JP2016141106A - 記録媒体 - Google Patents

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翔一 竹田
Shoichi Takeda
翔一 竹田
久男 加茂
Hisao Kamo
久男 加茂
哲朗 野口
Tetsuro Noguchi
哲朗 野口
小栗 勲
Isao Oguri
勲 小栗
直也 八田
Naoya Hatta
直也 八田
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Abstract

【課題】 得られる画像の発色性及び耐湿性が高く、かつ、インク受容層の割れが十分に抑制された記録媒体を提供すること。
【解決手段】 基材と、無機粒子及びバインダーを含有するインク受容層とを有する記録媒体であって、前記無機粒子が、一般式(1)で表される基と、一般式(2)で表される基とを有することを特徴とする記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は記録媒体に関する。
インクの吸収性及び得られる画像の発色性が高いことから、無機粒子を含有するインク受容層を有する記録媒体が用いられている。そのような記録媒体は、無機粒子を分散させたインク受容層用塗工液を、基材に塗工することで得られるが、インク受容層用塗工液における無機粒子の分散安定性が十分でないと、インク受容層を形成した際に表面に割れが生じてしまったり、インク受容層中で無機粒子が均一に分散していないために、得られる画像の発色性や耐湿性が低くなってしまったりする場合がある。
そこで、塗工液中で無機粒子を安定に分散させることができるような分散剤に関する検討がなされている(特許文献1乃至3)。分散剤として、特許文献1には、ポリジアリルアミン誘導体の構成単位を有するカチオンポリマーが、特許文献2には、第四級アミノ官能性の有機ケイ素化合物を含有する組成物が、特許文献3には、第四級アミノアルコール官能性有機ケイ素化合物を含有する組成物が、それぞれ記載されている。
特開2000−211235号公報 特表2012−524163号公報 特表2013−535431号公報
本発明者らの検討によると、特許文献1〜3に記載の分散剤では無機粒子の分散安定性は向上するものの十分ではなく、また、得られる画像の発色性も本発明で求めるレベルには達しておらず、インク受容層に割れが生じる場合があった。更に、得られる画像の耐湿性も十分ではなかった。
したがって、本発明の目的は、インク受容層用塗工液における無機粒子の分散安定性を向上し、得られる画像の発色性及び耐湿性が高く、かつ、インク受容層の割れが十分に抑制された記録媒体を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかる記録媒体は、基材と、無機粒子及びバインダーを含有するインク受容層とを有し、前記無機粒子が、下記一般式(1)で表される基と、下記一般式(2)で表される基とを有することを特徴とする。
(一般式(1)で表わされる基は、*において無機粒子の表面と結合する。上記式において、Xは炭素数1乃至8のアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1乃至8の炭化水素基、又は、−O−*である。Yは、HLB値0以上5以下の基である。nは1、2又は3である。)
(一般式(2)で表される基は、*において無機粒子の表面と結合する。上記式において、X’は炭素数1乃至8のアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1乃至8の炭化水素基、又は、−O−*である。Y’は、カチオン性基を有する基である。mは1、2又は3である。)
本発明によれば、得られる画像の発色性及び耐湿性が高く、かつ、インク受容層の割れが十分に抑制された記録媒体を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明者らが検討したところ、得られる画像の発色性及び耐湿性をより高いレベルに押し上げ、かつ、インク受容層の割れを十分に抑制するためには、インク受容層用塗工液における無機粒子の分散安定性を向上することに加えて、インク中の色材との相互作用や、インク受容層中に含まれる無機粒子の結着剤としてのバインダーとの相互作用をも考慮する必要があることを見出した。特に、得られる画像の耐湿性を向上するためには、インク受容層中の無機粒子とインク中の色材との相互作用を強めることが重要である。
そして、インク受容層中に、無機粒子とバインダーとのカップリング剤として、特定の構造を有する材料を含有させることで、上記効果が得られることが分かった。
具体的には、無機粒子が、下記一般式(1)で表される基
(一般式(1)で表される基は、*において無機粒子の表面と結合する。上記式において、Xは炭素数1乃至8のアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1乃至8の炭化水素基、又は、−O−*である。Yは、HLB値0以上5以下の基である。nは1、2又は3である。)
と、下記一般式(2)で表される基
(一般式(2)で表される基は、*において無機粒子の表面と結合する。上記式において、X’は炭素数1乃至8のアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1乃至8の炭化水素基、又は、−O−*である。Y’は、カチオン性基を有する基である。mは1、2又は3である。)
と、を有することが必要である。係る構成により、効果が得られる推定メカニズムは以下の通りである。
先ず、一般式(1)で表される基のように、疎水性の高いHLB値0以上5以下の基を有することで、疎水性相互作用によりインク受容層中の無機粒子とインク中の色材との相互作用を強めることが可能となり、得られる画像の耐湿性を向上することができる。更に、一般式(2)で表される基のようにカチオン性基を有する有機ケイ素構造を有することにより、インク受容層塗工液中での無機粒子の分散安定性が高まるため、インク受容層の割れを十分に抑制することができ、また、無機粒子が均一に分散したインク受容層となるため、得られる画像の発色性が高まる。
[記録媒体]
本発明の記録媒体は、基材と、インク受容層とを有する。本発明においては、インクジェット記録方法に用いるインクジェット用記録媒体であることが好ましい。
