JP2021031590A - フェノール樹脂成形材料およびそれを用いた摺動部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】摺動性および離型性に優れたフェノール樹脂成形材料を提供する。【解決手段】本発明のフェノール樹脂成形材料は、摺動部品を成形するために用いるフェノール樹脂成形材料であって、レゾール型フェノール樹脂を含むフェノール樹脂と、平均粒子径D50が、0.1μm以上30μm以下のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、を含むものである。【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール樹脂成形材料およびそれを用いた摺動部品に関する。
これまでフェノール樹脂成形材料において様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、平均粒子径が40〜100μmのポリテトラフルオロエチレン、および炭素繊維を含むフェノール樹脂成形材料が記載されている(特許文献1の段落0026、表1)。
特開2007−297588号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載のフェノール樹脂成形材料において、第一に、摺動性および離型性の両立の点で、第二に、薄肉強度、摺動性および難燃性の両立の点で改善の余地があることが判明した。
本発明者はさらに検討したところ、第一の点に関して、比較的小さな平均粒子径を有するポリテトラフルオロエチレンを用いることで、摺動性を維持させつつも、離型性を高められることを見出した。このような第一の知見に基づき、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
摺動部品を成形するために用いるフェノール樹脂成形材料であって、
レゾール型フェノール樹脂を含むフェノール樹脂と、
平均粒子径D50が0.1μm以上30μm以下のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、
を含む、フェノール樹脂成形材料が提供される。
また、本発明者は検討したところ、第二の点に関して、有機基材の中でもアマニ油吸油量が多いとされる有機繊維を用いることで、薄肉強度を維持しつつも、摺動性を高められることを見出した。
詳細なメカニズムは不明だが、アマニ油吸油量が多い有機繊維は、繊維長が長く、成形材料中の樹脂を多く拘束するため、摺動時に成形品表面の樹脂が摩耗しにくく、耐摩耗性に優れるため、摺動性を高められる、と考えられる。ただし、アマニ油吸油量が過剰だと成形時に充填不良が発生する恐れがある。
また、有機基材を多く含むことで難燃性が低下するが、難燃剤を適切な配合量で用いることで、薄肉強度を保持しつつも、難燃性を維持することができる。
このような第二の知見に基づき、本発明を完成するに至った。
また本発明によれば、
摺動部品を成形するために用いるフェノール樹脂成形材料であって、
フェノール樹脂と、
有機基材と、
難燃剤と、を含み、
前記有機基材が、有機繊維を含み、
JIS K5101に準拠して測定される前記有機繊維のアマニ油吸油量が、100ml/100g以上400ml/100g以下である、フェノール樹脂成形材料が提供される。
また本発明によれば、上記のフェノール樹脂成形材料の硬化物を備える、摺動部品が提供される。
本発明によれば、第一に、摺動性および離型性に優れたフェノール樹脂成形材料、第二に、薄肉強度、摺動性および難燃性に優れたフェノール樹脂成形材料、およびこれらを用いた摺動部品が提供される。
本実施形態のフェノール樹脂成形材料の概要を説明する。
本実施形態のフェノール樹脂成形材料は、摺動部品を成形するために用いるものである。
第一実施形態のフェノール樹脂成形材料は、レゾール型フェノール樹脂を含むフェノール樹脂と、平均粒子径D50が、0.1μm以上30μm以下のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、を含むことができる。
第1本実施形態によれば、平均粒子径が小さいポリテトラフルオロエチレンを用いることで、成形品の摺動性を維持させつつも、その離型性を高めることができる。
第二実施形態のフェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂と、有機基材と、難燃剤と、を含むことができる。上記有機基材が、有機繊維を含み、JIS K5101に準拠して測定される有機繊維のアマニ油吸油量が、100ml/100g以上400ml/100g以下である。
また、第二実施形態によれば、有機基材の中でもアマニ油吸油量が多いとされる有機繊維を用いることで、成形品の薄肉強度を維持しつつも、その摺動性を向上でき、難燃剤を用いることで、難燃性を高めることができる。また、アマニ油吸油量を上記上限値以下とすることで、成形時に生じる充填不良を抑制できるため、製造安定性に優れた成形材料を実現できる。
以下、本実施形態のフェノール樹脂成形材料の各成分について説明する。
上記フェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂を含むものである。
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂;メチロール型レゾール樹脂、ジメチレンエーテル型レゾール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油などで溶融した油溶融レゾールフェノール樹脂などのレゾール型フェノール樹脂;アリールアルキレン型フェノール樹脂などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを酸性条件下で反応させて得られるものが用いられる。
