JP2019085506A - 固形フェノール樹脂、樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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威俊 村井
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Abstract

【課題】透明性に優れた固形フェノール樹脂を提供する。【解決手段】本発明の固形フェノール樹脂は、加水分解性基および非加水分解性基を有する金属アルコキシドの重合体が、フェノール樹脂中に分散された固形フェノール樹脂であって、重合体中の金属酸化物の含有量が、当該固形フェノール樹脂全体に対して、2wt%以上70wt%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、固形フェノール樹脂、樹脂組成物および成形品に関する。
これまでフェノール樹脂とシリカ粒子の複合材料を形成する方法として様々な手法が検討されている。この種の技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1によれば、テトラアルコキシシランを用いたゾル−ゲル法によりシリカ粒子を形成し、当該シリカ粒子とフェノール樹脂粒子とを混合することにより複合材料が得られることが記載されている。
特開2008−101139号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、特許文献1に記載の技術は、フェノール樹脂とテトラアルコキシシランを用いたゾル−ゲル法によりなるシリカ粒子とからなる複合材料において、透明性の点で改善の余地を有することが判明した。
本発明者はさらに検討したところ、フェノール樹脂中におけるシリカ粒子の分散性を高めることにより、複合材料における透明性を高められることを見出した。
このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、シリカ粒子として、加水分解性基および非加水分解性基を有する金属アルコキシドの重合体を用いることにより、フェノール樹脂におけるシリカ粒子の分散性を調整できるため、所定量の金属アルコシドの重合体がフェノール樹脂中に分散された固形フェノール樹脂において、透明性が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
詳細なメカニズムは定かでないが、金属アルコキシドの重合体における非加水分解性基によって、重合体とフェノール樹脂との相溶性を向上させることができ、所定量以上の重合体を含むフェノール樹脂成分中においても、当該重合体の樹脂中における分散性を優れたものとすることができると考えられる。
本発明によれば、
加水分解性基および非加水分解性基を有する金属アルコキシドの重合体が、フェノール樹脂中に分散された固形フェノール樹脂であって、
前記重合体中の金属酸化物の含有量が、当該固形フェノール樹脂全体に対して、2wt%以上70wt%以下である、固形フェノール樹脂が提供される。
また本発明によれば、上記固形フェノール樹脂を含む樹脂組成物が提供される。
また本発明によれば、上記樹脂組成物の硬化物を含む成形品が提供される。
本発明によれば、透明性に優れた固形フェノール樹脂、それを用いた樹脂組成物および成形品が提供される。
フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)により測定した、実施例1、2、3および比較例1,3の固形フェノール樹脂の1000〜1200cm−1における吸収スペクトル。 動的粘弾測定装置(DMA)を用いて測定した、実施例3および比較例3の樹脂組成物の175℃下における硬化挙動(貯蔵弾性率変化)。 動的粘弾測定装置(DMA)を用いて測定した、実施例7、8および比較例4の樹脂組成物の175℃下における硬化挙動(貯蔵弾性率変化)。
本実施形態の固形フェノール樹脂の概要を説明する。
本実施形態の固形フェノール樹脂は、加水分解性基および非加水分解性基を有する金属アルコキシドの重合体が、フェノール樹脂中に分散された固形フェノール樹脂である。この固形フェノール樹脂において、上記重合体中の金属酸化物の含有量は、当該固形フェノール樹脂全体に対して、2wt%以上70wt%以下とすることができる。
