JP2007246570A - ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂及びその製造方法、これを含むフェノール樹脂組成物と、これを含む摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【課題】
機械的強度や摩擦係数を実用レベルに維持しつつ、耐摩耗性に優れ、且つ良好な柔軟性を有するフェノール樹脂組成物が得られるポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂、及びその製造方法、及び摩擦材を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、
ポリアミド樹脂をフェノール類に溶解させて原材料混合液を得る工程(a)及び、
前記原材料混合液にアルデヒド類と酸性触媒とを用いて反応させ、ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を得る工程(b)
を、含むことを特徴とし、この製造方法によって得られた前記ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の含有量が、前記フェノール樹脂組成物全体に対して5〜100重量%含むフェノール樹脂であり、これを含むことを特徴とする摩擦材。
【選択図】 なし
機械的強度や摩擦係数を実用レベルに維持しつつ、耐摩耗性に優れ、且つ良好な柔軟性を有するフェノール樹脂組成物が得られるポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂、及びその製造方法、及び摩擦材を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、
ポリアミド樹脂をフェノール類に溶解させて原材料混合液を得る工程(a)及び、
前記原材料混合液にアルデヒド類と酸性触媒とを用いて反応させ、ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を得る工程(b)
を、含むことを特徴とし、この製造方法によって得られた前記ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の含有量が、前記フェノール樹脂組成物全体に対して5〜100重量%含むフェノール樹脂であり、これを含むことを特徴とする摩擦材。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂及びその製造方法、これを含むフェノール樹脂組成物と、これを含む摩擦材に関する。
フェノール樹脂は、優れた耐熱性、接着性を有し、ブレーキパッド等の摩擦材用バインダーとして広く使用されている。この用途においては、一般的にランダムノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンとを粉砕混合して得られた粉末フェノール樹脂組成物が広く使用されている。
ブレーキ等の摩擦材の製造プロセスとしては、上記フェノール樹脂組成物をバインダーとして用い、これに、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維等の繊維状充填材、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填材、及び、カシューダスト等を混合したものを熱プレス装置により加熱加圧成形して成形体を得る方法が挙げられる。
ブレーキ等の摩擦材の製造プロセスとしては、上記フェノール樹脂組成物をバインダーとして用い、これに、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維等の繊維状充填材、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填材、及び、カシューダスト等を混合したものを熱プレス装置により加熱加圧成形して成形体を得る方法が挙げられる。
ブレーキパッドはその要求性能が日々厳しくなっており、安定した摩擦係数や摩耗量の低減が望まれている。こうした中で、摩耗量の低減を図る技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。 また、ブレーキパッドの摩耗量を低減する技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、機械的強度や摩擦係数を実用レベルに維持しつつ、耐摩耗性に優れ、且つ良好な柔軟性を有するフェノール樹脂組成物が得られるポリアミド変性ノボラック型フェノール樹脂、及びその製造方法、これを含むフェノール樹脂組成物と、これを含む摩擦材を提供するものである。
このような目的は、下記の本発明(1)〜(7)により達成される。
(1)ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、
ポリアミド樹脂をフェノール類に溶解させて原材料混合液を得る工程(a)及び、
前記原材料混合液にアルデヒド類と酸性触媒とを用いて反応させ、ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を得る工程(b)
