実施形態である光モジュールについて、図を参照しながら以下に説明する。なお、各図において、同一または同様の構成部分については同じ符号を付している。
実施の形態1.
実施の形態1における光モジュール1を図1〜図6を用いて説明する。図1、図3〜図6は本発明の実施の形態1における光モジュール1を示す平面図である。図2(a)は、図1の破線A1−A2における断面図である。図2(b)〜(e)は図1の破線A3−A4における断面図である。なお、図には方向を説明するためのxyz直交座標軸も示す。本実施の形態では、異なる波長の光が重畳された光信号を出力する光モジュール1について説明する。
光モジュール1は、図1に示すとおり、複数の半導体レーザ素子11、21、31、41を有する第一光素子部10、第二光素子部20、第三光素子部30、第四光素子部40、金属ブロック51(第一基板)、光合波器50およびセラミック基板53(第二基板)とを備える。なお、図1においては光モジュール内の回路構成(コンデンサや接続ワイヤ等)や、ケース、レンズ等、その他の構成部分については図示を省略している。
図1に示すとおり、光合波器50は、金属ブロック51と同一のセラミック基板53に、半導体レーザ素子11、21、31、41の光出力方向に対向して配置され、接合材としてのはんだ52を介して接合されている。なお、光合波器50の形状は、図では簡略化のため長方形の形状とし、半導体レーザ側の面が半導体レーザの出射方向に対して垂直な(図1におけるy軸方向に延びた)直線で描いているが、厳密には垂直ではなく、y軸方向と角度を有するように傾斜を有していてもよい。
光合波器50は、複数の半導体レーザ素子からの波長の異なる出射光を合波し、その合波光を出力する。光合波器50から出力された合波光は、波長多重信号としてレンズ(図示せず)を通して、光ファイバ等の光導波路内を伝送される。
図1ではそれぞれ異なる波長を出射(発光)する半導体レーザ素子11、21、31、41を有する光素子部が4つの例を示している。また、4つの光素子部が一定の間隔で金属ブロック主面51aに接合され、等間隔に配列されている。ここでは、各光素子部が半導体レーザ素子とサブマウント(第三基板)からなる例を示している。半導体レーザ素子は、例えば変調器が集積された変調器集積型の半導体レーザなどでもよい。
以下、複数の光素子部の例として、第一光素子部10、第二光素子部20の2つの光素子部に着目して説明する。
図2(a)に示す通り、第一光素子部10は、半導体レーザ素子11とサブマウント13が接合材としてのはんだ12により接合されており、第二光素子部20は、第一光素子部10と離間して併設され、半導体レーザ素子11の発光波長である第一波長とは異なる第二波長の光を発光する半導体レーザ素子21とサブマウント23が接合材としてのはんだ22により接合されている。
図2(a)に示すとおり、サブマウント13、23のそれぞれは、セラミック基板13a、23aと、セラミック基板13a、23aの半導体レーザ素子11、21が接合される光素子部接合面13b、23bと、セラミック基板13a、23aの金属ブロック接合面13c、23cとを有する。光素子部接合面13b、23bには電極パターン(図示せず)が形成されている。また、金属ブロック接合面13c、23cには、後述の第一接合材としてのはんだ15、第二接合材としての25とのはんだ接合用の金属膜(図示せず)が形成されている。サブマウントを構成するセラミック基板13a、23aは絶縁体であり、半導体レーザ素子11、21を効果的に冷却するため、熱伝導率の大きい材料が好ましく、例えば厚さ0.3mmのAlN、Al2O3等のセラミック板を用いることができる。光素子部接合面13b、23bに形成された電極パターンおよび金属ブロック接合面13c、23cに形成された金属膜は、同じ材料を用いるのが望ましい。回路面側に相当する光素子部接合面13b、23bの電極パターンには、半導体レーザ素子11、21がはんだ12、22によって接合され、さらに電極パターンに電気配線用のAuワイヤ等を接合する接合部(図示せず)を形成することで、周囲の部材と電気的に接続される。このような電極パターンは、半導体レーザ素子11、21と、外部の回路とを電気接続するための配線部材であるため、電気抵抗の小さい金属が好ましい。よって、光素子部接合面13b、23bの電極パターンおよび金属ブロック接合面13c、23cの金属膜は、例えば厚さ3.0μm以下程度のAu等をメタライズすることにより形成する。
図2(a)に示すとおり、はんだ12、22は、光素子部接合面13b、23bに形成された電極パターンと半導体レーザ素子11、21とをそれぞれ接合する。例えば、サブマウント13、23が金属ブロック51に接合される前に、半導体レーザ素子11、21をはんだ12、22によりサブマウント13、23と接合しても良い。また、サブマウント13、23が金属ブロック51に接合された直後に、半導体レーザ素子11、21をはんだ12、22によりサブマウント13、23と接合しても良い。はんだ12、22の材料は、後述する接合材としてのはんだ52の接合時にはんだ12、22が再溶融しないように、融点がはんだ52より高く、熱伝導率の大きい金属が好ましい。はんだ材料の切替えの手間を省くため、後述するはんだ15、はんだ25と同じ材料を用いるのが望ましい。また、サブマウント13、23が金属ブロック51に接合される前に半導体レーザ素子11、21を接合する場合は、融点がはんだ15、25より高ければより好ましい。そのため、はんだ12、22には、主にAuにSnやGe等を含有し、その融点が250℃以上の合金を用いるのが好ましい。また、はんだの厚さは放熱性の観点から、0.1mm以下とするのが好ましい。なお、接合材12、22ははんだに限定されず、例えば焼結性金属ナノ粒子や導電性の接着剤などでもよい。
