JP6152808B2 - 積層セラミックコンデンサ内部電極用導電性ペーストおよび積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ内部電極用導電性ペーストおよび積層セラミックコンデンサ Download PDF

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Description

本発明は、積層セラミックコンデンサの内部電極を形成するために用いる導電性ペーストに関する。また、本発明は、この導電性ペーストを用いた積層セラミックコンデンサに関する。
積層セラミックコンデンサ(MLCC;multi-layer ceramic capacitor)は、セラミック誘電体層と内部電極層を交互に重ね合わせた積層構造を有する。近年、電子機器の小型化に伴い、チップ部品である積層セラミックコンデンサに対しても、小型化や大容量化の要求が高まってきており、このような要求に対応するため、内部電極層の薄層化および多層化が重要な課題となっている。
ここで、積層セラミックコンデンサは、一般的に、次のような工程を経て製造される。はじめに、チタン酸バリウム(BaTiO3)などに代表されるセラミック誘電体粉末とポリビニルブチラールやアクリルなどの樹脂成分とからなるグリーンシートの表面に、導電性金属粒子を含有する導電性ペーストをスクリーン印刷などの方法により塗布し、乾燥する。次に、乾燥後のグリーンシートおよび導電性ペーストを、グリーンシートと導電性ペーストが交互に積層されるように所定枚数だけ重ね合わせ、熱水圧により圧着した後、所望の大きさのチップに切断する。このようにして得られたチップを、バッチ式またはベルト式の電気炉に投入し、酸化性雰囲気で焼成することにより、導電性ペースト中のバインダ樹脂を熱分解する(脱バインダ工程)。その後、再度、電気炉に投入し、非酸化性ないしは還元性雰囲気下、約1300℃の温度で焼成することにより、セラミック誘電体層と内部電極層が積層した焼結体を得る(焼成工程)。最後に、この焼結体に、外部電極用導電性ペーストを用いて外部電極を形成し、この外部電極の表面にニッケルめっきとスズめっきを施す。
このような積層セラミックコンデンサの内部電極層を形成するための導電性ペーストとしては、導電性金属粒子、共材、バインダ樹脂、有機溶剤に、レベリング剤や分散剤などの各種有機添加剤を加えたものが使用される。
これらの構成成分のうち、導電性金属粒子としては、従来、Pt、Au,Ag、Pdまたはこれらの合金からなる粉末が用いられてきたが、近年では、低コスト化を図るため、Ni粉末やCu粉末を用いることが主流となっている。一方、バインダ樹脂としては、エチルセルロースやニトロセルロースなどのセルロース系樹脂を、有機溶剤としては、ターピネオールやジヒドロターピネオールなどのテルペン系溶剤、または、オクタノール、デカノールやトリデカノールなどの高級アルコールを用いることが一般的である。
このような導電性ペーストは、上述した構成成分を、ロールミルなどを用いて均一に分散させた後、B型粘度計によって測定される10rpm粘度値が、10Pa・s〜100Pa・sとなるように、かつ、10rpm粘度値と100rpm粘度値の比(10rpm値/100rpm値)が1〜4となるように希釈剤で調整することにより製造される。この際、希釈剤としては、上述したテルペン系溶剤や高級アルコールのほかに、芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素などの石油系溶剤を用いることができる。
ところで、バインダ樹脂として一般的に用いられるセルロース系樹脂は、各種溶剤との相溶性が高く、目的とするレオロジー特性を付与するには有効であるものの、ほとんど熱可塑性を示さない。このため、熱圧着時におけるグリーンシートとの密着性が低く、このことがセラミック誘電体層と内部電極層の薄層化および多層化を図る上で問題となっている。
このような問題に対して、たとえば、特開2004−200450号公報には、積層セラミックコンデンサの内部電極層を形成するための導電性ペーストに、共材として、グリーンシートの主要構成材料を含み、かつ、樹脂として、少なくともボリビニルブチラールを含むものを使用するとともに、有機添加剤として、酸価を示す官能基とアミン価を示す官能基とを有する化合物、および/または、酸価を示す官能基を有する化合物とアミン価を示す官能基を有する化合物との混合物を使用する技術が記載されている。この技術によれば、導電性ペーストの乾燥後におけるグリーンシートとの密着性が向上し、内部電極層の位置ずれや剥離を防止することが可能である。
