JP6250300B2 - 低結着性チルド麺類の製造方法、麺類の表面処理剤、チルド麺類の結着抑制方法、並びに、チルド麺製品の製造方法 - Google Patents

低結着性チルド麺類の製造方法、麺類の表面処理剤、チルド麺類の結着抑制方法、並びに、チルド麺製品の製造方法 Download PDF

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本発明は、低結着性チルド麺類の製造方法、麺類の表面処理剤、チルド麺類の結着抑制方法、並びに、チルド麺製品の製造方法に関し、さらに詳細には、茹でた麺類の表面に所定の処理を施低結着性チルド麺類の製造方法、当該低結着性チルド麺類の製造に用いるための麺類の表面処理剤、当該麺類の表面処理剤を用いるチルド麺類の結着抑制方法、並びに、前記低結着性チルド麺類を含むチルド麺製品の製造方法に関する。
コンビニエンスストア等で、ざるそば、そうめん、冷うどん等のチルド麺類が広く販売されている。これらのチルド麺類は、茹でた麺類を冷蔵加工したものであり、冷蔵状態で保存及び提供されている。
チルド麺類においては、冷蔵保存中に麺同士が結着して塊状となり、ほぐれ難くなるという問題がある。これは、麺表面の離水と糊化された澱粉の粘着性に起因している。この問題を解決するための方策として、例えば、ほぐし用の水(ほぐし水)を同封することが行われている。その他の方策として、麺の表面をコーティングする技術がある(例えば、特許文献1〜7)。例えば、油脂、乳化剤、多糖類、食物繊維などからなるコーティング剤で、茹でた麺類の表面をコーティングすることにより、麺の離水を防止し、麺同士の結着を防止することができる。また、油脂や乳化剤を麺に練り込んで、麺の結着性を抑えることも行われている。
特開平7−298847号公報 特開平9−51764号公報 特開2001−95514号公報 特開2008−92879号公報 特開2008−182930号公報 特開2008−283888号公報 特開2010−187655号公報
しかし、ほぐし水を用いる方策は、作業が面倒な上、麺に付着したほぐし水が出汁類を薄めてしまうおそれがある。またコーティング剤を用いる方策は、麺表面に付着させたコーティング剤が、麺の食感や風味に悪影響を与えるおそれがある。さらに、麺表面からコーティング剤が脱落し、出汁類の風味等に悪影響を与えるおそれがある。油脂等を麺に練り込む方策も、麺の食感や風味に悪影響を与えるおそれがある。
一方、麺自体を改質することにより、麺同士の結着を抑制する技術開発は、ほとんど行われていないのが現状である。そこで本発明は、ほぐし水やコーティング剤を用いることなく、チルド麺類の結着を抑制することができる一連の技術を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、冷蔵状態で保存及び提供される低結着性チルド麺類の製造方法であって、茹でた麺類の表面を、エタノールを1〜12%(v/v)含有する発酵調味料からなる処理液で処理し、麺類の表面から前記処理液を取り除く処理をした後、冷蔵加工することを特徴とする低結着性チルド麺類の製造方法である。
本発明は低結着性チルド麺類の製造方法に係るものである。本発明の低結着性チルド麺類の製造方法では、茹でた麺類の表面を、エタノールを1〜12%(v/v)(1〜12容量%)含有する発酵調味料からなる処理液で処理し、麺類の表面から前記処理液を取り除く処理をした後、冷蔵加工する。当該処理液で表面が処理された麺類においては、麺表面が改質されて粘りが減少し、麺同士の結着が抑制されたほぐれ易いものとなる。そのため、本発明で得られる低結着性チルド麺は、ほぐし水やコーティング剤を使用しなくても、ほぐれ易く、箸等での取り扱いが容易である。
ここで「冷蔵」に相当する温度は、凍結しない程度の低温を指すものとする。また「冷蔵加工」とは、凍結しない程度の低温まで冷却することをいう。また本明細書において「チルド」は、冷蔵と同義の用語として用いる。
ここで「発酵調味料」とは、不可飲措置が施された酒類を指す。
請求項1に記載の低結着性チルド麺類の製造方法において、前記処理液を取り除く処理は、水洗である構成が好ましい(請求項2)。
