以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置の全体の概要を示し、図2はその画像形成装置における要部(作像装置など)を拡大して示している。
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、現像剤4を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像手段の一例としての作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。作像装置10及び中間転写装置20は、画像形成部を構成している。なお、図中の1aは画像形成装置1の装置本体を示し、この装置本体1aは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これらの4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、装置本体1aの内部空間において傾斜した状態で1列に並べた状態となるよう配置されている。4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、イエロー(Y)の作像装置10Yが鉛直方向に沿った上方に位置して相対的に高く、ブラック(K)の作像装置10Kが相対的に低くなる位置に存在している。
各作像装置10(Y,M,C,K)は、図1や図2に示されるように、像保持体の一例としての回転する感光体ドラム11を備えている。感光体ドラム11の周囲には、次のようなトナー像形成手段の一例としての各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電手段の一例としての帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光手段の一例としての露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤4のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14(Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写手段の一例としての一次転写装置15(Y,M,C,K)と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16(Y,M,C,K)等である。
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。
帯電装置12は、図3及び図4に示されるように、被帯電体としての感光体ドラム11の周面と接触し、感光体ドラム11との間に帯電用の電圧が印加されるロール状の帯電部材の一例としての帯電ロール121と、帯電ロール121の感光体ドラム11と接触する面以外の周面と接触するように配置され、帯電ロール121の表面を清掃する清掃手段の一例としての清掃ロール122とを備えている。帯電ロール121には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。清掃ロール122は、帯電ロール121の表面に所要の押圧力で圧接されることで、当該帯電ロール121の回転に伴って従動回転する。
帯電ロール121は、図6に示されるように、ステンレスや鉄等の金属からなる円柱形状の芯金123と、芯金123の外周に所要の厚さに被覆されて導電性が付与された弾性体層124と、弾性体層124の表面に被覆された表面層125とを有している。芯金123は、帯電ロール121の軸方向に沿った両端部に突出するよう設けられ回転軸を兼ねている。
また、帯電ロール121の芯金123は、図4に示されるように、図示しない軸受部材を介して高圧電源装置126(電圧印加装置の一例)に接続されている。制御装置200は、高圧電源装置126によって帯電ロール121に印加する高電圧の値及び電圧の印加タイミングを制御する。
帯電ロール121の弾性体層124は、例えば、内部や表面に空洞や凹凸部を有する多孔質の発泡体からなる。弾性体層124は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、オレフィン、メラミン、ポリプロピレン等の発泡性の樹脂材料、又は、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム)、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム等の発泡性のゴム材料に、カーボンブラックやイオン性導電剤等の抵抗調整剤などを分散させて所要の抵抗値を有するように構成される。また、弾性体層124は、発泡していないソリッドタイプのゴムであってもよい。また、帯電ロール121の表面層125は、例えば、弾性体層124の外周面に粒状のフィラーが分散された塗装を施すことにより設けられる。
なお、帯電ロール121としては、弾性体層124以外に表面層125を有しないものであっても良い。
一方、清掃ロール122は、帯電ロール121の表面を清掃するための部材である。清掃ロール122は、図7に示されるように、ステンレスや鉄等の金属からなるブラシ基部の一例としての芯金150と、芯金150の外周に所要の密度で密に植え付けられ、被清掃体としての帯電ロール121に先端が接触する多数(複数)本のブラシ毛151とを備えている。図示例では、ブラシ毛151として第1のブラシ毛151aと第2のブラシ毛151bが間隙151cを介して螺線状に密に植え付けられている。また、清掃ロール122は、ブラシ毛ではなくスポンジを芯金150の外周に螺旋状に巻き付けたり、芯金150の外周に円柱形状に設けたものなどでもよい。芯金150は、清掃ロール122の両端部に突出するように設けられ回転軸を兼ねている。
