JP2019123266A - 車輪用軸受装置及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】車輪用軸受装置において、フランジ振れを抑制すると共に、シール性能を向上させる。【解決手段】ハブ軸製造工程は、フランジ面31の旋削加工及びシール面29の旋削加工を行う旋削工程、ボルト孔32にボルト28を圧入する圧入工程、圧入工程の後、旋削加工されたシール面29を基準面としフランジ面31を研磨加工する第一研磨工程、及び、基準面としたシール面29を研磨加工する第二研磨工程を含む。この製造方法によれば、フランジ面31は、研磨面であり、シール面29は、周方向に沿って均一な表面状態を有する研磨面である。【選択図】 図1

Description

本発明は、車輪用軸受装置及びその製造方法に関する。
自動車等の車両において、車輪を支持するために車輪用軸受装置(ハブユニット)が用いられる。車輪用軸受装置は、車体側に取り付けられる外輪部材と、車輪が取り付けられる内軸部材と、外輪部材と内軸部材との間に配置されている複数の転動体(玉)とを備える。図6は、内軸部材が有するハブ軸の断面図である。ハブ軸90は、軸体部91と、軸体部91の軸方向一方側に設けられているフランジ部92とを有する。フランジ部92に、車輪及びブレーキロータ(図示せず)が取り付けられる。軸体部91とフランジ部92との間にはシール面93が設けられる。シール面93には、外輪部材(図示せず)に取り付けられたシールのリップが接触し、外部からの異物の浸入が防止される。このためにシール面93は研磨加工がされる。
フランジ部92は、軸方向一方側のフランジ面94と、ボルト孔95とを有する。ボルト孔95は、車輪及びブレーキロータ(図示せず)を固定するためのボルト96が圧入される。フランジ面94は、ブレーキロータと接触する面である。特許文献1は、従来の車両用軸受装置を開示している。
特開2014−156197号公報
図6に示すように、フランジ部92のボルト孔95にボルト96が圧入される。このため、フランジ部92は歪むことがあり、フランジ面94に振れ(「フランジ振れ」とも言う。)が生じる。前記のような振れは、ブレーキジャダー音の発生原因となる。
そこで、特許文献1では、ボルト孔95にボルト96を圧入した後、フランジ振れを解消するために、フランジ面94に対して研磨加工が行われる。この研磨加工では、先に研磨加工がされたシール面93が基準とされる。つまり、シール面93に筒状の治具99を接触させる。
前記のように、フランジ振れを解消するために、シール面93に治具99を接触させ、フランジ面94の研磨加工が行われる、しかし、その加工の途中、治具99とシール面93との間に滑りが発生する。この滑りにより、シール面93に断続的な擦れ跡が生じてしまい、シール性能に影響を与えるおそれがある。
そこで、本発明は、フランジ振れを抑制すると共に、シール性能を向上させることが可能となる車輪用軸受装置の製造方法、及びこの製造方法によって製造される車輪用軸受装置を提供することを目的とする。
本発明の車輪用軸受装置の製造方法は、筒状の外輪部材、前記外輪部材の径方向内方に設けられている軸体部と、当該軸体部の軸方向一方側に設けられているフランジ部と、を含み、当該軸体部と当該フランジ部との間にシール面が設けられているハブ軸を有する内軸部材、前記外輪部材と前記内軸部材との間に配置されている転動体、及び、前記外輪部材の軸方向一方側に取り付けられ前記シール面に接触するリップを有するシール、を備え、前記フランジ部は、軸方向一方側のフランジ面と、当該フランジ部を軸方向に貫通するボルト孔と、を有する車輪用軸受装置の製造方法であって、ハブ軸製造工程と、前記ハブ軸製造工程により製造された前記ハブ軸を有する前記内軸部材、前記外輪部材、前記転動体、及び前記シールを組み合わせる組み立て工程と、を含み、前記ハブ軸製造工程は、前記フランジ面の旋削加工及び前記シール面の旋削加工を行う旋削工程、前記ボルト孔にボルトを圧入する圧入工程、前記圧入工程の後、旋削加工された前記シール面を基準面とし前記フランジ面を研磨加工する第一研磨工程、及び、前記基準面とした前記シール面を研磨加工する第二研磨工程、を含む。
