JP2011241269A - 界面強化処理ガラスフィラー及びフェノール樹脂成形材料 - Google Patents

界面強化処理ガラスフィラー及びフェノール樹脂成形材料 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラスフィラーとフェノール樹脂との密着性を高めることで成形品の機械的強度を向上させることができる界面強化処理ガラスフィラーとそれを用いたフェノール樹脂成形材料を提供する。
【解決手段】 ガラスフィラー表面の少なくとも一部が樹脂組成物により被覆処理されてなる界面強化処理ガラスフィラーであって、前記樹脂組成物は、レゾルシノールを含むフェノール類とアルデヒド類とを反応させてなるフェノール樹脂(A)、アミン系シランカップリング剤(B)を含有することを特徴とする界面強化処理ガラスフィラー、及び、この界面強化処理ガラスフィラーと、マトリックス樹脂としてフェノール樹脂(C)を含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、界面強化処理ガラスフィラー及びそれを含有するフェノール樹脂成形材料に関する。
フェノール樹脂成形材料は耐熱性、寸法安定性、耐薬品性、成形性等に優れ、自動車部品や産業機械部品或いは家電製品等の基幹産業分野で長期に渡り使用されてきた実績がある。さらに、金属部品をガラスフィラーで強化した高強度のフェノール樹脂成形品に置換することで、コストダウン、大幅な軽量化が可能になることから、積極的な代替検討が行なわれている。
しかし、今後更に金属代替を進めるためには、従来のフェノール樹脂成形材料より更に高強度を有することが必要となってくる。高強度を達成するための手段の1つとしてガラスフィラーとマトリックス樹脂との界面強化が挙げられ、ガラスフィラーをカップリング剤で処理しマトリックス樹脂との密着性を向上させる方法が数多く提案されており、通常の市販されているガラスフィラーにはこれらの処理が施されている。しかしながら、これらの方法による強度向上効果にも限界があり、更に金属代替検討を進めるためには、ガラスフィラーとフェノール樹脂との密着性を更に高める必要がある。ガラスフィラーとフェノール樹脂との密着性を向上させる試みは以前から数多くなされており、例えば、ガラス繊維にフェノール樹脂とカップリング剤とを付着させた繊維を配合してフェノール樹脂を強化する方法が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。しかしながら、上記方法により得られる高密着性においても更なる向上が期待されていた。
また、レゾルシノールをフェノール成分の一部として用い合成したガラス繊維バインダー用の水溶性フェノール樹脂が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら上記方法はレゾルシノールがフェノール樹脂骨格に導入された樹脂とガラス繊維との組合せであり、アミン系シランカップリング剤と組合せた効果は検証されていなかった。さらにガラス繊維表面におけるフェノール樹脂の硬化性の改善を目的としており、ガラスフィラー表面に通常施されるカップリング剤処理との組合せにより界面強化の効果を発揮する本発明とは異なる。
特開平10−007883号 特開2001−329073号 特開2001−329465号 特開2000−313728号
本発明は、フェノール樹脂成形材料による金属代替検討を進めるに当たり必要不可欠な要素となる高強度を付与するためになされたものであり、ガラスフィラーとフェノール樹脂との密着性を高めることで成形品の機械的強度を向上させることができる界面強化処理ガラスフィラーとそれを用いたフェノール樹脂成形材料を提供することを目的としている。
このような目的は、下記[1]〜[8]に記載の本発明により達成される。
[1]ガラスフィラー表面の少なくとも一部が樹脂組成物により被覆処理されてなる界面強化処理ガラスフィラーであって、上記樹脂組成物は、レゾルシノールを含むフェノール類とアルデヒド類とを反応させてなるフェノール樹脂(A)、アミン系シランカップリング剤(B)を含有することを特徴とする界面強化処理ガラスフィラー。
[2]上記フェノール類中のレゾルシノールの量が、上記フェノール類全体に対して1〜100モル%である上記[1]に記載の界面強化処理フィラー。
[3]上記界面強化処理ガラスフィラーにおいて、上記ガラスフィラーを被覆している上記樹脂組成物中のフェノール樹脂(A)の量が、上記ガラスフィラー100重量部に対して0.002〜1重量部である上記[1]又は[2]に記載の界面強化処理ガラスフィラー。
[4]上記界面強化処理ガラスフィラーにおいて、上記ガラスフィラーを被覆している上記樹脂組成物中のアミン系シランカップリング剤(B)の量が、上記ガラスフィラー100重量部に対して0.001〜0.5重量部である、上記[1]ないし[3]のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラー。
[5]上記ガラスフィラーが、平均粒子径1〜500μmのガラスビーズ又はガラスバルーンである上記[1]ないし[4]のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラー。
[6]上記ガラスフィラーが、平均繊維径1〜50μmのガラス繊維である上記[1]ないし[4]のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラー。