以下、本発明の記録媒体を構成する各成分について、それぞれ説明する。
<基材>
基材としては、基紙のみから構成されるものや、基紙と樹脂層を有するもの、即ち、基紙が樹脂で被覆されているものが挙げられる。本発明においては、基紙と樹脂層を有する基材を用いることが好ましい。その場合、樹脂層は、基紙の片面のみに設けられていてもよいが、両面に設けられていることが好ましい。
(基紙)
基紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレンなどの合成パルプや、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パルプとしては広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹溶解パルプ(LDP)、針葉樹溶解パルプ(NDP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)などが挙げられる。これらは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。木材パルプの中でも短繊維成分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPを用いることが好ましい。パルプとしては、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましい。また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも好ましい。紙基材中には、サイズ剤、白色顔料、紙力増強剤、蛍光増白剤、水分保持剤、分散剤、柔軟化剤などを適宜添加してもよい。
本発明において、基紙の膜厚は、50μm以上250μm以下であることが好ましく、更には、90μm以上210μm以下であることがより好ましい。尚、本発明において、基紙の膜厚は、以下の方法で算出する。まず、記録媒体の断面をマイクロトームで切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察する。そして、基紙の任意の100点以上の膜厚を測定し、その平均値を基紙の膜厚とする。尚、本発明におけるその他の層の膜厚も同様の方法で算出するものとする。
本発明において、基紙のJIS P 8118で規定される紙密度は、0.6g/cm以上1.2g/cm以下であることが好ましい。更には、0.7g/cm以上1.2g/cm以下であることがより好ましい。
(樹脂層)
本発明において、基紙が樹脂で被覆されている場合は、樹脂層は基紙の表面の一部を被覆するように設けられていればよいが、樹脂層の被覆率(樹脂層で被覆された基紙の表面の面積/基紙の表面の全面積)が70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、更には、100%であること、即ち、基紙の表面の全面が樹脂層で被覆されていることが特に好ましい。
また、本発明において、樹脂層の膜厚は、20μm以上60μm以下であることが好ましく、更には、樹脂層の膜厚は、35μm以上50μm以下であることがより好ましい。樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、両面の樹脂層の膜厚がそれぞれ上記範囲を満足することが好ましい。
樹脂層に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。本発明において、ポリオレフィン樹脂とは、モノマーとしてオレフィンを用いた重合体を意味する。具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどの単重合体や共重合体が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンを用いることが好ましい。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることが好ましい。
本発明において、樹脂層は、不透明度や白色度や色相を調整するために、白色顔料や蛍光増白剤や群青などを含有してもよい。中でも、不透明度を向上することができるため、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが挙げられる。本発明において、樹脂層中の白色顔料の含有量は、3g/m以上30g/m以下であることが好ましい。尚、樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、2つの樹脂層中の白色顔料の合計の含有量が、上記範囲を満足することが好ましい。また、樹脂層中の、白色顔料の含有量は、樹脂の含有量に対して、25質量%以下であることが好ましい。25質量%より大きいと、白色顔料の分散安定性が十分に得られない場合がある。
<インク受容層>
本発明において、インク受容層は単層でもよいし、2層以上の複層でもよい。また、インク受容層は、上記基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。インク受容層の膜厚は、15μm以上60μm以下であることが好ましく、更には、30μm以上45μm以下であることがより好ましい。以下、インク受容層に含有することができる材料について、それぞれ説明する。
(一般式(1)で表される基と、一般式(2)で表される基とを有する無機粒子)
本発明において、無機粒子は、一般式(1)で表される基と、一般式(2)で表される基とを有する。一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基はそれぞれ特定のシランカップリング剤で無機粒子表面を処理することで、無機粒子に導入することができる。以下、それぞれの基及び無機粒子について説明をする。
(1)一般式(1)で表される基
本発明において、無機粒子は下記一般式(1)で表される基を有する。
