JP2020066650A - ポリアセタール樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、良好な金属調及び十分に均一な輝度感を有する、外観特性に優れた成形品を得ることが可能なポリアセタ−ル樹脂組成物、及び、良好な金属調及び十分に均一な輝度感を有する外観特性に優れた成形品を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂100質量部と、アルミニウム顔料0.2〜10質量部と、を含み、前記アルミニウム顔料が、相互に平均粒子径が異なる複数のアルミニウム粒子を有し、該複数のアルミニウム粒子のうち平均粒子径が最も大きい第1アルミニウム粒子と、該複数のアルミニウム粒子のうち平均粒子径が最も小さい第2アルミニウム粒子との平均粒子径の差が5μm超であり、第1アルミニウム粒子の含有量と第2アルミニウム粒子の含有量の比が、50:50〜80:20の範囲である。また、本発明の成形品は、前記ポリアセタール樹脂組成物により得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリアセタール樹脂及び成形品に関する。
ポリアセタール樹脂は、機械的強度及び剛性が高く、耐油性及び耐有機溶剤性や自己潤滑性に優れ、広い温度範囲でこれらのバランスがとれた樹脂であり、かつ、その加工性が容易であることから、代表的エンジニアリングプラスチックスとして、精密機器、家電及びOA機器、自動車、工業材料、雑貨等の機構部品及び摺動部品を中心に広範囲に用いられている。近年におけるポリアセタール樹脂の利用分野の拡大によって、さらに要求性能が高くなっているのが現状である。このような状況の下、ポリアセタール樹脂を含む成形品の意匠性を高めるため、例えばアルミニウム顔料等を含有させて金属光沢性を付与する試みが行われている(例えば特許文献1参照)。
特表2014−528491号公報
しかしながら、従来の、アルミニウム顔料を含有するポリアセタール樹脂組成物では、当該樹脂組成物より製造した成形品が十分に良好な外観特性を有しないことがあった。具体的には、従来のポリアセタール樹脂組成物では、成形品が全体として金属調の良好な輝度感や粒状感を有していても、当該樹脂組成物より成形品を得る過程において、溶融した樹脂組成物中にアルミニウム顔料(アルミニウム粒子)が均一に分散しにくいことがあった。そして、そのように十分に分散しないアルミニウム顔料が、粒子同士が配向した状態で凝集し、その結果、得られた成形品において黒スジ状に観察されて十分に均一な輝度感が得られないことがあった。
そこで、本発明は、良好な金属調及び十分に均一な輝度感を有する、外観特性に優れた成形品を得ることが可能なポリアセタ−ル樹脂組成物、及び、良好な金属調及び十分に均一な輝度感を有する外観特性に優れた成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、ポリアセタール樹脂と、所定範囲の含有量のアルミニウム顔料とを含むポリアセタール樹脂組成物であって、該アルミニウム顔料が、相互に平均粒子径が異なる複数のアルミニウム粒子を有し、かつ、該複数のアルミニウム粒子の平均粒子径と含有量とが所定の範囲に調整されたポリアセタール樹脂組成物を用いることにより、良好な金属調を維持しつつ、アルミニウム顔料が、粒子同士が配向した状態で凝集するのを抑制し、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記の通りである。
〔1〕
ポリアセタール樹脂100質量部と、アルミニウム顔料0.2〜10質量部と、を含むポリアセタール樹脂組成物であって、
前記アルミニウム顔料が、相互に平均粒子径が異なる複数のアルミニウム粒子を有し、
該複数のアルミニウム粒子のうち平均粒子径が最も大きい第1アルミニウム粒子と、該複数のアルミニウム粒子のうち平均粒子径が最も小さい第2アルミニウム粒子との平均粒子径の差が5μm超であり、
第1アルミニウム粒子の含有量と第2アルミニウム粒子の含有量の比が、50:50〜80:20の範囲である、ポリアセタール樹脂組成物。
〔2〕
前記ポリアセタール樹脂組成物が、雲母及び金属被覆ガラスからなる群より選択される少なくとも1種を含む、〔1〕に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔3〕
前記アルミニウム粒子の形状がコイン状及び/又はフレーク状であり、前記アルミニウム粒子の粒子径分布曲線における粒子径のピークが3〜80μmの範囲である、〔1〕または〔2〕に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔4〕
前記ポリアセタール樹脂が、ポリアセタール・コポリマーである、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔5〕
前記〔1〕から〔4〕のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物により得られる成形品。
本発明によれば、良好な金属調及び十分に均一な輝度感を有する外観特性に優れた成形品を得ることが可能なポリアセタ−ル樹脂組成物、及び、良好な金属調及び十分に均一な輝度感を有する外観特性に優れた成形品を提供することができる。
本発明に係る一実施形態の成形品の一例(自動車のインナーハンドル)を示す写真である。 実施例・比較例のポリアセタール樹脂組成物を製造するために用いた二軸押出機の概要図である。 実施例・比較例のポリアセタール樹脂組成物を用いて作製した試験片(曲面を有する平板)を示す写真である。 実施例・比較例のポリアセタール樹脂組成物を用いて作製した試験片(曲面を有さない平板)を示す写真である。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂100質量部と、アルミニウム顔料0.2〜10質量部と、を含むポリアセタール樹脂組成物であって、前記アルミニウム顔料が、相互に平均粒子径が異なる複数のアルミニウム粒子を有し、該複数のアルミニウム粒子のうち平均粒子径が最も大きい第1アルミニウム粒子と、該複数のアルミニウム粒子のうち平均粒子径が最も小さい第2アルミニウム粒子との平均粒子径の差が5μm超であり、第1アルミニウム粒子の含有量と第2アルミニウム粒子の含有量の比が、50:50〜80:20の範囲である。
〔ポリアセタール樹脂〕
本実施形態に用いるポリアセタール樹脂は、ポリアセタール・ホモポリマー(以下、単に「ホモポリマー」ともいう。)、及びポリアセタール・コポリマー(以下、単に「コポリマー」ともいう。)の2種類に大別され、成形品が製品として使用される環境、求められる性能等に応じて、適宜この2種類から選択され、ホモポリマー及びコポリマーを併用してもよい。なお、本実施形態においては、ポリアセタール樹脂はポリアセタール・コポリマーであることが好ましく、これにより、溶融混練時の生産安定性を保持することができる。
ポリアセタール樹脂の流動性は、特に限定されるものではなく、使用される成形品への要求性能、成形性により調整されるものである。上記流動性は、メルトフローレート(以下、「MFR」ともいう。)の値として、好ましくは、9.0g/10分前後である。メルトフローレートの測定方法としては、ISO規格1133条件Dに準拠して測定されるものであり、例えば測定温度190℃、荷重2.16kg条件での測定値である。
ポリアセタール樹脂は、製品肉厚が薄い製品や、ゲートから流動末端までの流動長の長い製品、要求される寸法精度が高い製品では流動性の高いポリマーを選択することが好ましく、断続的、連続的に荷重がかかる製品では高粘度のポリマーを選択することが好ましい。
−ポリアセタール・ホモポリマー−
本実施形態におけるポリアセタール樹脂は、ポリアセタール・ホモポリマーであることにより、成形品としたときに高い衝撃性、耐久性を維持することができる。本実施形態のポリアセタール・ホモポリマーは、以下に示す重合工程により得ることができる。
ポリアセタール・ホモポリマーは、公知のスラリー重合法(例えば、特公昭47−6420号公報や特公昭47−10059号公報参照)により得ることができる。具体的には、原料であるモノマーを、連鎖移動剤の存在下又は非存在下、及び、重合触媒の存在下、又は非存在下、重合することにより、末端が安定化されていないポリアセタール・ホモポリマーである、粗ポリアセタールを得ることができる。
ポリアセタール・ホモポリマーの原料であるモノマーとしては、ホルムアルデヒドを好適に挙げる事ができる。かかるホルムアルデヒドは、特に限定されないが、安定した分子量の樹脂を継続的に得るために、精製され、不純物濃度が低く、安定したホルムアルデヒドガスであることが好ましい。ホルムアルデヒドの精製方法は、公知の方法(例えば、特公平5−32374号公報、特表2001−521916号公報参照)を用いることができる。上記不純物としては、重合反応中の重合停止又は連鎖移動作用を有する、水、メタノール、ギ酸等が挙げられ、これらの不純物が過大に存在しないようにすることで、予期せぬ連鎖移動反応により目的の分子量物が得られなくなることを抑制できる傾向にある。水の含有量は、100質量ppm以下であることが好ましく、50質量ppm以下であることがより好ましい。
ポリアセタール・ホモポリマーの重合工程においては、連鎖移動剤を用いることが好ましく、かかる連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、アルコール類、及び酸無水物(例えば、無水酢酸)が挙げられる。また、ブロック・ポリマーや分岐ポリマーのポリアセタール・ホモポリマーを得るために、連鎖移動剤として、例えば、ポリオール、ポリエーテル・ポリオール、及びポリエーテル・ポリオール・アルキレンオキサイドも挙げられる。これら連鎖移動剤は、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
連鎖移動剤は、ポリアセタール・ホモポリマーの原料であるモノマーと同様に、不純物を極力含まないことが好ましい。水の含有量は、2000質量ppm以下であることが好ましく、1000質量ppm以下であることがより好ましい。不純物の少ない連鎖移動剤を得る方法としては、例えば、入手した連鎖移動剤の水分含有量が規定値を超えている場合に、乾燥窒素でバブリングした後、活性炭やゼオライト等の吸着剤を用いて不純物を除去し、精製することにより、目的の水の含有量に調整する方法が挙げられる。
ポリアセタール・ホモポリマーの重合工程においては、重合触媒を用いることが好ましく、重合触媒としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表されるオニウム塩系重合触媒が挙げられる。
[RM] ・・・(1)
式(1)中、R、R、R、及びRは、各々独立に、アルキル基を示し、Mは、独立電子対を持つ元素を示し、Xは、求核性基を示す。
