JP2021185902A - 食品添加用被覆有機酸および食品用日持ち向上剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱前の有機酸の溶出を抑制しつつ、保管安定性に優れ、食品の味質に影響しにくく、飛散性が抑制され、他の粉末材料と混合した際に偏析が生じにくい、食品添加用被覆有機酸を提供する。【解決手段】硬化油を主成分とする被覆材で有機酸粒子を被覆した食品添加用被覆有機酸であって、平均粒子径が100〜400μmであり、安息角が35〜55°であり、且つ下記計算式で表される圧縮度が8〜25%である。圧縮度(%)=[固めかさ密度(g/cm3)−ゆるめかさ密度(g/cm3)]/固めかさ密度(g/cm3)×100【選択図】なし
Description
本発明は、食品に使用される有機酸を、硬化油を主成分とする被覆材で被覆した食品添加用被覆有機酸および該食品添加用被覆有機酸を含有する食品用日持ち向上剤に関する。
ソーセージやハンバーグ等の食肉加工品や蒲鉾やはんぺん等の水産練り製品の製造においては、従来から食品添加物である有機酸を添加することによって保存性の向上が図られている。しかしながら、有機酸を食品原料に直接添加すると、pHの低下に伴い、製品の弾力が失われ、最終製品の食感が損なわれるばかりか、歩留りも低下する。そのため、有機酸を硬化油等でコーティングした被覆有機酸を用いることによって、加熱前の食品原料のpHを低下させることなく、加熱工程により有機酸が露出しpHが低下することで、食感に与える影響を最小限に留めつつ、加工食品の保存性を改善させる技術が用いられてきた。
特許文献1には、有機酸を、硬化油を主成分とするコーティング剤中にコーティング剤の1〜1/10倍の重量になるように加え、噴霧冷却法によりコーティング粒子を得る、pH低下用被覆有機酸の製法が記載されている。
特許文献2には、硬化油とワックスからなるコーティング剤をフマル酸に対し0.4〜0.7重量部用いてコーティングしたフマル酸製剤が記載されている。
しかしながら、上記のような従来の被覆有機酸においては、硬化油に乳化剤やワックス等の補助的成分を配合することにより、加熱前の有機酸の溶出がより抑制される反面、被覆有機酸の保管中に着色や固結が生じたり、食品の味質に影響を及ぼすなどの課題があった。
また、被覆有機酸の一般的な製造方法である噴霧冷却法により製造された被覆有機酸は、飛散性が高く、食品加工現場において取り扱う際のハンドリングにも難点があった。さらに、噴霧冷却法により製造された被覆有機酸と他の粉末材料とを混合して食品用日持ち向上剤等の粉末組成物を製造すると、偏析が生じ易く、食品原料へ添加した際に、その効果にばらつきが生じやすいという課題もあった。
したがって、保管安定性に優れ、食品の味質に影響しにくく、取り扱い易い被覆有機酸が望まれていた。
本発明の目的は、加熱前の有機酸の溶出を抑制しつつ、保管安定性に優れ、食品の味質に影響しにくく、飛散性が抑制され、他の粉末材料と混合した際に偏析が生じにくい、食品添加用被覆有機酸を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、有機酸を、硬化油を主成分とする被覆材で被覆した被覆有機酸を、特定の平均粒子径、安息角および圧縮度を有する被覆有機酸とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、硬化油を主成分とする被覆材で有機酸粒子を被覆した被覆有機酸であって、平均粒子径が100〜400μmであり、安息角が35〜55°であり、且つ下記計算式で表される圧縮度が8〜25%である、食品添加用被覆有機酸を提供する。
圧縮度(%)=[固めかさ密度(g/cm3)−ゆるめかさ密度(g/cm3)]/固めかさ密度(g/cm3) ×100
圧縮度(%)=[固めかさ密度(g/cm3)−ゆるめかさ密度(g/cm3)]/固めかさ密度(g/cm3) ×100
本発明はまた、上記食品添加用被覆有機酸と、粉末状有機酸およびその塩を含有する、食品用日持ち向上剤を提供する。