一般式(1)で表わされる基は、*において無機粒子の表面と結合する。また、一般式(1)において、Xは炭素数1乃至8のアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1乃至8の炭化水素基、又は、−O−*である。尚、「Xが−O−*である」とは、ケイ素原子(Si)が酸素原子(O)を介して無機粒子の表面と結合していることを意味する。このとき、「*」が結合する無機粒子は、同じであっても異なっていてもよいが、無機粒子は上記一般式(1)で表わされる基と比べて非常に大きいため、一般的には、同じ無機粒子に結合すると考えられる。また、YはHLB値0以上5以下の基である。HLB値0以上5以下の基としては、炭素数1乃至6の炭化水素基であることが好ましい。更には、YはHLB値0の基であることが好ましい。本発明において、HLB値(Hydrophile−Lipophile Balance値)とは、官能基の疎水性を表す値であり、値が小さい程疎水性が高いことを意味する。本発明において、HLB値を算出する方法としては、グリフィン法を用いるものとする。グリフィン法によるHLB値は、(官能基の中の親水部の式量の総和)/(分子量)×20で算出される。
本発明において、一般式(1)におけるYが、下記一般式(3)で表わされる構造を有することが好ましい。
一般式(3)

一般式(3)において、lは1乃至18の自然数、mは3乃至38の自然数、nは1乃至18の自然数である。Xは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホニル基などの親水性基を表す。一般式(3)で表される構造には、直鎖、分岐鎖、環状の構造も含む。
本発明において、一般式(1)で表される基を有する無機粒子は、下記一般式(4)で表される化合物で無機粒子の表面を修飾することで得られる。
一般式(1)で表わされる基は、*において無機粒子の表面と結合する。上記式において、Xは炭素数1乃至8のアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1乃至8の炭化水素基、又は、−O−R基である。Rは水素原子、又は、炭素数1乃至8の炭化水素基である。Yは、HLB値0以上5以下の基である。nは1、2又は3である。
無機粒子はその表面にヒドロキシル基を有する。そして、一般式(4)で表される化合物が、無機粒子表面のヒドロキシル基と反応することで、一般式(1)で表される基を有する無機粒子が得られるのである。
本発明において、一般式(4)で表される化合物は、下記化合物1、下記化合物2及び下記化合物3から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。下記式において、Rは、水素原子又は炭素数1乃至8の炭化水素基である。
(2)一般式(2)で表される基
本発明において、無機粒子は下記一般式(2)で表される基を有する。
一般式(2)で表される基は、*において無機粒子の表面と結合する。また、一般式(2)において、X’は炭素数1乃至8のアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1乃至8の炭化水素基、又は、−O−*である。尚、「X’が−O−*である」とは、ケイ素原子(Si)が酸素原子(O)を介して無機粒子の表面と結合していることを意味する。このとき、「*」が結合する無機粒子は、同じであっても異なっていてもよいが、無機粒子は上記一般式(2)で表される基と比べて非常に大きいため、一般的には、同じ無機粒子に結合すると考えられる。mは1、2又は3であり、mが1であることが好ましい。
また、一般式(2)において、Y’は、カチオン性基を共に有する基である。カチオン性基としては、4級アンモニウム基であることが好ましい。一般式(2)で表される基はカチオン性基の対イオンとして1価の陰イオンを有する。1価の陰イオンとしては、ハロゲンイオンなどが挙げられる。Y’は、更にヒドロキシル基も有することが好ましい。即ち、Y’はヒドロキシル基及びカチオン性基を有する基である。
また、一般式(2)で表される基が、下記一般式(4)で表される構造であることが好ましい。一般式(4)で表される構造は、対イオンとして1価の陰イオンを有する。1価の陰イオンとしては、ハロゲンイオンなどが挙げられる。
(一般式(4)で表される基は、*において無機粒子の表面と結合する。上記式において、Rは炭素数1乃至8のアルキル基又はアリール基であり、Xは下記一般式Xで表される構造である。aは1、2又は3である。)
(一般式Xにおいて、RX1及びRX2はそれぞれ独立に炭素数2乃至8のアルキレン基又はアリーレン基である。RX3、RX4及びRX5から選択される少なくとも1つは下記一般式Qで表される構造であり、それ以外は水素原子又は炭素数1乃至8のアルキル基又はアリール基である。bは0乃至5の整数である。上記一般式Xの左端が、一般式(1)におけるXに導入される。)
(一般式Qにおいて、RQ1、RQ2及びRQ3はそれぞれ独立に炭素数1乃至10のアルキル基又はアリール基である。上記一般式Qの左端が、一般式XにおけるRX3、RX4及びRX5から選択される少なくとも1つに導入される。)
また、一般式(4)で表される構造を有する無機粒子を得るためには、下記一般式(4)’で表されるシランカップリング剤を用いればよい。尚、一般式(4)’で表されるシランカップリング剤は、対イオンとして1価の陰イオンを有する。1価の陰イオンとしては、ハロゲンイオンなどが挙げられる。
(一般式(4)’において、Rは炭素数1乃至8のアルキル基又はアリール基であり、Xは上記一般式Xで表される構造である。Yはヒドロキシル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アセトキシ基などの加水分解性基である。aは1、2又は3である。)
本発明において、一般式(4)’で表わされるシランカップリング剤の使用量が、無機粒子の含有量に対して、3質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
一般式(4)’で表されるシランカップリング剤は、下記一般式(6)で表される化合物(アミノシランカップリング剤)と、下記一般式(7)で表される化合物(4級アミノ基を有するグリシジル化合物)を反応させることにより得ることができる。
(一般式(6)において、Rは炭素数1乃至8のアルキル基又はアリール基である。Yはヒドロキシル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アセトキシ基などの加水分解性基である。RX1及びRX2はそれぞれ独立に炭素数2乃至8のアルキレン基又はアリーレン基である。RX3、RX4及びRX5から選択される少なくとも1つは水素原子であり、それ以外は水素原子又は炭素数1乃至8のアルキル基又はアリール基である。aは1、2又は3であり、bは0乃至5の整数である。)
