法とは、試料表面に大きさの分かっている分子やイオンを吸着させて、その吸着量から、試料の比表面積を測定する方法である。本発明においては、試料に吸着させる気体として、窒素ガスを用いる。
インク受容層に用いるアルミナとしては、気相法アルミナが好ましい。気相法アルミナとしては、γ−アルミナ、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナなどを挙げることができる。これらの中でも、画像の光学濃度やインク吸収性の観点から、γ−アルミナを用いることが好ましい。気相法アルミナの具体例としては、AEROXIDE;Alu C、Alu130、Alu65(以上、EVONIK製)などを挙げることができる。
本発明において、気相法アルミナのBET法で求められる比表面積が50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましい。また、150m/g以下が好ましく、120m/g以下がより好ましい。
また、気相法アルミナの平均一次粒子径は、5nm以上が好ましく、11nm以上がより好ましい。また、30nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。
本発明に用いるアルミナ水和物及びアルミナは、水分散液としてインク受容層用塗工液に混合することが好ましく、その分散剤として酸を使用することが好ましい。酸としては、
一般式(Y):R−SO
(一般式(Y)中、Rは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルケニル基の何れかを表す。Rは、オキソ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアシル基で置換されていてもよい。)
で表されるスルホン酸を用いることが、画像の滲みを抑制する効果が得られるため好ましい。本発明においては、上記酸の含有量は、アルミナ水和物及びアルミナの合計の含有量に対して、1.0質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、1.3質量%以上1.6質量%以下であることがより好ましい。
インク受容層に用いるシリカは、その製法により湿式法と乾式法(気相法)に大別される。湿式法としては、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が知られている。一方、乾式法(気相法)としては、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)や、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が知られている。本発明においては、乾式法(気相法)により得られるシリカ(以下、「気相法シリカ」ともいう)を用いることが好ましい。具体的に、気相法シリカとしては、アエロジル(日本アエロジル製)、レオロシールQSタイプ(トクヤマ製)などが挙げられる。
本発明において、気相法シリカのBET法による比表面積は50m/g以上400m/g以下であることが好ましく、200m/g以上350m/g以下であることがより好ましい。
本発明において、気相法シリカは、分散剤によって分散されている状態で、インク受容層用の塗工液に用いられることが好ましい。分散状態での気相法シリカの粒子径は、50nm以上300nm以下であることがより好ましい。尚、分散状態での気相法シリカの粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
本発明において、アルミナ水和物、アルミナ、気相法シリカは混合して使用してもよい。具体的には、アルミナ水和物、アルミナ、気相法シリカから選択される少なくとも2種を、粉体状態で混合、分散して分散液とする方法が挙げられる。
(バインダー)
本発明において、インク受容層はバインダーを含有する。本発明において、バインダーとは、無機粒子を結着し、被膜を形成することができる材料を意味する。
本発明においては、インク吸収性の観点から、インク受容層中の、バインダーの含有量が、無機粒子の含有量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、インク受容層の結着性の観点から、上記比率は、5.0質量%以上が好ましく、8.0質量%以上がより好ましい。
バインダーとしては例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、及びポリビニルアルコール、並びに、それらの誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体などのアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス;上記の重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;カチオン基を用いて上記重合体をカチオン化したもの;カチオン性界面活性剤を用いて上記重合体の表面をカチオン化したもの;カチオン性ポリビニルアルコール下で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にポリビニルアルコールを分布させたもの;カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にカチオン性コロイド粒子を分布させたもの;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性バインダー;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体及び共重合体;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂が挙げられる。これらのバインダーは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
