JP2019110852A - 油脂被覆粉末糖 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸湿性が少なく、流通過程での温度耐性、食品に対する付着性及びハンドリング性に優れた油脂被覆粉末糖を提供すること。【解決手段】本発明の油脂被覆粉末糖は、粉末糖と、該粉末糖の表面に付着した油脂被覆層とを有し、該油脂被覆層が、該粉末糖から近い順に、融点50〜70℃の油脂を含む内側被覆層と、融点40〜50℃の油脂を含む外側被覆層とを有する。前記内側被覆層の付着量が、前記粉末糖の表面積1m2あたり0.2〜2.2cm3、前記外側被覆層の付着量が、該粉末糖の表面積1m2あたり0.05〜0.9cm3である。【選択図】なし

Description

本発明は、粉末糖の表面が油脂で被覆された油脂被覆粉末糖に関する。
従来パン、菓子等の食品の外観や食感を改良する目的で、食品の表面にぶどう糖等の粉末糖を付着させる、いわゆるシュガリングが行われている。しかし、この種の粉末糖は吸湿性が強く、シュガリング後に食品や空気中の水分を吸着し、潮解して透明な水飴状となる現象、いわゆる「泣き」が発生するという問題があった。泣きの発生は、食品の外観のみならず、食感にも悪影響を及ぼすため、その解決が望まれている。
泣きの発生を防止する方法としては従来、粉末糖の表面を油脂で被覆する方法が知られている。例えば特許文献1には、粉末糖の表面に、粉末糖100重量部に対して、1〜15重量部の融点50〜70℃の油脂の被覆層、さらにその外表面に2〜10重量部の融点26〜40℃の油脂の被覆層を形成した油脂被覆粉末糖が記載されている。特許文献1記載の油脂被覆粉末糖によれば、ベーカリー製品にシュガリングした後に時間が経っても、油脂被覆粉末糖の油脂由来の油っこいぬめり感が発生せず、ベーカリー製品の生地のパサつきも発生しないとされている。また特許文献2には、粉糖類の粒子表面に、融点が50℃以上の油脂からなる被覆層を設け、且つ該被覆層の外層部に、25℃において液状を呈する油脂を付着させた被覆粉糖類が記載されている。また特許文献3には、糖類粉状体の表面に、融点40℃以上の油脂よりなる脂質層が形成され、該脂質層の表面に糖質の外層が形成された粉末糖類が記載されている。
特開2014−39506号公報 特開平11−56290号公報 特開平3−277237号公報
粉末糖の表面が油脂で被覆された油脂被覆粉末糖は、表面が油脂で被覆されていない粉末糖単体と比較して、吸湿性が低く、泣きの発生が抑制されている反面、食品に対する付着性に劣る傾向がある。この点、特許文献1及び2記載の油脂被覆粉末糖は、最外層を構成する油脂として、融点40℃以下の低融点油脂を用いることで、食品に対する付着性の確保を図っている。
しかし、融点40℃以下の低融点油脂を用いた油脂被覆粉末糖は、食品に付着した状態ではなく、油脂被覆粉末糖単品での流通過程において、外気温の上昇により表面にべたつきが生じ、それによって油脂被覆粉末糖の流動性の低下、延いてはハンドリング性の低下を招き、コーティングシュガーとしての商品価値が著しく低下するという課題があった。吸湿性(潮解性)が少なく、流通過程での温度耐性、食品に対する付着性及びハンドリング性に優れ、コーティングシュガーとして有用な油脂被覆粉末糖は未だ提供されていない。
本発明の課題は、吸湿性が少なく、流通過程での温度耐性、食品に対する付着性及びハンドリング性に優れた油脂被覆粉末糖を提供することである。
本発明は、粉末糖と、該粉末糖の表面に付着した油脂被覆層とを有する油脂被覆粉末糖であって、前記油脂被覆層が、前記粉末糖から近い順に、融点50〜70℃の油脂を含む内側被覆層と、融点40〜50℃の油脂を含む外側被覆層とを有し、前記内側被覆層の付着量が、前記粉末糖の表面積1mあたり0.2〜2.2cm、前記外側被覆層の付着量が、該粉末糖の表面積1mあたり0.05〜0.9cmである油脂被覆粉末糖である。