一般式(6)で表される化合物としては、具体的には、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルシラントリオール、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
(一般式(7)において、RQ1、RQ2及びRQ3はそれぞれ独立に炭素数1乃至10のアルキル基又はアリール基である。一般式(7)で表される化合物は、対イオンとして1価の陰イオンを有する。1価の陰イオンとしては、ハロゲンイオンなどが挙げられる。)
一般式(7)で表される化合物としては、具体的には、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシジルブチルジメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられ、エピクロロヒドリンと3級アミンとの付加反応により得ることができる。
本発明において、一般式(4)及び(4)’で表される構造における、アミノ基の数が、4級アンモニウム基の数に対して、0.5倍以上5.0倍以下であることが好ましく、1.0倍以上3.0倍以下であることがより好ましい。
更には、一般式(4)及び(4)’におけるXが、下記一般式X−1で表される構造、下記一般式X−2で表される構造又は下記一般式X−3で表される構造であることが好ましい。下記一般式X−1〜X−3の左端が、一般式(4)及び(4)’におけるXに導入される。
(一般式X−1において、RA1及びRA2から選択される少なくとも1つは前記一般式Qで表される構造であり、それ以外は水素原子又は炭素数1乃至8のアルキル基又はアリール基である。)
(一般式X−2において、RA1、RA2及びRA3から選択される少なくとも1つは前記一般式Qで表される構造であり、それ以外は水素原子又は炭素数1乃至8のアルキル基又はアリール基である。)
(一般式X−3において、RA1、RA2、RA3及びRA4から選択される少なくとも1つは前記一般式Qで表される構造であり、それ以外は水素原子又は炭素数1乃至8のアルキル基又はアリール基である。)
(3)無機粒子
本発明に用いる無機粒子としては、例えば、気相法シリカ、アルミナ水和物、気相法アルミナ、コロイダルシリカ、二酸化チタン、ゼオライト、カオリン、タルク、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらの無機粒子は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。上記無機粒子の中でも、気相法シリカ、アルミナ水和物、気相法アルミナを用いることが好ましく、気相法シリカを用いること、即ち、一般式(1)、及び一般式(2)で表わされる基を有する気相法シリカを用いることが特に好ましい。
気相法シリカとしては、アエロジル(日本アエロジル製)、レオロシールQSタイプ(トクヤマ製)、Cab−O−Silなどが挙げられる。
本発明において、気相法シリカのBET法による比表面積は50m/g以上400m/g以下であることが好ましく、200m/g以上350m/g以下であることがより好ましい。
アルミナ水和物は、
一般式(X):Al3−n(OH)2n・mH
(一般式(X)中、nは0、1、2、又は3であり、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下である。ただし、mとnは同時に0にはならない。)
により表されるものを好適に用いることができる。尚、mHOは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でなくてもよい。また、アルミナ水和物を加熱するとmは0となり得る。
本発明においてアルミナ水和物は、公知の方法で製造することができる。具体的には、アルミニウムアルコキシドを加水分解する方法、アルミン酸ナトリウムを加水分解する方法、アルミン酸ナトリウムの水溶液に、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムの水溶液を加えて中和する方法などが挙げられる。
アルミナ水和物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、非晶質、ギブサイト型、ベーマイト型が知られている。尚、アルミナ水和物の結晶構造は、X線回折法によって分析することができる。本発明においては、これらの中でも、ベーマイト型のアルミナ水和物又は非晶質のアルミナ水和物が好ましい。具体例としては、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報などに記載されたアルミナ水和物や、市販品としてはDisperal HP14、HP18(以上、サソール製)などを挙げることができる。これらのアルミナ水和物は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また、本発明において、アルミナ水和物のBET法で求められる比表面積が100m/g以上200m/g以下であることが好ましく、125m/g以上175m/g以下であることがより好ましい。ここでBET法とは、試料表面に大きさの分かっている分子やイオンを吸着させて、その吸着量から、試料の比表面積を測定する方法である。本発明においては、試料に吸着させる気体として、窒素ガスを用いる。
気相法アルミナとしては、γ−アルミナ、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナなどを挙げることができる。これらの中でも、画像の光学濃度やインク吸収性の観点から、γ−アルミナを用いることが好ましい。気相法アルミナの具体例としては、AEROXIDE;Alu C、Alu130、Alu65(以上、EVONIK製)などを挙げることができる。
本発明において、気相法アルミナのBET法で求められる比表面積が50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましい。また、150m/g以下が好ましく、120m/g以下がより好ましい。
