JP2016031807A - 導電性ペースト及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘度安定性に優れ、特に積層セラミックコンデンサ内部電極用に有用な導電性ペースト及びその製造方法を提供する。【解決手段】 導電性粉末表面に分散剤を塗布した後で有機溶剤を含む有機バインダーを混合する導電性ペーストの製造方法であって、下記の第1工程から第3工程を有することを特徴とする導電性ペーストの製造方法などにより提供する。[第1工程]導電性粉末、分散剤及び有機溶剤を、オリフィス径が0.2〜0.5mmの高圧ホモジナイザーに装入し、50〜250MPaの圧力、オリフィス通過速度100〜1000m/secの条件で混練し、導電性粉末表面に分散剤を塗布する分散剤塗布工程[第2工程]第1工程により導電性粉末表面に分散剤が塗布された導電性ペースト中間体を、カットポイントが6μm以下のフィルターによりろ過して、粗大粒子を除去するろ過工程[第3工程]第2工程で得られた導電性ペースト中間体と有機溶剤を含有する有機バインダーとを混合分散する分散工程【選択図】なし

Description

本発明は、導電性ペースト及びその製造方法に関し、より詳しくは、粘度安定性に優れ、特に積層セラミックコンデンサ内部電極用に有用な導電性ペースト及びその製造方法に関するものである。
携帯電話やデジタル機器などの電子機器の軽薄短小化に伴い、チップ部品である積層セラミックコンデンサ(以下MLCCと称する)についても小型化、高容量化及び高性能化が望まれている。これらを実現するための最も効果的な手段は、内部電極層と誘電体層を薄くして多層化を図ることである。
このMLCCは、一般に次のようにして製造される。誘電体層を形成するために、まずチタン酸バリウム(BaTiO)を主成分として、これとポリビニルブチラール等の有機バインダーからなる誘電体グリーンシート上に導電性粉末を主成分とし、これを樹脂バインダー及び溶剤を含むビヒクルに分散させた内部電極となる導電性ペーストを所定のパターンで印刷、乾燥させて溶剤を除去して乾燥膜を形成する。次に、乾燥膜が形成された誘電体グリーンシートを、多層に積み重ねた状態で加熱圧着して一体化した後に、切断し、酸化性雰囲気又は不活性雰囲気中にて500℃以下で脱バインダーを行い、その後、内部電極が酸化しないように還元雰囲気中にて1300℃程度で加熱焼成を行う。次いで、焼成チップを塗布、焼成後、外部電極上にニッケルメッキなどを施してMLCCを作製する。
しかし、この焼成工程において、誘電体セラミック粉末が焼結し始める温度は、1200℃程度であり、ニッケル等の導電性金属粉末との焼結・収縮が開始する温度とかなりのミスマッチが生じるため、デラミネーション(層間剥離)やクラック等の構造欠陥が発生しやすかった。特に小型・高容量化に伴って、積層数が多くなり、あるいはセラミック誘電体層の厚みが薄くなるが、それに伴って構造欠陥の発生が顕著となっていた。
例えば、通常内部電極用ニッケルペーストには、少なくとも誘電体層の焼結・収縮を開始する温度付近まで、その焼結・収縮を制御するために、誘電体層の組成に類似したチタン酸バリウム系あるいはジルコン酸ストロンチウム系などのペロブスカイト型酸化物を主成分とするセラミック粉末が添加されている。その結果、ニッケル粉末の焼結挙動を制御し、内部電極層と誘電体層の焼結収縮挙動のミスマッチをコントロールできる。また、セラミック粉末の添加は、誘電体層の主成分の構成元素と電極ペーストに含まれる誘電体粉末の構成元素とが大きく異なると誘電損失が増大するなど、電気特性に影響を及ぼすという不具合を緩和する。
導電性ペーストの製造方法としては、例えば特許文献1、2に開示されている3本ロールによる製法が一般的である。しかしながら、3本ロールで微粒粉末を所望の分散性が得られるまで処理するためには、3本ロールだけでは分散が不十分なので製造工数を増やして導電性ペーストを製造しなければならず、製造時間が長くなってしまう。また、3本ロールによる製法では、分散と同時にせん断力も加わることから、有機樹脂の結合が破壊され、必要以上に粘度が低下してしまうため、投入する導電性ペースト材料の粘度には限界がある。
そのため特許文献3には、低粘度の導電性ペースト用にポットミル分散を用いて、金属粉末を含む固形成分と分散剤と溶剤成分とを混合・分散処理して第1スラリーとし、この第1スラリーにエトキシ基含有率49.6%以上のエチルセルロース樹脂成分と溶剤成分とを混合して分散処理をして第2スラリーとし、この第2スラリーから1.0μm以上の塊状物を除去して得られる導電性グラビア印刷用ペーストが開示されている。
