以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1及び図2は、実施の形態1に係る通風管装置及び排気装置を適用した画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、図2はその画像形成装置における要部(作像装置など)を拡大して示している。
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えば電子写真方式を採用したフルカラーの画像形成装置として構成されたものである。この画像形成装置1は、装置本体1aの上部に図示しない原稿を自動的に読取位置へと搬送する自動原稿搬送装置2と、原稿載置ガラス4上において図示しない原稿の画像を読み取る画像読取装置3を備えている。
画像読取装置3は、自動原稿搬送装置2によって原稿載置ガラス4の読取位置を通過するよう搬送される図示しない原稿の画像、或いは原稿載置ガラス4上に載置される図示しない原稿の画像を光源6によって照明しつつ、原稿からの反射光像をフルレートミラー7a及びハーフレートミラー7bを介して結像レンズ8によって画像読取素子9上に結像することにより、図示しない原稿の画像を読み取るよう構成されている。
画像形成装置1は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する画像形成手段の一例としての複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置30と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40と、装置本体1a内の空気を排気する排気手段の一例としての排気装置60(図4参照)等を備えている。なお、図中の一点鎖線は、画像形成装置1の装置本体1aの内部において記録用紙5が搬送される主な搬送経路を示す。
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これらの4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、イエロー(Y)の作像装置10Yが装置本体1aの右側において相対的に上方に、ブラック(K)の作像装置10Kが装置本体1aの左側において相対的に下方に位置するよう傾斜した状態で配置されている。
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)は、図1に示されるように、像保持体の一例としての回転する感光体ドラム11を備えている。この感光体ドラム11の周囲には、次のようなトナー像形成手段の一例としての各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する静電潜像形成手段の一例としての露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14(Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写手段の一例としての一次転写装置15(Y,M,C,K)と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16(Y,M,C,K)等である。
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成される。帯電装置12は、図2に示されるように、その表面を清掃する清掃ロール121を有している。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11の表面に非接触状態で配置されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置を用いてもよい。
露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなる。なお、露光装置13としては、画像情報に応じて構成されるレーザー光を感光体ドラム11の軸方向に沿って偏向走査するものを用いても良い。
現像装置14(Y,M,C,K)はいずれも、図2に示されるように、開口部と現像剤4の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤4を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤4を攪拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送する2つのスクリューオーガー等の攪拌搬送部材142,143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成したものである。この現像装置14には、現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像バイアス電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や攪拌搬送部材142,143は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、4色の現像剤4(Y,M,C,K)としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
