JP2019105472A - 回転ベゼル付時計 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載の時計装置は、ケース本体と、風防部材を保持するガラス縁と、ケース本体に対して回転可能に設けられる回転ベゼルとを備え、ガラス縁の外周面と回転ベゼルの内周面との間にパッキンを備えている。これにより、回転ベゼルとガラス縁との接触面積を少なくし、かつ、パッキンの弾性力によりがたつきを抑制することで、回転ベゼルを容易に回転できるようにしている。
本発明では、樹脂部材とガラス縁の外周面との間にパッキンが配置されるので、回転ベゼルの回転操作時において、パッキンと樹脂部材とが摺動する。そのため、前述と同様に、スティックスリップ現象を発生しにくくすることができ、回転ベゼルを円滑に操作することができる。
本発明によれば、樹脂部材は、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂から形成することができる。このようなフッ素樹脂は摩擦係数が小さいので、パッキンと樹脂部材との摺動部分に生じる摩擦力をより小さくすることができる。従って、スティックスリップ現象をより発生しにくくすることができる。
本発明によれば、回転ベゼルをガラス縁に対して双方向に回転させることができるので、回転ベゼルの表面に表示された文字や目盛りなどを指針の示す方向に合わせる際に、回転ベゼルを回転操作量の少ない方向に回転させることができる。従って、回転ベゼルの操作性を良くすることができる。
本発明によれば、指針と回転ベゼルに表示する情報とによって、電子時計に設けたセンサーで測定した情報を指示することができる。例えば、回転ベゼル付時計に方位センサーを設け、方位を示す文字および目盛りを情報として回転ベゼルに表示することにより、回転ベゼル付時計は簡易方位計としての機能を備えることができる。この場合は、使用者が現在地での方位を容易に確認することができる。
以下、本発明の第1実施形態に係る回転ベゼル付時計1について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の回転ベゼル付時計1を示す平面図である。図2は、回転ベゼル付時計1のガラス縁部分の拡大断面図である。
回転ベゼル付時計1は、図1および図2に示すように、扁平な円筒状のケース本体(胴)2を備えている。
ケース本体2の内部には、文字板3が配置され、この文字板3を覆うように本発明の風防部材であるカバーガラス4が配置されている。文字板3の表面側には指針5が配置され、この指針5は秒針5A、分針5B、時針Cを備えている。すなわち、カバーガラス4を透して時計表面側から時刻表示を視認できるようになっている。
ケース本体2の側面には、指針5の調整や設定を行うためのりゅうず6および2つのボタン6A、6Bが配置される。
ケース本体2の時計裏面側には、開口部分を覆う裏蓋7が配置されている。裏蓋7は雄ねじ部71を有しており、当該雄ねじ部71がケース本体2に刻設された雌ねじ部21に螺合されている。このため、裏蓋7は、防水パッキン10を介してケース本体2に着脱自在に設けられている。
本実施形態のガラス縁8および回転ベゼル9について、図2を用いて、より具体的に説明する。
ガラス縁8は、金属またはセラミックで形成され、カバーガラス4を保持するものである。すなわち、ガラス縁8は、円環状に形成され、カバーガラス4の外周縁に沿って配置されている。
ガラス縁8は、略円筒状の筒状部81と、筒状部81の内周面82から突出された支持部83と、筒状部81の外周面84の上端部から突出された保持部85とを備えている。
また、保持部85の上面851には、図1に示すように、世界のタイムゾーンの代表都市名を示す文字と、WTC(協定世界時)との時差を示す数字が表示されている。すなわち、本実施形態の回転ベゼル付時計1はワールドタイム機能を備えている。
回転ベゼル9は、金属またはセラミックで形成された円環状の部材であり、図1に示すように、外周には周方向に交互に配列された凹凸を有する操作部91が形成されている。
図2に戻って、回転ベゼル9はまた、ケース本体2の上面22に対向し、かつ、ガラス縁8の外周面84に沿って配置される。