図2(a)に示すとおり、第一光素子部10は、はんだ15により金属ブロック主面51aに接合されており、第二光素子部20は、第一光素子部と離間して接合されている。すなわち、第二光素子部20は、第一光素子部10と予め定められた間隔をあけて、はんだ25により金属ブロック主面51aに接合されている。より具体的には、金属ブロック接合面13c、23cに形成された金属膜が、はんだ15、25により金属ブロック51と接合される。そして、サブマウント13とサブマウント23は、予め定められた間隔にて離間し併設、すなわち予め定められた間隔をあけて配置されている。さらに金属ブロック51は、金属ブロック主面51aと対向する金属ブロック裏面51cにおいて、はんだ52を介してセラミック基板53に接合されている。
第一基板51は、Cu、Fe、Al等の金属による金属ブロック51のほか、セラミック、樹脂等の絶縁体に金属が被覆されたもの等を用いてもよい。
図2(a)に示すとおり、はんだ15、25は、金属ブロック接合面13c、23cに形成された金属膜と金属ブロック主面51aとを接合する。サブマウント13、23と金属ブロック51との接合時に、金属ブロック51が位置ズレしないように、金属ブロック51とセラミック基板53を接合する前に、はんだ15、25によってサブマウント13、23と金属ブロック51とを接合しても良い。はんだ15、25の材料は、はんだ52の接合時に再溶融しないように、融点がはんだ52より高く、熱伝導率の大きい金属が好ましい。そのため、はんだにはSn、Pb、Au、Ag、Cu、Zn、Ni、Sb、Bi、In、Ge等を含有し、その融点が450℃未満の合金が一般的に用いられるが、はんだ15、25には、主にAuにSnやGe等を含有し、その融点が250℃以上の合金を用いるのが好ましい。また、はんだの厚さは放熱性の観点から0.1mm以下とするのが好ましい。なお、第一接合材15、第二接合材25ははんだに限定されず、例えば焼結性金属ナノ粒子や導電性の接着剤などでもよい。
図2(a)に示すとおり、セラミック基板(第二基板)53は、金属ブロック51が接合される金属ブロック接合面53aと、金属ブロック接合面53aと対向するセラミック基板裏面53cとを有する。また、金属ブロック接合面53aとセラミック基板裏面53cにはそれぞれ金属膜(図示せず)が形成されている。セラミック基板53は絶縁体であり、金属ブロック51を効果的に冷却するため、熱伝導率の大きい材料が好ましく、一般的には、例えば厚さ0.3mmのAlN、Al2O3等のセラミック板が用いられる。
金属ブロック接合面53aとセラミック基板裏面53cに形成されたそれぞれの金属膜は、同じ材料が用いるのが望ましい。金属ブロック接合面53aの金属膜は、金属ブロック51と接合される金属膜と、光合波器50と接合される別の金属膜とを有し、図1に示すとおり、金属ブロック51と光合波器50のそれぞれに対応した金属膜(図示せず)とはんだ52によって、予め定められた間隔をあけて接合される。また、光合波器50ははんだではなく接着剤によって金属ブロック接合面53aと接合してもよい。この場合、金属ブロック接合面53aに光合波器50と接合される金属膜を設ける必要はない。
金属ブロック51や光合波器50は半導体レーザ素子11等やサブマウント13等と比べてはんだによる接合面積が大きいため、金属ブロック接合面53aの金属膜ははんだ52に対して濡れ性が良い材料が好ましい。金属ブロック接合面53a及びセラミック基板裏面53cの金属膜は、一般的には例えば厚さ3.0μm以下程度のAuをメタライズすることにより形成する。放熱面側に相当するセラミック基板裏面53cの金属膜には、ケース等がはんだ(図示せず)によって接合される。
また、セラミック基板53は、サーモモジュールであってもよい。サーモモジュールは、吸熱部が受けた熱を、ペルチェ素子を介して放熱部へ伝達し、さらに放熱部から例えばケース等へ放出する。サーモモジュールによって、半導体レーザ素子11、21の温度が制御され、安定した動作を継続できるようになるため好ましい。セラミック基板53をサーモモジュールとした場合、金属ブロック接合面53aの金属膜は吸熱部に、セラミック基板裏面53cの金属膜は放熱部にそれぞれ形成される。
なお、第二基板53は、特にセラミック材料に限定されず、熱をよく伝導する材料であれよく、例えば、導電体や導電体を絶縁体で被覆したものなどでも良い。
図2(a)に示すとおり、はんだ52は金属ブロック主面51aと対向する金属ブロック裏面51cに形成された金属膜(図示せず)とセラミック基板53の金属ブロック接合面53a上に形成された金属膜とを接合する。同様に、はんだ(接合材)52は、光合波器50とセラミック基板53の金属ブロック接合面53a上に形成された別の金属膜とを接合する。
金属ブロック51がセラミック基板53の金属ブロック接合面53a上の金属膜にはんだ52によって接合される時は、半導体レーザ素子11、21ははんだ12、22によってサブマウント13、23に接合されており、また、サブマウント13、23ははんだ15、25によって、金属ブロック主面51aにそれぞれ接合されている。
よって、はんだ52の材料は、はんだ52の接合時にはんだ15、25およびはんだ12、22が再溶融しないように、融点がはんだ15、25およびはんだ12、22より低く、熱伝導率の大きい金属が好ましい。そのため、はんだ52には、主にSnにAgやCu等を含有し、その融点が250℃未満の合金を用いるのが好ましい。なお、接合材52ははんだに限定されず、例えば焼結性金属ナノ粒子や導電性の接着剤などでもよい。
図3に示すとおり、金属ブロック(第一基板)主面51aには、接触防止部としての溝部61〜63が光素子部を構成するサブマウント13、23、33、43に沿って平行(図3のx軸方向)に、等間隔に形成されている。
図3に示すとおり、第一光素子部10を構成するサブマウント13や第二光素子部20を構成するサブマウント23をはんだ15、25により接合する際、サブマウント13から外側にはみ出したはんだ15の余剰はんだや、サブマウント23から外側にはみ出したはんだ25の余剰はんだが、金属ブロック主面51aにおけるサブマウント13とサブマウント23との間の領域510に濡れ広がる可能性がある。サブマンと13とサブマンと23との間、すなわち第一発光素子部と第二発光素子部の間に溝を設けることで、余剰はんだが溝部に流れ込み、はんだ15とはんだ25の接触を防止することができる。
