JP2019134718A - 凍り豆腐の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の凍り豆腐に比較してカリウム含量が飛躍的に改善されている凍り豆腐及び、その製造方法を提案する。【解決手段】カリウム含量が300mg/100g〜2600mg/100gの凍り豆腐及び、これを原料に含む食品。炭酸カリウム0.7〜2.5%(w/v)、pH 6.8〜9.0の加工液を用いた膨軟加工を行って、カリウム含量が300mg/100g〜1800mg/100gの凍り豆腐を製造する方法。塩化カリウムを1〜4%(w/v)含有する加工液を用いた膨軟加工を行って、カリウム含量が300mg/100g〜2600 mg/100gの凍り豆腐を製造する方法。【選択図】なし

Description

本発明は凍り豆腐及びその製造方法に関する。
凍り豆腐は、豆腐を凍結変性させた後、これを解凍、脱水し、その後、所定の加工液(膨軟加工液)を用い、当該加工液に凍結変性・解凍・脱水後の豆腐を浸漬する、あるいは、凍結変性・解凍・脱水後の豆腐に当該加工液を散水、塗布、噴霧する等の膨軟加工を行い、その後、脱水・乾燥させて製造している。
前記の膨軟加工は、喫食時の凍り豆腐を軟らかくする目的で行われるものである。
前記の加工液(膨軟加工液)としては、従来から、一般的に、重曹(重炭酸ナトリウム)の水溶液が用いられている。これによって、調理時の調味液をよりアルカリ性とし、軟らかく調理できる。
凍り豆腐の製造工程において膨軟加工に使用されている重曹であるが、重曹を膨軟加工に用いているために、凍り豆腐の原料である大豆はほとんどナトリウムを含まないにもかかわらず、凍り豆腐はナトリウムを400mg/100g程度、食塩相当量で1000mg/100g程度含む高ナトリウム食品となってしまっていた。
ナトリウムの多量摂取は高血圧、ひいては様々な疾患の原因になることから、減じるように推奨されている。
また、カリウムについては、WHOや厚生労働省にて、1日あたり3500mg以上を摂取することが推奨されている。
消費者の努力のみでこの摂取量を達成するのは困難であるため、食品製造メーカーが積極的に高カリウム含有食品を開発することが求められているが、従来の凍り豆腐のカリウム含量は30mg/100g程度であった。
凍り豆腐のカリウムの含有量を増やすためには、従来から膨軟加工に使用している重曹(重炭酸ナトリウム)を重炭酸カリウムに置き換えることが考えられるが、重炭酸カリウムは食品添加物ではない。
従って、一番近い化合物として炭酸カリウムが考えられる。本願出願人は、重曹(重炭酸ナトリウム)を使用することなしに、優れた膨軟性を有し、香味も改善されている凍り豆腐を製造する目的で、重曹(重炭酸ナトリウム)に替えて、炭酸カリウムを用いた膨軟化剤、膨軟加工、これによって製造した凍り豆腐をかつて提案している(特許文献1)。
この提案では、炭酸カリウムは重曹と比較してアルカリ性度が高いために、単純に重曹と置き換えて使用した場合には出来上がりの凍り豆腐が軟らかくなりすぎる点に対応する必要があった。また、炭酸カリウムの濃度が高すぎても軟らかくなりすぎるため、膨軟加工に用いる加工液としての炭酸カリウム濃度は1.0%(w/v)までとして提案していた。
特許公開2004−8071号公報
この発明は、従来の凍り豆腐に比較してカリウム含量が飛躍的に改善されている凍り豆腐及び、その製造方法を提案することを目的にしている。
本発明は、カリウム含量が300mg/100g〜2600mg/100gの凍り豆腐及び、これを原料に含む食品を提案するものである。
また、本発明は、炭酸カリウム0.7〜2.5%(w/v)、pH 6.8〜9.0の加工液を用いた膨軟加工を行って、カリウム含量が300mg/100g〜1800mg/100gの凍り豆腐を製造する方法及び、塩化カリウムを1〜4%(w/v)含有する加工液を用いた膨軟加工を行って、カリウム含量が300mg/100g〜2600 mg/100gの凍り豆腐を製造する方法を提案するものである。
この発明によれば、従来の凍り豆腐に比較してカリウム含量が飛躍的に改善されている凍り豆腐及び、その製造方法を提供することができる。
本発明が提案する凍り豆腐は、カリウム含量が300mg/100g〜2600mg/100gのものである。
従来一般的な凍り豆腐のカリウム含量は30mg/100g程度であったが、本発明は、従来の10倍以上の高カリウム含有の凍り豆腐を提供することができる。