式(1)で表されるオニウム塩系重合触媒の中でも、第4級アンモニウム塩系化合物及び第4級ホスホニウム塩系化合物が好ましく、より好ましくはテトラメチル・アンモニウム・ブロミド、ジメチル・ジステアリル・アンモニウム・ヨージド、及びジメチル・ジステアリル・アンモニウム・アセテートである。
ポリアセタール・ホモポリマーの重合工程は、特に限定されないが、従来公知の反応器を用いて行うことができる。反応器としては、例えば、バッチ式の攪拌機付き反応槽、連続式のコニーダー、二軸スクリュー式連続押し出し混練機、及び二軸パドル型連続混合機等が挙げられる。反応器としては、反応混合物を加熱、及び冷却できる構造を有する反応器が好ましい。
上記重合工程により得られたポリアセタール・ホモポリマーは、その末端を安定化する工程(末端安定化工程)を行うことが好ましい。末端を安定化する方法としては、特に限定されないが、例えば、下記に示すように、末端をエチル基で封鎖する方法、末端をアセチル基で封鎖する方法、及び末端をエステル基で封鎖する方法が挙げられる。
末端をエチル基で封鎖する方法(エチル化反応)としては、例えば、特公昭63−452号公報に記載の方法が挙げられる。また、末端をアセチル基で封鎖する方法(アセチル化反応)としては、例えば、米国特許第3,459,709号明細書に記載の大量の酸無水物を用いてスラリー状態で行う方法、及び米国特許第3,172,736号明細書に記載の酸無水物のガスを用いて気相で行う方法が挙げられる。
上記末端をエチル基で封鎖する方法において、用いるエチル化剤としては、例えば、オルトエステルが挙げられる。具体例としては、脂肪族又は芳香族酸と、脂肪族、脂環式族又は芳香族アルコールとのオルトエステル、具体的には、メチル又はエチルオルトホルメート、メチル又はエチルオルトアセテート、メチル又はエチルオルトベンゾエート等のオルトエステル、及び、エチルオルトカーボネート等のオルトカーボネートから選択することができる。
エチル化反応は、p−トルエンスルフォン酸、酢酸、及び臭化水素酸のような中強度有機酸、ジメチル及びジエチルスルフェートのような中強度鉱酸等のルイス酸型の触媒を、上記エチル化剤1質量部に対して、0.001質量部以上0.02質量部以下導入して行うことが好ましい。
エチル化反応に用いる溶媒としては、特に限定されないが、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン等の低沸点脂肪族、脂環式族、及び芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化低級脂肪族化合物の有機溶媒が好ましい。
一方、ホモポリマーの末端をエステル基で封鎖する場合、エステル化に用いられる有機酸無水物としては、下記一般式(2)で表される有機酸無水物が挙げられる。
COOCOR ・・・(2)
式(2)中、R1及びR2は、各々独立に、アルキル基、アリール基を示す。R及びRは、同一の構造であっても、異なった構造であってもよい。
式(2)で表される有機酸無水物の中でも。無水プロピオン酸、無水安息香酸、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、及び無水フタル酸が好ましく、無水酢酸がより好ましい。また、有機酸無水物は1種を単独で使用できるほか、2種類以上を併用することもできる。
気相でエステル基封鎖を行う方法においては、ホモポリマー中にオニウム塩系重合体触媒が残留していると、末端封鎖する際に、オニウム塩系重合触媒がホモポリマーの分解反応を促進することに起因して、末端安定化工程におけるポリマー収率を著しく低下するとともに、ホモポリマーを着色させる場合があるため、例えば、特開平11−92542号公報に記載の方法によってオニウム塩系重合触媒を除去した後に、末端封鎖を行うことが好ましい。
ホモポリマーの末端をエチル基及び/又はエステル基で封鎖することにより、末端水酸基の濃度は、5×10−7mol/g以下まで低減させることが好ましく、0.5−7mol/g以下まで低減させることがより好ましい。
末端安定化を行ったホモポリマーは、乾燥処理を実施した後、取扱い性を確保するために、押し出し機を用いて、ペレット化することが好ましい。
−ポリアセタール・コポリマー−
本実施形態のポリアセタール樹脂は、ポリアセタール・コポリマーであることにより、溶融混練時の生産安定性を保持することが可能となるため好ましい。
本実施形態におけるポリアセタール・コポリマーは、特に限定されないが、オキシメチレン基を主鎖に有し、分子中に炭素数2以上のオキシアルキレンユニットを有するポリマーであることが好ましい。本実施形態のポリアセタール・コポリマーは、下記に記す重合工程により得ることができる。
ポリアセタール・コポリマーを得るための重合工程は、本明細書に記載する方法以外にも、公知の重合法(例えば、US−A−3027352、US−A−3803094、DE−C−1161421、DE−C−1495228、DE−C−1720358、DE−C−3018898、特開昭58−98322号、特開平7-70267号記載)が挙げられる。上記重合工程により、ポリアセタール・コポリマーの粗ポリマーが得られる。
ポリアセタール・コポリマーの主原料である(主モノマー)は、特に限定されないが、ホルムアルデヒド、又はその3量体であるトリオキサン若しくは4量体であるテトラオキサン等の環状オリゴマーであることが好ましい。
ポリアセタール・コポリマーの主原料でないモノマー(主モノマーよりもコポリマー中の含有量が小さいモノマーであり、以下、「コモノマー」という。)は、特に限定されないが、例えば、分子中に炭素数2以上のオキシアルキレンユニットを有する環状エチル化合物が挙げられる。その中でも、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3−プロパンジオールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキソカン、及び分子に分岐又は架橋構造を形成しうるモノ−又はジ−グリシジル化合物から選ばれる1種又は2種以上の混合物が好ましい。本実施形態において、コモノマー成分の共重合量は、重合反応における安定性や、強度、剛性等の機械的物性を向上させる観点から、主モノマーをトリオキサン(ホルムアルデヒド三量体)に換算した場合、トリオキサン100molに対して1.0mol以上10mol以下が好ましく、より好ましくは1.0mol以上5.0mol以下である。
ポリアセタール・コポリマーの主モノマー及びコモノマーは、水、メタノール、蟻酸等の重合反応中の重合停止又は連鎖移動作用を有する不純物を極力含まないものを用いることが好ましい。水、メタノール、ギ酸は、ポリマー末端基を水酸基に誘導する不純物である。これらの不純物が過大に存在しないようにすることで、予期せぬ連鎖移動反応により所望する分子量物が得られなくなることを抑制できる傾向にある。ポリマー末端基を水酸基に誘導する不純物の含有量は、全モノマー量に対して、30質量ppm以下が好ましく、より好ましくは10質量ppm以下であり、さらに好ましくは3.0質量ppm以下である。所望する低不純物の主原料を得るための方法としては、公知の方法(例えば、主モノマーについては特開平3−123777号公報や特開平7−33761号公報、コモノマーについては特開昭49−62469号公報や特開平5−271217号公報参照)を用いることができる。
ポリアセタール・コポリマーの重合工程においては、連鎖移動剤を用いることが好ましい。連鎖移動剤としては、特に限定されないが、アルキル基がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル等の低級脂肪族アルキル基であるホルムアルデヒドのジアルキルアセタール(例えば、メチラール)及びそのオリゴマー、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級脂肪族アルコールが好ましい。長鎖分岐のポリアセタール・コポリマーを得るために、連鎖移動剤としては、ポリエーテル・ポリオールやポリエーテルポリオール・アルキレンオキサイドが好ましい。また、ブロックポリアセタール・コポリマーを得るために、少なくとも1個以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、アルコキシ基のいずれかを有する、数平均分子量400以上の重合体を連鎖移動させることも好ましい。なお、上記連鎖移動剤は、1種を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。これらの連鎖移動剤の中でも、不安定末端の形成が少ないものが好ましい。
ポリアセタール・コポリマーの重合工程においては、重合触媒を用いることが好ましい。ポリアセタール・コポリマーの重合触媒としては、特に限定されないが、ルイス酸、プロトン酸、及びそのエステル又は無水物等のカチオン活性触媒が好ましい。ルイス酸としては、例えば、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモンのハロゲン化物が挙げられ、具体的には三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五フッ化リン、五塩化リン、五フッ化アンチモン及びその錯化合物又は塩が挙げられる。また、プロトン酸、そのエステルまたは無水物の具体例としては、パークロル酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸−3級ブチルエステル、アセチルパークロラート、及びトリメチルオキソニウムヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。これらの中でも、三フッ化ホウ素;三フッ化ホウ素水和物;及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましく、具体的には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素ジ−n−ブチルエーテルを好適例として挙げることができる。上記重合触媒の使用量は、重合時の反応安定性や、得られる成形品の熱安定性がより向上する傾向にあることから、トリオキサンと環状エチル及び/又は環状ホルマールの合計量1モルに対して、1.0×10-6モル以上1.0×10-3モル以下であることが好ましく、5.0×10-6モル以上1.0×10-4モル以下であることがより好ましい。ポリアセタール・コポリマーの重合工程においては、必要に応じて共触媒を用いてもよい。
本実施形態におけるポリアセタール・コポリマーは、重合工程により得られたコポリマーに含まれる不安定末端部分を分解除去する工程(末端安定化工程)を行うことが好ましい。この不安定末端部分の分解除去方法としては、特に限定されないが、例えば、ベント付き単軸スクリュー式押出機やベント付き2軸スクリュー式押出機等を用いて、公知の塩基性物質である分解除去剤の存在下に、粗ポリマーを溶融して不安定末端部分を分解除去することができる。ここで、末端安定化における溶融混練を行うときには、品質や作業環境の保持のために不活性ガスによる置換や一段および多段ベントで脱気をすることが好ましい。溶融混練の温度は、ポリアセタール・コポリマーの融点以上260℃以下で行うことが好ましい。さらに、末端安定化工程では、ポリアセタール樹脂に添加することの可能な公知の安定剤を加えながら溶融混合し、造粒を行うことが好ましい。また、この造粒時に、後述するヒンダードアミン系物質を予め添加ながら溶融混練してもよい。