露光装置13は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光を、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置13には、潜像形成時になると画像形成装置1に任意の手段で入力される画像の情報(信号)が送信される。露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなるものである。
露光装置13は、図5に示されるように、長手方向に沿って上端面が開口された細長い凹所131を有する直方体形状に形成された筐体130を備えている。筐体130の凹所131の底部には、複数の発光素子としてのLEDを感光体ドラム11の軸方向に沿って配列した図示しない実装基板が配置されている。また、露光装置13は、筐体130の凹所131の内部に実装基板に実装された複数のLEDと対向するよう光学部材の一例としてのレンズアレイ132が、その上部が筐体130から突出するよう図示しない封止剤によって封止された状態で設けられている。露光装置13は、レンズアレイ132の上端面が露光面133となっている。露光装置13は、図3に示されるように、露光面133が感光体ドラム11の表面と所要の間隙を介して対向するよう配置されている。
現像装置14(Y,M,C,K)はいずれも、図2に示されるように、開口部と現像剤4の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤4を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤4を攪拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送する2つのスクリューオーガー等の攪拌搬送部材142,143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成したものである。この現像装置14には、その現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や攪拌搬送部材142,143は、図示しない駆動装置からの動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、上記4色の現像剤4(Y,M,C,K)としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
一次転写装置15(Y,M,C,K)は、感光体ドラム11の周囲に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
ドラム清掃装置16は、一部が開口して帯電装置12の下方にまでわたる領域を覆う容器状の本体160と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板161と、清掃板161で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材162等で構成されている。清掃板161としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。図2中、符号161aは清掃板161の下端部が取り付けられた板金等からなる支持部材を示している。
中間転写装置20は、図1に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の上方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22~26と、ベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写部材の一例としての二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置27とで主に構成されている。
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は図示しない駆動装置によって回転駆動される駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は中間転写ベルト21の走行位置などを保持する従動ロールとして構成され、ベルト支持ロール24は中間転写ベルト21に張力を付与する張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール25は二次転写のバックアップロールとして構成され、ベルト支持ロール26はベルト清掃装置27により清掃される中間転写ベルト21の背面を支持する支持ロールとして構成されている。
二次転写装置30は、図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロール31を備えた接触型の転写装置である。また、二次転写ロール31又は中間転写装置20のベルト支持ロール25には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。
