JP2020023609A - ポリアセタール樹脂製意匠部品 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、本発明が解決しようとする課題は、生産性や靱性を維持しつつ、長期に品位外観に優れたポリアセタール樹脂製意匠部品を提供することである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
ポリアセタール樹脂、外観改良剤及びヒンダードアミン系物質を含むポリアセタール樹脂組成物の成形品と、
該成形品の少なくとも一部を被覆する実質透明なコート層と、を有する、ポリアセタール樹脂製意匠部品。
[2]
前記ポリアセタール樹脂組成物が、紫外線吸収剤を含む、請求項1に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
[3]
前記ポリアセタール樹脂組成物が、ポリアセタール樹脂以外のポリアルキレンオキサイド誘導体を含む、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
[4]
前記外観改良剤が、カーボンブラック、金属顔料、金属被覆ガラス、雲母及びパール顔料からなる群より選択される少なくとも1種類を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
[5]
前記コート層が、紫外線硬化性樹脂コート層である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
[6]
前記コート層の一部の膜厚が、0.5μm以上100μm以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
[7]
前記コート層が、ヒンダードアミン系物質及び/又は紫外線吸収剤を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
[8]
前記成形品が射出成形品である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
[9]
前記ポリアセタール樹脂製意匠部品が、機構部を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、後述される特定のポリアセタール樹脂組成物の成形品と、該成形品の少なくとも一部を被覆する実質透明なコート層と、を有する。これより、ポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するポリアセタール樹脂組成物及びその成形品、ポリアセタール樹脂製意匠部品の製造方法、並びにポリアセタール樹脂製意匠部品について、順次詳細に説明する。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、特定の添加剤を含むポリアセタール樹脂組成物の成形品を有する。これより、ポリアセタール樹脂組成物の原料、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法、ポリアセタール樹脂組成物の特性について、順次詳細に説明する。
本実施形態に用いるポリアセタール樹脂組成物(p)は、ポリアセタール樹脂(A)と外観改良剤(B)とヒンダードアミン系物質(C)とを含む樹脂組成物であって、必要に応じてその他の添加剤、例えば、紫外線吸収剤(D)、ポリアルキレンオキサイド誘導体(E)、ホルムアルデヒド捕捉剤(F)などの添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態に用いるポリアセタール樹脂(A)としては、例えば、ポリアセタールコポリマー(A1)及びポリアセタールホモポリマー(A2)などが挙げられる。ポリアセタール樹脂(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリアセタールコポリマー(A1)は、オキシメチレンユニットを主鎖に有する共重合ポリマーである。
コモノマーユニットは、オキシメチレンユニットと共重合できるユニットであれば特に限定されないが、炭素数2以上のオキシアルキレンユニットであることが好ましい。ポリアセタールコポリマー(A1)の両末端又は片末端は、エステル基又はエーテル基により封鎖されていてもよく、両末端が封鎖されていてもよい。
ポリアセタールコポリマー(A1)の製造に使用する主モノマーとしては、例えば、ホルムアルデヒド又はその3量体であるトリオキサン若しくは4量体であるテトラオキサンなどの環状オリゴマーなどが挙げられる。本実施形態において「主モノマー」とは、全モノマー量に対して50質量%以上含有されているモノマーユニットをいう。
