JP6914042B2 - ポリアセタール樹脂成形品 - Google Patents
ポリアセタール樹脂成形品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6914042B2 JP6914042B2 JP2017006251A JP2017006251A JP6914042B2 JP 6914042 B2 JP6914042 B2 JP 6914042B2 JP 2017006251 A JP2017006251 A JP 2017006251A JP 2017006251 A JP2017006251 A JP 2017006251A JP 6914042 B2 JP6914042 B2 JP 6914042B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- polyacetal resin
- molded product
- polyacetal
- preferable
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
一方、高い意匠性と耐光性が求められる樹脂製品は、ABS樹脂、PC/ABS樹脂などの非晶性樹脂による成形品を基材として、塗装、メッキ等の2次加工により得ることが一般的である。
しかし、広い温度範囲における機械的強度及び剛性の高さ、耐油性及び耐有機溶剤性や自己潤滑性について、ABS樹脂、PC/ABS樹脂などの非晶性樹脂と比較した場合、ポリアセタール樹脂の方が優れる傾向を示す。
このため、ポリアセタール樹脂が本来有する特性に加え、さらに優れた意匠性や耐光性を有する成形品を安定して得ることが要望されている。
ここで高い意匠性とは、発色の自由度が高いこと、光沢感など製品の表面状態を数値化できる項目、色や反射光の深みなどの感性で表される項目、硬度、耐傷付き性など使用環境に関する項目が製品に要求されるレベルを満足していることである。
また、耐光性とは、製品の表面が紫外線等によって劣化する程度の指標であり、表面の質感が低下しない、艶感が失われにくい、色調の変化が少ないことなどが要求される。
しかしながら、ポリアセタール樹脂は耐有機溶剤性に優れる反面、塗装をした場合には塗装面の密着性が低いため、表面を改質することが困難であった。
〔1〕
ポリアセタール樹脂組成物を含むポリアセタール樹脂成形品であって、少なくとも一部が、膜厚0.5μm以上50μm以下の紫外線硬化性樹脂コート層により被覆されており、前記ポリアセタール樹脂組成物が、少なくとも1種類の着色剤を含有し、前記着色剤のうち、少なくとも1種類が光輝剤であり、前記光輝剤が、金属顔料、金属被覆ガラスからなる群より選択される少なくとも一種である、ポリアセタール樹脂成形品。
〔2〕
前記紫外線硬化性樹脂コート層の膜厚が、0.5μm以上20μm以下である、前記〔1〕に記載のポリアセタール樹脂成形品。
〔3〕
前記紫外線硬化性樹脂コート層が、ハードコート膜形成用塗料によるコート層である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアセタール樹脂成形品。
〔ポリアセタール樹脂成形品〕
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品は、
ポリアセタール樹脂組成物を含むポリアセタール樹脂成形品であって、
少なくとも一部が、膜厚0.5μm以上50μm以下の紫外線硬化性樹脂コート層により被覆されている。
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品は、ポリアセタール樹脂組成物を用いた成形品である。
ポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂と、その他の各種添加剤とを含有する。
前記ポリアセタール樹脂は、ポリアセタールホモポリマー(以下、単に「ホモポリマー」ともいう。)、及びポリアセタールコポリマー(以下、単に「コポリマー」ともいう。)の2種類に大別され、成形品が製品として使用される環境、求められる性能等に応じて、適宜この2種類から選択される。
また、前記ポリアセタールホモポリマー及びポリアセタールコポリマーを併用してもよい。
ポリアセタール樹脂組成物の流動性は、メルトフローレート(以下、「MFR」ともいう。)の値として、9.0g/10分前後であることが標準的であり好ましい。メルトフローレートの測定方法としては、ISO規格1133条件Dに準拠して測定する方法が挙げられ、特に測定温度190℃、荷重2.16kg条件での測定値が一般的に採用される。
ポリアセタールホモポリマーは、公知のスラリー重合法(例えば、特公昭47−6420号公報や特公昭47−10059号公報参照)により得ることができる。具体的には、原料であるモノマーを、連鎖移動剤の存在下又は非存在下、及び、重合触媒の存在下又は非存在下で重合することにより、末端が安定化されていないポリアセタールホモポリマーである、粗ポリアセタールを得ることができる。
かかるホルムアルデヒドは、特に限定されないが、安定した分子量の樹脂を継続的に得るために、精製され、不純物濃度が低く、安定したホルムアルデヒドガスであることが好ましい。
ホルムアルデヒドの精製方法は、公知の方法(例えば、特公平5−32374号公報、特表2001−521916号公報参照)を用いることができる。
また、ブロックポリマーや分岐ポリマーのポリアセタールホモポリマーを得るための連鎖移動剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリエーテルポリオールアルキレンオキサイドも挙げられる。
