JP2019164899A - 経時粘度が安定な導電性ペースト - Google Patents

経時粘度が安定な導電性ペースト Download PDF

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Abstract

【課題】保管時の粘度増加が抑制されて、粘度安定性がより一層高められた導電性ペーストを提供する。【解決手段】本発明により導電性粉末と、バインダと、増粘抑制剤と、分散媒と、を含む導電性ペーストが提供される。ここで、増粘抑制剤は、一般式:NHR1R2;で表される二級アミン化合物である。そして、式中のR1、R2は、独立して炭素数が4〜12の直鎖状または環状の脂肪族基であって、R1およびR2における炭素鎖は窒素原子および酸素原子を含まない。【選択図】図1

Description

本発明は、導体層を形成することができる導電性ペーストに関する。
電子機器の小型・軽量化に伴い、電子機器を構成する各電子部品についても小型薄層化が求められている。一例として、積層セラミックコンデンサ(Multi-Layer Ceramic Capacitor:MLCC)は、セラミックからなる誘電体層と内部電極層とが多数積層された構造を有している。MLCCでは、この誘電体層をさらに薄くし積層数をさらに増やして電極面積を拡大することにより、MLCCの体積を小型化しつつ静電容量を増大することが求められている。
このMLCCは、一般には、以下の手順で製造される。すなわち、まず、誘電体粉末とバインダ等からなる誘電体グリーンシートに、導電性粉末を含む内部電極用の導電性ペーストを印刷して内部電極層を形成し、この内部電極層が印刷された誘電体グリーンシートを多数積層して圧着し、一体化する。そしてこの積層体を所定の寸法に切り出し、乾燥および焼成することでコンデンサ本体を作製する。コンデンサ本体は、端面に各コンデンサ構造の並列接合のための外部電極を形成することにより、表面実装に適したMLCCとすることができる。近年、MLCCは、例えば、誘電体層の厚みが1μmを下回る0201サイズ(0.25×0.125mm)や01005サイズ(0.1×0.05mm)のものが市販されている。
このような電子部品を形成するための導電性ペーストについては、総じて導電性粉末の小粒径化と、この導電性粉末を安定分散させるための分散媒としての溶剤の低極性化が進められている。しかし、導電性粉末の小粒径化は本質的に粒子の凝集を招き、導電性ペーストの保管に際して品質劣化(例えば経時的な粘度の増大)を引き起こす。そのため、この種の導電性ペーストには、従来より、分散剤に加えて、アミン系の増粘抑制剤を添加することが行われていた(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開2017−135058号公報 特開2016−031912号公報 特開2013−149457号公報 特開2004−182951号公報
導電性粉末は、従来は平均粒子径が約0.4μm程度のものが使用されていたが、近年では0.2μm以下のものが使用されるようになってきている。またMLCC用の導電性ペーストについては、導電性粉末に加え、粒子径のより小さいセラミック微粉末からなる共材を併用する。そのため、導電性ペーストの長期保管時には分散粒子の凝集ならびにペーストの粘度上昇が避けられず、ペーストの粘度安定性の更なる向上が求められている。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、保管時の粘度増加が抑制されて、粘度安定性がより一層高められた導電性ペーストを提供することにある。
従来のこの種の導電性ペーストは、導電性ペーストに含まれる導電性粉末の性状によって増粘抑制剤を使い分ける必要があった。例えば、比較的狭い特定の粒子径範囲の導電性粉末や、特定の表面保護剤を備える導電性粉末等に対してのみ、増粘抑制効果を発揮する増粘抑制剤の使用が提案されていた。これに対し、本発明者らが鋭意研究した結果、ごく限られた分子構造を有するアミン化合物が、比較的広い粒子径範囲の導電性粉末を含む導電性ペーストにおいて増粘抑制剤として好適に機能することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、ここに開示される導電性ペーストは、導電性粉末と、バインダと、増粘抑制剤と、分散媒と、を含む。そして増粘抑制剤は、一般式:NHR;で表される二級アミン化合物である。また、式中のR、Rは、独立して炭素数が4〜12の直鎖状または環状の脂肪族基であって、RおよびRにおける炭素鎖は酸素原子(O)、窒素原子(N)および硫黄原子(S)を含まないことにより、特徴付けられる。
このような導電性ペーストを用いることで、導電性粉末の凝集を抑制し、ペーストの経時的な粘度の上昇を好適に抑えることができる。例えば、平均粒子径が1μm以下の導電性粉末を含む導電性ペーストであっても、その具体的な粒子径範囲に限定されることなく、導電性粉末の高分散性を長期に亘って良好にかつ安定して維持することができる。なお、詳細は明らかではないが、R、Rの炭素数が4〜12の二級アミン化合物であっても、例えば、R、Rが、炭素鎖にOやNやSを含む場合等にはこのような増粘抑制効果は得られず、却って導電性ペーストの性状を悪化し得ることが確認されている。
ここに開示される導電性ペーストの好ましい一態様において、上記Rおよび上記Rは、R=Rを満たす。すなわち、二級アミン化合物は、分子構造において対称性を備え得る。このことにより、比較的入手しやすい二級アミン化合物によって、上記粘度安定性に優れる導電性ペーストが実現されるために好ましい。
ここに開示される導電性ペーストの好ましい一態様において、上記Rおよび上記Rは、いずれも末端以外にメチル基を含まない。このことにより、上記導電性粉末の分散性の維持と導電性ペーストの増粘抑制効果とがより高いレベルで両立されるために好ましい。
ここに開示される導電性ペーストの好ましい一態様において、上記増粘抑制剤は、当該導電性ペースト中に、0.001質量%以上5質量%以下の割合で含まれる。このような少量の増粘抑制剤の添加によって、上記効果を好適に発揮できるために好ましい。
ここに開示される導電性ペーストの好ましい一態様において、上記導電性粉末は、ニッケル粉末である。これにより、上記特性を備える導電性ペーストを、比較的低コストなものとして提供できるために好ましい。
ここに開示される導電性ペーストの好ましい一態様において、上記導電性粉末は、平均粒子径が1μm以下である。この導電性ペーストは、例えば、平均粒子径が0.4μmあるいはこれ以下のレベルの導電性粉末を含む場合や、平均粒子径が0.2μmあるいはこれ以下のレベルの導電性粉末を含む場合であっても、粘度上昇を好適に抑制することができる。この粒子径レベルにおいて導電性粉末の粒子径が1/2になると、単にその比表面積が4倍となるだけではなく、粒子の表面の活性度が上昇して凝集が顕著となり得る。ここに開示される導電性ペーストは、広い粒子径範囲において、導電性粉末の分散性の維持と導電性ペーストの増粘抑制効果とを高いレベルで奏することができるために好ましい。
ここに開示される導電性ペーストの好ましい一態様では、さらに、誘電体粉末を含む。これにより、導電性ペーストは焼成時の焼結収縮特性を好適に調整することができる。その結果、例えば、導電性ペーストをMLCCの内部電極の形成に好適に用いることができるために好ましい。