[7]上記界面強化処理ガラスフィラーが、ガラスフィラー表面の少なくとも一部を上記樹脂組成物で被覆処理した後、80〜150℃の温度で乾燥処理されてなるものである上記[1]ないし[6]のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラー。
[8]上記[1]ないし[7]のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラーと、マトリックス樹脂としてフェノール樹脂(C)を含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
本発明の界面強化処理ガラスフィラーは、ガラスフィラーとマトリックス樹脂であるフェノール樹脂との密着力を向上させることができるという効果を有するものである。そして、本発明の界面強化処理ガラスフィラーを用いた本発明のフェノール樹脂成形材料の成形品は、機械的強度に優れるという効果を有するものである。
以下に、本発明の界面強化処理ガラスフィラーと、これを含有するフェノール樹脂成形材料(以下、単に「成形材料」ということがある)について詳細に説明する。
本発明の界面強化処理ガラスフィラーは、ガラスフィラー表面の少なくとも一部が樹脂組成物により被覆処理されてなる界面強化処理ガラスフィラーであって、上記樹脂組成物は、レゾルシノールを含むフェノール類とアルデヒド類とを反応させてなるフェノール樹脂(A)、アミン系シランカップリング剤(B)を含有することを特徴とする。
以下、各成分について説明する。
<フェノール樹脂(A)> 本発明に用いられるフェノール樹脂(A)について説明する。
本発明に用いられるフェノール樹脂(A)は、レゾルシノールを含むフェノール類とアルデヒド類とを反応させてなるものである。このフェノール樹脂(A)としては、ノボラック型、レゾール型、いずれの形態のものも用いることができる。
本発明に用いられるフェノール樹脂は、上記フェノール類中のレゾルシノールの量が、上記フェノール類全体に対して1〜100モル%であることが好ましい。上記範囲でフェノール類全体に対するレゾルシノールの量が多い方が界面密着強度の向上効果を大きくす
ることができる。一方で、経済的に界面強化処理ガラスフィラーを製造するためには、必要とされる界面密着強度が発現できる量のレゾルシノールを、他のフェノール類とともに併用することができる。これらのバランスを勘案した場合は、レゾルシノールの量は、例えば、10〜50モル%とすることができる。
<フェノール樹脂(A)の製造方法> 次に、本発明に用いられるフェノール樹脂(A)を製造する方法について説明する。
本発明に用いられるフェノール樹脂(A)は、レゾルシノールを含むフェノール類とアルデヒド類とを、アルカリ性触媒を用いて反応、または、無触媒下で反応もしくは酸性触媒を用いて反応させることにより製造することができる。
上記フェノール類とアルデヒド類とを反応させる際に用いられるアルカリ性触媒としては特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、アンモニア、モノエタノールアミン等の第1級アミン、ジエタノールアミン等の第2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン等の第3級アミン等のアミン系化合物、あるいは、炭酸ナトリウム、ヘキサメチレンテトラミン等のアルカリ性物質等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
また、上記フェノール類とアルデヒド類とを反応させる際に用いられる酸性触媒としては特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
上記触媒を用いる場合、その添加量は、特に限定されないが、フェノール類100重量部に対して、0.05〜8重量部の範囲が好ましく、特に1〜5重量部が好ましい。添加量が上記下限値より少ないと、反応が十分に進行しないことがあり、上記上限値を超える場合には、ゲル化物を生成するおそれがある。
フェノール樹脂(A)の反応時に用いられるレゾルシノール以外のフェノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、および1−ナフトール、2−ナフトール等の1価の多環フェノール類、アルキルレゾルシノール、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。通常、フェノール、クレゾールが多く用いられる。
また、アルデヒド類としては特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n
−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。通常、ホルムアルデヒドが多く用いられる。
本発明に用いられるフェノール樹脂(A)をアルカリ性触媒下で製造する際の、上記フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応モル比(F/P)としては特に限定されないが、1.5〜4.5が好ましく、特に2.0〜3.5が好ましい。これにより、本発明に好適なレゾール型のフェノール樹脂(A)を得ることができる。
上記モル比が上記下限値未満であると未反応のフェノール類が多く残存する場合があり、上記上限値を超えると未反応のアルデヒド類が多く残存してしまう場合がある。