本発明者が検討した結果、加水分解性基および非加水分解性基を有する金属アルコキシドの重合体を用いることにより、フェノール樹脂におけるシリカ粒子の分散性が向上することが判明した。詳細なメカニズムは定かでないが、芳香族環などの非加水分解性基によって重合体の疎水度合いを調整することにより、重合体とフェノール樹脂との相溶性を向上させることができるため、所定量以上の重合体であってもフェノール樹脂成分中に均一に分散できると考えられる。このため、金属アルコキシドの重合体がフェノール樹脂中に分散された固形フェノール樹脂における透明性を高めることが可能である。
従来、フェノール樹脂中にシリカ粒子が(例えば15wt%以上)高充填された場合、当該フェノール樹脂における軟化点が過度に上昇し、熱溶融性が低下することがあった。
これに対して、本実施形態によれば、上記金属アルコキシドの重合体中の金属酸化物(たとえばシリカ)が高充填された固形フェノール樹脂において、軟化点温度の過度な上昇を抑制することが可能である。詳細なメカニズムは定かでないが、フェノール樹脂中における重合体の分散性が良好となるため、軟化点の上昇が抑制されると考えられる。したがって、本実施形態によれば、熱溶融性に優れた固形フェノール樹脂を実現することができる。
また、本実施形態の固形フェノール樹脂は、取り扱い性に優れており、様々な用途に適用することが可能である。
以下、本実施形態の固形フェノール樹脂について詳述する。
本実施形態の固形フェノール樹脂は、加水分解性基および非加水分解性基を有する金属アルコキシドの重合体がフェノール樹脂中に分散された構造を有することができる。
本実施形態の固形フェノール樹脂の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂を溶媒(エタノール等のアルコール類やケトン類)に溶解させ、かかる樹脂溶液に、金属アルコキシド、触媒(例えば、酸またはアルカリ)、水(上記溶媒との混合溶媒を使用できる)を加えた混合液を100℃等の所定温度にて加熱することにより、固形フェノール樹脂を得ることができる。
上記金属アルコキシドを構成する金属としては、Al、Si、Ti、Zr、アルカリ土類金属および希土類元素から選ばれる1種以上であるものを挙げることができるが、この中でも、製造安定性の観点から、Si(シリコン)またはTi(チタン)が好ましい。
上記金属アルコキシドとしては、以下の一般式(I)で表される化合物を含むことができる。
(RSi(OR・・・(I)
(一般式(I)中、Rは、脂肪族基または芳香族基等の非加水分解性基であり、ORは炭素数1〜6のアルコキシ基等の加水分解性基であり、mは1〜3であり、nは1〜3であり、m+nは4である。)
上記金属アルコキシドは、上記一般式(I)中においてRが芳香族基である化合物を含むことができる。すなわち、上記金属アルコキシドは、非加水分解性基が芳香族環を備える芳香族環含有金属アルコキシドを含むことができる。これにより、芳香族環を有するフェノール樹脂と重合体の分散性を高めることができる。
上記芳香族環含有金属アルコキシド中の芳香族環は、例えば、フェニル基、フェニレン基、ベンジル基、フェノキシ基等、ベンゾイル基などのベンゼン環を含むことができる。これにより、ノボラック型フェノール樹脂と重合体との分散性を高めることができる。この中でも、製造安定性の観点から、フェニル基を用いることができる。
また、上記金属アルコキシドは、上記一般式(I)中におけるnが1〜3である化合物を含むことができる。すなわち、上記金属アルコキシドは、例えば1個以上3個以下であり、好ましくは2個以上3個以下であり、より好ましくは3個の加水分解性基を有する多官能金属アルコキシドを含むことができる。これにより、金属アルコキシドのゾルゲル反応性を高めることができる。
また、上記一般式(I)におけるRで示される炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合体中の金属酸化物の含有量の下限値は、当該固形フェノール樹脂全体に対して、例えば、2wt%以上であり、好ましくは5wt%以上であり、より好ましくは10wt%以上である。これにより、固形フェノール樹脂の成形性や機械特性を向上させることができる。また、上記下限値が15wt%以上の場合でも、固形フェノール樹脂の透明性を高めることができるとともに、熱溶融性を向上させることができる。一方で、上記重合体中の金属酸化物の含有量の上限値は、特に限定されないが、例えば、70wt%以下でもよく、60wt%以下でもよく、50wt%以下でもよい。これにより、固形フェノール樹脂の機械特性と透明性や熱溶融性とのバランスを図ることができる。上記金属酸化物としては、金属アルコキシド中に金属由来の金属酸化物であるが、具体例としては、シリカ、酸化チタンなどが挙げられる。