ここに開示される導電性ペーストの好ましい一態様では、さらに、第1の平均粒子径を有する第1粉末と、第2の平均粒子径を有する第2粉末とを含む。ここで第2の平均粒子径Dは、第1の平均粒子径Dを基準として、0.1×D以上0.4×D以下の範囲である。そして、導電性粉末は、少なくとも前記第1粉末を含むように構成されている。こに開示される導電性ペーストは、広い粒子径範囲において、導電性粉末の分散性の維持と増粘抑制効果とを高いレベルで奏することができる。したがって、例えば平均粒子径が1μm以下の範囲においても、第1粉末としての導電性粉末に加えて、より平均粒子径の小さい第2粉末を含んでいても、上記効果が好適に奏されるために好ましい。
以上のとおり、ここに開示される導電性ペーストは、導電性粉末の分散性が好適に維持され、その結果、長期に亘って導電性ペーストの粘度増加が抑制されている。このことから、かかる導電性ペーストを用いて形成される電極は、例えば電極厚みが極めて薄い場合であっても、導電性粉末の凝集に基く表面平坦性の低下や導電性粒子の結合組織のムラ、不安定な粘度に基づく印刷のかすれや量産レベルでの品質安定性の低下、等が抑制される。その結果、表面平坦性に優れ、かつ、導電パス等の電極組織が均質な電極を、量産工程を通じて安定して形成することができる。
そこで、他の側面において、ここに開示される技術は、誘電体層と内部電極層とが積層されてなるMLCCを提供する。この内部電極層は、上記のいずれかの導電性ペーストの焼成体によって構成されている。MLCCにおいては、誘電体層の更なる薄層化と高積層化とが求められている。このような薄い(例えば1μm以下)誘電体層の間に配置される内部電極層は、ここに開示される導電性ペーストを用いることで、表面平坦性が高く、電気的に連続でかつ均質なものとして好適に形成することができる。その結果、誘電体層の短絡やクラック等の発生が抑制された、小型・大容量で、かつ、高品質なMLCCを好適に実現することができる。
MLCCの構成を概略的に説明する断面模式図である。 焼成前のMLCCの構成を概略的に説明する断面模式図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、導電性ペーストの構成やその性状)以外の事柄であって、本発明の実施に必要な事柄(例えば、当該ペーストの調製および基材への適用についての具体的手法、電子部品の構成等)は、本明細書により教示されている技術内容と、当該分野における当業者の一般的な技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において数値範囲を示す「A〜B」との表記は、A以上B以下を意味する。
[導電性ペースト]
ここで開示される導電性ペーストは、主たる構成成分として、(A)導電性粉末と、(B)増粘抑制剤と、(C)バインダと、(D)分散媒と、を含む。この導電性ペーストは、焼成することによって、(B)増粘抑制剤と(C)バインダと(D)分散媒とが消失し、(A)導電性粉末が焼結されて導電性の焼結体(典型的には、層状の「導体層」である。)を形成する。導体層を構成する主体である(A)導電性粉末は、通常、(C)バインダおよび(D)分散媒からなるビヒクル中に分散されることでペーストを形成し、適度な粘性と流動性が付与されている。また導電性ペーストは、(B)増粘抑制剤によってその粘性および流動性が良好に維持される。
ここで、形成される導電層(焼結体)の厚みや平坦性等の形状について高い精度が求められる場合、導電性粉末は、高分散状態で分散媒中に存在していることが求められる。ここに開示される導電性ペーストは、長期に亘って保管される場合であっても、(B)増粘抑制剤の作用によって、(A)導電性粉末の凝集が抑えられ、(A)導電性粉末の分散性が高いレベルで維持され、粘度の増加が抑制されるように構成されている。以下、この導電性ペーストの各構成成分について説明する。
(A)導電性粉末
導電性粉末は、電子素子等における電極、導線や電導膜等の電気伝導性(以下、単に「導電性」という。)の高い導体物(導体層であり得る。)を主として形成するため材料である。したがって、導電性粉末は、所望の導電性を備える各種の材料の粉末を特に制限することなく用いることができる。このような導電性材料としては、例えば、具体的には、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)等の金属の単体、およびこれらの金属を含む合金等が例示される。導電性粉末は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、特に限定されるものではないが、例えばMLCCの内部電極層を形成する用途で用いられる導電性ペーストについては、導電性粉末の溶融温度が、誘電体層の焼結温度(例えば約1300℃)に近い金属種の使用が好ましい。そのような金属種の一例として、ロジウム、白金、パラジウム、銅、金等の貴金属と、ニッケルなどの卑金属とが挙げられる。なかでも、融点および導電性の観点では白金やパラジウム等の貴金属の使用が好ましいが、さらに安定して低価格である点を考慮するとニッケルを用いることが好ましい。
導電性粉末の製法や、導電性粉末を構成する粒子の寸法や形状等の性状は特に制限されない。たとえば、焼成収縮率を考慮して、目的とする電極の最小寸法(典型的には、電極層の厚みおよび/または幅)に収まる範囲であるとよい。例えば、導電性粉末の平均粒子径は、数nm〜数十μm程度、例えば10nm〜10μm程度であるとよい。
なお、本明細書における「平均粒子径」とは、特にことわりのない限り、電子顕微鏡観察に基づく個数基準の粒度分布において、累積50%に相当する粒径(D50)をいう。また、本明細書において、電子顕微鏡観察に基づく個数基準の粒度分布における累積90%に相当する粒子径を「累積90%粒子径(D90)」という。なお改めていうまでもないが、粒度分布に関する当該累積値は、粒子径の小さい側からの積算(累積)値である。
また、例えば、小型・大容量MLCCの内部電極層を形成する用途では、導電性粉末の平均粒子径は、内部電極層の厚み(積層方向の寸法)よりも小さいことが重要となる。換言すれば、内部電極層の厚みを超える粗大粒子を実質的に含有しないことが好ましい。かかる観点から、導電性粉末は、一例として、累積90%粒子径(D90)が3μm超過とならないことが好ましく、より好ましくは1μm超過、例えば0.5μm超過とならないことが好ましい。また平均粒子径(D50)については、凡そ1μm以下を目安とすることができ、典型的には0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.25μm以下、例えば0.2μm以下であるとよい。平均粒子径が所定値以下であると、導体層を安定的に形成することができる。また、形成される導体層の表面粗さを好適に抑えることができる。例えば、算術平均粗さRaを5nm以下のレベルにまで抑制することができる。
導電性粉末の平均粒子径の下限も制限されず、例えば0.005μm以上であってよく、概ね0.01μm以上、典型的には0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、例えば0.12μm以上であるとよい。平均粒子径が小さすぎないことで、導電性粉末を構成する粒子の表面エネルギー(活性)を抑制でき、導電性ペースト中での粒子の凝集を抑制することができる。また、ペースト塗布層の密度を高めて、電気伝導性や緻密性の高い導体層を好適に形成することができる。
導電性粉末の比表面積は特に限定されないが、概ね10m/g以下、好ましくは1〜8m/g、例えば2〜6m/gであるとよい。これにより、ペースト中での凝集が好適に抑えられ、ペーストの均質性や分散性、保存安定性をより良く向上することができる。また、電気伝導性に優れた導体層をより安定して実現することができる。