本発明に用いられるフェノール樹脂(A)を無触媒下、もしくは酸性触媒下で製造する際の、上記フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応モル比(F/P)としては特に限定されないが、0.1〜1.0が好ましく、特に0.2〜0.8が好ましい。これにより、本発明に好適なノボラック型のフェノール樹脂(A)を得ることができる。
上記モル比が上記下限値未満であると未反応のフェノール類が多く残存する場合があり、上記上限値を超えると未反応のアルデヒド類が多く残存してしまう場合がある。
本発明で用いられるフェノール樹脂(A)を製造する方法としては、以上に説明した材料を用い、下記の方法で実施することができる。
例えば、レゾルシノールを含むフェノール類とアルデヒド類とを一括して仕込み反応を行ってもよいし、レゾルシノール以外のフェノール類とアルデヒド類とを反応させた後、レゾルシノールを添加して反応を行うこともできる。
本発明に用いられるフェノール樹脂(A)は、上記レゾルシノールを含有するフェノール類とアルデヒド類を反応させたものを用いることができるが、このほかにも、各種アルキルフェノール、芳香族炭化水素、メラミン、アニリン、エポキシ化合物のほか、カシューナットオイル、亜麻仁油、エノ油、桐油等の植物油脂、ロジンを含む各種テルペン類、各種変性シリコーンオイル等により変性したものを用いることもできる。
本発明に用いられるフェノール樹脂(A)は、合成したものが液状である場合は、そのままの形態で用いるか、水や有機溶剤で希釈して用いることができる。また、合成したものが半固形状〜固形状である場合は、水や有機溶剤に溶解して用いることができる。
<フェノール樹脂(A)の含有量> 本発明に用いられるフェノール樹脂(A)の含有量としては、界面強化処理ガラスフィラーにおいて、上記ガラスフィラーを被覆している樹脂組成物中のフェノール樹脂(A)の量が、ガラスフィラー100重量部に対して0.002〜1重量部であることが好ましい。含有量が上記下限値未満では被覆処理による強度向上効果が小さいことがあり、上記上限値を越えると強度に対する効果が得られないことがあったり、特性にバラツキが生じたり、作業性が悪化したりする場合もあり、さらに経済的に不利となる。
<アミン系シランカップリング剤> 本発明に用いられるアミン系シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3(又は2)−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンの加水分解縮合物、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、両末端にアルコキシシリル基を持ったアミノシラン等が挙げられる。これらアミン系シランカップリング剤のいずれかを1種類ま
たは2種類以上組み合わせて用いて良い。
<アミン系シランカップリング剤の含有量> 本発明に用いられるアミン系シランカップリング剤の含有量としては、上記界面強化処理ガラスフィラーにおいて、ガラスフィラーを被覆している樹脂組成物中のアミン系シランカップリング剤の量が、ガラスフィラー100重量部に対して0.001〜0.5重量部であることが好ましい。含有量が上記下限値未満では被覆処理による強度向上効果が小さいことがあり、上記上限値を越えると強度に対する効果が得られないことがあったり、特性にバラツキが生じたり、作業性が悪化したりする場合もあり、さらに経済的に不利となる。
<樹脂組成物の量> 本発明の界面強化処理ガラスフィラーにおいて、フェノール樹脂(A)とアミン系シランカップリング剤(B)とを含有する樹脂組成物によるガラスフィラーの処理量としては特に限定されないが、界面強化処理ガラスフィラーは、ガラスフィラー100重量部に対して、樹脂組成物0.005〜10重量部により被覆処理されてなるものが好ましい。更に好ましくは、0.05〜1重量部の被覆処理がなされたものである。
処理量が上記下限値未満では、被覆処理による強度向上効果が小さいことがあり、上記上限値を越えると、樹脂組成物自体の機械的特性が界面強化処理ガラスフィラーを含有した成形材料の機械的特性に影響するようになり、強度に対する効果が得られない場合がある。
上記処理量は、用いるガラスフィラーの比表面積によって適切な処理量が変化し、ガラスフィラー表面に、樹脂組成物にて5〜150nm程度の厚みの処理層を形成することが好ましい。
<ガラスフィラーの材質> 本発明に用いられるガラスフィラーの材質としては、特に限定されないが、Aガラス、Eガラス、Sガラス、Dガラス、高弾性率ガラス、石英ガラス等を用いることができる。中でも強度向上及びコストの面からEガラスを用いることが好ましい。
<ガラスフィラーの形態> 本発明に用いられるガラスフィラーの形態としては、特に限定されないが、例えば低アスペクト比のガラスフィラーとして、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ、ガラス粉末などが挙げられ、高アスペクト比のガラスフィラーとして、ガラス繊維などが挙げられる。
これらの中でも、低アスペクト比のガラスフィラーとしては、平均粒子径1〜500μmのガラスビーズ又はガラスバルーンであることが好ましい。これにより、得られる成形材料の均質性が向上し、安定な品質を有する成形材料を得る事ができる。
また、高アスペクト比のガラスフィラーとしては、平均繊維径1〜50μmのガラス繊維であることが好ましい。これにより、得られる成形材料の均質性が向上し、安定な品質を有する成形材料を得る事ができる。