尚、本発明における平均粒子径は、特に断りがない場合、ふるい分け法により測定した粒度分布における累積50%粒子径(D50)を指すものとする。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「硬化油を主成分とする被覆材」とは、被覆材全重量に対して硬化油を80重量%以上含有するものをいい、他の成分を含有せず硬化油のみからなる被覆材も「硬化油を主成分とする被覆材」に含まれる。本発明においては、被覆材全重量に対して硬化油を85重量%以上含有する被覆材を用いることが好ましい。
本発明の食品添加用被覆有機酸としては、フマル酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、リンゴ酸、クエン酸、ソルビン酸等の有機酸粒子を、硬化油を主成分とする被覆材で被覆したもの(それぞれ被覆フマル酸、被覆コハク酸、被覆酒石酸、被覆アジピン酸、被覆リンゴ酸、被覆クエン酸、被覆ソルビン酸と称する)が例示される。その中でも、保存効果と食品の味質への影響の点から被覆フマル酸、被覆コハク酸、被覆クエン酸、被覆ソルビン酸が好ましく、食品のpH調整能力の点から被覆フマル酸がより好ましい。
本発明の食品添加用被覆有機酸に含まれる有機酸粒子の割合は特に限定されず、使用する有機酸の種類によっても異なり得るが、被覆有機酸全量に対する有機酸粒子の割合は、10〜50重量%であるのが好ましく、15〜45重量%であるのがより好ましく、20〜40重量%であるのがさらに好ましい。例えば、被覆有機酸に含まれる有機酸粒子がフマル酸の場合であれば、被覆フマル酸全量に対するフマル酸粒子の割合は、25〜35重量%であるのが好ましい。
本発明の食品添加用被覆有機酸に含まれる有機酸粒子の平均粒子径は、10〜40μmが好ましく、13〜37μmがより好ましく、15〜35μmがさらに好ましい。尚、有機酸粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(マスターサイザー(登録商標)2000、マルバーン社製)で測定した値である。
本発明の食品添加用被覆有機酸の被覆材の主成分として用いる硬化油としては、融点50〜70℃程度のものが好ましく、硬化油の種類としては菜種硬化油、大豆硬化油、パーム硬化油、牛脂硬化油、やし油硬化油、ニシン油硬化油等が挙げられる。その中でも入手が容易で、融解し易く、かつ流通安定性が良いパーム硬化油、牛脂硬化油が好ましい。
本発明の食品添加用被覆有機酸の被覆材には、被覆性を向上させるための補助的成分は特に必要としないが、目的に応じて、レシチン、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ミツロウ、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の補助的成分を含有させてもよい。これらの補助的成分を含有させる場合、被覆材全重量に対して0.1〜15重量%程度含有させるのがよい。
被覆有機酸の調製には、有機酸粒子を流動化しつつ、溶融した被覆材を噴霧する方法が用いられる。このような方法としては、流動層コーティング法、コーティングパン法、気中懸濁被覆法、真空蒸着被覆法、静電的合体法、融解分散冷却法等の方法が採用される。例えば、流動層コーティング法を採用する場合、加熱溶融した硬化油に、必要によりその他の補助的成分を添加して被覆材を作製した後、有機酸粒子に当該被覆材を噴霧して有機酸粒子を被覆しつつ、冷却固化することによって調製される。
一つの好ましい態様において、本発明の食品添加用被覆有機酸の製造方法は、以下の工程:
a)融点50〜70℃の硬化油を融点以上の温度で加熱溶融し、被覆材を得る工程、
b)被覆材を流動化した有機酸粒子に噴霧しつつ、油脂の融点未満の温度に保持することにより被覆する工程、を含む方法である。
a)融点50〜70℃の硬化油を融点以上の温度で加熱溶融し、被覆材を得る工程、