インク受容層に含まれる、一般式(1)で表される基と、一般式(2)で表される基の合計の含有量が、ケイ素原子の存在量として、無機粒子の含有量に対して、3質量%以上20質量%以下であることが好ましい。更には、インク受容層に含まれる、一般式(1)で表される基と、一般式(2)で表される基の含有量比率が、ケイ素原子の存在量比率として、1:99乃至60:40であることが好ましく、10:90乃至30:70であることがより好ましい。
本発明において、インク受容層中に占める、一般式(1)及び一般式(2)で表わされる基を有する無機粒子の含有量(質量%)は、50質量%以上98質量%以下であることが好ましく、更には、70質量%以上96質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、インク受容層を形成する際に塗布する一般式(1)及び一般式(2)で表わされる基を有する無機粒子の塗布量(g/m)は、8g/m以上45g/m以下であることが好ましい。上記範囲とすることで、好ましいインク受容層の膜厚となりやすい。
(バインダー)
本発明において、インク受容層はバインダーを含有する。本発明において、バインダーとは、無機粒子を結着し、被膜を形成することができる材料を意味する。
本発明においては、インク吸収性の観点から、インク受容層中の、バインダーの含有量が、無機粒子の含有量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、インク受容層の結着性の観点から、上記比率は、5.0質量%以上が好ましく、8.0質量%以上がより好ましい。
バインダーとしては例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、及びポリビニルアルコール、並びに、それらの誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体などのアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス;上記の重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;カチオン基を用いて上記重合体をカチオン化したもの;カチオン性界面活性剤を用いて上記重合体の表面をカチオン化したもの;カチオン性ポリビニルアルコール下で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にポリビニルアルコールを分布させたもの;カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で上記重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にカチオン性コロイド粒子を分布させたもの;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性バインダー;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体及び共重合体;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂が挙げられる。これらのバインダーは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
上記したバインダーの中でも、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を用いることが好ましい。ポリビニルアルコール誘導体としては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどが挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基または第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化して合成することができる。ポリビニルアルコールのけん化度としては、80mol%以上100mol%以下が好ましく、85mol%以上98mol%以下がより好ましい。尚、けん化度とは、ポリ酢酸ビニルをけん化してポリビニルアルコールを得た際の、けん化反応によって生じたヒドロキシル基のモル数の割合であり、本発明においては、JIS−K6726の方法で測定した値を用いるものとする。また、ポリビニルアルコールの平均重合度は、2,000以上が好ましく、2,000以上5,000以下がより好ましい。尚、本発明において平均重合度は、JIS−K6726の方法で求めた粘度平均重合度を用いるものとする。
インク受容層用塗工液を調製する際は、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を水溶液として使用することが好ましい。その際、水溶液中のポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の固形分の含有量は、3質量%以上20質量%以下が好ましい。
(架橋剤)
本発明において、インク受容層は更に架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、例えば、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などが挙げられる。これらの架橋剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特にバインダーとしてポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を用いる場合は、上記した架橋剤の中でも、ホウ酸やホウ酸塩を用いることが好ましい。
ホウ酸としては、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、ジホウ酸などが挙げられる。ホウ酸塩としては、上記ホウ酸の水溶性の塩が好ましい。例えば、ホウ酸のナトリウム塩やカリウム塩などのホウ酸のアルカリ金属塩;ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩などのホウ酸のアルカリ土類金属塩;ホウ酸のアンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、オルトホウ酸を用いることが、塗工液の経時安定性とクラックの発生を抑制する効果の観点から好ましい。
