JPWO2016104624A1 - 摺動部材用フェノール樹脂成形材料および摺動部材 - Google Patents

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Abstract

本発明の摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂と、黒鉛と、ポリテトラフルオロエチレンと、球状をなすガラスビーズとを含有する。また、摺動部材用フェノール樹脂成形材料中のフェノール樹脂の含有量は、15重量%以上50重量%以下である。

Description

本発明は、摺動部材用フェノール樹脂成形材料および摺動部材に関する。
自動車等に使用される機構部品は、高温環境や他の部品との摩擦が生じる環境等の過酷な環境下において使用されることが多い。そのため、近年、そのような機構部品に対して、優れた機械的強度はもちろんのこと、高い耐熱性や耐摩耗性等の特性が要求されている。これらの要求特性を満たすために、セラミックや金属等から成形される機構部品が広く用いられていた。しかしながら、セラミックや金属を用いた場合、機構部品の重量が重くなる、加工に時間がかかる、コストが高い等の問題が生じてしまう。そこで、機構部品の軽量化への要望が高まるにつれて、プラスチック材料を用いて機構部品を成形する技術が注目されてきた(例えば、特許文献1、2参照。)。
特に、機構部品に対する要求特性を満たす材料として、フェノール樹脂成形材料が知られており、セラミックや金属の代替材として注目されている。フェノール樹脂成形材料を用いて得られた成形品は高い耐熱性を有し、製品への加工も容易であることから、その使用メリットは大きい。また、優れた機械的強度を成形品に付与するために、充填基材としてガラス繊維等をフェノール樹脂成形材料に添加することが従来行われてきた。この場合、機械的強度は向上するが耐摩耗性が悪化するという問題があり、耐摩耗性が必要な機構部品を製造するためには、このようなフェノール樹脂成形材料は不適切であった。
そこで、フェノール樹脂成形材料を用いて得られた機構部品に耐摩耗性を付与すること、および、該機構部品の摺動性の向上を図ることを目的に、フェノール樹脂成形材料に、黒鉛を添加することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、フェノール樹脂成形材料に黒鉛を添加した場合であっても、機構部品の摺動性および耐摩耗性を十分に向上させることができない。そのため、さらに優れた摺動性および耐摩耗性を有する機構部品を成形し得る成形材料の開発が求められている。
特開2001−241389号公報 特開2003−138042号公報 特開2002−003698号公報
本発明の目的は、優れた耐熱性および機械的強度を維持しつつ、優れた摺動性および耐摩耗性を備える摺動部材を成形し得る摺動部材用フェノール樹脂成形材料、かかる摺動部材用フェノール樹脂成形材料の硬化物を成形してなる、優れた耐熱性および機械的強度を維持しつつ、優れた摺動性および耐摩耗性を備える摺動部材を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(10)に記載の本発明により達成される。
(1) フェノール樹脂と、黒鉛と、ポリテトラフルオロエチレンと、球状をなすガラスビーズとを含有する摺動部材用フェノール樹脂成形材料であって、
前記摺動部材用フェノール樹脂成形材料中の前記フェノール樹脂の含有量は、15重量%以上50重量%以下であることを特徴とする摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
(2) 前記ポリテトラフルオロエチレンの含有量は、前記フェノール樹脂100質量部に対して、3質量部以上15質量部以下である上記(1)に記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
(3) 前記ガラスビーズの平均粒径は、1μm以上50μm以下である上記(1)または(2)に記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
(4) 前記ガラスビーズのビッカース硬度(JIS Z 2244に規定)は、8.5GPa以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
(5) 前記ガラスビーズの含有量は、前記フェノール樹脂100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
(6) 前記ポリテトラフルオロエチレンの数平均分子量は、10000以上10000000以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
(7) 前記摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、さらに、炭素繊維を含有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