このような、領域510に濡れ広がる余剰はんだを、より確実に溝部61へ流し込むために、溝部61の長さはサブマウント13の長手方向(図1のx軸方向)の長さより長く形成している。なお、溝部の長さは、サブマウント(第三基板)13、23と同等もしくは短くても、サブマウント23を金属ブロック51へ接合する際にはみ出した余剰はんだが、隣のサブマウント13へ接触することを防げることができればよい。また、溝の開口が1つの例を示しているが、複数の溝がサブマウント13等に沿って(図3のx軸方向に)一列に並んだ構成や、サブマウント13等に沿って(図3のx軸方向に)開口部を複数有するが金属ブロック内部で連通している溝部の構成とすることも可能である。但し、確実に余剰はんだが隣接する素子へ接触することを防止するには、サブマウントより長い溝部とする構成が好ましい。
図3に示す通り、溝部62がサブマウント23とサブマウント33の間に形成され、溝部63がサブマウント13とサブマウント43の間に形成されることで、溝部はそれぞれ等間隔になるように形成されている。また、サブマウント13、23、33、43、言い換えると、半導体レーザ素子11、21、31、41または、光素子部10、20、30、40は、それぞれレーザの光出力方向が光合波器50側を向き、等間隔に配列され、はんだ15、25、35、45によって接合される。
図3に示すとおり、金属ブロック主面51aにおいて、溝部61上にはサブマウント13、23が配置されないため、溝部61の幅はサブマウント13とサブマウント23との間隔より狭い。すなわち、図2(a)に示す溝断面形状における溝部61の開口端部61aと開口端部61bとがサブマウント13のサブマウント23側の側面611a(第一光素子部の第二光素子部側の第一側面)と、側面611aと対向するサブマウント23の側面611b(第二光素子部の第一光素子部側の第二側面)との間に形成されている。なお、本願における光素子部の側面とは、隣接する光素子部に最も近い側面を意味する。図2(a)の例では、第一光素子部10の側面とは、サブマウント13のサブマウント23側の側面611aが半導体レーザ素子11の側面よりも第二光素子部20に近く、側面611aが第一光素子部10の側面となる。
また、図3の溝の長手方向(図3のx軸方向)に垂直な断面において、溝部61の開口端部61aと61bとの距離が、サブマウント13の側面611aとサブマウント23側の側面611bとの距離よりも短い。
図4に示すとおり、金属ブロック51は、金属ブロック主面51aから連なる側面を有し、溝部61の一端を金属ブロック51の光合波器50側の側面51bまで形成した溝部61eとしてもよい。同様に、光合波器50側と逆の側面51dまで形成する溝部としてもよい。
図2(a)〜(e)に示すとおり、溝部61の断面形状は、例えば図2(a)のように、溝部の開口端部611a、611bから溝部の底部に向けて幅が小さくなる形状として、V字形状とすることが好ましいが、他には図2(b)で示す溝部の深さが溝部の幅以上の縦長の溝部でも良いし、図2(c)で示すU字型の溝部でもよい。また、図2(d)で示すとおり、溝部を一つのサブマウントとサブマウントの間に複数本設ける構成でも良い。図2(e)で示すとおり、溝部の底により細い溝を複数本設ける等の形状にすると、流れ込んむはんだが溝部61、62、63の全体に広がりやすくなるためより好ましい。特に、図4に示すとおり金属ブロック側面51bまで溝部が形成されている場合、金属ブロック側面51bへ流れやすくなるため好ましい。例えば、溝部61が金属ブロック51側面51bまで形成された場合に、光合波器50に向けて、溝部61aの深さを深くする構成とし、金属ブロック側面51b側へ流れやすくする構成としてもよい。
図3に示すとおり、サブマウント13、23、33、43の形状が全て同じであれば、全ての溝部で同様の効果を得られるように、溝部61、62、63は全て同じ形状であるのが好ましい。加えて、金属ブロック主面51aにおいて、サブマウントと平行に、サブマウントとサブマウントの間に溝部が形成された構成とする良い。
次に、本実施の形態1の光モジュールの製造方法について図5を参照しながら説明する。まず、基板準備工程として、金属ブロック主面51aに切削やエッチング等によって複数の溝部61、62、63が形成された基板としての金属ブロック51を準備する。なお溝部の間隔は、予め定められた光素子部間隔によって決まる。
そして、第一接合工程として、金属ブロック主面51aにおいて溝部61と溝部63と重ならない第一領域511内の、予め設定された第一載置位置に第一接合材としてのはんだ15(例えば、板はんだ)を介して、第一光素子部10を構成するサブマウント13を接合する。接合する際、予め設定された位置にはんだ15を載置し、金属ブロック51をはんだ15が溶融する温度まで加熱し、溶融したはんだ15上の予め設定された位置に、サブマウント13を載置し、金属ブロック51を冷却して、はんだ15を凝固しサブマウント13を金属ブロック51へ接合する。この接合により、第一載置位置にはんだ15を介してサブマウント13が接合される。なお、サブマウント13を載置する工程では、加圧によって金属ブロック主面51aに接合しても良い。
ここでは、はんだ15を供給し、加熱してはんだ15を溶融させた後に、サブマウント13を載置する工程を示したが、はんだ15を供給しサブマウント13を載置した後に、加熱してはんだ15を溶融させて接合する工程としても良い。
次に、第二接合工程として、金属ブロック主面51aにおいて、溝部61を中心に第一領域511とは反対側に第二領域512が存在する。第二領域512において第一載置位置から予め定められた間隔を空けて第二載置領域が設定されており、第二載置位置にサブマウント23が接合される。サブマウント23の接合方法はサブマウント13同様に実施すればよい。実際に、図5の示す4つの光素子部を接合する場合は、例えば、最も端に位置する光素子部30から、光素子部20、光素子部10、そして光素子部40の順に接合していくと良い。