この製造方法によれば、ハブ軸製造工程において、フランジ部のボルト孔にボルトを圧入してから、フランジ面を研磨加工するため、フランジ振れを抑制することができる。フランジ面の研磨加工は、旋削加工されたシール面を基準面として用いて行われる。この際、シール面に擦れ跡が形成される場合があるが、フランジ面を研磨加工した後に、シール面を研磨加工する。このため、シール面に擦れ跡が残されず、シール性能を向上させることが可能となる。
また、前記ハブ軸製造工程では、フランジ面及びシール面を旋削加工した後、この旋削加工されたシール面を基準面としてフランジ面の研磨加工が行われる。このため、旋削加工により得られるシール面(基準面)の精度は高いのが好ましい。そこで、旋削加工により得られる前記シール面の加工精度は、旋削加工により得られる前記フランジ面の加工精度よりも高いのが好ましい。
また、前記シール面を研磨加工する際に、同じ砥石で前記軸体部の外周面に設けられる軸軌道面の研磨加工も行うのが好ましい。この方法により、工数低減が可能となる。
前記製造方法によって製造される車輪用軸受装置は、筒状の外輪部材、前記外輪部材の径方向内方に設けられている軸体部と、当該軸体部の軸方向一方側に設けられているフランジ部と、を含み、当該軸体部と当該フランジ部との間にシール面が設けられているハブ軸を有する内軸部材、前記外輪部材と前記内軸部材との間に配置されている転動体、及び、前記外輪部材の軸方向一方側に取り付けられ前記シール面に接触するリップを有するシール、を備え、前記フランジ部は、軸方向一方側のフランジ面と、当該フランジ部を軸方向に貫通するボルト孔に圧入されているボルトと、を有し、前記フランジ面は、研磨面であり、前記シール面は、周方向に沿って均一な表面状態を有する研磨面である。
本発明によれば、フランジ振れを抑制すると共に、シール性能を向上させることが可能となる。
本発明の車輪用軸受装置の一例を示す断面図である。 製造方法を示すフロー図である。 旋削工程及び圧入工程の説明図である。 第一研磨工程の説明図である。 第二研磨工程の説明図である。 内軸部材が有するハブ軸の断面図である。
〔車輪用軸受装置の構成について〕
図1は、本発明の車輪用軸受装置の一例を示す断面図である。車輪用軸受装置(ハブユニット)10は、自動車の車体側に設けられている懸架装置(ナックル)に取り付けられ、車輪を回転可能に支持する。車輪用軸受装置10は、筒状の外輪部材12と、内軸部材11と、転動体13と、保持器14と、軸方向一方側に設けられている第一のシール15と、軸方向他方側に設けられている第二のシール16とを備えている。車輪用軸受装置10において、軸方向とは、車輪用軸受装置10の中心軸C(以下、軸受中心軸Cという)に平行な方向である。また、径方向とは前記軸方向に直交する方向である。
外輪部材12は、円筒形状である外輪本体部21と、この外輪本体部21から径方向外方に延びて設けられている固定用のフランジ部22とを有している。外輪本体部21の内周側に外輪軌道面12a,12bが形成されている。外輪部材12はフランジ部22によって車体側部材であるナックル(図示せず)に取り付けられ、これにより外輪部材12を含む車輪用軸受装置10が車体に固定される。車輪用軸受装置10が車体に固定された状態で、内軸部材11が有する後述の車輪取り付け用のフランジ部27側が車両の外側となる。つまり、フランジ部27が設けられている軸方向一方側が車両アウタ側となり、その反対である軸方向他方側が車両インナ側となる。