得られるポリアセタール・コポリマーのMFR(メルトフローレート;ISO 1133条件D・荷重2.16kg・シリンダー温度190℃)は、生産性や得られる成形品のウェルド特性をより良好に保持することができる傾向にあることから、2.5g/10分以上40g/10分以下に調整することが好ましく、さらには3.0g/10分以上30g/10分以下に調整することがより好ましく、3.5g/10分以上25g/10分以下に調整することがさらに好ましい。
上記不安定末端部分の除去方法に用いられる分解除去剤としては、特に限定されないが、例えば、アンモニアやトリエチルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン;水酸化カルシウムに代表されるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物・無機弱酸塩・有機弱酸塩等の公知の塩基性物質が挙げられる。
分解除去剤の中で好ましいものは、下記一般式(3)で表される少なくとも一種の第4級アンモニウム化合物であり、上記分解除去剤で安定化させたポリアセタール・コポリマー中には、不安定な末端部が残留しにくくなる傾向にある。
[R1234N+]nXn- ・・・(3)
式(3)中、R1、R2、R3、及びR4は、各々独立に、炭素数1〜30の非置換アルキル基又は置換アルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数1〜30の非置換アルキル基又は置換アルキル基が少なくとも1個の炭素数6〜20のアリール基で置換されたアラルキル基;又は炭素数6〜20のアリール基が少なくとも1個の炭素数1〜30の非置換アルキル基又は置換アルキル基で置換されたアルキルアリール基を示す。当該非置換アルキル基又は置換アルキル基は、直鎖状、分岐状、又は環状である。
上記非置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基は、水素原子がハロゲンで置換されてもよい。
nは、1〜3の整数を示す。Xは、水酸基、又は炭素数1〜20のカルボン酸、水素酸、オキソ酸無機チオ酸若しくは炭素数1〜20の有機チオ酸の酸残基を示す。
上記第4級アンモニウム塩の化合物としては、特に限定されないが、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、1,6−ヘキサメチレンビス(トリメチルアンモニウム)、デカメチレン−ビス−(トリメチルアンモニウム)、トリメチル−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリプロピル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリ−n−ブチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウム、トリプロピルベンジルアンモニウム、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、トリエチルフェニルアンモニウム、トリメチル−2−オキシエチルアンモニウム、モノメチルトリヒドロキシエチルアンモニウム、モノエチルトリヒドロキシエチルアンモニウム、オクダデシルトリ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、テトラキス(ヒドロキシエチル)アンモニウム等の水酸化物が挙げられる。
また、第4級アンモニウム塩の化合物としては、例えば、アジ化水素等のハロゲン化以外の水素酸塩;硫酸、硝酸、燐酸、炭酸、ホウ酸、塩素酸、よう素酸、珪酸、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クロロ硫酸、アミド硫酸、二硫酸、トリポリ燐酸等のオキソ酸塩;チオ硫酸等のチオ酸塩;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソ酪酸、ペンタン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、安息香酸、シュウ酸等のカルボン酸塩が挙げられる。これらの中でも、水酸化物(OH-)、硫酸(HSO4 -、SO4 2-)、炭酸(HCO3 -、CO3 2-)、ホウ酸(B(OH)4 -)、及びカルボン酸の塩が好ましく、当該カルボン酸の中でも、蟻酸、酢酸、プロピオン酸がより好ましい。これら第4級アンモニウム化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
第4級アンモニウム化合物の添加量は、コポリマーの総量に対して、下記式(A)で表わされる第4級アンモニウム化合物由来の窒素の量に換算して、0.05質量ppm以上50質量ppm以下であることが好ましい。
P×14/Q ・・・(A)
式(A)中、Pは、第4級アンモニウム化合物のコポリマーに対する濃度(質量ppm)を示し、「14」は、窒素の原子量であり、Qは、第4級アンモニウム化合物の分子量を示す。
第4級アンモニウム化合物は、コポリマーを溶融する前に予め添加してもよいし、また溶融させた粗ポリマーに添加してもよい。
本実施形態において、公知の分解除去剤であるアンモニア、トリエチルアミン、ホウ酸化合物等と、第4級アンモニウム化合物とを併用してもかまわない。
〔アルミニウム顔料〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、上述のようにアルミニウム顔料を含有する。アルミニウム顔料の含有量(複数のアルミニウム粒子の総含有量)は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.2〜10質量部であり、好ましくは3〜5質量部である。当該含有量を0.2質量部以上にすることにより、ポリアセタール樹脂組成物より得られる成形品において輝度感の高いシルバーメタリック調を達成するためにことができる。また、当該含有量を10質量部以下にすることにより、単軸押出機によってペレットの安定生産性をより確保することができる。
ここで、本実施形態のアルミニウム顔料は、相互に平均粒子径が異なる複数のアルミニウム粒子を有する。
そして、本実施形態において、該複数のアルミニウム粒子のうち平均粒子径が最も大きい第1アルミニウム粒子とし、また、該複数のアルミニウム粒子のうち平均粒子径が最も小さい第2アルミニウム粒子とする。
かかる場合において、本実施形態では、第1アルミニウム粒子の平均粒子径と第2アルミニウム粒子の平均粒子径との差が5μm超であり、第1アルミニウム粒子の含有量と第2アルミニウム粒子の含有量の比が、50:50〜80:20の範囲である。これにより、成形品において、表面に輝度感のムラが発生しにくく(均一な輝度感を有することができ)、良好な金属調を得ることができる。
上述のように、平均粒子径が最も大きい第1アルミニウム粒子と、平均粒子径が最も小さい第2アルミニウム粒子との平均粒子径の差は5μm超であるが、好ましくは8μm超であり、より好ましくは10μm超である。平均粒子径の差をより大きくすることにより、輝度感のムラの発生頻度をより低くすることができる(均一な輝度感を得ることができる)。一方、第1アルミニウム粒子による質感を保持するためには、20μmを超えないことが好ましい。
なお、本実施形態のアルミニウム顔料は、相互に平均粒子径が異なる複数のアルミニウム粒子を有するところ、第1アルミニウム粒子及び第2アルミニウム粒子を含めて3種類以上のアルミニウム粒子を含有する場合には、第1アルミニウム粒子及び第2アルミニウム粒子以外のアルミニウム粒子は、任意の平均粒子径とすることができる。また、アルミニウム粒子の粒子径分布は、1つのピークを示すものである。
本実施形態においては、第1アルミニウム粒子の平均粒子径は15〜30μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは18〜28μmの範囲である。さらに、第2アルミニウム粒子の平均粒子径は5〜15μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは7〜15μmの範囲である。
平均粒子径がこのような範囲にあるアルミニウム粒子を含むアルミニウム顔料を用いることにより、造粒時の生産安定性をさらに良好に保ち、ポリアセタール樹脂が本来有する機械的特性である靭性をポリアセタール樹脂組成物が保持することができる傾向にある。
また、第1アルミニウム粒子の含有量と第2アルミニウム粒子の含有量の比は、粒状感の高い良好な金属調及び十分に均一な輝度感を有する成形品を得る観点から、50:50〜80:20の範囲であるが、好ましくは50:50〜75:25の範囲であり、より好ましくは50:50〜70:30の範囲である。
当該比を50:50以上とすることにより、粒状感を高めることができ、当該比を80:20以下とすることにより、十分に均一な輝度感を得ることができる。
第1アルミニウム粒子、第2アルミニウム粒子を含め、アルミニウム顔料中のそれぞれのアルミニウム粒子は、それぞれ含有量が0.1〜5質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部の範囲である。
なお、本実施形態のアルミニウム顔料が第1アルミニウム粒子及び第2アルミニウム粒子を含めて3種類以上のアルミニウム粒子を含有する場合には、第1アルミニウム粒子及び第2アルミニウム粒子以外のアルミニウム粒子についての含有量も、0.1〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部である。
ここでアルミニウム顔料としては、アルミニウム成分と、ミネラル・スピリッツ、流動パラフィンなどのバインダー成分との混合物(アルミニウム顔料製品)を用いることができるが、アルミニウム顔料やアルミニウム粒子の含有量は、混合物(アルミニウム顔料製品)からバインダー成分を除いたアルミニウム成分のみの含有量を指す。
なお、バインダー成分の含有量は、VOC性低下の抑止、アルミ粉体の粉体爆発防止の観点から、アルミニウム顔料中のアルミニウム成分100質量部に対して30〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは15〜5質量部である。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において粒子径の測定方法は下記の手順により得られる数値であるが、測定方法はこれに限定されるものではない。本実施形態におけるアルミニウム顔料のアルミニウム粒子の平均粒子径Dは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積粒子径分布の50%の値(D50)である。より具体的にはアルミニウム粒子の粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、商品名「SALD−2300」)により測定し、得られた粒度分布の50%値により、アルミニウム粒子の体積平均粒子径(D50)を求めることができる。