なお、第一光素子部10を構成する半導体レーザ素子11とサブマウント13とのはんだ接合工程は、サブマウント13を金属ブロック51へ接合する工程の前に実施することができる。また、サブマウント13を金属ブロック51へ接合する工程の後に、実施することもできる。
さらに、配置工程として、光素子部を接合した金属ブロック51と光合波器50を、はんだ52を介してセラミック基板53に接合し、本実施の形態にかかる光モジュール1を製造することができる。
上述の工程により製造される一例として、サブマウント13などのサイズは、例えば、幅0.5mm以上〜1.5以下、長さ0.5mm以上3.0mm以下のであり、サイズのサブマウントとサブマウントの間隔は、例えば、0.05mm以上0.5mm以下の間隔で接合される。サブマウント間に形成される溝のサイズは、例えば、溝幅をサブマウント間隔の1/2以上3/4以下とし、溝の深さは溝幅以上に形成することができる。
図5に示すとおり、溝部61、62、63の長手方向(図5のx軸方向)における、光合波器50側の端部の位置は、光合波器50側で、サブマウント13、23、33、43の光合波器50側の端部と同じ、もしくは、サブマウントの端部よりも光合波器側まで伸びて形成する。また、溝部61、62、63のそれぞれの中心のy座標とサブマウント間の中心のy座標が同じになるように形成する。溝部61、62、63は図1のx軸方向にサブマウント13、23、33、43と平行に形成している。
以上説明したように、実施の形態1にかかる光モジュール1によれば、図1に示すとおり、金属ブロック主面51aに、光素子部を構成するサブマウントに沿って、等間隔に形成された溝部を有することで、光素子部を金属ブロックにはんだ接合する際に、光素子部の外側に飛び出した余剰はんだが隣接する光素子部のはんだと接触する前に溝部に流れ込み、余剰はんだが隣接する光素子部のはんだへ接触することを防止できる。より具体的には、はんだ25の余剰はんだが、先に接合されたサブマウント13下のはんだにあたることで、サブマウント13が移動し、半導体レーザ素子11、12の間隔がずれることを防止することができる。そのため、光合波器50で合波した合波光が製品に必要な出力を得られなくなる特性劣化を抑制することができる。特に、狭いピッチで波長の異なる複数のレーザ素子と光合波器が集積されたモジュールには非常に有効な手段となる。
さらに、溝部61がサブマウント13とサブマウント23との間に、サブマウント13、23の長手方向(図1のx軸方向)の長さよりも長く形成されることで、隣接するサブマウント下のはんだへの余剰はんだの接触を防止することが可能となる。
図2(a)に示すとおり、溝部の断面形状をV字とすることで、溝部61、62、63に流入した余剰はんだが溝部全体に濡れ広がり、より確実に隣への余剰はんだの接触を防止することが可能となる。
図4に示すとおり、サブマウントの間隔が、0.5mm以下と短い場合には、形成できる溝部の体積も限りがあり、溝部の体積を超えた余剰はんだが溝部を越えて流出することも想定される。このような場合に備え、溝部61の一端を、金属ブロック側面51bまで形成した溝部61eとすることで、溝部の体積を超えた量の余剰はんだが流出した場合でも、溝部を経由して金属ブロック側面51bへ逃がすことができる。例えば、図6に示すような金属ブロック51側面51bにはんだ溜り71e、72e、73eが形成され、隣のサブマウント13への接触を防止することができ、半導体レーザ素子11、12の間隔がずれることを防止することができる。溝部61の一端を、金属ブロック(第一基板)側面51bまで形成したときに、溝部の断面をV形状とすることで、より確実に側面へと余剰はんだを誘導することができる。光素子部の間隔が0.5mm以下とする際に、特に有用な手段となる。
溝部の別の効果としては、光モジュール1の動作時の半導体レーザ素子11等の発熱による金属ブロック51の反りを、溝部61等が優先的に変形することで低減できるため、金属ブロック51の反りによる光合波器50に対する半導体レーザ素子11等の位置ズレを低減することができ、光モジュール1を長寿命化できる。
加えて、図1に示すとおり、溝部61、62、63をサブマウント13、23、33、43の間となる位置に設けることで、半導体レーザ素子11、21、31、41が同時に発熱することによって生じる熱の、レーザ素子間方向(y軸方向)への拡散を抑制でき、半導体レーザ素子11、21、31、41間の熱干渉を防止できるため、中央の半導体レーザ素子11、21が発熱しやすくなることを防止する効果を得ることができる。
また、光モジュール1の動作時には半導体レーザ素子11等の発熱によって、金属ブロック51が加熱されて膨張することがある。このとき、サブマウント13等の線膨張係数と、金属ブロック51の線膨張係数とが異なるため、金属ブロック51のサブマウント13等がはんだ接合されている金属ブロック主面51a側と、主面51aと対向する金属ブロック裏面51c側との熱膨張量が異なり、結果として、金属ブロック51が反る。金属ブロック51が反ると、半導体レーザ素子間の相対的な距離が変化し、光合波器50で合波した合波光が製品に必要な出力を得られなくなる可能性も考えられる。
これに対して、金属ブロック51のサブマウント13、23、33、43の間となる位置に溝部61、62、63を設けることで、サブマウント13等の線膨張係数と金属ブロック51の線膨張係数の差による金属ブロック主面51aと裏面51cの熱膨張量の違いを、溝部61、62、63が優先的に変形する、つまり溝部61、62、63の開口部の幅(例えば、図2(a)に示す溝開口端部61aと61bの距離)が広がったり狭くなったりするように金属ブロック51が変形することで、金属ブロック51の反り量を低減する効果が期待できる。これによって、金属ブロック51の反りによる半導体レーザ素子間の相対的な距離の変化を低減できるため、光合波器50で合波した合波光が製品に必要な出力を得られなくなるのを防ぐことができる。加えて、金属ブロック51の反り量を低減することではんだ52に生じる応力を低減し、クラックの進展を抑制することで光モジュール1を長寿命化する効果も得ることができる。
実施の形態2.
