JP6578966B2 - 導電性ペースト及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、有機溶剤、樹脂、及び導電性金属粉末に加えて酸系添加剤とアミン系添加剤とを含有する導電性ペースト及びその製造方法に関する。
導電性ペーストは、溶剤、樹脂、及び導電性金属粉末を含有しており、電子部品の電極などの導電部を形成する材料として広く用いられている。電子部品の電極の作製では、例えばセラミック等の基板やグリーンシートの表面にスクリーン印刷などの印刷技術を利用して所定のパターン形状を有する印刷膜を形成した後、加熱乾燥により該印刷膜から溶媒を除去し、残った乾燥膜をその中に含まれる導電性金属粉末の焼結温度で焼成することで金属膜からなる電極を得る方法が用いられている。
上記のような導電性ペーストを材料として作製する電子部品の一例として、誘電体層と内部電極層とを交互に重ね合わせた積層体構造の積層セラミックコンデンサが知られている。近年、電子機器の軽薄短小化に伴い、かかる積層セラミックコンデンサに対しても小型化、大容量化が求められており、上記した誘電体層や内部電極層を薄層化して多層化する技術がますます重要となってきている。
積層セラミックコンデンサは一般に次の工程を経て作製される。すなわち、先ずチタン酸バリウム(BaTiO)等で代表される誘電体粉末とポリビニルブチラール、アクリル等の有機バインダとからなるいわゆる誘電体グリーンシート(単にグリーンシートとも称する)上に導電性金属粉末を含有する内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷し、これを乾燥して内部電極が印刷されたグリーンシートを得る。
グリーンシートに印刷した内部電極パターンを精密に位置合わせしながら複数枚重ね合わせた後、熱水による静水圧で熱圧着し、その後、所定の大きさを有するいわゆるグリーンチップに切断する。次にこのグリーンチップを、脱バインダを目的としてバッチ式若しくはベルト式電気炉にて所定の温度のガス雰囲気の下で加熱する。その後、誘電体になる部分と内部電極になる部分とを焼結させるために約1300℃で焼成する。このようにして得た焼成体に対して外部電極用の導電性ペーストを塗布し、この導電性ペースト中に含まれる有機分の脱バインダを行ってから焼成処理する。更に半田の濡れ性向上のため、上記焼成処理後の外部電極部にニッケルメッキとスズメッキとを施す。これにより、積層セラミックコンデンサが完成する。
導電性ペーストの使用は、上記スクリーン印刷により電子部品を形成するいわゆる厚膜技術に用いる場合に限定されない。一般に導電ペーストに含まれる導電性金属粉末等の無機成分は、上記したように加熱乾燥及び焼成後に得られる電子部品の電極等において緻密に結合して抵抗値が低くなるように、十分な量を含有するのが望ましい。しかし、導電性ペーストに含まれる無機成分の量が適量を超えて多くなりすぎると導電性ペーストの粘度が高くなりすぎ、上記した厚膜技術において、導電性ペーストを良好にスクリーン印刷できなくなるおそれがある。
また、上記した厚膜技術の用途に使用される導電性ペーストは、長期間に亘って保管されたり長時間かけてスクリーン印刷が行われたりする。そのため、導電性ペーストは粘度の経時変化率が小さいことが望ましい。そこで、特許文献1には導電性ペーストに添加する有機溶剤を改善することで、粘度の経時変化率を低く抑えると共にシートアタックの発生を防止する技術が開示されている。
特開2012−226865号公報
上記のように、導電性ペーストの粘度の経時変化率を小さく抑えることにより該導電性ペーストから得られる電子部品の品質のばらつきが減少し、歩留まりを向上させることができる。しかしながら、特許文献1に記載の技術は導電性ペーストの材料に特定の樹脂を用いる必要がある上、ビヒクルの作製に使用する溶剤にも特殊な特性と構造を有するものを用いる必要があるため、汎用性が低く、コストがかかることがあった。
本発明は上記した従来の導電性ペーストの問題に鑑みてなされたものであり、一般的な材料を用いてコストをかけることなく粘度の経時変化率を小さく抑えることが可能な導電性ペースト及びその製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明にかかる導電性ペーストの製造方法は、有機溶媒に樹脂を溶解して得たビヒクルにアミン系有機添加剤を添加して混合した後、得られた添加剤含有ビヒクルに導電性金属粉末及び酸系有機添加剤を添加して混合する導電ペーストの製造方法であって、該導電ペーストの粘度の所望の経時変化率に応じて該アミン系有機添加剤の添加量の調整を行うことを特徴としている。