本発明において用いられる樹脂組成物には、必要に応じて、尿素等のホルマリンキャッチ剤や、各種界面活性剤等の化合物、ウレタン樹脂等のエマルジョンを添加することもできる。また、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン等の有機溶剤を添加することもできる。
<被覆処理法> 上記ガラスフィラーをフェノール樹脂(A)、アミン系シランカップリング剤(B)を含有する樹脂組成物で被覆処理する方法は特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂(A)、アミン系シランカップリング剤(B)を溶解した樹脂組成物溶液を調製しておき、ガラスフィラーにその樹脂組成物溶液を噴霧する方法、ガラスフィラ
ーを樹脂組成物溶液中に浸漬する方法等をフィラー形態に合わせて適宜用いることができる。また、予めアミン系シランカップリング剤により処理されたガラスフィラーを用いる場合は、フェノール樹脂(A)を溶解した樹脂溶液を用いて同様の処理方法を用いることができる。
<乾燥条件> 上記方法にて被覆処理されたガラスフィラーの乾燥方法としては、特に限定されないが、温度が80〜150℃での各種乾燥処理が好ましい。温度が上記下限値未満であると溶媒の除去効率やアミン系シランカップリング剤の反応率が低下し、上記上限値を超えるとフェノール樹脂(A)の硬化が進行し過ぎ、成形材料のマトリックス樹脂との反応性が低下するために密着性の低下に繋がることがある。
<効果の推察> 以上に説明したような、ガラスフィラー表面の少なくとも一部が、レゾルシノールを含むフェノール類とアルデヒド類とを反応させてなるフェノール樹脂(A)、アミン系シランカップリング剤(B)を含有する樹脂組成物で被覆処理されてなる本発明の界面強化処理ガラスフィラーを用いることにより、成形材料に配合した場合に成形品の機械的強度を向上させることができる。この理由は明らかではないが、以下のように推測される。
通常、ガラスフィラー表面には密着性を向上させるためにカップリング剤処理がなされているが、フェノール樹脂成形材料の場合は、ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂との割合や硬化剤として使用されるヘキサメチレンテトラミンの量によってマトリックス樹脂の極性が様々に変化するため、カップリング剤処理だけでは全般的なフェノール樹脂に対して密着性が良好なガラスフィラーを得ることはできなかった。
また、従来技術の一つであるノボラック型フェノール樹脂、アミン系シランカップリング剤、ヘキサメチレンテトラミンを含有する組成物による被覆処理では、ノボラック型フェノール樹脂と成形材料のマトリックス樹脂との反応性が低いため、被覆処理に用いた樹脂とマトリックス樹脂との間において密着性が良好なガラスフィラーを得ることはできなかった。
本発明の界面強化処理ガラスフィラーは、被覆処理時に樹脂組成物中に含まれるアミン系シランカップリング剤がガラスフィラー表面のシラノール基と選択的に反応することで、表面が改質されたガラスフィラーとなり、樹脂組成物中のフェノール樹脂(A)が表面改質されたガラスフィラーの表面とマトリックス樹脂との間に高い密着性を付与するものと推察される。
具体的には、ガラスフィラーと樹脂組成物との界面では、レゾルシノールを含むフェノール類とアルデヒド類とを反応させてなるフェノール樹脂(A)の強い酸性を有するフェノール性ヒドロキシル基と、アミン系シランカップリング剤の強い塩基性を有するアミノ基との酸塩基相互作用により、界面の密着強度が高まると推測される。また、樹脂組成物とマトリックス樹脂との界面では、上記フェノール樹脂(A)がマトリックス樹脂との反応性の高い状態で付着していることにより、それがマトリックス樹脂と化学結合をなす事で界面の密着強度が高まると推測される。このような作用効果により、本発明の界面強化処理ガラスフィラーを用いた成形材料の成形品において、機械的強度を大きく向上することができると考えられる。
次に、本発明の成形材料について説明する。
本発明の成形材料は、上記界面強化処理ガラスフィラーと、マトリックス樹脂としてフェノール樹脂(C)とを含有することを特徴とする。
本発明の成形材料において、上記界面強化処理ガラスフィラーの含有量は、特に限定されないが、成形材料全体に対して30〜70重量%であることが好ましい。更に好ましくは45〜60重量%である。界面強化処理ガラスフィラーの含有量が上記下限値未満になると、成形品の機械的強度が低くなることがあり、上記上限値を超えると、必然的にフェノール樹脂(C)の含有量が減少するために成形材料化段階での作業性や成形性を低下さ
せることがある。
<マトリックス樹脂> 本発明の成形材料でマトリックス樹脂として用いるフェノール樹脂(C)は、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂の単独或いは二種類以上配合して用いることができる。好ましくはヘキサメチレンテトラミンが硬化剤となるノボラック型フェノール樹脂である。
ノボラック型フェノール樹脂は、特に限定されるものではないが、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等が挙げられるが、フェノールノボラック樹脂が成形性、コスト面で好ましい。レゾール型フェノール樹脂も特に限定されるものではないが、例えば、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂、ジメチレンエーテル型レゾール樹脂等が挙げられるが、材料化段階での作業性、得られた成形品の特性が良好であるジメチレンエーテル型レゾール樹脂を使用するのが好ましい。