このような本発明の凍り豆腐は、凍り豆腐の製造工程で従来から行われている膨軟加工において、後述する本発明の膨軟加工用の加工液を用いることで製造することができる。
本発明の凍り豆腐におけるカリウム含量300mg/100g〜2600mg/100gは、凍り豆腐の製造工程で従来から行われている膨軟加工において、後述する本発明の膨軟加工用の加工液を用いることによって、硬さや風味といった官能評価において良好で、なおかつ、従来一般的な凍り豆腐のカリウム含量に比較して少なくとも10倍以上高いカリウム含量の凍り豆腐を製造できる範囲として設定されたものである。
なお、凍り豆腐の製造工程で従来から行われている膨軟加工において、後述する本発明の膨軟加工用の加工液を用いることで製造している、カリウム含量が300mg/100g〜2600mg/100gの本発明の凍り豆腐は、このように高カリウム含有であると同時に、ナトリウム含有量は少ないものになっている。
発明者の検討によれば、凍り豆腐の製造工程で従来から行われている膨軟加工において、後述する本発明の膨軟加工用の加工液を用いて製造している、カリウム含量が300mg/100g〜2600mg/100gの本発明の凍り豆腐は、ナトリウム含量が20mg/100g以下であった。
そこで、本発明によれば、従来よりもカリウム含量が高く、同時にナトリウム含量が非常に低い凍り豆腐を提供することができる。
本発明の凍り豆腐はカリウム含量が300mg/100g〜2600mg/100gと、従来一般的な凍り豆腐(カリウム含量:30mg/100g程度)に比較して非常にカリウム含量が高いものであるので、これを原料に含む食品は、高カリウム含有食品となって、1日あたり3500mg以上の摂取が勧められているカリウムを効果的に摂取できる食品となる。
本発明が提案する第一の凍り豆腐製造方法は、炭酸カリウム0.7〜2.5%(w/v)、pH 6.8〜9.0の加工液を用いた膨軟加工を行って、カリウム含量が300mg/100g〜1800mg/100gの凍り豆腐を製造するものである。
ここで、前記加工液として、25℃以下の温度に保持されていた炭酸カリウム0.7〜2.5%(w/v)、pH 6.8〜9.0の加工液を用いることができる。
また、本発明が提案する第二の凍り豆腐製造方法は、塩化カリウムを1〜4%(w/v)含有する加工液を用いた膨軟加工を行って、カリウム含量が300mg/100g〜2600 mg/100gの凍り豆腐を製造するものである。
これら本発明による凍り豆腐の製造方法は、従来の凍り豆腐の製造方法において行われていた膨軟加工において、上述した本発明の特有の加工液を用いる点に特徴があり、その他の工程は、従来、一般的に採用されていた凍り豆腐の製造工程を採用することができる。
すなわち、上述した本発明の第一の製造方法、第二の製造方法のいずれであっても、豆腐を凍結変性させた後、これを解凍、脱水し、その後、上述した本発明の製造方法に特有の加工液を用い、当該加工液に凍結変性・解凍・脱水後の豆腐を浸漬する、あるいは、凍結変性・解凍・脱水後の豆腐に当該加工液を散水、塗布、噴霧する等の膨軟加工を行い、その後、脱水・乾燥させて本発明の凍り豆腐を製造することができる。
前述した本発明の第一の凍り豆腐製造方法で膨軟加工に用いる加工液の、炭酸カリウム0.7〜2.5%(w/v)、pH 6.8〜9.0という範囲は、この製造方法によって製造した凍り豆腐についての官能評価(硬さや風味)において良好な結果を得ることができ、なおかつ、カリウム含量300mg/100g〜1800mg/100gを実現できた範囲である。
上述した加工液(炭酸カリウム0.7〜2.5%(w/v)、pH 6.8〜9.0)を用いて膨軟加工を行うことにより、カリウム含量300mg/100g〜1800mg/100gの凍り豆腐を製造できる。
炭酸カリウムを用いた膨軟加工を施す際、pHをコントロールすることで、炭酸カリウムの効果をマイルドにし、より出来上がった凍り豆腐の硬さをコントロールしやすい加工法としたものである。
本願の発明者は、炭酸カリウムの濃度と共にpHを変化させることで、カリウムを高含有させても、風味や食感に影響しない範囲を見出した。
炭酸カリウム濃度0.7%(w/v)は、従来の膨軟加工に用いられている重曹(重炭酸ナトリウム)水溶液の濃度を炭酸カリウムに置き換えただけのものに相当する濃度で、これよりも低い炭酸カリウム濃度にすることは好ましくない。
一方、炭酸カリウム濃度が2.5%(w/v)を越えると、製造した凍り豆腐の風味が劣るため好ましくない。