上記レゾール型フェノール樹脂としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ条件下または弱酸性下で反応させて得られるものが用いられる。
上記フェノール類としては、例えば、フェノール環数は1核体、2核体または3核体などのいずれでもよく、フェノール性水酸基数は、1個でも2個以上でもよい。
上記フェノール類の一例としては、特に限定されないが、例えば、フェノール;オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール等のクレゾール;2、3−キシレノール、2、4−キシレノール、2、5−キシレノール、2、6−キシレノール、3、5−キシレノール等のキシレノール;2,3,5−トリメチルフェノール、2−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、イソブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、クミルフェノール、アリルフェノール、カルダノール、ウルシオール、ラッコール等のアルキルフェノール;1−ナフトール、2−ナフトール等のナフトール;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体;ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールZ、ビスフェノールE等のビスフェノール;レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ジヒドロキシナフタリン、ナフタレン等の多価フェノール;などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、フェノール類は、フェノール、クレゾール、キシレノール、アルキルフェノールおよびビスフェノールからなる群より選ばれる1種以上を含むことができ、安価な観点から、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、ビスフェノールAを用いることができる。
上記アルデヒド類としては、特に限定されないが、例えば、ホルマリンやパラホルムアルデヒド等のホルムアルデヒド;トリオキサン、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、tert−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。この中でも、アルデヒド類は、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドを含むことができ、生産性および安価な観点から、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒドを用いることができる。
酸性条件下の場合、酸性触媒を用いることができる。
上記酸性触媒としては、特に限定されないが、例えば、蓚酸、酢酸などの有機カルボン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機スルホン酸、塩酸、硫酸などの無機酸などが挙げられる。この中でも、パラトルエンスルホン酸等の有機スルホン酸や硫酸等の無機酸を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ノボラック型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド類のモル比(F/Pモル比)は、フェノール類1モルに対し、例えば、アルデヒド類を0.4〜1.0モルとしてもよく、好ましくは0.6〜0.9モルとすることができる。アルデヒド類を上記範囲とすることで、未反応フェノール量を少なくすることができ、歩留まりを上げることができる。
アルカリ性条件下の場合、アルカリ性触媒を用いることができる。
上記アルカリ性触媒としては、特に限定はされないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、炭酸ナトリウム、ヘキサメチレンテトラミンなどのアルカリ性物質を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、水酸化ナトリウムを用いてもよい。
また、弱酸性下の場合、亜鉛系触媒を用いることができる。
上記亜鉛系触媒としては、特に限定されず、二価金属塩触媒であればいずれも使用できるが、例えば、酢酸亜鉛や蟻酸亜鉛等を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、酢酸亜鉛の水和物を用いてもよい。
上記アルカリ性触媒または上記亜鉛系触媒の添加量は、フェノール類100質量%に対し、例えば、0.01質量%〜20質量%としてもよく、好ましくは0.1質量%〜10質量%とすることができる。
また、レゾール型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド類のモル比(F/Pモル比)は、フェノール類1モルに対し、例えば、アルデヒド類を0.7モル〜4.0モルとしてもよく、好ましくは1.0モル〜3.0モルとすることができる。アルデヒド類を上記範囲とすることで、上記のようにフェノール類1モルに対して、アルデヒド類の転化率が高まり、残留未反応アルデヒド類を低減させることができる。