ポリアセタールコポリマー(A1)の製造に使用するコモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、分子中に炭素数2以上のオキシアルキレンユニットを有する環状エーテル化合物が挙げられる。環状エーテル化合物としては、特に限定されないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3−プロパンジオールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキオカン、及び分子に分岐若しくは架橋構造を構成しうるモノ−若しくはジ−グリシジル化合物などが挙げられる。環状エーテル化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリアセタールコポリマー(A1)の製造においては、連鎖移動剤を用いることが好ましい。連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒドのジアルキルアセタール及びそのオリゴマー;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノール等の低級脂肪族アルコールなどが挙げられる。
ポリアセタールコポリマー(A1)の製造に使用する重合触媒としては、特に限定されないが、ルイス酸、プロトン酸、及びプロトン酸のエステル又は無水物等のカチオン活性触媒が好ましい。
ポリアセタールコポリマーの重合方法としては、スラリー法、塊状法、メルト法のいずれでもよい。使用する重合反応器の形状(構造)については、特に限定されるものではなく、例えば、バッチ式の攪拌機付き反応槽、連続式のコニーダー、二軸スクリュー式連続押し出し混練機、二軸パドル型連続混合機などが挙げられる。反応器の胴の外周は反応混合物を加熱又は冷却できる構造を有することが好ましい。
ポリアセタールホモポリマー(A2)は、オキシメチレンユニットのみを主鎖に有するポリマーである。ポリアセタールホモポリマー(A2)の両末端又は片末端は、エステル基又はエーテル基により封鎖されていてもよい。
ポリアセタールホモポリマー(A2)の製造に使用するモノマーとしては、例えば、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。安定した分子量のポリアセタールホモポリマー(A2)を継続的に得るために、モノマーとしては、精製され、かつ不純物濃度が低く、安定したホルムアルデヒドガスを用いることが好ましい。ホルムアルデヒドの精製方法としては、公知の方法(例えば、特公平5−32374号公報及び特表2001−521916号公報に記載の方法)が挙げられる。
ポリアセタールホモポリマー(A2)の製造に使用する連鎖移動剤としては、特に限定されないが、一般には例えば、アルコール類、酸無水物を用いることができる。連鎖移動剤として、水、メタノール、蟻酸、酢酸等の重合反応中の重合停止作用や連鎖移動作用を有する不純物を極力含まないものを用いることが好ましい。不純物の少ない連鎖移動剤を得る方法としては、例えば、汎用され、入手可能な水分含有量が規定量を超える連鎖移動剤を乾燥窒素でバブリングし、活性炭やゼオライト等の吸着剤により不純物を除去し、精製する方法等が挙げられる。連鎖移動剤は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ポリアセタールホモポリマー(A2)の製造に使用する重合触媒としては、特に限定されないが、例えば、オニウム塩系重合触媒などが挙げられる。オニウム塩系重合触媒としては、例えば、下記式(1)で表される化合物などが挙げられる。
(式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立にアルキル基を示し、Mは孤立電子対を持つ元素、Xは求核性基を示す。R1、R2、R3及びR4は、同じであっても異なっていてもよい。)
ポリアセタールホモポリマー(A2)の製造に使用する反応器としては、特に限定されないが、例えば、バッチ式の攪拌機付き反応槽、連続式のコニーダー、二軸スクリュー式連続押し出し混練機、二軸パドル型連続混合機などが挙げられる。反応器の胴の外周は反応混合物を加熱又は冷却できる構造を有することが好ましい。
重合工程で得られた粗ポリアセタールコポリマーに含まれる不安定末端部分を分解除去することによって、安定化ポリアセタールコポリマー(A1)を得る。
粗ポリアセタールコポリマーに含まれる不安定末端部分の分解除去に用いる分解除去剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アンモニア及びアンモニウム化合物、トリエチルアミン及びトリブチルアミン等の脂肪族アミン;水酸化カルシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;無機弱酸塩;及び有機弱酸塩などの塩基性物質が挙げられる。
分解除去剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分解除去剤は、粗ポリアセタールコポリマーを溶融する前に、予め添加してもよいし、溶融させた粗ポリアセタールコポリマーに添加してもよい。
また、粗ポリアセタールコポリマーを得るために使用した触媒中和失活剤を、そのまま分解除去剤として用いてもよい。
重合工程で得られた租ポリアセタールホモポリマーの不安定末端を封鎖し、安定化ポリアセタールホモポリマー(A2)を得る。
(式(3)中、R11及びR12は、各々独立にアルキル基又はフェニル基を示す。R11及びR12は、同じであっても異なっていてもよい。)