<硬化剤> 本発明の成形材料においてノボラック型フェノール樹脂を用いる場合は、通常、ヘキサメチレンテトラミンを使用する。ヘキサメチレンテトラミンの含有量は、ノボラック型フェノール樹脂100重量部に対し、10〜20重量部が好ましい。更に好ましくは14〜18重量部である。上記上限値を超えると、未反応へミサメチレンテトラミンが残存し強度に影響を与えることがあり、上記下限値未満では硬化が不十分となることがある。
<マトリックス樹脂の配合量> 上記フェノール樹脂(C)の含有量は、ヘキサメチレンテトラミンを使用する場合はそれも含めて、成形材料全体に対して25〜50重量%であることが好ましい。上記上限値を超えると十分な機械的強度を有する成形品が得られないことがある。また、上記下限値未満では成形材料化段階での作業性が低下し、また流動性に乏しく成形性を低下させる可能性があるため、上記範囲が望ましい。
<その他の配合> 本発明の成形材料には、上記界面強化処理ガラスフィラー以外に、各種充填材や多価アルコールなどを配合することができる。
各種充填材としては特に限定されないが、例えば炭酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ウォラストナイト等の無機粉末充填材等を単独或いは二種類以上配合して用いることができる。
多価アルコールとしては特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールから選ばれるものを用いることが好ましい。
次に、本発明の成形材料の製造方法について説明する。
本発明の成形材料は、通常の方法により製造することができる。すなわち、上記配合物を所定の配合割合で混合し、更に着色剤、離型剤、硬化触媒等を加え、加熱ロール、コニーダ、二軸押出機等を使用して溶融混練した後、冷却、粉砕することにより得られる。
本発明の成形材料は、圧縮成形、移送成形、射出成形などの通常の成形方法により成形することができる。このようにして得られた成形品は、優れた機械的強度を有していることから、自動車用、汎用機械用、家庭電化製品用及びその周辺機器用等の金属部品の代替に適用できる。
以下、本発明を実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に記載に何ら限定されるものではない。実施例及び比較例に用いた各原料は以下のとおりである
(1)フェノール類:レゾルシノール
(2)フェノール類:ピロカテコール
(3)フェノール類:ピロガロール
(4)アルデヒド類:ホルマリン
(5)触媒:水酸化ナトリウム
(6)アミン系シランカップリング剤:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(CA1と略す)
(7)アミン系シランカップリング剤:N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(CA2と略す)
(8)アミン系シランカップリング剤:N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(CA3と略す)
(9)ガラスビーズ:ユニオン社製UB−13L、平均粒子径45μm
(10)ガラス繊維:日東紡績社製カットファイバー、平均繊維径11μm
(11)フェノール樹脂成形材料のマトリックス樹脂:ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト社製PR−51305)
(12)フェノール樹脂成形材料のマトリックス樹脂:ジメチレンエーテル型レゾール樹脂(住友ベークライト社製PR−53529)
(13)硬化剤:ヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミンと略す)
(14)硬化助剤:酸化マグネシウム
(15)離型剤:ステアリン酸カルシム
(16)着色剤:カーボンブラック
1.フェノール樹脂類の調製
(1)フェノール樹脂(A)−1の合成
攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応器に、フェノール70重量部、37重量%ホルマリン220重量部、50重量%水酸化ナトリウム水溶液2重量部を仕込み、80℃で30分間反応を行った。その後、60℃まで冷却を行い、50重量%レゾルシノール水溶液54重量部を添加し、30分間反応後、30℃以下まで冷却し、フェノール類全体に対するレゾルシノールの比率が25モル%であるフェノール樹脂(A)−1を得た。
(2)フェノール樹脂(A)−2の合成
攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応器に、レゾルシノール100重量部、水50重量部を仕込み加熱し溶解させ、100℃で撹拌しながら37重量%ホルマリン20重量部を30分間かけて逐添して、1時間反応後、150℃で常圧脱水することでフェノール類全体に対するレゾルシノールの比率が100モル%であるフェノール樹脂(A)−2を得た。
(3)ピロカテコール変性フェノール樹脂の合成
上記(1)において、レゾルシノールの代わりにピロカテコールを用い、その反応温度を100℃とする以外は上記(1)と同様にして、ピロカテコール変性フェノール樹脂(以下、ピロカテコール変性樹脂と呼称する)を得た。