請求項3に記載の発明は、前記処理液は、さらにクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、酢酸、リン酸、アジピン酸、酒石酸、グルコン酸、及びフィチン酸からなる群より選択された少なくとも1つの酸を含有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の低結着性チルド麺類の製造方法である。
かかる構成により、麺同士の結着がさらに抑制され、よりほぐれ易いものとなる。
請求項1〜3のいずれかに記載の低結着性チルド麺類の製造方法において前記麺類は、そば、うどん、そうめん、又は中華めんであることが好ましい(請求項4)。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の低結着性チルド麺類の製造方法に用いられ、茹でた麺類の表面を処理するための麺類の表面処理剤であって、麺類の処理後に麺類の表面から取り除かれるものであり、エタノールを1〜12%(v/v)含有する発酵調味料からなることを特徴とする麺類の表面処理剤である。
本発明は麺類の表面処理剤に係るものであり、麺類の処理後に麺類の表面から取り除かれるものであり、エタノールを1〜12%(v/v)含有する発酵調味料からなる。茹でた麺類の表面を、本発明の麺類の表面処理剤で処理することにより、ほぐし水やコーティング剤を使用することなく、チルド麺類の結着を抑制することができる。また、本発明の麺類の表面処理剤を用いることにより、上記した本発明の低結着性チルド麺の製造方法を容易に実施することができる。
請求項5に記載の麺類の表面処理剤は、水洗により麺類の表面から取り除かれるものであることが好ましい(請求項6)。
請求項5又は6に記載の麺類の表面処理剤は、さらにクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、酢酸、リン酸、アジピン酸、酒石酸、グルコン酸、及びフィチン酸からなる群より選択された少なくとも1つの酸を含有するものであることが好ましい(請求項7)。
請求項8に記載の発明は、茹でた麺類が冷蔵加工されたものであり、冷蔵状態で保存及び提供されるチルド麺類の結着を抑制する方法であって、茹でた麺類を請求項5〜7のいずれかに記載の麺類の表面処理剤で処理することを特徴とするチルド麺類の結着抑制方法である。
本発明はチルド麺類の結着抑制方法に係るものであり、茹でた麺類を、上記した表面処理剤で処理することを特徴とするものである。本発明のチルド麺類の結着抑制方法によれば、ほぐし水やコーティング剤を使用することなく、チルド麺類の結着を抑制することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の低結着性チルド麺類の製造方法で製造された低結着性チルド麺類と、当該低結着性チルド麺類から分離して包装された出汁類とを組み合わせることを特徴とするチルド麺製品の製造方法である。
本発明はチルド麺製品の製造方法に係るものである。本発明のチルド麺製品の製造方法では、上記した方法で製造された低結着性チルド麺と、当該低結着性チルド麺類から分離して包装された出汁類とを組み合わせる。本発明で得られるチルド麺製品においては、麺同士の結着が抑制されてほぐれ易く、かつ同封の出汁類に漬けて直ちに食することができる。
本発明で得られる低結着性チルド麺類は、ほぐし水やコーティング剤を使用しなくても、ほぐれ易く、箸等での取り扱いが容易である。
本発明の麺類の表面処理剤によれば、ほぐし水やコーティング剤を使用することなく、チルド麺類の結着を抑制することができる。また、本発明の低結着性チルド麺を容易に製造することができる。
本発明のチルド麺類の結着抑制方法についても同様であり、ほぐし水やコーティング剤を使用することなく、チルド麺類の結着を抑制することができる。
本発明で得られるチルド麺製品は、ほぐし用の水やコーティング剤を使用しなくても、麺がほぐれ易く、箸等での取り扱いが容易である。
実施例3のそうめんの結着性を評価した結果を示すグラフである。 実施例3と比較例1のそうめんを箸で持ち上げた状態を示す写真である。 実施例3と比較例1のそうめんの表面の電子顕微鏡写真である。 実施例4のそばの結着性を評価した結果を示すグラフである。 実施例5のうどんの結着性を評価した結果を示すグラフである。 実施例6の中華そばの結着性を評価した結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について具体的に説明する。