一次転写装置15(Y,M,C,K)は、図1に示されるように、感光体ドラム11の周囲に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
ドラム清掃装置16は、図2に示されるように、一部が開口する容器状の本体160と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板161と、清掃板161で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材162等で構成されている。清掃板161としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
中間転写装置20は、図1に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の上方の位置に存在するよう配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写体の一例としての中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22〜25と、ベルト支持ロール22に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写手段の一例としての二次転写装置26と、二次転写装置26を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置27とで主に構成されている。
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール23は二次転写の背面支持ロールとして構成され、ベルト支持ロール22は図示しない駆動装置によって回転駆動される駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール24は中間転写ベルト21の画像形成面を形成する面出しロールとして構成され、ベルト支持ロール25は中間転写ベルト21に張力を付与する張力付与ロールとして構成される。
二次転写装置26は、図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール23に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。また、二次転写装置26としての二次転写ロール又は中間転写装置20のベルト支持ロール22には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として図示しない電源装置から供給される。
ベルト清掃装置27は、一部が開口する容器状の本体270と、二次転写後の中間転写ベルト21の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板271と、清掃板271で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収装置に送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材272等で構成されている。清掃板271としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
定着装置40は、記録用紙5の導入口及び排出口が形成された装置ハウジング43の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して回転するベルト形態又はロール形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。なお、定着装置40については、後に詳述する。
給紙装置30は、作像装置10(Y,M,C,K)の鉛直方向に沿った下方側の位置に存在するよう配置される。この給紙装置30は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体31と、用紙収容体31から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置32とで主に構成される。
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいはOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
給紙装置30と二次転写装置26との間には、図1に示されるように、給紙装置30から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する単数又は複数の用紙搬送ロール対33,33aや図示しない搬送ガイドで構成される給紙搬送路34が、装置本体1aの左側面に鉛直方向に沿って設けられている。給紙搬送路34は、鉛直方向に沿って下方に配置された用紙収容体31から記録用紙5を搬送する複数又は単数の用紙搬送ロール対33,33aを備えている。給紙搬送路34において二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対33は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。また、二次転写装置26から定着装置40の上方にまでわたる領域には、二次転写装置26から送り出される二次転写後の記録用紙5を定着装置40へと搬送するため用紙搬送路35が鉛直方向に沿って設けられている。