また本発明は、表面に前記の本発明の油脂被覆粉末糖が付着した食品である。
また本発明は、粉末糖と、該粉末糖の表面に付着した油脂被覆層とを有し、該油脂被覆層が、該粉末糖から近い順に、内側被覆層と外側被覆層とを有する油脂被覆粉末糖の製造方法であって、粉末糖と融点50〜70℃の溶融状態の油脂とを混合し、その混合物を該油脂の融点以下まで冷却して、該粉末糖の表面に前記内側被覆層を形成する第1の被覆工程と、前記内側被覆層が形成された前記粉末糖と融点40〜50℃の溶融状態の油脂とを混合し、その混合物を該油脂の融点以下まで冷却して、該内側被覆層の表面に前記外側被覆層を形成する第2の被覆工程とを有する、油脂被覆粉末の製造方法である。
また本発明は、前記の本発明の製造方法で製造された油脂被覆粉末を食品の表面に付着させる工程を有する、食品の製造方法である。
本発明によれば、吸湿性が少なく、流通過程での温度耐性、食品に対する付着性及びハンドリング性に優れ、パン、洋菓子、ドーナツ等の食品の表面に振りかけて使用する粉糖類として好適な油脂被覆粉末糖が提供される。
本発明の油脂被覆粉末糖は、芯材となる粉末糖の表面に油脂被覆層が付着した構成を有する。本発明に係る粉末糖としては、甘味料として通常用いられる、常温常圧で粒子状の糖類を特に制限なく用いることができ、例えば、グルコース(ぶどう糖)、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、タガロース、アラビノース、キシロース、リボース、リブロース、エリトロース、トレオース等の単糖類;トレハロース、シュクロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラフィノース、ゲンチアノース、マルトトリオース、マンニノトリオース等のオリゴ糖;多糖類を分解して得られるデキストリン、粉飴;グリコーゲン、イヌリン、リケニン、セルロース、キチン、ヘミセルロース、ペクチン、植物ガム等の多糖類が挙げられ、また、前記の糖類に酸化、還元、分解、α化、エステル化、エーテル化、架橋等の処理を施したものが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記の糖類の中でも特にぶどう糖は、比較的、甘味度が高く、吸湿性が低いため、本発明に係る粉末糖として好適である。ぶどう糖としては、含水結晶ぶどう糖、全糖ぶどう糖、無水結晶ぶどう糖のいずれを用いてもよく、これらの2種以上の混合物を用いることもできる。ぶどう糖の中でも特に、含水結晶ぶどう糖、無水結晶ぶどう糖は、吸湿性が低いため好ましい。
本発明に係る粉末糖の粒子形状は特に限定されず、一般に粉状、粒状、顆粒状などと称されるものを用いることができる。また、本発明に係る粉末糖の大きさは特に限定されないが、油脂被覆粉末糖の流動性を高めてハンドリング性に優れたものとする観点から、メディアン径が120μm以上、特に140μm以上、さらには160μm以上であることが好ましい。粉末糖のメディアン径が小さすぎると、油脂被覆粉末糖の流動性が著しく低下してダマになりやすく、ハンドリング性に劣るものとなるおそれがある。一方、本発明に係る粉末糖のメディアン径の上限については、食品に対する付着性の観点から、好ましくは400μm以下、さらに好ましくは300μm以下である。
また同様の観点から、本発明に係る粉末糖の累積10%径は、好ましくは55μm以上、より好ましくは60μm以上、さらに好ましくは70μm以上である。粉末糖の累積10%径が小さすぎると、油脂被覆粉末糖の流動性が著しく低下してダマになりやすく、ハンドリング性に劣るものとなるおそれがある。メディアン径、累積10%径が前記特定範囲にある粉末糖は、例えば、粉末糖を複数の画分に篩分けし、必要に応じ粉砕し、それら複数の画分を適宜組み合わせることで得られる。