上記フェノール樹脂の含有量は、フェノール樹脂成形材料の固形分全体(100質量部)中、例えば、20〜60質量部、好ましくは30〜60質量部である。
フェノール樹脂の含有量を上記下限値以上とすることにより、成形材料を充分に混練することができ、成形材料の生産性を高めることができる。また、成形時の流動性を確保し、成形性を良好なものとすることができる。フェノール樹脂の含有量を上記上限値以下とすることにより、成形品に良好な機械的強度を付与することができる。
上記フェノール樹脂として、ノボラック型フェノール樹脂を単独で用いる場合、通常、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを使用することができる。ヘキサメチレンテトラミンの含有量は特に限定されないが、ノボラック型フェノール樹脂100質量部に対し、10〜30質量部が好ましく、さらに好ましくは、10〜20質量部である。
また、上記フェノール樹脂として、レゾール型フェノール樹脂単独、またはノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂を併用する場合は、ヘキサメチレンテトラミンを用いなくてもよい。
上記レゾール型フェノール樹脂の含有量の下限は、フェノール樹脂全体(100質量%)中、例えば、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。これにより、成形材料の耐熱性を高めることができる。上記レゾール型フェノール樹脂の含有量の上限は、フェノール樹脂全体(100質量%)中、例えば、100質量%以下、95質量%以下としてもよい。これにより、成形材料の特性のバランスを図ることができる。
上記フェノール樹脂成形材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むことができる。PTFEを用いることにより、成形品の摺動性を高めることができる。
上記PTFEの平均粒子径D50は、0.1μm〜30μm、好ましくは1μm〜20μm、より好ましくは3μm〜13μmである。平均粒子径D50が上記上限値以下の比較的小粒径のPTFEを用いることで、成形材料中での分散性が向上し、成形品の摺動性を高めることができ、更に成形品の離型性を高めることができる。
平均粒子径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定でき、粒子の粒度分布を体積基準で測定したときのメディアン径(D50)を意味する。
上記PTFEの含有量の下限は、フェノール樹脂成形材料の固形分全体(100質量%)中、例えば、0.5質量%以上、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上である。これにより、成形品の摺動性を高めることができる。一方、上記PTFEの含有量の上限は、フェノール樹脂成形材料の固形分全体(100質量%)中、例えば、10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。これにより、摺動性と強度のバランスを図ることができる。
上記PTFEの重量平均分子量Mwは、例えば、10〜10、好ましくは10〜5.0×10である。Mwを適切な範囲内とすることで、成形材料中の分散が適当になると考えられるため、摺動性と離型性のバランスを図ることができる。
上記フェノール樹脂成形材料は、有機基材を含むことができる。
上記有機基材は、有機繊維を含むものである。有機繊維は、炭素繊維を含まないものである。有機繊維を用いることで、薄肉時でも成形品の機械的強度を維持しつつも、ガラス繊維と比べて柔軟性を有するために、摺動性を高めることができる。また、炭素繊維を含まないことで、絶縁性も向上できる。
上記有機繊維として、JIS K5101に準拠して測定される有機繊維のアマニ油吸油量が、100ml/100g以上400ml/100g以下、好ましくは150ml/100g以上350ml/100g以下、より好ましくは200ml/100g以上300ml/100g以下のものを用いることができる。
本発明者の知見によれば、アマニ油吸油量は、有機繊維を含むフェノール樹脂成形材料の流動性を評価する指標として活用できるが、発明者の知見によれば、繊維の長さの指標にもなる。例えば、アマニ油吸油量が多い有機繊維は、その繊維の長さも相対的に長い、と考えてもよい。
アマニ油吸油量が上記下限値以上の有機繊維を用いることで、薄肉強度を維持しつつも、摺動性を高められる。
本実施形態において、薄肉とは、通常の4mmtよりも薄い厚みで、例えば、1mmtの厚みを示す。
また、アマニ油吸油量が上記上限値以下の有機繊維を用いることで、有機繊維を含むフェノール樹脂成形材料の流動性を高めることができるので、有機繊維の充填量を高めることが可能になる。ただし、アマニ油吸油量が上記上限値を超えるような場合でも、平均粒子径D50が比較的小さなPTFEを併用することで、流動性を改善することが可能である。
上記有機繊維の含有量の下限は、フェノール樹脂成形材料の固形分全体(100質量)中、例えば、2質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上である。これにより、成形品の肉薄強度を向上できる。一方、上記有機繊維の含有量の上限は、フェノール樹脂成形材料の固形分全体(100質量)中、例えば、40質量%以下、好ましくは20質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。40質量%以下とすることで、難燃性を保持できる。20質量%以下とすることで、更に難燃性を向上させつつ、流動性を損なわずに成形材料を作製することができ、成形品の薄肉強度も保てる。