導電性粉末の形状は特に限定されない。例えばMLCC内部電極等の一部の電極形成用途の導電性ペーストにおける導電性粉末の形状は、真球状または略球状であるとよい。導電性粉末の平均アスペクト比は、典型的には1〜2、好ましくは1〜1.5であるとよい。これにより、ペーストの粘度を低めに維持して、ペーストのハンドリング性や、導体層形成のための成膜時の作業性を向上することができる。また、ペーストの均質性をも向上することができる。
なお、本明細書における「アスペクト比」は、電子顕微鏡観察に基づいて算出され、粉末を構成する粒子に外接する矩形を描いたときの、短辺の長さ(a)に対する長辺の長さ(b)の比(b/a)を意味する。平均アスペクト比は、100個の粒子について得られたアスペクト比の算術平均値である。
導電性粉末の含有割合は特に限定されず、導電性ペーストの全体を100質量%としたときに、概ね30質量%以上、典型的には40〜95質量%、例えば45〜60質量%であるとよい。上記範囲を満たすことで、電気伝導性や緻密性の高い動体層を好適に実現することができる。また、ペーストのハンドリング性や、成膜時の作業性を向上することができる。
(A’)誘電体粉末
ここに開示される導電性ペーストは、焼成後の導体層を主として構成する成分として、上記の(A)導電性粉末に加え、(A’)誘電体粉末を含むことができる。誘電体粉末は、例えば、導電性ペーストの焼成時に導電性粉末の低温からの焼結を抑制したり、熱収縮率および焼成収縮履歴を調整し得る成分である。誘電体粉末の作用は様々であってよいが、とりわけ、MLCCの内部電極層用の導電性ペーストに含まれる誘電体粉末は、誘電体層と共通または類似の組成であることで、誘電体層と内部電極層との焼結接合性を向上させる共材として機能するために好ましい。
誘電体粉末についての誘電率は特に制限されず、目的の用途に応じて適宜選択することができる。一例として、高誘電率系のMLCCの内部電極層形成用の導電性ペーストに用いられる誘電体粉末については、比誘電率は、典型的には100以上であり、好ましくは1000以上、例えば1000〜20000程度である。このような誘電体粉末の組成については特に限定されず、各種の無機材料の中から用途等に応じて1種または2種以上を適宜用いることができる。誘電体粉末としては、具体的には、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ジルコニウム、チタン酸亜鉛、ニオブ酸マグネシウム酸バリウム、ジルコン酸カルシウム等のABOで表されるペロブスカイト構造を有する金属酸化物や、二酸化チタン(ルチル)、五酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、フォルステライト、酸化ニオブ、チタン酸ネオジウム酸バリウム、希土類元素酸化物等のその他の金属酸化物が典型例として挙げられる。上記内部電極層用途のペーストにおいては、誘電体粉末は、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、ジルコン酸カルシウム(CaZrO)等から好適に構成することができる。一方で、比誘電率が100未満の誘電体材料(延いては、絶縁性材料)を使用してもよいことはいうまでもない。
誘電体粉末を構成する粒子の性状、例えば粒子のサイズや形状等は、電極層の断面における最小寸法(典型的には、電極層の厚みおよび/または幅)に収まる限りにおいて、特に限定されない。誘電体粉末の平均粒子径は、例えばペーストの用途や電極層の寸法(微細度)等に応じて適宜選択することができる。目的の導電層について所定の導電性を確保しやすいとの観点から、誘電体粉末の平均粒子径は、上記導電性粉末の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。誘電体粉末の平均粒子径をD、導電性粉末の平均粒子径をDとするとき、DおよびDは、通常はD>Dであることが好ましく、D≦0.5×Dがより好ましく、D≦0.4×Dがより好ましく、例えばD≦0.3×Dであってよい。また、誘電体粉末の平均粒子径Dが小さすぎると、誘電体粉末の凝集も生じやすくなるために好ましくない。かかる点において、凡その目安として、0.05×D≦Dが好ましく、0.1×D≦Dがより好ましく、例えばD≦0.15×Dであってよい。例えば、具体的には、誘電体粉末の平均粒子径は、概ね数nm〜数十μm程度、例えば10nm〜10μm、好ましくは0.3μm以下であってよい。一例として、MLCCの内部電極層を形成するための導電性ペーストにおいては、誘電体粉末の平均粒子径は、概ね数nm〜数百nm程度、例えば10〜100nmであってよい。
なお、この誘電体粉末は、本発明における第2粉末の一例であり、誘電体粉末の平均粒子径Dは、第2の平均粒子径の一例である。
誘電体粉末の含有割合は特に限定されない。例えばMLCCの内部電極層を形成する用途等では、導電性ペーストの全体を100質量%としたときに、概ね1〜20質量%、例えば3〜15質量%であるとよい。また、導電性粉末100質量部に対する誘電体粉末の割合としては、例えば、概ね3〜35質量部、好ましくは5〜30質量部、例えば10〜25質量部であるとよい。これにより、導電性粉末の低温からの焼成を適切に抑制するとともに、焼成後の導体層の電気伝導性、緻密性等を高めることができる。
(B)増粘抑制剤
ここに開示される技術において、導電性ペーストは、その粘度が経時的に上昇することを抑制する増粘抑制剤を含んでいる。増粘抑制剤とは、導電性ペーストにおける上記粉末の抗凝集性を高め、貯蔵安定性の向上に寄与する成分である。この増粘抑制剤は、特定の分子構造を有する二級アミン化合物によって構成される。二級アミン化合物は、一般式:NHR;で表され、アンモニア(NH)の水素原子(H)二つを、炭化水素を含む官能基RおよびRで置換した構成の化合物である。ここで、RおよびRは、独立して炭素数が4〜12の直鎖状または環状の脂肪族基である。RおよびRは、好ましくは飽和脂肪族基であり得る。
なお、RおよびRにおける炭素鎖は、酸素原子(O)、窒素原子(N)および硫黄原子(S)を含まない。換言すると、RおよびRは、炭素骨格が炭素原子(C)の直接結合によって構成されており、例えば、O、N、S等のヘテロ原子を介した結合は含まない。このことにより、ここに開示される二級アミン化合物は、エーテル結合や、エステル結合を含まない。また、ここに開示される二級アミン化合物は、好ましくは末端にヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基などを含まない。詳細は明らかではないが、炭素鎖がこのようなヘテロ原子を含む場合は、却って導電性ペーストの増粘性が高くなる場合があるために好ましくない。また、詳細は明らかではないが、上記二級アミン化合物について、RおよびRは脂環式構造を有していてもよいが、分岐鎖構造を含むときも、却って導電性ペーストの増粘性が高くなり易い傾向が伺えるために好ましくない。このことから、例えば、RおよびRは、いずれも末端以外にメチル基(CH)を含まないことが好ましい態様であり得る。
増粘抑制剤の具体的な作用は明らかではないものの、上記特定の二級アミンからなる増粘抑制剤を含むことで、導電性ペーストは、上記の導電性粉末(および含有する場合は誘電体粉末)がペースト中で凝集することを抑制し、ペーストの粘度が上昇することを好適に抑制するとの効果が奏される。発明者らの検討によると、例えば、後述の実施形態に示すように、40℃の高温環境で15日間静置する、という粉体の凝集を招きやすい条件での保管であっても、導電性ペーストの粘度上昇率は、概ね50%以下、典型的には30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下に抑制される。