上記したバインダーの中でも、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を用いることが好ましい。ポリビニルアルコール誘導体としては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基または第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化して合成することができる。ポリビニルアルコールのけん化度としては、80mol%以上100mol%以下が好ましく、85mol%以上98mol%以下がより好ましい。尚、けん化度とは、ポリ酢酸ビニルをけん化してポリビニルアルコールを得た際の、けん化反応によって生じた水酸基のモル数の割合であり、本発明においては、JIS−K6726の方法で測定した値を用いるものとする。また、ポリビニルアルコールの平均重合度は、2,000以上が好ましく、2,000以上5,000以下がより好ましい。尚、本発明において平均重合度は、JIS−K6726の方法で求めた粘度平均重合度を用いるものとする。
インク受容層用塗工液を調製する際は、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を水溶液として使用することが好ましい。その際、水溶液中のポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の固形分の含有量は、3質量%以上20質量%以下が好ましい。
(架橋剤)
本発明において、インク受容層は更に架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、例えば、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などが挙げられる。これらの架橋剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特にバインダーとしてポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を用いる場合は、上記した架橋剤の中でも、ホウ酸やホウ酸塩を用いることが好ましい。
ホウ酸としては、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、次ホウ酸などが挙げられる。ホウ酸塩としては、上記ホウ酸の水溶性の塩が好ましい。例えば、ホウ酸のナトリウム塩やカリウム塩などのホウ酸のアルカリ金属塩;ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩などのホウ酸のアルカリ土類金属塩;ホウ酸のアンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、オルトホウ酸を用いることが、塗工液の経時安定性とクラックの発生を抑制する効果の観点から好ましい。
架橋剤の使用量は、製造条件などに応じて適宜調整することができる。本発明においては、インク受容層中の、架橋剤の含有量が、バインダーの含有量に対して、1.0質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましい。
更に、バインダーがポリビニルアルコールであり、架橋剤がホウ酸及びホウ酸塩から選択される少なくとも1種である場合には、インク受容層中の、ポリビニルアルコールの含有量に対する、ホウ酸及びホウ酸塩の合計の含有量が、5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
(第1及び第2の樹脂粒子)
本発明のインク受容層は、第1の化合物(接着主剤)を内包する第1の樹脂粒子と、第1の化合物と接触することで硬化反応をする第2の化合物(硬化剤)を内包する第2の樹脂粒子を含有する。
第1の化合物及び第2の化合物を樹脂によって内包する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、コアセルベーション法、界面重合法、in−situ重合法などを使用することができる。
第1の樹脂粒子及び第2の樹脂粒子の体積平均粒径は、0.5μm以上50.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以上20.0μm以下であることがより好ましい。0.5μmより小さいと、第1の化合物及び第2の化合物が放出されにくくなり、50.0μmより大きいと、光散乱を引き起こして得られる画像に影響が出る場合がある。
また、インク受容層における、第1の化合物(接着主剤)を内包する第1の樹脂粒子の含有量は、無機粒子の含有量に対して、2.0質量%以上100.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以上80.0質量%以下がより好ましく、10.0質量%以上50.0質量%以下が特に好ましい。10.0質量%以上とすることにより、耐折り割れ性が特に向上する。一方、50.0質量%より大きくすると、樹脂粒子の存在によって、インク吸収性や得られる画像の発色性が十分に得られない場合がある。
また、インク受容層における、第1の化合物(接着主剤)を内包する第1の樹脂粒子の含有量に対する、第2の化合物(硬化剤)を内包する第2の樹脂粒子の含有量は、1.0質量%以上100.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以上50.0質量%以下がより好ましい。5.0質量%より小さかったり、50.0質量%より大きかったりすると、硬化反応が十分に起きずに、耐折り割れ性や保存安定性の向上効果が十分に得られない場合がある。
(1)第1及び第2の化合物