また、本発明が提供する導電ペーストは、有機溶剤、樹脂、アミン系有機添加剤、酸系有機添加剤及び導電性金属粉末を含有する導電ペーストであって、導電ペーストの作製から1日後の粘度に対する粘度の経時変化率が21日後で30%以下であることを特徴としている。
本発明によれば、一般的な材料を用いても導電性ペーストの粘度の経時変化率を小さく抑えることができるので、コストをかけることなく該導電性ペーストによって作製される電子部品の歩留まりを向上させることができる。
以下、本発明の導電性ペーストの製造方法の実施形態について説明する。積層セラミックコンデンサの内部電極用などの導電ペーストに含まれる導電性金属粉末には、金、銀、パラジウム、銅、ニッケルなどの金属粉末又はその合金粉末を使用することができるが、これらの中では安価なニッケル及び/又はその合金からなる粉末を使用するのが好ましい。この導電性金属粉末は導電性ペースト中の含有量が40〜60質量%であるのが好ましく、45〜55質量%であるのがより好ましい。含有量が40質量%未満では形成した電極の厚みが薄くなりすぎて良好な導電性が得られなくなるおそれがあり、逆に含有量が60質量%を超えると電極層を薄層化するのが困難になるからである。
また、導電性ペーストに含まれる導電性金属粉末は、その平均粒径が0.05〜0.4μmであるのが好ましい。その理由は、導電性金属粉末は凝集により粗大粒子を生じることがあり、平均粒径が0.4μmを超えると粒径1μmを超える粗大粒子が導電性ペーストに含まれ得るからである。このような粒径1μmを超える粗大粒子が導電性ペーストに含まれると、特に薄い金属膜を形成する場合、得られる乾燥膜や焼成後の金属膜の平滑性が損なわれるおそれがある。グリーンシート上に形成した金属膜の平滑性が損なわれると、積層した際に空隙を生じるなどの不具合を発生するため、積層セラミックコンデンサの内部電極用としては好ましくない。なお、導電性金属粉末の粗大粒子は、SEM等の電子顕微鏡で確認することもできるが、公知の粒度分布測定装置でも確認することができる。
一方、平均粒径が0.05μm未満では粒子の比表面積が大きくなりすぎ、表面活性が強くなって導電性ペーストの乾燥等の処理の際に悪影響を及ぼしたり導電性ペーストを長期間保存している間に変質したりするおそれがあるので好ましくない。ここで、上記の導電性金属粉末の平均粒径は、BET法に基づいて測定した比表面積から下記式1で算出したものである。
[式1]
粒径=6/Sρ
上記式1において、SはBET法で測定した導電性金属粉末の比表面積(m/g)である。ρは導電性金属粉末の真密度であり、例えばニッケル粉末の場合は8.9(g/cm)である。上記の粒径を有するニッケル粉末は、一般に液相還元法や気相法で製造することができる。液相還元法は、ニッケル塩水溶液を還元剤により還元してニッケル粉末を析出させる方法である。気相法は、個体の蒸発、凝縮の物理的変化のみでニッケル粉末を作製するPVD法(Physical Vapor Deposition)と、化学反応を利用してニッケル粉末を作製するCVD法(Chemical Vapor Deposition)とに大別することができる。
例えば、PVD法では、ニッケル又はその合金の試料を直流又は交流アーク放電、高周波誘導プラズマ、マイクロ波プラズマ、高周波誘導加熱、レーザーなどの熱によって蒸発させた後、急冷することでニッケル粉末を得ることができる。一方、CVD法では、ニッケルの塩化物又は炭酸化合物などのニッケル化合物の原材料を例えばマイクロリアクタ内で反応させることでニッケル粉末を得ることができる。
本発明の実施形態の導電性ペーストの製造方法では、作製される導電性ペーストに含まれる樹脂にメチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロースなどセルロース系樹脂、メタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等のポリアセタール樹脂を用いることができる。これら樹脂を加えることで、導電性ペーストの粘度を良好な値に調整することができるが、特にセルロース系樹脂が印刷性等の観点から望ましく、セルロースのOH基の一部を塩化メチルでエーテル化した樹脂であるエチルセルロースを用いることがより望ましい。上記の樹脂を導電性ペースト中に1〜5質量%程度含有されるように添加するのが好ましい。この含有量が1質量%未満では乾燥膜の強度が低下したり積層膜に剥がれが生じたりするおそれがあるので好ましくない。逆に、樹脂の含有量が5質量%を超えると脱バインダ性が損なわれるおそれがあるので好ましくない。