上記有機繊維は、天然有機繊維の粉砕物、天然有機繊維の粉末物、またはこれらの混合物を含むことができる。
上記天然有機繊維としては、例えば、綿、絹、麻、毛等のセルロース繊維が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フェノール樹脂成形材料は、ガラス繊維などの繊維状充填材を実質的に含まないことが好ましい。これにより、フェノール樹脂成形材料の成形品の摺動性の低下を抑制できる。
本明細書中、実質的に含まないとは、無機充填材全体(100質量%)に対する含有量が、0.1質量%以下、好ましくは0質量%以下を意味する。「〜」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
上記フェノール樹脂成形材料は、難燃剤を含むことができる。これにより、成形品の難燃性を高めることができる。
上記難燃剤は、金属水酸化物、未焼成クレー、ホウ素化合物及び窒素化合物からなる群から選択される一種を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
上記ホウ素化合物は、ホウ酸、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。
これらは、燃焼時に分解して水が発生し、燃焼場の熱を奪うことにより、難燃性を発現することができる。使用する場合は難燃性以外の特性への影響を考えて使い分けることができる。
上記窒素化合物は、メラミンモノマー、メラミン樹脂、メラミンシアヌレート等が挙げられる。窒素化合物は燃焼時に不活性ガスを放出し、燃焼場の酸素濃度を希釈して燃焼を止めることにより、難燃性を発現することができる。
上記難燃剤の配合量は、フェノール樹脂成形材料100質量部中、例えば、0.1〜25質量部、好ましくは0.5〜20質量部である。上記下限以上とすることにより、充分な難燃性を発現させることができる。また、上記上限以下とすることにより、成形品の硬化性を良好なものとすることができる。
上記フェノール樹脂成形材料は、ハロゲン化合物、アンチモン化合物、赤燐及び有機リン系化合物からなる群から選択される一種以上を実質的に含まないものとすることができる。好ましくは、上記フェノール樹脂成形材料は、ハロゲン化合物、アンチモン化合物、赤燐及び有機リン系化合物を全て含まない。すなわち、非ハロゲン、非アンチモン、非リンである難燃剤を用いることが好ましい。これにより、環境に配慮されたクリーンなフェノール樹脂成形材料を実現できる。
本実施形態のフェノール樹脂成形材料は、上述した成分以外の他の成分を含むことができる。この他の成分としては、例えば、硬化助剤、着色剤、離型剤、可塑剤が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記硬化促進剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が用いられる。
上記離型剤としては、例えば、カルナバワックス等の天然ワックス、モンタン酸エステルワックス等の合成ワックス、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸およびその金属塩類、ならびにパラフィン等を用いることができる。
上記顔料としては、例えば、カーボンブラックを用いることができる。
本実施形態のフェノール樹脂成形材料は、通常の方法により製造される。上記の各成分を所定の配合割合で混合し、加熱ロール、コニーダ、二軸押出機を使用して溶融混練した後、冷却、粉砕することにより得られる。
本実施形態のフェノール樹脂成形材料を、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形などの通常の成形方法により、成形品を得ることができる。
本実施形態の成形品は、上記フェノール樹脂成形材料を成形してなる硬化物を備える摺動部品に好適に用いることができる。
上記摺動部品は、電気・電子機器、航空用機器、宇宙機器、自動車機器、輸送機器、事務用機器、一般産業機器等の各種機器の一部を構成する部品として用いられる。上記摺動部品は、このような機器おいて、さらに絶縁性が要求される絶縁性部品にも適用できる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
<フェノール樹脂成形材料>
表1、2に示す配合比率に従って、各成分を混合し、90℃の加熱ロールにより3分間溶融混練した後取り出し、粉砕し、顆粒状に粉砕してフェノール樹脂成形材料を得た。
表1、2に示す原料成分の情報は以下の通り。
(フェノール樹脂)
・レゾール型フェノール樹脂1:レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト社製、スミライトレジンPR−53529)
(硬化促進剤)
・硬化促進剤1:水酸化カルシウム
(有機基材)
・有機繊維1:綿(天然)の粉末物(アマニ油吸油量:250ml/100g)
・有機繊維2:綿(天然)の粉末物(アマニ油吸油量:150ml/100g)
・有機繊維3:綿(天然)の粉末物(アマニ油吸油量:450ml/100g)
・有機繊維4:紙の粉末物(アマニ油吸油量:90ml/100g)
アマニ油吸油量は、JIS K5101に準拠して測定した。
(無機基材)
・ガラス繊維1:ガラス繊維
(難燃剤)
・ホウ素化合物1:ホウ酸亜鉛
・金属水酸化物1:水酸化マグネシウム
(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))
・PTFE1:ポリテトラフルオロエチレン(粉末、平均粒子径D50:22μm、重量平均分子量:5.0×10