内軸部材11は、ハブ軸(内軸)23と、このハブ軸23の軸方向他方側に取り付けられている内輪24とを有している。ハブ軸23は、外輪部材12の径方向内方に設けられている軸体部26と、軸体部26の軸方向一方側に設けられているフランジ部27とを含む。軸体部26は軸方向に長い軸部である。フランジ部27は、軸体部26の軸方向一方側から径方向外方に延びて設けられている。軸体部26とフランジ部27との間にシール面29が設けられている。
図1の拡大図に示すように、シール面29には、環状シール面29aと、筒状シール面29bと、アール面29cとが含まれる。環状シール面29aは、シール15が有しフランジ部27側に延びるリップ30aと接触する。筒状シール面29bは、シール15が有し軸体部26側に延びるリップ30bと対向する。環状シール面29aは、全体として、軸受中心軸Cに直行する面に沿った面である。環状シール面29aは、全体として、軸受中心軸Cに平行な円筒面に沿った面である。アール面29cは、環状シール面29aと環状シール面29aとを繋ぐ面である。
内輪24は、環状の部材であり、軸体部26の軸方向他方側の小径部39に外嵌し固定されている。軸体部26の外周面に軸軌道面11aが形成され、内輪24の外周面に内輪軌道面11bが形成されている。
軸方向一方側における外輪軌道面12aと軸軌道面11aとの間に転動体13である玉が複数配置されている。軸方向他方側における外輪軌道面12bと内輪軌道面11bとの間に転動体13である玉が複数配置されている。転動体(玉)13は、外輪部材12と内軸部材11との間に二列となって配置されている。
フランジ部27は、軸方向一方側のフランジ面31と、フランジ部27を軸方向に貫通するボルト孔32とを有する。ボルト孔32に車輪取り付け用のボルト28が圧入により取り付けられている。フランジ面31は、フランジ部27の径方向外側の領域に設けられている環状の面である。フランジ面31に、ブレーキロータ(図示せず)が接触して取り付けられる。フランジ面31は、研磨面である。
第一のシール15は、外輪部材12の軸方向一方側の端部に取り付けられている。第一のシール15は、ゴム製のリップ30a,30bを有しており、リップ30aはシール面29に接触する。第一のシール15は、軸方向一方側において外輪部材12と内軸部材11との間から、転動体13が設けられている軸受内部へ泥水等の異物が浸入するのを防止する。第二のシール16は、軸方向他方側において外輪部材12と内軸部材11との間から軸受内部へ泥水等の異物が浸入するのを防止する。
〔製造方法について〕
以上の構成を備えている車輪用軸受装置10の製造方法について説明する。図2は、製造方法を示すフロー図である。この製造方法には、車輪用軸受装置10(図1参照)を構成する各要素を製造する工程(製造工程)S10と、製造工程S10により得られた各要素を組み立てる組み立て工程S20とが含まれる。ハブ軸23以外の要素の製造方法については、従来と同様の方法であり、ここでは説明を省略する。ハブ軸23を製造する方法(ハブ軸製造工程)は、次のとおりである。なお、各要素の製造工程には、焼入れ処理などの熱処理が含まれていてもよい。
〔ハブ軸製造工程について〕
図2に示すように、本実施形態では、旋削工程S11、圧入工程S12、第一研磨工程S13、第二研磨工程S14、及び仕上げ工程S15の順序で行われ、これによりハブ軸23が製造される。
旋削工程S11では、フランジ面31の旋削加工及びシール面29の旋削加工が行われる。
圧入工程S12では、ボルト孔32にボルト28が圧入される。
第一研磨工程S13では、旋削加工されたシール面29を基準面としフランジ面31を研磨加工する。
第二研磨工程S14では、基準面としたシール面29を研磨加工する。なお、本実施形態では、第二研磨工程S14において、軸軌道面11aの研磨加工も行う。
仕上げ工程S15では、軸軌道面11aに対して仕上げ加工を行なう。
以下、ハブ軸製造工程に含まれる各工程について説明する。