本発明の実施形態の導電性ペーストの製造方法では、作製される導電性ペーストに含まれる有機溶剤が上記樹脂成分と相溶性を有することが望ましい。また、該有機溶剤が導電性金属粉末などの無機成分粉末をペースト中で安定して分散させる機能を有しているのが好ましい。これにより、電子部品のグリーンシートや回路基板などの表面に無機成分粉末を均一に塗布(印刷)することができる。塗布された有機溶媒は、焼成時までにはほとんど蒸発して大気中に拡散する。
このような有機溶剤としては、ターピネオール(α、β、若しくはγ又はこれらの混合物)、ジヒドロターピネオール、オクタノール、デカノール、トリデカノール、フタル酸ジブチル、酢酸ブチル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどを挙げることができる。具体的な有機溶剤は導電性ペーストが塗布される基材の種類に応じて適宜選択すればよい。また、上記導電性ペーストには、所望の無機成分濃度となるように炭化水素系有機溶剤を用いて希釈してもよい。
本発明の実施形態の導電性ペーストの製造方法では、作製される導電性ペーストにカルボキシル基を有する酸系有機添加剤が分散剤として含まれるようにする。かかる酸系有機添加剤はアミド結合を有するアミノ酸や炭素数11以上の高級脂肪酸、又はそれらの誘導体から選ばれる1種以上が望ましい。前者のアミド結合を有するアミノ酸としては、グリシンと高級脂肪酸とがアミド結合したアミド化合物が望ましく、例えば、グリシンとオレイン酸とのアミド化合物であるオレオイルサルコシンを挙げることができる。この場合、オレオイルサルコシンのオレイン酸をステアリン酸に変えた化合物でも同様に機能する。あるいは、オレイン酸をラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、バクセン酸、リノール酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸などに変えてもよい。
上記のアミド結合する高級脂肪酸は、不飽和カルボン酸でも飽和カルボン酸でもよい。また、後者の炭素数11以上の高級脂肪酸に用いる高級脂肪酸も、不飽和カルボン酸でも飽和カルボン酸でもよい。このような高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、バクセン酸、リノール酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の炭素数11以上の高級脂肪酸を挙げることができる。
本発明の実施形態の導電性ペーストの製造方法では、作製される導電性ペーストに分散剤として更にアミン系有機添加剤が含まれる。使用するアミン系有機添加剤は、炭素数10以上の高級アミンやロジンアミンが望ましい。前者の高級アミンは、不飽和炭素結合を有しても有していなくてもよく、例えばラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等を挙げることができる。
本発明の実施形態の導電性ペーストの製造方法では、有機溶媒に好適には含有率1〜30質量%となるように樹脂を溶解させて得られるビヒクルにアミン系有機添加剤を添加して混合することで添加剤含有ビヒクルを一旦作製し、この添加剤含有ビヒクルに酸系有機添加剤及び導電性金属粉末を添加して混合することで導電性ペーストを作製することを特徴としている。
これは、導電性ペーストの製造方法と、これにより得られる導電性ペーストの粘度の経時変化率との関係について調べたところ、ビヒクルにアミン系有機添加剤、酸系有機添加剤、及び導電性金属粉末を同時に混練して得たペーストと、ビヒクルにアミン系有機添加剤を添加して混合することで添加剤含有ビヒクルを一旦作製し、これに導電性金属粉末及び酸系有機添加剤を混練して得たペーストとの比較では、後者が前者より粘度の経時変化率が小さいことが確認できたからである。なお、ペースト作製からn日後の粘度の経時変化率は、ペースト作製から1日経過後の粘度をμ0、ペースト作製からn日経過後の粘度をμnとしたとき、下記の式2で表したものである。