安定化ポリアセタールコポリマー(A1)や安定化ポリアセタールホモポリマー(A2)を単軸押出機、二軸押出機や多軸押出機を用いて造粒を行い、ポリアセタール樹脂(A)のペレットを得ることができる。このとき、酸化防止剤や熱安定剤やホルムアルデヒド捕捉剤等を添加して溶融混練してもかまわない。ポリアセタールコポリマーの場合、押出機前段で末端安定化を行い後段で造粒を行ってもよい。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するポリアセタール樹脂組成物は、外観改良剤(B)を含有する。外観改良剤(B)を含有することにより、本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、従来と同等の生産性や靱性を有するだけでなく、長期の品位外観に優れ、特に意匠部品として光沢や平滑性が良好となり、耐傷付性にも優れる傾向を示す。なお、本実施形態において、外観改良剤とは、着色に用いる物質のことであり、特定の波長の光を選択的に吸収、反射、散乱させたり、新たな波長の光を生み出したりすることで、成形体の外観に変化をもたらす機能を有する物質である。
染料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、樹脂用に使用される分散染料、油性染料等が挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するポリアセタール樹脂組成物は、ヒンダードアミン系物質(C)を含有する。ヒンダードアミン系物質(C)を含有することにより、本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、従来と同等の生産性や靱性を有するだけでなく、長期の品位外観に優れ、特に意匠部品として光沢や平滑性が良好となる傾向を示す。ポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するポリアセタール樹脂組成物中のヒンダードアミン系物質(C)の含有量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上2.0質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上1.5質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以上0.8質量部以下であることがさらに好ましい。ヒンダードアミン系物質(C)の含有量を上記範囲にすることにより、本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、従来と同等の生産性や靱性を有するだけでなく、長期の品位外観に優れ、特に意匠部品として光沢や平滑性が良好となる傾向を示す。ヒンダードアミン系物質(C)はそれぞれ1種のみを単独で用いてもよくよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に用いるヒンダードアミン系物質(C)は、下記式(4):
4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)−カーボネート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネト、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、
1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、
α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリレン−2,4−ジカルバメート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、
トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、
トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノールとの混合エステル化物、
等が挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するポリアセタール樹脂組成物は、上述したポリアセタール樹脂(A)、外観改良剤(B)、ヒンダードアミン系物質(C)に加え、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、(1)紫外線吸収剤(D)、(2)ポリアセタール樹脂(A)以外のポリアルキレンオキサイド誘導体(E)、(3)ホルムアルデヒド捕捉剤(F)、熱安定剤、酸化防止剤、潤滑剤、無機若しくは有機の充填剤、結晶核剤、離型剤、帯電防止剤、導電剤、難燃剤等が挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するポリアセタール樹脂組成物は、その他の添加剤として、特に紫外線吸収剤(D)を含有することが好ましい。紫外線吸収剤(D)を含有することにより、本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、従来と同等の生産性や靱性を有するだけでなく、特に長期の品位外観が優れる傾向を示す。ポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するポリアセタール樹脂組成物中の紫外線吸収剤(D)の含有量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上1.5質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上1質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以上0.8質量部以下であることがさらに好ましい。紫外線吸収剤(D)の含有量を上記範囲にすることにより、本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、従来と同等の生産性や靱性を有するだけでなく、特に長期の品位外観が優れる傾向を示す。紫外線吸収剤(D)はそれぞれ1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、