この導電性ペーストは、ずり速度0.1(s−1)での粘度η0.1が1Pa・s以上であり、ずり速度0.02(s−1)での粘度η0.02が、η0.1×1.2≦η0.02≦η0.1×3の範囲にあるチキソトロピー流体である。
しかし、特許文献3に開示された導電性ペーストは、特定のエチルセルロース樹脂成分を用いるために、ずり速度による粘度変化の大きいチキソトロピー流体としての特性が得られるが、最初からエチルセルロースを添加して第1スラリーにしてもよいとしており、この場合は金属粉末に分散剤が吸着しない部分が生じ、分散性の低下により、経時的に安定したペースト粘度を得ることができない場合がある。ところが、特許文献3では、その導電ペーストに生じる問題を致命的な問題とはしておらず問題が解消できていない(
参照)。
また、高圧ホモジナイザーを用いた導電性ペーストの製造方法が特許文献4に開示されている。この製造方法では、金属粉末と分散剤と有機バインダーと有機溶剤を含有する導電性粗ペーストに熱を加えながら混合攪拌した後、オリフィスを備えるノズルを通過させる前処理分散工程を行った後、加熱した導電性ペーストを高圧ホモジナイザーにて最終的な分散処理を行っている。
しかし、高圧ホモジナイザーを用いた分散処理を行うために、3本ロールによる製法と同様に処理回数を増やすことにより粘度が低下することが示されている。つまり特許文献に記載の粘度が高い導電性ペーストでは有効であるが、導電性粗ペーストが低粘度品であると、製品の粘度が低下しすぎてしまう。
最近は、MLCCの更なる小型化が進んでおり、より細く薄い内部電極が求められ、導電性ペーストには従来よりも粒径の小さい導電性粉末を用いて、印刷に適した粘度を有し、かつ従来よりも高い粘度安定性が必要になっている。
すなわち、MLCCの小型化に伴い、導電性ペーストに添加される導電性粉末も微細化が求められているが、それに伴い比表面積が大きくなるため、導電性粉末表面を被覆する分散剤の添加比率も増加せざるを得ない。しかしながら、分散剤添加量が増加すると導電性ペーストの粘度が低下してしまい、かつ、従来の製造方法では製造中の分散処理工程において、さらに粘度が低下してしまうため、最終製品のペーストにした際、粘度が低すぎて使用できない、もしくは、分散剤を十分に添加できないため、製造後に粘度が経時変化してしまう、と言う問題があった。
特開2006−351348号公報 特開2003−086449号公報 特開2003−187638号公報 特開2011−228106号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、粘度安定性に優れ、特に積層セラミックコンデンサ内部電極用に有用な導電性ペースト及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来の分散処理工程では、単に有機バインダー中に導電性粉末を分散させるだけでなく、凝集した導電性粉末を解砕する機能も含んでいたため、表面に分散剤が塗布された導電性粉末を有機バインダー中に分散させるのには過剰な応力がかかっていることにより、粘度が不安定になっていたこと、及びそれに伴い経時的にも粘度が不安定になっていたことを究明し、これを避けるために、導電性粉末の解砕及び分散剤との混練を行う工程と、導電性粉末表面に分散剤が塗布された導電性ペースト中間体と有機バインダーを混合分散する工程とを分けることにより、製造中の有機バインダーの粘度低下を防止し、かつ分散剤を導電性粉末表面に十分塗布することで、得られた導電性ペーストの経時変化を防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、導電性粉末表面に分散剤を塗布した後で有機溶剤を含む有機バインダーを混合する導電性ペーストの製造方法であって、下記の第1工程から第3工程を有することを特徴とする導電性ペーストの製造方法が提供される。
[第1工程]
導電性粉末、分散剤及び有機溶剤を、オリフィス径が0.2〜0.5mmの高圧ホモジナイザーに装入し、50〜250MPaの圧力、オリフィス通過速度100〜1000m/secの条件で混練し、導電性粉末表面に分散剤を塗布する分散剤塗布工程
[第2工程]
第1工程により導電性粉末表面に分散剤が塗布された導電性ペースト中間体を、カットポイントが6μm以下のフィルターによりろ過して、粗大粒子を除去するろ過工程
[第3工程]