旋削工程S11は、次のように行われる。鍛造により製造されたハブ軸23となる中間製品の所定箇所(必要箇所)に対して旋削加工が行われる。図3において、旋削加工が行われる面には、フランジ面31、シール面29、及び、ハブ軸23の軸体部26の外周面33が含まれる。軸体部26の外周面33には、軸軌道面11a、及び内輪24(図1参照)が嵌まる小径外周面34が含まれる。これら旋削対象箇所に対して旋削加工を行なう順番は、変更自在である。本実施形態では、フランジ面31の旋削加工を行ってから、シール面29及びその他の面の旋削加工が行われる。旋削加工されたフランジ面31を基準として、シール面29及びその他の面の旋削加工が行われてもよい。
旋削工程S11では、旋削対象箇所それぞれにおいて、旋削加工を複数回に分けて行ってもよい。例えば、フランジ面31に対して、粗加工と、中仕上げ加工とに分けて、旋削加工を複数回の工程で行ってもよい。また、シール面29の旋削加工として、例えば、粗加工と、中仕上げ加工とに分けて、旋削加工を複数回の工程で行ってもよい。なお、後の第一研磨工程S13において、旋削面であるシール面29が基準面となる。このため、旋削工程S11において、旋削加工により得られるシール面29の加工精度(表面粗さ)は、旋削加工により得られるフランジ面31の加工精度(表面粗さ)よりも高い(低い)のが好ましい。
圧入工程S12は、次のように行われる。ボルト孔32は、周方向に沿って等間隔で複数設けられている。図3に示すように、全てのボルト孔32にボルト28が圧入される。各ボルト孔32にボルト28が締め代を有して取り付けられた状態となる。このため、特にボルト孔32の周囲が歪み、フランジ面31に振れが発生する。ボルト孔32は、周方向に沿って複数設けられていることから、前記振れは周方向に沿って微小な高さの凹凸の波形状を有する。また、ボルト32の圧入により、シール面29にも同様の振れが発生する場合がある。
第一研磨工程S13は、次のように行われる。図4に示すように、旋削加工されたシール面29に円筒状の治具41を接触させ、フランジ面31が研磨加工される。治具41が研磨加工の際の反力を受ける。本実施形態では、旋削加工されたシール面29が基準面となり、フランジ面31を研磨加工する。この際、ボルト孔32にボルト28が取り付けられた状態にある。第一研磨工程S13により、フランジ面31の前記振れが解消される。前記のとおり、旋削工程S11では、旋削加工により得られるシール面29の加工精度は、比較的、高くされている。このため第一研磨工程S13における研磨加工の際、このシール面29が基準とされていることで、フランジ面31の研磨は精度よく行われる。なお、第一研磨工程S13では、フランジ面31に対する研磨加工を複数回に分けて行ってもよい。
図4に示すように、旋削面であるシール面29に円筒状の治具41を接触させた状態で、フランジ面31の研磨が行われる際、シール面29と治具41との間に滑りが発生する場合がある。これにより、シール面29に擦れ跡が生じる場合がある。また、前記のとおり、ボルト28の圧入によりシール面29に振れが発生している場合もある。しかし、後の第二研磨工程S14により、シール面29の振れ及び擦れ跡は解消される。
第二研磨工程S14は、次のように行われる。図5に示すように、シール面29が研磨加工される。この際、ボルト孔32にボルト28は取り付けられた状態である。本実施形態の第二研磨工程S14では、シール面29の研磨加工と同時に、軸軌道面11aを含む軸体部26の外周面33(ただし、小径外周面34を除く)の研磨加工も行われる。つまり、共通する砥石49によって、シール面29と軸軌道面11a(軸体部26の前記外周面33)との研磨加工が行われる。