本発明において、第1の化合物と第2の化合物との組合せとしては、例えば、上述の通り、(1)2つ以上の水酸基を有する化合物と、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物との組合せ、(2)エポキシ基を有する化合物と、酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物、及び多価カルボン酸から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ、が挙げられる。その他にも、互いに接触することで硬化反応をし、かつ、樹脂粒子中に流動性を有する状態で内包されるものであれば、本発明に用いることができる。
(1−1)2つ以上の水酸基を有する化合物と、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物との組合せ
2つ以上の水酸基を有する化合物と、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物とは、水酸基とイソシアネート基とが反応して、ウレタン結合を形成することで、硬化する。
(1−1−1)2つ以上の水酸基を有する化合物
2つ以上の水酸基を有する化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、アクリルポリオール、シリコンポリオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ひまし油系ポリオールなどが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(1−1−2)2つ以上のイソシアネート基を有する化合物
2つ以上のイソシアネート基を有する化合物としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えばω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。脂環族ジイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
(1−2)エポキシ基を有する化合物と、酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物、及び多価カルボン酸から選択される少なくとも1種の化合物との組合せ
エポキシ基を有する化合物と、酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物、及び多価カルボン酸から選択される少なくとも1種の化合物とは、エポキシ基が付加反応することで、硬化する。
(1−2−1)エポキシ基を有する化合物
エポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型及びこれらの水添加物等のビスフェノール型;フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型等のノボラック型;トリグリシジルイソシアヌレート型やヒダントイン型等の含窒素環型;脂環式型;脂肪族型;ナフタレン型、ビフェニル型等の芳香族型;グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型等のグリシジル型;ジシクロペンタジエン型等のジシクロ型;エステル型;エーテルエステル型;ポリブタジエンあるいはNBRを含有するゴム変性型およびこれらの変性型等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(1−2−2)酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物、及び多価カルボン酸から選択される少なくとも1種の化合物
酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物及びポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物が挙げられる。これらの中で、耐候性、耐光性、耐熱性等が求められる用途では、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及びヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。
アミン化合物としては、例えば、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジエチルトルエンジアミン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン(3,3′−DDS)、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン(4,4′−DDS)のようなジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)、ビスアニリン、ベンジルジメチルアニリン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,3−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,5−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,4−トリレンジアミン、メチルチオトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジシアンジアミドが挙げられるが挙げられる。
フェノール化合物としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD及びこれらビスフェノール類のジアリル化物の誘導体が挙げられる。