を、含むことを特徴とするポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(2)前記ポリアミド樹脂は、芳香族ポリアミド樹脂を含む(1)に記載のポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(3)前記ポリアミド樹脂の含有量は、前記原材料混合液全体に対して1〜30重量%である(1)又は(2)に記載のポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法によって得られたことを特徴とするポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂。
(5)請求項4に記載のポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を含むフェノール樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の含有量が、前記フェノール樹脂組成物全体に対して5〜100重量%含むことを特徴とするフェノール樹脂組成物。
(6)更に、ノボラック型フェノール樹脂(c)及び/またはレゾール型フェノール樹脂(d)を含むものである(5)に記載のフェノール樹脂組成物。
(7)請求項5又は6に記載のフェノール樹脂組成物を含むことを特徴とする摩擦材。
(1)ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、
ポリアミド樹脂をフェノール類に溶解させて原材料混合液を得る工程(a)及び、
前記原材料混合液にアルデヒド類と酸性触媒とを用いて反応させ、ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を得る工程(b)
を、含むことを特徴とするポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(2)前記ポリアミド樹脂は、芳香族ポリアミド樹脂を含む(1)に記載のポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(3)前記ポリアミド樹脂の含有量は、前記原材料混合液全体に対して1〜30重量%である(1)又は(2)に記載のポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法によって得られたことを特徴とするポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂。
(5)請求項4に記載のポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を含むフェノール樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の含有量が、前記フェノール樹脂組成物全体に対して5〜100重量%含むことを特徴とするフェノール樹脂組成物。
(6)更に、ノボラック型フェノール樹脂(c)及び/またはレゾール型フェノール樹脂(d)を含むものである(5)に記載のフェノール樹脂組成物。
(7)請求項5又は6に記載のフェノール樹脂組成物を含むことを特徴とする摩擦材。
本発明によれば、機械的強度や摩擦係数を実用レベルに維持しつつ、耐摩耗性に優れ、且つ良好な柔軟性を有する成形体が成形可能なフェノール樹脂組成物及びそれに含まれるポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂、これを含むフェノール樹脂組成物と、これを含む摩擦材を得ることができる。
本発明は、ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、
ポリアミド樹脂をフェノール類に溶解させて原材料混合液を得る工程(a)及び、
前記原材料混合液にアルデヒド類と酸性触媒を用いて反応させてポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を得る工程(b)
を、含むことを特徴とし、また、上記製造方法から得られたポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂であり、これを含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物である。
また、上記フェノール樹脂組成物を含む摩擦材である。
ポリアミド樹脂をフェノール類に溶解させて原材料混合液を得る工程(a)及び、
前記原材料混合液にアルデヒド類と酸性触媒を用いて反応させてポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を得る工程(b)
を、含むことを特徴とし、また、上記製造方法から得られたポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂であり、これを含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物である。
また、上記フェノール樹脂組成物を含む摩擦材である。
まず、本発明のポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、ポリアミド樹脂をフェノール類に溶解させて原材料混合液を得る工程(a)及び、
前記原材料混合液にアルデヒド類と酸性触媒を用いて反応させてポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を得る工程(b)
を、含むことを特徴とする。
本発明の製造方法は、ポリアミド樹脂をフェノール類に溶解させて原材料混合液を得る工程(a)及び、