(8) 前記摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、下記要件Aを満足する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
要件A: JIS R 1613(1993年規格)に規定のボールオンディスク式の摩擦・摩耗試験方法に準拠して、前記摺動部材用フェノール樹脂成形材料を用いて円盤状に成形された摺動部材の上面に、円柱状の3本のピンを用いて、面圧P[MPa]の荷重を前記摺動部材の前記上面に対して垂直な方向に付与した状態で、前記摺動部材を周方向に周速V[m/sec]で回転させるピンオンディスク試験を行い、前記摺動部材の動摩擦係数を測定したとき、該動摩擦係数がPV=5.0の条件下で0.15以下となっている。
(9) さらに、前記摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、下記要件Bを満足する上記(8)に記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
要件B: JIS K 7218(1986年規格)に規定のスラストシリンダー(鈴木)式の摩擦・摩耗試験方法に準拠して、前記摺動部材用フェノール樹脂成形材料を用いて円盤状に成形された前記摺動部材の上面に、円筒状の1つのリングを用いて、面圧P[MPa]の荷重を前記摺動部材の前記上面に対して垂直な方向に付与した状態で、前記摺動部材を周方向に周速V[m/sec]で回転させ、前記摺動部材の動摩擦係数を測定したとき、該動摩擦係数がPV=0.5の条件下で0.25以下となっている。
(10) 上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料を成形してなること特徴する摺動部材。
本発明の摺動部材用フェノール樹脂成形材料を上記構成とすることで、かかる摺動部材用フェノール樹脂成形材料を成形して得られる摺動部材を、優れた耐熱性および機械的強度を維持しつつ、優れた摺動性および耐摩耗性を備えるものとすることができる。
図1は、JIS R 1613(1993年規格)に規定のボールオンディスク式の摩擦・摩耗試験方法に準拠してピンオンディスク式で動摩擦係数を測定する方法を説明するための図である。 図2は、JIS K 7218(1986年規格)に規定のスラストシリンダー式(鈴木式)の摩擦・摩耗試験方法に準拠して動摩擦係数を測定する方法を説明するための図である。
以下、本発明の摺動部材用フェノール樹脂成形材料および摺動部材を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<摺動部材用フェノール樹脂成形材料>
まず、本発明の摺動部材用フェノール樹脂成形材料について説明する。
本発明の摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂と、黒鉛と、ポリテトラフルオロエチレンと、球状をなすガラスビーズとを含有する。また、本発明の摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、該摺動部材用フェノール樹脂成形材料中のフェノール樹脂の含有量が、摺動部材用フェノール樹脂成形材料全体に対して、15重量%以上50重量%以下となるよう調製されている。
摺動部材用フェノール樹脂成形材料を、かかる構成を有するよう調製することで、この摺動部材用フェノール樹脂成形材料を成形して得られる摺動部材を、優れた耐熱性および機械的強度を維持しつつ、優れた摺動性および耐摩耗性を備えるものとすることができる。
以下、この摺動部材用フェノール樹脂成形材料に含まれる各構成材料について説明する。
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂は、得られる摺動部材の耐熱性を向上させるために、摺動部材用フェノール樹脂成形材料に含まれる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、アリールアルキレン型ノボラック樹脂のようなノボラック型フェノール樹脂、ジメチレンエーテル型レゾール樹脂、メチロール型レゾール樹脂等の未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂のようなレゾール型フェノール樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ノボラック型フェノール樹脂を用いる場合、摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、硬化剤を含む。通常、この硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミンが使用される。さらに、ヘキサメチレンテトラミンを用いる場合、その含有量は、特に限定されないが、ノボラック型フェノール樹脂100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下であることが好ましく、さらに15質量部以上20質量部以下であることが好ましい。ヘキサメチレンテトラミンの含有量を上記範囲とすることで、摺動部材用フェノール樹脂成形材料の硬化物すなわち摺動部材の機械的強度および成形収縮量を向上させることができる。
また、フェノール樹脂として、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂とを併用してもよい。これにより、得られる摺動部材の機械的強度をより高めることができるとともに、靭性をも高めることができる。
さらに、フェノール樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、例えば、500〜1000であることが好ましく、700〜900であることがより好ましい。数平均分子量が前記下限値未満の場合、フェノール樹脂の種類等によっては、摺動部材の製造において溶融した摺動部材用フェノール樹脂成形材料の粘度が低くなり、その結果、摺動部材を生産する作業の作業性が悪くなり、摺動部材の生産に要する時間が長くなるおそれがある。また前記上限値を超える場合、摺動部材用フェノール樹脂成形材料が十分に溶融せず、摺動部材の生産性が低下するおそれがある。
また、摺動部材用フェノール樹脂成形材料中のフェノール樹脂の含有量は、摺動部材用フェノール樹脂成形材料全体に対して、15重量%以上50重量%以下であるが、15重量%以上45重量%以下であることが好ましく、30重量%以上45重量%以下であることがさらに好ましい。
摺動部材用フェノール樹脂成形材料中のフェノール樹脂の含有量をかかる範囲に設定することにより、摺動部材用フェノール樹脂成形材料に必要な生産性、成形特性を付与することができ、加熱処理により得られる摺動部材用フェノール樹脂成形材料の硬化物、すなわち摺動部材の曲げ強度および曲げ弾性を後述する好ましい範囲に、容易かつ確実に設定することができる。
さらに、摺動部材用フェノール樹脂成形材料中のフェノール樹脂の含有量をかかる範囲に設定することにより、摺動部材の耐摩耗性が大きく低下することを防ぐことができる。
なお、摺動部材用フェノール樹脂成形材料中のフェノール樹脂の含有量が15重量%未満である場合、得られる摺動部材の生産性、成形特性が低下してしまう。一方、摺動部材用フェノール樹脂成形材料中のフェノール樹脂の含有量が50重量%を超える場合、得られる摺動部材の強度や耐摩耗性が大きく低下してしまう。したがって、いずれの場合であっても、得られる振動部材は、自動車等に使用される機構部品として実使用に耐えうるものではなくなってしまう。
(黒鉛)
黒鉛は、得られる摺動部材の摺動性および耐摩耗性を向上させるために、摺動部材用フェノール樹脂成形材料に含まれる。
黒鉛としては、特に限定されないが、例えば、土状黒鉛、鱗状黒鉛、塊状黒鉛等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、土状黒鉛を用いることが好ましい。これにより、摺動部材の摺動性をより確実に向上させることができる。
また、通常、粒子状の黒鉛が、摺動部材用フェノール樹脂成形材料に添加される。黒鉛の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、1μm以上200μm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。黒鉛の平均粒子径をかかる範囲に設定することで、得られる摺動部材の摺動性および耐摩耗性を確実に向上させることができる。
さらに、黒鉛の含有量は、特に限定されないが、フェノール樹脂100質量部(ノボラック系フェノール樹脂を用いる場合、ノボラック系フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンとの合計量100質量部)に対して、20質量部以上70質量部以下であることが好ましく、35質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。これにより、特に優れた摺動性および耐摩耗性を有する摺動部材を得ることができる。
(ポリテトラフルオロエチレン)
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、得られる摺動部材の摺動性および耐摩耗性を向上させるために、摺動部材用フェノール樹脂成形材料に含まれる。
摺動性を向上させるため、通常、粒子状のポリテトラフルオロエチレンが、摺動部材用フェノール樹脂成形材料に添加される。ポリテトラフルオロエチレンの平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、1μm以上200μm以下であることが好ましく、5μm以上100μm以下であることがより好ましい。ポリテトラフルオロエチレンの平均粒子径をかかる範囲に設定することで、得られる摺動部材の摺動性および耐摩耗性を確実に向上させることができる。
また、ポリテトラフルオロエチレンの数平均分子量は、特に限定されないが、例えば、10000以上10000000以下であることが好ましく、100000以上10000000以下であることがより好ましい。これにより、得られる摺動部材に優れた摺動性を付与することができるとともに、摺動部材の耐摩耗性が低下するのを確実に防止することができる。
さらに、ポリテトラフルオロエチレンの含有量は、特に限定されないが、フェノール樹脂100質量部(ノボラック系フェノール樹脂を用いる場合、ノボラック系フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンとの合計量100質量部)に対して、3質量部以上15質量部以下であることが好ましく、5質量部以上13質量部以下であることがより好ましい。これにより、フェノール樹脂による高い耐熱性、生産性、成形特性の付与効果を大きく阻害することなく、特に優れた摺動性および耐摩耗性を有する摺動部材を得ることができる。
(ガラスビーズ)
ガラスビーズは、粒子状(球状)をなし、得られる摺動部材の摺動性および耐摩耗性を向上させるために、摺動部材用フェノール樹脂成形材料に含まれる。
ガラスビーズの構成材料としては、特に限定されないが、例えば、SiO,B,P,GeO,BeF,As等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、このガラスビーズの構成材料には、さらに、TiO,TeO,Al,Biのうちの少なくとも1種が添加されていてもよい。
このガラスビーズの平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上30μm以下であることが好ましい。ガラスビーズの平均粒径を上記上限値以下とすることにより、ガラスビーズの比表面積を十分に増大させることができる。したがって、ガラスビーズが酸化物を含む場合には、ガラスビーズ表面に存在する水酸基と、フェノール樹脂のフェノール性水酸基との間の結合を増加させることができる。その結果、ガラスビーズとフェノール樹脂との間の密着性を向上させることができ、得られる摺動部材の機械的強度を向上させることができる。一方、ガラスビーズの平均粒径が上記下限値未満であると、ガラスビーズの含有量等によっては、ガラスビーズによる摺動性および耐摩耗性の向上効果が十分に得られない場合がある。
また、ガラスビーズの粒度分布は、可能な限り狭いことが好ましい。これにより、ガラスビーズの粒度の不均一さに起因して、摺動部材の摺動性および耐摩耗性が不均一になることを防止することができる。
さらに、ガラスビーズのビッカース硬度(JIS Z 2244に規定)が8.5GPa以下であることが好ましい。これにより、摺動部材へ付与されるせん断応力や圧力によって、摺動部材中でガラスビーズが破壊されることを防止することができる。なお、ガラスビーズのビッカース硬度は、マイクロビッカース硬さ試験機により測定することができる。
さらに、ガラスビーズの平均粒子径およびビッカース硬度を、それぞれ、前記範囲に設定することで、得られる摺動部材の摺動性および耐摩耗性を確実に向上させることができる。
さらに、ガラスビーズの含有量は、特に限定されないが、フェノール樹脂100質量部(ノボラック系フェノール樹脂を用いる場合、ノボラック系フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンとの合計量100質量部)に対して、10質量部以上50質量部以下であることが好ましく、15質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。これにより、フェノール樹脂による高い耐熱性、生産性、成形特性の付与効果を大きく阻害することなく、特に優れた摺動性および耐摩耗性を有する摺動部材を得ることができる。
(炭素繊維)
また、摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、上述のフェノール樹脂、黒鉛、ポリテトラフルオロエチレンおよびガラスビーズに加えて、さらに、炭素繊維を含有することが好ましい。これにより、得られる摺動部材の機械的強度をより向上させることができる。
炭素繊維としては、特に限定されないが、例えば、セルロース系、アクリロニトリル系、フェノール系、ピッチ系のような各種炭素繊維が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、炭素繊維の比表面積は、500m/g以上であるのが好ましく、1000m/g以上であるのがより好ましい。
さらに、炭素繊維の繊維径は、特に限定されないが、例えば、1μm以上20μm以下であることが好ましく、5μm以上10μm以下であることがより好ましい。
このような比表面積および繊維径を有する炭素繊維を用いることで、得られる摺動部材の機械的強度をさらに向上させることができる。
さらに、炭素繊維の含有量は、特に限定されないが、フェノール樹脂100質量部(ノボラック系フェノール樹脂を用いる場合、ノボラック系フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンとの合計量100質量部)に対して、30質量部以上100質量部以下であることが好ましく、50質量部以上70質量部以下であることがより好ましい。これにより、さらに優れた機械的強度を有する摺動部材を得ることができる。
さらに、摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、上述した各成分以外の他の成分を含んでいてもよい。
この他の成分としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、炭化ホウ素、クレー、マイカ、タルク、ワラストナイトのような無機充填材、レベリング剤、消泡剤、離型剤、硬化助剤、顔料等の添加剤が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、ジメチルホルムアルデヒド等の溶剤を含んでいてもよい。これにより、樹脂材料等が溶剤に溶解するので、摺動部材用フェノール樹脂成形材料をワニス状とすることができる。
なお、このようなワニス状の摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、例えば、必要に応じて樹脂材料と溶剤とを、加熱ロールまたは二軸混練機等を用いて加熱混練することでワニス状にした後、さらに、他の材料を混合することで得ることができる。
また、固形状の摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、ワニス状の摺動部材用フェノール樹脂成形材料を冷却・乾燥後に、粉砕、または、粉砕および造粒することで得ることができる。
<摺動部材>
さらに、この摺動部材用フェノール樹脂成形材料を成形する方法、すなわち、摺動部材を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、射出成形法、移送成形法、圧縮成形法等の方法を用いることもできる。これらの中でも、特に、射出成形法を用いるのが好ましい。
射出成形法を用いる場合、その成形条件の一例として、温度160〜180℃、圧力10〜20MPa、硬化時間40〜120秒の条件が挙げられる。これらの条件下において、目的とする摺動部材の形状に対応した空間を備える金型に摺動部材用フェノール樹脂成形材料を充填することで、各種摺動部材(成形品)を成形することができる。また、必要に応じて、硬化度の向上、アニール等を目的として、得られた摺動部材に対して、温度160〜250℃、大気圧下、加熱時間1〜20時間程度のアフターベーキング処理を行ってもよい。
本発明の摺動部材は、JIS R 1613(1993年規格)に規定のボールオンディスク式の摩擦・摩耗試験方法に準拠して、円盤状に成形された摺動部材の上面に、円柱状の3本のピンで、面圧P[MPa]の荷重を上面に対して垂直な方向(摺動部材の面外方向)に付与した状態で、摺動部材を周方向(面内方向)に周速V[m/sec]で回転させるピンオンディスク試験を行い、摺動部材の動摩擦係数を測定したとき、該動摩擦係数がPV=5.0の条件下で0.15以下となっている。
ここで、JIS R 1613(1993年規格)に規定のボールオンディスク式の摩擦・摩耗試験方法に準拠した、PV=5.0の条件下における摺動部材の動摩擦係数は、より具体的には、以下のようにして求めることができる。
すなわち、まず、摺動部材用フェノール樹脂成形材料を、温度175℃、圧力10MPa、硬化時間60秒の条件で射出成形した後、温度180℃、大気圧下、加熱時間8時間の条件でアフターベーキング処理することにより、円盤状をなす試験片(厚さ4mm×半径30mm)を得る。
次いで、炭素鋼(S45C)で構成される円柱状のピン(端面の面積=20mm)を3本用意し、これらを、試験片の上面に、中心から同一の距離離間させた状態で立設させる。
次いで、円盤状をなすピンホルダを3本のピン上に載置した状態、すなわち、3本のピンを、試験片とピンホルダとで挾持した状態とする。
次いで、この状態で、ピンホルダ側から試験片側に向かって、すなわち、試験片(摺動部材)の上面に対して垂直な方向(面外方向)に沿って、面圧0.6[MPa]の荷重を付与しつつ、室温・大気圧下の条件で、試験片を周方向(面内方向)に周速8.3[m/sec]で回転させる(図1参照。)。
次いで、回転開始後から30分〜60分の間、動摩擦係数を複数回測定し、これらの平均値を求めることで、PV=5.0の条件下における動摩擦係数が得られる。そして、このようにして測定される試験片の動摩擦係数は、0.15以下となっている。これは、得られた試験片(本発明の摺動部材)が優れた摺動性を有していることを示している。
さらに、以上のようにして試験片を60分間回転させた後における、試験片の摩耗量は、5.0mg以下であることが好ましい。これは、得られた試験片(本発明の摺動部材)が優れた耐摩耗性を有していることを示している。
さらに、本発明の摺動部材は、JIS K 7218(1986年規格)に規定のスラストシリンダー(鈴木)式の摩擦・摩耗試験方法に準拠して、円盤状に成形された摺動部材の上面に、円筒状をなす1つのリングで、面圧P[MPa]の荷重を摺動部材の上面に対して垂直な方向(面外方向)に付与した状態で、摺動部材を周方向(面内方向)に周速V[m/sec]で回転させ、摺動部材の動摩擦係数を測定したとき、該動摩擦係数がPV=0.5の条件下で0.25以下となっていることが好ましい。
ここで、JIS K 7218(1986年規格)に規定のスラストシリンダー(鈴木)式の摩擦・摩耗試験方法に準拠した、PV=0.5の条件下における摺動部材の動摩擦係数は、より具体的には、以下のようにして求めることができる。
すなわち、まず、摺動部材用フェノール樹脂成形材料を、温度175℃、圧力10MPa、硬化時間60秒の条件で射出成形した後、温度180℃、大気圧下、加熱時間8時間の条件でアフターベーキング処理することにより、円盤状をなす試験片(厚さ4mm×半径30mm)を得る。
次いで、炭素鋼(S45C)で構成される円筒状をなすリング(端面の面積=200mm)を1つ用意し、これを、試験片の上面に、試験片の中心とリングの中心とが重なる状態で配置する。
次いで、この状態で、リング側から試験片側に向かって、すなわち、試験片(摺動部材)の上面に対して垂直な方向(面外方向)に沿って、面圧0.2[MPa]の荷重を付与しつつ、室温・大気圧下の条件で、試験片を周方向(面内方向)に周速2.5[m/sec]で回転させる(図2参照。)。
次いで、回転開始後から30分〜60分の間、動摩擦係数を複数回測定し、これらの平均値を求めることで、PV=0.5の条件下における動摩擦係数が得られる。そして、このようにして測定される試験片の動摩擦係数は、本発明では、0.25以下となっている。これは、得られた試験片(本発明の摺動部材)がより優れた摺動性を有していることを示している。
さらに、以上のようにして試験片を60分間回転させた後における、試験片の摩耗量は、2.5mg以下であることが好ましい。これは、得られた試験片(本発明の摺動部材)がより優れた耐摩耗性を有していることを示している。
また、摺動部材の曲げ強度は、150MPa以上であることが好ましい。さらに、摺動部材の曲げ弾性は、15MPa以上であることが好ましい。このような範囲の曲げ強度および曲げ弾性を有する摺動部材は、自動車等に使用される機構部品として、特に優れた機械的強度を有していると言うことができる。
以上のような摺動部材用フェノール樹脂成形材料を成形することで、各種摺動部材が得られる。この摺動部材としては、例えば、ベーンポンプ(パワーステアリング用ベーンポンプ)が挙げられ、より具体的には、このベーンポンプが備える、ベーン、ロータ、カムリング等に本発明の摺動部材を適用することができる。また、この他、例えば、各種軸受、スラストワッシャー等に適用することができる。
以上、本発明の摺動部材用フェノール樹脂成形材料および摺動部材を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の摺動部材を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、本発明の摺動部材用フェノール樹脂成形材料には、任意の構成物が付加されていてもよい。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
1. 試験片の製造
以下のようにして試験片を製造した。
(実施例1)
1.1 成形材料の作製
表1に示す原材料および配合量で予備混練した後、90℃の加熱ロールにより混練し、さらにその後、粉砕して、フェノール樹脂成形材料を得た。なお、表1における配合量は「質量部」を表す。
表1に示した原材料の詳細を以下に示す。
(フェノール樹脂)
レゾール型フェノール樹脂:住友ベークライト社製、「PR−53529」
ノボラック型フェノール樹脂:住友ベークライト社製、「PR−51470」
なお、フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを質量比9:1で混合して用いた。
炭素繊維:ゾルテック社製、「PX35CF」
黒鉛:RANCO社製
PTFE:SOLVAY社製、「Polymist」、平均粒径20μm
ガラスビーズ:Potters社製、平均粒径10μm
その他:潤滑剤、可塑剤、顔料を用いた。
1.2 試験片の成形
得られた成形材料を、温度175℃、圧力10MPa、硬化時間60秒の条件で射出成形した後、温度180℃、大気圧下、加熱時間8時間の条件でアフターベーキング処理を行い、下記形状の評価用試験片を得た。
摩擦・摩耗用試験片形状:厚さ4mm×半径30mm
曲げ試験用試験片形状:幅10mm×厚さ4mm×長さ80mm
(実施例2、3)
前記1.1において摺動部材用フェノール樹脂成形材料を調製する際の各構成原料の配合量を表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2、3の試験片を得た。
(比較例1〜4)
前記1.1において摺動部材用フェノール樹脂成形材料を調製する際の各構成原料の配合量を表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、比較例1〜4の試験片を得た。
2.試験片の評価
2−1. 3ピンオンディスク式の摩擦・摩耗試験
(実施例1〜3)
実施例1〜3の試験片のそれぞれに対して、3ピンオンディスク式の摩擦・摩耗試験を行った。まず、炭素鋼(S45C)で構成される円柱状をなすピン(端面の面積=20mm)を3本用意し、これらを、円盤状をなすピンホルダに固定した。
次いで、ピンホルダに固定された3本のピンを、各実施例の試験片の上面に、中心から同一の距離離間させた状態で立設させた。
次いで、この状態で、ピンホルダ側から試験片側に向かって、面圧0.6[MPa]の荷重を付与しつつ、室温・大気圧下の条件で、試験片を周方向(面内方向)に周速8.3[m/sec]で回転させた(図1参照。)。
次いで、回転開始後から30分〜60分の間、動摩擦係数を複数回測定し、これらの平均値を求めることで、各実施例の試験片のPV=5.0の条件下における動摩擦係数を得た。
さらに、以上のようにして各実施例の試験片を60分間回転させた後における、各実施例の試験片の摩耗量を測定した。
(比較例1〜4)
各実施例の試験片に代えて、比較例1〜4の試験片を、それぞれ用いたこと以外は、前記各実施例と同様にして、比較例1〜4の試験片のPV=5.0の条件下における動摩擦係数および摩耗量を測定した。
2−2. スラストシリンダー(鈴木)式の摩擦・摩耗試験
(実施例1〜3)
実施例1〜3の試験片のそれぞれに対して、スラストシリンダー(鈴木)式の摩擦・摩耗試験を行った。まず、炭素鋼(S45C)で構成される円筒状をなすリング(端面の面積=200mm)を1つ用意し、これを、各実施例の試験片の上面に、配置した。
次いで、この状態で、リング側から試験片側に向かって、面圧0.2[MPa]の荷重を付与しつつ、室温・大気圧下の条件で、各実施例の試験片を周方向(面内方向)に周速2.5[m/sec]で回転させた(図2参照。)。
次いで、回転開始後から30分〜60分の間、動摩擦係数を複数回測定し、これらの平均値を求めることで、各実施例の試験片のPV=0.5の条件下における動摩擦係数を得た。
さらに、以上のようにして各実施例の試験片を60分間回転させた後における、各実施例の試験片の摩耗量を測定した。
(比較例1〜4)
各実施例の試験片に代えて、比較例1〜4の試験片を、それぞれ用いたこと以外は、前記各実施例と同様にして、比較例1〜4の試験片のPV=0.5の条件下における動摩擦係数および摩耗量を測定した。
2−3. 曲げ強度および曲げ弾性の測定
実施例1〜3および比較例1〜4の試験片について、それぞれテンシロンUCT−5C(オリエンテック社製)を用いて、曲げ強度および曲げ弾性(機械的特性)を測定した。
以上の摺動特性、および機械的特性(曲げ強度および曲げ弾性)の評価結果を表1に示す。
Figure 2016104624
<摺動性>
表1に示すように、各実施例の試験片では、PV=0.5の条件下における動摩擦係数が、0.25以下であり、さらに、PV=5.0の条件下における動摩擦係数が0.15以下となっている。この結果は、本発明の各実施例の試験片(摺動部材)が優れた摺動性を有していることを示している。
これに対して、比較例1、2の試験片は、摺動部材用フェノール樹脂成形材料へのガラスビーズの添加が省略されていることに起因して、PV=0.5の条件下における動摩擦係数が0.25以下、およびPV=5.0の条件下における動摩擦係数が0.15以下となっていない。この結果は、比較例1、2の試験片(摺動部材)の摺動性が低いことを示している。
<耐摩耗性>
また、実施例1および2の試験片では、PV=0.5の条件下における摩耗量が2.5mg以下であり、さらに、PV=5.0の条件下における摩耗量が5.0mg以下となっている。この結果は、本発明の実施例1および2の試験片(摺動部材)が、特に優れた耐摩耗性を有していることを示している。
これに対して、比較例4の試験片では、PV=0.5の条件下における摩耗量が2.5mgを上回っており、さらに、PV=5.0の条件下における摩耗量が5.0mgを上回っている。この結果は、比較例4の試験片(摺動部材)の耐摩耗性(強度)が低いことを示している。これは、比較例4の試験片では、摺動部材用フェノール樹脂成形材料全体に対するフェノール樹脂の含有量が、50重量%を上回っていることに起因するものと考えられる。
<機械的強度>
また、各実施例の試験片では、曲げ強度が150MPa以上であり、さらに、曲げ弾性が15GPa以上となっている。この結果は、各実施例の試験片(摺動部材)が、自動車等に使用される機構部品として、特に優れた機械的強度(機械特性)を有していることを示している。
また、各実施例では、摺動部材用フェノール樹脂成形材料中のフェノール樹脂の含有量が15重量%以上であることから、試験片(摺動部材)の生産性、成形特性が十分に高い。一方、比較例3では、摺動部材用フェノール樹脂成形材料中のフェノール樹脂の含有量が15重量%未満であることから、試験片(摺動部材)の生産性、成形特性が低い。
このような結果から、本発明の構成によって、摺動性、耐摩耗性、機械的強度、耐熱性、生産性、および成形特性の全ての面において優れた摺動部材を得ることができることがわかった。一方、各比較例の構成では、摺動性、耐摩耗性、機械的強度、耐熱性、生産性、および成形特性の全ての面において優れた摺動部材を得ることができないことがわかった。
本発明によれば、優れた耐熱性および機械的強度を維持しつつ、優れた摺動性および耐摩耗性を備える摺動部材を成形し得る摺動部材用フェノール樹脂成形材料、かかる摺動部材用フェノール樹脂成形材料の硬化物を成形してなる、優れた耐熱性および機械的強度を維持しつつ、摺動性および耐摩耗性を備える摺動部材を提供することができる。したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有する。

Claims (10)

  1. フェノール樹脂と、黒鉛と、ポリテトラフルオロエチレンと、球状をなすガラスビーズとを含有する摺動部材用フェノール樹脂成形材料であって、
    前記摺動部材用フェノール樹脂成形材料中の前記フェノール樹脂の含有量は、15重量%以上50重量%以下であることを特徴とする摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
  2. 前記ポリテトラフルオロエチレンの含有量は、前記フェノール樹脂100質量部に対して、3質量部以上15質量部以下である請求項1に記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
  3. 前記ガラスビーズの平均粒径は、1μm以上50μm以下である請求項1または2に記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
  4. 前記ガラスビーズのビッカース硬度(JIS Z 2244に規定)は、8.5GPa以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
  5. 前記ガラスビーズの含有量は、前記フェノール樹脂100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
  6. 前記ポリテトラフルオロエチレンの数平均分子量は、10000以上10000000以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
  7. 前記摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、さらに、炭素繊維を含有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
  8. 前記摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、下記要件Aを満足する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
    要件A: JIS R 1613(1993年規格)に規定のボールオンディスク式の摩擦・摩耗試験方法に準拠して、前記摺動部材用フェノール樹脂成形材料を用いて円盤状に成形された摺動部材の上面に、円柱状の3本のピンを用いて、面圧P[MPa]の荷重を前記摺動部材の前記上面に対して垂直な方向に付与した状態で、前記摺動部材を周方向に周速V[m/sec]で回転させるピンオンディスク試験を行い、前記摺動部材の動摩擦係数を測定したとき、該動摩擦係数がPV=5.0の条件下で0.15以下となっている。
  9. さらに、前記摺動部材用フェノール樹脂成形材料は、下記要件Bを満足する請求項8に記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料。
    要件B: JIS K 7218(1986年規格)に規定のスラストシリンダー(鈴木)式の摩擦・摩耗試験方法に準拠して、前記摺動部材用フェノール樹脂成形材料を用いて円盤状に成形された前記摺動部材の上面に、円筒状の1つのリングを用いて、面圧P[MPa]の荷重を前記摺動部材の前記上面に対して垂直な方向に付与した状態で、前記摺動部材を周方向に周速V[m/sec]で回転させ、前記摺動部材の動摩擦係数を測定したとき、該動摩擦係数がPV=0.5の条件下で0.25以下となっている。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の摺動部材用フェノール樹脂成形材料を成形してなること特徴する摺動部材。
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