炭酸カリウム濃度0.7〜2.5%(w/v)の加工液のpHが6.8を下回ると、製造された豆腐が硬くなるので好ましくない。
一方、炭酸カリウム濃度0.7〜2.5%(w/v)の加工液のpHが9.0を上回ると、製造された豆腐が軟らかすぎるので好ましくない。
なお、発明者の検討によれば、かかる本発明の第一の凍り豆腐の製造方法で製造した凍り豆腐はナトリウム含量が20mg/100g以下であって、高カリウム含量で、なおかつ、低ナトリウム含量の凍り豆腐であった。
上述したように、炭酸カリウムを用いた膨軟加工を施す際、酸性物質を共存させpHをコントロールすることで、炭酸カリウムの効果をマイルドにし、より出来上がった凍り豆腐の硬さをコントロールしやすくなる。
炭酸カリウムを用いた膨軟加工を施す際に行うpHのコントロールは、例えば、炭酸カリウムが含有されている加工液に対して所定量の酸性物質を加えることにより行うことができる。加える酸性物質としては、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、乳酸などのように、強い味を持たず、水に対して難溶ではない酸性物質であれば使用することが可能である
発明者の検討によれば、上記に例示した酸性物質を用いてpHのコントロールを行うと、これらの酸性物質が共存していることにより、炭酸カリウムの効果をマイルドにし、より出来上がった凍り豆腐の硬さをコントロールしやすくなることが認められた。
なお、炭酸カリウムの代わりに、酢酸カリウム、乳酸カリウム、グルコン酸カリウム、リン酸カリウムなどの、弱酸とカリウムの塩であればいずれも使用可能である。
以上にした本発明の第一の凍り豆腐製造方法において、前記加工液として、25℃以下の温度に保持されていた炭酸カリウム0.7〜2.5%(w/v)、pH 6.8〜9.0の加工液を用いることができる。
第一の凍り豆腐製造方法に用いる、炭酸カリウム0.7〜2.5%(w/v)、pH 6.8〜9.0の加工液は、このように調製した後に静置すると、徐々にpHが上昇する。加工への影響を防ぐために、このpH上昇をなるべく抑えることが望ましい。
発明者の検討によれば、前記のように調製した加工液を静置しているときの温度がpH上昇に関係していた。そして、25℃で静置すると静置後20分間pH変化量が0.2以内に抑えられ、5℃で静置すると静置後60分間pH変化量が0.2以内に抑えられることが判明した。
そこで、加工への影響を防ぐために、本発明の第一の凍り豆腐製造方法に用いる加工液として、25℃以下の温度に保持されていた炭酸カリウム0.7〜2.5%(w/v)、pH 6.8〜9.0の加工液を用いることが望ましい。また、このような観点から、加工への影響をより効果的に防ぐ上では、本発明の第一の凍り豆腐製造方法に用いる加工液として、5℃以下の温度に保持されていた炭酸カリウム0.7〜2.5%(w/v)、pH 6.8〜9.0の加工液を用いることがより望ましい。
前述した本発明の第二の凍り豆腐製造方法で膨軟加工に用いる加工液の、塩化カリウムを1〜4%(w/v)含有する、という範囲は、この製造方法によって製造した凍り豆腐についての官能評価(硬さや風味)において良好な結果を得ることができ、なおかつ、カリウム含量300mg/100g〜2600mg/100gを実現できた範囲である。
上述した加工液(塩化カリウムを1〜4%(w/v)含有する加工液)を用いて膨軟加工を行ったことにより、カリウム含量300mg/100g〜2600mg/100gの凍り豆腐を製造できる。
発明者の検討によれば、中性塩である塩化カリウムについては、相当量な濃度(4%(w/v))となるまで食感には影響せず、従って加工液中に塩化カリウムを添加することにより、より簡便に凍り豆腐中のカリウム濃度を増加させることが可能であった。
この場合、従来の膨軟加工に用いられている重曹(重炭酸ナトリウム)水溶液の濃度とpHを炭酸カリウムに置き換えた水溶液に塩化カリウムを添加して濃度1〜4%(w/v)にしても、凍り豆腐中のカリウム濃度を増加させることが可能であった。
なお、上述した加工液(塩化カリウムを1〜4%(w/v)含有する加工液)の場合、pHについては、塩化カリウムを含まない場合と同様に6.8〜9.0程度の範囲で望ましい豆腐の硬さとなった。
なお、発明者の検討によれば、かかる本発明の第二の凍り豆腐の製造方法で製造した凍り豆腐はナトリウム含量が20mg/100g以下であって、高カリウム含量で、なおかつ、低ナトリウム含量の通り豆腐であった。