本実施形態において、樹脂または樹脂組成物の固形分とは、樹脂または樹脂組成物中における不揮発分を指し、水や溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。また、本実施形態において、樹脂または樹脂組成物全体に対する含有量とは、溶媒を含む場合には、樹脂または樹脂組成物のうちの溶媒を除く固形分全体に対する含有量を指す。
上記金属アルコキシドの重合体は、加水分解性基および非加水分解性基を有する金属アルコキシド(以下、「金属アルコキシドA」とも称す。)由来の重合体(以下、「重合体A」とも称す。)のみを含むものでもよく、かかる金属アルコキシドA由来の重合体Aおよび加水分解性基を有するが非加水分解性基を有しない金属アルコキシド(以下、「金属アルコキシドB」とも称す。)由来の重合体(以下、「重合体B」とも称す。)を含むものであってもよい。
上記重合体Aの含有量は、重合体全体に対して、例えば、10wt%以上であり、より好ましくは25wt%以上であり、より好ましくは50wt%以上である。これにより、金属アルコキシドの重合体の分散性を向上させることができる。また、固形フェノール樹脂全体に対する重合体中の金属酸化物の含有量が15wt%以上の高含有量の場合には、重合体全体に対する重合体Aの含有量は、例えば、30wt%以上であり、より好ましくは50wt%以上である。これにより、固形フェノール樹脂の機械特性と透明性や熱溶融性とのバランスを図ることができる。なお、上記重合体Aの含有量は、重合体全体に対して、100wt%以下でもよい。
また、フェノール樹脂中に分散される金属アルコキシドの重合体は、4環状の重合体および大環状の重合体を含むことができる。本実施形態の固形フェノール樹脂に対するフーリエ変換赤外分光分析測定(FT−IR)において、1050〜1080cm−1の吸収スペクトルのピーク(大環状のシロキサンを示す)および1080〜1090cm−1の吸収スペクトルのピーク(4環状のシロキサンを示す)を有することができる。このように適切なシロキサン骨格を有する重合体(シリカ粒子)を用いることにより、フェノール樹脂の樹脂成分中における重合体の分散性を高めることが期待される。
本実施形態では、たとえば金属アルコキシド中に含まれる加水分解性基、非加水分解性基の種類や基数、金属アルコキシドの調製方法等を適切に選択することにより、重合体の粒子形状を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば芳香族環を有する金属アルコキシドの使用、金属アルコキシドの充填量、酸触媒、溶媒種および溶媒量を調整すること等が、上記重合体の粒子形状を調整するための要素として挙げられる。
上記固形フェノール樹脂としては、公知の変性または未変性フェノール樹脂を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このフェノール樹脂としては、フェノール類およびアルデヒド類を反応させることにより得ることができる。ノボラック型フェノール樹脂を製造する観点から、フェノール類およびアルデヒド類を反応させる工程は、酸性条件下で行うことができる。この場合、公知の有機酸または無機酸等の酸性触媒を用いることができる。本実施形態の固形フェノール樹脂は、上記ノボラック型フェノール樹脂を含むことができる。
上記フェノール類の一例としては、特に限定されないが、例えば、フェノール;オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール等のクレゾール;2、3−キシレノール、2、4−キシレノール、2、5−キシレノール、2、6−キシレノール、3、5−キシレノール等のキシレノール;2,3,5−トリメチルフェノール、2−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、イソブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、クミルフェノール、アリルフェノール等のアルキルフェノール;1−ナフトール、2−ナフトール等のナフトール;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体;レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン、ナフタレン等の多価フェノール;などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、フェノール類は、フェノール、クレゾール、キシレノールおよびアルキルフェノールからなる群より選ばれた1種以上を含ことができ、安価な観点から、フェノールを用いることができる。