このような二級アミン化合物としては、例えば、具体的には、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン等のジアルキルアミン;ブチルペンチルアミン、ブチルヘキシルアミン、ブチルヘプチルアミン、ブチルオクチルアミン、ブチルノニルアミン、ブチルデシルアミン、ブチルウンデシルアミン、ブチルドデシルアミン、ペンチルヘキシルアミン、ペンチルヘプチルアミン、ペンチルオクチルアミン、ペンチルノニルアミン、ペンチルデシルアミン、ペンチルウンデシルアミン、ペンチルドデシルアミン、ヘキシルヘプチルアミン、ヘキシルオクチルアミン、ヘキシルノニルアミン、ヘキシルデシルアミン、ヘキシルウンデシルアミン、ヘキシルドデシルアミン、ヘプチルオクチルアミン、ヘプチルノニルアミン、ヘプチルデシルアミン、ヘプチルウンデシルアミン、ヘプチルドデシルアミン、オクチルノニルアミン、オクチルデシルアミン、オクチルウンデシルアミン、オクチルドデシルアミン、ノニルデシルアミン、ノニルウンデシルアミン、ノニルドデシルアミン、デシルウンデシルアミン、デシルドデシルアミン、ウンデシルドデシルアミン等のアルキルアミン;ジシクロブチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘプチルアミン、ジシクロオクチルアミン、ジシクロノニルアミン、ジシクロデシルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン等のジシクロアルキルアミン;シクロヘキシルブチルアミン、シクロヘキシルペンチルアミン、シクロヘキシルヘキシルアミン、ヘプチルシクロヘキシルアミン、オクチルシクロヘキシルアミン、ノニルシクロヘキシルアミン、シクロペンチルシクロヘキシルアミン等のアルキルシクロアルキルアミン等;が挙げられる。また、二級アミン化合物は、上記化合物の類縁化合物および誘導体であってもよい。これらの二級アミン化合物は、いずれか1種を単独で含んでいてもよいし、あるいは2種以上の組み合わせとして含んでいてもよい。これにより、ペースト中の粉末の分散安定性をより好適に高めることができる。
なお、導電性ペーストに含まれる増粘抑制剤の割合は、導電性粉末の形態、平均粒子径等にもよるため一概には規定されない。増粘抑制剤は、例えば、導電性ペースト中に少しでも含まれていることで、増粘抑制効果を奏することができる。なお、この増粘抑制効果をより確実に発揮するためには、増粘抑制剤は、例えば、導電性ペーストの全体を100質量%としたとき、0.001質量%以上であるとよく、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上より好ましい。また、増粘抑制剤を過剰に添加してもそれに見合う粘度上昇の抑制は行えず、かえってペーストの性状を損なう可能性がある。特に制限されるものではないが、増粘抑制剤の添加量は、例えば、10質量%以下を目安としてよく、5質量%以下であってよく、例えば、3質量%以下とすることができる。これにより、導電性ペーストを静置した場合であっても、ペースト中の粉末の凝集を抑制し、経時的な粘度の上昇を効果的に抑制することができる。その結果、例えば、導電性ペーストを印刷等により基材に供給する場合等において、供給装置内での導電性ペーストの粘度変化を長期に亘って好適に抑制することができる。また、導電性ペーストを低温、常温、ないしは高温の環境で保管する場合においても、導電性ペーストの粘度変化を好適に抑制することができる。
(B’)その他添加剤
なお、ここに開示される導電性ペーストは、ここに開示される技術の効果を著しく損ねない範囲において、上記の増粘抑制剤のほかに、一般的な導電性ペーストに使用し得ることが知られている各種の有機添加剤を含むことができる。このような有機添加剤とは、例えば、分散剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、pH調整剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、着色剤(顔料、染料等)等である。例えば、導体層を構成する主体である、導電性粉末および誘電体粉末等の粉末を用いると、そのようなナノ粒子は特別な表面処理等を施していない限り、ペースト調製中およびペースト調製直後において凝集してしまう。この傾向は、導電性粉末等として、平均粒子径が1μm未満程度のナノ粒子や、表面活性が顕著に高まり得る超微粉(例えば、平均粒子径が0.5μm以下の粉末)を用いた場合等にさらに顕著となる。したがって、ここに開示される導電性ペーストは、その他の添加剤として、分散剤を好ましく含むことができる。
分散剤は、粉末を分散媒中に分散させたときに、粉末を構成する粒子同士の凝集を抑制し、粒子を分散媒中に均一に分散させる成分である。分散剤は、粒子の固体表面に直接的に吸着して、粒子と分散媒との間の固液界面を安定化させる機能を備えている。分散剤は、導電性ペーストの焼成時に燃え抜けることが好ましい。換言すると、分散剤は、分解温度が導電性ペーストの焼成温度よりも十分に低い(典型的には600℃以下)ことが好ましい。
分散剤の種類等については特に限定されず、公知の各種の分散剤の中から必要に応じて1種または2種以上を用いることができる。典型的には、後述するビヒクル(バインダおよび分散媒の混合物)対して十分な相溶性を有するものを適宜選択して用いることができる。分散剤の分類の仕方は様々であり得るが、分散剤としては、いわゆる界面活性剤型分散剤、高分子型分散剤、無機型分散剤等のいずれのものであってもよい。また、これらの分散剤は、アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性のいずれであってもよい。換言すれば、分散剤は、分子構造中に、アニオン性基、カチオン性基、両性基およびノニオン性基の少なくとも1種の官能基を有する化合物であり、典型的にはこの官能基が粒子の固体表面に直接的に吸着し得る化合物であるとよい。なお、界面活性剤とは、分子構造内に親水性部位と親油性部位を備え、これらが共有結合で結合した化学構造を有する両親媒性物質をいう。
分散剤としては、例えば、界面活性剤型分散剤として、具体的には、アルキルスルホン酸塩を主体とする分散剤、第四級アンモニウム塩を主体とする分散剤、アルキレンオキサイド化合物を主体とする分散剤、多価アルコールエステル化合物を主体とする分散剤、アルキルポリアミン系化合物を主体とする分散剤等が挙げられる。高分子型分散剤として、例えば、カルボン酸等の脂肪酸塩を主体とする分散剤、ポリカルボン酸アルキルアミン塩を主体とする分散剤、ポリカルボン酸の一部にアルキルエステル結合を有するポリカルボン酸部分アルキルエステル化合物を主体とする分散剤、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリイソプレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等のスルホン酸系化合物を主体とする分散剤、ポリエチレングリコール等の親水性ポリマーを主体とする分散剤、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリ(メタ)アクリルアミドなどのポリ(メタ)アクリル系化合物を主体とする分散剤、ポリエーテル化合物を主体とする分散剤、ポリアルキレンポリアミン化合物を主体とする分散剤等を挙げることができる。無機型分散剤として、例えば、オルトリン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、及び有機リン酸塩等のリン酸塩、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、及び塩化第一鉄等の鉄塩、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、およびアルミン酸ナトリウム等のアルミニウム塩、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、及び第二リン酸カルシウム等のカルシウム塩を主体とする分散剤が挙げられる。なお、これに限定されるものではないが、より微細な粉末をより高濃度で含む導電性ペーストの調製に際しては、例えば、粒子間の相互作用を効果的に低減できて分散安定性を向上させる機能に優れた高分子型分散剤を使用すると好適である。
