JP2019185857A - リチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
リチウムイオンを吸蔵放出する負極活物質を含む負極と、
リチウム基準電位で4.5V以上の電位領域において充放電可能な正極活物質を含む正極と、
リチウムイオンを伝導する非水系電解液と、を備え、
前記リチウム二次電池の充放電後の前記負極を重水中に抽出させた成分の1H−NMR測定を行い、3.48ppm以上3.55ppm以下の範囲に出現するピーク面積をS1、前記ピーク面積S1のうち[−OCH2CH2O−]成分に由来するピーク面積をSp、3.22ppmに出現するピーク面積をS2、1.04ppmに出現するピーク面積をS3、ピーク面積S1〜S3の総和をピーク面積Saとしたとき、ピーク面積比Sp/Saが0.10以上0.43以下の範囲であるものである。
(評価セルの作製)
正極活物質としてスピネル型酸化物であるLiNi0.5Mn1.5O4を用い、活物質を85質量%、導電材としてカーボンブラックを10質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を5質量%混合し、分散材としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状の正極合材とした。この正極合材を15μm厚のアルミニウム箔集電体の両面に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後塗布シートをロールプレスに通して高密度化させ120mm幅×100mm長の形状に切り出して正極電極とした。負極活物質として天然黒鉛を用い、活物質を95質量%、結着剤としてPVdFを5質量%混合し、正極と同様にスラリー状の負極合材とした。この負極合材を10μm厚の銅箔集電体の両面に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後、塗布シートをロールプレスに通して高密度化させ、122mm幅×102mm長の形状に切り出して負極電極とした。上記の正極シートと負極シートを25μm厚のポリエチレン製セパレータを挟んで対向させ、積層型電極体を作製した。この電極体をアルミラミネート型袋に封入し、非水系電解液を含浸させた後に密閉してリチウム二次電池を作製した。非水系電解液には、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)を体積比で30:40:30で混合した混合溶媒に、LiPF6を1Mの濃度で溶解させたものを用いた。
非水系電解液に添加剤としての無水コハク酸(式(1))を0.6質量%添加した以外は実験例1と同様に作製したものを実験例2とした。また、非水系電解液に無水コハク酸を1.2質量%添加した以外は実験例1と同様に作製したものを実験例3とした。また、非水系電解液に無水コハク酸を1.9質量%添加した以外は実験例1と同様に作製したものを実験例4とした。また、非水系電解液に無水コハク酸を2.1質量%添加した以外は実験例1と同様に作製したものを実験例5とした。
非水系電解液にさらにLiBC4O8を0.5質量%添加した以外は実験例3と同様に作製したものを実験例6とした。
正極活物質にLiAl0.1Mn1.9O4を用いた以外は、実験例1と同様に作製したものを実験例7とした。また、非水系電解液に無水コハク酸を0.8質量%添加した以外は、実験例7と同様に作製したものを実験例8とした。
非水系電解液に添加剤としての無水マレイン酸(式(2))を0.6質量%添加した以外は実験例1と同様に作製したものを実験例9とした。また、非水系電解液に無水マレイン酸を3.0質量%添加した以外は実験例1と同様に作製したものを実験例10とした。
上述したコンディショニング処理及びエージング処理を行ったあとの評価セルを用いて負極被膜の1H−NMR測定を行った。負極被膜の評価は、以下に説明する方法により行った。Arガスのグローブボックス中で評価セルを解体し、電池から取り出した負極を40mm×40mmの大きさに切り出した。切り出した負極をジメチルカーボネートで洗浄し、無水アセトニトリルで洗浄、乾燥させる処理を3回繰り返した。その後、25℃の重水に洗浄後の負極を一晩浸漬させ、溶液をろ過して不純物を取り除いたろ液を試料として1H−NMR測定を行った。1H−NMR測定は、核磁気共鳴装置(日本電子製JNM−ECA500)を用いて行った。図2は、重水により抽出された被膜成分の1H−NMR測定結果である。図2に示すように、このろ液に含まれる被膜成分は、1H−NMRでの測定により、3.48〜3.55ppmの範囲には[−OCH2CH2O−]成分および[−OCH2CH3]成分のうちの[CH2]のピークが出現した。