次に、本実施形態において、ガラス縁8の外周面84に樹脂部材13を取り付けた場合の、回転ベゼル9の操作トルクに係る評価試験を行った結果について、実施例および比較例により詳細に説明する。
回転ベゼル9の操作トルクに係る評価試験として、起動トルクおよび回転トルクをパッキン14の締代を変化させて測定した。ここで、パッキン14の締代とは、回転ベゼル9がガラス縁8に嵌め込まれていない状態で、凹溝部96にパッキン14が配置された際のパッキン14の内周半径と、パッキン14と摺動する樹脂部材13の外周半径との寸法差である。通常、パッキンの締代が大きくなると、パッキンがより弾性変形し、その弾性力が大きくなって摺動部分に生じる摩擦力が大きくなる。そのため、回転操作に必要な起動トルクおよび回転トルクは大きくなる。
ここで、起動トルクは、ガラス縁8に対して回転ベゼル9を静止させた状態から回転させた場合のトルクを測定した。また、回転トルクは、ガラス縁8に対して、回転ベゼル9が右(時計回り)に回転させている状態のトルク(回転トルク(右))と、左(反時計回り)に回転させている状態のトルク(回転トルク(左))とを測定した。
なお、比較例A,Bでは、樹脂部材13をガラス縁8の外周面84に取り付けていない場合の試験を行った。すなわち、パッキン14とガラス縁8とを直接摺動させた場合の試験を比較例として行った。この場合のパッキン14の締代は、前述した状態でのパッキン14の内周半径と、パッキン14と摺動するガラス縁8の外周半径(外周面84の半径)との寸法差である。
パッキン14の締代は、比較例Aでは0.02mm、比較例Bでは0.05mm、実施例Cでは0.07mm、実施例Dでは0.10mmとなるように調整した。すなわち、樹脂部材13を取り付けた実施例C,Dのほうが比較例A,Bよりもが大きくなるように調整した。
図3は、評価試験の結果を示すグラフである。図3の縦軸は、起動トルクおよび回転トルクの測定値(単位はkgf・cm)を示している。
図3の試験結果から、比較例A,Bの起動トルクの測定値はそれぞれ、0.5kgf・cm(約0.049N・m)、1.0kgf・cm(約0.098N・m)であった。一方、実施例C,Dの起動トルクの測定値はそれぞれ、0.4kgf・cm(約0.039N・m)、0.5kgf・cm(約0.049N・m)であった。
このことから、実施例C,Dでは比較例A,Bよりもパッキン14の締代が大きいのにも関わらず、起動トルクは低く抑えられることが示された。また、比較例A,Bではパッキン14の締代が大きくなるに従って起動トルクは顕著に上昇するのに対して、実施例C,Dではパッキン14の締代が大きくなっても起動トルクはほとんど上昇しないことが示された。つまり、実施例C,Dのように、パッキン14と樹脂部材13とを摺動させることで、パッキン14の締代が大きくなっても起動トルクを低く抑えることができることが示された。
このような本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、ガラス縁8の外周面84に樹脂部材13が取り付けられ、樹脂部材13と回転ベゼル9の内周面95との間にパッキン14が配置されるので、回転ベゼル9の回転操作時において、パッキン14と樹脂部材13とが摺動する。ここで、樹脂部材13は、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂から形成される。このようなフッ素樹脂は、摩擦係数が小さいので、パッキン14との摺動部分に生じる摩擦力を小さくすることができる。従って、スティックスリップ現象を発生しにくくすることができ、回転ベゼル9を円滑に操作することができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図4を参照して説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態の回転ベゼル付時計1Aは、樹脂部材13Aが回転ベゼル9の内周面95Aに形成された凹溝部96Aに取り付けられ、パッキン14Aがガラス縁8の外周面84Aに形成された凹溝部88Aに配置されている。すなわち、樹脂部材13Aは、回転ベゼル9の内周面95(凹溝部96A)に取り付けられて、回転ベゼル9を回転させる際のパッキン14に対する摺動部分となる。つまり、本実施形態においても、回転ベゼル9を回転操作する際に、樹脂部材13Aとパッキン14Aとが摺動するので、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、樹脂部材13Aは、凹溝部96Aに圧入されて取り付けられてもよいし、樹脂部材13Aの外周面を凹溝部96Aの内周面に接着されて取り付けられてもよい。