2−エトキシ−2’−エチルオキザリツクアシツドビスアニリド、
2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリツクアシツドビスアニリド、
2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリツクアシツドビスアニリド等が挙げられる。
さらに本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するポリアセタール樹脂組成物は、その他の添加剤として、特にポリアルキレンオキサイド誘導体(E)を含有することが好ましい。ポリアルキレンオキサイド誘導体(E)を含有することにより、本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、従来と同等の生産性を有するだけでなく、特に靭性と長期の品位外観が優れる傾向を示す。ポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するポリアセタール樹脂組成物中のポリアルキレンオキサイド誘導体(E)の含有量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上4.0質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上2.0質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以上1.5質量部以下であることがさらに好ましい。ポリアルキレンオキサイド誘導体(E)の含有量を上記範囲にすることにより、本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、従来と同等の生産性を有するだけでなく、特に靭性と長期の品位外観が優れる傾向を示す。ポリアルキレンオキサイド誘導体(E)はそれぞれ1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンステロールエーテル、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンランダムコポリマー、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型化合物、
等を挙げることができる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、RO-(CH2CH2O)nHで表される化合物(Rは水素又はアルキル基)である。このなかで、経済性の点から汎用的に入手可能なポリエチレンオキサイドやこの構造を含むブロックコポリマーが好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するポリアセタール樹脂組成物は、その他の添加剤として、特にホルムアルデヒド捕捉剤(F)を含有することが好ましい。ホルムアルデヒド捕捉剤(F)を含有することにより、本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、従来と同等の生産性や靱性を有するだけでなく、長期の品位外観に優れ、特に樹脂組成物の生産性に優れる傾向を示す。ホルムアルデヒド捕捉剤の含有量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01質量部以上2質量部未満が好ましく、0.02質量部以上1.5質量部未満がより好ましく、0.03質量部以上1.0質量部未満がさらに好ましい。ホルムアルデヒド捕捉剤(F)の含有量を上記範囲にすることにより、本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、従来と同等の生産性や靱性を有するだけでなく、長期の品位外観に優れ、特に樹脂組成物の生産性に優れる傾向を示す。ホルムアルデヒド捕捉剤は1種類のみを単独で使用してもよく、さらには2種類以上を併用することが好ましい。
アミド化合物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、イソフタル酸ジアミドなどの多価カルボン酸アミド、アントラニルアミドなどが挙げられる。
イミド化合物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、スクシンイミド、グルタルイミド、フタルイミドなどが挙げられる。
(式(5)中、M2+は2価金属、M3+は3価金属、An-はn価(nは1以上の整数)のアニオンを示し、xは、0<x≦0.33の範囲にあり、mは正数を示す。)