また、定着装置40の上部には、搬送ロール対36を介して装置本体1aの上端部に設けられた用紙排出部46へと搬送して排出する排出搬送路37が設けられている。用紙排出部46は、装置本体1aの外部ではなく当該装置本体1aの上端部に設けられており、所謂胴内排出型の画像形成装置1を構成している。
排出搬送路37の出口には、記録用紙5を排出すると共に表裏を反転させる排出ロール対38が配置されている。排出ロール対38は、その回転方向が正転方向と逆転方向に切替可能となっている。
また、排出ロール対38の手前には、記録用紙5の搬送方向を切り替える切替ゲート39が設けられている。記録用紙5の両面に画像を形成する場合には、記録用紙5の搬送方向が切替ゲート39によって両面用搬送経路44へと切り替えられる。このとき、排出ロール対38は、記録用紙5の後端が切替ゲート39を通過した後、回転方向が正転方向(排出方向)から逆転方向に切り替わる。排出ロール対38によって逆転方向に搬送される記録用紙5は、切替ゲート39によって搬送経路が水平方向に切り替えられ、画像形成装置1の装置本体1aの側面に沿って略鉛直方向に沿うように形成された両面用搬送経路44へと搬送される。両面用搬送経路44は、表裏を反転させた状態で記録用紙5を用紙搬送ロール対33へと搬送する用紙搬送ロール対45や図示しない搬送ガイド等を備えている。
図1中、符号145(Y,M,C,K)は、紙面に直交する方向に延びる円筒形状に形成され、水平方向に沿って配列されて対応する現像装置14(Y,M,C,K)に供給する少なくともトナーを含む現像剤を収容した現像剤収容容器の一例としてのトナーカートリッジをそれぞれ示している。
各トナーカートリッジ145(Y,M,C,K)の下方には、当該トナーカートリッジ145(Y,M,C,K)から供給されるトナーを対応する現像装置14(Y,M,C,K)へそれぞれ搬送するトナー搬送装置146(Y,M,C,K)が設けられている。
また、図1中符号200は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御装置を示している。制御装置200は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROM等を接続するバス、通信インターフェイスなどを備えている。
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するフルカラーモードにおける動作を説明する。
画像形成装置1は、制御装置200によって制御され、画像読取装置3に装着された図示しない操作パネル、あるいは図示しないユーザインターフェイスやプリンタドライバ等からフルカラーの画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置26、定着装置40等が始動する。
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、図1及び図2に示されるように、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを現像ロール141からそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。各作像装置10(Y,M,C,K)の現像装置14には、トナーカートリッジ145(Y,M,C,K)からトナー搬送装置146(Y,M,C,K)によって適宜トナーが供給される。
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15(Y,M,C,K)が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わされるような状態で一次転写させる。
また、一次転写が終了した各作像装置10(Y,M,C,K)では、ドラム清掃装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10(Y,M,C,K)は、次の作像動作が可能な状態にされる。
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置30では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路34に送り出す。給紙搬送路34では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対33が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