ベルト清掃装置27は、図2に示されるように、ドラム清掃装置16と同様に構成され、一部が開口する容器状の本体270と、二次転写後の中間転写ベルト21の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板271と、清掃板271で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材272等で構成されている。清掃板271としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
定着装置40は、図1に示されるように、表面温度が所要の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して回転するベルト形態又はロール形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。
給紙装置50は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の作像装置10(Y,M,C,K)の下方側の位置に存在するように配置される。給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体51と、用紙収容体51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52,53とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、装置本体1aの使用者が操作時に向き合う面である正面(図示例では左側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども使用することができる。
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する単数(又は複数)の用紙搬送ロール対54や搬送ガイド55等で構成される給紙搬送路56が設けられている。用紙搬送ロール対54は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。また、二次転写装置30と定着装置40との間には、二次転写装置30の二次転写ロール31から送り出される二次転写後の記録用紙5を定着装置40まで搬送するための搬送ガイド57,58等が設けられている。さらに、装置本体1aの用紙の排出口に近い部分には、定着装置40から送り出される定着後の記録用紙5を搬送ガイド59に沿って装置本体1aの上部に設けられた用紙排出部60に排出するための用紙排出ロール対61が配置されている。
定着装置40と用紙排出ロール対61との間には、用紙搬送路を切り替える切替ゲート62を備えている。用紙排出ロール対61は、その回転方向が正転方向(排出方向)と逆転方向に切り替え可能となっている。記録用紙5の両面に画像を形成する場合には、片面に画像が形成された記録用紙5の後端が切替ゲート62を通過した後、用紙排出ロール対61の回転方向を正転方向(排出方向)から逆転方向に切り替える。用紙排出ロール対61によって逆転方向に搬送される記録用紙5は、切替ゲート62により搬送経路が切り替えられ、装置本体1aの側面に略鉛直方向に沿うよう形成された両面用搬送経路63へと搬送される。両面用搬送経路63は、表裏を反転させた状態で記録用紙5を用紙搬送ロール対54へと搬送する用紙搬送ロール対64と、搬送ガイド65~68等を備えている。
図1中、符号70は装置本体1aの正面(図中、左側面)に下端部を中心にして開閉自在に設けられた手差しトレイを示しており、手差しトレイ70と用紙搬送ロール対54との間には、手差しトレイ70に収容された記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置71と、複数の用紙搬送ロール対72~74や搬送ガイド75等で構成される手差し用紙搬送路76が設けられている。
また、手差し用紙搬送路76とイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の作像装置10(Y,M,C,K)との間には、当該作像装置10(Y,M,C,K)に高電圧を供給する昇圧トランスやコンデンサ等の電気素子からなる高圧電源装置77が配置されている。また、高圧電源装置77の下方には、送風ファンから送風される空気流が手差し用紙搬送路76へ流れるのを防止乃至抑制し、高圧電源装置77に沿って流れるよう導く板状の導風部材78が手差し用紙搬送路76の搬送方向に沿って設けられている。
また、図1中符号145(Y,M,C,K)は、紙面に直交する方向に沿って複数配列され、対応する現像装置14(Y,M,C,K)に供給する少なくともトナーを含む現像剤を収容した現像剤収容容器の一例としてのトナーカートリッジをそれぞれ示している。
この実施の形態では、図3に示されるように、感光体ドラム11と、この感光体ドラム11の周囲に配置される帯電装置12、ドラム清掃装置16等の画像形成部材とが一体的にユニット化されて組み付けられており、画像形成ユニットの一例としての感光体モジュール800を構成している。また、現像装置14は、感光体モジュール800とは別に単独で現像モジュール81としてモジュール化されている。感光体モジュール800及び現像モジュール810は、画像形成装置1の装置本体1aにそれぞれ独立して着脱可能となっている。なお、露光装置13は、画像形成装置1の装置本体1a側に装着されている。