一方、導電性ペースト中の導電性金属粒子は、脱バインダ工程において触媒として作用し、バインダ樹脂の熱分解温度を低温化させ、その熱分解を促進することがある。特に、導電性金属粒子として、触媒作用の高いニッケル粒子を使用した場合や、内部電極層の薄層化を図るために、小粒径の導電性金属粒子を使用した場合には、この傾向が顕著となる。この結果、バインダ樹脂の熱分解により生じた分解生成ガスの一部が、内部電極槽内または内部電極層とセラミック誘電体層との境界に閉じ込められ、後の焼成工程を経て、ボイド(気泡)やクラックもしくは内部電極層とセラミック誘電体層との剥離(層間剥離)などの構造欠陥を引き起こしたり、または、分解生成ガスに含まれる炭素残渣によって、静電容量や絶縁抵抗などの電気特性を低下するといった問題が生ずる。
これらの構造欠陥や電気特性の低下は、特開2004−200450号公報に記載されるように、導電性ペーストとグリーンシートとの密着性を向上させることのみで抑制することはできない。したがって、脱バインダ工程における分解生成ガスの発生を抑制すること、具体的には、導電性金属粒子の触媒作用を抑制することが重要となる。
たとえば、特開2006−099965号公報には、ニッケルを主成分とする導電性金属粒子、樹脂および有機溶剤からなる導電性ペーストに、硫黄粉末および分子構造中に−S−S−結合を有する硫黄化合物から選ばれる少なくとも1種の硫黄成分を含有させる技術が記載されている。この技術によれば、導電性金属粒子として、平均粒径が0.5μm以下の微細なニッケル粉末を用いた場合であっても、その触媒作用を抑制し、脱バインダ後の炭素残渣を大幅に減少させることができる。しかしながら、導電性ペースト中に硫黄が存在すると、脱バインダ工程や焼成工程における分解生成ガスにも硫黄が含まれることとなり、積層セラミックコンデンサの製造設備、具体的には、導電性ペーストを脱バインダまたは焼成するための電気炉などが腐食されてしまうおそれがある。また、この導電性ペーストは耐酸化性が十分ではなく、脱バインダ工程において、酸化性雰囲気下で焼成されると、ニッケル粉末が過剰に酸化されてしまうおそれもある。このため、後の焼成工程で、非酸化性ないしは還元性雰囲気下で焼成されると、ニッケル酸化物の還元反応によって生成するガスが増加し、また、それに伴う体積変化が大きくなり、内部電極層の緻密性が低下したり、あるいは、最終的に得られる積層セラミックコンデンサにクラックや層間剥離が生じると考えられる。
特開2004−200450号公報 特開2006−099965号公報
本発明は、上述の問題に鑑みて、工業規模の生産を前提として、積層セラミックコンデンサの薄層化および多層化を実現し得る導電性ペースト、より具体的には、硫黄を含有せずとも、脱バインダ工程における導電性金属粒子の触媒作用を抑制し、ボイド、クラックおよび層間剥離などの構造欠陥の発生を抑制することができる、積層セラミックコンデンサ内部電極用導電性ペーストを提供することを目的とする。また、本発明は、この導電性ペーストを用いて形成された内部電極層を備える、積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
本発明の導電性ペーストは、導電性金属粒子と、共材と、バインダ樹脂と、有機溶剤と、有機添加物とを含有する導電性ペーストであって、
前記有機添加剤として、少なくとも2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドを、前記導電性金属粒子にする質量比で0.01〜0.03含有することを特徴とする。
前記導電性金属粒子は、平均粒径が0.05μm〜0.5μmのニッケル粉末であることが好ましい。
前記導電性ペースト中における、前記導電性金属粒子の含有量は、30質量%〜70質量%であることが好ましい。
前記バインダ樹脂は、少なくともポリビニルブチラールを含むことが好ましい。
前記導電性ペースト中における、前記ポリビニルブチラールの含有量は、0.01質量%〜2.0質量%であることが好ましい。
前記共材は、チタン酸バリウムを含むことが好ましく、該チタン酸バリウムの平均粒径は、0.01μm〜0.5μmであることが好ましい。
前記導電性ペースト中における、前記共材の含有量は、1質量%〜30質量%であることが好ましい。
本発明の積層セラミックコンデンサは、前記導電性ペーストを用いて形成された内部電極層を備えることを特徴とする。
本発明によれば、硫黄を含有せずとも、脱バインダ工程における導電性金属粒子の触媒作用を抑制可能な導電性ペーストを提供することができる。したがって、本発明によれば、電気炉などの製造設備の腐食を防止しつつ、最終的に得られる積層セラミックコンデンサに、ボイド、クラックおよび層間剥離などの構造欠陥が発生することを効果的に抑制することができる。このため、本発明の工業的意義は極めて大きい。
図1は、本発明の実施例1および比較例1の導電性ペースト中におけるエチルセルロース、ならびに、エチルセルロース単体の熱重量測定によって得られた微分曲線を表す図である。