第2工程で得られた導電性ペースト中間体と有機溶剤を含有する有機バインダーとを混合分散する分散工程
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記導電性粉末がニッケル粉末であり、かつ粒径が0.05μm以上0.5μm以下であることを特徴とする導電性ペーストの製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、前記分散剤の添加量が、導電性粉末100重量部に対して0.4重量部以上3.5重量部以下であることを特徴とする導電性ペーストの製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明の製造方法によって得られる導電性ペーストが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、導電性粉末の含有量が、40〜50mass%であることを特徴とする導電性ペーストが提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第4又は5の発明において、導電性ペーストの粘度が、50Pa・s以下であり、かつ30日静置後の粘度変化が5Pa・s以下であることを特徴とする導電性ペーストが提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第4〜6のいずれかの発明において、導電性ペーストの表面粗さRaが、0.1μm以下であることを特徴とする導電性ペーストが提供される。
本発明によれば、予め高圧ホモジナイザーを用いて導電性金属粉末、分散剤および有機溶剤を含む導電性ペースト中間体を混練し、導電性金属粉末表面に分散剤を塗布し、その後有機ビヒクルを添加するため、従来では困難であった低粘度の導電性ペーストを安定して製造することができる。また、得られる有機ビヒクルを含んだ低粘度の導電性ペーストは、導電性金属粉末が高分散し、かつ粘度安定性に優れている。
本発明の導電性ペーストの製造方法について、工程毎に詳細に説明する。
本発明の導電性ペーストの製造方法は、導電性粉末表面に分散剤を塗布した後で有機溶剤を含む有機バインダーを混合する導電性ペーストの製造方法であって、下記の第1工程から第3工程を有することを特徴とする。
1.[第1工程]
第1工程は、少なくとも導電性金属粉末、分散剤および有機溶剤を含む導電性ペースト中間体を混練し、導電性金属粉末表面に分散剤を塗布する工程である。
<導電性金属粉末>
MLCC用導電性ペーストに用いる導電性金属粉末としては、ニッケル粉末、銅粉末のほか、銀粉末、パラジウム粉末などを使用することができるが、ニッケル粉末を用いるのが好ましい。
MLCCの小型化に伴い、より細く薄い内部電極を形成させるため、乾燥塗膜の平滑性及び乾燥膜密度を向上させる必要がある。そのため、金属粉末の粒径は0.05μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
金属粉末の粒径が0.05μm未満であると、粒子の比表面積が大きくなりすぎるため、金属粉末の表面活性が高くなりすぎ、乾燥、脱バインダー特性に悪影響を及ぼすだけでなく、適正な粘度特性を得るのが困難となり、導電性ペーストの長期保存中に変質する恐れが生じるため好ましくない。また、粒径が0.5μmよりも大きくなってしまうと、ペーストの塗布膜を薄層化するときの成膜性が悪化し、所定の静電容量が得られなかったり、乾燥膜で平滑性が不十分となり、かつ金属粉末の充填が不十分となり、所望の乾燥膜密度が確保できなかったりするため、十分に細く薄い均一な内部電極を形成することが困難となってしまうので好ましくない。金属粉末の好ましい粒径は0.1μm以上0.4μm以下である。
なお、本発明において、金属粉末の粒径は、特に断らない限り比表面積をBET法に基づいて算出した粒径であり、その算出式を次の式1として示す。
Figure 2016031807
(式1中、SA1は金属粉末の比表面積(BET法)、ρ1は金属粉末の真密度(例:ニッケルの場合8.9である。)
<分散剤>
本発明に用いる分散剤は、特に限定されるものではなく、カチオン系分散剤、アニオン系分散剤、ノニオン系分散剤、両性界面活性剤、高分子系分散剤など、導電性金属粉末やセラミック粉末をバインダーおよび有機溶剤中に微細化した状態で安定に分散させうる分散剤であればよく、公知の分散剤を使用することができる。