b)被覆材を流動化した有機酸粒子に噴霧しつつ、油脂の融点未満の温度に保持することにより被覆する工程、を含む方法である。
さらに、上記の製造方法をより具体的に説明する。まず、工程a)において、融点50〜70℃の硬化油を融点以上の温度、例えば75〜95℃で加熱溶融し、被覆材とする。
次いで、工程b)において、工程a)で得られた被覆材を流動層内で流動化した有機酸粒子に噴霧する。その際の流動層内の温度は、硬化油の融点未満且つ被覆材が有機酸粒子に付着した後に固化する温度に調整する必要があり、例えば融点より3〜30℃低い温度に調整される。流動層内の温度は、融点より5〜25℃低い温度が好ましく、融点より10〜20℃低い温度がより好ましい。流動層内の温度が融点より30℃低い温度未満である場合、硬化油が有機酸粒子に付着できなくなり、被覆が不十分となる傾向があり、融点より3℃低い温度を超える場合、被覆有機酸同士が結合して、粗大粒子が生成される傾向がある。
工程b)において、噴霧するためのノズルには一流体ノズルや二流体ノズルなどが利用可能であり、その際のスプレー圧は、使用する被覆材の温度および流動層内の温度等によって異なるが、例えば二流体ノズルではスプレー圧は0.01〜1MPaに調整するのが好ましく、0.05〜0.5MPaがより好ましく、0.1〜0.3MPaがさらに好ましい。スプレー圧が0.01MPa未満である場合、被覆有機酸同士が結合して、粗大粒子が生成される傾向があり、1MPaを超える場合、硬化油が有機酸粒子に付着できなくなり、被覆が不十分となる傾向がある。
ローター回転数は10〜1000rpmに調整され100〜500rpmが好ましく、200〜400rpmがより好ましい。ローター回転数が10rpm未満である場合、被覆有機酸同士が結合して、粗大粒子が生成される傾向があり、1000rpmを超える場合、硬化油が有機酸粒子に付着できなくなり、被覆が不十分となる傾向がある。
本発明の食品添加用被覆有機酸は、平均粒子径が100〜400μmとなるように調製され、平均粒子径が130〜370μmであるのが好ましく、平均粒子径が150〜350μmであるのがより好ましい。
本発明における平均粒子径は、目開きが600μm、300μm、150μm、106μm、75μmのJISふるいを用い、ミクロ形電磁振動式ふるい振とう器 M−2型(筒井理化学器械株式会社製)により所定量の粉末を10分間振とうさせ、ふるい分け法により粒度分布を測定し、重量の累積%をふるい目開きに対してロジンラムラー線図にプロットした際に累積50%(D50)となる値を指すものである。
本発明の食品添加用被覆有機酸の安息角は、35〜55°であり、好ましくは37〜53°であり、より好ましくは38〜52°である。安息角が35°未満の場合、該被覆有機酸の飛散性が高くなる傾向がある。55°を超える場合、流動性が低くなりハンドリング性が悪くなる。
本発明の食品添加用被覆有機酸の圧縮度は、8〜25%であり、好ましくは9〜24%であり、より好ましくは10〜23%である。圧縮度が8%未満の場合、該被覆有機酸の流動性が悪くなる傾向があり、25%を超える場合、該被覆有機酸の飛散性が高くなる傾向がある。圧縮度は、下記計算式により、算出された数値である。
圧縮度(%)=[固めかさ密度(g/cm3)−ゆるめかさ密度(g/cm3)]/固めかさ密度(g/cm3) ×100
圧縮度(%)=[固めかさ密度(g/cm3)−ゆるめかさ密度(g/cm3)]/固めかさ密度(g/cm3) ×100
上記圧縮度を算出するためのゆるめかさ密度および固めかさ密度は、好ましくは、ゆるめかさ密度が0.30〜0.65g/cm3、固めかさ密度が0.50〜0.70g/cm3であり、より好ましくは、ゆるめかさ密度が0.40〜0.60g/cm3、固めかさ密度が0.53〜0.68g/cm3であり、さらに好ましくは、ゆるめかさ密度が0.42〜0.55g/cm3、固めかさ密度が0.55〜0.65g/cm3である。