前記原材料混合液にアルデヒド類と酸性触媒を用いて反応させてポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を得る工程(b)
を、含むことを特徴とする。
本発明の製造方法の工程(a)において用いられるポリアミド樹脂は、芳香族ポリアミド樹脂を含むことが好ましい。上記芳香族ポリアミドとしては特に限定されないが、例えば、一部に脂肪族骨格を含むナイロン系ポリアミド、芳香環骨格のみで構成されるアラミド系ポリアミド等を用いることができる。
上記ポリアミド樹脂の含有量は、上記原材料混合液全体に対して1〜30重量%が好ましく、更に好ましくは1〜25重量%である。
ポリアミド樹脂の含有量を上記範囲とすることで、柔軟性や機械的強度、摩擦係数のバランスの取れた成形体が成形可能なフェノール樹脂組成物を得ることができる。
ポリアミド樹脂の含有量を上記範囲とすることで、柔軟性や機械的強度、摩擦係数のバランスの取れた成形体が成形可能なフェノール樹脂組成物を得ることができる。
本発明の製造方法の工程(a)において用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、および1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができるが、通常、フェノール、クレゾールが多く用いられる。
上記工程(a)において、上記ポリアミド樹脂をフェノール類に溶解する方法としては特に限定されないが、通常の攪拌装置を用いることができる。通常は攪拌装置を備えたフラスコや釜等の反応装置を用いる。
次に、本発明の工程(b)で用いられるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができるが、通常、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等のホルムアルデヒド類が多く用いられる。
上記フェノール類(P)と、アルデヒド類(F)とを反応させる際の反応モル比[F/P]としては特に限定されないが、0.5〜0.9とすることが好ましい。
反応モル比を上記範囲にすることにより、反応中に樹脂がゲル化することなく、未反応のフェノール樹脂類の量が少なく、好適な分子量を有するノボラック樹脂を合成することができる。
反応モル比を上記範囲にすることにより、反応中に樹脂がゲル化することなく、未反応のフェノール樹脂類の量が少なく、好適な分子量を有するノボラック樹脂を合成することができる。
次に、本発明の製造方法の工程(b)で用いられる酸性触媒としては、例えば、シュウ酸等の有機酸や塩酸、硫酸、燐酸等の鉱物酸、パラトルエンスルホン酸、パラフェノールスルホン酸等を使用することができる。またこれらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
本発明の製造方法では、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを用いることができる。
ヘキサメチレンテトラミンの含有量としては特に限定されないが、ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂100重量部に対して、5〜20重量部であることが好ましい。さらに好ましくは7〜17重量部である。
ヘキサメチレンテトラミンの含有量を上記範囲とすることで、特に機械的強度や摩耗特性に優れた成形体を得ることができる。
ヘキサメチレンテトラミンの混合方法としては特に限定されないが、通常の粉砕装置を用いて、前記ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂と共に粉砕しても良いし、ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を粉砕した後で混合しても良い。
ヘキサメチレンテトラミンの含有量としては特に限定されないが、ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂100重量部に対して、5〜20重量部であることが好ましい。さらに好ましくは7〜17重量部である。
ヘキサメチレンテトラミンの含有量を上記範囲とすることで、特に機械的強度や摩耗特性に優れた成形体を得ることができる。
ヘキサメチレンテトラミンの混合方法としては特に限定されないが、通常の粉砕装置を用いて、前記ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂と共に粉砕しても良いし、ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を粉砕した後で混合しても良い。
このほか、硬化促進の目的で有機酸を含有することができる。含有量については特に限定されないが、ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂100重量部に対して、0.2〜4重量部添加することができる。
ここで有機酸としては、例えば、酒石酸、琥珀酸、マロン酸、フマル酸、安息香酸、及び、フタル酸から選ばれるものを好適に用いることができる。
ここで有機酸としては、例えば、酒石酸、琥珀酸、マロン酸、フマル酸、安息香酸、及び、フタル酸から選ばれるものを好適に用いることができる。