<画像形成装置の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する動作について説明する。
画像形成装置1は、図1及び図2に示されるように、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
続いて、各現像装置14(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを現像ロール141からそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わされるような状態で一次転写させる。
また、一次転写が終了した各作像装置10では、ドラム清掃装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10は、次の作像動作が可能な状態にされる。
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路56に送り出す。給紙搬送路56では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対54が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
二次転写位置においては、二次転写装置30の二次転写ロール31が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置27が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール31から剥離された後に搬送ガイド57,58を介して定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、用紙排出ロール対61により、例えば、装置本体1aの上部に設置された用紙排出部60に排出される。
また、記録用紙5の両面に画像を形成するときは、片面に画像が形成された記録用紙5を用紙排出ロール対61により用紙排出部60に排出せずに、用紙排出ロール対61が記録用紙5の後端を保持している間に当該用紙排出ロール対61の回転方向を逆転方向に切り替える。用紙排出ロール対61により逆転方向に搬送される記録用紙5は、切替ゲート62の上部を通過した後、用紙搬送ロール対64や搬送ガイド65~68等を備えた両面用搬送経路63を介して表裏が反転された状態で用紙搬送ロール対54へと再度搬送される。用紙搬送ロール対54は、記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給し、記録用紙5の裏面に画像を形成し、用紙排出ロール対61によって装置本体1aの上部に設置された用紙排出部60に排出する。
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。
<画像形成装置の特徴部分の構成>
ところで、上記の如く構成される画像形成装置1は、図3に示されるように、感光体ドラム11の鉛直方向に沿った下方に配置された露光装置13により感光体ドラム11の表面に画像露光が施される。感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11の回転方向に沿った下流側に現像装置14が隣接して配置されている。そのため、露光装置13の露光面133には、現像装置14から漏れて感光体ドラム11の周囲を浮遊するクラウドトナーなどの付着物が付着しやすい。露光装置13は、その露光面133にクラウドトナーなどの付着物が付着すると、露光面133に付着した付着物により画像露光が散乱されるなどして画質が低下する虞れがある。
従来、露光装置13の近傍に露光装置専用の清掃部材を設け、露光装置13が画像露光を行わないタイミングで、露光装置13を清掃部材側へ移動させて清掃する技術が種々提案されている(特許文献1,2等)。
しかしながら、近年、画像形成装置1は、更なる小型化等のために感光体ドラム11が小径化されてきている。そのため、露光装置13は、図3に示されるように、感光体ドラム11の周囲において、帯電装置12と現像装置14の間に位置する僅かな空間に配置され、露光装置13の近傍に露光装置専用の清掃部材を設けることが困難であるとともに、露光装置専用の清掃部材を設けることは、部品点数の増加を招くことになる。
そこで、この実施の形態に係る画像形成装置では、像保持手段の周囲に配置され、露光手段以外の被清掃手段を清掃する清掃手段を備え、露光手段は、清掃手段側へ向けて移動することで露光面が清掃されるように構成されている。
すなわち、画像形成装置1は、図8に示されるように、感光体ドラム11の周囲に配置され、露光装置13以外の被清掃手段を清掃する清掃手段として、露光装置13以外の被清掃手段の一例としての帯電装置12を清掃する清掃ロール122を用いるよう構成されている。そして、画像形成装置1は、露光装置13の清掃時、移動手段の一例としてのリトラクト機構80によって露光装置13を帯電装置12の清掃ロール122と対向する清掃位置へと移動させることで、当該清掃ロール122によって露光装置13の露光面133が清掃される。