本発明の低結着性チルド麺類は、茹でた麺類が冷蔵加工されたものであり、冷蔵状態で保存及び提供されるチルド麺類であって、茹でた麺類の表面を、エタノールを1〜12%(v/v)含有する水溶液からなる処理液で処理し、その後、冷蔵加工したことを特徴とするものである。また本発明の麺類の表面処理剤は、上記した本発明の低結着性チルド麺類の製造に用いられ、茹でた麺類の表面を処理するための麺類の表面処理剤であって、エタノールを1〜12%(v/v)含有する水溶液からなることを特徴とするものである。
本発明の低結着性チルド麺類においては、茹でた麺類の表面を、「エタノールを1〜12%(v/v)含有する水溶液からなる処理液」で処理する。換言すれば、茹でた麺類の表面を、本発明の麺類の表面処理剤で処理する。本発明の麺類の表面処理剤(処理液)による麺表面の改質効果は、エタノールの脱水作用に拠るところが大きいと考えられる。少なくとも、本発明の麺類の表面処理剤(処理液)は、乳化剤等を含む従来のコーティング剤のような、麺の表面をコーティングして麺同士の結着を抑制するものではない。
本発明の麺類の表面処理剤及び前記処理液のエタノール濃度は1〜12%(v/v)であるが、好ましくは4〜11%(v/v)、より好ましくは5〜10%(v/v)である。エタノール濃度が1%(v/v)未満であると、麺表面の改質が不十分となり、所望の効果が得られない。一方、エタノール濃度が12%(v/v)を超えると、麺内部からの離水が過度に起こり、麺が細く縮まり硬くなって食用に適さない。
エタノールの由来としては、食品用として通常用いられているものを採用することができる。例えば、酒類用や食品添加物用の醸造アルコール(発酵アルコール)を用いることができる。その他、料理用酒類、清酒、みりん、焼酎、等を利用することができる。
「表面処理剤(処理液)による処理」とは、麺類の表面に表面処理剤(処理液)を接触させることである。具体例としては、麺類を表面処理剤(処理液)に浸漬することが挙げられる。その他、麺類の表面に表面処理剤(処理液)を噴霧又は塗布することが挙げられる。
表面処理剤(処理液)による処理は、麺内部からの離水や澱粉の糊化又は老化が起こる前に行うことが好ましい。例えば、麺類の茹で上がり後、速やかに行うことが好ましい。
上記表面処理剤(処理液)による処理時間(接触時間)としては、麺の種類等によって適宜選択すればよいが、一般的には1〜30分程度でよく、好ましくは5〜10分の範囲である。
上記表面処理剤(処理液)の使用量としては、麺の種類等によって適宜選択すればよいが、例えば、浸漬処理の場合は、茹で麺重量当たり2〜3倍の容量を使用すればよい。
上記表面処理剤(処理液)による処理温度としては特に限定はなく、茹で上げ直後のほぼ100℃の状態で処理を行ってもよいし、実際の作業工程での麺の冷却を考慮して5〜30℃の状態で処理してもよい。
麺類を上記表面処理剤(処理液)で処理した後は、冷蔵加工前に麺類を水洗し、表面処理剤(処理液)を取り除くことが好ましい。水洗することにより、麺類からアルコール臭を確実に取り除くことができる。水洗の条件としては、表面処理剤(処理液)のエタノール濃度にもよるが、茹で麺重量当たり5〜10倍の容量の水を用いて1回以上、好ましくは3〜10回行えばよい。なお、本発明における麺類の表面処理は、麺自体を改質するものであり、麺表面をコーティングするものではないから、水洗して表面処理剤(処理液)を取り除いても結着抑制効果は失われない。すなわち上記表面処理剤(処理液)は、麺を処理した後において、麺の低結着性を維持しつつ麺から除去可能なものである。なお、麺類の表面に上記表面処理剤(処理液)を噴霧又は塗布し、アルコール臭が気にならない場合には、水洗を行わなくてもよい。
上記表面処理剤(処理液)は、料理用酒類に属するものが好ましく、発酵調味料(不可飲措置、すなわち食塩を加え飲用できないようにしたもの)に属するものが特に好ましい。この好ましい実施形態によれば、調理用として使用実績がある酒類をそのまま適用することができ、安心かつ便利である。