アルミニウム粒子の形状は、特に限定されるものではないが扁平な形状であることが好ましく、より好ましくは、コイン状又はフレーク状である。扁平な形状にすることにより、輝度感の高いシルバーメタリック調の成形品を得ることができるため好ましい。
ここでいう偏平な形状とは、平均形状比[平均粒子厚み(t)/体積平均粒子径(D50)]の値が0.2以下のものを指し、また、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.05以下のものである。平均形状比をこの範囲にすることにより、少ないアルミニウム粒子の添加で金属特有の高反射率を有する部分の表面積が高くすることができる。そのため、平均形状比をこの範囲にすることにより、少量のアルミニウム粒子の添加量で効率よく成形品の輝度感を高めることができる。
また、アルミニウム粒子の平均粒子厚み(t)は、輝度感の観点から、の平均粒子厚み0.01〜1.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.6μm、更に好ましくは0.03〜0.4μmである。なお、アルミニウム粒子の平均粒子厚み(t)は、以下の方法により算出することができる。
水面拡散面積(WCA)より平均粒子厚みを算出する方法
まず、アルミニウム粒子に対して5%ステアリン酸のミネラルスピリット溶液で予備処理を行った後、JIS K5906−1991に従って、アルミニウムの水面拡散面積(WCA)を測定する。次いで、測定により得られたアルミニウム1gあたりの水面拡散面積(WCA)(m/g)を用いて、下式により算出することができる。
t=0.4/WCA
上記した平均粒子厚みの算出方法は、例えば、Aluminium Paint and Powder, J. D. Edwards & R.I.Wray著、第3版、Reinhold Publishing Corp. New York(1955)の第16〜22頁に記載されている。また、上記式中の「0.4」は、アルミニウムの密度2.7g/cmの逆数(1/2.7=約0.4)である。
なお、JISに記載されている水面拡散面積の測定方法は、リーフィングタイプの場合のものであるのに対し、アルミニウムはノンリーフィングタイプである。しかし、アルミニウムの水面拡散面積(WCA)の測定方法は、測定用の試料を、5%ステアリン酸のミネラルスピリット溶液で予備処理を行う以外は、全てJIS K5906−1991に記載のリーフィングタイプの場合と同様に行うことができる。試料の予備処理については、塗料原料時報、第156号、第2〜16頁(1980.9.1旭化成工業(株)発行)に記載されている。
また、アルミニウム粒子の形状における「コイン状」とは、円盤状、又は盤状とも呼ばれる形状であり、粒子の表面の平滑性が高く、粒子のエッジ部分が滑らかな形状を指すものである。コイン状のアルミニウム顔料は、比較的高い輝度感である成形品を得やすい傾向にある。一方、「フレーク状」とは、コーンフレーク状、又は鱗片状とも呼ばれる形状であり、粒子の表面の円滑性がコイン状のものと比較して低く、粒子のエッジ部分がギザギザ状であるものを指す。ポリアセタール樹脂との混練時にアルミニウム粒子の破損が生じにくいという理由から、アルミニウム顔料の表面は滑らかで周辺部に亀裂がないものが好ましい。
本実施形態において、アルミニウム粒子の粒子径分布曲線における粒子径のピーク(相対粒子量のピーク)が3〜80μmの範囲が好ましいく、より好ましくは3〜40μmの範囲であり、さらに好ましくは3〜35μmの範囲である。粒子径のピークが80μm以下であることにより、成形品表面の平滑度、光沢度を確保しやすくなる。
また、当該ピークを上記の範囲とすることにより、成形品が金属調を良好に発現することができる。なお、アルミニウム粒子の相対粒子量とは、粒子径分布に幅を持った一定量のアルミ顔料において、適宜設定した粒子径範囲内の顔料の個数を意味する。
〔雲母及び金属被覆ガラス〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、雲母(マイカ)及び金属被覆ガラスからなる群より選択される少なくとも1種を含むことも好ましい。アルミニウム顔料と併用することで白色度の高い金属調の成形品を得ることができる。
雲母の平均粒子径は、ポリアセタール樹脂組成物の成形品の耐衝撃性の観点から、2.0〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは2.0〜50μmの範囲であり、さらに好ましくは2.0〜30μmの範囲である。平均粒子径が2.0μm以上であることにより白色度の高い成形品を得ることができる。また、平均粒度が100μm以下であることにより、成形品の光沢感が向上する。
また、雲母のアスペクト比は、2.0〜2000の範囲が好ましく、より好ましくは5.0〜1000の範囲である。本実施形態の雲母としては、特に限定されないが、例えば、天然雲母及び合成雲母が挙げられる。
天然雲母としては、特に限定されないが、例えば、白雲母、黒雲母、及び金雲母が挙げられる。なお、雲母は、金属酸化物の被覆を有する場合もある。この場合の金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化鉄、及び酸化亜鉛が挙げられる。この中でも、輝度感の観点から、酸化チタンが好ましい。酸化チタンは、アナターゼ型及びルチル型の何れであってもよいが、樹脂との安定性の観点から、ルチル型が好ましい。雲母における金属酸化物の被覆率は、雲母の総量(100質量%)に対して、20〜50質量%の範囲が好ましく、20〜45質量%の範囲がより好ましい。雲母の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、一般的に公知の製造方法(例えば、特開平10−279828号公報に記載の製造方法)を用いることができる。
金属被覆ガラスとしては、特に限定されないが例えば、基材となるフレーク状ガラスに金属酸化物を被覆したものが挙げられる。「フレーク状ガラス」とは、薄い板状又は鱗片状である微小なガラス粉をいう。被覆する金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン及び酸化鉄が挙げられる。この中でも、輝度感の観点から酸化チタンが好ましい。酸化チタンは、アナターゼ型及びルチル型の何れであってもよいが、樹脂との安定性の観点から、ルチル型が好ましい。金属被覆ガラスは、被覆する金属酸化物の平均厚さを40nm以上60nm以下とすると白色、60nm以上80nm以下とすると黄色、80nm以上100nm以下とすると赤色、100nm以上130nm以下とすると青色の色調を得ることができる傾向にある。フレーク状ガラス粉に金属酸化物を被覆させる方法としては、特に限定されず、一般的に公知の製造方法を用いることができる。例えば、スパッタリング法、ゾル−ゲル法、化学蒸着(ChemicaL Vapor Deposition)法、及び液相抽出(Liquid Phase Deposition)法が挙げられる。
金属被覆ガラスの平均粒度は、耐衝撃性とのバランスから、5.0〜600μmの範囲であることが好ましく、5〜100μmの範囲がより好ましい。そのアスペクト比は、強度の観点から、2.0〜60の範囲が好ましく、3.0〜20の範囲がより好ましい。
なお、本実施形態において、雲母(マイカ)及び金属被覆ガラスの平均粒度及びアスペクト比は、上記のアルミニウム粒子の平均粒子径及びアスペクト比の測定法と同様に測定することができる。
〔着色剤〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、アルミニウム顔料とともに、その他に着色剤を含有することができる。アルミニウム顔料と着色剤を併用することにより、ガン・メタリック調(黒メタリック調)、赤メタリック調など、シルバーメタリック調以外の外観を得ることができる。着色剤としては、特に限定されないが、例えば、有機系顔料、無機系顔料、染料が挙げられる。着色剤は、1種を単独又は2種類以上の組合せで用いてもよい。
有機系顔料としては、特に限定されないが例えば、フタロシアニン系顔料、縮合アゾ系顔料、アゾレーキ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、及び縮合多環系顔料を挙げることができる。
無機系顔料としては、特に限定されないが例えば、亜鉛華、二酸化チタン、弁柄、酸化クロム、鉄黒等の単純酸化物、カドミウムイエロー、カドミウムオレンジ、カドミウムレッド等の硫化物、黄鉛、亜鉛黄、クロムバーミリオン等のクロム酸塩、紺青等のフェロシアン化物、群青等の珪酸塩、カーボンブラック、金属粉(アルミニウム顔料を除く)等を挙げることができる。
着色剤の含有量は、特に限定されないが、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。この範囲にすることで、さらに成形品の外観を向上でき、強度を保持することができる傾向にある。
またポリアセタール樹脂組成物が着色剤を含有する場合には、アルミニウム顔料の含有量は、着色剤の含有量を少なく抑えつつ、発色特性を損なわないようにするため、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、1.5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1質量部以下である。
また、アルミニウム顔料と着色剤を併用する場合であって、当該着色剤の有する黒色、赤色、青色、黄色、緑色などが支配的である色調を得る場合は、アルミニウム顔料の含有量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、1質量部未満であることが好ましく、より好ましくは0.7質量部以下である。メタリック感、粒状感を発現するためには0.1質量部以上であることが好ましい。
〔ヒンダードアミン系物質〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、ヒンダードアミン系物質をさらに含むことが好ましい。ヒンダードアミン系物質の含有量は、組成物に含まれるポリアセタール樹脂100質量部に対し、好ましくは0.20質量部以上2.0質量部以下であり、より好ましくは0.25質量部以上1.5質量部以下であり、さらに好ましくは0.30質量部以上1.2質量部以下である。このような範囲にすることで、当該樹脂組成物より得られる成形品が、優れた外観を保持することが可能となる傾向にある。ヒンダードアミン系物質は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