本発明者らは、積層セラミックコンデンサの内部電極層の形成に用いる導電性ペーストについて鋭意研究を重ねた結果、導電性ペースト中に、有機添加剤として、下記の化学式(化1)によって表される2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドを添加することにより、上述した問題を解決することができるとの知見を得た。本発明は、この知見に基づき完成されたものである。
1.構成成分
(1)導電性金属粒子
本発明の導電性ペーストでは、導電性金属粒子として、たとえば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)などの金属粉末、または、これらの合金粉末を使用することができる。これらの中でも、低コスト化を図る観点から、Ni粉末を用いることが好ましい。
この場合、Ni粉末の平均粒径は、好ましくは0.05μm〜0.5μm、より好ましくは0.1μm〜0.3μm、さらに好ましくは0.15μm〜0.25μmとする。Ni粉末の平均粒径が0.05μm未満では、比表面積が大きくなりすぎるため、導電性金属粒子の触媒作用が大きくなり、乾燥、脱バインダ特性に悪影響を及ぼすだけでなく、長期保管した場合に、導電性ペーストが変質するおそれがある。一方、Ni粉末の平均粒径が0.5μmを超えると、積層セラミックコンデンサ、特に内部電極層の薄層化が困難になる。
導電性ペースト中における導電性金属粒子の含有量は、好ましくは30質量%〜70質量%、より好ましくは40質量%〜60質量%、さらに好ましくは45質量%〜55質量%とする。導電性金属粒子の含有量が30質量%未満では、焼成後の内部電極層の厚みが著しく薄くなり、抵抗値が増大したり、所望の静電容量が得られなくなったりする場合がある。一方、導電性金属粒子の含有量が70質量%を超えると、焼成後における内部電極層の厚みが過度に厚くなり、所望のサイズのチップを得られなくなる場合がある。さらには、内部電極層とセラミック誘電体層との収縮ひずみの差が大きくなり、層間剥離が発生しやすくなる。
(2)共材
本発明の導電性ペーストでは、共材として、積層セラミックコンデンサのセラミック誘電体層を形成するグリーンシートの主要構成材料を使用することが好ましい。これによって、セラミック誘電体層の誘電率に悪影響を及ぼすことなく、内部電極層とセラミック誘電体層との層間剥離を効果的に防止することができる。なお、グリーンシートの主要構成材料としては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウムなどが挙げられるが、共材としては、チタン酸バリウムを含むことが好ましく、共材中におけるチタン酸バリウムの含有量が80質量%以上であることがより好ましい。
共材としてチタン酸バリウムを使用する場合、その平均粒径は、0.01μm〜0.5μmであることが好ましく、0.01μm〜0.3μmであることがより好ましく、0.05μm〜0.2μmであることがさらに好ましい。チタン酸バリウムの平均粒径がこのような範囲にあれば、得られる内部電極層において、チタン酸バリウムの粒子が導電性金属粒子間の空隙に入り込むことができる。この結果、導電性ペーストの焼結開始温度をセラミック層の焼結開始温度まで遅らせることができ、クラックや層間剥離などの構造欠陥を抑制することが可能となる。これに対して、チタン酸バリウムの平均粒径が0.01μm未満では、導電性ペーストの焼結開始温度を遅延させる効果が得られず、内部電極層とセラミック誘電体層の焼結収縮挙動に差が生じやすくなり、クラックや層間剥離などの構造欠陥を抑制することが困難となる。また、このような微細な粒子は導電性ペースト中で凝集しやすく、乾燥膜密度を低下させるばかりか、内部電極層の薄層化が困難となる場合もある。一方、平均粒径が0.5μmを超えると、チタン酸バリウムが導電性金属粒子間の空隙に入り込むことができず、同様に、導電性ペーストの焼結開始温度を遅延させる効果が得られない。
導電性ペースト中における共材の含有量は、1質量%〜30質量%、より好ましくは3質量%〜20質量%、さらに好ましくは5質量%〜15質量%とする。共材の含有量が1質量%未満または30質量%を超えると、内部電極層の抵抗値が上昇したり、最終的に得られる積層セラミックコンデンサにおいて、所望の静電容量を得ることができない場合がある。
(3)バインダ樹脂
本発明の導電性ペーストでは、バインダ樹脂として、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、ニトロセルロース、アクリルなどから選択される少なくとも1種を使用することができ、これらの中でも、少なくともポリビニルブチラールを使用することが好ましい。これは、ポリビニルブチラールは、グリーンシートの可塑剤としても使用されており、約80℃〜150℃の範囲で熱可塑性を示すため、バインダ樹脂中にポリビニルブチラールが存在することにより、内部電極層とその上部に積層されるセラミック誘電体層(グリーンシート)との密着性を改善することができるからである。