本発明の麺類の表面処理剤(処理液)には、エタノールによる麺類の結着抑制効果を損なわない限りにおいて、エタノール以外の成分を含めてもよい。例えば、表面処理剤(処理液)が発酵調味料の場合には、塩類、pH調整剤、加塩清酒等を含めることができる。なお、本発明の麺類の表面処理剤(処理液)はエタノールの作用によって麺自体を改質するものであるから、エタノール以外の成分として、麺表面のコーティング剤として機能する有効量の油脂、乳化剤、多糖類等は含めるべきでない。
本発明の麺類の表面処理剤(処理液)は、麺類の改質剤と換言することができる。
前記表面処理剤(処理液)には、さらにクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、酢酸、リン酸、アジピン酸、酒石酸、グルコン酸、及びフィチン酸からなる群より選択された少なくとも1つの酸を含有させてもよい。かかる構成により、麺類の結着抑制効果を高めることができる。特に、乳酸とクエン酸は、麺類の結着抑制効果をより高めることができ、好ましい。これらの酸の含有量は0.2〜10%(w/v)の範囲から適宜選択すればよいが、例えばクエン酸では1〜10%(w/v)、好ましくは1〜5%(w/v)、より好ましくは1〜2%(w/v)である。
前述したとおり、「冷蔵」に相当する温度は、「凍結しない程度の低温」であり、一般的には1〜10℃、好ましくは2〜9℃、より好ましくは3〜8℃の温度域である。
本発明の対象となる麺類の種類は、チルド麺類として用いられるものであれば特に限定はない。具体例としては、うどん、そうめん、ひやむぎ、中華めん、パスタ等の小麦粉を主原料とする麺類、そば(和そば、日本そば)等のそば粉を用いた麺類、が挙げられる。その他、米粉を用いた麺類が挙げられる。
麺類の結着性の評価は、例えば、テクスチャー計を用いて行うことができる。例えば、Texture Analyser TA.XT2i(Stable Micro System社製)を用い、試料たる麺類を平板状の押圧部材で上から押圧して、押圧部材を引き上げたときの結着の度合いにて結着性を測定することができる。
本発明の低結着性チルド麺は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、乾麺あるいは生麺である麺類を、適当な条件で茹でる。茹で上がった麺類を、エタノールを1〜12%(v/v)含有する水溶液からなる処理液に浸漬する。浸漬時間や浸漬温度等は、麺の種類等に応じて適宜選択する。処理液から麺類を引き上げ、水洗した後、冷蔵加工(例えば3〜8℃)し、本発明の低結着性チルド麺類とする。
本発明の麺類の表面処理剤は、例えば、エタノールを含有する水性溶液(例えば、醸造アルコール)を、エタノール濃度が所定範囲となるように水で希釈して製造することができる。必要に応じて他の成分(クエン酸等の酸、塩類など)を添加してもよい。
本発明のチルド麺類の結着抑制方法は、茹でた麺類を、上記した麺類の表面処理剤で処理するものである。本発明のチルド麺類の結着抑制方法においても、上記した実施形態がそのまま適用できる。
本発明のチルド麺製品は、上記した低結着性チルド麺類と、当該低結着性チルド麺類から分離して包装された出汁類とを含むことを特徴とする。例えば、本発明の低結着性チルド麺類(そば、うどん、そうめん、中華めんなど)と、袋入りの出汁類(つゆ、スープなど)とが一緒に包装されたチルド麺製品が、本発明の一態様として挙げられる。本発明のチルド麺製品には、必要に応じて、具や薬味のような他の要素を含めてもよい。
以下、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
乾麺のそうめん25gを2分間茹でた後、所定のエタノール濃度に調製した処理液(表面処理剤)に5分間浸漬した。処理液として、エタノール濃度が0(水のみ),1,5,10,20%(v/v)の5種類のエタノール水溶液を用いた。処理液から引き上げたそうめんを冷やし、冷蔵状態で1日間保管した。保管1日後のそうめんについて、ほぐれ易さの官能評価を行い、結着抑制効果を評価した。