架橋剤の使用量は、製造条件などに応じて適宜調整することができる。本発明においては、インク受容層中の、架橋剤の含有量が、バインダーの含有量に対して、1.0質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましい。
更に、バインダーがポリビニルアルコールであり、架橋剤がホウ酸及びホウ酸塩から選択される少なくとも1種である場合には、インク受容層中の、ポリビニルアルコールの含有量に対する、ホウ酸及びホウ酸塩の合計の含有量が、5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明において、インク受容層は、これまで述べてきたもの以外のその他の添加剤を含有してもよい。具体的には、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などが挙げられる。
特に、本発明においては、得られた記録媒体の保存の観点から、耐湿性を向上させるために、インク受容層が更に水溶性多価金属化合物又はカチオン性樹脂粒子を含有することが好ましい。
(1)水溶性多価金属化合物
水溶性多価金属化合物としては、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンが挙げられ、これらの金属の水溶性塩として用いることができる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、乳酸アルミニウム、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、塩化チタン、硫酸チタン、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、乳酸マグネシウム、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物などが挙げられる。これらの中でも、アルミニウム化合物又はジルコニウム化合物が好ましく、更には、ポリ塩化アルミニウム、酢酸ジルコニウムが特に好ましい。
本発明において、インク受容層における、水溶性多価金属化合物の含有量は、無機粒子の含有量に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
(2)カチオン性樹脂粒子
カチオン性樹脂粒子としては、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系樹脂粒子;アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、アクリル酸やメタクリル酸の重合体又は共重合体などのアクリル系樹脂粒子;エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系樹脂粒子をカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤を用いて樹脂粒子表面をカチオン化したものなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン−アクリル共重合体を用いた樹脂粒子が好ましい。
本発明において、インク受容層における、カチオン性樹脂の含有量は、無機粒子の含有量に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
<下塗り層>
本発明においては、基材とインク受容層との密着性を向上する目的で、基材とインク受容層との間に、下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、水溶性ポリエステル樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコールなどを含有することが好ましい。下塗り層の膜厚は、0.01μm以上5μm以下が好ましい。
<バックコート層>
本発明においては、基材のインク受容層が設けられる面とは反対側の面に、ハンドリング性、搬送適性、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過性を向上する目的でバックコート層を設けてもよい。バックコート層は、白色顔料やバインダーなどを含有することが好ましい。バックコート層の膜厚は、乾燥塗工量が、1g/m以上25g/m以下となるようにすることが好ましい。
[記録媒体の製造方法]
本発明において、記録媒体を製造する方法は、特に限定されないが、インク受容層用の塗工液を調製する工程、及び、インク受容層用塗工液を基材に塗工する工程を有する記録媒体の製造方法が好ましい。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
<基材の作製方法>
本発明において、基紙の作製方法としては、一般的に用いられている抄紙方法を適用することができる。抄紙装置としては、例えば長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどが挙げられる。基紙の表面平滑性を高めるために、抄紙工程中又は抄紙工程後に、熱及び圧力を加えて表面処理してもよい。具体的な表面処理方法としては、マシンカレンダーやスーパーカレンダーといったカレンダー処理が挙げられる。
基紙の上に樹脂層を設ける方法、即ち、基紙を樹脂で被覆する方法としては、溶融押出法、ウェットラミネーション、ドライラミネーションなどが挙げられる。中でも、基紙の片面又は両面に溶融した樹脂を押し出しコーティングする溶融押出法が好ましい。例えば、搬送されてきた基紙と、押出ダイから押し出された樹脂を、ニップローラと冷却ローラーとの間のニップ点において接触させ、ニップで圧着することで樹脂層を基紙上にラミネートする方法(押出コーティング方法ともいう)が広く採用されている。溶融押出法により、樹脂層を設ける際には、基紙と樹脂層の接着がより強固となるように、前処理を施してもよい。前処理としては、硫酸クロム酸混液による酸エッチング処理、ガス炎による火炎処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、アルキルチタネートなどのアンカーコート処理などが挙げられる。中でも、コロナ放電処理が好ましい。また、樹脂層に白色顔料を含有する場合は、樹脂と白色顔料を混合したもので、基紙を被覆すればよい。
<インク受容層の形成方法>