本発明の食品添加用被覆有機酸の分散度は、好ましくは5〜30%であり、より好ましくは7〜25%であり、さらに好ましくは8〜23%である。分散度が5%未満の場合、該被覆有機酸の流動性が悪くなる傾向があり、30%を超える場合、該被覆有機酸の飛散性が高くなる傾向がある。
上記、安息角、ゆるめかさ密度、固めかさ密度および分散度は、パウダテスタ(PT−X、ホソカワミクロン株式会社製)により測定した数値である。
本発明の食品添加用被覆有機酸は、25℃の水中における有機酸の溶出率が4%以下であるのが好ましく、0.5〜3.5%であるのがより好ましく、1〜3%であるのがさらに好ましい。溶出率が4%を超える場合、食品の味質と物性に与える影響が増大する傾向がある。
本発明の食品添加用被覆有機酸の25℃の水中における有機酸の溶出率は、下記の方法により測定した数値である。
(溶出率の測定)
食品添加用被覆有機酸0.1gをメタノール30mlに加え、80℃で溶解させた後、イオン交換水を30ml加え、25℃になるまで冷却する。冷却後、0.1重量%フェノールフタレイン液0.5ml(10滴)を添加し、0.1mol/l水酸化カリウム(エタノール溶媒)で中和滴定することにより、有機酸全量を測定する。
次に、イオン交換水500mlにラウリル硫酸ナトリウム1gを溶解させ、三枚翼プロペラを用いて25℃、400rpmの条件で攪拌しながら、食品添加用被覆有機酸1gを加え、10分間撹拌する。撹拌後の懸濁液40mlを濾紙で濾過した後、濾液20gを正確に量りとり、イオン交換水60mlおよび0.1重量%フェノールフタレイン液0.25ml(5滴)を添加し、0.01mol/l水酸化ナトリウムで中和滴定することにより、有機酸の溶出量を測定する。
有機酸全量と溶出量から、下記計算式により溶出率を算出する。
溶出率(%)=(食品添加用被覆有機酸1g当たりの溶出量)/(食品添加用被覆有機酸1g当たりの有機酸全量) ×100
食品添加用被覆有機酸0.1gをメタノール30mlに加え、80℃で溶解させた後、イオン交換水を30ml加え、25℃になるまで冷却する。冷却後、0.1重量%フェノールフタレイン液0.5ml(10滴)を添加し、0.1mol/l水酸化カリウム(エタノール溶媒)で中和滴定することにより、有機酸全量を測定する。
次に、イオン交換水500mlにラウリル硫酸ナトリウム1gを溶解させ、三枚翼プロペラを用いて25℃、400rpmの条件で攪拌しながら、食品添加用被覆有機酸1gを加え、10分間撹拌する。撹拌後の懸濁液40mlを濾紙で濾過した後、濾液20gを正確に量りとり、イオン交換水60mlおよび0.1重量%フェノールフタレイン液0.25ml(5滴)を添加し、0.01mol/l水酸化ナトリウムで中和滴定することにより、有機酸の溶出量を測定する。
有機酸全量と溶出量から、下記計算式により溶出率を算出する。
溶出率(%)=(食品添加用被覆有機酸1g当たりの溶出量)/(食品添加用被覆有機酸1g当たりの有機酸全量) ×100
本発明の食品添加用被覆有機酸は、他の粉末材料と混合した際に偏析が生じにくいため、粉末状有機酸およびその塩と混合することにより、日持ち向上効果にばらつきが生じにくい食品用日持ち向上剤とすることができる。
本発明の食品用日持ち向上剤に混合し得る粉末状有機酸およびその塩としては、食品に使用可能なものであれば、特に限定されないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、ソルビン酸、乳酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩が挙げられる。これらの中でも、静菌効果の点で、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムが好ましく、酢酸ナトリウムがより好ましい。
本発明の食品用日持ち向上剤における粉末状有機酸およびその塩の割合は、上記食品添加用被覆有機酸100重量部に対し、50〜500重量部が好ましく、60〜450重量部がより好ましく、70〜400重量部がさらに好ましい。