二次転写位置においては、二次転写装置26が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置27が二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21から剥離された後に用紙搬送路35を介して定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)を施して未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。定着が終了した後の記録用紙5は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、排出搬送路37に沿って排出ロール対38により装置本体1aの上端部に設けられた用紙排出部46へ排出される。
また、記録用紙5の両面に画像を形成する場合は、片面に画像が形成された記録用紙5を切替ゲート39によって排出ロール対38へと搬送し、排出ロール対38によって記録用紙5が一旦排出方向に搬送される。それと共に、排出ロール対38が記録用紙5の後端を挟持したままの状態で当該排出ロール対38の回転方向を逆転させ、記録用紙5の表裏を反転させた後に両面用搬送経路44を介して再度二次転写装置26へと搬送し、記録用紙5の裏面にトナー像を転写する。裏面にトナー像が転写された記録用紙5は、用紙搬送路35を介して定着装置40まで搬送され、定着装置40により定着処理(加熱及び加圧)を施され、排出ロール対38により用紙排出部46へ排出される。
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。なお、画像形成装置1では、ブラック(K)の作像装置10Kのみを用いて記録用紙5にモノクロの画像を形成しても勿論よい。
<定着装置の構成>
図3は上記の如く構成される画像形成装置1に使用される定着装置40を示す断面構成図である。
定着装置40は、図3に示されるように、記録用紙5上の未定着トナー像Tを加熱することにより定着する加熱用回転体の一例としての加熱ロール41と、記録用紙5を加熱ロール41に加圧する加圧用回転体の一例としての無端ベルト状の加圧ベルト42と、加圧ベルト42を内周から加熱ロール41に向けて押圧する押圧部材430と、加熱ロール41の内部に配置され、加熱ロール41を加熱するハロゲンランプ等からなる複数(又は単数)の加熱源440とを備えている。この定着装置40では、加熱ロール41と加圧ベルト42が接触(圧接)する接触部が記録用紙5を加熱並びに加圧する定着処理を行う定着処理部(ニップ部)Nとなる。
加熱ロール41は、ステンレスやアルミニウム、あるいは鋼鉄等の金属によって円筒形状に形成された芯金部材411と、当該芯金部材411の表面に予め定められた厚さ(例えば、5mm程度)に被覆されたシリコーンゴム等からなる耐熱性を有する弾性体層412と、当該弾性体層412の表面に例えば50μm程度の厚さに被覆されたPFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)製チューブ等の離型性に優れた材料からなる離型層413とを備えるよう構成されている。加熱ロール41は、例えば、外径が30mm程度の中空の円筒形状に形成される。また、加熱ロール41の軸線方向(長手方向)の長さは、記録用紙5の最大幅より大きく、例えば、320mmである。加熱ロール41は、図示しない駆動手段によって矢印方向に沿って回転駆動される。
加圧ベルト42は、その内部に配設された押圧部材430によって、加熱ロール41の表面に所定の圧接力で押圧される。押圧部材430は、加圧ベルト42を介して加熱ロール41の表面に圧接する押圧パッド431と、押圧パッド431を保持する保持部材432と、保持部材432を支持する支持部材433と、押圧パッド431を加熱ロール41に圧接するコイルスプリング434とを備えている。また、押圧パッド431の表面は、加圧ベルト42との摺動抵抗を低減するために、図示しないシート状の低摩擦部材によって覆われているとともに、加圧ベルト42の内面には、液状潤滑剤供給部材としてのフェルト部材435が配設されている。
加圧ベルト42は、ポリイミド等の合成樹脂によって、外径が30mm、肉厚が75μmの無端ベルト状に形成されており、必要に応じて、表面にPFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)等からなる離型層が設けられる。なお、図3中、符号450は加熱ロール41の表面温度を検知する温度センサを示している。
<排気装置の構成>
図4は上記の如く構成される画像形成装置1に適用される通風管装置を適用した排気装置を示す構成図である。
排気装置60は、図4に示されるように、定着装置40の周囲の空気を装置本体1aの背面側から外部へと導いて排気する通風管装置及び排気通風管の一例としての排気ダクト61を備えている。排気ダクト61は、定着装置40の加熱ロール41及び加圧ベルト42の軸方向(長手方向)に沿った背面側に近接して配置されている。排気ダクト61は、定着装置40の外周を覆う装置ハウジング43と同等かそれよりも広い開口面積を有する断面矩形状の角筒として形成されている。排気ダクト61の長手方向に沿った背面側の端部には、装置本体1aの内部の空気を吸引し排気ダクト61を介して装置本体1aの外部に排出する排出手段の一例としての排気ファン62が設けられている。排気ファン62は、その駆動が制御装置200により制御される。