結果を表1に示す。表中、「◎」は極めて良好、「○」は良好、「×」は不良をそれぞれ表す。すなわち、エタノール濃度が10%(v/v)の場合に極めて良好な結着抑制効果が得られた。また、エタノール濃度が1%と5%(v/v)の場合でも、良好な結着抑制効果が得られた。一方、エタノール濃度が0%と20%(v/v)の場合には、結着抑制効果が得られず、ほぐれ難く、箸等での操作がしにくいものとなった。
〔実施例2〕
処理液から引き上げたそうめんを、茹で麺重量当たり5倍の容量の水を用いて3回水洗し、その後、冷蔵状態で1日間保管する以外は実施例1と同様にして、結着抑制効果を評価した。結果は表1と同じであり、処理液による処理後に水洗を行っても、結着抑制効果が保持されていた。
〔実施例3〕
下記組成からなる濃縮処理液を調製した。
・95%工業用アルコール:552L
・加塩清酒: 15L
・並塩: 80kg
・汲み水: 必要量
合計1000L
この濃縮処理液を水で5倍に希釈し(最終エタノール濃度10%)、発酵調味料に属する処理液(表面処理剤)を調製した。(以下、処理液Aと称する。)
乾麺のそうめん25gを2分間茹でた後、処理液Aに5分間浸漬した。処理液から引き上げたそうめんを水洗した後、冷蔵状態で1日間保管した(実施例3)。保管1日後のそうめんについて、テクスチャー計(型番:TA.XT2i、Stable Micro System社製)と20mm ダイアメーター パースペックス(diameter perspex)を用いて結着抑制効果を評価した。測定条件は、温度:室温(25℃)、プレ−スピード(Pre−Speed):5.0mm/秒、テスト−スピード(Test−Speed):1.0mm/秒、ディスタンス(Distance):20.0mm、オート(Auto):5g、とした。結着性の数値は、処理液で処理せずに1日間冷蔵したもの(比較例1)の結着性を100としたときの相対値(%)で表した。実験は5回行い(n=5)、平均値を採用した。
コントロールとして、茹でた直後のものと、処理液で処理せずに1日間冷蔵したもの(比較例1、無処理)の2種を設定した。
結果を表2と図1に示す。すなわち、処理液Aで処理した場合(実施例3)には、結着性が76%まで抑えられていた。
実施例3と比較例1の各そうめんについて、箸を使って実際に引き上げてみた。結果を図2に示す。すなわち、比較例1のそうめんはほぐれ難く、塊状となって全体が引き上げられた。これに対し、実施例3のそうめんはほぐれ易く、箸で摘んだ分だけ引き上げられ、取り扱いが容易であった。
以上より、茹でたそうめんを処理液Aに浸漬することにより、冷蔵後の結着を抑制できることが示された。
実施例3と比較例1の各そうめんについて、表面を電子顕微鏡で観察した(倍率2000倍)。結果を図3に示す。すなわち、処理液Aで処理した実施例3では、麺表面のグルテンの網目が大きくなっていた。このように、処理液Aによる処理で、麺表面の状態が変化し、改質されていることが示された。
〔実施例4〕
そうめんに代えて、乾麺の「そば」を用いて、実施例3と同様の実験を行った(実施例4)。コントロールとして、茹でた直後のものと、処理液で処理せずに1日間冷蔵したもの(比較例2、無処理)の2種を設定した。さらに、茹でたそばの表面に大豆多糖類(コーティング剤)を噴霧したものを設定し、実施例3と同様の実験を行った(比較例3)。
結果を表3と図4に示す。まず、処理液Aで処理した場合(実施例4)には、結着性が80%まで抑えられていた。このように、茹でたそばを処理液Aに浸漬することにより、冷蔵後の結着を抑制できることが示された。
さらに、大豆多糖類を使った比較例3では結着性が92%であり、実施例4のそばは、比較例3のそばよりも結着性が抑えられていた。
〔実施例5〕
そうめんに代えて、生麺のうどんを用いて、実施例3と同様の実験を行った(実施例5)。コントロールとして、処理液で処理せずに1日間冷蔵したもの(比較例4)を設定した。
結果を表4と図5に示す。処理液Aで処理した場合(実施例5)には、結着性が93%まで抑えられていた。このように、茹でたうどんを処理液Aに浸漬することにより、冷蔵後の結着を抑制できることが示された。
〔実施例6〕
そうめんに代えて、生麺の中華めんを用いて、実施例3と同様の実験を行った(実施例6)。コントロールとして、処理液で処理せずに1日間冷蔵したもの(比較例5)を設定した。