(4)ピロガロール変性フェノール樹脂の合成
上記(1)において、レゾルシノールの代わりにピロガロールを用い、反応温度を100℃とする以外は上記(1)と同様にして、ピロガロール変性フェノール樹脂(以下、ピロガロール変性樹脂と呼称する)を得た。
1.界面強化処理ガラスフィラーの調製
実施例の界面強化処理ガラスフィラー及び比較例の各種処理ガラスフィラーの配合について、表1、表2に示す。
Figure 2011241269
Figure 2011241269
[実施例1]
水/メタノール=1/9の重量比での混合溶媒100重量部に対して、フェノール樹脂
(A)−1を固形分として2重量部、アミン系シランカップリング剤としてCA1を1重量部添加し、攪拌装置により溶媒に溶解した樹脂組成物溶液を作製した。
この樹脂組成物溶液を、ガラスビーズ100重量部に対してアミン系シランカップリング剤が0.06重量部となるように配合したものを常温にて混練して、100℃で30分間加熱乾燥処理を行い、界面強化処理ガラスビーズ1を得た。
[実施例2]
実施例1において、フェノール樹脂(A)−1の代わりにフェノール樹脂(A)−2を配合する以外は実施例1と同様にして界面強化処理ガラスビーズ2を得た。
[実施例3]
実施例1において、アミン系シランカップリング剤としてCA2を配合する以外は実施例1と同様にして界面強化処理ガラスビーズ3を得た。
[実施例4]
実施例1において、アミン系シランカップリング剤としてCA3を配合する以外は実施例1と同様にして界面強化処理ガラスビーズ4を得た。
[比較例1]
実施例1において、アミン系シランカップリング剤を配合しない以外は実施例1と同様にしてフェノール樹脂(A)処理ガラスビーズを得た。
[比較例2]
実施例1において、フェノール樹脂(A)−1を配合しない以外は実施例1と同様にしてシランカップリング剤処理ガラスビーズを得た。
[比較例3]
実施例1において、フェノール樹脂(A)−1の代わりにマトリックス樹脂として用いるノボラック型フェノール樹脂を用い、ヘキサミンを0.35重量部配合する以外は実施例1と同様にしてノボラック樹脂処理ガラスビーズを得た。
[比較例4]
実施例1において、フェノール樹脂(A)−1の代わりにピロカテコール変性樹脂を配合する以外は実施例1と同様にしてピロカテコール変性樹脂処理ガラスビーズを得た。
[比較例5]
実施例1において、フェノール樹脂(A)−1の代わりにピロガロール変性樹脂を配合する以外は実施例1と同様にしてピロガロール変性樹脂処理ガラスビーズを得た。
[実施例5]
水/メタノール=1/9の重量比での混合溶媒100重量部に対して、フェノール樹脂(A)−1を固形分として6重量部、アミン系シランカップリング剤としてCA1を3重量部添加し、攪拌装置により溶媒に溶解した樹脂組成物溶液を作製した。
この樹脂組成物溶液を、ガラス繊維100重量部に対してアミン系シランカップリング剤0.18重量部となるように添加して含浸処理し、100℃で30分間加熱乾燥処理を行い、界面強化処理ガラス繊維1を得た。
[実施例6]
実施例5において、フェノール樹脂(A)−1の代わりにフェノール樹脂(A)−2を配合する以外は実施例5と同様にして界面強化処理ガラス繊維2を得た。
[実施例7]
実施例5において、アミン系シランカップリング剤としてCA2を配合する以外は実施例5と同様にして界面強化処理ガラス繊維3を得た。
[実施例8]
実施例5において、アミン系シランカップリング剤としてCA3を配合する以外は実施例5と同様にして界面強化処理ガラス繊維4を得た。
[比較例6]
実施例5において、アミン系シランカップリング剤を配合しない以外は実施例5と同様にしてフェノール樹脂(A)処理ガラス繊維を得た。
[比較例7]
実施例5において、フェノール樹脂(A)−1を配合しない以外は実施例5と同様にしてシランカップリング剤処理ガラス繊維を得た。
[比較例8]
実施例5において、フェノール樹脂(A)−1の代わりにマトリックス樹脂として用いるノボラック型フェノール樹脂を用い、ヘキサミンを1.05重量部配合する以外は実施例5と同様にしてノボラック樹脂処理ガラス繊維を得た。
[比較例9]
実施例5において、フェノール樹脂(A)−1の代わりにピロカテコール変性樹脂を配合する以外は実施例5と同様にしてピロカテコール変性樹脂処理ガラス繊維を得た。
[比較例10]
実施例5において、フェノール樹脂(A)−1の代わりにピロガロール変性樹脂を配合する以外は実施例5と同様にしてピロガロール変性樹脂処理ガラス繊維を得た。
1.成形材料の製造
得られたガラスフィラーを含有する成形材料の実施例及び比較例の配合について表3、表4に示す。上記ガラスフィラーがガラスビーズであるものについては表3に、上記ガラスフィラーがガラス繊維であるものについては表4に示す。
Figure 2011241269
Figure 2011241269
[実施例9]
成形材料全体に対して、マトリックス樹脂としてノボラック型フェノール樹脂とヘキサミンの混合物を47重量%(ノボラック型フェノール樹脂40重量%、ヘキサミン7重量%)、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラスビーズ1を50重量%、硬化助剤、離型剤、着色剤、各々1重量%を配合し、予備混合した。この混合物を回転速度の異なった105℃の加熱ロールで溶融混練して、シート状に冷却したものを粉砕して顆
粒状の成形材料を得た。