排気ダクト61は、図5及び図6に示されるように、例えば、合成樹脂などからなる複数(図示例では、2つ)の流路形成手段の一例として第1及び第2ダクト部材63,64を備えている。第1及び第2ダクト部材63,64は、流路の一例としての断面矩形状の閉空間65を形成する外周壁を対角線Lに対して対称となるよう2つに分割したものである。第1及び第2ダクト部材63,64は、同一形状に形成されている。また、第1及び第2ダクト部材63,64は、互いに連結可能に構成されている。
第1ダクト部材63は、図7(a)に示されるように、閉空間65を取り囲む断面矩形状の外周壁のうち、上端部に位置する天井壁66と、左側面に位置する左側壁67とを一体的に備えた断面略L字形状に形成されている。また、第2ダクト部材64は、図7(b)に示されるように、閉空間65を取り囲む断面矩形状の外周壁のうち、下端部に位置する底壁68と、右側面に位置する右側壁69とを一体的に備えた断面略L字形状に形成されている。
第1ダクト部材63の天井壁66は、図6に示されるように、その先端部66aが第2ダクト部材64の右側壁69の上端部を覆う位置まで延在するよう設けられている。同様に、第2ダクト部材64の底壁68は、その先端部68aが第1ダクト部材63の左側壁67の下端部を覆う位置まで延在するように設けられている。
第1ダクト部材63と第2ダクト部材64は、それぞれ天井壁66と右側壁69、左側壁67と底壁68がスナップフィット結合70,71によって連結可能に構成されている。第1ダクト部材63の天井壁66の先端には、図5及び図6に示されるように、スナップフィット結合70の凹部72を形成する複数のスナップ結合片73が第2ダクト部材64の右側壁69と平行になるよう下方へ向けて垂下した状態で設けられている。同様に、第2ダクト部材64の底壁68の先端には、スナップフィット結合71の凹部74を形成する複数のスナップ結合片75が第1ダクト部材63の左側壁67と平行になるよう上方へ向けて起立した状態で設けられている。
スナップ結合片73,75は、図5に示されるように、第1及び第2ダクト部材63,64の長手方向に沿った両端部と中央部にそれぞれ(図示例では、合計3つ)配置されている。第2ダクト部材64の右側壁69には、スナップ結合片73の凹部72に対応した位置に当該凹部72と係合される凸部76が設けられている。また、第1ダクト部材63の左側壁67には、スナップ結合片75の凹部74に対応した位置に当該凹部74と係合される凸部78が設けられている。
スナップフィット結合70,71は、図8に示されるように、スナップ結合片73,75を凸部76,78が設けられた第1ダクト部材63の左側壁67及び第2ダクト部材64の右側壁69に沿って押し込むことにより、スナップ結合片73,75が外側に弾性変形して凸部76,78を乗り越え、スナップ結合片73,75の凹部72,74が凸部76,78に係合されることで連結される。また、スナップフィット結合70,71は、スナップ結合片73,75を弾性変形させて凹部72,74と凸部76,78の係合を解除して、第1ダクト部材63と第2ダクト部材64を離間させる方向に移動させることで連結が解除される。
なお、スナップ結合片73,75には、図9に示されるように、凹部72,74を設ける代わりに、必要に応じて当該スナップ結合片73,75を薄肉に形成することにより凸部76,78と係合される貫通孔79,80を形成しても良い。また、第1ダクト部材63及び第2ダクト部材64に設けられる凹部72,74と凸部76,78の関係は、逆であっても良い。
第1及び第2ダクト部材63,64の内面には、図5及び図6に示されるように、定着装置40から発生する超微粒子粉塵(UFP )や揮発性有機化合物(VOC)、あるいは装置本体1a内の空気中に存在するクラウドトナーなどの除去対象物質を捕捉する面状の捕捉手段の一例としてシート状のフィルタ部材81,82が設けられている。フィルタ部材81,82は、第1及び第2ダクト部材63,64の天井壁66,左側壁67,底壁68,右側壁69の内面に接着剤を塗布した接着や両面テープ等を介在させた貼付け等の手段により設けられる。なお、フィルタ部材81,82は、その全面が第1及び第2ダクト部材63,64の内面に必ずしも固定されている必要はない。フィルタ部材81,82は、第1及び第2ダクト部材63,64の内面から一部が浮いた状態で設けられていても良い。
第1ダクト部材63の内面に設けられるフィルタ部材81は、図6及び図7(a)に示されるように、天井壁66の先端に位置する一端部81aが隣接する他方のダクト形成手段の一例である第2ダクト部材64の右側壁69の内面まで延長されている。その結果、第1ダクト部材63の内面に設けられるフィルタ部材81は、第2ダクト部材64の右側壁69に設けられるフィルタ部材82と第2ダクト部材64の右側壁69の内面において重ね合わされて二重となっている。なお、図7(a)では、便宜上、フィルタ部材81の一端部81aを湾曲させた状態で図示しているが、第1ダクト部材63と第2ダクト部材64を連結する以前の状態においては、フィルタ部材81の一端部81aがスナップ結合片73の内面に接触していても勿論良い。
また、第2ダクト部材64の内面に設けられるフィルタ部材82は、図6及び図7(b)に示されるように、底壁68の先端に位置する一端部82aが隣接する他方のダクト形成手段の一例である第1ダクト部材63の左側壁67の内面まで延長されている。その結果、第2ダクト部材64の内面に設けられるフィルタ部材82は、第1ダクト部材63の左側壁67に設けられるフィルタ部材81と、第1ダクト部材63の左側壁67の内面において重ね合わされて二重となっている。