本明細書において、メディアン径は、乾式法のレーザー回折・散乱法により測定される粉末糖の体積基準の粒度分布累積曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒子径とする。また、累積10%径は、同粒度分布累積曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して10%である粒子径とする。メディアン径及び累積10%径は、それぞれ、市販のレーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、日機装株式会社製、マイクロトラックMT3300EXII)を用いて常法に従って測定することができる。
本発明に係る油脂被覆層は、本発明に係る粉末糖の表面に付着する、油脂を主体とする層であり、該粉末糖から近い順に、内側被覆層、外側被覆層を有する。本発明に係る油脂被覆層は、典型的には、内側被覆層及び外側被覆層の2層構造であり、該外側被覆層が該油脂被覆層の最外層をなし、該内側被覆層が、本発明に係る粉末糖と該外側被覆層との間に介在し、該粉末糖と接触している。通常、内側被覆層は、粉末糖の表面の全域を被覆し、外側被覆層は、内側被覆層の表面の全域を被覆している。
本発明に係る内側被覆層は、融点が50〜70℃、好ましくは53〜70℃、さらに好ましくは55〜70℃の油脂を含む。一方、本発明に係る外側被覆層は、融点が40〜50℃、好ましくは40〜48℃、さらに好ましくは42〜48℃の油脂を含む。本明細書において、油脂の融点は、基準油脂分析法2.2.4.2−1996に基づき測定された融点(上昇融点)を意味する。
本発明に係る油脂被覆層において、内側被覆層は主として、本発明の油脂被覆粉末糖の芯材である粉末糖の吸湿性を低下させて「泣き」の発生を防止する役割を果たし、外側被覆層は主として、該油脂被覆粉末糖の食品への付着性を高めると共に、該油脂被覆粉末糖に流通過程での温度耐性を付与する役割を果たす。前記の各被覆層に含まれる油脂の融点の特定範囲は、各被覆層の役割が十分に果たされるように設定されたものである。特に、外側被覆層に含まれる油脂の融点が前記の通り40〜50℃の範囲にあることで、該外側被覆層を有する油脂被覆粉末糖は、その流通過程において少々高温の外気温にさらされても表面にべたつきが発生し難いものとなり、流動性、ハンドリング性に優れ、食品に振りかけたときにその表面に均一に付着し得る。
各被覆層の役割が十分に果たされるようにする観点から、本発明に係る油脂被覆層においては、内側被覆層の油脂の融点が相対的に高く、外側被覆層の油脂の融点が相対的に低いことが好ましい。内側被覆層の油脂の融点と外側被覆層の油脂の融点との差は、前者>後者を前提として、前者−後者として、好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上、そして、好ましくは40℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。
内側被覆層及び外側被覆層に用いる油脂としては、それぞれ、食品に使用可能なものを特に制限なく用いることができ、植物油脂でも動物油脂でもよい。具体的には例えば、サラダ油、コーン油、大豆油、紅花油、なたね油、パーム油、綿実油、ひまわり油、米ぬか油、ゴマ油、オリーブ油等の植物油脂;牛脂、豚脂、魚油等の動物油脂;これらの硬化油脂;これらの2種以上を含む混合油脂が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係る油脂被覆層(内側被覆層、外側被覆層)は、基本的には油脂のみからなり、各被覆層における油脂の含有量は、該被覆層の全質量に対して100質量%であるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、油脂以外の他の成分、例えば、シェラック、ワックス、モノグリセンリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸の金属塩、スクラロース、ソーマチン等の甘味料、香料等を含有させてもよい。