本発明の記録媒体において、基材にインク受容層を形成する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、インク受容層用塗工液を調製する。そして、基材に上記塗工液を塗工及び乾燥することで、本発明の記録媒体を得ることができる。塗工液の塗工方法としては、カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーターなどを用いることができる。尚、塗工時に、塗工液を加温してもよい。また、塗工後の乾燥方法としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機を使用する方法や、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機を使用する方法などが挙げられる。本発明は、90℃以上の熱風を用いて高速乾燥するような場合でも、インク受容層の割れが抑制されるため好ましい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<基材の作製>
カナダ標準濾水度が450mLCSFのLBKP80部、カナダ標準濾水度が480mLCSFのNBKP20部、カチオン化澱粉0.60部、重質炭酸カルシウム10部、軽質炭酸カルシウム15部、アルキルケテンダイマー0.10部、カチオン性ポリアクリルアミド0.030部を混合し、固形分の含有量が3.0質量%となるように水を加えて、紙料を得た。次いで、紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で乾燥後の固形分が1.0g/mとなるように酸化澱粉水溶液を含浸、乾燥させ、更に、マシンカレンダー仕上げをして、坪量が170g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mN、膜厚が100μmの基紙を作製した。次いで、低密度ポリエチレン70部と、高密度ポリエチレン20部と、酸化チタン10部とからなる樹脂組成物を、乾燥塗工量が25g/mとなる様に、基紙の片面に塗工した。尚、この面を基材の表面とする。更に、低密度ポリエチレンを、基紙のもう一方の面に塗工することで、基材を得た。
<シランカップリング剤の合成>
以下の方法でシランカップリング剤を合成した。合成後のシランカップリング剤の構造を核磁気共鳴分光法(H−NMR及び13C−NMR)を用いて同定した。核磁気共鳴分光法の装置としては、Advance500 CRYOSYSTEM(BRUKER製)を用い、各シランカップリング剤の水溶液から、減圧下にて水分を留去し、重水にて再び溶解しサンプルを作製した。H−NMRを用いて、原料となるアミノシランカップリング剤及びグリシジル化合物と比較し、反応後に生成するヒドロキシル基の存在を示すピーク(3.5〜4.0ppm)を確認した。また、13C−NMRを用いて、原料となるアミノシランカップリング剤及びグリシジル化合物と比較し、反応後に生成するヒドロキシル基の存在を示すピーク(63〜70ppm)を確認した。
(シランカップリング剤A−1の合成)
イオン交換水161部に対して、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン22.2部を溶解し、撹拌しながらグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドの水溶液(阪本薬品工業製SY−GTA80)19.0部を添加した。更に60℃にて1時間撹拌を行い、その後加熱をやめ室温になるまで静置し、固形分濃度17.8%のシランカップリング剤A−1の水溶液を得た。
(シランカップリング剤A−2の合成)
イオン交換水139.8部に対して、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン13.3部を溶解し、撹拌しながらグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドの水溶液(阪本薬品工業製SY−GTA80)22.7部を添加した。更に60℃にて1時間撹拌を行い、その後加熱をやめ室温になるまで静置し、固形分濃度18.4%のシランカップリング剤A−2の水溶液を得た。
(シランカップリング剤A−3の合成)
イオン交換水152.5部に対して、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン11.2部を溶解し、撹拌しながらグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドの水溶液(阪本薬品工業製SY−GTA80)28.4部を添加した。更に60℃にて1時間撹拌を行い、その後加熱をやめ室温になるまで静置し、固形分濃度18.8%のシランカップリング剤A−3の水溶液を得た。
(シランカップリング剤B−1の合成)
イオン交換水160.9部に対して、3−アミノプロピルトリエトキシシラン22.2部を溶解し、撹拌しながらグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドの水溶液(阪本薬品工業製SY−GTA80)19.0部を添加した。更に60℃にて1時間撹拌を行い、その後加熱をやめ室温になるまで静置し、固形分濃度15.5%のシランカップリング剤B−1の水溶液を得た。
(シランカップリング剤B−2の合成)
イオン交換水139.7部に対して、3−アミノプロピルトリエトキシシラン13.3部を溶解し、撹拌しながらグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドの水溶液(阪本薬品工業製SY−GTA80)22.7部を添加した。更に60℃にて1時間撹拌を行い、その後加熱をやめ室温になるまで静置し、固形分濃度16.8%のシランカップリング剤B−2の水溶液を得た。
(シランカップリング剤C−1の合成)
イオン交換水178.2部に対して、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、26.5部を溶解し、撹拌しながらグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドの水溶液(阪本薬品工業製SY−GTA80)18.9部を添加した。更に60℃にて1時間撹拌を行い、その後加熱をやめ室温になるまで静置し、固形分濃度18%のシランカップリング剤C−1の水溶液を得た。
<記録媒体の作製>