バインダ樹脂としてポリビニルブチラールを使用する場合、その含有量は、好ましくは0.01質量%〜3.0質量%、より好ましくは0.01質量%〜2.5質量%、さらに好ましくは0.5質量%〜2.5質量%、特に好ましくは1.0質量%〜2.0質量%とする。ポリビニルブチラールの含有量が0.01質量%未満では、上述した効果を得ることができない。一方、ポリビニルブチラールの含有量が2.0質量%を超えると、導電性ペーストがゲル化しやすくなる。あるいは、相溶性のよくない有機溶剤を使用した場合には、ポリビニルブチラールが有機溶剤から分離しやすくなる。
なお、ポリビニルブチラールは単独で使用してもよいが、有機溶剤との相溶性を改善する観点から、エチルセルロースやニトロセルロースなどと併用することも可能である。この場合、導電性ペースト中のポリビニルブチラールの含有量を、好ましくは0.01質量%〜2.5質量%、より好ましくは0.5質量%〜2.0質量%に調整するとともに、ポリビニルブチラール以外のバインダ樹脂の含有量を、好ましくは0.5質量%〜2.5質量%、より好ましくは0.5質量%〜2.0質量%とする。
(4)有機溶剤
有機溶剤は、導電性ペーストの構成成分を均一に分散させることができる限り、特に制限されることはなく、たとえば、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテートなどを使用することができる。
なお、導電性ペースト中の有機溶剤の含有量は、各構成成分が均一に分散し、かつ、導電性ペーストの塗布時に最適な粘度となるように適宜調整される限り、特に制限されることはない。
(5)有機添加剤
本発明の導電性ペーストでは、有機添加剤として、下記の化学式(化1)によって表される2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドを添加する必要がある。この有機添加剤の添加により、脱バインダ工程における樹脂成分の分解温度の低下を抑制し、層間剥離やクラックなどの構造欠陥の発生を防止することができる。
この理由については、導電性ペースト中で、2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドは導電性金属粒子と錯体を形成するためと考えられる。すなわち、導電性ペースト中で、2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドと導電性金属粒子とが錯体を形成することによって、導電性金属粒子の表面活性が低下し、バインダ樹脂の熱分解が抑制されるとともに、導電性金属粒子の耐酸化性が向上するためと考えられる。
しかも、上記化学式(化1)から明らかなように、この有機添加剤は、その構造中に硫黄を有さない。このため、本発明の導電性ペーストでは、脱バインダ工程や焼成工程における分解生成ガスに硫黄が含まれることはなく、電気炉などの製造設備の腐食を効果的に防止することができる。
2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドの添加量は、導電性ペースト中の導電性金属粒子の含有量に応じて調整する必要がある。具体的には、導電性ペースト中の導電性金属粒子の質量を1とした場合、2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドの添加量を0.01〜0.03、好ましくは0.015〜0.030、より好ましくは0.015〜0.028とすることが必要である。2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドの添加量が0.01未満では、樹脂成分の分解温度の低下を十分に抑制することができない。一方、2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドの添加量が0.03を超えると、得られる内部電極層内に残存し、層間剥離やクラックの原因となる。
なお、本発明の導電性ペーストにおいては、上述した有機添加剤のほかに、その用途に応じて、分散剤や難燃剤などの添加剤(以下、「他の添加剤」という)を添加することもできる。ただし、他の添加剤の含有量は、導電性ペースト中の導電性金属粒子の質量を1とした場合、合計で、好ましくは0.002〜0.03、より好ましくは0.005〜0.01とする。他の添加剤の添加量が0.002未満では、その効果を得ることができない。一方、他の添加剤の含有量が0.03を超えると、得られる内部電極層内に残存し、層間剥離やクラックの原因となるおそれがある。