特に、これらの中でアニオン系分散剤が好ましく、たとえば、カルボン酸系分散剤、燐酸系分散剤、燐酸塩系分散剤などが挙げられる。これらの分散剤は1種または2種以上組み合わせて用いても良い。アニオン系分散剤は、無機表面への吸着力が大きいため、その表面改質作用により無機成分の分散性を上げるのに寄与するので、塗膜の平滑性や乾燥膜密度を向上させる働きも有している。
分散剤の添加量は、導電性金属粉末100重量部に対して、0.4〜3.5重量部が好ましい。分散剤が0.4重量部未満では、十分な分散性が得にくく、導電性金属粉の凝集を抑えることが出来ない場合があるため好ましくない。一方、分散剤が3.5重量部を越えてもそれ以上分散剤の効果を得ることはなく、印刷時ににじみの問題が生じる場合があったり、クラックやデラミネーションの問題が生じる場合があったりするだけでなく、コスト面でも好ましくない。分散剤の添加量は、導電性金属粉末100重量部に対して、0.4〜2.4重量部がより好ましい。
<有機溶剤>
本発明に用いる有機溶剤は、有機バインダーを溶解するものであれば特に限定されるものではないが、ターピネオール(α、β、γおよびこれらの混合物)、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、イソボニルアセテート、イソボニルプロピネート、イソボニルブチレート、イソボニルイソブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどを用いるのが好ましい。中でも好ましいのは、ターピネオールである。
<高圧ホモジナイザー>
本工程で用いる装置は、導電性金属粉末表面に分散剤を塗布するにあたり、導電性金属粉末が凝集することなく十分にほぐれて、その表面に分散剤が行きわたる応力を有するものでなければならない。
導電性金属粉末が微細になると、凝集を分散させるために非常に大きな応力が必要となり、かつ、比表面積が大きくなるため必要な分散剤量の比率が増すため導電性ペースト中間体の粘度が低くなるため、本工程では高圧ホモジナイザーを用いるようにする。
高圧ホモジナイザーは、高速ジェット流を発生させるために微細なオリフィスを利用するもので、そのオリフィス径は、生産性や装置の効率性から0.05〜0.2mmとするのが好ましく、また、その形状は湾曲部や屈曲部のない摩耗し難い直線状が望ましい。さらにオリフィスを形成する材料は、焼結ダイヤモンドや単結晶ダイヤモンド等のダイヤモンド、アルミナ、ジルコニア、カーボランダム等のセラミック材料、ステンレス、鉄、チタン等の金属が挙げられるが、その中でも摩耗し難い高硬度の材質のものが好ましい。
通常、ペーストのオリフィス内での通過速度が速ければ速いほどせん断力も大きくなり、粒子の粒径をより微細にすることができる。しかしながら、粒子の粒径が小さくなりすぎると、凝集が起こりやすくなるため、粒子を適度な粒径のままで維持するためには、オリフィス内およびオリフィス通過後にペーストにかかる応力が最適となるように、そのオリフィス通過速度を調整することが必要である。
この通過速度の調整は、オリフィス径、処理圧等の条件によって行うもので、ペーストのオリフィス通過速度を100〜1000m/secの範囲に調整することにより、粒子を適度な微細粒径のままにして、凝集を防止することができる。
また、ペーストのオリフィス通過後の空間部内壁への衝突や、せん断力の不均一化を招く泡の発生を防止するために、背圧をかけながら、ペーストを製造することもできる。さらに、ペースト温度が高くなると粒子の安定性が低下し、再凝集する等の問題が生じ、好ましくないため、ペースト温度の上昇を防止するために、冷却装置を装備することが好ましい。
高圧ホモジナイザーにおける分散パス回数は、要求される粒子径、粒度分布等によって適宜選択することができる。なお、分散パス回数は、ペーストを循環させるような装置の構成で行うことが好ましい。
高圧ホモジナイザーに装入される分散処理対象物は、均一かつ低粘度であることが望ましい。高圧ホモジナイザーを施す際の粘度は、10Pa・s以下が好ましく、より好ましくは5Pa・s以下である。
分散処理対象物の温度と粘度には特定の関係があり、温度が25℃における粘度が30Pa・sのものでは、加熱されると温度が上昇すると共に、粘度は低下する。この粘度が10Pa・sより高い場合、分散処理対象物に流動性がないため、高圧ホモジナイザーに投入すると処理圧が上げられず、分散処理を施せない。また、分散処理対象物は、100℃以下で処理するのが好ましい。もし100℃を越えるように加熱すると、有機溶剤の揮発性、引火性などの安全面に問題を生じ組成バランスが変わりやすくなるので好ましくない。このため分散処理対象物は、90℃以下で処理するのがより好ましい。