ヒンダードアミン系物質は、例えば、下記一般式(4)で表されるピペリジン誘導体の構造を有するものを含むことが好ましい。
式(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、又はアシル基を示す。R1〜R4は、各々独立に、アルキル基を示す。この中でも、Xが水素原子を示す、下記一般式(5)で表されるヒンダードアミン系物質がより好ましい。この構造を有することにより、生産時に高い安定性を保持することが可能となる傾向にある。
式(5)中、R1〜R4は、一般式(4)で示すものと同義である。
一般式(5)で表されるヒンダードアミン系物質としては、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及び4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが挙げられる。また、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、及びビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレートも挙げられる。また、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、及びトリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレートも挙げられる。これらの中で好ましくはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケートである。
〔ホルムアルデヒド抑制剤〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、アミノトリアジン系化合物、グアナミン系化合物、尿素系化合物、及びカルボン酸ヒドラジド系化合物からなる群より選択される1種又は2種以上のホルムアルデヒド抑制剤をさらに含むことが好ましい。また、ホルムアルデヒド抑制剤の含有量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.005質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
アミノトリアジン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、メラミン;メラム、メレム、メロン等のメラミン縮合体;メラミンホルムアルデヒド樹脂等のメラミン樹脂;N、N’、N”−モノ、ビス、トリス、テトラキス、ペンタキス、又はヘキサキス(o−、m−又はp−ヒドロキシフェニルメチル)メラミン等のN−ヒドロキシアリールアルキルメラミン系化合物が挙げられる。
グアナミン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、バレログアナミン、カプログアナミン、ヘプタノグアナミン、カプリログアナミン、ステアログアナミン等の脂肪族グアナミン系化合物;サクシノグアナミン、グルタログアナミン、アジポグアナミン、ピメログアナミン、スペログアナミン、アゼログアナミン、セバコグアナミン等のアルキレンビスグアナミン類;シクロヘキサンカルボグアナミン、ノルボルネンカルボグアナミン、シクロヘキセンカルボグアナミン、ノルボルナンカルボグアナミン及びそれらの官能基置換誘導体等の脂環族グアナミン系化合物;ベンゾグアナミン、α−又はβ−ナフトグアナミン及びそれらの官能基置換誘導体等の芳香族グアナミン系化合物;フタログアナミン、イソフタログアナミン、テレフタログアナミン、ナフタレンジグアナミン、ビフェニレンジグアナミン等のポリグアナミン類;フェニルアセトグアナミン、β−フェニルプロピオグアナミン、o−、m−又はp−キシリレンビスグアナミン等のアラルキル又はアラルキレングアナミン類;アセタール基含有グアナミン類、ジオキサン環含有グアナミン類、テトラオキソスピロ環含有グアナミン類、イソシアヌル環含有グアナミン類等のヘテロ原子含有グアナミン系化合物が挙げられる。
脂環族グアナミン系化合物における官能基置換誘導体としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アセトアミノ基、ニトリル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェニル基、クミル基、ヒドロキシフェニル基等の官能基がシクロアルカン残基に1〜3個置換した誘導体が挙げられる。また、芳香族グアナミン系化合物における官能基置換誘導体としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アセトアミノ基、ニトリル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェニル基、クミル基、ヒドロキシフェニル基等の官能基がベンゾグアナミンのフェニル残基又はナフトグアナミンのナフチル残基に1〜5個置換した誘導体が挙げられ、より具体的には、o−、m−又はp−トルグアナミン、o−、m−又はp−キシログアナミン、o−、m−又はp−フェニルベンゾグアナミン、o−、m−又はp−ヒドロキシベンゾグアナミン、4−(4’―ヒドロキシフェニル)ベンゾグアナミン、o−、m−又はp−ニトリルベンゾグアナミン、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンゾグアナミン、及び3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾグアナミンが例示される。
アセタール基含有グアナミン類としては、特に限定されないが、例えば、2,4−ジアミノ−6−(3,3−ジメトキシプロピル−s−トリアジンが挙げられ、ジオキサン環含有グアナミンとしては、例えば、[2−(4’−6’−ジアミノ−s−トリアジン−2’−イル)エチル]−1,3−ジオキサン、及び[2−(4’−6’−ジアミノ−s−トリアジン−2’−イル)エチル]−4−エチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサンが挙げられ、テトラオキソスピロ環含有グアナミン類としては、例えば、CTU−グアナミン、及びCMTU−グアナミンが挙げられ、イソシアヌル環含有グアナミン類としては、例えば、1,3,5−トリス[2−(4’,6’−ジアミノ−s−トリアジン−2’−イル)エチル]イソシアヌレート、及び1,3,5−トリス[3−(4’,6’−ジアミノ−s−トリアジン−2’−イル)エチル]イソシアヌレートを挙げることができる。
尿素系化合物としては、特に限定されないが、例えば、鎖状尿素系化合物及び環状尿素系化合物が挙げられる。
鎖状尿素系化合物の具体例としては、ビウレア、ビウレット、ホルム窒素等の尿素とホルムアルデヒドとの縮合体、及びポリナノメチレン尿素等のポリアルキレン又はアリーレン尿素が挙げられる。
環状尿素系化合物の具体例としては、ヒダントイン類、クロチリデンジウレア、アセチレン尿素、モノ、ジ、トリ又はテトラメトキシメチレングリコールウリル等のモノ、ジ、トリ又はテトラアルコキシメチルグリコールウリル、シアヌル酸、イソシアヌル酸、尿素、及びウラゾールが挙げられる。
ヒダントイン類としては、例えば、ヒダントイン、5−メチルヒダントイン、5−エチルヒダントイン、5−イソプロピルヒダントイン、5−フェニルヒダントイン、5−ベンジルヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、5,5−ペンタメチレンヒダントイン、5−メチル−5−フェニルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントイン、5−(o−、m−またはp−アミノフェニル)ヒダントイン、アラントイン、5−メチルアラントイン、およびアラントインジヒドロキシアルミニウム塩等のアラントインのAl塩等の金属塩が挙げられる。
カルボン酸ヒドラジド系化合物としては、例えば、脂肪族カルボン酸ヒドラジド系化合物、脂環族カルボン酸ヒドラジド系化合物、及び芳香族カルボン酸ヒドラジド系化合物が挙げられる。
脂肪族カルボン酸ヒドラジド系化合物の具体例としては、ラウリン酸ヒドラジド、ステアリン酸ヒドラジド、12−ヒドロキシステアリン酸ヒドラジド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸ヒドラジド等のモノカルボン酸ヒドラジド類;コハク酸モノ又はジヒドラジド、グルタル酸モノ又はジヒドラジド、アジピン酸モノ又はジヒドラジド、ピメリン酸モノ又はジヒドラジド、スベリン酸モノ又はジヒドラジド、アゼライン酸モノ又はジヒドラジド、セバシン酸モノ又はジヒドラジド、ドデカン二酸モノ又はジヒドラジド、ヘキサデカン二酸モノ又はジヒドラジド、エイコサン二酸モノ又はジヒドラジド、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド等のポリカルボン酸ヒドラジド類が挙げられる。
脂環族カルボン酸ヒドラジド系化合物の具体例としては、シクロヘキサンカルボン酸ヒドラジド等のモノカルボン酸ヒドラジド類;ダイマー酸モノ又はジヒドラジド、トリマー酸モノ、ジ又はトリヒドラジド、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸モノ又はジヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸モノ、ジ又はトリヒドラジド等のカルボン酸ヒドラジド類が挙げられる。
芳香族カルボン酸ヒドラジド系化合物の具体例としては、安息香酸ヒドラジド及びその官能基置換誘導体、α−又はβ−ナフトエ酸ヒドラジド及びそれらの官能基置換誘導体等のモノカルボン酸ヒドラジド類;イソフタル酸モノ又はジヒドラジド、1,4−又は2,6−ナフタレンジカルボン酸モノ又はジヒドラジド、3,3−、3,4−又は4,4−ジフェニルカルボン酸モノ又はジヒドラジド、ジフェニルエーテルジカルボン酸モノ又はジヒドラジド、ジフェニルメタンジカルボン酸モノ又はジヒドラジド、ジフェニルエタンジカルボン酸モノ又はジヒドラジド、ジフェノキシエタンジカルボン酸モノ又はジヒドラジド、ジフェニルスルホンジカルボン酸モノ又はジヒドラジド、ジフェニルケトンジカルボン酸モノ又はジヒドラジド、4,4’’−ターフェニルジカルボン酸モノ又はジヒドラジド、4,4’’’−クォーターフェニルジカルボン酸モノ又はジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸モノ、ジ又はトリヒドラジド、ピロメリット酸モノ、ジ、トリ又はテトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸モノ、ジ、トリ又はテトラヒドラジド等のポリカルボン酸ヒドラジド類が挙げられる。