結果を表5と図6に示す。処理液Aで処理した場合(実施例6)には、結着性が78%まで抑えられていた。このように、茹でた中華めんを処理液Aに浸漬することにより、冷蔵後の結着を抑制できることが示された。
〔実施例7〜9〕
下記組成からなる、クエン酸含量が異なる3種の濃縮処理液を調製した。
・95%工業用アルコール:331L
・加塩清酒: 15L
・並塩: 80kg
・クエン酸: 10kg(実施例7)
又は50kg(実施例8)
又は100kg(実施例9)
・汲み水: 必要量
合計1000L
これらの濃縮処理液を水で5倍に希釈し(最終エタノール濃度6%)、発酵調味料に属する処理液(表面処理剤)を調製した。(以下、処理液Bと称する。)
乾麺の十割そば50gを2分間茹でた後、十分に水洗した。茹で麺重量当たり4%容量の処理液Bを噴霧し、冷蔵状態で1日間保管した。上記のように、クエン酸10kgのものを実施例7、50kgのものを実施例8、100kgのものを実施例9とした。測定条件は実施例3と同様に行った。コントロールとして、処理液で処理せずに1日間冷蔵したもの(比較例6)を設定した。
結果を表6に示す。処理液Bで処理した場合(実施例7〜実施例9)には、いずれも結着性が69〜67%まで抑えられていた。このように、茹でた十割そばに処理液Bを噴霧することにより、冷蔵後の結着を抑制できることが示された。なお、エタノール濃度6%のアルコール溶液を噴霧したものと比べると、さらにクエン酸を含有することによって、ほぐれ易く、箸で摘んだときの引き上げの感じがより良くなることがわかった。

Claims (9)

  1. 蔵状態で保存及び提供される低結着性チルド麺類の製造方法であって、
    茹でた麺類の表面を、エタノールを1〜12%(v/v)含有する発酵調味料からなる処理液で処理し、麺類の表面から前記処理液を取り除く処理をした後、冷蔵加工することを特徴とする低結着性チルド麺類の製造方法
  2. 前記処理液を取り除く処理は、水洗であることを特徴とする請求項1に記載の低結着性チルド麺類の製造方法
  3. 前記処理液は、さらにクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、酢酸、リン酸、アジピン酸、酒石酸、グルコン酸、及びフィチン酸からなる群より選択された少なくとも1つの酸を含有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の低結着性チルド麺類の製造方法
  4. 前記麺類は、そば、うどん、そうめん、又は中華めんであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の低結着性チルド麺類の製造方法
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の低結着性チルド麺類の製造方法に用いられ、茹でた麺類の表面を処理するための麺類の表面処理剤であって、麺類の処理後に麺類の表面から取り除かれるものであり、エタノールを1〜12%(v/v)含有する発酵調味料からなることを特徴とする麺類の表面処理剤。
  6. 水洗により麺類の表面から取り除かれるものであることを特徴とする請求項5に記載の麺類の表面処理剤。
  7. さらにクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、酢酸、リン酸、アジピン酸、酒石酸、グルコン酸、及びフィチン酸からなる群より選択された少なくとも1つの酸を含有するものであることを特徴とする請求項5又は6に記載の麺類の表面処理剤。
  8. 茹でた麺類が冷蔵加工されたものであり、冷蔵状態で保存及び提供されるチルド麺類の結着を抑制する方法であって、茹でた麺類を請求項5〜7のいずれかに記載の麺類の表面処理剤で処理することを特徴とするチルド麺類の結着抑制方法。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載の低結着性チルド麺類の製造方法で製造された低結着性チルド麺類と、当該低結着性チルド麺類から分離して包装された出汁類とを組み合わせることを特徴とするチルド麺製品の製造方法
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