次に、上記本発明の製造方法で得られたポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂(以下、単に「変性ノボラック樹脂」ということがある)について説明する。
本発明の変性ノボラック樹脂は低分子領域として、未反応フェノール類の含有量は、変性ノボラック樹脂全体に対して5.0重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは1.0重量%以下である。こうすることで、未反応フェノールに起因する樹脂加工時の臭気を低減でき、作業環境を良好なものにすることができると共に緒物性を良好に維持することができる。
また、重量平均分子量は1000〜100000が好ましく、更に好ましくは3000〜20000である。変性ノボラック樹脂の分子量をこの範囲とすることで、フェノール樹脂組成物を調製した時、好ましい特性を得ることができる。
本発明の変性ノボラック樹脂は低分子領域として、未反応フェノール類の含有量は、変性ノボラック樹脂全体に対して5.0重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは1.0重量%以下である。こうすることで、未反応フェノールに起因する樹脂加工時の臭気を低減でき、作業環境を良好なものにすることができると共に緒物性を良好に維持することができる。
また、重量平均分子量は1000〜100000が好ましく、更に好ましくは3000〜20000である。変性ノボラック樹脂の分子量をこの範囲とすることで、フェノール樹脂組成物を調製した時、好ましい特性を得ることができる。
次に、本発明のフェノール樹脂組成物(以下、単に「組成物」ということがある)に関して説明する。
本発明の組成物は、上記本発明のポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を含む組成物であって、上記ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の含有量が、前記フェノール樹脂組成物全体に対して5〜100重量%含むことを特徴とする。更に好ましくは、20〜100重量%である。含有量を上記範囲とすることで、耐摩耗性及び柔軟性を向上させることができる。
本発明の組成物は、上記本発明のポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を含む組成物であって、上記ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の含有量が、前記フェノール樹脂組成物全体に対して5〜100重量%含むことを特徴とする。更に好ましくは、20〜100重量%である。含有量を上記範囲とすることで、耐摩耗性及び柔軟性を向上させることができる。
また、本発明の組成物には、上記ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂、ヘキサメチレンテトラミン、有機酸のほか、本発明の効果を損なわない範囲内で、ノボラック型フェノール樹脂(c)、あるいはレゾール型フェノール樹脂(d)等を配合することができる。ここでノボラック型フェノール樹脂(c)は、フェノール類とアルデヒド類とを、蓚酸等の酸触媒を用いて反応を行って得られる樹脂であり、レゾール型フェノール樹脂(d)は、フェノール類とアルデヒド類とを、塩基性触媒を用いて反応を行って得られる樹脂である。
本発明の組成物は、通常のノボラック型フェノール樹脂(c)と芳香族ポリアミド樹脂と溶融又は溶液混合した樹脂組成物より良好な機械的特性、特に機械的強度が得られ、更に摩耗量の小さな成形体が得られるものである。
本発明の組成物は、通常のノボラック型フェノール樹脂(c)と芳香族ポリアミド樹脂と溶融又は溶液混合した樹脂組成物より良好な機械的特性、特に機械的強度が得られ、更に摩耗量の小さな成形体が得られるものである。
次に、本発明の摩擦材について説明する。
本発明の摩擦材は、上記本発明のフェノール樹脂組成物を含むことを特徴とする。
本発明の摩擦材は、上記本発明のフェノール樹脂組成物を含むことで摩耗量を低減させることができる。
この理由としては明確ではないが、上記本発明のフェノール樹脂組成物を適切な割合で摩擦材のバインダーとして用いることにより、摩擦材の充填材同士をバインドしている樹脂部分の摺動性が、通常のフェノール樹脂のみを用いたときよりも向上するものと考えられる。またこれにより充填材同士の結合点が摩耗しにくくなり、摩擦材全体の摩耗の低減につながるものと思われる。また、組成物中にポリアミド樹脂を含むことで、単位重量あたりの架橋点が減少し、摩擦材の柔軟性が上がることも摩擦材の摩耗量が減少することに寄与しているものと思われる。
本発明の摩擦材は、上記本発明のフェノール樹脂組成物を含むことを特徴とする。
本発明の摩擦材は、上記本発明のフェノール樹脂組成物を含むことで摩耗量を低減させることができる。
この理由としては明確ではないが、上記本発明のフェノール樹脂組成物を適切な割合で摩擦材のバインダーとして用いることにより、摩擦材の充填材同士をバインドしている樹脂部分の摺動性が、通常のフェノール樹脂のみを用いたときよりも向上するものと考えられる。またこれにより充填材同士の結合点が摩耗しにくくなり、摩擦材全体の摩耗の低減につながるものと思われる。また、組成物中にポリアミド樹脂を含むことで、単位重量あたりの架橋点が減少し、摩擦材の柔軟性が上がることも摩擦材の摩耗量が減少することに寄与しているものと思われる。
以下、本発明の組成物を実施例により詳細に説明する。
表1に、摩擦材(ブレーキ材)の調製に用いた配合材の配合量を示す。単位は全て重量部を表す。