ポリアセタール樹脂組成物(p)は、上述のように、ポリアセタール樹脂(A)と外観改良剤(B)とヒンダードアミン系物質(C)と、必要に応じて上記その他の添加剤とを含有する。ポリアセタール樹脂組成物(p)を製造する方法について、以下に例示的に説明する。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するポリアセタール樹脂組成物(p)の特性として、下記解析により得られる(1)コモノマーユニット含有量と(2)数平均分子量とが特定の範囲であることが好ましい。下記好ましい範囲のコモノマーユニットの含有量や数平均分子量のポリアセタール樹脂組成物は、前記添加剤の調整や、ポリアセタール樹脂の重合触媒と連鎖移動剤とのバランスをとる等をすることにより得ることができる。本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、安定性向上の観点から、重合触媒を、重合収率を維持しながら少なくすることが好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するポリアセタール樹脂組成物(p)にポリアセタールコポリマーが含まれる場合、ポリアセタールコポリマーに含まれるコモノマー含有量は、オキシメチレンユニット100molに対して、1.0〜2.6molであることが好ましく、より好ましくは1.1〜2.4mol、さらに好ましくは1.2〜2.2molである。ホモポリマーは、実質コモノマーユニットが“0”である。オキシメチレンユニット以外のコモノマーの含有量が前記範囲内であることにより、本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、従来と同等の生産性や靱性を有するだけでなく、長期に品位外観に優れる傾向を示す。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品を構成する本実施形態のポリアセタール樹脂組成物のHFIP溶解物の数平均分子量は、50000以上100000以下であることが好ましく、さらに52000以上96000以下であることがより好ましく、54000以上85000以下であることがさらに好ましい。数平均分子量が前記範囲内であることにより、本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、従来と同等の生産性や靱性を有するだけでなく、長期に品位外観に優れる傾向を示す。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品(M)は、前記ポリアセタール樹脂組成物(p)の成形品(P)と、前記成形品(P)の少なくとも一部を被覆する実質透明なコート層と、を有する。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品を構成する前記成形品(P)を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、従来のポリアセタール樹脂に用いられる多様な公知の成形方法が挙げられる。かかる成形方法として、特に制限されないが、例えば、射出成形、圧縮成形、押出成形、カレンダー成形、真空成形、ブロー成形等の成形方法の何れかによって成形する方法が挙げられる。特には圧縮成形や射出成形や押出成形が好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するコート層は、ポリアセタール樹脂製意匠部品の安定した品位外観を得るために実質透明なものである。さらに長期に優れた品位外観を維持するために、硬化前において前記成形品と親和性が高いこと、硬化後の密着性を有することが好ましい。さらに上記親和性や密着性に加えて、耐光性、帯電防止性、撥水性、防汚性、自己修復性などの機能を有することが好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品を構成する前記成形品(P)にコート層を被覆する方法としては、限定されるものではないが、例えば、バーコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、ロールコート法、スプレーコート法、メニスカスコート法、グラビアコート法、吸上げ塗工法、はけ塗り法等、通常のウェットコート法を挙げることができる。要求される部品の形状の自由度や経済性の観点から、フローコート法、ディップコート法、スプレーコート法が好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品(M)は、機構部を有することが好ましい。これより、ポリアセタール樹脂製意匠部品の使用態様、ポリアセタール樹脂製意匠部品の用途について、順次詳細に説明する。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品(M)は、通常のポリアセタール樹脂製の部品が使用される環境で使用される場合が多い。例えば、常時使用温度が−50〜140℃であり、(1)稼働時や固定時等に負荷がかかる部位、(2)他材料又は同材料と干渉し合う部位などを有する意匠部品が挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品(M)は、従来と同等の生産性や靱性を有するだけでなく、長期に品位外観に優れる傾向を示すため、主として製品の外側に装備され使用される部品、及び/又は人から見えるところに装備される部品に好適である。またこれに準じて部品の外観や色の経時変化が製品の性能に影響を与えたり、製品の外観や品位の検査を行ったりしている部品を含む。本実施形態のポリアセタール樹脂製意匠部品は、装置の意匠性が求められる部分全てであってもよく、また意匠性が求められる部分の一部であってもよい。