これら連鎖移動剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記式(1)中、R1、R2、R3、及びR4は、各々独立してアルキル基を示し、Mは独立電子対を持つ元素を示し、Xは求核性基を示す。
反応器としては、以下に限定されるものではないが、例えば、バッチ式の攪拌機付き反応槽、連続式のコニーダー、二軸スクリュー式連続押し出し混練機、及び二軸パドル型連続混合機等が挙げられる。
反応器としては、反応混合物を加熱、及び冷却できる構造を有する反応器が好ましい。
末端を安定化する方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、下記に示すように、末端をエチル基で封鎖する方法、末端をアセチル基で封鎖する方法、及び末端をエステル基で封鎖する方法が挙げられる。
また、末端をアセチル基で封鎖する方法(アセチル化反応)としては、例えば、米国特許第3,459,709号明細書に記載の大量の酸無水物を用いてスラリー状態で行う方法、及び米国特許第3,172,736号明細書に記載の酸無水物のガスを用いて気相で行う方法が挙げられる。
前記式(2)中、R1及びR2は、各々独立してアルキル基、アリール基を示す。R1及びR2は、同一の構造であっても、異なった構造であってもよい。
また、有機酸無水物は1種のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
末端安定化を行ったホモポリマーは、乾燥処理を実施した後、取扱い性を確保するために、押し出し機を用いて、ペレット化することが好ましい。
ポリアセタールコポリマーを得るための重合工程は、本明細書に記載する方法以外にも、公知の重合方法(例えば、US−A−3027352、US−A−3803094、DE−C−1161421、DE−C−1495228、DE−C−1720358、DE−C−3018898、特開昭58−98322号、特開平7−70267号記載)が挙げられる。
上記重合工程により、ポリアセタールコポリマーの粗ポリマーが得られる。
これは、水、メタノール、蟻酸は、ポリマー末端基を水酸基に誘導する不純物であるためである。これらの不純物が過大に存在しないようにすることで、予期せぬ連鎖移動反応により所望する分子量物が得られなくなることを抑制できる傾向にある。
連鎖移動剤としては、以下に限定されるものではないが、アルキル基がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル等の低級脂肪族アルキル基であるホルムアルデヒドのジアルキルアセタール(例えば、メチラール)及びそのオリゴマー;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級脂肪族アルコールが好ましい。
なお、上記連鎖移動剤は、1種のみを単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
これらの連鎖移動剤の中でも、不安定末端の形成が少ないものが好ましい。
ポリアセタールコポリマーの重合触媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ルイス酸、プロトン酸、及びそのエステル又は無水物等のカチオン活性触媒が好ましい。
ポリアセタールコポリマーの重合工程においては、必要に応じて共触媒を用いてもよい。
ここで、末端安定化における溶融混練を行うときには、品質や作業環境の保持のために不活性ガスによる置換や一段および多段ベントで脱気をすることが好ましい。
溶融混練の温度は、ポリアセタールコポリマーの融点以上260℃以下で行うことが好ましい。
前記式(3)中、R1、R2、R3、及びR4は、各々独立して炭素数1〜30の非置換アルキル基又は置換アルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数6〜20のアラルキル基又は炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個の炭素数1〜30の非置換アルキル基又は置換アルキル基で置換されたアルキルアリール基を示す。
当該非置換アルキル基及び置換アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状である。
nは、1〜3の整数を示す。Xは、水酸基、又は炭素数1〜20のカルボン酸、水素酸、オキソ酸無機チオ酸若しくは炭素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を示す。
これら第4級アンモニウム化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記式(A)中、Pは、第4級アンモニウム化合物のコポリマーに対する濃度(質量ppm)を示し、「14」は、窒素の原子量であり、Qは、第4級アンモニウム化合物の分子量を示す。
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品に用いるポリアセタール樹脂組成物は、成形品の優れた外観を保持することが可能となる傾向にあることから、ヒンダードアミン系物質をさらに含むことが好ましい。
ヒンダードアミン系物質の含有量は、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物に含まれるポリアセタール樹脂100質量部に対し、好ましくは0.20質量部以上2.0質量部以下であり、より好ましくは0.25質量部以上1.5質量部以下であり、さらに好ましくは0.30質量部以上1.2質量部以下である。