実施の形態2における光モジュール2については、図7〜13を用いて説明する。図7、9、10、12は、実施の形態2における光モジュール2の一例を平面図で示している。図8は、本発明の実施の形態2における光モジュールの第二溝部の形状の一例を示す平面図である。図11は、本発明の実施の形態2における光モジュールの一例を示す平面図(図7)の破線B1−B2における断面図である。図13は、本発明の実施の形態2における光モジュールの一例を示す平面図(図12)の破線B3−B4における断面図である。
本実施の形態2における光モジュール2も基本的に実施の形態1における光モジュール1の構成と同じ構成を有するが、以下の点で相違する。よってここでは、主に相違点について説明を行い、一致点についてはその説明を省略する。
実施の形態1では接触防止部として溝部を設けたが、本実施の形態では図7に示すとおり、接触防止部としての溝部を、流れ込んだ余剰はんだを誘導する誘導部としての第一溝部61と、第一溝部61から誘導された余剰はんだを溜める溜め部としての第二溝部71とを備えた点で実施の形態1と相違する。以下当該構成につき詳細に説明する。
図7に示すとおり、第二溝部71の一例として、第一溝部61の片端に繋がるように形成されている。第二溝部72、73も同様である。第二溝部71、72、73は切削等で加工して形成する。なお、金属ブロック側面51bにおいて、第一溝部61、62、63と繋がる位置に第二溝部71、72、73を設ける構成としても良い。
第二溝部71、72、73は、第一溝部61と同じ深さで、第一溝部61、62、63の光合波器50と反対側の端部で繋がるように形成している。第二溝部71等の金属ブロック主面51a上における形状は、例えば図8(a)に示すとおり円形にすると良く、また円形に限らず、図8(b)や図8(c)に示すとおり、三角形や四角形などの矩形、多角形であっても良い。特に、輪郭が単純で周囲に似た形状のものがない特徴的な形状とすると良い。詳細は、後述の製造方法で説明する。
図8(a)〜(c)に示すとおり、第二溝部71は、第一溝部61から誘導されて流れ込んだ余剰はんだを収納するために、第二溝部71の幅が第一溝部61の幅よりも広い方が好ましい。なお、本願において第二溝部の幅は、第二溝部の最も広い幅を意味し、第二溝部形状が平面視で円形の場合は径71d(楕円の場合は長径)、矩形の場合、例えば四角形の場合は最も長い辺の長さが72d、三角形の場合は最も長い辺の長さ73dとなり、いずれも第一溝部61の溝幅は61wよりも長い。
第一溝部61は、第一溝部61より幅広く形成される第二溝部71と繋がっている必要があるため、第一溝部61の長さはサブマウント13(第一光素子部)の長手方向(図7のx軸方向)の長さより長くするとよい。
また、第一溝部61の断面形状は第一溝部61内に流れ込んだ余剰はんだが第一溝部61を通り誘導され、第二溝部71に溜まるように、図2(a)で示すV溝形状であることが好ましい。また、図2(e)で示すとおり、溝の底により細い溝を複数本設ける等の形状にすると、余剰はんだが第一溝部61から第二溝部71へと流れやすくなるため好ましい。
第二溝部71の深さは、第一溝部61から余剰はんだが流れ込みやすくするために、第一溝部のよりも深い方が好ましい。また、第一溝部61の深さは、光合波器50側から第二溝部71に向け深さが深くなる構成とすると、余剰はんだが第二溝部71に誘導されやすくなるため好ましい。更に第二溝部71の幅が第一溝部61の幅よりも広くすることで、より確実に余剰はんだを収納することができる。
図7では第二溝部71、72、73を第一溝部61、62、63の片端に繋がるように形成したが、図9に示すとおり第一溝部61、62、63の両端に形成して良いし、第一溝部61、62、63の途中に形成して良い。
次に、本実施の形態2の光モジュールの製造方法について図10に基づき説明する。第二溝部を位置決めの識別マークとする以外は、実施の形態1の光モジュールの製造方法と同様である。
まず、金属ブロック主面51aに切削やエッチング等によって複数の第一溝部61、62、63と、第一溝部に連なり形成された第二溝部71、72、73を有する金属ブロック51を準備する。
図10に示すとおり、複数の光素子部10等と、光合波器50とを備えた光モジュールをはんだ接合装置を用いて自動で組立てる場合において、光合波器50と対向して配置される光素子部の間隔が常に一定となるように組み立てるには、はんだ15等を載置する位置や、サブマウント13等を載置する位置の基準となる箇所を設定し、認識カメラ等で認識した上で、はんだ接合装置に基準として認識させる。すなわち、金属ブロック主面51aに対する、はんだ15等の載置位置やサブマウント13等の載置は、基準位置を元に決定する。手動で行う場合も、サブマウント13等を載置する位置の基準となる箇所を、カメラ等の画像から確認し、基準情報をはんだ接合装置へ設定すればよい。
図10に示すとおり、本実施の形態2にかかる光モジュールの第二溝部を設けた構成では、金属ブロック主面51a上に設けた第二溝部71等の形状を、円形や三角形、四角形の輪郭が単純で認識カメラ等で認識しやすい形状とすることで、はんだ接合装置を用いて自動ではんだ接合する時に、第二溝部71等を認識カメラで認識し、サブマウント13等の接合位置の基準とすることができる。特に円形状は加工しやすいため、第二溝部の形状としてはより好ましい。
また、加工の状態によって光の反射の状態が変化することで認識カメラでの見え方が変わらないように、第二溝部71、72、73の壁面が金属ブロック主面51aに対して垂直となるよう形成するのが好ましい。図11に示すとおり、第二溝部71、72、73の溝部壁面と溝部底面の角度θが90°以上になる場合でも、認識カメラで第二溝部71、72、73の輪郭を検出しやすいように、角度θが100°以下程度となるようにするのが好ましい。
このように、実施の形態2にかかる製造方法では、載置位置決定工程として、第二溝部71を位置決めの基準(識別マーク)に設定し、例えば、光素子部10や、各光素子部を載置する載置位置を決定する。
続いて、図10に示すとおり、金属ブロック主面51aにおいて第一溝部61と重ならない第一領域513内の、第二溝部71を位置決めの基準として設定された第一載置位置に、第一接合材としてのはんだ15(例えば、板はんだ)を介して、第一光素子部を構成するサブマウント13を接合する。
次に、金属ブロック主面51aにおいて第一溝部61と重ならない第一溝部61を挟んで反対側の第二領域514内の、第一載置位置から予め設定さられた間隔をあけた第二載置位置に第二接合材としてのはんだ25(例えば、板はんだ)を介して、第二光素子部を構成するサブマウント23を接合する。第二発光素子部は、第一発光素子部と設定された間隔をあけて接合する。複数の発光素子部を有する場合、上記工程を繰り返して製造することができる。