本発明の食品用日持ち向上剤における粉末状有機酸およびその塩は、平均粒子径が100〜400μmであるものが好ましく、130〜370μmであるものがより好ましく、150〜350μmであるものがさらに好ましい。平均粒子径が100μm未満、あるいは400μmを超える場合、保管中や輸送中に偏析が生じやすい傾向がある。
本発明の食品用日持ち向上剤は、食品添加用被覆有機酸、粉末状有機酸およびその塩以外に、目的に応じて、他の粉末成分を配合してもよい。配合可能な粉末成分としては、食品に添加可能なものであれば特に限定されないが、例えば、グリシン、チアミンラウリル硫酸塩、リゾチーム等の抗菌剤、澱粉、デキストリン等の賦形剤、第三リン酸カルシウム、微粒二酸化ケイ素、プルラン、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム等の固結防止剤が例示される。
本発明の食品用日持ち向上剤が適用可能な食品としては、加熱工程を含む加工食品であればいずれにも適用可能であるが、例えば、ソーセージ、ハンバーグ、肉団子、餃子、シュウマイ、コロッケ、トンカツ、フライドチキン、唐揚げ等の食肉加工品類や、蒲鉾、竹輪、はんぺん、魚肉ハム、魚肉ソーセージなどの水産練り製品類、うどん、そば、中華麺等の麺類、食パン、フランスパン等のパン類、フィリング類等が例示される。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
試験例1
有機酸粒子の調製
フマル酸(扶桑化学工業株式会社製)をスイングハンマー方式中粗粉砕機(パルベライザ(登録商標)ACM−30、ホソカワミクロン株式会社製)により、4800rpmで粉砕(スクリューフィード600kg/h)し、フマル酸粒子を得た。得られたフマル酸粒子の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(マスターサイザー(登録商標)2000、マルバーン社製)で測定した。結果を表1に示す。
有機酸粒子の調製
フマル酸(扶桑化学工業株式会社製)をスイングハンマー方式中粗粉砕機(パルベライザ(登録商標)ACM−30、ホソカワミクロン株式会社製)により、4800rpmで粉砕(スクリューフィード600kg/h)し、フマル酸粒子を得た。得られたフマル酸粒子の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(マスターサイザー(登録商標)2000、マルバーン社製)で測定した。結果を表1に示す。
実施例1〜3および比較例1〜4
食品添加用被覆有機酸の調製
表2−1および2−2に示す割合で被覆有機酸A〜Gを調製した。尚、各被覆有機酸の調製には、上記試験例で得られたフマル酸粒子の他、下記材料を用いた。
食品添加用被覆有機酸の調製
表2−1および2−2に示す割合で被覆有機酸A〜Gを調製した。尚、各被覆有機酸の調製には、上記試験例で得られたフマル酸粒子の他、下記材料を用いた。
・パーム硬化油(融点:58℃、横関油脂工業株式会社製)
・モノグリセリン脂肪酸エステル(ポエムM200、理研ビタミン株式会社製)
・モノグリセリン脂肪酸エステル(ポエムM200、理研ビタミン株式会社製)
フマル酸粒子を流動層コーティング装置(FD−MP−01、株式会社パウレック製)に仕込み、スプレー圧0.2MPa、払い出し圧0.3MPa、払い出し時間/インターバル4s/0.3s、ローター回転数300rpm、90℃で加熱溶融したパーム硬化油からなる被覆材、またはパーム硬化油にモノグリセリン脂肪酸エステルを添加した被覆材を25g/minの速度で供給し給気温度48〜46℃で冷却し、被覆フマル酸を得た(実施例1〜3、比較例2および3)。
90℃で加熱溶融したパーム硬化油からなる被覆材、またはパーム硬化油にモノグリセリン脂肪酸エステルを添加した被覆材に、フマル酸粒子を加え、回転円盤型噴霧冷却装置(ロータリーアトマイザ方式)を用いて回転数6,000rpm、直径75mmのディスクに、流量500g/mにて滴下し、送風温度10℃、庫内温度16〜20℃の装置内に噴霧し、被覆フマル酸を得た(比較例1および4)。