このような範囲にすることで、本実施形態のポリアセタール樹脂成形品は、一層、優れた外観を保持することが可能となる傾向にある。
ヒンダードアミン系物質は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
R1〜R4は、各々独立に、アルキル基を示す。
これらの中で、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケートが好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品に用いるポリアセタール樹脂組成物は、アミノトリアジン系化合物、グアナミン系化合物、尿素系化合物、及びカルボン酸ヒドラジド系化合物からなる群より選択される1種又は2種以上のホルムアルデヒド抑制剤をさらに含むことが好ましい。
また、ホルムアルデヒド抑制剤の含有量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.005質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
鎖状尿素系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビウレア、ビウレット、ホルム窒素等の尿素とホルムアルデヒドとの縮合体、及びポリナノメチレン尿素等のポリアルキレン又はアリーレン尿素が挙げられる。
環状尿素系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒダントイン類、クロチリデンジウレア、アセチレン尿素、モノ、ジ、トリ又はテトラメトキシメチレングリコールウリル等のモノ、ジ、トリ又はテトラアルコキシメチルグリコールウリル、シアヌル酸、イソシアヌル酸、尿素、及びウラゾールが挙げられる。
カルボン酸ヒドラジド系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族カルボン酸ヒドラジド系化合物、脂環族カルボン酸ヒドラジド系化合物、及び芳香族カルボン酸ヒドラジド系化合物が挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品に用いるポリアセタール樹脂組成物は、ポリアルキレングリコールをさらに含むことが好ましい。その含有量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、ポリアルキレングリコール0.3質量部以上3.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上2.0質量部以下であることがより好ましく、0.7質量部以上1.5質量部以下であることがさらに好ましい。このような範囲にすることにより、生産安定性を高め、靭性をより向上させることができる傾向にある。
ポリアルキレングリコールは、経済的にも、取り扱いの上でも、ポリエチレングリコールであることが好ましい。
また、ポリエチレングリコールは、数平均分子量が800以上500000以下であることが好ましく、数平均分子量1000以上20000以下であることがより好ましく、数平均分子量2000以上10000以下であることがさらに好ましい。この範囲にすることにより、靭性や明度をより向上させることができる傾向にある。
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品に用いるポリアセタール樹脂組成物は、さらに生産の安定性を向上させるために、ヒドラジド化合物をさらに含むことが好ましい。
ヒドラジド化合物の含有量としては、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.03質量部以上0.25質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.20質量部以下であることがより好ましく、0.07質量部以上0.15質量部以下であることがさらに好ましい。
ヒドラジド化合物は、上記ポリアセタール樹脂の造粒時に添加されても、ポリアセタール樹脂組成物の製造時に添加されても、またその両方でもかまわない。
前記式(6)中、R1は、炭素数2〜20の炭化水素を示す。
ヒドラジド化合物は、1種のみを単独で含まれていてもよく、二種類以上を併用してもよい。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、意匠性を高めるために着色剤をさらに含有することができる。
着色剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、光輝材、有機顔料、及び無機顔料、染料などを挙げることができる。
また、着色剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種類以上を組合せて用いてもよい。
金属顔料をアセトンで洗浄後に乾燥させ質量w(g)を測り、これを水面に均一に浮かべたときの被覆面積S(cm2)を測定し、WCA(水面拡散被覆面積;S/w)を導出し、下記式(B)に代入して算出する。
また、金属顔料の平均粒子径Dは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される粒子径分布の50%の値(D50)である。
さらに組み合わせによっては、強度と靭性の物性バランスを向上させることができるため、二種以上の金属顔料を用いてもかまわない。
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品に用いるポリアセタール樹脂組成物は、上記以外のその他の添加物をさらに含有してもよい。