ここでは、簡略化のため光素子部10を載置する例で説明したが、図10のような4つの光素子部を有する場合は、例えば、端の光素子部の光素子部30から、光素子部20、光素子部10、光素子部40の順で接合工程を進める。このとき、基準となる第二溝部72を認識し、光素子部30を金属ブロック51に接合する。つまり、基準となる第二溝部72を認識する際、溝部72内にははんだ35が存在していない。このように、第二溝部は基準として認識される時点で、はんだが存在していないほうが、より正確な認識が可能となり好ましい。続いて光素子部20を金属ブロック51に接合する際、第二溝部72を基準に設定された光素子部30から、予め設定された間隔をあけて接合しても良いし、再度、第二溝部71を基準として、光素子部20の位置を決めることも可能である。
なお、識別マークとして使用する第二溝部は、例えば、サブマウント13の両脇に第一溝部61、63が2つある場合は、識別マークとして第二溝部71、73いずれを用いても良い。このとき、先に述べたとおり、識別マークとして認識する時点で、該当する第二溝部には、はんだが存在していない状態が好ましい。識別マークの観点からは、少なくとも1つの第二溝部があれば、これを基準に位置決めをすることが可能である。
次に、実施の形態2の変形例として、図7のような金属ブロック51に平面的に第二溝部71、72、73を設けず、図12、図13に示すとおり金属ブロック51の断面方向に第二溝部を設ける構成を説明する。具体的には、溝部61w、62w、63wの形状を、金属ブロック51内部において溝部の開口端部の幅よりも広い幅を有する形状とし、溝部にはんだ溜め部の機能も持たせる構成とする。
図13(a)(b)に示すとおり、溝部61w、62w、63wは、金属ブロック主面51a側より、金属ブロック裏面51cすなわち溝部61w、62w、63wの底面側の幅が広くなるように、金属ブロック主面51aにおける開口部となる部分以外にマスクをして金属ブロック(第一基板)51の主面側から長時間エッチングする等して形成することができる。図13(a)に示すとおり、断面形状が矩形形状でもよく、また、図13(b)に示すとおり、円形に近い形状でも良い。
図13(a)(b)に示すとおり、溝部61wは、金属ブロック主面51a上においてサブマウント13、23と溝部61wが重ならなければ、金属ブロック内部において、サブマウント13、23と溝部61wが金属ブロックやサブマウント、半導体レーザ素子などの部材の積層方向(図13のz軸方向)で重なっていてもかまわない。仮に重なるように形成した場合であっても、溝部61wが図13の部材の積層方向(図13のz軸方向)で半導体レーザ素子11、21と重ならなければ良い。
以上説明したように、実施の形態2にかかる光モジュール2によれば、溝に流れ込んだ余剰はんだを溜める溜め部としての第二溝部を設けることにより、サブマウントを金属ブロックにはんだ接合する際に、サブマウントの外側に飛び出した余剰はんだの量が多い場合であっても、隣接するサブマウントと接触する前に、より確実に余剰はんだが隣接するサブマウントへ接触することを防止できる。
また、第二溝部を金属ブロックの主面51に形成する構成では、第二溝部の形状を認識しやすい形状とすることで、第二溝部の形状を位置決めの基準とすることができ、光素子部の載置する位置精度を向上させることができる。
接合位置を決めるための基準位置として金属ブロック主面51a上のいずれかの角部を認識することで、角部からの相対的な距離(例えば図7のx座標およびy座標)を指定する場合、金属ブロックが抜き打ち加工されている等の理由で角部にダレ面が生じていた場合、認識カメラで角部を認識する時、金属ブロックへの光の当たり方や角部の出来栄えによって、認識される角部の位置が個々の金属ブロックごとに変化する可能性がある。例えば、ある金属ブロックではダレ面の主面側を角部と認識したのに対して、別の金属ブロックではダレ面の側面側を角部と認識する。そのため、はんだ接合装置で自動にサブマウント13、23をはんだ接合された金属ブロック51には、金属ブロック51に対するサブマウント13、23の位置にバラつきが生じる。これによって光合波器50に対向して配置されるサブマウント13、23の間隔が変化するため、光合波器50で合波した合波光が製品に必要な出力を得られなくなることが考えられる。
一方、本実施の形態のように第二溝部の形状を位置決めの基準にすると、金属ブロック51の角部等を認識し基準とした場合と比較して、金属ブロック51角部のダレ面等の存在による基準位置バラつきを低減し、より高精度に金属ブロック51に対するサブマウント13、23、33、43の位置決めを行うことができる。
加えて、第二溝部71等をサブマウント13等の載置位置(もしくは接合位置)に近い場所に形成することで、はんだ15、25を第二溝部71等に流れ込みやすくなる。また、装置がはんだ(例えば板はんだ)やサブマウント等の部材を設置する時には、認識カメラによる基準位置の認識後に、部材設置位置まで被接合部材を設置したステージが移動するため、移動量が大きいほど移動による位置ズレ量が大きくなるが、第二溝部71等をサブマウント13等の接合位置に近い場所に形成することで、認識位置からはんだ15やサブマウント13等の載置位置までの相対的な距離が短くなるため、装置の移動による位置ズレ量を低減することができるため好ましい。
その結果、従来に比べて高精度に一定の間隔で位置決めされた複数の半導体レーザ素子を備えた、出力バラつきの少ない、高品質で小型で長寿命な光モジュール2を得ることができる。
さらに、金属ブロック51をセラミック基板53と接合した後で、光合波器50をセラミック基板53に接合する場合、光合波器50の位置決めを金属ブロック51に設けた第二溝部を基準に行うことができるため、光合波器50の搭載する位置精度も向上することができる。
また、図13(a)(b)に示すとおり、第二溝部を金属ブロック内に設けた構成、すなわち溝部61、62、63の形状を、溝部の開口端部の幅よりも広い幅を有する形状とする構成では、金属ブロック内部においてサブマウント13、23と溝部61wが図13のZ軸方向で重なるように形成しても、溝部61wが図13のZ軸方向で半導体レーザ素子11、21と重ならなければ放熱への悪影響を抑えながら、半導体レーザ素子間方向(y軸方向)の熱の拡散が抑制され、レーザ素子間の熱干渉を抑制し、中央のはんだ応対レーザ素子が発熱しやすくなるのを防止する効果も得ることができる。
実施の形態3.
