JP5561067B2 - 界面強化処理ガラスフィラー及びフェノール樹脂成形材料 - Google Patents
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Description
[1]マトリックス樹脂としてフェノール樹脂を含有するフェノール樹脂成形材料に用いられ、ガラスフィラー表面の少なくとも一部が被覆処理用組成物により被覆処理されてなる界面強化処理ガラスフィラーであって、前記被覆処理用組成物は、アミノフェノール(A)、アミン系シランカップリング剤(B)のみを主成分として含有し、前記アミノフェノール(A)は、m−アミノフェノール又はp−アミノフェノールであることを特徴とする界面強化処理ガラスフィラー。
[2]上記アミノフェノール(A)が、m−アミノフェノールである、上記[1]に記載の界面強化処理ガラスフィラー。
[3]上記アミノフェノール(A)の量が、界面強化処理ガラスフィラー100重量部に対して0.001〜1.0重量部である、上記[1]又は[2]に記載の界面強化処理ガラスフィラー。
[4]上記アミン系シランカップリング剤(B)の量が、界面強化処理ガラスフィラー100重量部に対して0.001〜0.5重量部である、上記[1]ないし[3]のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラー。
[5]上記ガラスフィラーが、平均粒子径1〜500μmのガラスビーズ又はガラスバルーンである上記[1]ないし[4]のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラー。
[6]上記ガラスフィラーが、平均繊維径1〜50μmのガラス繊維である上記[1]ないし[4]のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラー。
[7]上記界面強化処理ガラスフィラーが、ガラスフィラー表面の少なくとも一部を上記被覆処理用組成物で被覆処理した後、80〜150℃の温度で乾燥処理されてなるものである上記[1]ないし[6]のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラー。
[8]上記[1]ないし[7]のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラーと、マトリックス樹脂としてフェノール樹脂を含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
本発明の界面強化処理ガラスフィラーは、ガラスフィラー表面の少なくとも一部が被覆処理用組成物により被覆処理されてなる界面強化処理ガラスフィラーであって、上記被覆処理用組成物は、アミノフェノール(A)、アミン系シランカップリング剤(B)を含有し、前記アミノフェノール(A)は、m−アミノフェノール又はp−アミノフェノールであることを特徴とする。
<アミノフェノール> 本発明に用いられるアミノフェノールは、フェノールにアミノ基を有するものである。アミノフェノールには、フェノールのオルソ位にアミノ基を有するo−アミノフェノール、メタ位にアミノ基を有するm−アミノフェノール、パラ位にアミノ基を有するp−アミノフェノールがあるが、それらの中でも特にm−アミノフェノール又はp−アミノフェノールにおいて特に強い密着性向上効果を得ることができる。
これらの中でも、低アスペクト比のガラスフィラーとしては、平均粒子径1〜500μmのガラスビーズ又はガラスバルーンであることが好ましい。これにより、得られる成形材料の均質性が向上し、安定な品質を有する成形材料を得る事ができる。
また、高アスペクト比のガラスフィラーとしては、平均繊維径1〜50μmのガラス繊維であることが好ましい。これにより、得られる成形材料の均質性が向上し、安定な品質を有する成形材料を得る事ができる。
また、従来技術の一つであるノボラック型フェノール樹脂、アミン系シランカップリング剤、ヘキサメチレンテトラミンを含有する組成物による被覆処理では、ノボラック型フェノール樹脂と成形材料のマトリックス樹脂との反応性が低いため、被覆処理に用いた樹脂とマトリックス樹脂との間において密着性が良好なガラスフィラーを得ることはできなかった。
このような作用効果により、本発明の界面強化処理ガラスフィラーを用いた成形材料の成形品において、機械的強度を大きく向上することができると考えられる。
本発明の成形材料は、上記界面強化処理ガラスフィラーと、マトリックス樹脂としてフェノール樹脂とを含有することを特徴とする。
本発明の成形材料において、上記界面強化処理ガラスフィラーの含有量は、特に限定されないが、成形材料全体に対して30〜70重量%であることが好ましい。更に好ましくは45〜60重量%である。界面強化処理ガラスフィラーの含有量が上記下限値未満になると、成形品の機械的強度が低くなることがあり、上記上限値を超えると、必然的にフェノール樹脂の含有量が減少するために成形材料化段階での作業性や成形性を低下させることがある。
各種充填材としては特に限定されないが、例えば炭酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ウォラストナイト等の無機粉末充填材等を単独或いは二種類以上配合して用いることができる。
本発明の成形材料は、通常の方法により製造することができる。すなわち、上記配合物を所定の配合割合で混合し、更に着色剤、離型剤、硬化触媒等を加え、加熱ロール、コニーダ、二軸押出機等を使用して溶融混練した後、冷却、粉砕することにより得られる。
本発明の成形材料は、圧縮成形、移送成形、射出成形などの通常の成形方法により成形することができる。このようにして得られた成形品は、優れた機械的強度を有していることから、自動車用、汎用機械用、家庭電化製品用及びその周辺機器用等の金属部品の代替に適用できる。
(2)o−アミノフェノール
(3)p−アミノフェノール