多価カルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(2)内包する樹脂
本発明において、第1の化合物及び第2の化合物はそれぞれ樹脂に内包された樹脂粒子の形態で含有される。これは、それぞれを単独で含有してしまうと、塗工液中で硬化反応して、インク受容層を作製するのが難しいからである。本発明において、第1の化合物及び第2の化合物を内包する樹脂としては、第1の化合物及び第2の化合物と反応しないものであれば、従来公知のものを何れも用いることができる。例えば、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂などが挙げられる。中でも、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂を用いることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明において、インク受容層は、これまで述べてきたもの以外のその他の添加剤を含有してもよい。具体的には、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
<下塗り層>
本発明においては、基材とインク受容層との密着性を向上する目的で、基材とインク受容層との間に、下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、水溶性ポリエステル樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコールなどを含有することが好ましい。下塗り層の膜厚は、0.01μm以上5μm以下が好ましい。
<バックコート層>
本発明においては、基材のインク受容層が設けられる面とは反対側の面に、ハンドリング性、搬送適性、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過性を向上する目的でバックコート層を設けてもよい。バックコート層は、白色顔料やバインダーなどを含有することが好ましい。バックコート層の膜厚は、乾燥塗工量が、1g/m以上25g/m以下となるようにすることが好ましい。
[記録媒体の製造方法]
本発明において、記録媒体を製造する方法は、特に限定されないが、インク受容層用の塗工液を調製する工程、及び、インク受容層用塗工液を基材に塗工する工程を有する記録媒体の製造方法が好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
<基材の作製方法>
本発明において、基紙の作製方法としては、一般的に用いられている抄紙方法を適用することができる。抄紙装置としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどが挙げられる。基紙の表面平滑性を高めるために、抄紙工程中又は抄紙工程後に、熱及び圧力を加えて表面処理してもよい。具体的な表面処理方法としては、マシンカレンダーやスーパーカレンダーといったカレンダー処理が挙げられる。
基紙の上に樹脂層を設ける方法、即ち、基紙を樹脂で被覆する方法としては、溶融押出法、ウェットラミネーション、ドライラミネーションなどが挙げられる。中でも、基紙の片面又は両面に溶融した樹脂を押し出しコーティングする溶融押出法が好ましい。例えば、搬送されてきた基紙と、押出ダイから押し出された樹脂を、ニップローラと冷却ローラーとの間のニップ点において接触させ、ニップで圧着することで樹脂層を基紙上にラミネートする方法(押出コーティング方法ともいう)が広く採用されている。溶融押出法により、樹脂層を設ける際には、基紙と樹脂層の接着がより強固となるように、前処理を施してもよい。前処理としては、硫酸クロム酸混液による酸エッチング処理、ガス炎による火炎処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、アルキルチタネートなどのアンカーコート処理などが挙げられる。中でも、コロナ放電処理が好ましい。また、樹脂層に白色顔料を含有する場合は、樹脂と白色顔料を混合したもので、基紙を被覆すればよい。
<インク受容層の形成方法>
本発明の記録媒体において、基材にインク受容層を形成する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、インク受容層用塗工液を調製する。そして、基材に上記塗工液を塗工及び乾燥することで、本発明の記録媒体を得ることができる。塗工液の塗工方法としては、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーターなどを用いることができる。尚、塗工時に、塗工液を加温してもよい。また、塗工後の乾燥方法としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機を使用する方法や、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機を使用する方法などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<基材の作製>
カナダ標準濾水度が450mLCSFのLBKP80部、カナダ標準濾水度が480mLCSFのNBKP20部、カチオン化澱粉0.60部、重質炭酸カルシウム10部、軽質炭酸カルシウム15部、アルキルケテンダイマー0.10部、カチオン性ポリアクリルアミド0.030部を混合し、固形分の含有量が3.0質量%となるように水を加えて、紙料を得た。次いで、紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で乾燥後の固形分が1.0g/mとなるように酸化澱粉水溶液を含浸、乾燥させ、更に、マシンカレンダー仕上げをして、坪量が170g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mN、膜厚が100μmの基紙を作製した。次いで、低密度ポリエチレン70部と、高密度ポリエチレン20部と、酸化チタン10部とからなる樹脂組成物を、乾燥塗工量が25g/mとなる様に、基紙の片面に塗工した。尚、この面を基材の表面とする。更に、低密度ポリエチレンを、基紙のもう一方の面に塗工することで、基材を得た。