2.導電性ペースト
(1)導電性ペーストの製造方法
本発明の導電性ペーストは、上述した構成成分を均一に分散させることができる限り、従来技術と同様の方法により製造することができる。たとえば、上述した各構成成分を、3本ロールミルなどにより均一に混練することにより製造することができる。
なお、上述した有機添加剤を添加するタイミングは特に制限されることはなく、導電性金属粒子、共材および樹脂と同時に有機溶剤に添加してもよく、あるいは、導電性金属粒子、共材および樹脂をビヒクルに添加し、混練した後、自公転ミキサなどを用いて添加してもよい。ただし、上述した有機添加剤として粉末状のものを用いる場合には、この有機添加剤を有機溶剤に溶解した後、この有機溶剤に対して、導電性金属粒子、共材および樹脂を添加し、混練することが好ましい。このような操作により、導電性ペースト中に、有機添加剤をより均一に分散させることができる。
また、上述した他の添加剤を添加するタイミングも特に制限されることはなく、任意のタイミングで添加することができる。ただし、他の添加剤として、導電性金属粒子または有機添加剤と反応性を有するものを使用する場合、他の添加剤を除く構成成分を混合および混練した後、これらの混合物に対して、他の添加剤を混合または混練することが好ましい。この場合の混合方法または混練方法としては、同様に、ロールミルや自公転ミキサなどを用いることができる。
(2)導電性ペーストの特性
上述したように本発明の導電性ペーストによれば、脱バインダ工程における導電性金属粒子の触媒作用が抑制されるため、このペースト中のバインダの熱分解温度が過度に低下することを防止することができる。また、脱バインダ工程における導電性金属粒子の過剰な酸化が防止されるため、その後の焼成工程において、非酸化性ないしは還元性雰囲気で焼成された場合であっても、酸化物の還元によるガス発生やそれに伴う体積変化を抑制することができる。このため、本発明の導電性ペーストを用いて、積層セラミックコンデンサの内部電極層を構成した場合に、クラックや層間剥離などの構造欠陥が生じることを効果的に防止することができる。
このような本発明の導電性ペーストは、積層セラミックコンデンサの内部電極の形成に好適に用いることができる。なお、本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法は、本発明の導電性ペーストを用いること以外は従来技術と同様であるため、ここでの説明は省略する。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例では、上述した導電性粉末の中でも、特に触媒作用が大きいNi粉末を使用した場合を例に挙げて本発明を説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されることはなく、導電性ペースト中のバインダ樹脂に対して触媒作用を示す、Pt、Pd、Au、Ag、Cuなどの金属粉末またはこれらの合金粉末などに対しても、同様に適用することができる。
(実施例1)
はじめに、導電性金属粒子として平均粒径が0.2μmのNi粉末を、共材として平均粒径が0.1μmのチタン酸バリウム粉末を、バインダ樹脂としてポリビニルブチラールおよびエチルセルロースを、有機溶剤としてターピネオールを、有機添加剤として2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドを用意した。
次に、Ni粉末が47質量%、共材が7質量%、ポリビニルブチラールが2質量%、エチルセルロースが2質量%、2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドが1質量%(Ni粉末に対する質量比で0.021)、残部がターピネオールとなるように秤量および混合し、この混合物を、3本ロールミル(株式会社井上製作所、43/4×11S型ロール機)を用いて混練することにより、導電性ペーストを作製した。
この導電性ペーストを、アプリケータ(YOSHIMITSU SEIKI社製)を用いて、ガラス基板上に、厚さが50μmとなるように塗布した後、120℃のオーブン(トーマス科学器械株式会社製)を用いて、酸化性雰囲気下で、1時間加熱することにより乾燥させた。このようにして得られた乾燥膜の厚さを高精度デジタル測長機(株式会社ミツトヨ製)により測定し、その密度(乾燥膜密度)を計算したところ、5.0g/cm3であることが確認された。
その後、ガラス基板から乾燥膜のみを剥離し、これを乳鉢にて粉砕し、網目の大きさが100μmの篩にかけることにより乾燥粉末を得た。この乾燥粉末の熱分解ピーク温度を、示唆温度分布装置(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG−DTA2000SA)を用いて測定した。具体的には、示唆温度分布装置を用いて、大気雰囲気中、室温から500℃までを5℃/minで昇温することにより、乾燥粉末の熱重量TGの測定を行い、その変化量ΔTGを下記の数式(1)より算出し、この結果に基づき、熱分解ピーク温度を求めた。