表1に、摩擦材(ブレーキ材)の調製に用いた配合材の配合量を示す。単位は全て重量部を表す。
(実施例)
攪拌装置を備えたフラスコに、フェノール1000重量部、芳香族ポリアミド樹脂45重量部を仕込んだ。これを140℃で2時間半攪拌し、芳香族ポリアミド樹脂を溶解した。芳香族ポリアミド樹脂の溶解後10重量部の蓚酸と538重量部の37%ホルムアルデヒド水溶液を加え(F/P比=0.725)、1時間還流させ、反応によって生じる水の常圧除去、真空除去を行ない、遊離フェノールが1%未満になった時点で反応を終了し、ポリアミド変性ノボラック型フェノール樹脂を得た。
得られたポリアミド変性ノボラック型フェノール樹脂を10重量部のヘキサメチレンテトラミンとともに粉砕混合し、フェノール樹脂組成物を得た。
このフェノール樹脂組成物80重量部、硫酸バリウム400重量部、炭酸カルシウム420重量部、カシューダスト50重量部、アラミド繊維50重量部を用い、アイリッヒミキサーで混合して混合物とした。
これを、温度150℃、圧力30MPaで9分間成形し、85×60×18mmの成形品を得た。得られた成形品をさらに200℃で5時間焼成して摩擦材(ブレーキ材)を得た。
攪拌装置を備えたフラスコに、フェノール1000重量部、芳香族ポリアミド樹脂45重量部を仕込んだ。これを140℃で2時間半攪拌し、芳香族ポリアミド樹脂を溶解した。芳香族ポリアミド樹脂の溶解後10重量部の蓚酸と538重量部の37%ホルムアルデヒド水溶液を加え(F/P比=0.725)、1時間還流させ、反応によって生じる水の常圧除去、真空除去を行ない、遊離フェノールが1%未満になった時点で反応を終了し、ポリアミド変性ノボラック型フェノール樹脂を得た。
得られたポリアミド変性ノボラック型フェノール樹脂を10重量部のヘキサメチレンテトラミンとともに粉砕混合し、フェノール樹脂組成物を得た。
このフェノール樹脂組成物80重量部、硫酸バリウム400重量部、炭酸カルシウム420重量部、カシューダスト50重量部、アラミド繊維50重量部を用い、アイリッヒミキサーで混合して混合物とした。
これを、温度150℃、圧力30MPaで9分間成形し、85×60×18mmの成形品を得た。得られた成形品をさらに200℃で5時間焼成して摩擦材(ブレーキ材)を得た。
(比較例1)
攪拌装置を備えたフラスコに、フェノール1000重量部を仕込んだ。更に10重量部の蓚酸と538重量部の37%ホルムアルデヒド水溶液を加え(F/P比=0.725)、1時間還流させ、反応によって生じる水の常圧除去、真空除去を行ない、遊離フェノールが1%未満になった時点で反応を終了し、ノボラック型フェノール樹脂を得た。
得られたノボラック型フェノール樹脂を10重量部のヘキサメチレンテトラミンとともに粉砕混合し、フェノール樹脂組成物を得た。
このフェノール樹脂組成物80重量部、硫酸バリウム400重量部、炭酸カルシウム420重量部、カシューダスト50重量部、アラミド繊維50重量部を用い、アイリッヒミキサーで混合して混合物とした。
これを、温度150℃、圧力30MPaで9分間成形し、85×60×18mmの成形品を得た。得られた成形品をさらに200℃で5時間焼成して摩擦材(ブレーキ材)を得た。
攪拌装置を備えたフラスコに、フェノール1000重量部を仕込んだ。更に10重量部の蓚酸と538重量部の37%ホルムアルデヒド水溶液を加え(F/P比=0.725)、1時間還流させ、反応によって生じる水の常圧除去、真空除去を行ない、遊離フェノールが1%未満になった時点で反応を終了し、ノボラック型フェノール樹脂を得た。
得られたノボラック型フェノール樹脂を10重量部のヘキサメチレンテトラミンとともに粉砕混合し、フェノール樹脂組成物を得た。
このフェノール樹脂組成物80重量部、硫酸バリウム400重量部、炭酸カルシウム420重量部、カシューダスト50重量部、アラミド繊維50重量部を用い、アイリッヒミキサーで混合して混合物とした。
これを、温度150℃、圧力30MPaで9分間成形し、85×60×18mmの成形品を得た。得られた成形品をさらに200℃で5時間焼成して摩擦材(ブレーキ材)を得た。
(比較例2)
比較例1と同様にして、ノボラック型フェノール樹脂を得た。
これを180℃で融解し、芳香族ポリアミドを加え充分に混合し、ポリアミド変性ノボラック型フェノール樹脂を得た。
これを実施例1と同様の方法でヘキサメチレンテトラミンと粉砕混合し、フェノール樹脂組成物を得た。
このフェノール樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で摩擦材(ブレーキ材)を得た。
比較例1と同様にして、ノボラック型フェノール樹脂を得た。
これを180℃で融解し、芳香族ポリアミドを加え充分に混合し、ポリアミド変性ノボラック型フェノール樹脂を得た。
これを実施例1と同様の方法でヘキサメチレンテトラミンと粉砕混合し、フェノール樹脂組成物を得た。
このフェノール樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で摩擦材(ブレーキ材)を得た。
組成物の調製及び摩擦材(ブレーキ材)の製造で用いたものは以下のとおりである。
(1)ポリアミド樹脂 芳香族ポリアミド樹脂:三井化学社製 AE4200
(2)硫酸バリウム(平均粒子径 20μm):堺化学株式会社製BF−1H
(3)炭酸カルシウム(平均粒子径 20μm):白石工業株式会社製Vigot15
(4)ヘキサメチレンテトラミン:Caldic Europoprt B.V.