(無機粒子分散液の調製)
イオン交換水に対して、表1に記載の第1のシランカップリング剤をM部(気相法シリカ100質量部に対する固形分換算での使用量)、表1に記載の第2のシランカップリング剤をN部(気相法シリカ100質量部に対する固形分換算での使用量)、メタンスルホン酸10%水溶液を0.65部(気相法シリカ100質量部に対する固形分換算での使用量)添加した。この水溶液をT.K.ホモミキサーMARKII2.5型(特殊機化工業製)で5,000rpmの回転条件で攪拌しながら気相法シリカAEROSIL300(EVONIK製)を少量ずつ添加した。さらにCLEARMIX(エム・テクニック製)で10000rpmの回転条件で30分間処理を行い、固形分の含有量が21質量%の無機粒子分散液を調製した。
(バインダー溶液の調製)
ポリビニルアルコールPVA235(クラレ製、粘度平均重合度:3,500、けん化度:88mol%)をイオン交換水に溶解して、固形分の含有量が8.0質量%のバインダー溶液を得た。
(インク受容層用塗工液の調製)
無機粒子分散液に含まれる気相法シリカ固形分100部に対して、バインダー溶液中の固形分が23.0部となるように混合し、混合溶液を得た。次いで、得られた混合溶液中の気相法シリカ固形分100部に対して、固形分換算で3部となるように架橋剤であるオルトホウ酸水溶液(固形分の含有量が5質量%)を混合し、更にイオン交換水を適宜加え、全固形分濃度が15%のインク受容層用塗工液を得た。
(記録媒体の作製)
上記で得た基材上に、上記で調製したインク受容層用塗工液を塗工した。このとき、乾燥塗工量が26g/mとなるようにした。更に、塗工後、90℃の熱風で乾燥し、記録媒体を得た。
[評価]
(得られる画像の発色性の評価)
上記で得られた各記録媒体に対して、インクカートリッジBCI−351(キヤノン製)を装着したインクジェット記録装置PIXUS MG7130(キヤノン製)を用いて、「写真用紙 光沢ゴールド 色補正なし」モードにて、2.5cm×2.5cmのブラックのベタ画像(記録デューティが100%の画像)を記録した。記録条件は、温度:23℃、相対湿度:50%とした。得られた画像の光学濃度を光学反射濃度計530分光濃度計(X−Rite製)を用いて測定した。得られた光学濃度の値から画像の発色性を評価した。尚、光学濃度の値が大きい程、画像の発色性が高い。評価基準は以下の通りである。評価結果を表1に示す。
A:光学濃度が2.25以上であった
B:光学濃度が2.25以上2.15未満であった
C:光学濃度が2.15以上2.25未満であった
D:光学濃度が2.15未満であった。
(得られる画像の耐湿性の評価)
上記で得られた各記録媒体に対して、上記インクジェット記録装置を用いて、「写真用紙 光沢ゴールド 色補正なし」モードにてISOマイグレーション評価パッチを形成した。得られた印刷物を気温25℃、相対湿度85%の環境に1週間保管した。その後、黒色、マゼンタ、イエローのパッチの熱湿滲みの状態を目視で観察し、下記評価基準により評価した。結果を表2に示す。
A:滲みがほぼ視認できなかった
B:滲みが僅かに視認できた
C:滲みが視認できた
D:大きい滲みが視認できた

Claims (7)

  1. 基材と、無機粒子及びバインダーを含有するインク受容層とを有する記録媒体であって、
    前記無機粒子が、下記一般式(1)で表される基と、下記一般式(2)で表される基とを有することを特徴とする記録媒体。

    (一般式(1)で表わされる基は、*において無機粒子の表面と結合する。上記式において、Xは炭素数1乃至8のアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1乃至8の炭化水素基、又は、−O−*である。Yは、HLB値0以上5以下の基である。nは1、2又は3である。)

    (一般式(2)で表される基は、*において無機粒子の表面と結合する。上記式において、X’は炭素数1乃至8のアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1乃至8の炭化水素基、又は、−O−*である。Y’は、カチオン性基を有する基である。mは1、2又は3である。)
  2. 前記一般式(2)におけるY’が有するカチオン性基が、4級アンモニウム基である請求項1に記載の記録媒体。
  3. 前記一般式(2)におけるY’が、ヒドロキシル基及びカチオン性基を有する基である請求項1に記載の記録媒体。
  4. 前記一般式(2)で示される基が、下記一般式Xで表わされる基であることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。

    (一般式Xで表される基は、*において無機粒子の表面と結合する。上記式において、Rは炭素数1乃至8のアルキル基又はアリール基であり、RX1及びRX2はそれぞれ独立に炭素数2乃至8のアルキレン基又はアリーレン基である。RX3、RX4及びRX5から選択される少なくとも1つは下記一般式Qで表される構造であり、それ以外は水素原子又は炭素数1乃至8のアルキル基又はアリール基である。aは0、1又は2であり、bは0乃至5の整数である。)

    (一般式Qにおいて、RQ1、RQ2及びRQ3はそれぞれ独立に炭素数1乃至10のアルキル基又はアリール基である。)
  5. インク受容層に含まれる、前記一般式(1)で表される基と、前記一般式(2)で表される基の合計の含有量が、ケイ素原子の存在量として、前記無機粒子の含有量に対して、3質量%以上20質量%以下である請求項1乃至4の何れか1項に記載の記録媒体。
  6. インク受容層に含まれる、前記一般式(1)で表される基と、前記一般式(2)で表される基の含有量比率が、ケイ素原子の存在量比率として、1:99乃至60:40である請求項5に記載の記録媒体。
  7. インク受容層に含まれる、前記一般式(1)で表される基と、前記一般式(2)で表される基の含有量比率が、ケイ素原子の存在量比率として、10:90乃至30:70である請求項5に記載の記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108041035A (zh) * 2017-12-12 2018-05-18 中海油天津化工研究设计院有限公司 一种双阳离子环氧型杀菌剂及其制备方法

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