実施例及び比較例におけるポリアセタール樹脂組成物を構成する原料、ポリアセタール樹脂組成物の調製方法について以下説明する。
ポリアセタール樹脂組成物(p)は、次に示すポリアセタール樹脂(A)と外観改良剤(B)とヒンダードアミン系物質(C)と必要に応じてその他の添加剤により構成された。
ポリアセタール樹脂(A)として、次に示す製造方法で得られたポリアセタールコポリマーを用いた。
(重合工程)
熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸パドル型連続重合反応機((株)栗本鐵工所製、径2B(2インチ)、L(重合反応機の原料供給口から排出口までの距離)/D(重合反応機の内径)=14.8)を80℃に調整した。コモノマーとして1,3−ジオキソランと、酸化防止剤としてイルガノックス(登録商標)1010とを、質量比で、コモノマー:酸化防止剤=10000:1とした混合溶液を調製した。
得られた粗ポリアセタールコポリマーをベント付きスクリュー型二軸押出機((株)プラスチック工学研究所製、BT−30、L/D=44、設定温度200℃、回転数80rpm)の前段部分に添加し、さらに当該粗ポリアセタールコポリマー100質量部に対して0.5質量部の水を添加し、ポリマー末端を安定化させつつ減圧脱気を行って、安定化ポリアセタール樹脂(A)を得た。
外観改良剤として、以下の(B1)〜(B3)を用いた。
(B1):アルミ顔料1(旭化成メタルズ(株)社製 M200-BL)
(B2):アルミ顔料2(旭化成メタルズ(株)社製 M050-AL)
(B3):カーボンブラック(三菱化学(株)社製 #52)
ヒンダードアミン系物質(C)として、以下の(C1)及び(C2)を用いた。
(C1):1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノールとの混合エステル化物((株)アデカ社製 アデカスタブ LA-63P)
(C2):ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート(BASFジャパン(株)社製 チヌビン770DF)
その他の添加剤として、紫外線吸収剤(D)として以下の(D1)及び(D2)を用い、またポリアルキレンオキサイド誘導体(E)として以下の(E1)及び(E2)を用い、またホルムアルデヒド捕捉剤(F)として以下の(F1)及び(F2)を用いた。
(D2):2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(BASFジャパン(株)社製 チヌビン329」、
(E1):ポリエチレンオキサイド(三洋化成(株)社製 PEG6000S)
(E2):ポリエチレンオキサイド(三洋化成(株)社製 PEG20000)
(F1):セバシン酸ジヒドラジド(日本ファインケム(株)製 SDH)
(F2):2,4,6−トリアミノ−1,3,5トリアジン(日産化学工業(株)製 メラミン系化合物)
(1)ポリアセタール樹脂組成物(p)の調製
前記のポリアセタール樹脂(A)を、窒素パージ下のギアオーブン(140℃設定)にて、品温140℃を確認して3時間乾燥を行った。この乾燥したポリアセタール樹脂(A)(ポリアセタールコポリマー)のペレット100質量部と、熱安定剤としてホルムアルデヒド反応性窒素含有物質/NA100(旭化成(株)社製ポリヘキサメチレンアジパミド)0.05質量部と、展着剤としてスモイルPS120(松村石油(株)社製)0.02質量部と、さらに表1に示す各添加剤をタンブラーミキサーにて5分間混合した。
実施例及び比較例におけるポリアセタール樹脂製意匠部品を構成する成形品(P)、コート層、ポリアセタール樹脂製意匠部品(M)の作製方法について説明する。
上記ポリアセタール樹脂組成物(p1〜p19)の各々から順に成形品(P1〜P19)を作製した。具体的には、上記ポリアセタール樹脂組成物(p1〜p19)の各々を射出成形機(FANUC(株)製α50i−A)を用いて、195℃にシリンダー温度を設定し、冷却時間30秒として、図2のイメージ図にあるような成形品(P1〜P19)を作製した(各コーナーR=0.5)。成形は、十分に充填しバリが出ていないことを確認しながら実施した。金型温度は120℃とした。
ポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するコート層を形成するコート液を以下に示す。
コート液a:大日精化工業(株)社製APC−100A
コート液b:東レ・ダウコーニング(株)社製 シリコン・ディスパージョンPRX 308 ディスパージョン・クリアー
コート液c:モメンティブ・フォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製UVHC3000
コート液d:コート液a100質量部に対し、(C1)を1質量部添加したコート液。