使用する高圧ホモジナイザーとしては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社製)、Nano3000(株式会社美粒製)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン製)等がある。
2.[第2工程]
第2工程は、第1工程によって処理された導電性ペースト中間体をカットポイントが6μm以下のフィルターでろ過する工程である。
前記第1工程で得られるペースト中間体は、低粘度であり、6μm以下のフィルターでろ過するが、4.0μm以下の目の細かいフィルター、さらには0.5〜2.0μmの非常に目の細かいフィルターでろ過することもできる。
カットポイントが6.0μmを超えるフィルターを用いた場合、無機物の未分散物、粗大粒子などが除去できなくなり、誘電体層の厚みより大きい物質が混入していると、ペースト塗膜表面に突起が生じるため、平滑性が低下する。そのため、平滑性に優れた導電性ペーストを得ることができない。これに対して、例えば2.0μm以下の目の細かいフィルターを用いると、導電性ペーストが細かな金属粉末の均一分散体となり、2μm以下の膜厚の電極を形成することが可能となり、1μm以下の非常に目の細かいフィルターを使用すれば1μm以下の膜厚の電極を形成することも可能である。
なお、濾材としては、金属、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリプロピレンなどがあるが、これらに限定されるものではない。さらに、ここで使用されるフィルター構造としては、メンブレンタイプ、プリーツタイプ、デプスタイプなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
3.[第3工程]
第3工程では、第2工程によって処理された導電性ペースト中間体に有機バインダー及び有機溶剤を混合し、均一に分散させるものである。本工程で、焼結抑制剤としてセラミック粉末を添加してもよい。
<有機バインダー>
本発明では、有機バインダーは有機溶剤と予め混合した有機ビヒクルの形で使用するのが好ましい。そのため、有機バインダーは有機溶剤に溶解するものである必要があり、その分子量は20000〜200000であることが好ましい。
有機バインダー用樹脂は、特に限定されるものではないが、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、アクリル、ポリビニルブチラールなどの有機樹脂を用いるのが好ましい。中でも好ましいのはエチルセルロースである。
本工程で用いる装置は、表面に分散剤が塗布された導電性金属粉末と有機バインダー及び有機溶剤をその特性が変化しない程度の応力で混合できるものであれば特に限定するものではない。
この応力が大きすぎると、有機バインダーを構成する樹脂の炭素鎖が切れて分子量が変化し粘度が低下してしまうことがある。逆に応力が低くても、第1工程において導電性金属粉末に分散剤が塗布されているため、導電性金属粉末が十分に分散するので、本工程ではプロペラ式攪拌装置など一般的なミキサーを用いることができる。
<セラミック粉末>
セラミック粉末を添加する場合、通常ペロブスカイト型酸化物であるBaTiOなどや、これに種々の添加物を添加したものから選択することができる。また、MLCC用の誘電体層グリーンシートの主成分として使用されるセラミック粉末と同組成、あるいは類似の組成を用いる事も好ましい。
4.[導電性ペースト]
本発明の導電性ペーストは、上記の製造方法により形成されたものであり、導電性粉末の含有量が、40〜50mass%であることが好ましい。導電性粉末の含有量が、40mass%未満であると、焼成後の電極厚みが薄くなり過ぎたり、電極膜の形成が十分に出来なかったりして抵抗値が上昇したり導電性を失ったりして、目的とする静電容量が得られない場合があるので好ましくない。含有量が50mass%を超えると電極膜の薄層化が困難となるので好ましくない。
また、導電性ペーストは、30日静置後の粘度変化が5Pa・s以下であることが好ましい。30日静置後の粘度変化が5Pa・sを越えると、スクリーン印刷が困難となり好ましくない。
さらに、導電性ペーストの表面粗さRaが、0.1μm以下であることが好ましい。表面粗さRaが、0.1μmを超えると、MLCCの性能が低下する場合があり好ましくない。