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
本発明の回転ベゼル付時計は、ワールドタイム機能や簡易方位計機能を備える時計に限らず、回転ベゼルを有する腕時計に適用できる。例えば、ダイバーズウオッチでは、時計の指針に対応した数字および目盛りなどを情報として表示することがあり、この表示に本発明の回転ベゼルを適用してもよい。この際、回転ベゼルの下面に複数の溝部を周方向に沿って配列し、ケース本体の上面に回転ベゼルばねを配置して、回転ベゼルばねの先端を複数の溝部のいずれかに係合させることで、使用者が回転ベゼルを回転操作した際にクリック感を得られるようにしてもよい。また、クロノグラフ時計では、航空計測用の円形計算尺付き回転ベゼルを適用してもよい。さらに、回転ベゼル付時計に複数種類のセンサーを設け、モード切替によって秒針5Aで指示する情報を変更する場合等には、回転ベゼル9には目盛りのみを表示してもよい。
また、ガラス縁には、世界のタイムゾーンの代表都市名を示す文字やWTCとの時差を示す文字に限らず、用途に応じて種々の情報を表示することができる。
さらに、本発明は腕時計に限らず、回転ベゼルを備える各種の時計に適用することができる。
例えば、ガラス縁8の筒状部81の外周面84の下端部に雄ねじ部を形成し、ケース本体2の内周面の上端部に雌ねじを形成して、当該ケース本体2の雌ねじ部にガラス縁8の雄ねじ部をねじ込むことで、ケース本体2に対してガラス縁8を固定するようにしてもよい。
また、ガラス縁8はケース本体2と一体となっていてもよい。
また、樹脂部材13,13Aは、前記各実施形態のように、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂から形成されるものに限らない。樹脂部材13,13Aは、例えば、シリコン樹脂、ABS樹脂およびポリカーボネートなどの一般的な樹脂から形成されていてもよく、回転ベゼルの回転操作時に、ガラス縁や回転ベゼルの材料として用いられる金属やセラミックと比べて、合成樹脂やゴムなどから形成されたパッキンとの摺動部分に生じる摩擦力が小さくなる材料から形成されていればよい。
Claims (5)
- 風防部材を保持するガラス縁と、
前記ガラス縁に対して回転可能に設けられる回転ベゼルと、
前記ガラス縁の外周面に取り付けられる樹脂部材と、
前記樹脂部材と前記回転ベゼルの内周面との間に配置されるパッキンと、を備えることを特徴とする回転ベゼル付時計。 - 風防部材を保持するガラス縁と、
前記ガラス縁に対して回転可能に設けられる回転ベゼルと、
前記回転ベゼルの内周面に取り付けられる樹脂部材と、
前記樹脂部材と前記ガラス縁の外周面との間に配置されるパッキンと、を備えることを特徴とする回転ベゼル付時計。 - 請求項1または請求項2に記載の回転ベゼル付時計において、
前記樹脂部材は、フッ素樹脂から形成されることを特徴とする回転ベゼル付時計。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の回転ベゼル付時計において、
前記回転ベゼルは、前記ガラス縁に対して双方向に回転可能であることを特徴とする回転ベゼル付時計。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の回転ベゼル付時計において、
前記回転ベゼルには、文字、数字、記号および目盛りのうち少なくともいずれか一つが情報として表示されていることを特徴とする回転ベゼル付時計。
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