[実施例10]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラスビーズ2を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[実施例11]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラスビーズ3を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[実施例12]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラスビーズ4を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[実施例13]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラス繊維1を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[実施例14]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラス繊維2を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[実施例15]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラス繊維3を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[実施例16]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラス繊維4を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[比較例11]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーに代わりに、ガラスフィラーとしてフェノール樹脂(A)処理ガラスビーズを配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[比較例12]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーに代わりに、ガラスフィラーとしてシランカップリング剤処理ガラスビーズを配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[比較例13]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーに代わりに、ガラスフィラーとしてノボラック樹脂処理ガラスビーズを配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[比較例14]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーに代わりに、ガラスフィラーとしてピロカテコール変性樹脂処理ガラスビーズを配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[比較例15]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーに代わりに、ガラスフィラーとしてピロガロール変性樹脂処理ガラスビーズを配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[比較例16]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーに代わりに、ガラスフィラーとしてフェノール樹脂(A)処理ガラス繊維を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[比較例17]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーに代わりに、ガラスフィラーとしてシランカップリング剤処理ガラス繊維を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[比較例18]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーに代わりに、ガラスフィラーとしてノボラック樹脂処理ガラス繊維を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[比較例19]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーに代わりに、ガラスフィラーとしてピロカテコール変性樹脂処理ガラス繊維を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[比較例20]
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーに代わりに、ガラスフィラーとしてピロガロール変性樹脂処理ガラス繊維を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[実施例17]
実施例9において、マトリックス樹脂としてジメチレンエーテル型レゾール樹脂を47重量%配合し、ヘキサミンを配合しない以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[比較例21]