安息香酸ヒドラジド及びその官能基置換誘導体としては、例えば、o−、m−又はp−メチル安息香酸ヒドラジド、2,4−、3,4−、3,5−又は2,5−ジメチル安息香酸ヒドラジド、o−、m−又はp−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、o−、m−又はp−アセトキシ安息香酸ヒドラジド、4−ヒドロキシ−3−フェニル安息香酸ヒドラジド、4−アセトキシ−3−フェニル安息香酸ヒドラジド、4−フェニル安息香酸ヒドラジド、4−(4’−フェニル)安息香酸ヒドラジド、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル安息香酸ヒドラジド、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル安息香酸ヒドラジド等のアルキル基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、アミノ基、アセトアミノ基、ニトリル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェニル基、ベンジル基、クミル基、ヒドロキシフェニル基等の官能基がベンゾグアナミンのフェニル残基に1〜5個置換した誘導体が挙げられる。
α−又はβ−ナフトエ酸ヒドラジド及びそれらの官能基置換誘導体としては、例えば、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、及び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジドが挙げられる。
なお、上記のホルムアルデヒド抑制剤は、層状物質、多孔性物質(ハイドロタルサイト、モンモリロナイト、シリカゲル、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セピオライト、スメクタイト、パリゴルスカイト、イモゴライト、ゼオライト、活性炭等)に担持された形での使用も可能である。
上記ホルムアルデヒド抑制剤の中でも、アミノトリアジン系化合物、グアナミン系化合物、特に芳香族グアナミン系化合物;尿素系化合物、特に環状尿素系化合物;カルボン酸ヒドラジド化合物、特に脂肪族カルボン酸ヒドラジド系化合物及び芳香族カルボン酸ヒドラジド系化合物が好ましく用いられる。これらの中でも、脂肪族カルボン酸ヒドラジド系化合物および芳香族カルボン酸ヒドラジド系化合物がより好ましい。脂肪族カルボン酸ヒドラジド系化合物お及び芳香族カルボン酸ヒドラジド系化合物の中では、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカ二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、及びテレフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジドが、ホルムアルデヒド発生の抑制効果の点で好ましい。
本実施形態におけるポリアセタール樹脂組成物において、ホルムアルデヒド抑制剤の含有量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.005質量部以上5.0質量部以下であると好ましく、より好ましくは0.01質量部以上3.0質量部以下であり、さらに好ましくは0.02質量部以上2.0質量部以下である。
〔ポリアルキレングリコール〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアルキレングリコールをさらに含むことが好ましい。その含有量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、ポリアルキレングリコール0.3質量部以上3.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上2.0質量部以下であることがより好ましく、0.7質量部以上1.5質量部以下であることがさらに好ましい。このような範囲にすることにより、生産安定性を高め、靭性をより向上させることができる傾向にある。
本実施形態において、ポリアルキレングリコールは、コポリマーであっても、2種類以上のポリアルキレングリコールであってもよい。本実施形態のポリアルキレングリコールは、経済性や取り扱いの容易性の観点から、ポリエチレングリコールであることが好ましい。また、ポリエチレングリコールは、数平均分子量が800以上500000以下のポリエチレングリコールであることがより好ましく、数平均分子量1000以上20000以下のポリエチレングリコールであることがさらに好ましく、数平均分子量2000以上10000以下のポリエチレングリコールであることがよりさらに好ましい。この範囲にすることにより、靭性や明度をより向上させることができる傾向にある。
なお、本実施形態において、ポリエチレングリコールの数平均分子量は、例えば、磁気共鳴分光計を用いて測定され、具体的には、以下のようにして測定される。
まず、測定対象となるポリエチレングリコールを溶媒:ヘキサフルオロイソプロピルアルコール(HFIP)−d2(D化率97%、和光純薬98%assay)に24時間かけて溶解させて、1.5質量%樹脂溶液を調製する。次いで、その樹脂溶液に対して、装置:JEOL−400核磁気共鳴分光計(H:400MHz)を用い、温度:55℃、積算回数:500回で、オキシエチレン成分及び水酸基の帰属ピークの積分を行い、末端水酸基に対するオキシエチレン成分の量から数平均分子量を求める。
〔ヒドラジド化合〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、さらに生産の安定性を向上させるために、ヒドラジド化合物をさらに含むことが好ましい。ヒドラジド化合物の含有量としては、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.03質量部以上0.25質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.20質量部以下であることがより好ましく、0.07質量部以上0.15質量部以下であることがよりさらに好ましい。ヒドラジド化合物は、上記ポリアセタール樹脂の造粒時に添加されても、ポリアセタール樹脂組成物の製造時に添加されても、またその両方でもよい。
本実施形態で用いられるヒドラジド化合物としては、特に限定されないが、下記一般式(6)で表されるジカルボン酸ジヒドラジドを好適に挙げることができる。式(6)で表されるジカルボン酸ジヒドラジドとしては、例えば、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スペリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、及びフタル酸ジヒドラジドが挙げられる。
2NHNOC−R1−CONHNH2 ・・・(6)
式(6)中、R1は、炭素数2〜20の炭化水素を示す。
上記ジカルボン酸ジヒドラジドの中でも、好ましいのはセバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、及びアジピン酸ジヒドラジドであり、より好ましいのはセバチン酸ジヒドラジド、及びアジピン酸ジヒドラジドである。本実施形態において、ヒドラジド化合物は、1種を単独で含まれていてもよく、2種類以上を併用することもできる。
〔その他の添加物〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物は、上述した以外の添加物(その他の添加物)をさらに含有することもできる。その他の添加物としては、例えば、従来のポリアセタール樹脂に使用されている熱安定剤が挙げられる。熱安定剤としては、例えば、酸化防止剤、ホルムアルデヒドやギ酸の捕捉剤、及びこれらの併用が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、1,4−ブタンジオ−ル−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)である。 また、テトラキス−(メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N'−ビス−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プリピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレンビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル)ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾ−ル、及びN,N’−ビス(2−(3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)オキシアミドが挙げられる。
上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の中でも、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、及びテトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタンが好ましい。
ホルムアルデヒドやギ酸の捕捉剤としては、特に限定されないが、例えば、(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及び重合体、(ロ)アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩、及びアルコキシドが挙げられる。
(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物としては、特に限定されないが、例えば、(1)ジシアンジアミド、(2)アミノ置換トリアジン、及び(3)アミノ置換トリアジンとホルムアルデヒドとの共縮合物が挙げられる。
(2)アミノ置換トリアジンとしては、特に限定されないが、例えば、グアナミン(2,4−ジアミノ−sym−トリアジン)、メラミン(2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン)、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N’’−トリフェニルメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N’’−トリメチロールメラミン、及びベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)挙げられる。また、2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、2,4−ジオキシ−6−アミノ−sym−トリアジン(アメライト)、2−オキシ−4,6−ジアミノ−sym−トリアジン(アメリン)、及びN,N’,N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミンも挙げられる。