なお、上記の有機添加剤は、いずれか1種が単独で含まれていてもよく、2種以上が組み合わせて含まれていてもよい。また上記有機添加剤の含有量は、ここに開示される導電性ペーストの性状を著しく阻害しない範囲において適宜調整することができる。例えば、当該有機添加剤の性状とその目的とに応じて適切な割合で含有することができる。大まかには、例えば、分散剤は、一般的には、粉末成分の総質量に対して約5質量%以下、例えば3質量%以下、典型的には1質量%以下であって、約0.01質量%以上の割合で含まれる。なお、導電性粉末や無機粉末の焼結性等を阻害する成分や、これらを阻害するような量での添加剤の含有は好ましくない。かかる観点から、有機添加剤を含む場合は、これらの成分の総含有量が、導電性ペースト全体の約10質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
(C)バインダ
バインダは、ここに開示される導電性ペーストにおける結着剤として機能する。このバインダは、典型的には、導電性ペーストに含まれる粉末と基材との接合と、当該粉末を構成する粒子同士の結合とに寄与する。また、バインダは、後述の分散媒と協働し、液相媒体(ビヒクルともいう)として機能する。このことにより、導電性ペーストの粘性を高めて粉末成分を均一かつ安定にビヒクル中に懸濁させ、粉末に対して流動性を付与するとともに、取り扱い性の向上に寄与する。このバインダは、焼成により消失されることを前提とした成分である。したがって、バインダは、導体膜の焼成時に燃え抜ける化合物であることが好ましい。典型的には、雰囲気によらず分解温度が500℃以下であることが好ましい。バインダの組成等については特に限定されず、この種の用途に使用されている公知の各種の有機化合物を適宜用いることができる。
このようなバインダとしては、例えば、ロジン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン系樹脂等の有機高分子化合物が挙げられる。使用する溶剤との組み合わせにもよるために一概には言えないが、例えば、無機酸化物粉末を含み、焼成温度が比較的高温となる導電性ペーストのバインダとしては、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、アクリル系樹脂等が好適である。
セルロース系樹脂は、無機酸化物粉末の分散性の向上に寄与し、また、導電性ペーストを印刷等に供した場合に印刷体(配線膜)の形状特性や印刷作業への適応性に優れることなどから好ましい。セルロース系樹脂は、β−グルコースを少なくとも繰り返し単位として含む重合体およびその誘導体の全般を意味する。典型的には、繰り返し単位であるβ−グルコース構造におけるヒドロキシ基の一部または全部をアルコキシ基に置換した化合物およびその誘導体であり得る。アルコキシ基(RO−)におけるアルキル基またはアリール基(R)は、その一部または全部が、カルボキシル基などのエステル基、ニトロ基、ハロゲン、他の有機基に置換されていてもよい。セルロース系樹脂としては、具体的には、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロポキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ニトロセルロース等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、無機酸化物粉末の分散性を良好にし、柔軟であるため導電性ペーストを印刷等に供した場合に印刷体(配線膜)の密着性、印刷性等に優れることなどから好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、ビニルアルコール構造を少なくとも繰り返し単位として含む重合体およびその誘導体の全般を意味する。典型的には、ビニルアルコールが重合した構造からなるポリビニルアルコール(PVA)や、このようなPVAをアルコールでアセタール化したポリビニルアセタール樹脂、およびこれらの誘導体等であってよい。なかでもPVAをブタノールでアセタール化した構造を有するポリビニルブチラール系樹脂(PVB)は、印刷体の形状特性が向上されるためにより好ましい。またこれらのポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアセタールを主モノマーとし、当該主モノマーに共重合性を有する副モノマーを含む共重合体(グラフト共重合を含む)などであってよい。副モノマーとしては、例えば、エチレン、エステル、(メタ)アクリレート、酢酸ビニルなどが挙げられる。ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール化の割合は特に制限されず、例えば、50%以上が好ましい。
アクリル系樹脂は、粘着性および柔軟性に富み、焼成雰囲気に因らずに焼成残渣がより少ない点において好ましい。アクリル系樹脂としては、例えば、少なくともアルキル(メタ)アクリレートを構成モノマー成分として含む重合体およびその誘導体の全般を意味する。典型的には、構成モノマー成分としてアルキル(メタ)アクリレートを100質量%含むホモポリマーや、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとし、当該主モノマーに共重合性を有する副モノマーを含む共重合体(グラフト共重合を含む)などであってよい。副モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ビニルアルコール系モノマー、ジアルキルアミノ基,カルボキシル基,アルコキシカルボニル基等が導入された共重合性モノマーが挙げられる。アクリル系樹脂としては、具体的には、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、塩化ビニル/アクリルグラフト共重合樹脂、ビニルアセタール/アクリルグラフト共重合樹脂等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」等の表記は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを包括的に意味する用語として使用される。
上記のバインダは、いずれか1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また明示的に記載していないものであっても、上記のいずれか2以上の樹脂のモノマー成分を共重合させて用いてもよい。また、バインダの含有量は特に制限されない。バインダの含有量は、導電性ペーストの性状や、ペースト印刷体(乾燥膜を含む)の性状とを良好に調整するために、例えば、導電性粉末100質量部に対して、0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、例えば2質量部以上の割合であってよい。一方で、バインダ樹脂は焼成残渣が増大する可能性があることから過剰な含有は好ましくない。かかる観点から、バインダの含有量は、導電性粉末100質量部に対して、10質量部以下、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下、例えば4質量部以下とすることができる。