実施の形態3における光モジュール3については、図14〜17を用いて説明する。図13は、実施の形態3における光モジュール3の一例を平面図で示している。図14、16は、本発明の実施の形態3における光モジュールの一例を示す平面図である。図15は、本発明の実施の形態3における光モジュールの一例を示す平面図(図14)の破線C1−C2における断面図、図17は、本発明の実施の形態3における光モジュールの一例を示す平面図(図16)の破線C3−C4における断面図を示している。
本実施の形態3における光モジュール3についても実施の形態1における光モジュール1の構成と同様の構成を有するため、ここでは、主に相違点について説明を行い、一致点についてはその説明を省略する。
実施の形態1では、サブマウントに沿って接触防止部としての溝部を形成したが、これに対して本実施の形態では、図14に示すとおり、接触防止部としてサブマウントに沿ってワイヤループを形成した点で実施の形態1と相違する。以下に詳しく説明する。
図14に示すとおり、実施の形態1で溝部が形成される位置に、ワイヤループ81、82、83をそれぞれボンディングにより形成している。ワイヤループ81等の長さは、サブマウント13等の長手方向の(図14のx軸方向)の長さより長く形成するとよい。ワイヤの長さとは、金属ブロック主面51aにおける、ワイヤループ81の始点となるワイヤボンディング(接合)部81aと終点となるワイヤボンディング部81kとを結んだ長さが、サブマウント13等の長手方向(図14のx軸方向)の長さよりも長い。また、サブマウント13等と接触しないように、サブマウント13等と平行にボンディングすると良い。
図15に示すとおり、金属ブロック主面51aに形成されるワイヤボンディング部81cとワイヤ部81dが第一光素子部を構成するサブマウント13のサブマウント23側の側面611a(第一光素子部の第二光素子部側の第一側面)と、側面611aと対向するサブマウント23の側面611b(第二光素子部の第一光素子部側の第二側面)との間に形成されている。
図16、図17に示すとおり、金属ブロック主面51a上には、複数のワイヤボンディング(接合)部(例えば、81a、81c、81e、81gなど)を形成し、金属ブロック主面51aとワイヤ部(81bや81dなど)で囲まれたワイヤループ部81abcが形成される。
ワイヤループ81等は、一般的にAu、Ag、Cu、Al等の変形しやすい金属が用いられるが、本実施の形態3でははんだ15等が容易に濡れ広がる材料を用いる必要があるため、AuまたはAuで被覆された材料を用いるのが好ましい。
次に、本実施の形態3の光モジュールの製造方法について図14、15に基づき説明する。接触防止部としての溝部をワイヤループに変更する点、ワイヤボンディング部を第二溝部と同様の位置決めの識別マークとする以外は、実施の形態1、2の光モジュールの製造方法と同様である。
まず、金属ブロック主面51aにウェッジボンドやポールボンド等によってワイヤボンドを形成した金属ブロック51を準備する。ワイヤの径は、サブマウント13等の間に配置してもサブマウント13等の設置を妨げないために、細いほうが好ましい。具体的にはφ0.1mm以下程度が望ましい。図15に示すとおり、ループの形状もはんだ15等がループ内に濡れ広がるように、ループ高さは半導体レーザ素子11等の高さ以下、具体的には0.3mm以下程度が好ましく、1ループ長さ(図17のワイヤボンド部81aと81cの間の長さ)は複数ループが形成できるように、具体的には1.0mm以下程度が好ましい。ここで半導体レーザ素子11等の高さとは、金属ブロック主面51aから半導体レーザ素子のはんだ接合面と対向する面までの高さを意味する。
本実施の形態4では、一例として径φが0.01mm以上0.1mm以下のAuワイヤを、1ループの長さ0.1mm以上1.5mm以下、高さ0.05mm以上0.5mm以下のループ形状とすることができる。
以上説明したように、実施の形態3にかかる光モジュール3によれば、図14に示すとおり、接触防止部としてサブマウントに沿ってワイヤループを形成することで、はんだ接合時にサブマウント13等の外側に飛び出した余剰のはんだがワイヤループ81〜83に接触した場合、ワイヤループ81〜83のボンディング方向(図14のx軸方向とz軸方向)へワイヤループのループ内を伝って濡れ広がるため、サブマウント13等の外側に飛び出した余剰のはんだをワイヤループ81〜83のループ内に収めることが可能となり、余剰はんだが、先に接合されている別のサブマウント下のはんだに当たることで、先に接合されているサブマウントが移動して製品に必要な出力が得られなくなるのを防ぐことができる効果を得ることができる。
また、ワイヤ端の潰れたワイヤボンディング(接合)部分(例えば、ワイヤ始点81a、または終点81k)を位置決めの基準とすることで、より高精度に金属ブロックに対するサブマウント13等の位置決めを行う効果を得ることができる。
実施の形態4.
実施の形態4における光モジュール4については、図18〜20を用いて説明する。図18、20は、実施の形態4における光モジュール4の一例を平面図で示している。図19は、本発明の実施の形態4における光モジュールの一例を示す平面図(図18)の破線D1−D2における断面図を示している。
本実施の形態4における光モジュール4も基本的に実施の形態1における光モジュール1の構成と同じ構成を有するが、以下の点で相違する。よってここでは、主に相違点について説明を行い、一致点についてはその説明を省略する。
実施の形態1では、サブマウントに沿って金属ブロックに接触防止部としての溝部を形成し、溝と溝との間に、半導体レーザ素子が載置されたそれぞれ独立したセラミック基板を接合する構成としていたが、これに対して本実施の形態4では、図18に示すとおり、複数の半導体レーザ素子が同一のセラミック基板に載置され、半導体レーザ素子間に接触防止部として障壁を形成した点で実施の形態1と相違する。以下当該構成につき詳細に説明する。
図18、図19に示すとおり、1枚のサブマウント113の光素子部接合面113b上に設けられ、半導体レーザ素子ごとに分離された電極パターン(図示せず)の上に、半導体レーザ素子110(第一発光素子部)、120(第二発光素子部)がはんだ112、122によってそれぞれはんだ接合されており、サブマウント113の光素子部接合面113b上の半導体レーザ素子110(第一光素子部)と半導体レーザ素子120(第二光素子部)間に樹脂材料の障壁91が半導体レーザ素子110、120に沿って平行に形成する。
図18に示すとおり、障壁91の長さは、半導体レーザ素子110、120の長手方向(図18のx軸方向)の長さより長く形成するのが好ましく、半導体レーザ素子110、120と接触しないように、半導体レーザ素子110,120と平行に形成するのが好ましい。