(4)アミン系シランカップリング剤:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(CA1と略す)
(5)アミン系シランカップリング剤:N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(CA2と略す)
(6)アミン系シランカップリング剤:N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(CA3と略す)
(7)ガラスビーズ:ユニオン社製UB−13L、平均粒子径45μm
(8)ガラス繊維:日東紡績社製カットファイバー、平均繊維径11μm
(9)フェノール樹脂成形材料のマトリックス樹脂:ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト社製PR−51305)
(10)フェノール樹脂成形材料のマトリックス樹脂:ジメチレンエーテル型レゾール樹脂(住友ベークライト社製PR−53529)
(11)硬化剤:ヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミンと略す)
(12)硬化助剤:酸化マグネシウム
(13)離型剤:ステアリン酸カルシム
(14)着色剤:カーボンブラック
[実施例1]
水/メタノール=1/9の重量比の混合溶媒100重量部に対して、m−アミノフェノールを0.4重量部、アミン系シランカップリング剤としてCA1を0.4重量部添加し、攪拌装置により溶媒に溶解した被覆処理用組成物溶液を作製した。
この被覆処理用組成物溶液を、ガラスビーズ100重量部に対してm−アミノフェノールとアミン系シランカップリング剤がそれぞれ0.06重量部となるように配合したものを常温にて混練して、100℃で30分間加熱乾燥処理を行い、界面強化処理ガラスビーズ1を得た。
実施例1において、アミン系シランカップリング剤としてCA2を配合する以外は実施例1と同様にして界面強化処理ガラスビーズ2を得た。
実施例1において、アミン系シランカップリング剤としてCA3を配合する以外は実施例1と同様にして界面強化処理ガラスビーズ3を得た。
実施例1において、m−アミノフェノールの代わりにp−アミノフェノールを配合する以外は実施例1と同様にして界面強化処理ガラスビーズ5を得た。
実施例1において、m−アミノフェノールの代わりにo−アミノフェノールを配合する以外は実施例1と同様にして界面強化処理ガラスビーズ4を得た。
実施例1において、アミン系シランカップリング剤を配合しない以外は実施例1と同様にしてm−アミノフェノール処理ガラスビーズを得た。
実施例1において、m−アミノフェノールを配合しない以外は実施例1と同様にしてシランカップリング剤処理ガラスビーズを得た。
実施例1において、m−アミノフェノールの代わりにマトリックス樹脂として用いるノボラック型フェノール樹脂を2重量部及びヘキサミンを0.35重量部配合する以外は実施例1と同様にしてノボラック樹脂処理ガラスビーズを得た。
水/メタノール=1/9の重量比の混合溶媒100重量部に対して、m−アミノフェノールを3.6重量部、アミン系シランカップリング剤としてCA1を3.6重量部添加し、攪拌装置により溶媒に溶解した被覆処理用組成物溶液を作製した。
この被覆処理用組成物溶液を、ガラス繊維100重量部に対してm−アミノフェノールとアミン系シランカップリング剤がそれぞれ0.18重量部となるように添加して含浸処理し、100℃で30分間加熱乾燥処理を行い、界面強化処理ガラス繊維1を得た。
実施例5において、アミン系シランカップリング剤としてCA2を配合する以外は実施例5と同様にして界面強化処理ガラス繊維2を得た。
実施例5において、アミン系シランカップリング剤としてCA3を配合する以外は実施例5と同様にして界面強化処理ガラス繊維3を得た。
実施例5において、m−アミノフェノールの代わりにp−アミノフェノールを配合する以外は実施例5と同様にして界面強化処理ガラス繊維5を得た。
実施例5において、m−アミノフェノールの代わりにo−アミノフェノールを配合する以外は実施例5と同様にして界面強化処理ガラス繊維4を得た。
実施例5において、アミン系シランカップリング剤を配合しない以外は実施例5と同様にしてm−アミノフェノール処理ガラス繊維を得た。
実施例5において、m−アミノフェノールを配合しない以外は実施例7と同様にしてシランカップリング剤処理ガラス繊維を得た。
実施例5において、m−アミノフェノールの代わりにマトリックス樹脂として用いるノボラック型フェノール樹脂を6重量部及びヘキサミンを1.05重量部配合する以外は実施例5と同様にしてノボラック樹脂処理ガラス繊維を得た。
得られたガラスフィラーを含有する成形材料の実施例及び比較例の配合について表3、表4に示す。上記ガラスフィラーがガラスビーズであるものについては表3に、上記ガラスフィラーがガラス繊維であるものについては表4に示す。
成形材料全体に対して、マトリックス樹脂としてノボラック型フェノール樹脂とヘキサミンの混合物を47重量部(ノボラック型フェノール樹脂40重量部、ヘキサミン7重量部)、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラスビーズ1を50重量部、硬化助剤、着色剤、離型剤、各々1重量部を配合し、予備混合した。