(D)分散媒
分散媒は、導電性ペーストに含まれる粉末を分散状態にするための媒体であり、例えば当該分散性を保ったまま優れた流動性を付与するための要素である。また、分散媒は、上記のバインダと協働し、液相媒体(ビヒクルともいう)として機能する。この分散媒も、焼成により消失されることを前提とした成分である。分散媒については特に制限はなく、この種の導電性ペーストに用いられる有機溶剤を適宜用いることができる。例えば、バインダとの組み合わせにもよるが、成膜安定性性等の観点からは、沸点が約180℃以上300℃以下程度、例えば、200℃以上250℃以下程度の高沸点有機溶剤を主成分(50体積%以上を占める成分。)とするとよい。
分散媒としては、例えば、具体的には、スクラレオール、シトロネロール、フィトール、ゲラニルリナロオール、テキサノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、イソボルネオール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコール等のアルコール系溶剤;ターピネオールアセテート、ジヒドロターピネオールアセテート、イソボルニルアセテート、カルビトールアセテート、メンタノールアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート等のエステル系溶剤;ミネラルスピリット等が挙げられる。なかでも、エステル系溶剤を好ましく用いることができる。
導電性ペーストにおける(C)分散媒の割合は特に限定されないが、ペースト全体を100質量%としたときに、概ね70質量%以下、典型的には5〜60質量%、例えば30〜50質量%であるとよい。上記範囲を満たすことで、ペーストに適度な流動性を付与することができ、成膜時の作業性を向上することができる。また、ペーストのセルフレベリング性を高めて、より滑らかな表面の導体膜を実現することができる。
導電性ペーストは、上記構成成分を所定の割合で配合し、均一に混合および混練することで、調製することができる。混合に際しては、各構成材料を同時に混合してもよいが、例えば、(C)バインダと(D)分散媒とを予め混合してビヒクルを調製したのち、かかるビヒクルに、(A)導電性粉末等の粉末と(B)増粘抑制剤とを混ぜ込むようにしてもよい。また、その他の添加剤を添加する場合は、その添加のタイミングに特に制限はない。これらの原料の混合は、例えば公知の撹拌混合装置を用いて実施することができる。このような装置としては、例えば三本ロールミル、プラネタリーミキサー、ディスパー等が挙げられる。また、導電性ペーストの基材への供給は、例えばスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷およびインクジェット印刷等の印刷法や、スプレー塗布法、ディップコーティング法等を採用することができる。特にMLCCの内部電極層を形成する場合、高速印刷が可能なグラビア印刷法、スクリーン印刷法等を好適に採用することができる。
[用途]
以上のここに開示される導電性ペーストは、上述のように、例えば40℃の恒温器に15日間静置して保管するという、粉体の凝集を招きやすい条件での保管であっても、粘度上昇率が低く(例えば50%以下、典型的には30%以下に)抑制されている。換言すると、この導電性ペーストは、ペースト調製後の長期保管性に優れており、例えば、量産工程において一度に多量のペーストを調製して長時間にわたって使用することもできる。このような特徴は、この導電性ペーストを使用して形成される導体層の保管性のみならず、印刷性を安定させることにもつながり、例えば、導体層の厚み、密度等の均質性の向上にも寄与する。したがって、ここで開示されるペーストは、導体層の均質性や表面平滑性等が特に要求される用途で好ましく用いることができる。代表的な用途としては、積層セラミック電子部品における電極層の形成が挙げられる。ここで開示される導電性ペーストは、例えば、各辺が5mm以下、例えば1mm以下の小型のMLCCの内部電極層の形成に好適に用いることができる。とりわけ、誘電体層の厚みが1μm以下レベルの小型大容量のMLCCの内部電極の作成に好適に用いることができる。
なお、本明細書において、「セラミック電子部品」とは、結晶質のセラミック基材あるいは非晶質のセラミック(ガラスセラミック)基材を有する電子部品一般を意味する用語である。例えば、セラミック製の基材を含むチップインダクタ、高周波フィルター、セラミックコンデンサ、高温焼成積層セラミック基材(High Temperature Co-fired Ceramics:HTCC)基材、低温焼成積層セラミック(Low Temperature Co-fired Ceramics:LTCC)基材等は、ここでいう「セラミック電子部品」に包含される典型例である。
セラミック基材を構成するセラミック材料としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)、酸化マグネシウム(マグネシア:MgO)、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、二酸化ケイ素(シリカ:SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(チタニア:TiO)、酸化セリウム(セリア:CeO)、酸化イットリウム(イットリア:Y)等の酸化物系材料;コーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(2MgO・SiO)、ステアタイト(MgO・SiO)、サイアロン(Si−AlN−Al)、ジルコン(ZrO・SiO)、フェライト(MO・Fe)等の複合酸化物系材料;窒化ケイ素(シリコンナイトライド:Si)、窒化アルミニウム(アルミナイトライド:AlN)、窒化ホウ素(ボロンナイトライド:BN)等の窒化物系材料;炭化ケイ素(シリコンカーバイド:SiC)、炭化ホウ素(ボロンカーバイド:BC)等の炭化物系材料;ハイドロキシアパタイト等の水酸化物系材料;などが挙げられる。これらは1種を単独で含んでもよいし、2種以上を混合た混合物として、あるいは2種以上を複合化した複合体として含んでもよい。
[積層セラミックコンデンサ]
図1は、積層セラミックコンデンサ(MLCC)1を模式的に示した断面図である。MLCC1は、多数の誘電体層20と内部電極層30とが、交互にかつ一体的に積層されて構成された、チップタイプのコンデンサである。誘電体層20と内部電極層30とからなる積層チップ10の側面に、一対の外部電極40が設けられている。一例として、内部電極層30は、積層順で交互に異なる外部電極40に接続される。このことにより、誘電体層20とこれを挟む一対の内部電極層30とからなるコンデンサ構造が、並列に接続された、小型大容量のMLCC1が構築される。MLCC1の誘電体層20は、セラミックにより構成されている。内部電極層30は、ここに開示される導電性ペーストの焼成体によって構成される。このようなMLCC1は、例えば、以下の手順によって好適に製造される。