粒度分布の測定
600μm、300μm、150μm、106μm、75μmのJISふるいを用い、ミクロ形電磁振動式ふるい振とう器(M−2型、筒井理化学器械株式会社製)により所定量の粉末を10分間振とうさせ、ふるい分け法により、累積50%粒子径(D50)を測定した。結果を表3−1および3−2に示す。
600μm、300μm、150μm、106μm、75μmのJISふるいを用い、ミクロ形電磁振動式ふるい振とう器(M−2型、筒井理化学器械株式会社製)により所定量の粉末を10分間振とうさせ、ふるい分け法により、累積50%粒子径(D50)を測定した。結果を表3−1および3−2に示す。
安息角、ゆるめかさ密度、固めかさ密度および分散度の測定
パウダテスタ(PT−X、ホソカワミクロン株式会社製)により測定した。安息角は、目開き710μmの篩を用い、振動時間180秒間の条件で測定した。ゆるめかさ密度は、目開き710μmの篩を用い、静置した100mL容円筒形容器に、直上からサンプルを振幅1.5mm、動作時間30秒間の条件で供給し、過剰サンプルは摺り切り、内容量を精秤することにより求めた。固めかさ密度は、ストローク幅18mmで180回タッピングした後の比重である。分散度は、10gの粉体を規定の高さから落下させ、下部に設置したウオッチグラス上に残る粉体の量から評価した。結果を表3−1および3−2に示す。
パウダテスタ(PT−X、ホソカワミクロン株式会社製)により測定した。安息角は、目開き710μmの篩を用い、振動時間180秒間の条件で測定した。ゆるめかさ密度は、目開き710μmの篩を用い、静置した100mL容円筒形容器に、直上からサンプルを振幅1.5mm、動作時間30秒間の条件で供給し、過剰サンプルは摺り切り、内容量を精秤することにより求めた。固めかさ密度は、ストローク幅18mmで180回タッピングした後の比重である。分散度は、10gの粉体を規定の高さから落下させ、下部に設置したウオッチグラス上に残る粉体の量から評価した。結果を表3−1および3−2に示す。
溶出率の測定
被覆有機酸0.1gにメタノールを30mL加えた後、80℃で溶解させる。イオン交換水を30mL加え、室温になるまで冷却(約30分間)する。0.1%フェノールフタレイン液を0.5ml(10滴)添加し、0.1mol/l 水酸化カリウム(エタノール溶媒)を用いた中和滴定によりフマル酸全量を測定する。
被覆有機酸0.1gにメタノールを30mL加えた後、80℃で溶解させる。イオン交換水を30mL加え、室温になるまで冷却(約30分間)する。0.1%フェノールフタレイン液を0.5ml(10滴)添加し、0.1mol/l 水酸化カリウム(エタノール溶媒)を用いた中和滴定によりフマル酸全量を測定する。
1Lのビーカーに水を500ml入れ、ラウリル硫酸ナトリウムを1g溶解させる。室温で三枚翼プロペラ(穴径×羽根径:6×45mm)を用いて400rpmで攪拌する。これに被覆有機酸約1gを投入し、10分後に懸濁液30〜40mlを採取し、濾紙で濾過した後、濾液20gを正確に量りとり、水約60mlを加える。0.1%フェノールフタレイン液0.25ml(5滴)を添加し、0.01mol/L NaOHを用いた中和滴定によりフマル酸溶出量を測定し、溶出率を下記計算式により算出した。
(サンプル1g当たりの溶出量)/(サンプル1g当たりのフマル酸全量)×100
結果を表3−1および3−2に示す。
(サンプル1g当たりの溶出量)/(サンプル1g当たりのフマル酸全量)×100
結果を表3−1および3−2に示す。
偏析度の測定
上記実施例および比較例で調製した被覆有機酸250gに、酢酸ナトリウム750gをそれぞれ混合し、食品用日持ち向上剤を調製した。得られた食品用日持ち向上剤の偏析度を下記の方法により評価した。結果を表3−1および3−2に示す。尚、試験には、下記に示す酢酸ナトリウムを用いた。
・酢酸ナトリウム(D50:276μm、日本合成化学株式会社製)