この混合物を回転速度の異なった105℃の加熱ロールで溶融混練して、シート状に冷却したものを粉砕して顆粒状の成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラスビーズ2を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラスビーズ3を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラスビーズ5を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラス繊維1を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラス繊維2を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラス繊維3を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラス繊維5を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラスビーズ4を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーの代わりに、ガラスフィラーとしてm−アミノフェノール処理ガラスビーズを配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーの代わりに、ガラスフィラーとしてシランカップリング剤処理ガラスビーズを配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーの代わりに、ガラスフィラーとしてノボラック樹脂処理ガラスビーズを配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラス繊維4を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーの代わりに、ガラスフィラーとしてm−アミノフェノール処理ガラス繊維を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーの代わりに、ガラスフィラーとしてシランカップリング剤処理ガラス繊維を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、界面強化処理ガラスフィラーの代わりに、ガラスフィラーとしてノボラック樹脂処理ガラス繊維を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、マトリックス樹脂としてジメチレンエーテル型レゾール樹脂を47重量%配合し、ヘキサミンを配合しない以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、マトリックス樹脂としてジメチレンエーテル型レゾール樹脂を47重量%配合し、ヘキサミンを配合せず、界面強化処理ガラスフィラーの代わりに、ガラスフィラーとしてシランカップリング剤処理ガラスビーズを配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、マトリックス樹脂としてジメチレンエーテル型レゾール樹脂を47重量%配合し、ヘキサミンを配合せず、界面強化処理ガラスフィラーとして界面強化処理ガラス繊維1を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
実施例9において、マトリックス樹脂としてジメチレンエーテル型レゾール樹脂を47重量%配合し、ヘキサミンを配合せず、界面強化処理ガラスフィラーの代わりに、ガラスフィラーとしてシランカップリング剤処理ガラス繊維を配合する以外は実施例9と同様にして成形材料を得た。
特性評価に使用した試験片の成形方法および評価方法は以下のとおりである。
曲げ強さ:JIS K 6911に準拠して測定した。
上記結果はマトリックス樹脂が同じであれば、ガラスフィラー表面への被覆処理以外は同じであるため、機械的強度の向上はガラスフィラーとマトリックス樹脂との密着性の向上による界面強化に起因するものと考えられる。
Claims (8)
- マトリックス樹脂としてフェノール樹脂を含有するフェノール樹脂成形材料に用いられ、ガラスフィラー表面の少なくとも一部が被覆処理用組成物により被覆処理されてなる界面強化処理ガラスフィラーであって、前記被覆処理用組成物は、アミノフェノール(A)、アミン系シランカップリング剤(B)のみを主成分として含有し、前記アミノフェノール(A)は、m−アミノフェノール又はp−アミノフェノールであることを特徴とする界面強化処理ガラスフィラー。
- 前記アミノフェノール(A)が、m−アミノフェノールである、請求項1に記載の界面強化処理ガラスフィラー。
- 前記アミノフェノール(A)の量が、界面強化処理ガラスフィラー100重量部に対して0.001〜1.0重量部である、請求項1又は2に記載の界面強化処理ガラスフィラー。
- 前記アミン系シランカップリング剤(B)の量が、界面強化処理ガラスフィラー100重量部に対して0.001〜0.5重量部である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の界面強化処理ガラスフィラー。
- 前記ガラスフィラーが、平均粒子径1〜500μmのガラスビーズ又はガラスバルーンである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の界面強化処理ガラスフィラー。
- 前記ガラスフィラーが、平均繊維径1〜50μmのガラス繊維である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の界面強化処理ガラスフィラー。
- 前記界面強化処理ガラスフィラーが、ガラスフィラー表面の少なくとも一部を前記被覆処理用組成物で被覆処理した後、80〜150℃の温度で乾燥処理されてなるものである請求項1ないし6のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラー。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の界面強化処理ガラスフィラーと、マトリックス樹脂としてフェノール樹脂を含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
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