本発明の油脂被覆粉末糖においては前述した通り、その最外層となり得る外側被覆層に含まれる油脂として、融点40℃以上の油脂が採用されていることにより、該油脂被覆粉末糖に流通過程での温度耐性が付与され、流通過程での表面のべたつきが効果的に抑制されているが、その反面、例えば、最外層を構成する油脂の融点が40℃以下である特許文献1及び2記載の油脂被覆粉末糖に比して、食品に対する付着性が低下することが懸念される。しかしながら本発明では、油脂被覆層に融点40℃以上の油脂を用いることで懸念される、食品に対する付着性の低下の問題を、各被覆層の付着量を適切な範囲に設定することで解消している。
即ち本発明の油脂被覆粉末糖においては、内側被覆層の付着量(体積)は、粉末糖の表面積1mあたり0.2〜2.2cm、好ましくは0.3〜1.8cm、さらに好ましくは0.4〜1.5cmである。また、外側被覆層の付着量(体積)は、粉末糖の表面積1mあたり0.05〜0.9cm、好ましくは0.1〜0.7cm、さらに好ましくは0.15〜0.5cmである。
尚、粉末糖の表面積は、以下の方法により測定される。まず、BET多点法により、粉末糖の比表面積を測定する。具体的には例えば、4連式比表面積・細孔分布測定装置 NOVA−TOUCH型(Quantachrome)を用い、また窒素ガスを用い、液体窒素を冷媒とし、前処理条件を110℃、12時間真空脱気とし、測定相対圧力として0.05<P/P0<0.3として、粉末糖の比表面積を測定する。次いで、粉末糖の比表面積の測定値を、予め測定しておいた粉末糖の水分量にて補正し、粉末糖1質量部あたりの表面積を算出する。
また、油脂被覆粉末糖における各被覆層の油脂の付着量(体積)は、油脂被覆粉末糖を、その品温が、測定対象の被覆層(内側被覆層又は外側被覆層)の油脂の融点以上となるように加熱して該油脂を完全に溶解させた後、その溶解した液状の油脂をメスシリンダーに入れて放冷し、該油脂の品温30℃での体積を測定し、該油脂1質量部当たりの体積を算出する。
同様の観点から、内側被覆層の厚みは0.3〜2.2μm、好ましくは0.3〜1.8μm、さらに好ましくは0.4〜1.5μmである。また、外側被覆層の厚みは、0.05〜0.9μm、好ましくは0.1〜0.7μm、さらに好ましくは0.15〜0.5μmである。ここに記載した各被覆層の厚みの数値範囲は、前記の各被覆層の付着量の数値範囲から算出したものであり、前記の各被覆層の付着量に対応している。例えば、本発明に係る内側被覆層の付着量の上限は、前記の通り、粉末糖の表面積1mあたり2.2cmであるので、面積1mの領域に付着している2.2cmの油脂が、該領域において均一の厚みで存在していると仮定した場合、その均一の厚みは2.2μm(=2.2×10−6/1m)となる。つまり、前記の「内側被覆層の厚みが0.3〜2.2μm」というのは、「内側被覆層の付着量が粉末糖の表面積1mあたり0.2〜2.2cmである場合において、該内側被覆層の厚みが均一であると仮定した場合の該厚み」ということである。また、前記の「外側被覆層の厚みが0.05〜0.9μm」というのは、「外側被覆層の付着量が粉末糖の表面積1mあたり0.05〜0.9cmである場合において、該外側被覆層の厚みが均一であると仮定した場合の該厚み」ということである。