実施例9において、マトリックス樹脂としてジメチレンエーテル型レゾール樹脂を47重量%配合し、ヘキサミンを配合せず、界面強化処理ガラスフィラーに代わりに、ガラスフィラーとしてシランカップリング剤処理ガラスビーズを配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[実施例18]
実施例9において、マトリックス樹脂としてジメチレンエーテル型レゾール樹脂を47重量%配合し、ヘキサミンを配合せず、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラス繊維1を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
[比較例22]
実施例9において、マトリックス樹脂としてジメチレンエーテル型レゾール樹脂を47重量%配合し、ヘキサミンを配合せず、界面強化処理ガラスフィラーに代わりに、ガラスフィラーとしてシランカップリング剤処理ガラス繊維を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
3.特性評価
特性評価に使用した試験片の成形方法および評価方法は以下のとおりである。
試験片は、上記実施例及び比較例で得られた成形材料を用い、移送成形により作製した。成形条件は、金型温度175℃、硬化時間3分間とした。
測定方法は下記のとおりである。
曲げ強さ:JIS K 6911に準拠して測定した。
表3、表4の結果より、実施例はいずれも、本発明の界面強化処理ガラスフィラーを配合した本発明の成形材料であり、この成形品は、曲げ強さにおいて、従来実施されていたシランカップリング剤で処理されたガラスフィラー、シランカップリング剤とノボラック型フェノール樹脂とヘキサミンとで処理されたガラスフィラーを用いた比較例より高い機械的強度を示した。この傾向は、マトリックスフェノール樹脂がノボラック型だけでなくレゾール型であっても同様であった。
また、フェノール樹脂(A)の代わりにピロカテコール変性樹脂、ピロガロール変性樹脂を用いた比較例、あるいは、フェノール樹脂(A)のみで処理されたガラスフィラーを用いた比較例と比べても、格段に高い機械的強度を示した。
上記結果はマトリックス樹脂が同じであれば、ガラスフィラー表面への被覆処理以外は同じであるため、機械的強度の向上はガラスフィラーとマトリックス樹脂との密着性の向上による界面強化に起因するものと考えられる。
以上の結果から、本発明の界面強化処理ガラスフィラーを用いることで、ガラスフィラーとフェノール樹脂との密着性が高まり、フェノール樹脂成形材料の成形品の機械的強度が向上することが分かった。
本発明の界面強化処理ガラスフィラーは、フェノール樹脂成形材料の成形品の機械的強度を向上させることができる。そして、本発明のフェノール樹脂成形材料は、機械的強度に優れた成形品を得ることができるものであり、自動車用、汎用機械用、家庭電化製品用及びその周辺機器用等の金属部品の代替として好適に適用できる。

Claims (8)

  1. ガラスフィラー表面の少なくとも一部が樹脂組成物により被覆処理されてなる界面強化処理ガラスフィラーであって、前記樹脂組成物は、レゾルシノールを含むフェノール類とアルデヒド類とを反応させてなるフェノール樹脂(A)、アミン系シランカップリング剤(B)、を含有することを特徴とする界面強化処理ガラスフィラー。
  2. 前記フェノール類中のレゾルシノールの量が、前記フェノール類全体に対して1〜100モル%である請求項1に記載の界面強化処理フィラー。
  3. 前記界面強化処理ガラスフィラーにおいて、前記ガラスフィラーを被覆している前記樹脂組成物中のフェノール樹脂(A)の量が、前記ガラスフィラー100重量部に対して0.002〜1重量部である、請求項1又は2に記載の界面強化処理ガラスフィラー。
  4. 前記界面強化処理ガラスフィラーにおいて、前記ガラスフィラーを被覆している前記樹脂組成物中のアミン系シランカップリング剤(B)の量が、前記ガラスフィラー100重量部に対して0.001〜0.5重量部である、請求項1ないし3のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラー。
  5. 前記ガラスフィラーが、平均粒子径1〜500μmのガラスビーズ又はガラスバルーンである請求項1ないし4のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラー。
  6. 前記ガラスフィラーが、平均繊維径1〜50μmのガラス繊維である請求項1ないし4のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラー。
  7. 前記界面強化処理ガラスフィラーが、ガラスフィラー表面の少なくとも一部を前記樹脂組成物で被覆処理した後、80〜150℃の温度で乾燥処理されてなるものである請求項1ないし6のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラー。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラーと、マトリックス樹脂としてフェノール樹脂(C)を含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
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