上記実施例および比較例で調製した被覆有機酸250gに、酢酸ナトリウム750gをそれぞれ混合し、食品用日持ち向上剤を調製した。得られた食品用日持ち向上剤の偏析度を下記の方法により評価した。結果を表3−1および3−2に示す。尚、試験には、下記に示す酢酸ナトリウムを用いた。
・酢酸ナトリウム(D50:276μm、日本合成化学株式会社製)
食品用日持ち向上剤1000gを40cmの高さからφ1.2cmの漏斗を通して1分間かけて全量落下させ、円錐状の山を作った。その後、図1に示したとおり、円錐状の山より表層底面部(1)をサンプリングした。サンプリングした各粉体を中和滴定に供し、フマル酸を定量し、下記計算式により偏析度を算出した。数値が高いほど偏析していることを示す。
偏析度=(偏析試験前フマル酸濃度−表層底面部(1)フマル酸の濃度)/偏析試験前フマル酸濃度
偏析度=(偏析試験前フマル酸濃度−表層底面部(1)フマル酸の濃度)/偏析試験前フマル酸濃度
本発明の被覆有機酸A〜Cは、フマル酸の溶出が抑制されると共に、分散度が低いことから、粉末の飛散性が抑制されていることが確認された。
本発明の食品用日持ち向上剤A〜Cは、偏析度が低く、被覆フマル酸と酢酸ナトリウムが十分に混合され、偏析が抑制されていることが確認された。
Claims (13)
- 硬化油を主成分とする被覆材で有機酸粒子を被覆した被覆有機酸であって、平均粒子径が100〜400μmであり、安息角が35〜55°であり、且つ下記計算式で表される圧縮度が8〜25%である、食品添加用被覆有機酸。
圧縮度(%)=[固めかさ密度(g/cm3)−ゆるめかさ密度(g/cm3)]/固めかさ密度(g/cm3) ×100 - ゆるめかさ密度が0.30〜0.65g/cm3であり、固めかさ密度が0.50〜0.70g/cm3である、請求項1に記載の食品添加用被覆有機酸。
- 分散度が5〜30%である、請求項1または2に記載の食品添加用被覆有機酸。
- 被覆材が融点50〜70℃のパーム硬化油および/または牛脂硬化油を主成分とするものである、請求項1〜3のいずれかに記載の食品添加用被覆有機酸。
- 有機酸粒子の平均粒子径が10〜40μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の食品添加用被覆有機酸。
- 有機酸粒子の割合が10〜50重量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の食品添加用被覆有機酸。
- 被覆有機酸に用いる有機酸粒子がフマル酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、リンゴ酸、クエン酸、およびソルビン酸からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の食品添加用被覆有機酸。
- 25℃の水中における有機酸の溶出率が4%以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の食品添加用被覆有機酸。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の食品添加用被覆有機酸と、粉末状有機酸およびその塩を含有する、食品用日持ち向上剤。
- 粉末状有機酸およびその塩が酢酸、プロピオン酸、ソルビン酸、乳酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩からなる群より選ばれる1種以上である、請求項9に記載の食品用日持ち向上剤。
- 粉末状有機酸およびその塩の割合が食品添加用被覆有機酸100重量部に対し、50〜500重量部である、請求項9または10に記載の食品用日持ち向上剤。
- 粉末状有機酸およびその塩の平均粒子径が100〜400μmである、請求項9〜11のいずれかに記載の食品用日持ち向上剤。
- 粉末状有機酸およびその塩が酢酸ナトリウムである、請求項9〜12のいずれかに記載の食品用日持ち向上剤。
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