シール面29の研磨加工は、ハブ軸23のシール面29以外の他部を基準として行われる。この基準は、フランジ面31であってもよく、他の部位であってもよい。例えば、第二研磨工程S14よりも前の工程において、ハブ軸23が軸方向一方側に有する円筒状のインロー部35に対して、機械加工(旋削加工又は研磨加工)が行われており、寸法の精度が高められている。そこで、図5に示す形態では、インロー部35を基準としてシール面29の研磨加工が行われる。つまり、インロー部35に対して軸方向一方側から軸方向他方側に向かって治具42を接触させた状態とし、シール面29等に対して研磨加工が行われる。シール面29を研磨する際の反力を、治具42が受ける。または、第二研磨工程S14よりも前の工程において、フランジ部27の外周面27aに対して、機械加工(旋削加工又は研磨加工)が行われており、外周面22aを基準としてシール面29の研磨加工が行われてもよい。
シール面29(及び軸軌道面11a)には、前記のとおり旋削工程S11で旋削がされ、第二研磨工程S14で研磨がされる。このため、シール面29(及び軸軌道面11a)において、旋削工程S11の旋削加工が「一次加工」であり、第二研磨工程S14の研磨加工が「二次加工」となる。
第二研磨工程S14では、シール面29(及び軸軌道面11a)において、研磨加工を複数回に分けて行ってもよい。つまり、シール面29(及び軸軌道面11a)の二次加工として、例えば、粗研磨加工と、中仕上げ研磨加工とに分けて、研磨加工を複数回の工程で行ってもよい。シール面29(及び軸軌道面11a)に対して研磨を行う処理が前記「二次加工」である。
仕上げ工程S15は、次のように行われる。第二研磨工程S14を終えてから、軸軌道面11aに対して、仕上げ加工を行なう。本実施形態では仕上げ加工として、スーパーフィニッシュ加工が行われる。この際、例えば、第二研磨工程S14と同様に、インロー部35が基準とされる。
〔組み立て工程〕
図2において、組み立て工程S20では、製造工程S10を経て製造された各要素が、組み立てられる。図1において、内輪24は、ハブ軸製造工程により製造されたハブ軸23の軸方向他方側の小径部39に嵌められ、ハブ軸23の端部23aをかしめる(塑性変形させる)。これにより、内軸部材11が得られる。なお、組み立て工程は、従来と同様の方法であり、ここでは説明を省略する。組み立て工程では、ハブ軸製造工程により製造されたハブ軸23を有する内軸部材11、外輪部材12、転動体13、及びシール15,16が組み合わされる。これにより、車輪用軸受装置10が完成する。
〔本実施形態について〕
以上の製造方法によれば、図4に示すように、フランジ部27のボルト孔32にボルト28を圧入してから、フランジ面31を研磨加工する。このため、フランジ面31の振れを抑制することができる。このフランジ面31の研磨加工は、旋削加工されたシール面29を基準面として用いて行われる。この際、シール面29に擦れ跡が形成される場合があるが、フランジ面31を研磨加工した後に、図5に示すように、シール面29を研磨加工する。このため、シール面29に擦れ跡が残されない。
この製造方法によって製造される車輪用軸受装置10は、次のとおりである。図1において、フランジ部27の軸方向一方側のフランジ面31は、研磨面であり、フランジ面31の振れが抑制されている。フランジ面31は、周方向に沿って均一な表面状態を有する研磨面である。そして、フランジ部27の軸方向他方側において、ボルト32の圧入により、シール面29にも振れが発生している場合がある。そして、第一研磨工程S13では、前記のとおりシール面29に擦れ跡が生じる場合がある。しかし、本実施形態の製造方法によれば、第二研磨工程S14において(図4参照)シール面29の研磨加工を行なうことで、これらシール面29の振れ及び擦れ跡を解消する。このため、この製造方法によって製造される車輪用軸受装置10では、シール面29は、周方向に沿って均一な表面状態(光沢、表面粗さ)を有する研磨面となる。以上より、シール面29及び第一のシール15によって構成される軸方向一方側の密封構造において、シール性能を向上させることが可能となる。