本発明に用いた塩化カリウムは、中性のカリウム塩でも代用可能であり、特に限定されるものではない。そのようなものとしては、硫酸カリウム、硝酸カリウムなどがあり、水酸化カリウムやリン酸カリウムなどの中性以外のカリウム塩を適当な酸性物質またはアルカリ性物質で中和して用いることもできる。
また、中性のカリウム塩を加える加工液は、喫食時の凍り豆腐を軟らかくできるものであればよく、特に限定されるものではないが、凍り豆腐中のナトリウム含量を減らすことを考えると、第一の発明のような弱酸とカリウムの塩を用いたものが望ましい。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例や、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。
炭酸カリウム溶液に1Mクエン酸溶液を滴下することでpH を調整し、炭酸カリウムの終濃度を調整して凍り豆腐の膨軟加工に用いる加工液を複数準備して検討を行った。
検討例1は、従来の膨軟加工に用いられている重曹(重炭酸ナトリウム)水溶液の濃度とpHを炭酸カリウムに置き換えただけのもので、クエン酸を共存させず、pH調整を行っていないものである。
検討例2は、検討例1に対してクエン酸を共存させてpHを7.6に調整したものである。
検討例3〜12は、炭酸カリウムの終濃度を種々に変更すると共に、1Mクエン酸溶液を滴下することでpH を調整したものである。
従来の膨軟加工に用いられている重曹(重炭酸ナトリウム)水溶液を用いて膨軟加工を行った従来の凍り豆腐を対照例として、硬さと風味について官能評価を実施し、○現行品と大差なし、△現行品よりも劣るが、許容範囲、×製品として失格、としてそれぞれ評価した。また、出来上がった凍り豆腐のカリウム含量を測定した。結果は表1の通りであった。
なお、検討例1〜検討例12及び、対照例のいずれとも、豆腐を凍結変性させた後、これを解凍、脱水するまでの使用原材料、処理工程は同じであり、上記のように準備した加工液を凍結変性・解凍・脱水後の豆腐にしみ込ませた後、水分50%程度まで脱水し、その後、熱風乾燥にて水分8%程度まで乾燥し、凍り豆腐としたものである。
Figure 2019134718
従来の膨軟加工に用いられている重曹(重炭酸ナトリウム)水溶液における炭酸カリウム濃度(0.7%(w/v))を炭酸カリウムに置き換えただけのもので、クエン酸を共存させず、pH調整を行っていない検討例1では、軟らかすぎて食感を得られなかった。
これに対してクエン酸を共存させ、pHを7.6に調整した検討例2では、従来の凍り豆腐(対照例)と遜色のない硬さ、風味で、凍り豆腐中のカリウムム含量が711mg/100gで、ナトリウム含量が20mg/100gであった。
炭酸カリウムの濃度の多寡と、pHの数値との組み合わせにより硬さの評価に影響が生じることがあった。例えば、同一の炭酸カリウム濃度(1.6%(w/v))の検討例5、6では、pH7.2の検討例5では、やや軟らかいという評価であったが、pH7.0の検討例6では良好な食感であった。炭酸カリウムの濃度を増加させた場合、それに応じてpHを低くすると望ましい食感が得られるものと認められた。
いずれにしても、炭酸カリウムの濃度0.7〜2.5%(w/v)の範囲で、pH6.8以上の範囲であれば、現行品と大差なし、あるいは、現行品よりも劣るが許容範囲であることが認められた。
重曹(重炭酸ナトリウム)に替えて、炭酸カリウムを用いた膨軟化剤、膨軟加工、これによって製造した凍り豆腐が提案されている特許文献1では、炭酸カリウムの濃度が高くなると軟らかくなりすぎるため、膨軟加工に用いる加工液としての炭酸カリウム濃度は1.0%(w/v)までとしていた。しかし、加工液の炭酸カリウム濃度の調整とpHの調整とを組み合わせる本発明では、炭酸カリウム濃度を2.5%(w/v)まで高めてもよい結果が得られた。
また、この検討によれば、検討例2のナトリウム含量が20mg/100gで、検討例3〜12のいずれとも、ナトリウム含量は20mg/100gを下回っていた。
一方、検討例11、12のようにpHが6.6以下になると食感が硬すぎるため、検討例10のように、pHは6.8以上が望ましいと認められた。
また、風味への影響として検討例7の炭酸カリウム2.0%(w/v)では、風味には影響しないものの、炭酸カリウム2.5%(w/v)(検討例8)になると一部の官能評価パネルで渋みを感じる者があり、炭酸カリウム3.0%(w/v)(検討例9)では、多くのパネルが渋みを訴えた。