図2は、未焼成の積層チップ10(未焼成の積層体10’)を模式的に示した断面図である。MLCC1の製造に際しては、まず、基材としてのセラミックグリーンシートを用意する。ここでは、例えば、誘電体材料としてのセラミック粉末とバインダと有機溶剤等とを混合して誘電体層形成用のペーストを調製する。次に、調製したペーストをドクターブレード法等によりキャリアシート上に薄層状に供給することで、未焼成のセラミックグリーンシート20’を複数枚用意する。
次に、ここに開示される導電性ペーストを用意する。具体的には、少なくとも導電性粉末(A)と増粘抑制剤(B)とバインダ(C)と分散媒(D)とを準備し、これらを所定の割合で配合し、均一に混合することで導電性ペーストを調製する。そして調製したペーストを、用意したセラミックグリーンシート20’上に所定のパターンかつ所望の厚み(例えば、1μm以下)になるように供給し、導電性ペースト塗布層30’を形成する。ここに開示される導電性ペーストは、経時的な粘度上昇が抑制されている。したがって、MLCCの量産に際し、セラミックグリーンシート20’への導電性ペースト塗布層30’の形成(印刷)が連続して長時間にわたっても、導電性ペーストの性状が安定しているために印刷品質も良好に安定させることができる。
用意した塗布層30’付きのセラミックグリーンシート20’は、複数枚(例えば、数百〜数千枚)を積層して圧着する。この、積層圧着体は、必要に応じてチップ形状に切断する。これにより、未焼成の積層体10’を得ることができる。次いで、作製した未焼成積層体10’を、適当な加熱条件(例えば、窒素含有雰囲気中、約1000〜1300℃程度の温度)で焼成する。これにより、セラミックグリーンシート20’と導電性ペースト塗布層30’とは同時に焼成される。セラミックグリーンシートは焼成されて、誘電体層20となる。導電性ペースト塗布層30’は、焼成されて内部電極層30となる。誘電体層20と電極層30とは一体的に焼結されて、焼結体(積層チップ10)を得ることができる。なお、上記焼成に先行して、増粘抑制剤、バインダおよび分散媒等を消失させるために、脱バインダ処理(例えば、酸素含有雰囲気中、焼成温度よりも低い温度:例えば約250〜700℃;での加熱処理)を施してもよい。その後、積層チップ10の側面に外部電極材料を塗布して焼き付けることにより、外部電極40を形成する。これにより、MLCC1を製造することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
[実施形態1]
平均粒子径が0.18μmのNi粉末と、平均粒子径が0.05μmのチタン酸バリウム粉末とを、分散剤および増粘抑制剤とともにビヒクルに分散させ、3本ロールミルにて混練することで例1〜13の導電性ペーストを調製した。
なお、ビヒクルは、バインダと有機溶剤とを混合後、100℃程度で5時間ほど、適宜撹拌しながら処理することで調製した。バインダとしてはエチルセルロースを、有機溶剤としてはイソボルニルアセテートを、分散剤としてはカルボン酸系分散剤を、増粘抑制剤としては下記の表1に示す二級アミンを用いた。また、導電性ペーストにおける各成分の配合は、Ni粉末:50質量%、チタン酸バリウム粉末:12.5質量%(Ni粉末の25質量%)、バインダ:2.0質量%、カルボン酸系分散剤:0.64質量%、二級アミン:0.5質量%、残部溶剤、で一定とした。
表1に、各例の導電性ペーストに用いた二級アミンについて、その構造を示す示性式または構造式と、分子量と、その他の構造特徴とについて併せて示した。構造特徴に関しては、(A)二級アミンの化学構造:NHR;におけるRおよびRが同一(R=R)か否かと、(B)官能基R、Rに含まれる炭素数Nと、(C)官能基RまたはRに含まれるメチル基のより多い方の数NCH3と、を示した。なお(A)欄における記号「○」は、RおよびRが同一であることを意味する。
〔促進粘度上昇率〕
各例の導電性ペーストを、40℃の恒温器に15日間静置して保管し、保管の前後における粘度上昇率を調べた。導電性ペーストの粘度は、デジタル回転粘度計(ブルックフィールド社製、DV−III ULTRA)を用い、室温(25℃)にて、スピンドル「SC4−14」およびサンプルチャンバー「SC4−6R」を使用し、回転速度100rpmの条件で測定した。粘度上昇率は、下式に基き算出し、その結果を表1に示した。
粘度上昇率(%)=(保管後粘度−保管前粘度)÷保管前粘度×100
Figure 2019164899
表1に示されるように、一般式:NHR;で表される二級アミンであって、RおよびRの両方が、直鎖状または環状の飽和炭化水素基であり、炭素数が4以上のものを増粘抑制剤として用いることにより、導電性ペーストの粘度増加を抑制できることがわかった。具体的には、例えば、ペースト主材として平均粒子径が0.18μmのNi粉末と0.05μmのチタン酸バリウム粉末とからなる超微粉を用いた場合であっても、高温で15日間経過後の粘度上昇率を50%以下、典型的には30%以下に抑えることが可能であった。これにより、ここに開示される技術によって長期保管した場合でも分散安定性に優れた導電性ペーストが得られることがわかった。
これに対し、二級アミンであっても、RおよびRの炭素数が3のジプロピルアミンを用いた場合は、構造がシンプルで分子量が小さいにもかかわらず、粘度上昇を抑える効果が十分に得られないことが確認された。
また、RおよびRの炭素数がいずれも4の二級アミンであるジブチルアミンを分散剤として用いた場合は、RおよびRが直鎖状のn−ジブチルアミンの場合は粘度上昇率が15.2%と極めて低く抑えることができたのに対し、RおよびRが分岐鎖状のジ(sec−ブチル)アミンを用いた場合は粘度上昇率が52.2%と、例えば50%以下に抑えることができず、ジ(iso−ブチル)アミンを用いた場合は粘度上昇率が129.4%と、本実施形態の中で最も高い値となってしまうことがわかった。
さらに、RおよびRが炭素鎖の長い分岐鎖状のジ(2−エチルヘキシル)アミンを用いた場合は、粘度上昇率が117.6%と全例中で2番目に高い値となった。これらのことから、RおよびRは分岐鎖であると導電性ペーストの経時的な増粘を抑制することが困難なことがわかった。
一方で、RおよびRに環構造を含むジシクロヘキシルアミンを用いた場合は粘度上昇率が24.7%と低く抑えられ、RおよびRが嵩高い構造であっても増粘抑制効果が得られることがわかった。例えば、RおよびRは末端または末端のメチル基が少ない方がよいことが予想される。
詳細は明らかではないが、以上のことから、二級アミンの構造を適切に選択することで、二級アミンを導電性ペーストの増粘抑制剤(粘度安定剤)として利用できることがわかった。
[実施形態2]
Ni粉末と、チタン酸バリウム粉末とを、バインダ、分散剤および増粘抑制剤とともに有機溶剤に分散させ、3本ロールミルにて混練することで例14〜31の導電性ペーストを調製した。
バインダとしてはエチルセルロースを、有機溶剤としてはイソボルニルアセテートを、分散剤としてはカルボン酸系分散剤を、増粘抑制剤としては、下記の表2に示すアミン系化合物を用いた。また、導電性ペーストにおける各成分の配合は、Ni粉末:50質量%、チタン酸バリウム粉末:12.5質量%(Ni粉末の25質量%)、バインダ:2.0質量%、カルボン酸系分散剤:0.9質量%、アミン系化合物:下記表2参照、残部溶剤、とした。
(例14〜20)
例14〜20の導電性ペーストは、実施形態1と同様に、Ni粉末とチタン酸バリウム粉末として平均粒子径が0.18μmと0.05μmの粉末をそれぞれ用いた。そして、アミン系化合物としてはn−ジブチルアミンを用い、その配合量を下記表2に示すように、0質量%〜2.00質量%の間で変化させた。
(例21〜23)