以下、本発明をより具体的な実施例に基づき詳細に説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。なお、導電性ペーストの特性は、下記の要領で測定し評価した。
(1)導電性ペーストの粘度
導電性ペーストの粘度は、ブルックフィールド社製B型粘度計を用いて10rpm(ずり速度=4sec−1)の条件で測定した。なお、表2に示す粘度は、ペースト製造後8時間を経過した時の粘度を表している。
粘度に求められる値は使用状況によって異なるが、印刷性の点から25Pa・s以上、50Pa・s以下の範囲を○とし、25Pa・s未満、もしくは50Pa・sを超えた場合を△とした。
(2)導電性ペーストの経時粘度変化
導電性ペーストの経時粘度変化率は、導電性ペースト製造後8時間を経過した時の粘度を初期粘度とし、常温(25℃)で30日間静置していた間に、再測定した粘度とを比較した。
30日間経過後も初期状態と同様の条件で使用するためには、導電性ペーストの経時粘度変化が少ない事が求められるため、30日間の静置で5Pa・s以内の変化を○とし、5Pa・sを超えたものを×とした。
(3)表面粗さ(Ra)
アプリケーター(ギャップ厚10μm)を用いてガラス基板上に導電性ペーストを塗布後、120℃で5分間、空気中で乾燥させ、膜厚約3μmの乾燥膜を作製する。この乾燥膜について、表面粗さ測定装置(東京精密社製SURFCOM480)を用いて測定した。
本発明の導電性ペーストは、より小型化されたMLCC用であるため、表面粗さRaが低い方が好ましいため、0.1μm以下のものを○とし、0.1μmを超えたものを△とした。
(実施例1)
導電性金属粉末としてニッケル粉末(粒径0.3μm)、分散剤、溶剤としてターピネオール、有機バインダー成分としてエチルセルロースを用意した。
引き続き、表1に示すように、導電性金属粉末のニッケル粉末100重量部に対し、分散剤を0.4重量部、溶剤のターピネオールを60重量部となるように配合し、高圧ホモジナイザーにて90℃で混合攪拌した(以下、工程1という)。
次に、駆動式ポンプ出口部に取り付けたオリフィス径が0.25mmのノズルを50〜250MPaの圧力、オリフィス通過速度100〜1000m/secの条件で通過させて機械的せん断を付与して、導電性金属粉末表面に分散剤を塗布した導電性ペースト中間体を作製した。
その後、カットポイントが3μmのフィルターによりろ過処理を行い、異常凝集粉等の除去を行った(以下、工程2という)。異常凝集粉等の量は1%以下と、無視できる量であった。
有機バインダー成分のエチルセルロースを10mass%、有機溶剤のターピネオールを90mass%配合したものを有機ビヒクルとし、ろ過処理を行った導電性ペースト中間体に対して15mass%混合し、ミキサーを用いて混合分散させて導電性ペーストを作製した。
得られた導電性ペースト特性(粘度、表面粗さ)、及び粘度変化を測定した。その結果を表2に示す。
(実施例2)
表1に示すように、工程1で、分散剤を1.5重量部添加した以外は、実施例1と同じ条件で導電性ペーストを作製した。工程2での異常凝集粉等の量は1%以下と、無視できる量であった。ペースト特性及び粘度変化を測定した。その結果を表2に示す。
(実施例3)
表1に示すように、工程1で、分散剤を0.2重量部添加した以外は、実施例1と同じ条件で導電性ペーストを作製した。工程2での異常凝集粉等の量は3%となり、実施例1や2より高い値となった。ペースト特性及び粘度変化を測定した。その結果を表2に示す。
(実施例4)
表1に示すように、工程1で、分散剤を4.0重量部添加した以外は、実施例1と同じ条件で導電性ペーストを作製した。工程2での異常凝集粉等の量は1%以下と、無視できる量であった。ペースト特性及び粘度変化を測定した。その結果を表2に示す。
(実施例5)