ΔTG=[TG(%)の単位時間あたりの変化量]/[単位時間]・・・(1)
最後に、導電性ペーストの熱分解抑制効果を評価した。具体的には、乾燥粉末の熱分解ピーク温度とエチルセルロース単体の熱分解ピーク温度を比較して、その差が20℃未満であったものを「良(○)」、20℃以上30℃未満であったものを「可(△)」、30℃以上であったものを「不可(×)」として評価した。これらの結果を表3および図1に示す。
(比較例1)
2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを作製し、乾燥粉末を得た。そして、この乾燥粉末に対して、実施例1と同様の評価を行った。この結果を表3および図1に示す。
(実施例2〜5、比較例2および3)
2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドの添加量を表2に示すように調整したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを作製し、乾燥粉末を得た。そして、これらの乾燥粉末に対して、実施例1と同様の評価を行った。これらの結果を表3に示す。
(評価)
図1より、導電性ペースト中に、2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドを含有する実施例1では、熱分解温度のピークが、エチルセルロース単体と同程度であるのことが確認できる。一方、導電性ペースト中に、2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドを含有しない比較例1では、熱分解温度のピークが290℃程度まで低下していることが確認できる。
また、表より、本発明の技術的範囲に属する実施例1〜5では、熱分解温度のピークの低下が抑制され、かつ、乾燥膜の密度が5.0g/cm3以上であることが確認できる。
これに対して、2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドの含有量が、Ni粉末対する質量比で0.01未満である比較例2では、比較例1と同様に、熱分解温度のピークが290℃程度まで低下していることが確認できる。また、2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドの含有量が、Ni粉末対する質量比で0.03を超える比較例3では、熱分解温度のピークは340℃であるものの、乾燥膜の密度が5.0g/cm3未満となっていることが確認できる。

Claims (9)

  1. 導電性金属粒子と、共材と、バインダ樹脂と、有機溶剤と、有機添加物とを含有する導電性ペーストであって、
    前記有機添加剤として、少なくとも2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イルベンズアミドを、前記導電性金属粒子にする質量比で0.01〜0.03含有する、導電性ペースト。
  2. 前記導電性金属粒子は、平均粒径が0.05μm〜0.5μmのニッケル粉末である、請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 前記導電性ペースト中における、前記導電性金属粒子の含有量は、30質量%〜70質量%である、請求項1または2に記載の導電性ペースト。
  4. 前記バインダ樹脂は、少なくともポリビニルブチラールを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ペースト。
  5. 前記導電性ペースト中における、前記ポリビニルブチラールの含有量は、0.01質量%〜2.5質量%である、請求項4に記載の導電性ペースト。
  6. 前記共材は、チタン酸バリウムを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ペースト。
  7. 前記チタン酸バリウムの平均粒径は0.01μm〜0.5μmである、請求項6に記載の導電性ペースト。
  8. 前記導電性ペースト中における、前記共材の含有量は、1質量%〜30質量%である、請求項1〜7のいずれかに記載の導電性ペースト。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて形成された内部電極層を備える、積層セラミックコンデンサ。
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