[式2]
粘度の経時変化率(%)=(μn−μ0)/μ0×100
このように添加剤含有ビヒクルを経て作製した導電性ペーストの粘度の経時変化率が小さくなる理由としては、先ずアミン系有機添加剤が添加材含有ビヒクル中の樹脂に作用し、樹脂分子間の水素結合等の分子間力を緩和させ、次に導電性金属粉末と同時に添加する酸系有機分散剤が導電性金属粉末のミクロ的な凝集を抑えることにより、適度な導電性金属粉末の分散状態が継続的に保たれるからと考えられる。
これに対して、ビヒクルに酸系有機添加剤、アミン系有機添加剤、及び導電性金属粉末を同時に添加して混合することで得た導電性ペーストでは、混合の際に酸系有機添加剤及びアミン系有機添加剤が導電性金属粉末に優先的に作用し、樹脂に及ぼす影響が少なくなると考えられる。その結果、樹脂-粒子間の相互作用が起こり、ミクロ的な凝集が生じやすくなり、導電性ペーストの粘度の経時変化率が大きくなると考えられる。
ビヒクルに用いる樹脂のうち、セルロース系樹脂やアセタール系樹脂は分子間に水素結合が作用していると考えられるので、本発明の一具体例の導電性ペーストの製造方法では、導電性ペーストに使用する樹脂としては、かかるアミン系有機添加剤からの作用を考慮してセルロース系樹脂やアセタール系樹脂を選択するのが望ましい。特にセルロース系樹脂ではエチルセルロースが、アセタール系樹脂ではブチラール樹脂がより望ましい。
このように、本発明の実施形態の導電性ペーストの製造方法では、導電性ペーストの粘度が経時変化しにくくなることにより、常に同程度の品質を有する印刷膜を形成することができるので、これを焼成して得られる内部電極(金属膜)の品質のばらつきを抑えることができる。なお、上記ビヒクルや添加剤含有ビヒクルの作製では加熱や撹拌などを併用するのが好ましい。また、ビヒクルにアミン系有機添加剤を添加して混合する場合は、アミン系有機添加剤をビヒクルに加えて撹拌したり、3本のローラで構成されるいわゆるスリーロールミルなどの混練装置を用いたりするのが好ましい。
ところで、導電性ペーストの粘度の経時変化率を低く抑えるには、導電性ペーストに対してアミン系有機添加剤の添加量を多くすることが効果的と思われるが、本発明者は上記添加剤含有ビヒクル中のアミン系有機添加剤の含有量について鋭意研究を重ねたところ、アミン系有機添加剤の含有量に最適値が存在していることを見出した。具体的には、導電性ペースト中の前記酸系有機添加剤の含有量が0.15質量%以上0.5質量%以下となるように調製した上で、導電性ペースト中のアミン塩基系有機添加剤の含有量を約0.25質量%から約0.75質量%まで増やしていくと、導電性ペーストの作製から21日までの粘度の経時変化率を約30%から約10%まで下げ得ることが分かった。
そして、導電性ペースト中のアミン塩基系有機添加剤の含有量を約0.75質量%から1.5質量%程度まで増やしていくと、導電性ペーストの粘度の21日目の経時変化率は約10%よりもほとんど低下しなくなり、逆に1.0質量%を超えたあたりから粘度の経時変化率が徐々に大きくなり、再び30%程度にまで至ることが分かった。このようにアミン系有機添加剤の添加量に最適値が存在する理由は、導電性ペーストに用いるアミン系有機添加剤は、ビヒクルに含まれる樹脂の分子間力を適度に制御する働きを有しているものの、過剰なアミン系有機添加剤が存在すると粘度の経時変化抑制を阻害する要因となるためと考えられる。
従って、導電ペーストの粘度の所望の経時変化率に応じて該アミン系有機添加剤の添加量の調整を行うことができる。例えば、導電性ペーストがその作製後数日のうちに全て使用されるような場合は、粘度の経時変化は特に考慮する必要がないのでアミン系有機添加剤の添加量を0.25質量%程度を下限として少なめに添加しておくことで抵抗値が極めて低い導電体を安価に作製することができ、一方、導電性ペーストが作製後数十日に亘って使用されるような場合はアミン系有機添加剤の添加量を1.5質量%程度、好ましくは1.0質量%程度を上限として多めに添加しておくことで長期間に亘って粘度の経時変化率の少ない導電性ペーストを提供することができる。