上記アルデヒド類としては、特に限定されないが、例えば、ホルマリンやパラホルムアルデヒド等のホルムアルデヒド;トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。この中でも、アルデヒド類は、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドを含むことができ、生産性および安価な観点から、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒドを用いることができる。
上記変性フェノール樹脂は、各種の公知の方法によってフェノール樹脂を変性したものが挙げられるが、例えば、エラストマー変性フェノール樹脂、油変性フェノール樹脂、カシュー変性フェノール樹脂、シリコーン変性フェノール樹脂、エポキシ変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂などが挙げられる。この中でも、ゴム特性の観点から、カシュー変性フェノール樹脂を用いることができる。
上記固形フェノール樹脂の特性について説明する。
上記固形フェノール樹脂の軟化点の下限値は、例えば、60℃以上でもよく、70℃以上でもよく、80℃以上でもよい。これにより、固形フェノール樹脂を用いた製造プロセスにおいて、ハンドリング性や製造安定性を向上させることができる。一方で、固形フェノール樹脂の軟化点の上限値は、180℃以下であり、好ましくは150℃以下であり、より好ましくは140℃以下である。これにより、熱溶融性を高めることができるため、成形性を高めることができる。したがって、上記固形フェノール樹脂は、上記軟化点の上限値以下における環境下において、熱溶融性樹脂として利用できる。
本実施形態の樹脂組成物は、上記固形フェノール樹脂を含むことができる。
この樹脂組成物は、成形性の観点から、固形フェノール樹脂および硬化剤を含むことができる。
上記硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、レゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中では、硬化物の耐熱性の観点から、ヘキサメチレンテトラミンを用いることができる。
また、上記樹脂組成物は、各種の充填材を含むことができる。
上記充填材としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、マグネシア、カーボン、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、窒化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、マイカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ウォラストナイト、金属粉等の無機粉末充填材や、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、金属繊維等の強化繊維が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のフェノール樹脂組成物は、上述した成分以外の他の成分を含むことができる。この他の成分としては、例えば、摩擦調整材、着色剤、離型剤、硬化触媒、硬化助剤、カップリング剤、低応力化剤、難燃剤、溶剤等の添加剤が挙げられる。
上記摩擦調整材としては、例えばカシューダスト、ゴムダスト等のフリクションダスト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、黒鉛、マイカ、ジルコン、二硫化モリブデン、セラミック、銅粉、真ちゅう粉、亜鉛粉、アルミニウム粉、発泡バーミキュライト等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
上記樹脂組成物は、ワニス状でもよく、粉粒状、顆粒状、タブレット状またはシート状等の所定の形状を有していてもよい。
本実施形態の成形品は、上記樹脂組成物の硬化物を含むことができる。
上記成形品としては、フェノール樹脂が用いられる公知の用途に使用することができるが、具体的には、例えば、自動車用、汎用機械用、家庭電化製品用及びその周辺機器用等の成形品、摩擦材;砥石;タイヤ;成型材料;エポキシ硬化剤;等、広範な用途に適用できる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