・PTFE2:ポリテトラフルオロエチレン(粉末、平均粒子径D50:14μm、重量平均分子量:5.0×10
・PTFE3:ポリテトラフルオロエチレン(粉末、平均粒子径D50:40μm、重量平均分子量:5.0×10
平均粒子径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定し、粒子の粒度分布を体積基準で測定したときのメディアン径(D50)を意味する。
(添加剤)
・添加剤1:ステアリン酸カルシウム(離型剤)、カーボンブラック(着色剤)
Figure 2021031590
Figure 2021031590
得られたフェノール樹脂成形材料について、以下の評価項目に基づいて評価を行った。結果を表1または表2に示す。
(摺動性)
実施例及び比較例で得られたフェノール樹脂成形材料を用いて、トランスファー成形によりφ18×10mmの円柱形の試験片、および30×10×4mmtの板状の試験片を作製した。金型温度175℃、硬化時間3分間とした。円柱形の試験片の曲面部に、板状の試験片の30×10mmの面を接しさせて、3kgfの荷重をかけながら、円柱形の試験片を回転速度60rpmで24時間回転させた。回転前後の円柱形および板状試験片の重量差(mg)の合計を摩耗量とした。
(離型性)
実施例及び比較例で得られたフェノール樹脂成形材料4gを用い、熱板に挟んで円盤状の成形物を得た。成形条件は、金型温度150℃、硬化時間40秒間とした。成形後、上型を取り外し、エアーを吹き付けたときに3秒以内に離形するかどうかで判断した。
(薄肉強度)
実施例及び比較例で得られたフェノール樹脂成形材料を用いて、トランスファー成形により80×10×1mmtの試験片を作製した。金型温度175℃、硬化時間2分間とした。この試験片を用いて、JISK6911に準拠して曲げ強度(MPa)を測定した。
(難燃性)
実施例及び比較例で得られたフェノール樹脂成形材料を用いて、トランスファー成形により125×12.5mm×0.80mmの試験片を作製した。成形条件は、金型温度175℃、硬化時間2分間とした。この試験片を用いて、UL94に準拠し耐燃試験を実施した。
実施例1〜3のフェノール樹脂成形材料は、比較例1と比べて離型性が向上している、比較例2に比べて摺動性が向上していることが分かった。
一方、実施例1〜3のフェノール樹脂成形材料は、薄肉強度および難燃性に優れており、比較例4,5と比べて摺動性に優れており、比較例3と比べて充填不良が抑制され、製造安定性が向上していることが分かった。
このような実施例1〜3のフェノール樹脂成形材料は、摺動部品に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 摺動部品を成形するために用いるフェノール樹脂成形材料であって、
    レゾール型フェノール樹脂を含むフェノール樹脂と、
    平均粒子径D50が0.1μm以上30μm以下のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、
    を含む、フェノール樹脂成形材料。
  2. 請求項1に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記ポリテトラフルオロエチレンの含有量が、前記フェノール樹脂成形材料の固形分全体中、0.5質量%以上10質量%以下である、フェノール樹脂成形材料。
  3. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記ポリテトラフルオロエチレンの重量平均分子量Mwが、10以上10以下である、フェノール樹脂成形材料。
  4. 摺動部品を成形するために用いるフェノール樹脂成形材料であって、
    フェノール樹脂と、
    有機基材と、
    難燃剤と、を含み、
    前記有機基材が、有機繊維を含み、
    JIS K5101に準拠して測定される前記有機繊維のアマニ油吸油量が、100ml/100g以上400ml/100g以下である、フェノール樹脂成形材料。
  5. 請求項4に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記有機繊維の含有量が、前記フェノール樹脂成形材料の固形分全体中、2質量%以上40質量%以下である、フェノール樹脂成形材料。
  6. 請求項4または5に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記有機繊維は、天然有機繊維の粉砕物、天然有機繊維の粉末物、またはこれらの混合物を含む、フェノール樹脂成形材料。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂を含む、フェノール樹脂成形材料。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    金属水酸化物、未焼成クレー、ホウ素化合物及び窒素化合物からなる群から選択される一種以上の難燃剤を含む、フェノール樹脂成形材料。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    ハロゲン化合物、アンチモン化合物、赤燐及び有機リン系化合物からなる群から選択される一種以上を含まない、フェノール樹脂成形材料。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のフェノール樹脂成形材料の硬化物を備える、摺動部品。
  11. 請求項10に記載の摺動部品であって、
    電気・電子機器の一部を構成する、摺動部品。
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