その結果、排気ダクト61の内周面に設けられるフィルタ部材81,82は、第1ダクト部材63及び第2ダクト部材64によって囲まれた断面矩形状の閉空間65の内周面を隙間なく全周にわたり覆っている。
シート状のフィルタ部材81,82としては、例えば、所要の厚さを有する不織布が用いられる。また、フィルタ部材81,82には、揮発性有機化合物(VOC)の除去効果を付加或いは向上させるため活性炭を保持させた不織布を用いても良い。フィルタ部材81,82には、必要に応じて超微粒子粉塵(UFP)や揮発性有機化合物(VOC)の捕捉効果を高める薬剤が付加される。
<排気装置の作用>
この実施の形態に係る画像形成装置1では、図1に示されるように、画像読取装置3に装着された図示しない操作パネル、あるいは図示しないユーザインターフェイスやプリンタドライバ等からフルカラーの画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、制御装置200の制御動作に応じて4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置26、定着装置40、排気装置60の排気ファン62等が始動する。
画像形成装置1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)の現像装置14などからトナーが飛散してトナークラウドが発生する場合がある。また、定着装置40では、図3に示されるように、未定着トナー像Tを記録用紙5上に定着する際に、記録用紙5及び未定着トナー像Tから超微粒子粉塵(UFP)や揮発性有機化合物(VOC)等の成分や熱などが放出される。
各作像装置10(Y,M,C,K)などから発生するクラウドトナー、或いは定着装置40から発生する超微粒子粉塵(UFP)や揮発性有機化合物(VOC)等からなる除去対象物質は、図4に示されるように、排気ファン62の排出作用によって定着装置40の背面側に配置された排気装置60の排気ダクト61の基端部から周囲の空気と共に吸引され、排気ダクト61を介して装置本体1aの背面側から外部へと排出される。
その際、排気中に含まれる超微粒子粉塵(UFP)や揮発性有機化合物(VOC)、クラウドトナーなどの除去対象物質は、図5に示されるように、排気ダクト61の内部を長手方向に沿って送られる間に当該排気ダクト61の内周面に全面にわたり設けられたシート状のフィルタ部材81,82と接触することにより、シート状のフィルタ部材81,82により捕捉されて除去される。
ところで、排気ダクト61は、図6に示されるように、第1及び第2ダクト部材63,64をスナップフィット結合70,71により連結することで角筒状に形成されている。そのため、第1及び第2ダクト部材63,64の連結部には、僅かな隙間が存在する場合がある。この実施の形態に係る排気ダクト61は、シート状のフィルタ部材81,82の内周方向に沿った一端部81a,82aが隣接する第1及び第2ダクト部材63,64まで延長されて、隣接する第1及び第2ダクト部材63,64のフィルタ部材81,82と重ね合されている。
そのため、排気ダクト61は、第1及び第2ダクト部材63,64の連結部がフィルタ部材81,82の一端部81a,82aによって塞がれており、排気ダクト61内を流れる空気が外部に漏れることが防止される。また、仮に、第1及び第2ダクト部材63,64の連結部から空気が僅かに漏れる場合があっても、第1及び第2ダクト部材63,64の連結部から漏れる空気は、フィルタ部材81,82を必ず通過するため、超微粒子粉塵(UFP)や揮発性有機化合物(VOC)、クラウドトナーなどの除去対象物質は、フィルタ部材81,82によって確実に捕捉され除去される。そのため、排気ダクト61は、第1及び第2ダクト部材63,64を連結することで構成される場合においても、第1及び第2ダクト部材63,64の連結部から除去対象物質が装置本体1aの内部に漏れることが確実に防止乃至抑制される。
[実施の形態2]
この実施の形態2に係る排気装置60は、排気ダクト61を構成するシート状のフィルタ部材81,82の形状が実施の形態1と異なっている。
すなわち、この実施の形態2では、図10に示されるように、排気ダクト61を構成する第1ダクト部材63の内面に設けられるシート状のフィルタ部材81が、第1ダクト部材63の天井壁66側が第2ダクト部材64へ向けて延長されるのではなく、第1ダクト部材63の左側壁67側の先端部81bが第2ダクト部材64へ向けて延長されるように構成されている。同様に、第2ダクト部材64の内面に設けられるシート状のフィルタ部材82は、第2ダクト部材64の底壁68側が第1ダクト部材63へ向けて延長されるのではなく、第2ダクト部材64の右側壁69側の先端部82bが第1ダクト部材63へ向けて延長されるように構成されている。