(3)アミノ置換トリアジンとホルムアルデヒドとの共縮合物としては、特に限定されないが、例えば、メラミン−ホルムアルデヒド重縮合物が挙げられる。この中でも、ジシアンジアミド、メラミン、及びメラミン−ホルムアルデヒド重縮合物が好ましい。
(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素基を有する重合体としては、特に限定されないが、例えば、(1)ポリアミド樹脂、(2)アクリルアミド及びその誘導体、又はアクリルアミド及びその誘導体と、他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られる重合体、(3)アクリルアミド及びその誘導体、又はアクリルアミド及びその誘導体と、他のビニルモノマーとをラジカル重合の存在下で重合して得られる重合体、及び(4)アミン、アミド、尿素、ウレタン等窒素基を含有する重合体が挙げられる。
(1)のポリアミド樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12及びこれらの共重合物が挙げられ、より具体的には、ナイロン6/6−6、ナイロン6/6−6/6−10、及びナイロン6/6−12が挙げられる。
(2)のアクリルアミド及びその誘導体、又はアクリルアミド及びその誘導体と、他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られる重合体としては、例えば、ポリ−β−アラニン共重合体が挙げられる。これらの重合体や共重合体は、特公平6−12259号公報(対応、米国特許5015707号明細書)、特公平5−87096号公報、特公平5−47568号公報、及び特開平3−234729号公報の各公報記載の方法で製造することができる。
また、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物が、自動車の内装や外装部品等の意匠性部品に用いられる成形品となる場合には、従来のポリアセタール樹脂に使用されているベンゾトリアゾール系及びシュウ酸アニリド系紫外線吸収剤の中から選ばれる紫外線吸収剤をさらに含むことが好ましい。紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、及び2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。
シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリツクアシツドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリツクアシツドビスアニリド、及び2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリツクアシツドビスアニリドが挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物には、所望に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、従来ポリアセタール樹脂で用いられる滑剤、各種無機充填剤、他の熱可塑性樹脂、柔軟剤、結晶核剤、離型剤等をさらに含むことができる。
〔ポリアセタール樹脂組成物の特性〕
本実施形態では、ポリアセタール樹脂組成物を用いて十分に均一な輝度感を有する成形品を得ることができるが、十分に均一な輝度感とは、目視で成形品の表面を観察した際に輝度感のムラが観察されなく、黒スジ状の欠陥が確認できないことが好ましく、具体的には、黒スジ状の欠陥の発生率が、後述の実施例の「均一な輝度感」に記載の評価方法で測定して、10%以下であることが好ましい。また、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは2%以下である。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、その成形品は、良好な金属調の外観、質感が求められるが、その尺度の一つとして、輝度感と粒状感を挙げることができる。後述の条件で求めることができる輝度感(Fr値)が12超であり、また、後述の条件で求めることができる粒状感(G値)が2.0超であることが好ましい。
本実施形態において「輝度感」とは、BYK−Gardner GmbH社製「Spectrophotometter“BYK−mac”」で測定される「Fr値(フロップ値)」で示されるもので、フロップ指数、Flop Index(FI値)とも称される値であり、入射した光の正反射角を基準線として15°、45°、110°の角度に反射した光のそれぞれの明度(L 15°、L 45°、L 110°)を測定した値から算出される値であり、下記式により求められる。
Fr値=2.69×(L 15°−L 110°1.11÷L 45° 0.86
また、「粒状感」とは、上記「BYK−mac」で測定される「G(Graininess)値」で示されるもので、AG値とも称される値であり、一般的には光輝材の粒子径に比例する傾向にある。
金属顔料の粒子径が大きくなるに従って、G値が高くなる傾向にあり、Fr値は低下する傾向にある。ここで、一般的な判断基準として、上述のようにFr値は12を超えると良好であり、G値は2.0を超えると良好であると判断できる。しかし、成形品の意匠性の優劣は、必ずしもFr値、G値でのみ判断されるものではない。このため、例えばFr値が10でG値が4を超える成形品よりも、Fr値が15でG値が1.4である成形品(意匠性)が好意的に求められる場合もある。また、光輝剤と着色剤を併用した成形品では、Fr値が低下する傾向にあるが、このことにより必ずしも意匠性が悪いと判断されるものではない。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物の成形品においては、光沢感が求められる場合がある。光沢感を求められる際には、その一部又は全体の像鮮明度が20%以上であることが好ましい。像鮮明度は、25%以上であることが好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。ポリアセタール樹脂組成物の成形品の像鮮明度が20%以上であることにより、ポリアセタール樹脂成形品が良好な外観を発現する。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物において、成形品の一部又は全体の像鮮明度を20%以上にする方法は、特に限定されるものではないが、ポリアセタール樹脂組成物の成形品を射出成形により成形する際、例えば100℃以上、好ましくは110℃以上に温度調節された金型キャビティに溶融状態のポリアセタール樹脂組成物を充填することにより得ることができる。ここで、金型キャビティの温度を100℃以上にすることで成形品の非晶部分が薄くなる傾向にあり、像鮮明度が向上するだけでなく、表面硬度耐キズ付き性と耐薬品性とが向上する傾向にある。
また、成形サイクル内で金型を加温する工程と冷却する工程とを有する成形方法、例えば溶融状態のポリアセタール樹脂組成物を金型に充填するときは、金型温度を100℃以上に保ち、樹脂の充填完了又は任意のタイミングにより金型温度を80℃程度まで低下させるヒート&クール成形を用いることも、ポリアセタール樹脂組成物の成形品の一部又は全体の像鮮明度を20%以上にするために有効な手段である。
なお、従来技術では、ポリアセタール樹脂組成物を射出成形する際の金型温度は、成形サイクルが適当な長さであること、成形後の寸法変化、収縮率が許容できる範囲であることから、60〜80℃の範囲であることが一般的である。
像鮮明度とは日本工業規格(JIS K 7374)に規定された「プラスチック−像鮮明度の求め方」により測定された値を指すものであり、プラスチックを透過して見える物体の像、又はプラスチックの表面で反射して見える物体の像がどの程度鮮明にゆがみなく見えるかの度合、指標である。本実施形態においては、入射角60°の入射光が試験片から反射する光量を移動する光学くしを通して測定し、計算によって求めるものであり、試験片からの反射光の光線軸に直交する光学くしを移動させて、光学軸上にくしの透過部分があるときの光量(M)と、くしの遮光部分があるときの光量(m)とを求め、両者の差(M−m)と和(M+m)との比率(%)として求められるものであり、下記式により求められるものである。
像鮮鋭度(%)=(M−m)÷(M+m)×100
本実施形態における像鮮明度は、スガ試験機株式会社製「写像性測定器“ICM−1T”」を用いて、成形品に反射した光量について、光学くしの幅を1.0mmとしたときの測定値とする。
〔ポリアセタール樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物の製造方法は、ポリアセタール樹脂とアルミニウム顔料とを配合する工程を有する。また、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法は、必要に応じて、ヒンダードアミン系物質、ホルムアルデヒド抑制剤、ポリアルキレングリコール、ヒドラジド化合物等の添加物を配合する工程を有する。ポリアセタール樹脂組成物は、ペレットと呼ばれる球状又は円筒形状であり、1〜数mm程度の直径の長さを有する造粒物(固形物)に加工されたものであることが、製造元から製造者への流通の観点から好ましい。この造粒物は、例えば、プラスチック材料の加工に使用されている溶融混練機を用いることによって製造することができる。
アルミニウム顔料のポリアセタール樹脂への均一な分散性を高めるために、その一部又は全量のポリアセタール樹脂・ペレットを粉砕して得られるパウダーとアルミニウム顔料とを予め混合した後、溶融混合してもよい。また、ポリアセタール樹脂・ペレットを用いる場合は、添着剤を用いてアルミニウム顔料の分散性を高めてもよい。添着剤としては、例えば、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素及びこれらの変性物やこれらの混合物(流動パラフィン、ミネラルオイル等)が挙げられ、加えて、ポリオールの脂肪酸エステルも挙げられる。
本実施形態のポリアセタール樹脂組成物の製造方法では、予めポリアセタール樹脂の一部とアルミニウム顔料と、その他の添加剤とを溶融混練し(予混練)、得られた樹脂組成物と残りのポリアセタール樹脂とを溶融混練することによっても実施することが可能である。この予混練には、一般的に使用されている溶融混練機を用いることができる。溶融混練機としては、特に限定されないが、例えば、ニーダー、ロールミル、単軸押出機、二軸押出機、及び多軸押出機が挙げられる。この予混練のときの加工温度は、特に限定されないが、180〜230℃であることが好ましく、190〜210℃であることがより好ましい。
また、品質や作業環境を保持するためや、粉塵爆発の発生を抑制するためには、ポリアセタール樹脂のペレット、アルミニウム顔料、及びその他の添加剤の単体、又はこれらの混合物を混合するための容器、保管する容器、容器と押し出し機の間の流路、押し出し機のホッパー等を、これらの混合物が溶融する箇所より上流側を不活性ガスにより置換すること、及び/又は、一段又は多段ベントで脱気することが好ましい。