なお、上記のようにアミン系有機添加剤の添加量を減らすことで抵抗値が下がる理由は、酸系有機添加剤やアミン系有機添加剤の添加量が多くなると、これらが残留して内部電極(金属膜)に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。酸系有機添加剤及びアミン系有機添加剤は、通常は導電性ペーストを焼成する際に熱分解などにより焼成後の内部電極(金属膜)にはほとんど残留しないが、導電性ペーストに対する酸系有機添加剤及びアミン系有機添加剤の合計添加量が多くなると、これら添加剤が完全に除去されずに炭素等の状態で残留することがある。このように内部電極(金属膜)に残留する炭素が多くなると、積層セラミックコンデンサは勿論のこと、他の電子部品においても電気的特性の劣化や機械的特性の劣化につながるので、導電性ペースト中の酸系有機添加剤及びアミン系有機添加剤の合計含有量は2.0質量%以下が望ましい。
なお、酸系有機添加剤やアミン塩基系有機添加剤の含有量は、それら酸系有機添加剤及びアミン塩基系有機添加剤の種類のほか、導電性ペーストに使用する導電性金属粉末や樹脂の種類により最適値が異なり得るので、上記した導電性ペースト中の各添加剤の好適な含有量の範囲を考慮しながら適宜調整すればよい。また、導電性ペースト中のアミン塩基系有機添加剤の含有量は、酸系有機添加剤の含有量よりも多くなるように調製するのが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサのみならずその他の電子部品においても、電気的特性や機械的特性を劣化させることなくより一層安定した品質を保持することができる。
以上、本発明の実施形態の導電性ペーストの製造方法について、積層セラミックコンデンサの内部電極用導電性ペーストを作製する場合を例に挙げて説明したが、本発明はかかる製造方法に限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内において種々の変形例や代替例が含まれる。例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極用の導電性ニッケルペーストであれば、ニッケル粉末よりも平均粒径の細かいチタン酸バリウムを主成分とする共材を添加してもよい。共材の添加量は、ニッケル粉末100質量部に対し5〜30質量部を加えることができる。更に、レベリング剤、消泡剤などの公知の添加物を導電性ペーストに加えることもできる。また、本発明は内部電極用の導電性ペーストのほか、チップ抵抗器等に用いる銀ペーストの製造にも適用することができる。
内部電極用の導電性ペーストを作製してその粘度の経時変化率を測定した。具体的には、先ず有機溶剤としてのターピネオールα、β、γ混合液を70℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながらエチルセルロースを徐々に加えると同時にアミン系有機添加剤としてオレイルアミンを添加してエチルセルロース含有量10質量%、オレイルアミン含有量2.5質量%の添加剤含有ビヒクルを得た。なお、エチルセルロースはトルエン80%・エタノール20%からなる溶液100質量%にエチルセルロース5質量%を溶解したときの粘度が約40〜330cpsの範囲にある1グレードの市販品を使用した。
次に、導電性金属粉末として、BET法に基づいて測定した比表面積を前述した式1の計算式に代入して求めた平均粒径が0.3μmの市販のニッケル粉末を用意した。上記の添加剤含有ビヒクルにこのニッケル粉末と、酸系有機添加剤としてのオレイン酸を添加し、濃度調製のため上記の有機溶媒を混ぜた。その際、導電性ペースト100質量%に対してニッケル粉末、エチルセルロース及びオレイン酸の含有量がそれぞれ50質量%、1質量%及び0.25質量%となるように添加した。この時、オレイルアミンの含有量は0.25質量%となる。そして、これら混合物をスリーロールミルでほぼ完全に分散させた。このようにして試料1の導電性ペーストを作製した。
更に、酸系有機添加材及びアミン系有機添加剤の種類及び添加量を変えた以外は上記試料1と同様にして試料2〜9の導電性ペーストを作製した。なお、これら試料1〜9の導電性ペーストは、ブルックフィールド株式会社製B型粘度計HBTスピンドルNo.14を用いた製造後1日目の10回転/分の粘度が全て10〜20Pa・sの範囲内に収まっていた。