その他の添加物としては、例えば、従来のポリアセタール樹脂に使用されている熱安定剤が挙げられる。
熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酸化防止剤、ホルムアルデヒドや蟻酸の捕捉剤等が挙げられる。
熱安定剤は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n−オクタデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、1,4−ブタンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)である。 また、テトラキス−(メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N'−ビス−3−(3'5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プリピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレンビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル)ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾ−ル、及びN,N’−ビス(2−(3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)オキシアミドが挙げられる。
これらの中でも、ジシアンジアミド、メラミン、及びメラミン−ホルムアルデヒド重縮合物が好ましい。
紫外線吸収剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品に用いるポリアセタール樹脂組成物は、上述したポリアセタール樹脂と、必要に応じて上述したヒンダードアミン系物質、ホルムアルデヒド抑制剤、ポリアルキレングリコール、ヒドラジド化合物、着色剤等、及びその他の添加物を混合することにより製造することができる。
ポリアセタール樹脂組成物は、樹脂組成物の製造元から樹脂組成物を加工する者へ輸送する際には、ペレットと呼ばれる球状又は円筒形状に加工することが一般的であり、断面形状において1〜数mm程度の直径を有する造粒物(固形物)に加工することが好ましい。
この造粒物は、例えば、プラスチック材料の加工に使用されている溶融混練機を用いることによって製造することができる。
また、ポリアセタール樹脂ペレットを用いる場合は、添着剤を用いて添加物等の分散性を高めてもよい。
添着剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素及びこれらの変性物やこれらの混合物(流動パラフィン、ミネラルオイル等)が挙げられ、加えて、ポリオールの脂肪酸エステルも挙げられる。
この予混練には、一般的に使用されている溶融混練機を用いることができる。
ここでいう乾燥とは、混合前の質量W1(g)の光輝材を80℃で2時間、オーブンにより乾燥して、その乾燥後の質量W2(g)を、関係式[(W1−W2)/W2]が0.0015以下となるように光輝材を調製することであり、0.001以下となるように調製することが好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品は、上述したポリアセタール樹脂組成物を成形することにより製造することができる。
その成形方法は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂を目的の形状に成形するために用いられる一般的な射出成形法の他、押し出し成形、発泡成形、射出圧縮成形、二色成形、インサート成形、アウトサート成形、ブロー成形、窒素ガスや炭酸ガス等によるガスアシスト成形方法が挙げられる。
これらの成形方法は、1種のみを単独に用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、成形時に一部又は全体にシボの入った金型を用いることも好ましい。
以下、本実施形態のポリアセタール樹脂成形品の製造方法の一例について、具体的に図1〜図3に工程図を示して説明する。
先ず、図2に示すように、二軸押出機を用いて、調製ポリアセタールコポリマー(成分A)を製造する。
二軸押出機は、前段と後段により構成されており、前段部の前端部において、乾燥ポリアセタール樹脂と、水を供給し、前段部の後端部において、減圧脱気を行う。
後段部の前端部において、所定の添加剤をサイドフィーダーから供給し、目的とする調製ポリアセタールコポリマー(成分A)を得る。
二軸押出機は、前段と後段により構成されており、前段部のホッパーにおいて、上述した調製ポリアセタールコポリマー(成分A)、予めペレットと混合した添加剤成分(成分B)、及びその他の添加剤を供給し、前段部の後端部において、減圧脱気を行う。
ここで添加剤成分とは、熱安定剤等の添加剤のほか、フィラー、顔料などの着色材などを指すものであり、さらにサイドフィーダーからは添加剤成分のほか、調整ポリアセタールコポリマーのペレットを供給することも可能である。
このポリアセタール樹脂組成物を用いて、上述した成形方法により成形することにより、本実施形態のポリアセタール樹脂成形品が得られる。
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品は、当該成形品の少なくとも一部が、膜厚0.5μm以上50μm以下の紫外線硬化性樹脂コート層により被覆されている。