<マイクロカプセルの作製>
(マイクロカプセルA1の作製)
ビスフェノールA28.19gおよびエピクロロヒドリン119.067gを還流冷却管およびメカニカルスターラーを装着した反応容器に入れ、70℃に昇温した後に、1時間かけて5M水酸化ナトリウム水溶液56mlおよび蒸留水50mlを滴下した。次に110℃に昇温して、1時間攪拌した。室温まで冷却後蒸留水で洗浄しながら、分液して粘性のある有機層を得た。この有機層の溶媒をエバポレーターで完全に蒸発させ黄色のビスフェノールAジグリシジルエーテルを得た。
蒸留水200gに対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2g、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)2g、ポリビニルアルコール0.2gの割合で溶解させ分散媒を作製した。蒸留水14.7g、メラミン11.8g、ホルマリン28.5gを混合して攪拌しながら83℃に昇温した。昇温過程において、1M水酸化ナトリウム水溶液でpH9〜10に調整した。得た無色透明液体をメラミン−ホルマリンプレポリマーとした。
分散媒200gにビスフェノールAジグリシジルエーテル20gを分散させ、ホモミキサーで攪拌しながらメラミン−ホルマリンプレポリマーを加えて65℃に昇温し、0.5M塩酸でpH5.6〜6.0に調整した。TKホモミキサー(プライミクス製)で、2,000rpmで2時間攪拌後、蒸留水で洗浄し、マイクロカプセルA1を得た。得られたマイクロカプセルA1の体積50%平均粒径(D50)をレーザー回折粒度分布計MASTER SIZER S(MALVERN製)により測定したところ、13μmであった。
(マイクロカプセルA2の作製)
反応容器中に数平均分子量が1,000であるポリプロピレングリコールであるサンニックスPP−1000(三洋化成工業製)を113.1部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物であるBPE−20T(三洋化成工業製)263.8部を添加し、105℃で均一に攪拌した後、60℃まで冷却し、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−DI(水添MDI)であるデスモジュールW(住化バイエルウレタン製)123.2部を仕込み窒素気流下、攪拌、混合して90〜110℃で8時間反応させ、更に、酢酸エチル500部を添加し、均一に攪拌して、数平均分子量1,100のOH末端ウレタンプレポリマー溶液(固形分濃度50質量%)を得た。
前記分散媒200gにOH末端ウレタンプレポリマー20gを分散させ、ホモミキサーで攪拌しながら、前記メラミン−ホルマリンプレポリマーを加えて65℃に昇温し、0.5M塩酸でpH5.6〜6.0に調整した。TKホモミキサーで、2,000rpmで2時間攪拌後、蒸留水で洗浄し、マイクロカプセルA2を得た。得られたマイクロカプセルA2の体積50%平均粒径は、12μmであった。
(マイクロカプセルA3の作製)
上述の(マイクロカプセルA1の作製)において、TKホモミキサーによる撹拌回転数を10,000rpmに変更したこと以外は同様にして、マイクロカプセルA3を得た。得られたマイクロカプセルA3の体積50%平均粒径は、0.3μmであった。
(マイクロカプセルA4の作製)
上述の(マイクロカプセルA1の作製)において、TKホモミキサーによる撹拌回転数を200rpmに変更したこと以外は同様にして、マイクロカプセルA4を得た。得られたマイクロカプセルA4の体積50%平均粒径は、23.0μmであった。
(マイクロカプセルB1の作製)
前記分散媒200gに硬化剤トリス(2−アミノエチル)アミン7gを分散させ、ホモミキサーで攪拌しながら前記メラミン−ホルマリンプレポリマーを加えて65℃に昇温しながら、0.5M塩酸でpH5.6〜6.0に調整した。TKホモミキサーで、2,000rpmで2時間攪拌後、蒸留水で洗浄し、マイクロカプセルB1を得た。得られたマイクロカプセルB1の体積50%平均粒径は、11μmであった。
(マイクロカプセルB2の作製)
ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(イソシアネート基含有量32.2%)を100部、疎水性有機化合物としてのイソパラフィン アイソパーM(エクソンモービル化学製)を100部、さらに極性溶媒として酢酸エチル40部を混合し溶解させてイソシアネート溶液とした。次に、上記イソシアネート溶液に対し、5%ポリビニルアルコール水溶液を600部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを2.5部加え、ホモミキサーで6,000rpmの回転速度で3分間撹拌してO/Wエマルションとした。更に、このO/Wエマルションを室温で撹拌しながら、4%ジエチレントリアミン水溶液を140部加え、60°Cに加温し、TKホモミキサーで、2,000rpmで6時間撹拌を行い、マイクロカプセルB2を得た。得られたマイクロカプセルB2の体積50%平均粒径は、5μmであった。
(マイクロカプセルB3の作製)
上述の(マイクロカプセルB1の作製)において、TKホモミキサーによる撹拌回転数を10,000rpmに変更したこと以外は同様にして、マイクロカプセルB3を得た。得られたマイクロカプセルB3の体積50%平均粒径は、0.4μmであった。
(マイクロカプセルB4の作製)