本発明の油脂被覆粉末糖においては、油脂被覆層(外側被覆層)の表面に、粉末状の澱粉が付着していてもよい。これにより、油脂被覆粉末糖の流動性、ハンドリング性がより一層向上し得る。斯かる澱粉としては、食品に通常用いられる澱粉を特に制限なく用いることができ、特にコーンスターチが好ましい。
本発明の油脂被覆粉末糖は、前述の如き構成を有することに起因して、吸湿性が少なく、流通過程での温度耐性、食品に対する付着性及びハンドリング性に優れており、各種食品に振りかけて使用することができる。本発明には、表面に本発明の油脂被覆粉末糖が付着した食品が包含され、該食品としては例えば、パン、洋菓子、ドーナツ等のベーカリー食品が挙げられる。
次に、本発明の油脂被覆粉末糖の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、粉末糖の表面に内側被覆層を形成する第1の被覆工程と、該内側被覆層の表面に外側被覆層を形成する第2の被覆工程とを有する。本発明の製造方法においては前述したように、内側被覆層の付着量は、粉末糖の表面積1mあたり0.2〜2.2cmが好ましく、また、外側被覆層の付着量は、粉末糖の表面積1mあたり0.05〜0.9cmが好ましい。
第1の被覆工程では、粉末糖と、融点50〜70℃の溶融状態の油脂とを混合し、その混合物を該油脂の融点以下まで冷却して、該粉末糖の表面に内側被覆層を形成する。また、第2の被覆工程では、第1の被覆工程で得られた、内側被覆層が形成された粉末糖と、融点40〜50℃の溶融状態の油脂とを混合し、その混合物を該油脂の融点以下まで冷却して、該内側被覆層の表面に外側被覆層を形成する。第1の被覆工程における、粉末糖と油脂との混合物の冷却は、第1の被覆工程で扱う油脂と、次工程の第2の被覆工程で扱う油脂とが混ざり合わないようにして、内側被覆層と外側被覆層との2層構造を確実に形成するために必要な工程である。第1の被覆工程における前記混合物の冷却方法は、油脂が固化して内側被覆層が形成される方法であればよく特に制限されない。
第1及び第2の被覆工程は、ニーダーミキサー、フラッシュミキサー、プレッシャーミキサー等の公知の撹拌機を用いて常法に従って実施することができる。具体的には例えば、撹拌機に粉末糖(芯材)を投入して撹拌しつつ加温し、芯材の品温が好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上となった時点で、予め加熱溶融しておいた内側被覆層用油脂(融点50〜70℃の油脂)を該撹拌機に投入し、該撹拌機の内容物の品温が好ましくは70〜90℃、さらに好ましくは75〜90℃の範囲で維持されるよう加温し続けながら所定時間撹拌した後、加温を停止し放冷する(第1の被覆工程)。続いて、撹拌機の内容物(内側被覆層が形成された粉末糖)の品温が好ましくは内側被覆層用油脂の融点以下、さらに好ましくは内側被覆層用油脂の融点より15℃低下した時点で、予め加熱溶融しておいた外側被覆層用油脂(融点40〜50℃の油脂)を該撹拌機に投入し、該内容物の品温が好ましくは外側被覆層用油脂の融点以上、さらに好ましくは外側被覆層用油脂の融点+5℃の範囲で維持されるよう加温し続けながら所定時間撹拌した後、加温を停止し放冷する(第2の被覆工程)。以上の工程を経て、目的とする油脂被覆粉末糖が得られる。こうして得られた油脂被覆粉末糖の表面にコーンスターチなどの粉末状の澱粉を付着させる場合は、油脂被覆粉末糖の品温が好ましくは35℃以下、さらに好ましくは30℃以下となった時点で、油脂被覆粉末糖の入った撹拌機に澱粉を投入し、所定時間撹拌する。
本発明の製造方法の製造結果物たる油脂被覆粉末糖における内側被覆層及び外側被覆層の付着量をそれぞれ前記特定範囲に調整するためには、例えば、各工程における油脂の使用量(撹拌機への油脂の投入量)、粉末糖(芯材)の投入量等を適宜調整すればよい。