また、本実施形態では、第二研磨工程S14においてシール面29を研磨加工する際に、図5に示すように、同じ砥石49で軸体部26の外周面33に設けられる軸軌道面11aの研磨加工も行う。この方法により、研磨工程の工数低減が可能となる。
また、旋削工程S11においてフランジ面31及びシール面29を旋削加工した後、第一研磨工程S13において(図4参照)この旋削加工されたシール面29を基準面としてフランジ面31の研磨加工が行われる。このため、旋削工程S11において旋削加工により得られるシール面29の精度は高い(例えば、表面粗さは低い)のが好ましい。そこで、本実施形態の旋削工程S11では、旋削加工により得られるシール面29の加工精度を、旋削加工により得られるフランジ面31の加工精度よりも高くする。これにより、第一研磨工程S13でのフランジ面31の仕上がり精度を高めることが可能となる。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
10:車輪用軸受装置 11:内軸部材 11a:軸軌道面
12:外輪部材 13:転動体 15:シール
21:外輪本体部 22:フランジ部 23:ハブ軸
26:軸体部 27:フランジ部 29:シール面
30a:リップ 31:フランジ面 32:ボルト孔
49:砥石

Claims (4)

  1. 筒状の外輪部材、
    前記外輪部材の径方向内方に設けられている軸体部と、当該軸体部の軸方向一方側に設けられているフランジ部と、を含み、当該軸体部と当該フランジ部との間にシール面が設けられているハブ軸を有する内軸部材、
    前記外輪部材と前記内軸部材との間に配置されている転動体、
    及び、前記外輪部材の軸方向一方側に取り付けられ前記シール面に接触するリップを有するシール、を備え、
    前記フランジ部は、軸方向一方側のフランジ面と、当該フランジ部を軸方向に貫通するボルト孔と、を有する車輪用軸受装置の製造方法であって、
    ハブ軸製造工程と、前記ハブ軸製造工程により製造された前記ハブ軸を有する前記内軸部材、前記外輪部材、前記転動体、及び前記シールを組み合わせる組み立て工程と、を含み、
    前記ハブ軸製造工程は、
    前記フランジ面の旋削加工及び前記シール面の旋削加工を行う旋削工程、
    前記ボルト孔にボルトを圧入する圧入工程、
    前記圧入工程の後、旋削加工された前記シール面を基準面とし前記フランジ面を研磨加工する第一研磨工程、
    及び、前記基準面とした前記シール面を研磨加工する第二研磨工程、
    を含む車輪用軸受装置の製造方法。
  2. 旋削加工により得られる前記シール面の加工精度は、旋削加工により得られる前記フランジ面の加工精度よりも高い、請求項1に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
  3. 前記シール面を研磨加工する際に、同じ砥石で前記軸体部の外周面に設けられる軸軌道面の研磨加工も行う、請求項1又は2に記載の車輪用軸受装置の製造方法。
  4. 筒状の外輪部材、
    前記外輪部材の径方向内方に設けられている軸体部と、当該軸体部の軸方向一方側に設けられているフランジ部と、を含み、当該軸体部と当該フランジ部との間にシール面が設けられているハブ軸を有する内軸部材、
    前記外輪部材と前記内軸部材との間に配置されている転動体、
    及び、前記外輪部材の軸方向一方側に取り付けられ前記シール面に接触するリップを有するシール、を備え、
    前記フランジ部は、軸方向一方側のフランジ面と、当該フランジ部を軸方向に貫通するボルト孔に圧入されているボルトと、を有し、
    前記フランジ面は、研磨面であり、
    前記シール面は、周方向に沿って均一な表面状態を有する研磨面である、車輪用軸受装置。
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