この実施の形態2では、図10に示されるように、シート状のフィルタ部材81,82の先端部81b,82bが、第1ダクト部材63の左側壁67及び第2ダクト部材64の右側壁69の端部より突出するように設けられている。そのため、第1ダクト部材63と第2ダクト部材64とを連結して排気ダクト61を構成する際には、シート状のフィルタ部材81,82の先端部81b,82bが他方の第1及び第2ダクト部材63,64の底壁68及び天井壁66に沿って自ずから湾曲するので、第1及び第2ダクト部材63,64の連結作業が容易に行える。また、第1及び第2ダクト部材63,64を連結する際に、シート状のフィルタ部材81,82の先端部81b,82bが第1及び第2ダクト部材63,64の底壁68及び天井壁66に突き当たって折り畳まれた状態となる場合であっても、第1及び第2ダクト部材63,64の連結部は、フィルタ部材81,82の先端部81b,82bによって確実に塞がれる。
[実施の形態3]
図11はこの発明の実施の形態3に係る排気装置を示す模式図である。この実施の形態3に係る排気装置60は、排気ダクト61を構成する複数のダクト部材の分割方法が前記実施の形態1,2と異なるように構成されている。
すなわち、この実施の形態3では、図11(a)(b)に示されるように、排気ダクト61を構成する複数のダクト部材が断面矩形状の閉空間65を各壁部毎に4つに分割したダクト部材91〜94から構成するか、又は断面矩形状の閉空間65を3つの壁部を一体的に形成したダクト部材95と、残りの1つの壁部を形成したダクト部材96との2つのダクト部材から構成したものである。
排気ダクト61は、図11(a)に示されるように、断面矩形状の閉空間65を形成する天井壁と、左側壁と、底壁と、右側壁に対応した4つのダクト部材91〜94を備えるように構成されている。各ダクト部材91〜94は、スナップフィット結合や、各ダクト部材91〜94の端縁に外側へ向けて形成された凹部と凸部を嵌め合わせること等によって互いに連結される。また、各ダクト部材91〜94の内面には、図示しないシート状のフィルタ部材が設けられている。
また、排気ダクト61は、図11(b)に示されるように、断面矩形状の閉空間65を形成する天井壁と左側壁と底壁とを一体的に形成するダクト部材95と、右側壁を形成するダクト部材96とを備えるように構成されている。各ダクト部材95,96は、スナップフィット結合や、各ダクト部材95,96の端縁に外側へ向けて形成された凹部と凸部を嵌め合わせること等によって互いに連結される。また、各ダクト部材95,96の内面には、図示しないシート状のフィルタ部材が設けられている。
このように、排気ダクト61が4つのダクト部材91〜94を備えるように構成することにより、各ダクト部材91〜94の連結構造がスナップフィット結合に限らず、他の結合手段を容易に採用することができ、排気ダクト61の組立性を向上させることができる。
また、排気ダクト61が2つのダクト部材95,96を備えるように構成することにより、ダクト部材95,96の連結部が1つの側面である右側面にのみ位置するため、ダクト部材95,96の連結部からの漏れ方向を規制することが容易となる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
[実施の形態4]
図12はこの発明の実施の形態4に係る排気装置を示す模式図である。この実施の形態4に係る排気装置60は、排気ダクト61を構成する複数のダクト部材の分割方法が前記実施の形態1と異なるように構成されている。
すなわち、この実施の形態4では、排気ダクト61を構成する複数のダクト部材が断面矩形状の閉空間65を対角線に対して対称な形状となるように分割するのではなく、水平方向に通る中心線に沿って上下に分割するように構成したものである。第1及び第2ダクト部材63,64は、図12に示されるように、断面矩形状に形成される閉空間65の左右側壁の中央で上部に位置する第1ダクト部材63と下部に位置する第2ダクト部材64とからなる。第1ダクト部材63は、左右の側壁部67,69の上半部67a,69aを有している。また、第2ダクト部材64は、左右の側壁部67,69の下半部67b,69bを有している。
この実施の形態4では、第1ダクト部材63の内面に設けられるシート状のフィルタ部材81の右側壁部69の上半部69aに対応した一端部81cが第2ダクト部材64に向けて延長されている。また、第2ダクト部材64の内面に設けられるシート状のフィルタ部材82の左側壁部67の上半部67aに対応した一端部82cが第1ダクト部材63に向けて延長されている。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
なお、前記実施の形態では、複数の作像装置を備えた所謂タンデム方式の画像形成装置について説明したが、これに限定されるものではなく、画像形成装置の画像形成方式は任意であり、単一の作像装置を備えたモノクロの画像形成装置などであっても勿論良い。
また、前記実施の形態では、通風管装置を画像形成装置に適用した場合について説明したが、本発明の通風管装置は、画像形成装置に限定されるものではなく、通風管により送られる空気中から除去対象物質を除去する必要がある装置であれば、画像形成装置以外の装置に広く適用することができるものである。
さらに、前記実施の形態では、通風管の断面形状として断面矩形状のものを例に説明したが、通風管の断面形状は、断面円形状や断面楕円形状、断面三角形状など、任意の形状であっても良いことは勿論である。
また、前記実施の形態では、複数の流路形成手段を結合する手段として、主にスナップフィット結合を例に説明したが、他の結合手段を用いても良いことは勿論である。