このことから、炭酸カリウム濃度3.0%(w/v)以上になると商品価値に大きく影響すると判断できた。
以上の検討から、表1の検討例2〜検討例8及び、検討例10を本発明の実施品と認めることができた。
このように、炭酸カリウム濃度0.7〜2.5%(w/v)、pH6.8以上の加工液を用いて膨軟処理を行うことによりカリウム含量711mg/100g以上の高カリウム含有凍り豆腐を得ることができた。そして、この高カリウム含有凍り豆腐は、ナトリウム含量20mg/100g以下の低ナトリウム含量凍り豆腐であった。
実施例1の検討例2の加工液(従来の膨軟加工に用いられている重曹(重炭酸ナトリウム)水溶液の濃度とpHを炭酸カリウムに置き換え、これにクエン酸を共存させてpHを7.6に調整した加工液)に塩化カリウムを加えた加工液(検討例13〜17)を準備した。
豆腐を凍結変性させた後、これを解凍、脱水するまでの使用原材料、処理工程は実施例1と同様にし、上記のように準備した加工液を凍結変性・解凍・脱水後の豆腐にしみ込ませた後、水分50%程度まで脱水し、その後、熱風乾燥にて水分8%程度まで乾燥し、凍り豆腐とした。
この凍り豆腐について、実施例1の対照例(従来の膨軟加工に用いられている重曹(重炭酸ナトリウム)水溶液を用いて膨軟加工を行った従来の凍り豆腐)を対照として、硬さと風味について官能評価を実施し、○現行品と大差なし、△現行品よりも劣るが、許容範囲、×製品として失格、としてそれぞれ評価した。また、出来上がった凍り豆腐のカリウム含量を測定した。結果は表2の通りであった。
Figure 2019134718
この結果、塩化カリウムを2.0%(w/v)添加した加工液(検討例14)で凍り豆腐を調製しても硬さ、風味には全く影響せず、4.0%(w/v)の添加(検討例16)であっても半数以上のパネルは現行品との差を認めなかった。
また、実施例1で検討したように、検討例2は、従来の凍り豆腐(対照例)と遜色のない硬さ、風味で、凍り豆腐中のカリウムム含量が711mg/100gで、ナトリウム含量が20mg/100gであったが、検討例13以降の凍り豆腐のナトリウム含量も、いずれも20mg/100gを下回っていた。
一方、塩化カリウム濃度5.0%(w/v)になると(検討例17)風味が劣る(渋みがある)ため好ましくなかった。
そこで、表2の検討例13〜検討例16を本発明の実施品と認めることができた。
このように、塩化カリウム濃度1.0〜4.0%(w/v)の加工液を用いて膨軟処理を行うことによりカリウムム含量1257mg/100g以上の高カリウム含有凍り豆腐を得ることができた。そして、この高カリウム含有凍り豆腐は、ナトリウム含量20mg/100g以下の低ナトリウム含量凍り豆腐であった。
炭酸カリウムをpH調整後に静置すると、徐々にpHは上昇する。すなわち、本発明の凍り豆腐製造方法に用いる、炭酸カリウム0.7〜2.5%(w/v)、pH 6.8〜9.0の加工液は、このように調製した後に静置すると、徐々にpHが上昇する。加工への影響を防ぐために、このpH上昇をなるべく抑えることが望ましい。
そこで、上述した検討例2の加工液保存温度がpH変化に与える影響を調べた。その結果を表3に示す。
25℃以下では20分間、5℃では60分間pH変化量が0.2以内に抑えられており、加工液の保存温度は25℃以下、さらに好ましくは5℃以下である必要があることがわかった。
Figure 2019134718

Claims (5)

  1. カリウム含量が300 mg/100g〜2600mg/100gの凍り豆腐。
  2. 請求項1に記載の凍り豆腐を原料に含む食品。
  3. 炭酸カリウム0.7〜2.5%(w/v)、pH 6.8〜9.0の加工液を用いた膨軟加工を行って、カリウム含量が300mg/100g〜1800mg/100gの凍り豆腐を製造する方法。
  4. 前記加工液は25℃以下の温度に保持されていた炭酸カリウム0.7〜2.5%(w/v)、pH 6.8〜9.0の加工液であることを特徴とする請求項3記載の凍り豆腐を製造する方法。
  5. 塩化カリウムを1〜4%(w/v)含有する加工液を用いた膨軟加工を行って、カリウム含量が300mg/ 100g〜2600 mg/100gの凍り豆腐を製造する方法。
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