さらに、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を製造するときは、ポリアセタール樹脂とアルミニウム顔料とを混合する前に、予めアルミニウム顔料を十分に乾燥しておくことが好ましい。ここでいう乾燥とは、混合前の質量W1(g)のアルミニウム顔料を80℃で2時間、オーブンにより乾燥して、その乾燥後の質量W2(g)を、関係式[(W1−W2)/W2]が0.0015以下となるように調製することであり、好ましくは0.001以下となるように調製することである。これにより、ポリアセタール樹脂組成物の生産時の安定性及び生産性を高く保持することができる傾向にある。
〔ポリアセタール樹脂成形品の製造方法〕
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品の製造方法は、本実施形態のポリアセタール樹脂組成物を成形する工程を有する。その成形方法は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂を目的の形状に成形するために用いられる一般的な射出成形法の他、押し出し成形、発泡成形、射出圧縮成形、二色成形、インサート成形、アウトサート成形、ブロー成形、窒素ガスや炭酸ガス等によるガスアシスト成形方法が挙げられる。これらの成形方法は、1種を単独に用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のガスアシスト成形法とは、一般的に窒素ガスや炭酸ガスを用いた公知の射出成形法であり、より具体的には、特公昭57−14968号公報等に記載のように、樹脂組成物を金型キャビティ内に射出した後に、成形品内部に加圧ガスを注入する方法、特許3819972号公報等に記載のように、樹脂組成物を金型キャビティ内に射出した後に、成形品の片面に対応するキャビティに加圧ガスを注入する方法、及び特許3349070号公報等に記載のように、熱可塑性樹脂に予めガスを充てんさせ成形する方法である。これらのガスアシスト成形法は、成形品、及び製品形状により、適宜選択されるものである。ガスアシスト成形法は、品位や生産安定性、経済性等の観点から、射出成形・射出圧縮成形、及びこれらと金型内複合成形とを組み合わせた成形方法が好ましい。
また、成形サイクル内で金型を加温する工程と冷却する工程とを有する成形方法、例えば溶融状態のポリアセタール樹脂を金型に充填するときは金型温度を100℃以上に保ち、樹脂の充填完了または任意のタイミングにより金型温度を80℃程度まで低下させるヒート&クール成形を用いることも、ポリアセタール樹脂成形品の一部または全体の像鮮明度を20%以上にするために有効な手段である。
さらに、本実施形態の成形品の製造方法は、ポリアセタール樹脂組成物とゴムやエラストマーとを含む各種樹脂との接着(超音波接着、高周波接着、熱板接着、熱プレス成形、多層射出成形、多層ブロー成形等の方法は問わない)により、2層以上の成形品とする方法であることで、各種樹脂の優れた性能(耐衝撃性、摺動性、耐薬品性等)を付与し、優れた意匠性を有する外観をもった成形品を得ることができる。
〔用途〕
本実施形態のポリアセタール樹脂成形品は、機構部分や摺動部分を備えた意匠部品に用いることができる。具体的なポリアセタール樹脂成形品は、例えば、OA機器、音楽、映像もしくは情報機器、又は通信機器に用いられる部品、オフィス家具又は住設機器に用いられる工業部品、及び自動車内外装用に用いられる部品のいずれかの部品であることが好ましい。また、成形品は、自動車用内装部品であるインナーハンドル、シフトノブ、ステアリング及びホイール、レバー類、スイッチ類、ボタン類及びその他の機能部品、並びに装飾部品への利用も好適である。
さらに、外観部品によっては、成形時に一部又は全体にシボの入った金型を用いて、意匠性を付与する場合がある。本実施形態によるポリアセタール樹脂成形品は、シボの転写性に優れる効果や、高い明度を維持する効果があり、これらの顕著に発現されるため、シボの入った金型による成形品であることが好ましい。
本実施形態の成形品として好適に用いられる自動車のインナー・ドアハンドルの例を図1に示す。
以下、実施例及び比較例によって本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、これらの実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
(1)原材料
[ポリアセタール樹脂(成分A)]
実施例及び比較例で使用したポリアセタール樹脂A1〜A3(以下、「成分A1」、「成分A2」、「成分A3」という。)は、旭化成株式会社製ポリアセタール・コポリマー「テナック−C」である。その製品名、MFR値を表1に示す。
[アルミニウム顔料(成分B)]
実施例及び比較例で使用したアルミニウム顔料のアルミニウム粒子(以下、「成分B1」、「成分B2」、「成分B3」ともいう。)は、旭化成メタルズ株式会社製アルミ・ペースト「シルビーズ」、SILBERLINE製アルミ・ペースト「SILVEX」、「SPARKLE SILVEX」である。その製品名、形状、粒子径を、表2に示す。表2中の粒子径とは、平均粒子径であり、その粒子径分布は1つのピークを示すものである。また、成分B1〜B3は、成分Bとも総称する。
[雲母、金属被覆ガラス(成分C)]
雲母として、実施例及び比較例においてパール剤(以下、「成分C」ともいう)を用いた。当該パール剤は、日本光研工業株式会社製「PERLE―GLAZE MF−100」であり、粒子径の範囲は5〜30μmである。
(2)評価
[均一な輝度感]
後述する実施例・比較例のポリアセタール樹脂組成物を用いて連続40枚製造した曲面を有する40枚の平板について、黒スジ状に発生する外観不良の有無を目視にて確認し、その発生率(外観不良が存在する平板の枚数の割合(%))を算出した。外観不良の発生率が低いほど、成形品が均一な輝度感を有していることを意味する。
[粒状感]
後述する実施例・比較例のポリアセタール樹脂組成物より得た曲面を有さない通常形状の平板を、BYK−Gardner GmbH社製「Spectrophotometter“BYK−mac”」を用いて粒状感(G値)を測定した。
[白色度]
後述する実施例・比較例のポリアセタール樹脂組成物より得た曲面を有さない通常形状の平板を、スガ試験機株式会社製「多光源分光測色計」にて白色度(L値)を測定した。白色度を測定する際の測定孔の大きさは直径15mmとし、光源はD65、10°視野での測定値とした。
(3)実施例1〜12、比較例1〜11
上記に示したポリアセタール樹脂からなるペレットと、アルミニウム顔料からなるアルミ・ペーストとを表4、表5に示す配合で、溶融混合を行い造粒し、80℃で3時間乾燥し、ポリアセタール樹脂組成物(最終ペレット)を得た。
溶融混合には、図2に示すように、ベント付きスクリュー型二軸押出機(プラスチック工業;BT−30、L/D=44、設定温度200℃、回転数100rpm)を用いた。
原料のフィードは、12.5kg/hrとした。
上記最終ペレットを使用し、上記の評価を行うための試験片を作製した。具体的には、射出成形機(ファナック株式会社製「ROBOSHOTs−2000i 50B」、シリンダー温度200℃、金型温度80℃、冷却時間20秒)を用いて、図3、図4に示す幅50mm、長さ90mm、肉厚2.5mmであり、平面部分より突出する曲面部分(幅方向断面図における曲率半径は約50mmであり、長手方向断面図おける曲率半径は約50〜80mmである)を有する平板、曲面を有さない通常形状の平板を成形した。成形品はショートショットやバリが発生していないことを確認し、試験片とした。
(4)結果
[実施例1〜6、比較例1〜8]
実施例1〜6、比較例1〜8のポリアセタール樹脂組成物における、成分A(ポリアセタール樹脂)及び成分B(アルミニウム顔料)、成分C(雲母、金属被覆ガラス)の組成、金型温度、並びに特性を表4に示す。
アルミニウム顔料が、相互に平均粒子径が異なる複数のアルミニウム粒子を有し、第1アルミニウム粒子と第2アルミニウム粒子との平均粒子径の差が5μmを超え、第1アルミニウム粒子の含有量と第2アルミニウム粒子の含有量の比を所定の範囲にすることにより、粒状感が高く良好な金属調を維持しつつ、均一な輝度感を有する成形品を得ることができることがわかる。またパール剤を併用することにより、白色度が向上することがわかる。
[実施例7〜12、比較例9〜11]
実施例7〜12、比較例9〜11のポリアセタール樹脂組成物における、成分A(ポリアセタール樹脂)及び成分B(アルミニウム顔料)の組成、金型温度、並びに特性を表5に示す。
アルミニウム顔料が、相互に平均粒子径が異なる複数のアルミニウム粒子を有し、第1アルミニウム粒子と第2アルミニウム粒子との平均粒子径の差が5μmを超え、第1アルミニウム粒子の含有量と第2アルミニウム粒子の含有量の比を所定の範囲にすることにより、粒状感が高く良好な金属調を維持しつつ、均一な輝度感を有する成形品を得ることができることがわかる。
本発明によれば、良好な金属調及び十分に均一な輝度感を有する、外観特性に優れた成形品を得ることが可能なポリアセタ−ル樹脂組成物、及び、良好な金属調及び十分に均一な輝度感を有する外観特性に優れた成形品を提供することができる。また、本発明に係るポリアセタール樹脂組成物は、本来樹脂が有する機械的特性を保持し、優れた外観を有する成形品を安定して得ることが可能であるため、意匠性部品用部材として好適である。

Claims (5)

  1. ポリアセタール樹脂100質量部と、アルミニウム顔料0.2〜10質量部と、を含むポリアセタール樹脂組成物であって、
    前記アルミニウム顔料が、相互に平均粒子径が異なる複数のアルミニウム粒子を有し、
    該複数のアルミニウム粒子のうち平均粒子径が最も大きい第1アルミニウム粒子と、該複数のアルミニウム粒子のうち平均粒子径が最も小さい第2アルミニウム粒子との平均粒子径の差が5μm超であり、
    第1アルミニウム粒子の含有量と第2アルミニウム粒子の含有量の比が、50:50〜80:20の範囲である、ポリアセタール樹脂組成物。
  2. 前記ポリアセタール樹脂組成物が、雲母及び金属被覆ガラスからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 前記アルミニウム粒子の形状がコイン状及び/又はフレーク状であり、前記アルミニウム粒子の粒子径分布曲線における粒子径のピークが3〜80μmの範囲である、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. 前記ポリアセタール樹脂が、ポリアセタール・コポリマーである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物により得られる成形品。


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