導電性金属粉末としてニッケル粉末(粒径0.5μm)を用意し、表1に示すように、工程1で配合した以外は、実施例1と同じ条件で導電性ペーストを作製した。工程2での異常凝集粉等の量は1%以下と、無視できる量であった。ペースト特性及び粘度変化を測定した。その結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1の工程1,2を採用せず、導電性金属粉末(粒径0.3μmのニッケル粉末)100重量部に対し、分散剤を1.5重量部となるように配合したもの85mass%と、有機ビヒクルとして、有機バインダー成分のエチルセルロースを10mass%、有機溶剤のターピネオールを90mass%配合したもの15mass%を、3本ロールにて混合分散させて、導電性ペーストを作製した。このペースト特性及び粘度変化を測定した。その結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1の工程1において、高圧ホモジナイザーに投入する材料を代えて同様の処理を実施した。すなわち、導電性金属粉末の粒径0.3μmのニッケル粉末100重量部に対し、分散剤を1.5重量部となるように配合したものだけでなく、有機ビヒクルとして、有機バインダー成分のエチルセルロースを10mass%、有機溶剤のターピネオールを90mass%配合したものを前述の材料との総量100mass%に対して15mass%混合したものを用いた。その後、工程2を実施し導電性ペーストを作製した。このペースト特性及び粘度変化を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2016031807
Figure 2016031807
「評価」
上記結果を示す表2から明らかなように、実施例1〜5の本発明の導電性ペーストは、30日間静置後の粘度変化に優れ、かつ分散剤の添加量と導電性粉末の粒径を制御することにより、更に初期粘度及び、導電ペースト塗布乾燥後の表面粗さが良好な小型MLCC用導電ペーストが得られていることが分かる。なお、実施例3,4では、分散剤の量が最適範囲から外れたので、粘度特性が低下し、また、実施例5では、導電性金属粉末の粒径が大きいので、表面粗さが大きくなったがいずれも実用上問題がないレベルである。
これに対して、従来の3本ロールを用いた比較例1では、初期の粘度が低い上、30日間静置後の粘度変化が大きく目的を達成できないことが分かる。
また、導電性金属粉と一緒に有機ビヒクルも高圧ホモジナイザーで分散処理を行う従来の手法を用いた比較例2でも、初期の粘度が低い上、30日間静置後の粘度変化が大きく目的を達成できないことが分かる。
本発明の導電性ペーストは、粘度安定性に優れており、特に携帯電話やデジタル機器などの電子機器のチップ部品である積層セラミックコンデンサ内部電極用の原料として好適である。

Claims (7)

  1. 導電性粉末表面に分散剤を塗布した後で有機溶剤を含む有機バインダーを混合する導電性ペーストの製造方法であって、下記の第1工程から第3工程を有することを特徴とする導電性ペーストの製造方法。
    [第1工程]
    導電性粉末、分散剤及び有機溶剤を、オリフィス径が0.2〜0.5mmの高圧ホモジナイザーに装入し、50〜250MPaの圧力、オリフィス通過速度100〜1000m/secの条件で混練し、導電性粉末表面に分散剤を塗布する分散剤塗布工程
    [第2工程]
    第1工程により導電性粉末表面に分散剤が塗布された導電性ペースト中間体を、カットポイントが6μm以下のフィルターによりろ過して、粗大粒子を除去するろ過工程
    [第3工程]
    第2工程で得られた導電性ペースト中間体と有機溶剤を含有する有機バインダーとを混合分散する分散工程
  2. 前記導電性粉末がニッケル粉末であり、かつ粒径が0.05μm以上0.5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ペーストの製造方法。
  3. 前記分散剤の添加量が、導電性粉末100重量部に対して0.4重量部以上3.5重量部以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性ペーストの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ペーストの製造方法により得られた導電性ペースト。
  5. 導電性粉末の含有量が、40〜50mass%であることを特徴とする請求項4に記載の導電性ペースト。
  6. 導電性ペーストの粘度が、50Pa・s以下であり、かつ30日静置後の粘度変化が5Pa・s以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載の導電性ペースト。
  7. 導電性ペーストの表面粗さRaが、0.1μm以下であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の導電性ペースト。
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