本発明には、本発明の製造方法で製造された油脂被覆粉末を食品の表面に付着させる工程を有する、食品の製造方法が包含される。油脂被覆粉末の付着対象たる食品は特に限定されず、典型的には前述したようにベーカリー食品である。また、油脂被覆粉末の付着方法としては、付着対象の食品の上方から油脂被覆粉末糖を振りかける方法が一般的であるが、これに限定されず、例えば、1)油脂被覆粉末糖及び食品を袋の中に投入し、該袋の開口部を閉じた状態で振盪する方法、2)皿等に比較的広い範囲で油脂被覆粉末糖を散布し、散布された油脂被覆粉末糖上で食品を転がす方法を例示できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
芯材となる粉末糖100重量部を加温ジャケット付きの撹拌機に入れて撹拌・加温し、芯材の温度が80℃を超えたところで、予め溶融しておいた内側被覆層用油脂を加え、撹拌機の内容物の品温(芯材の品温)を80℃以上に維持したまま、回転数63rpmで10分間撹拌した後、加温を停止し放冷した(第1の被覆工程)。次いで、撹拌機の内容物(内側被覆層が形成された粉末糖)の品温が47℃となったところで、予め溶融しておいた外側被覆層用油脂を加え、該内容物の品温を44〜49℃に維持したまま、回転数63rpmで10分間撹拌し、加温を停止し放冷した(第2の被覆工程)。そして、撹拌機の内容物(内側被覆層及び外側被覆層が形成された粉末糖)の品温が30℃以下となったところで、コーンスターチ10重量部を加え、回転数63rpmで5分間撹拌した。その後16メッシュの篩に通し、目的とする表面にコーンスターチが付着した油脂被覆粉末糖を得た。
〔実施例2〜14及び比較例1〜10〕
各工程における油脂の使用量(撹拌機への油脂の投入量)、及び外側被覆層用油脂を添加する時の内容物の品温を適宜調整した以外は、実施例1と同様にして、表面にコーンスターチが付着した油脂被覆粉末糖を得た。
各実施例及び比較例では、粉末糖(芯材)として下記粉末糖A〜Dの1種又は2種を用いた。また、各実施例及び比較例では、油脂として融点33℃〜67℃のものを用いた。
用いた油脂の体積は、いずれも品温30℃で100重量部あたり110cmであった。
・粉末糖A:無水結晶ぶどう糖(細画分)、累積10%径72.2μm、メディアン径168.9μm
・粉末糖B:無水結晶ぶどう糖(粗画分)、累積10%径138.4μm、メディアン径242.5μm
・粉末糖C:含水結晶ぶどう糖(粗画分)、累積10%径85.7μm、メディアン径288.5μm
・粉末糖D:含水結晶ぶどう糖(細画分)、累積10%径49.1μm、メディアン径117.6μm
実施例2は、粉末糖Cを芯材として用いた。
実施例3は、粉末糖Bを芯材として用いた。
実施例4は、粉末糖Aと粉末糖Cとを等量ずつ混合した物を芯材として用いた。
実施例5は、粉末糖Aと粉末糖Bとを等量ずつ混合した物を芯材として用いた。
実施例14は、粉末糖Aと粉末糖Dとを等量ずつ混合した物を芯材として用いた。
その他の実施例及び比較例では、粉末糖Aを芯材として用いた。
〔試験例〕
各実施例及び比較例の油脂被覆粉末糖について、残存性、流動性、付着性をそれぞれ下記方法により評価した。評価は専門パネラー10名で行った。評価結果を10名の専門パネラーの平均点として下記表1及び2に示す。
<残存性の評価方法>
常法に従って油ちょうして製造したイーストドーナツを、表面温度が35℃になるまで放冷した後、油脂被覆粉末糖100質量部を入れた容器に該イーストドーナツを入れ、該容器を一方向及び該一方向とは反対方向の双方に5往復振ることでシュガリングを実施し、該イーストドーナツの表面に油脂被覆粉末糖を付着させた。その後、シュガリングを実施した該イーストドーナツをポリエチレンの袋に入れ密封し、30℃の環境下で48時間保管した後、外観を目視観察し、下記評価基準により評価した。
(残存性の評価基準)
5点:油脂被覆粉末糖の潮解がなく、白さが残っており、極めて良好。