フェノール樹脂として、フェノール樹脂1(住友ベークライト社製、PR−53194、未変性、軟化点:86℃)142.5重量部を142.5重量部の溶媒(エタノール)に溶解させ、金属アルコキシドとして、3.5重量部のフェニルトリメトキシシラン(PhTMOS:金属アルコキシド1)、および19.5重量部のテトラエトキシシラン(TEOS:金属アルコキシド2)を混合し、水20重量部、酸触媒を1.5重量部加えて、100℃の加熱条件にて、当該金属アルコキシドを重縮合してなる重合として、金属アルコキシドの重合体(シリカ)がフェノール樹脂中に分散した固形フェノール樹脂Aを得た。固形フェノール樹脂Aにおけるシリカの含有量は5wt%であった。
(実施例2)
フェノール樹脂として、85重量部のフェノール樹脂1、金属アルコシドとして、28重量部のフェニルトリメトキシシラン(PhTMOS:金属アルコキシド1)を使用した以外は、実施例1と同様にして、金属アルコキシドの重合体(シリカ)がフェノール樹脂中に分散した固形フェノール樹脂Bを得た。固形フェノール樹脂Bにおけるシリカの含有量は15wt%であった。
(実施例3)
フェノール樹脂として、70重量部のフェノール樹脂1、金属アルコシドとして、56重量部のフェニルトリメトキシシラン(PhTMOS:金属アルコキシド1)を使用した以外は、実施例1と同様にして、金属アルコキシドの重合体(シリカ)がフェノール樹脂中に分散した固形フェノール樹脂Cを得た。固形フェノール樹脂Cにおけるシリカの含有量は30wt%であった。
(実施例4)
フェノール樹脂として、85重量部のフェノール樹脂2(住友ベークライト社製、PR−50235、未変性、軟化点:120℃)を使用した以外は、実施例2と同様にして、金属アルコキシドの重合体(シリカ)がフェノール樹脂中に分散した固形フェノール樹脂Dを得た。固形フェノール樹脂Dにおけるシリカの含有量は15wt%であった。
(実施例5)
フェノール樹脂として、70重量部のフェノール樹脂2(住友ベークライト社製、PR−50235、未変性、軟化点:120℃)を使用した以外は、実施例3と同様にして、金属アルコキシドの重合体(シリカ)がフェノール樹脂中に分散した固形フェノール樹脂Eを得た。固形フェノール樹脂Eにおけるシリカの含有量は30wt%であった。
(実施例6)
フェノール樹脂として、70重量部のフェノール樹脂3(住友ベークライト社製、PR−12686E、カシュー変性、軟化点:90℃)を使用した以外は、実施例3と同様にして、金属アルコキシドの重合体(シリカ)がフェノール樹脂中に分散した固形フェノール樹脂Fを得た。固形フェノール樹脂Fにおけるシリカの含有量は30wt%であった。
(実施例7)
フェノール樹脂として、55重量部のフェノール樹脂3、金属アルコシドとして、84重量部のフェニルトリメトキシシラン(PhTMOS:金属アルコキシド1)を使用した以外は、実施例6と同様にして、金属アルコキシドの重合体(シリカ)がフェノール樹脂中に分散した固形フェノール樹脂Gを得た。固形フェノール樹脂Gにおけるシリカの含有量は45wt%であった。
(実施例8)
フェノール樹脂として、85重量部のフェノール樹脂3、金属アルコキシドとして、14重量部のフェニルトリメトキシシラン(PhTMOS:金属アルコキシド1)、および26重量部のテトラエトキシシラン(TEOS:金属アルコキシド2)を使用した以外は、実施例1と同様にして、金属アルコキシドの重合体(シリカ)がフェノール樹脂中に分散した固形フェノール樹脂Hを得た。固形フェノール樹脂Hにおけるシリカの含有量は15wt%であった。
(比較例1)
金属アルコシドとして、26重量部のテトラエトキシシラン(TEOS:金属アルコキシド2)を使用した以外は、実施例1と同様にして、金属アルコキシドの重合体(シリカ)がフェノール樹脂中に分散した固形フェノール樹脂Iを得た。固形フェノール樹脂Iにおけるシリカの含有量は5wt%であった。
(比較例2)
フェノール樹脂として、127.5重量部のフェノール樹脂1、金属アルコシドとして、78重量部のテトラエトキシシラン(TEOS:金属アルコキシド2)を使用した以外は、比較例1と同様にして、金属アルコキシドの重合体(シリカ)がフェノール樹脂中に分散した固形フェノール樹脂Jを得た。固形フェノール樹脂Jにおけるシリカの含有量は15wt%であった。
(比較例3)
固形フェノール樹脂Kとして、フェノール樹脂1を使用した。
(比較例4)
固形フェノール樹脂Lとして、フェノール樹脂2を使用した。
上記固形フェノール樹脂A〜Jの原料成分のうち、フェノール樹脂と金属アルコキシドの配合割合(仕込み量)を表1に示す。表1中の○は、配合量ではなく、使用したことを意味する。表1中、「金属アルコキシド1:金属アルコキシド2」の含有比率は、固形フェノール樹脂中に残存する金属アルコキシドの量の比率を意味する。