リトラクト機構80は、図9に示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)の露光装置13(Y,M,C,K)を保持する保持部材81(Y,M,C,K)を備えている。各保持部材81(Y,M,C,K)は、感光体ドラム11の軸方向に沿って配置される細長い箱体状に形成されている。各露光装置13(Y,M,C,K)は、感光体ドラム11(Y,M,C,K)側の先端が保持部材81(Y,M,C,K)から感光体ドラム11へ向けて突出するよう保持されている。保持部材81(Y,M,C,K)は、感光体ドラム11(Y,M,C,K)の軸方向に沿った両端部にそれぞれ配置され、当該保持部材81(Y,M,C,K)を画像形成装置1の装置本体1aに対して回転支点811(Y,M,C,K)を中心にして回転可能に支持されている。
露光装置13(Y,M,C,K)は、保持部材81(Y,M,C,K)に保持された状態で、回転支点811(Y,M,C,K)を中心にして感光体ドラム11の表面と対向する露光位置(動作位置)と、図9中、時計回り方向に回転して帯電装置12(Y,M,C,K)の清掃ロール122(Y,M,C,K)と対向して接触する清掃位置(退避位置)とに移動可能となっている。
保持部材81(Y,M,C,K)は、その長手方向に沿った一端部の下方に当該保持部材81(Y,M,C,K)を回転支点811(Y,M,C,K)を中心にして露光位置と清掃位置との間を移動させるための駆動軸812(Y,M,C,K)を有している。
保持部材81(Y,M,C,K)の長手方向に沿った一端部には、装置本体1aに対して水平方向に沿って移動可能に保持された細長い平板状の駆動リンク部材82が配置されている。駆動リンク部材82には、保持部材81(Y,M,C,K)の駆動軸812(Y,M,C,K)が係合される長孔821(Y,M,C,K)が鉛直方向に沿って設けられている。
駆動リンク部材82の長手方向に沿った一端部には、偏心カム83が配置されている。偏心カム83は、図示しない駆動モータやソレノイド等からなる駆動手段によって回転駆動される。また、駆動リンク部材82の長手方向に沿った一端部には、当該駆動リンク部材82を偏心カム83と当接する方向に付勢する付勢手段の一例としてのコイルスプリング84が配置されている。コイルスプリング84の他端は、装置本体1aに係止されている。
そして、駆動リンク部材82は、偏心カム83を図示しない駆動手段によって矢印方向に回転駆動することにより、図中左方向に所要の距離だけ移動する。駆動リンク部材82が図中左方向に所要の距離だけ移動すると、駆動リンク部材82の長孔821(Y,M,C,K)に駆動軸812(Y,M,C,K)が係合された各保持部材81(Y,M,C,K)は、図10に示されるように、回転支点811(Y,M,C,K)を中心にして図中時計回り方向に回転し、各保持部材81(Y,M,C,K)に保持された露光装置13(Y,M,C,K)が帯電装置12(Y,M,C,K)の清掃ロール122(Y,M,C,K)と対向して清掃面133が清掃ロール122(Y,M,C,K)と接触する清掃位置(退避位置)へと移動する。
このとき、帯電装置12(Y,M,C,K)の清掃ロール122(Y,M,C,K)を回転させることにより、露光装置13(Y,M,C,K)の清掃面133が清掃ロール122(Y,M,C,K)によって清掃される。
その後、駆動リンク部材82は、偏心カム83を図示しない駆動手段によって矢印方向に回転駆動することにより、図中右方向に所要の距離だけ移動する。駆動リンク部材82が図中右方向に所要の距離だけ移動すると、駆動リンク部材82の長孔821(Y,M,C,K)に駆動軸812(Y,M,C,K)が係合された各保持部材81(Y,M,C,K)は、図9に示されるように、回転支点811(Y,M,C,K)を中心にして図中反時計回り方向に回転し、各保持部材81(Y,M,C,K)に保持された露光装置13(Y,M,C,K)が感光体ドラム11(Y,M,C,K)と対向する露光位置(動作位置)へと移動する。
<画像形成装置の清掃動作>
画像形成装置1は、画像形成動作の開始前や終了後などの予め定められた清掃時期になると、図9に示されるように、偏心カム83を回転駆動させることにより、各露光装置露光装置13(Y,M,C,K)の露光面133が帯電装置12の清掃ロール122(Y,M,C,K)と対向して接触する清掃位置へと移動される。
その後、画像形成装置1では、図11に示されるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10Y,10M,10C,10Kの感光体ドラム11(Y,M,C,K)が回転駆動される。そのため、各感光体ドラム11(Y,M,C,K)に接触している帯電ロール121(Y,M,C,K)を介して清掃ロール122(Y,M,C,K)が従動回転する。
そして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10Y,10M,10C,10Kの露光装置13は、回転する清掃ロール122(Y,M,C,K)によって露光面133が清掃される。
その後、画像形成装置1は、偏心カム83を図示しない駆動手段によって矢印方向に回転駆動することにより、各露光装置13(Y,M,C,K)の露光面133が感光体ドラム11(Y,M,C,K)の表面と対向する露光位置(動作位置)へと移動される。
このように、上記実施の形態1に係る画像形成装置1では、各露光装置13(Y,M,C,K)を清掃する露光装置専用の清掃手段を設ける必要がなく、部品点数を増加させることなく各露光装置13(Y,M,C,K)の露光面133を清掃することが可能となる。
[実施の形態2]
図12はこの発明の実施の形態2に係る画像形成装置を示す構成図である。