図19に示すとおり、サブマウント113の光素子部接合面113bに形成される障壁91は、半導体レーザ素子間の間隔より細い必要があり、第一光素子部を構成する半導体レーザ素子110の第二光素子部を構成する半導体レーザ素子120側の側面911a(第一光素子部の第二光素子部側の第一側面)と、側面911aと対向する第二光素子部を構成する半導体レーザ素子120の側面911b(第二光素子部の第一光素子部側の第二側面)との間に形成されている。障壁の高さはできるだけ高く形成することが好ましい。例えば半導体レーザ素子110、120の高さを超えた高さまで形成すると良い。
次に、本実施の形態4の光モジュールの製造方法について図18、19に基づき説明する。接触防止部を障壁とする点、複数の半導体レーザ素子を同一のセラミック基板に載置する点以外は、実施の形態1の光モジュールの製造方法と同様である。
障壁91等は、サブマウント113の光素子部接合面113bに形成されたもので、樹脂材料からなり、熱硬化前に粘性を有し熱硬化により接着可能な熱硬化樹脂を用いるとよい。また、熱硬化後にはんだが濡れない熱硬化性樹脂がよい。熱硬化性樹脂がサブマウント113の光素子部接合面113bの所定部位に塗布される。その際に、熱硬化性樹脂は熱効果による収縮率等を考慮して所定形状に塗布され、その後加熱硬化させて障壁91が形成される。このとき、耐熱温度がはんだ112,122より高い樹脂を用いるのが好ましい。本実施の形態4では熱硬化性のエポキシ樹脂を用いて、例えば幅0.025mm以上0.4mm以下、高さ0.05mm以上0.5mm以下の障壁91〜93を形成することができる。
以上説明したように、実施の形態4にかかる光モジュール4によれば、図18に示すとおり、接触防止部として半導体レーザ素子に沿って障壁を形成することで、実施の形態1と同様に、半導体レーザ素子110等のはんだ接合時に半導体レーザ素子110等の外側に飛び出した余剰はんだが、先に接合されている別の半導体レーザ素子に当たることで、先に接合されている半導体レーザ素子が移動して製品に必要な出力が得られなくなるのを防ぐことができる効果を得ることができる。
特に、障壁91等の高さを半導体レーザ素子110等の高さ以上とすることで、飛び出した余剰はんだが障壁91等を乗り越えることをより確実に抑制できるため好ましい。
また、本実施の形態4では複数のサブマウント上に半導体レーザ素子がそれぞれ1枚ずつはんだによって接合されているのではなく、1枚のサブマウント113の光素子部接合面113b上にそれぞれ分かれて形成された電極パターンに複数の半導体レーザ素子110等がはんだ112等によって接合されるように構成した。サブマウントを1枚にすることによってサブマウントの接合回数を少なくしてサイクルタイムを短縮できる。サブマウント113が金属ではなくセラミック基板113aでるため、溝を形成すると割れる恐れがあるため、本手法や有効である。このように、第三基板の材質により溝形成が困難な場合に有効な手法となる。
図20に示すとおり、障壁部を第一障壁部91〜93とそれぞれの第一障壁部の一端に円形や三角形や四角形のような輪郭が単純で特徴的な形状を第二障壁部91b〜93bとして形成することで、第二溝部と同じ効果として、認識位置バラつきを低減し、より高精度に金属ブロック51に対する半導体レーザ素子110等の位置決めを行う効果を得ることができる。
実施の形態5.
実施の形態5における光モジュール5についても図21〜25を用いて説明する。図21、24は、実施の形態5における光モジュールの一例を示す平面図である。図23は、バー形状を有する光半導体素子を模式的に示した斜視図である。図23は、実施の形態5における光モジュールの一例を示す平面図(図21)の破線E1−E2における断面図である。図25は、実施の形態5における光モジュールの一例を示す平面図(図24)の破線E3−E4における断面図である。
本実施の形態5における光モジュール5も基本的に実施の形態1における光モジュール1の構成と同じ構成を有するが、以下の点で相違する。よってここでは、主に相違点について説明を行い、一致点についてはその説明を省略する。
実施の形態1では、複数の半導体レーザ素子を有する光素子部と光合波器を備えた構成であったが、実施の形態5では、光素子部を構成する光素子が半導体レーザ素子にかえて受光素子を、光合波器にかえて光分波器を備えた点で実施の形態1と相違する。以下当該構成につき詳細に説明する。
実施の形態1では、光素子部は電気信号から光信号に変換する半導体レーザ素子を有し、複数の半導体レーザ素子から出射された異なる波長の光を光合波器50で合波し、合波光を波長多重信号としてレンズ(図示せず)を通し光ファイバ等の光導波路上を伝送する光モジュールの例を示した。
本実施の形態では、図21に示すとおり、光素子部210、220には光信号から電気信号へと変換する受光素子211、221をそれぞれ有する。また、光合波器50ではなく光分波器250を有する。光ファイバ等の光導波路から伝送された波長多重信号が、光分波器250により波長の異なる複数の光に分波され、それぞれ分波光は、受光素子211、221にて受光される。図21では、実施の形態1の半導体レーザ素子の発光面と90度ずれた面、すなわち受光素子211がサブマウント213と接合される接合面と対向する面を受光面とする場合を示している。
図22は、バー形状を有する光半導体素子300を模式的に示した斜視図であり、光半導体素子300が端面発光型の半導体レーザの場合は、端面である第一面310から光が出射される。光半導体素子300が受光素子の場合は、光半導体素子300の第二面320を受光素子の受光面とする場合もあり、第一面310と90度ずれる。この場合が本実施の形態に該当する。受光素子が、発光素子と同じく図22に示す第一面310を受光面とする場合は、実施の形態1と同じ構成となるので、説明を省略する。
次に、本実施の形態5の光モジュールの製造方法について図23〜25に基づき説明する。受光面にかかわらず、図25に示すとおり、接触防止部として溝部261などが形成された金属ブロック251に、受光素子211を含む光素子部210等を等間隔に接合する構成までは、実施の形態1〜4の光モジュールの製造方法と同じである。また、接触防止部は、図25に示す溝部261に限らず、実施の形態1〜4のいずれの構成としても良い。
図23に示すとおり、受光素子211がサブマウント213と接合される接合面と対向する面を受光面とする場合は、セラミック基板253に、はんだ252を介して、受光素子211の受光面が光分波器250に対向するように接合される。
以上説明したように、実施の形態5にかかる光モジュール5によれば、受光素子と光分波器を有する光モジュールにおいて、実施の形態1〜4に示す同等の効果を得ることができる。
また、図24に示すとおり、光素子部210を金属ブロック251から突出した構成とすることで、金属ブロック251を小さくできるため、光モジュール5をより小型化できるためより好ましい。