4点:油脂被覆粉末糖がわずかに潮解しているが、白さが残っており、良好。
3点:油脂被覆粉末糖が潮解しているが、白さが残っており、やや良好。
2点:油脂被覆粉末糖のほとんどが潮解し、白く残っておらず、やや不良。
1点:油脂被覆粉末糖が完全に潮解し、白く残っておらず、不良。
<流動性の評価方法>
評価対象の油脂被覆粉末糖を紙袋に入れ、室温30℃の部屋にて、該紙袋に対して、該紙袋内の油脂被覆糖粉末1kg当たり25kgの荷重がかかるように荷重をかけた状態で7日間保管した後、油脂被覆糖粉末の状態を目視観察し、下記評価基準により評価した。流動性は、油脂被覆粉末糖の流通過程での温度耐性の指標となるもので、流動性が高評価である油脂被覆粉末糖は、流通過程での温度耐性及びハンドリング性に優れると判断できる。
(流動性の評価基準)
5点:少し固まりとなっているが、崩れ易く、極めて良好。
4点:固まりとなっているが、崩れ易く、良好。
3点:固まりとなっているが、やや崩れ易く、やや良好。
2点:固まりとなっており、やや崩れ難く、やや不良。
1点:固まりとなっており、崩れ難く、不良。
<付着性の評価方法>
常法に従って油ちょうして製造したイーストドーナツを、表面温度が35℃になるまで放冷した後、油脂被覆粉末糖100重量部を入れた容器に該イーストドーナツを入れ、該容器を一方向及び該一方向とは反対方向の双方に5往復振ることでシュガリングを実施し、該イーストドーナツの表面に油脂被覆粉末糖を付着させた。そして、シュガリング直後のイーストドーナツの表面を目視観察し、下記評価基準により評価した。
(付着性の評価基準)
5点:油脂被覆粉末糖が極めて多く付着しており、極めて良好。
4点:油脂被覆粉末糖が多く付着しており、良好。
3点:油脂被覆粉末糖が良く付着しており、やや良好。
2点:油脂被覆糖粉末が少し付着しており、やや不良。
1点:油脂被覆糖粉末がほとんど付着しておらず、不良。

Claims (7)

  1. 粉末糖と、該粉末糖の表面に付着した油脂被覆層とを有する油脂被覆粉末糖であって、
    前記油脂被覆層が、前記粉末糖から近い順に、融点50〜70℃の油脂を含む内側被覆層と、融点40〜50℃の油脂を含む外側被覆層とを有し、
    前記内側被覆層の付着量が、前記粉末糖の表面積1mあたり0.2〜2.2cm、前記外側被覆層の付着量が、該粉末糖の表面積1mあたり0.05〜0.9cmである油脂被覆粉末糖。
  2. 前記粉末糖がぶどう糖である請求項1に記載の油脂被覆粉末糖。
  3. 前記粉末糖のメディアン径が120μm以上である請求項1又は2に記載の油脂被覆粉末糖。
  4. 表面に請求項1〜3のいずれか1項に記載の油脂被覆粉末糖が付着した食品。
  5. 粉末糖と、該粉末糖の表面に付着した油脂被覆層とを有し、該油脂被覆層が、該粉末糖から近い順に、内側被覆層と外側被覆層とを有する油脂被覆粉末糖の製造方法であって、
    粉末糖と融点50〜70℃の溶融状態の油脂とを混合し、その混合物を該油脂の融点以下まで冷却して、該粉末糖の表面に前記内側被覆層を形成する第1の被覆工程と、
    前記内側被覆層が形成された前記粉末糖と融点40〜50℃の溶融状態の油脂とを混合し、その混合物を該油脂の融点以下まで冷却して、該内側被覆層の表面に前記外側被覆層を形成する第2の被覆工程とを有する、油脂被覆粉末の製造方法。
  6. 前記内側被覆層の付着量が、前記粉末糖の表面積1mあたり0.2〜2.2cm、前記外側被覆層の付着量が、該粉末糖の表面積1mあたり0.05〜0.9cmである請求項5に記載の油脂被覆粉末糖の製造方法。
  7. 請求項5又は6に記載の製造方法で製造された油脂被覆粉末を食品の表面に付着させる工程を有する、食品の製造方法。
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