上述の(マイクロカプセルB4の作製)において、TKホモミキサーによる撹拌回転数を200rpmに変更したこと以外は同様にして、マイクロカプセルB4を得た。得られたマイクロカプセルB4の体積50%平均粒径は、26.0μmであった。
<記録媒体の作製>
純水に、アルミナ水和物であるDisperal HP14(サソール製)を固形分濃度が30質量%となるように添加した。次に、このアルミナ水和物100質量部に対して、1.5質量部となるようにメタンスルホン酸を加えて攪拌し、コロイダルゾルを得た。得られたコロイダルゾルをアルミナ水和物の固形分濃度が23質量%となるようにイオン交換水で希釈して無機粒子分散液を得た。
上記で得た無機粒子分散液と、ポリビニルアルコ−ル水溶液(重合度3,500、けん化度88mol%であるPVA235(クラレ製)の固形分の含有量が8質量%)とを、無機粒子に対するポリビニルアルコールの比率が13質量%となるように混合した。更に、上記で得たマイクロカプセルを表1中の無機粒子に対する比率(質量%)となるように混合した。これに、ホウ酸水溶液(固形分の含有量が3質量%)を、ポリビニルアルコールに対するホウ酸の比率が0.8質量%となるように混合して、インク受容層用塗工液を調製した。用いたマイクロカプセルの種類及び比率を表1に記載した。
得られたインク受容層用塗工液を、上記で得た基材の表面に、スライドビード塗工装置により乾燥塗工量が30g/mとなるように10m/分の速度でそれぞれ塗布し、100℃で熱風乾燥して、記録媒体を作製した。
[評価]
<耐折り割れ性>
得られた記録媒体に、インクジェットプリンターMP990(キヤノン製)を用いて、「写真用紙、光沢ゴールド、色補正なしモード」にて、ブラックのベタ画像(記録デューティが100%)を記録した。そして、記録媒体を画像記録面が内側になるようにして2つ折りにし、更に、プレス機を用いて500kgの荷重をかけて5分間保持し、折目をつけた。折目がついた記録媒体を20回開閉した後、折目部分を目視で観察し、下記の基準を用いて評価を行った。本発明においては、評価基準のAA〜Bを好ましいレベルとし、C及びDを許容できないレベルとした。評価結果を表1に示す。
AA:白い筋が見えなかった
A:白い筋がわずかに見えた
B:白い筋が多少見えたが気にならないレベルであった
C:白い筋がはっきり見えた
D:白い筋が幅広く、はっきり見えた。
<保存安定性>
得られた記録媒体に、インクジェットプリンターMP990(キヤノン製)を用いて、「写真用紙、光沢ゴールド、色補正なしモード」にて、ブラックのベタ画像(記録デューティが100%)を記録した。その後、このベタ画像を温度60度、相対湿度80%の熱湿環境下で1週間保存した。そして、上記耐折り割れ性の評価と同様にして、下記の基準を用いて評価を行った。本発明においては、評価基準のAA〜Bを好ましいレベルとし、C及びDを許容できないレベルとした。評価結果を表1に示す。
AA:白い筋が見えなかった
A:白い筋がわずかに見えた
B:白い筋が多少見えたが気にならないレベルであった
C:白い筋がはっきり見えた
D:白い筋が幅広く、はっきり見えた。
<得られる画像の発色性>
得られた記録媒体に、インクジェットプリンターMP990(キヤノン製)を用いて、「写真用紙、光沢ゴールド、色補正なしモード」にて、ブラックのベタ画像を記録した。得られた画像の光学濃度を光学反射濃度計 530分光濃度計(X−Rite製)を用いて測定し、下記の基準を用いて評価を行った。評価結果を表1に示す。
AA:2.0以上であった
A:1.9以上2.0未満であった
B:1.8以上1.9未満であった
C:1.7以上1.8未満であった
D:1.7未満であった。
<インク吸収性>
得られた記録媒体に、インクジェットプリンターMP990(キヤノン製)を用いて、「写真用紙、光沢ゴールド、色補正なしモード」にて、グリーンのベタ画像を記録した。得られた画像を目視で観察し、下記の基準を用いて評価を行った。評価結果を表1に示す。
AA:画像にムラがほとんど見られなかった
A:画像にムラがわずかに見られた
B:画像にムラが少し見られた
C:画像にムラがかなり見られた
D:画像にインクのあふれが見られた。

Claims (6)

  1. 基材とインク受容層とを有する記録媒体であって、
    前記インク受容層が、無機粒子と、バインダーと、第1の化合物を内包する第1の樹脂粒子と、前記第1の化合物と接触することで硬化反応をする第2の化合物を内包する第2の樹脂粒子を含有することを特徴とする記録媒体。
  2. 前記無機粒子が、アルミナ水和物、アルミナ及び気相法シリカから選択される少なくとも1種である請求項1に記載の記録媒体。
  3. 前記第1の化合物が、2つ以上の水酸基を有する化合物であり、前記第2の化合物が、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物である請求項1又は2に記載の記録媒体。
  4. 前記第1の化合物が、エポキシ基を有する化合物であり、前記第2の化合物が、酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物、及び多価カルボン酸から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1又は2に記載の記録媒体。
  5. 前記第1の樹脂粒子の含有量が、前記無機粒子の含有量に対して、10.0質量%以上50.0質量%以下である請求項3又は4に記載の記録媒体。
  6. 前記第1の樹脂粒子の含有量に対する、前記第2の樹脂粒子の含有量が、5.0質量%以上50.0質量%以下である請求項3乃至5の何れか1項に記載の記録媒体。
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CN110549761A (zh) * 2018-05-31 2019-12-10 佳能株式会社 记录介质和记录介质的生产方法

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