紫外線硬化性樹脂コート層は、硬化前においてポリアセタール樹脂成形品と親和性が高いこと、硬化後の密着性が必要十分であること、アンチブロッキング性に優れたコート剤により形成されたものであることが好ましい。
ここで、ハードコート膜とは、ベース材の表層に形成されたコート膜であり、ベース材と同等以上の鉛筆硬度を有するコート膜である。
ハードコート膜は、ハードコート膜形成用塗料を成形品表面に塗工した後、UV硬化させることにより得ることが一般的である。
耐光性を向上させるためには、硬化後の紫外線硬化性樹脂コート層は、紫外線、赤外線を透過しにくいことが好ましい。
また、要求される機能や必要に応じて、帯電防止、はっ水、防汚などの機能が付与されたコート層であることが好ましい。
また、コート層に用いるコート液の粘度を調整することを目的として、コート液は、石油系炭化水素を含む各種有機溶剤等で希釈してもよい。
透明性と耐磨耗性に優れるコート層を形成するためには、コート層の材料として、コロイダルシリカが添加されたアクリルシリコーン樹脂を用いることが好ましい。
コート層を形成するためのコート液を塗工する方法としては、限定されるものではないが、例えば、バーコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、ロールコート法、スプレーコート法、メニスカスコート法、グラビアコート法、吸上げ塗工法、はけ塗り法等、通常のウェットコート法を用いることができる。
要求される部品の形状を考慮すると、フローコート法、ディップコート法、スプレーコート法が好ましい。
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品は、該ポリアセタール樹脂成形品の少なくとも一部が、膜厚0.5μm以上50μm以下のコート層により被覆されている。
コート層の膜厚は、ポリアセタール樹脂との密着性の確保、表面の光沢度の向上、コート層による耐光性向上の観点から、0.5μm以上とし、硬化時間の観点から50μm以下とする。
また、コート層の膜厚は0.5μm以上20μm以下であることが好ましく、1μm以上15μm以下であることがさらに好ましい。
コート層の厚さが薄いことにより、より小さなエネルギーで硬化させることができ、硬化に要する時間も短時間で完了するため、好ましい。
コート層の厚さを調整する方法は限定されるものではないが、例えば、コート液の粘度を有機溶剤等により調整する方法や、バーコート法では用いるバーコーターの番手、ディップコート法ではディップ後の引き抜き速度、スピンコート法ではスピン処理時間、スプレーコート法ではコート液をスプレーする処理時間などにより適宜、調整することが可能である。
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品は、意匠性、耐光性を要求される機構部品、摺動部品、意匠部品、容器等に用いることができ、かつこれらを組み合わせた部品にも好適に用いることができる。
具体的なポリアセタール樹脂成形品としては、例えば、OA機器、音楽、映像若しくは情報機器、又は通信機器に用いられる部品、オフィス家具又は住設機器に用いられる工業部品、及び自動車内外装用に用いられる部品のいずれかの部品が好ましいものとして挙げられる。
さらに、外観特性が求められる部品によっては、成形時に一部又は全体にシボの入った金型を用いて、意匠性を付与する場合があるため、シボの入った金型による成形品であることも好ましい。
なお、実施例及び比較例中の原材料の入手方法は以下の通りである。
旭化成(株)社製 ポリアセタールコポリマー樹脂「テナックTM(登録商標)−C4513(市販品)」、アルミ顔料A1、A2、顔料B1、B2、B3、B4を、表1、2に示した配合比率で混合した後、ベント付きスクリュー型二軸押出機(プラスチック工業社製;BT−30、L/D=44、設定温度200℃、回転数100rpm)によって溶融混合させることによりペレットを得た。この時の原料のフィード量は12.5kg/hrとした。
ここで使用したアルミ顔料A1、A2、顔料B1、B2、B3、B4の詳細を下記に示す。
アルミ顔料A2:旭化成メタルズ(株)社製 シルビーズ M200-BL(コイン形状、平均粒子径20μm、平均粒子厚さ0.4μm)
顔料B1:三菱化学(株)社製 三菱カーボンブラック#52
顔料B2:BASFジャパン(株)社製 Cromophtal Red K 3890
顔料B3:クラリアントジャパン(株)社製 Hostaperm Red E3B
顔料B4:住友化学(株)社製 Sumitone Cyanine Blue GH
得られたペレットを、東芝機械(株)社製「EC75S」射出成形機と、長さ90mm、幅50mm、厚さ2.5mmの平板形状の試験片を作製できる射出成形用金型とを用いて、シリンダー温度200℃、金型温度80℃の成形温度条件で、平板形状の試験片に成形し、これを基材とした。
実施例及び比較例で使用したコート液C1、C2の詳細を下記に示す。
コート液C1:大日精化工業(株)社製 ハードコート液「APC−100A」:紫外線硬化型ハードコート(アクリル系、透明、溶剤タイプ)
コート液C2:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製 コート液「UVHC3000」:紫外線硬化型シリコーンハードコート(アクリル系、透明、溶剤タイプ)
平板状の試験片(基材)をコート液中にディップすることにより、コート液を塗工した。
コート液は、コート液をディップコートした後、80℃に設定した乾燥機内で約2分間の乾燥処理を行った後、UVを照射することにより、そのコート層を硬化させた。この時のUV照度(積算光量)は約600〜700mJ/cm2であった。
実施例1〜10、比較例1〜4のコート層を有するポリアセタール樹脂成形品の特性は以下に示す方法で測定した。