コート液e:コート液a100質量部に対し、(C1)を1質量部、(D1)を1質量部添加したコート液。
上記成形品を前記コート液中に図2の下部140mmをディップすることにより、成形品の表面にコート液を塗工した。ここでコート液から成形品の引き上げ速度を50〜500mm/分とすることで、成形品の表面に形成されるコート層の厚みを調整した。
実施例及び比較例で用いたポリアセタール樹脂組成物に関して、以下に示すようにコモノマー挿入量及び数平均分子量Mnを測定した。
コモノマー含有量の測定には、上記成形品よりポリアセタール樹脂組成物を採取してこれを試料とした。この試料を用いて、モノマー量(オキシメチレンユニットa(100mol)に対するオキシアルキレンユニットb(mol)の割合(以下「b/a」とも記す。))を測定した。
数平均分子量の測定において、上記成形品よりポリアセタール樹脂組成物を採取してこれを試料とした。この試料を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー法によりGPC装置(東ソー製HLC−8220GPC)、カラム(東ソー製TSKgelSuper AWM−H(6mmI.D×15cm)×2本)、検出器(示差屈折率計(RI検出器)、Polarity=(+))を用いて、流速0.3mL/min、カラム温度40℃、試料注入量20μLで測定を行った。試料を秤量し、溶離液としてHFIP(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール/セントラル硝子製)と10mM−CF3COONa(和光純薬工業製1級)とを加えて濃度4mg/mlとし、室温で一晩静置溶解させ緩やかに振り混ぜた後、0.1μmのPTFEカートリッジフィルターでろ過を行ったものを用い、数平均分子量の測定を行った。得られた結果は標準PMMA(Polymer Laboratorues製)を用いた3次近似曲線によるPMMA換算分子量とした。また得られた測定結果より、溶媒やオリゴマー成分の影響を受けるPMMA換算分子量8000以下を除いた部分より、数平均分子量を求めた。
実施例及び比較例で得られたポリアセタール樹脂製意匠部品に関して、コート層の透明性、コート層の厚み、ポリアセタール樹脂製意匠部品の生産性、靱性、表面硬度、耐傷付性、長期の品位外観(繰り返し温度湿度変化環境下での外観変化)を評価した。評価結果を表2〜4に示す。
コート層の透明性は、上記得られたポリアセタール樹脂製意匠部品(M)及び上記成形品(P)を用いて、図2に示すそれぞれの評価部位の色彩a、b、Lをn=3で測定し、その平均値(aM、bM、LMとaP、bP、LP)を用いて、下記式(β)により色差ΔE*を求めた。色彩の測定には、BYK−ガードナー社製分光色差計:スペクトロガイド45/0グロスを用いた。
ΔE*=((aM−aP)2+(bM−bP)2+(LM−LP)2)0.5 ・・・(β)
コート層の厚さは、ポリアセタール樹脂製意匠部品のコート部分の断面を(株)キーエンス社製マイクロスコープ・VHX−5000とレンズ・VH−ZSTとの組み合わせにより、画像解析することにより測定した。評価は、図2の測定部位より、n=3で測定を行ない、その平均値を用いて行なった。
ポリアセタール樹脂製意匠部品の生産性の評価は、以下に示す(1)ポリアセタール樹脂製意匠部品を構成するポリアセタール樹脂組成物の生産性、(2)ポリアセタール樹脂製意匠部品の品位外観により行った。
ポリアセタール樹脂組成物の生産性評価は、造粒・混練工程で押出機のトルクを20アンペアで一定となるように調整して造粒したときの、ポリアセタール樹脂組成物の単位時間当たりの平均造粒量、ストランドの状態、並びにペレットの外観及び臭気等、以下の評価基準に従って総合的に行った。
○:テナックC4520を用いた生産性に比して、単位時間当たりの平均造粒量の増加が10%以上であった場合、又は得られたペレットの切粉や臭気等に関して品位の向上が確認された場合(良好)
◇:テナックC4520を用いた生産性と比して、単位時間当たりの平均造粒量の増加及び低下が10%未満であった場合、又は押出安定性や得られたペレットの品位が同等の場合(同等のレベル)
△:テナックC4520を用いた生産性に比して、単位時間当たりの平均造粒量の低下が10%以上30%未満である、又は得られたペレットの切粉や臭気等に関して品位の低下が確認された場合(若干低下)
×:テナックC4520を用いた生産性に比して、単位時間当たりの平均造粒量の低下が30%以上である、又はストランドにフクレや切れがあり安定して巻き取りができなかった、又はペレットの品位が大きく低下した場合(大きく低下)
ポリアセタール樹脂製意匠部品の生産性の評価は、ポリアセタール樹脂製意匠部品の品位不良の有無で評価した。具体的には、測定部位を中心に外観の変化を目視にて確認し、以下の評価基準に従って総合的に行った。評価はそれぞれn=3で行った。
○:光沢や平滑性が良好の場合(不良がない)
△:光沢ムラや、フローマークやシルバーが確認された場合
×:曇りや肌荒れ、著しいフローマークやシルバーが確認された場合
ポリアセタール樹脂製意匠部品の靱性の評価は、ポリアセタール樹脂製意匠部品を図3に示すように万能試験機(島津製作所製、オートグラフAGS−X)で引張試験(試験方法としてはISO527に準拠、但し伸度はチャック間伸度とした)を行い、試験はn=5で行ないその平均値を求めた。