この発明の実施の形態2に係る画像形成装置では、図12に示されるように、帯電装置12の清掃ロール122が帯電ロール121に従動回転するのではなく、感光体ドラム11から駆動力伝達手段の一例としての複数の駆動力伝達歯車を介して回転駆動力が伝達され、帯電装置12の清掃ロール122が回転駆動されるよう構成されている。
感光体ドラム11の軸方向に沿った一端部には、相対的に外径が大きい感光体歯車111が取り付けられている。この感光体歯車111は、帯電ロール121の一端部に設けられた第1の従動歯車121aと噛み合されている。また、帯電ロール121の第1の従動歯車121aは、中間歯車127を介して清掃ロール122の軸方向に沿った一端部に設けられた第2の従動歯車122aと噛み合されている。
この実施の形態2では、帯電ロール121と清掃ロール122との間に中間歯車127を介在させて回転駆動力を伝達することにより、清掃ロール122を所要の回転速度で帯電ロール121の回転方向と逆方向に回転させることが可能となる。
したがって、この実施の形態2に係る画像形成装置1では、清掃時、清掃ロール122を確実にしかも所要の回転速度で帯電ロール121の回転方向と逆方向に回転させることで、帯電ロール121の清掃性が向上するとともに、清掃ロール122によって対応する各露光装置13の露光面133を鉛直方向に沿った上方から下方へ向けて清掃することができる。
そのため、この実施の形態2では、清掃ロール122を帯電ロール121に従動回転させる場合に比較して、清掃ロール122を帯電ロール121の回転方向と逆方向であって、しかも各露光装置13の露光面133を鉛直方向に沿った上方から下方へ向け回転させて清掃することができ、各露光装置13の露光面133に付着した付着物が露光面133に残ることが確実に抑制される。
[実施の形態3]
図13はこの発明の実施の形態3に係る画像形成装置を示す構成図である。この実施の形態3では、清掃手段は、付着物を回収する回収部材と、前記回収部材により回収された付着物を収容する収容部材を有するよう構成されている。
すなわち、この実施の形態3では、図13に示されるように、清掃ロール122に付着した付着物を回収する回収部材の一例としてのブレード161bと、ブレード161bにより回収された付着物を収容する収容部材の一例としての収容容器160aとを備えている。
図示の実施の形態では、ブレード161bがドラム清掃装置16の清掃板161の下端部を支持する支持部材161aから構成されている。このブレード161bは、支持部材161aの下端部を清掃ロール122の表面と接触する位置まで延長することにより形成されている。
また、収容容器160aは、同じく、ドラム清掃装置16の容器状の本体160を、清掃ロール122の下端部を覆う位置まで延長するとともに、清掃ロール122の下端部に容器状の空間を形成することにより、ドラム清掃装置16の本体160と一体的に設けられている。
この実施の形態3では、清掃ロール122によって清掃した帯電ロール121や露光装置13の露光面133の付着物Cをブレード161bによって掻き取ることで除去することができ、常に清浄な清掃ロール122によって帯電ロール121や露光装置13の露光面133を清掃することができる。
また、ブレード161bによって掻き取られた付着物Cは、収容容器160a内に収容されるため、周囲を汚損する虞れが低減される。
また、この実施の形態3では、スクリューオーガー等の送出部材162を収容容器160aの底部に配置することにより、清掃装置で回収されたトナー等の回収物とともに、ブレードによって掻き取られた付着物を、送出部材162によって同時に外部へ送出することができる。
[実施の形態4]
図14はこの発明の実施の形態4に係る画像形成装置を示す構成図である。この実施の形態4では、像保持手段の周囲に配置され、露光手段以外の被清掃手段を清掃する清掃手段として、現像手段に設けられた清掃手段を用いるよう構成されている。そして、露光手段は、現像手段の清掃手段側へ向けて移動することで露光面が清掃される。
この発明の実施の形態4に係る画像形成装置1は、図14に示されるように、現像装置14が、筐体140の感光体ドラム11の回転方向に沿った上流側の端部に、感光体ドラム11と現像ロール141との間に位置する間隙から漏れるトナークラウドを吸着して回収するシールロール146を備えている。シールロール146は、例えば、導電性を有するスポンジ等から構成され、現像ロール141の外周面に対して予め定めた間隙を介して配置されている。シールロール146は、不図示の駆動装置により現像ロール141の回転方向とは反対方向に回転駆動される。
そして、シールロール146は、現像ロール141と感光体ドラム11との対向部位よりも現像ロール141(現像スリーブ)の回転方向上流側にて発生したトナークラウドを吸着し、回収する。
露光装置13は、清掃時、図15に示されるように、図示しない移動機構によって現像装置14のシールロール146と対向する清掃位置(退避位置)へと移動される。
そして、露光装置13は、その露光面133がシールロール146によって清掃される。シールロール146によって回収されたトナーは、図示しないスクレーパ等によって掻き取られ、現像装置14の筐体140の内部或いは図示しない収容容器に収容される。
なお、前記実施の形態では、画像形成装置の一例としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の作像装置10(Y,M,C,K)を備えたカラーの画像形成装置について説明したが、モノクロの画像形成装置についても同様に適用することができることは勿論である。