(株)キーエンス社製マイクロスコープ・VHX−5000とレンズ・VH−ZSTとの組み合わせにより、コート層を含むポリアセタール樹脂成形品の断面を画像解析することにより、コート層の厚さを測定した。
スガ試験機(株)社製サンシャインウェザーメーターS300にコート層を被覆させた平板形状の試験片をセットし、UV照射による耐光性促進試験を行った。この時のブラックパネル温度は83℃とし、試験開始から500時間後と1000時間後に試験片を取り出した。
耐光性促進試験を行った試験片の、グロス値とΔE値を以下の方法により測定した。
スガ試験機(株)社製デジタル変革光沢計により、耐候促進試験前及び後の試験片のグロス値を測定した。この際の入射角、受光角は60度とした。グロス値が高いことは、光沢感が高いことを示し、これは意匠性が高いことを示す。
スガ試験機(株)社製多光源分光測色系にて、耐候促進試験前及び後の試験片のL*、a*、b*の各値を測定した。
この際、光源はD65、視野角は10度、測定孔の直径は15mmとし、測定値は正反射光を除いた値とした。
下記式によりΔE値(色差)を算出した。
ここで、L*1、a*1、b*1は各値のUV照射前の試験片の測定値、L*2、a*2、b*2はUV照射後の試験片の測定値である。
〔実施例1〜3、比較例1〕
実施例1〜3、比較例1のポリアセタール樹脂成形品における、アルミ顔料組成と特性を表1に示す。
紫外線硬化性樹脂コート層を有する成形品はグロス値が高く、UVによる促進試験後も高い値を維持していることにより意匠性に優れていることがわかる。
また、UV促進試験後の色差ΔE値の変化も少ないことから、耐光性に優れていることがわかる。
紫外線硬化性樹脂コート層を有する成形品はグロス値が高く、UVによる促進試験後も高い値を維持していることにより意匠性に優れていることがわかる。
また、UV促進試験後の色差ΔE値の変化も少ないことから、耐光性に優れていることがわかる。
らを組み合わせた部品、OA機器、音楽、映像若しくは情報機器、又は通信機器に用いら
れる部品、オフィス家具又は住設機器に用いられる工業部品、及び自動車の車内、車外に
用いられる部品、例えば、自動車用機能部品である燃料タンクとその周辺装置、ワイパー
駆動装置、窓昇降装置、クリップ、筐体類の他、自動車内外装部品であるインナーハンド
ル、アウタードアハンドル、シフトノブ、ステアリング、ステアリングホイール、レバー類、スイッチ類、ボタン類及びその他の耐酸性が必要とされる機能部品、並びに装飾部品として、産業上の利用可能性がある。
Claims (3)
- ポリアセタール樹脂組成物を含むポリアセタール樹脂成形品であって、
少なくとも一部が、膜厚0.5μm以上50μm以下の紫外線硬化性樹脂コート層により被覆されており、
前記ポリアセタール樹脂組成物が、少なくとも1種類の着色剤を含有し、
前記着色剤のうち、少なくとも1種類が光輝剤であり、
前記光輝剤が、金属顔料、金属被覆ガラスからなる群より選択される少なくとも一種である、
ポリアセタール樹脂成形品。 - 前記紫外線硬化性樹脂コート層の膜厚が、0.5μm以上20μm以下である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂成形品。
- 前記紫外線硬化性樹脂コート層が、ハードコート膜形成用塗料によるコート層である、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017006251A JP6914042B2 (ja) | 2017-01-17 | 2017-01-17 | ポリアセタール樹脂成形品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017006251A JP6914042B2 (ja) | 2017-01-17 | 2017-01-17 | ポリアセタール樹脂成形品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018115253A JP2018115253A (ja) | 2018-07-26 |
JP6914042B2 true JP6914042B2 (ja) | 2021-08-04 |
Family
ID=62983815
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017006251A Active JP6914042B2 (ja) | 2017-01-17 | 2017-01-17 | ポリアセタール樹脂成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6914042B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7123689B2 (ja) * | 2018-08-07 | 2022-08-23 | 旭化成株式会社 | ポリアセタール樹脂製意匠部品 |
JP2020066650A (ja) * | 2018-10-22 | 2020-04-30 | 旭化成株式会社 | ポリアセタール樹脂組成物及び成形品 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6260643A (ja) * | 1985-09-11 | 1987-03-17 | 旭化成株式会社 | 樹脂印刷体及びその製造方法 |
JP3181474B2 (ja) * | 1994-08-25 | 2001-07-03 | ポリプラスチックス株式会社 | ポリアセタール樹脂成形品用インキ・塗料、ポリアセタール樹脂成形品表面の印刷・塗装方法および印刷・塗装物 |