Figure 2019085506
得られた固形フェノール樹脂A〜Lについて、以下の評価を実施した。結果を表1に示す。
(軟化点)
得られた固形フェノール樹脂の軟化点は、環球法を使用して測定した。結果を表1に示す。なお、比較例2の固形フェノール樹脂Jの軟化点は200℃以上であり、熱不融性を示した。
(透明性)
得られた固形フェノール樹脂をメタノールに溶解させて、固形分10wt%のメタノール樹脂溶液を作成した。得られたメタノール樹脂溶液について透明性を評価した。結果を表1に示す。
(形状)
得られた実施例1、2、3および比較例1、3の固形フェノール樹脂について、フーリエ変換赤外分光分析測定(FT−IR)を用いて、IRスペクトルを取得した。結果を図1に示す。
(樹脂組成物)
得られた固形フェノール樹脂100重量部に対して、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミン)15重量部を配合し、ラボプラストミルを用いて混合して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を175℃、5分で成形を行い、硬化物(成形品)を得た。
実施例3,7,8、および比較例3,4の各々の固形フェノール樹脂を含む樹脂組成物について、175℃、周波数1Hzの条件にて、動的粘弾測定装置(DMA)を用いて、貯蔵弾性率を測定し、得られた結果からタンジェントδを算出した。測定開始から10分までの貯蔵弾性率の経時変化を図2、図3に示した。また、測定開始から30分後におけるタンジェントδを、下記の表2に示す。
Figure 2019085506
実施例1〜8の固形フェノール樹脂は、比較例1,2の固形フェノール樹脂と比べて、透明性に優れることが分かった。また、シリカが高充填された実施例2〜8の固形フェノール樹脂は、比較例2と比べて、熱溶融性に優れることが分かった。
また、実施例3の固形フェノール樹脂を使用した樹脂組成物は、比較例3に対して、貯蔵弾性率の立ち上がりが早く、硬化性向上の効果があることが分かった。実施例7,8の固形フェノール樹脂を使用した樹脂組成物は、比較例4に対して、貯蔵弾性率の立ち上がりが早く、硬化性向上の効果があることが分かった。

Claims (10)

  1. 加水分解性基および非加水分解性基を有する金属アルコキシドの重合体が、フェノール樹脂中に分散された固形フェノール樹脂であって、
    前記重合体中の金属酸化物の含有量が、当該固形フェノール樹脂全体に対して、2wt%以上70wt%以下である、固形フェノール樹脂。
  2. 請求項1に記載の固形フェノール樹脂であって、
    当該固形フェノール樹脂の軟化点が、60℃以上180℃以下である、固形フェノール樹脂。
  3. 請求項1または2に記載の固形フェノール樹脂であって、
    前記金属アルコキシドは、前記非加水分解性基が芳香族環を備える芳香族環含有金属アルコキシドを含む、固形フェノール樹脂。
  4. 請求項3に記載の固形フェノール樹脂であって、
    前記芳香族環含有金属アルコキシド中の前記芳香族環がベンゼン環を含む、固形フェノール樹脂。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の固形フェノール樹脂であって、
    4環状の前記重合体および大環状の前記重合体を含む、固形フェノール樹脂。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の固形フェノール樹脂であって、
    前記金属アルコキシドが、1個以上3個以下の前記加水分解性基を有する多官能金属アルコキシドを含む、固形フェノール樹脂。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の固形フェノール樹脂であって、
    前記金属アルコキシドが、シリコンまたはチタンを含む、固形フェノール樹脂。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の固形フェノール樹脂であって、
    前記フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂または変性フェノール樹脂を含む、固形フェノール樹脂。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の固形フェノール樹脂を含む樹脂組成物。
  10. 請求項9に記載の樹脂組成物の硬化物を含む成形品。
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