○:参考例の破断伸度に比して、伸度が10%以上向上した場合(良好)
◇:参考例の破断伸度に比して、伸度の向上又は低下が10%未満の場合(同等)
△:参考例の破断伸度に比して、伸度の低下が10%以上20%未満の場合(若干低下)
×:参考例の破断伸度に比して、伸度の低下が20%以上の場合(低下)
ポリアセタール樹脂製意匠部品の表面硬度は、図2の測定部位の鉛筆硬度を測定した。測定には、BYK−ガードナー社製鉛筆硬度計を用いた。評価はそれぞれサンプル数N=3で行った。
○:参考例の鉛筆硬度に比して、H/○○○(Hの硬度で行った3回の試験中一回も傷を確認せず)以上の場合(良好)
◇:参考例の鉛筆硬度に比して、H/○○×(Hの硬度で行った3回の試験中1回で傷を確認)の場合(若干良好)
△:参考例の鉛筆硬度に比して、H/○××の場合(同等)
×:参考例の鉛筆硬度に比して、F/○○○且つH/×××(Fの硬度で行った3回の試験中3回で傷を確認且つFの硬度で行った3回の試験中1回も傷を確認せず)以下の場合(低下)
ポリアセタール樹脂製意匠部品の耐傷付性は、#0000のスチールウールを用い、600g荷重にて意匠部品の図2の測定部位を擦り、その結果を肉眼により観察し判定評価した。なお、判定に際しては、下記に示す評価基準に従って行った。評価はそれぞれサンプル数N=3で行った。
○:キズの面積が10%未満
◇:キズの面積が10%以上30%未満
△:キズの面積が30%以上60%未満
×:キズの面積が60%以上
ポリアセタール樹脂製意匠部品の長期の品位外観は、下記冷熱サイクルを10サイクル実施し、その前後の図2の測定部位の変化を肉眼により観察し判定評価した。ヒートサイクル試験にはエスペック社製恒温恒湿槽(PSL−4KP)を用いて、下記サイクルをプログラム制御にて行った。各条件変化(→の部分)には約30分を要した。なお、判定に際しては、下記に示す評価基準に従って行った。評価はそれぞれサンプル数N=3で行った。
(23℃)→(80℃×4時間)→(23℃)
→(−30℃×1.5時間)→(23℃)
→(80℃95%RH×3時間)→(23℃)
→(−30℃×1.5時間)→(23℃)
○:大きな差異が確認されなかった場合
◇:曇りや変色等の若干の変化が確認された場合
△:曇りや変色、コート層の表面に微小なクラックや剥離等が確認された場合
×:表面にコート層にクラックや剥離等が確認された場合
表2に示すとおり上記成形品(P1〜P12)と上記コート液aとを用いて上述した方法によりポリアセタール樹脂製意匠部品を作製して各評価を行った。
実施例1〜8、比較例1、2のポリアセタール樹脂製意匠部品の評価結果を表2に示す。
表3に示すとおり上記成形品(P1)と上記コート液a〜eとを用いて上述した方法によりポリアセタール樹脂製意匠部品を作製して各評価を行った。なお、比較例4では、コート液を用いなかった。
実施例9〜15、比較例3、4のポリアセタール樹脂製意匠部品の評価結果を表3に示す。
ポリアセタール樹脂製意匠部品は、コート層がヒンダードアミン系物質や紫外線吸収剤を含むことで長期の品位外観により優れる傾向を示すことがわかった。
表4に示すとおり上記成形品(P13〜19)と上記コート液aとを用いて上述した方法によりポリアセタール樹脂製意匠部品を作製して各評価を行った。
実施例16〜22のポリアセタール樹脂製意匠部品の評価結果を表4に示す。
Claims (9)
- ポリアセタール樹脂、外観改良剤及びヒンダードアミン系物質を含むポリアセタール樹脂組成物の成形品と、
該成形品の少なくとも一部を被覆する実質透明なコート層と、を有する、ポリアセタール樹脂製意匠部品。 - 前記ポリアセタール樹脂組成物が、紫外線吸収剤を含む、請求項1に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
- 前記ポリアセタール樹脂組成物が、ポリアセタール樹脂以外のポリアルキレンオキサイド誘導体を含む、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
- 前記外観改良剤が、カーボンブラック、金属顔料、金属被覆ガラス、雲母及びパール顔料からなる群より選択される少なくとも1種類を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
- 前記コート層が、紫外線硬化性樹脂コート層である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
- 前記コート層の一部の膜厚が、0.5μm以上100μm以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
- 前記コート層が、ヒンダードアミン系物質及び/又は紫外線吸収剤を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
- 前記成形品が射出成形品である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
- 前記ポリアセタール樹脂製意匠部品が、機構部を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂製意匠部品。
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