JP3253220B2 (ja) * | 1994-08-25 | 2002-02-04 | ポリプラスチックス株式会社 | ポリアセタール樹脂製基材への表面加飾処理方法及び表面加飾処理物 |
JP3159877B2 (ja) * | 1994-10-27 | 2001-04-23 | ポリプラスチックス株式会社 | 変性ポリアセタールおよびその製造方法 |
JP2012092185A (ja) * | 2010-10-26 | 2012-05-17 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | ポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形品 |
JP2014009254A (ja) * | 2012-06-28 | 2014-01-20 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | 被印刷体形成用ポリアセタール樹脂組成物および装飾部品 |
WO2015057397A2 (en) * | 2013-10-14 | 2015-04-23 | Ticona Llc | Coatings for polyoxymethylene polymer molded articles |
-
2017
- 2017-01-17 JP JP2017006251A patent/JP6914042B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018115253A (ja) | 2018-07-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5596782B2 (ja) | ポリアセタール樹脂組成物、その製造方法及び成形体 | |
US8034855B2 (en) | Polyacetal resin composition | |
WO2010050187A1 (ja) | ポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法 | |
JP5307735B2 (ja) | ポリアセタール樹脂組成物及び成形体 | |
JP2015209499A (ja) | ポリアセタール樹脂組成物及びそれからなる成形体 | |
JP6914042B2 (ja) | ポリアセタール樹脂成形品 | |
JP6383744B2 (ja) | ポリアセタール樹脂成形品及びその製造方法 | |
JP6814548B2 (ja) | ポリアセタール樹脂組成物 | |
JP6814547B2 (ja) | ポリアセタール樹脂組成物 | |
JP6619015B2 (ja) | ポリアセタール樹脂組成物及びその成形体 | |
JP2020007528A (ja) | 樹脂組成物 | |
JP5610613B2 (ja) | ポリアセタール樹脂組成物及びその成形体 | |
JP6748490B2 (ja) | ポリアセタール樹脂組成物及び成形体 | |
JP2016089069A (ja) | ポリアセタール樹脂ペレット及び成形体 | |
JP2017222801A (ja) | ポリアセタール樹脂成形品 | |
CN109721943B (zh) | 聚缩醛树脂组合物 | |
CN108070199B (zh) | 聚缩醛树脂组合物 | |
CN110003610B (zh) | 树脂组合物 | |
JP2017213766A (ja) | ポリアセタール樹脂成形品及びその製造方法 | |
JP2020066650A (ja) | ポリアセタール樹脂組成物及び成形品 | |
JP6157945B2 (ja) | 樹脂組成物、その製造方法、成形体、板状成形体、及びシート | |
JP7048311B2 (ja) | 樹脂組成物 | |
JP2017218563A (ja) | ポリアセタール樹脂組成物及び成形体 | |
JP2015052028A (ja) | ポリアセタール樹脂組成物の製造方法 | |
JP7123689B2 (ja) | ポリアセタール樹脂製意匠部品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190927 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20201014 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20201020 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20201217 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20201217 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210427 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210615 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210706 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210713 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6914042 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |