JP2005120122A - 摺動材用組成物及び摺動材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 バインダー樹脂、基材、及び、球状フェノール樹脂硬化物を含有することを特徴とする摺動材用組成物と、これを成形してなる摺動材。好ましくは、球状フェノール樹脂硬化物は、平均粒径が0.1〜500μm、アセトン抽出率が5重量%以下であり、摺動材用組成物全体に対して、5〜40重量%を含有するものであることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
このような摺動材においては、耐熱性の向上は見られるものの、硬化特性が汎用のフェノール樹脂よりも劣っている場合があり、成形加工が非常に制限されたものになるという欠点があった。
(1)バインダー樹脂、基材、及び、球状フェノール樹脂硬化物を含有することを特徴とする摺動材用組成物。
(2)上記球状フェノール樹脂硬化物は、平均粒径が0.1〜500μmである上記(1)に記載の摺動材用組成物。
(3)上記球状フェノール樹脂硬化物は、アセトン抽出率が5重量%以下である上記(1)又は(2)に記載の摺動材用組成物。
(4)上記摺動材用組成物全体に対して、上記球状フェノール樹脂硬化物5〜40重量%を含有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の摺動材用組成物。
(5)上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の摺動材用組成物を成形してなる摺動材。
本発明の摺動材用組成物は、バインダー樹脂、基材、及び、球状フェノール樹脂硬化物を含有することを特徴とする。
また、本発明の摺動材は、上記本発明の摺動材用組成物を成形してなるものである。
まず、本発明の摺動材用組成物(以下、単に「組成物」ということがある)について説明する。
これらの中でも特に、フェノール樹脂を用いることが好ましい。これにより、摺動材に高い耐熱性及び機械的強度を付与することができる。また、摺動材のコストを低減することができる。
ゴムとしては例えば、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。
また、エンジニアリングプラスチックとしては例えば、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどが挙げられる。
これらは単独または二種類以上を組み合わせて使用することができる。
他のアルカリ性触媒、例えば、アンモニア、1級アミン化合物、2級アミン化合物を用いた場合は、3級アミンを用いた場合と比較すると、フェノール類とアルデヒド類との反応率が低くなり、未反応フェノール類の含有量が増加する傾向がある。また、アルカリ金属の水酸化物を使用する場合は、反応条件によってはフェノール樹脂硬化物を反応系中で球状化することが難しくなる場合がある。
3級アミン化合物の配合量についても特に限定されないが、フェノール類に対して0.1〜5.0重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0〜3.0重量%である。配合量が上記下限値より少ないと、フェノール樹脂粒子を形成することが難しくなる場合がある。
反応モル比が上記上限値を越えると、樹脂中に含有される未反応のアルデヒド類の量が多くなるので、アルデヒド臭が強くなるとともにコスト的にも不利である。一方、上記下限値未満であると樹脂中に含有される未反応フェノール類の量が多くなったり、樹脂が硬化するのに長時間を要したりするようになる。
また、懸濁安定剤の配合量についても特に限定されないが、フェノールに対して0.1〜10重量%を配合することが好ましい。
これにより、目的とする平均粒径を有する球状フェノール樹脂を効率的に得ることができる。
平均粒径を上記範囲内とする方法としては特に限定されないが、用いるフェノール類、アルデヒド類、反応触媒、縣濁剤などの種類や、反応温度、反応時間、縣濁時の撹拌速度などの反応条件を調整し、目的とする用途に合わせて適宜条件を選択することにより行うことができる。
配合量が上記下限値を下回ると、磨耗量低減効果が充分でない場合がある。また、上記上限値を越えると、基材自身の特性を妨げる場合があり、具体的には機械的強度や耐熱性が低下する場合がある。
本発明の組成物の製造方法としては特に限定されないが、例えば、バインダー樹脂、基材、球状フェノール樹脂硬化物、及び、その他の成分を各々好ましい形態で用い、通常の混合装置等を用いて混合する方法により得ることができる。
例えば、基材としてゴムを用いる場合の一例を挙げると、ゴム、カーボンブラック、プロセスオイル、ステアリン酸、酸化亜鉛等を配合し、これを100℃程度で混合した後、一旦冷却し、この混合物に硫黄、加硫促進剤、バインダー樹脂、球状フェノール樹脂硬化物を加えて再度混合することにより、組成物を得ることができる。
また、基材としてエンジニアリングプラスチックを用いる場合は、このエンジニアリングプラスチックを軟化温度付近、例えば200〜400℃の温度で軟化させ、これにバインダー樹脂、球状フェノール樹脂硬化物、及び、その他の成分を加えて混合することにより、組成物を得ることができる。
本発明の摺動材は、上記本発明の組成物を成形してなるものである。
成形条件としては特に限定されず、用いる基材の種類、摺動材の用途などにより適宜好適な条件を設定することができる。例えば、ゴムを基材とした組成物を用いる場合は、ゴムが加硫する温度域で加熱加圧して所定の型で成形する。必要に応じて、さらに二次加硫を行って摺動材を得ることができる。また、エンジニアリングプラスチックを基材とした組成物を用いる場合は、エンジニアリングプラスチックや他の成分が軟化する温度域で加熱加圧して所定の型で成形することにより摺動材を得ることができる。
《実施例1》
スチレン−ブタジエンゴム60部、カーボンブラック40部、プロセスオイル20部、ステアリン酸1部、酸化亜鉛1部を、バンバリーミキサーを用いて100℃で混合した。混合後、一旦冷却し、この混合物に硫黄5部、加硫促進剤1部、市販の粉末フェノール樹脂(住友ベークライト社製:「PR−217」)30部、市販の球状フェノール樹脂硬化物(住友ベークライト社製:PR−ACS−7)10部を加え、バンバリーミキサーを用いて100℃で混合して組成物を得た。
実施例1において、球状フェノール樹脂硬化物を20部とした以外は、実施例1と同様にして組成物を得た。
実施例1において、球状フェノール樹脂硬化物を40部とした以外は、実施例1と同様にして組成物を得た。
冷却管及び撹拌機を備えた5Lのフラスコに、メタクレゾール1000部、37%ホルマリン1200部、水1500部、トリエチルアミン20部、ポリビニルアルコール(クラレ社製・「PVA−117」)100部を入れ、撹拌しながら昇温を行い、100℃で5時間還流反応を行った。反応後、30℃まで冷却して、静置し、上水を除去し、水で粒子を洗浄した。
洗浄後、100℃のオーブンで5時間乾燥を行い、その後、卓上粉砕機で解砕して、球状メタクレゾール樹脂硬化物を得た。
得られた球状メタクレゾール樹脂硬化物を用い、実施例2と同様の方法で組成物を得た。
実施例1において、球状フェノール樹脂硬化物を配合しない以外は実施例1と同様にして組成物を得た。
実施例及び比較例で得られた組成物を用いて、170℃、10MPaでプレス成形を行い、1mm厚の摺動材相当の評価試料を得た。
(1)フェノール樹脂硬化物の平均粒径:レーザー散乱型粒度分布測定装置(堀場製作所社製:LA920)を用いて測定した。
(2)フェノール樹脂硬化物のアセトン抽出率:フェノール樹脂球状硬化物約1gを円筒濾紙に入れ、ソックスレー抽出機を用いて8時間還流抽出を行った。抽出後、抽出物を100℃で8時間乾燥固化させて、減少分の重量を測定し抽出率を求めた。
(3)摩耗量:上記で得られた摺動材を2cm角に裁断した。これを試験用の治具に接着させて、磨耗量測定用の試験片を作製した。スラスト式摺動試験機による摺動試験法に準拠して、相手材としてS45Cを用い、滑り速度100cm/秒、荷重50Nで、滑り距離が10kmになるまで連続運転して回転摩擦させた。このときの摩耗量を測定した。
(4)摺動特性:上記(3)の試験終了時に、摺動材の摩擦係数を測定した。
Claims (5)
- バインダー樹脂、基材、及び、球状フェノール樹脂硬化物を含有することを特徴とする摺動材用組成物。
- 前記球状フェノール樹脂硬化物は、平均粒径が0.1〜500μmである請求項1に記載の摺動材用組成物。
- 前記球状フェノール樹脂硬化物は、アセトン抽出率が5重量%以下である請求項1又は2に記載の摺動材用組成物。
- 前記摺動材用組成物全体に対して、前記球状フェノール樹脂硬化物5〜40重量%を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の摺動材用組成物。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の摺動材用組成物を成形してなる摺動材。
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