このピーク面積をS1とした。また、3.22ppm近傍には[−OCH3]成分のピークが出現し、このピーク面積をS2とした。また、1.04ppm近傍には[−OCH2CH3]成分のうちの[CH3]のピークが出現し、このピーク面積をS3とした。[−OCH2CH2O−]成分のピーク面積をSpとし、ピーク面積S1に含まれる[−OCH2CH3]成分の面積を1.04ppmのピーク面積S3に基づいて差し引き、このピーク面積Spを求めた。そして、ピーク面積S1〜S3の総和をピーク面積Saとしピーク面積Spを除算してピーク面積比Sp/Saを求めた。
充放電サイクル試験は、25℃の温度条件下で、電流密度2mA/cm2の定電流で充電上限電圧4.9Vまで充電を行い、次いで電流密度2mA/cm2の定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計200サイクル行った。サイクルごとに、放電容量を測定した。また、充放電サイクル試験は、正極活物質が4V級である実験例7、8に対しては、25℃の温度条件下で、電流密度2mA/cm2の定電流で充電上限電圧4.1Vまで充電を行い、次いで電流密度2mA/cm2の定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計200サイクル行った。また、容量維持率%は、(200サイクル後の容量)/初期容量×100%という式を用いて計算し、添加剤を添加しない実験例(実験例1,7)を100として規格化した値を示した。
表1〜3に各実験例の添加剤の添加量(質量%)、ピーク面積比Sp/Sa、充電電圧(V)、充放電サイクル試験後の容量維持率(規格値)をまとめて示す。表1に示すように、実験例1〜5の結果より、添加剤としての無水コハク酸の添加量が0.6質量%〜2.0質量%の範囲では、ピーク面積比Sp/Saが0.10以上0.43以下の範囲となり、このとき添加剤を添加しない実験例1の結果に比べてサイクル容量維持率が向上することがわかった。また、実験例5のように無水コハク酸の添加量が2.1質量%のときはSp/Saが0.08であり、このとき容量維持率向上効果は小さかった。また、実験例6に示すように電解液に更にLiBC4O8を加えた場合に容量維持率向上効果がさらに顕著に現れることが分かった。このLiBC4O8は、例えば非水電解液に0.4質量%以上1.2質量%以下の範囲で含むことが好ましいと推察された。
Claims (7)
- リチウム二次電池であって、
リチウムイオンを吸蔵放出する負極活物質を含む負極と、
リチウム基準電位で4.5V以上の電位領域において充放電可能な正極活物質を含む正極と、
リチウムイオンを伝導する非水系電解液と、を備え、
前記リチウム二次電池の充放電後の前記負極を重水中に抽出させた成分の1H−NMR測定を行い、3.48ppm以上3.55ppm以下の範囲に出現するピーク面積をS1、前記ピーク面積S1のうち[−OCH2CH2O−]成分に由来するピーク面積をSp、3.22ppmに出現するピーク面積をS2、1.04ppmに出現するピーク面積をS3、ピーク面積S1〜S3の総和をピーク面積Saとしたとき、ピーク面積比Sp/Saが0.10以上0.43以下の範囲である、リチウム二次電池。 - 前記ピーク面積比Sp/Saが、0.12以上0.26以下の範囲である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記正極は、リチウム、ニッケル及びマンガンを含有するスピネル型酸化物を前記正極活物質として含む、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池。
- 前記非水系電解液は、無水コハク酸を0.6質量%以上2.0質量%以下の範囲で含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
- 前記非水系電解液は、LiBC4O8を0.4質量%以上1.2質量%以下の範囲で含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
- 前記非水系電解液は、エチレンカーボネートを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
- 前記負極は、炭素質材料の前記負極活物質を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
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