比較のため、酸系有機添加剤を添加しない以外は上記試料3と同様にして試料10の導電性ペーストを作製し、また、先に添加剤含有ビヒクルを製造することなくニッケル粉末、酸系有機添加剤、アミン系有機添加剤、有機溶媒及び樹脂をスリーロールミルで全て同時に混合することで導電性ペーストを作製した以外は上記試料1〜9の場合と同様にして、試料1〜3とそれぞれ同じ組成の試料11〜13の導電性ペーストを作製した。
このようにして作製した試料1〜13の導電性ペーストに対して製造してから7日後、14日後、及び21日後のスピンドル回転数10回転/分の粘度をブルックフィールド株式会社製B型粘度計HBTスピンドルNo.14を用いて測定し、それぞれペーストの作製から1日後の粘度に対する変化率を求めた。このようにして求めた粘度の経時変化率を、アミン系分散剤及び酸系有機添加剤の名称及び導電性ペーストに対する含有量と共に下記表1に示す。
Figure 0006578966
上記表1から分かるように、有機溶媒に樹脂とアミン系有機添加剤とを添加して調製した添加材含有ビヒクルを先に作製し、その後導電性金属粉末及び酸系有機添加剤を添加混合して作製した試料1〜9の導電性ペーストは、いずれも添加剤含有ビヒクルを作製せずに全ての材料を同時混練して作製した試料11〜13の導電性ペーストに比べて粘度の経時変化率が小さく、約30%以下に抑えることができた。特に、アミン系有機添加剤の含有量が0.75質量%以上1.0質量%以下である試料3、4、6、7及び9では粘度の経時変化率を10%程度に抑えることができた。
また、添加剤の種類を変えずに酸系有機添加剤の添加量を0.15質量%以上0.50質量%以下の範囲内で変化させた試料6及び7の結果から、酸系有機添加剤の量に係らず、同様の粘度の経時変化率軽減効果が得られることが確認された。一方、酸系有機添加剤を全く添加しない試料10は、アミン系有機添加剤を添加した添加剤含有ビヒクルを先に作製したので、全ての材料を同時混合する試料13に比べて粘度の経時変化率を低く抑えることはできたものの、同じ量のアミン系有機添加剤を添加した試料3、6、7及び9に比べて粘度の経時変化率軽減効果は得られなかった。以上の結果から、本発明の導電性ペーストの製造方法を用いて作製した導電性ペーストは、一般的な材料を用いているにもかかわらず粘度の経時変化率を従来よりも低く抑えることができることが分かる。


Claims (7)

  1. 有機溶媒に樹脂を溶解して得たビヒクルにアミン系有機添加剤を添加して混合した後、得られた添加剤含有ビヒクルに導電性金属粉末及び酸系有機添加剤を添加して混合する導電性ペーストの製造方法であって、該導電性ペーストの粘度の所望の経時変化率に応じて該アミン系有機添加剤の添加量の調整を行うことを特徴とする導電性ペーストの製造方法。
  2. 前記酸系有機添加剤がアミド結合を有するアミノ酸若しくはその誘導体又はアミド結合を有する炭素数11以上の高級脂肪酸若しくはその誘導体であり、前記アミン系有機添加剤が炭素数10以上の高級アミン又はロジンアミン化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の導電性ペーストの製造方法。
  3. 前記樹脂がセルロース系樹脂又はアセタール系樹脂を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の導電性ペーストの製造方法。
  4. 前記導電性金属粉末がニッケル粉末であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ペーストの製造方法。
  5. 前記導電性ペースト中の前記アミン系有機添加剤の含有量が0.25質量%以上1.5質量%以下となるように調製することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性ペーストの製造方法。
  6. 前記導電性ペースト中の前記酸系有機添加剤の含有量が0.15質量%以上0.5質量%以下となるように調製することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性ペーストの製造方法。
  7. 前記導電性ペースト中の前記アミン系有機添加剤の含有量が前記酸系有機添加剤の含有量よりも多くなるように調製することを特徴とする、請求項5又は6に記載の導電性ペーストの製造方法。
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