(5)カシューダスト(平均粒子径 250μm):東北化工株式会社製 FF−1081
(6)アラミド繊維(繊維長 2mm):東レ・デュポン株式会社社製 ドライパルプ
(1)ポリアミド樹脂 芳香族ポリアミド樹脂:三井化学社製 AE4200
(2)硫酸バリウム(平均粒子径 20μm):堺化学株式会社製BF−1H
(3)炭酸カルシウム(平均粒子径 20μm):白石工業株式会社製Vigot15
(4)ヘキサメチレンテトラミン:Caldic Europoprt B.V.
(5)カシューダスト(平均粒子径 250μm):東北化工株式会社製 FF−1081
(6)アラミド繊維(繊維長 2mm):東レ・デュポン株式会社社製 ドライパルプ
上記実施例及び比較例により作製したブレーキ材を評価用試料として以下の評価を行った。結果を表2に示す。
表の注:評価方法
(1) ロックウェル硬度:JIS K 7202「プラスチックのロックウェル硬さ試験方法」に準拠して測定した。
(1) ロックウェル硬度:JIS K 7202「プラスチックのロックウェル硬さ試験方法」に準拠して測定した。
(2)曲げ強度:JIS K 7203「硬質プラスチックの曲げ試験方法」に準拠して測定した。状態曲げ強度は室温で、熱処理後の曲げ強度は350℃で2時間熱処理をしてから室温で測定した。
(3)摩擦係数:JASO C 406 に準拠して、1/10スケールダイナモテスターにより測定した。測定条件は、制動初速度50km/h、減速度0.3G、制動回数1000回とし、制動温度は100℃、200℃、300℃の3水準で行なった。
(4)摩耗量:マイクロメーターを用いて、摩擦係数測定前後のテストピースの厚さを計測し、各制動温度の摩耗量とした。
実施例は、ポリアミド樹脂を予めフェノールに溶解して、ポリアミド変性ノボラック型フェノール樹脂を調製した本発明の製造方法によって得られたポリアミド変性ノボラック型フェノール樹脂を用いた摩擦材(ブレーキ材)であるが、通常のノボラック型フェノール樹脂を用いた比較例1、及びノボラック型フェノール樹脂にポリアミド樹脂を混合して得られたポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を用いた比較例2と比較して、摩擦係数、強度を維持しつつ、柔軟性をアップし、摩耗量の低減が確認できた。
比較例2で調製した芳香族ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を用いた摩擦材(ブレーキ材)は、混合しただけのため、ポリアミド樹脂とノボラック型フェノール樹脂との相溶性が低く、実施例と比較しても強度低下が観られ、摩耗量減少効果が低いものであった。
比較例2で調製した芳香族ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を用いた摩擦材(ブレーキ材)は、混合しただけのため、ポリアミド樹脂とノボラック型フェノール樹脂との相溶性が低く、実施例と比較しても強度低下が観られ、摩耗量減少効果が低いものであった。
Claims (7)
- ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、
ポリアミド樹脂をフェノール類に溶解させて原材料混合液を得る工程(a)及び、
前記原材料混合液にアルデヒド類と酸性触媒とを用いて反応させ、ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を得る工程(b)
を、含むことを特徴とするポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。 - 前記ポリアミド樹脂は、芳香族ポリアミド樹脂を含む請求項1に記載のポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
- 前記ポリアミド樹脂の含有量は、前記原材料混合液全体に対して1〜30重量%である請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド変性ノボラック型フェノール樹脂の製造方法によって得られたことを特徴とするポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂。
- 請求項4に記載のポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を含むフェノール樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂の含有量が、前記フェノール樹脂組成物全体に対して5〜100重量%含むことを特徴とするフェノール樹脂組成物。
- 更に、ノボラック型フェノール樹脂(c)及び/またはレゾール型フェノール樹脂(d)を含むものである請求項5に記載のフェノール樹脂組成物。
- 請求項5又は6に記載のフェノール樹脂組成物を含むことを特徴とする摩擦材。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012032665A1 (ja) * | 2010-09-06 | 2012-03-15 | 作新工業株式会社 | 超高分子量ポリエチレン樹脂組成物とそれより得られる摺動性樹脂成形物 |
-
2006
- 2006-03-13 JP JP2006068231A patent/JP2007246570A/ja active Pending
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