例21〜23の導電性ペーストは、Ni粉末とチタン酸バリウム粉末として平均粒子径が0.4μmと0.10μmの、相対的に粗大な粉末をそれぞれ用いた。また、アミン系化合物としてはn−ジブチルアミンを用い、その配合量を下記表2に示すように、0.50質量%〜2.00質量%の間で変化させた。
(例24〜28)
例24〜28の導電性ペーストは、実施形態1と同様に、Ni粉末とチタン酸バリウム粉末として平均粒子径が0.18μmと0.05μmの粉末をそれぞれ用いた。そして、アミン系化合物として、例24ではビス(2−メトキシエチル)アミンを、例25ではビス(2−エトキシエチル)アミンを、例26〜28ではトリブチルアミンを用い、その配合量を表2のとおりに設定した。なお、例24、25、26および29の配合量に*を付しているのは、当該配合量が、ジブチルアミンの0.5質量%とモル等量であることを示している。なお、例24〜28で使用した、ビス(2−メトキシエチル)アミンおよびビス(2−エトキシエチル)アミンはRおよびRにエーテル結合を有するアミン化合物であり、トリブチルアミンは三級アミンである。
(例29〜31)
例29〜31の導電性ペーストは、Ni粉末とチタン酸バリウム粉末として平均粒子径が0.4μmと0.10μmの、相対的に粗大な粉末をそれぞれ用いた。また、アミン系化合物としては、例26〜28と同じトリブチルアミンを用いた。
〔促進粘度上昇率〕
各例の導電性ペーストについて、第一実施形態と同様に、粘度上昇率を調べた。すなわち、各例の導電性ペーストを40℃の恒温器に15日間静置して保管し、保管の前後における粘度上昇率を調べた。導電性ペーストの粘度は、デジタル回転粘度計(ブルックフィールド社製、DV−III ULTRA)を用い、室温(25℃)にて、スピンドル「SC4−14」およびサンプルチャンバー「SC4−6R」を使用し、回転速度100rpmの条件で測定した。粘度上昇率は、下式に基き算出し、その結果を表2に示した。
粘度上昇率(%)=(保管後粘度−保管前粘度)÷保管前粘度×100
Figure 2019164899
例14〜20に示されるように、アミン系増粘抑制剤を加えない例14では粘度上昇率が74.5%と高くなるのに対し、アミン系増粘抑制剤を加えた例15〜20では粘度上昇率を16.2%以下、たとえば2.5%程度にまで好適に抑制できることが確認された。例15に示されるように、アミン系増粘抑制剤の添加量は、導電性ペーストに対してわずか0.01質量%であっても増粘抑制効果が十分に得られることがわかった。また、例17に誤差が見られるものの、アミン系増粘抑制剤は添加量が増えるほど、粘度上昇の抑制効果が高くなる傾向があることがわかった。しかしながら、アミン系増粘抑制剤の添加量が約2質量%程度にまで高くなると、増粘抑制の効果はやや飽和傾向となる様子が伺えた。
また、例21〜23に示すように、導電性ペーストに添加する粉末材料の平均粒子径をやや粗大にすると、アミン系増粘抑制剤による粘度上昇抑制効果はより一層顕著に発揮され、例えば0.50質量%というわずかな添加で粘度上昇率を2.2%と低く抑えられることが確認できた。また、添加量を2質量%とした例23では、40℃の高温環境で15日間保存した後であっても、粘度変化が全く見られず、粘度の上昇を完全に防止できたことが確認された。このことから、アミン系増粘抑制剤の添加量は、おおよそ2質量%程度(例えば3質量%以下)を上限の目安としてよいことがわかる。
これに対し、例24、25に示すように、アミン系化合物としてRおよびRにメチル基メトキシエチル基やエトキシエチル基のようなO(酸素原子)が導入された化合物を用いると、その他の構造はほぼ同一であっても、粘度上昇率は一気に高くなることが確認された。RおよびRにO等のC,H以外の元素が含まれるアミン系化合物は、導電性ペーストの増粘抑制剤としては機能しないことが確認された。
また、例26〜31に示されるように、アミン系化合物として、三級アミンであるトリブチルアミンを用いた場合も、ある程度の増粘抑制効果が得られることがわかる。しかしながら、トリブチルアミンを用いた場合は、例29〜31の比較的大粒径の粉末を含む導電性ペーストについては、粘度上昇率を例えば4.6%以下と低く抑えられるものの、例26〜28の微細な粉末を含む導電性ペーストについては、粘度上昇率が例えば30.4%以上と、大粒径の粉末を用いた場合に比べて6倍以上(約8倍)にも高くなってしまうことがわかった。このことから、トリブチルアミンは、例えば平均粒子径が0.4μmレベルのNi粉末を用いる導電性ペーストについては増粘抑制効果を発揮しうるものの、より微細な粉末を多く含む導電性ペーストについては増粘抑制効果が十分に発現されないといえる。このことは、例えば、二級アミンを用いた例18と例26、例21と例29等とを比較することでも明確に確認することができる。また、換言すれば、ここに開示される条件を満たす二級アミンからなる増粘抑制剤は、平均粒子径が0.4μm程度の粉末を含む導電性ペーストはもちろんのこと、平均粒子径が0.2μm以下のレベルの粉末を含む導電性ペーストに対しても、優れた増粘抑制効果を発揮し得ることがわかった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 MLCC
10 積層コンデンサ部分
10’ 未焼成の積層体
20 誘電体層
20’ 誘電体グリーンシート
30 内部電極層
30’ 導電性ペースト塗布層
40 外部電極

Claims (9)

  1. 導電性粉末と、バインダと、増粘抑制剤と、分散媒と、を含み、
    前記増粘抑制剤は、一般式:NHR;で表される二級アミン化合物であって、
    式中のR、Rは、独立して炭素数が4〜12の直鎖状または環状の脂肪族基であって、前記Rおよび前記Rにおける炭素鎖は酸素原子、窒素原子および硫黄原子を含まない、導電性ペースト。
  2. 前記Rおよび前記Rは、R=Rを満たす、請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 前記Rおよび前記Rは、いずれも末端以外にメチル基を含まない、請求項1または2に記載の導電性ペースト。
  4. 前記増粘抑制剤は、当該導電性ペースト中に、0.001質量%以上5質量%以下の割合で含まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  5. 前記導電性粉末は、ニッケル粉末である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  6. 前記導電性粉末は、平均粒子径が1μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  7. さらに、誘電体粉末を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  8. 第1の平均粒子径を有する第1粉末と、第2の平均粒子径を有する第2粉末とを含み、
    前記第2の平均粒子径Dは、前記第1の平均粒子径Dを基準として、0.1×D以上0.4×D以下の範囲であり、
    前記導電性粉末は、少なくとも前記第1粉末を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  9. 誘電体層と内部電極層とが積層されてなり、
    前記内部電極層は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性ペーストの焼成物によって構成されている、積層セラミックコンデンサ。
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