JP2020105275A - フェノール樹脂成形材料および成形品 - Google Patents

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和弥 藤田
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佑典 渡邉
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Abstract

【課題】流動安定性を向上させつつ、硬化物の機械特性を向上できるフェノール樹脂成形材料を提供する。【解決手段】本発明のフェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂と、エステル構造を有する芳香族化合物、エステル構造を有する脂肪族化合物、および連結基を介して2個のベンゼン環が結合した構造を有する芳香族二量体からなる群から選択される一種以上の改質剤と、充填材と、を含み、充填材の含有比率が、前記フェノール樹脂に対して、質量換算で、1.2以上8.0以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール樹脂成形材料および成形品に関する。
これまでフェノール樹脂成形材料について様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、射出成形機を使用して、ノボラック型フェノール樹脂およびヘキサメチレンテトラミンを含有するフェノール樹脂成形材料を成形することにより成型品を得ることが記載されている。
特開平10−330583号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載のフェノール樹脂成形材料において、流動安定性および機械特性の点で改善の余地があることが判明した。
本発明者はさらに検討したところ、フェノール樹脂および充填材を含むフェノール樹脂成形材料に対して、改質剤を適切に選択することにより、フェノール樹脂成形材料の流動安定性を向上させつつ、その硬化物の機械特性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
フェノール樹脂と、
エステル構造を有する芳香族化合物、エステル構造を有する脂肪族化合物、および連結基を介して2個のベンゼン環が結合した構造を有する芳香族二量体からなる群から選択される一種以上の改質剤と、
充填材と、を含み、
前記充填材の含有比率が、前記フェノール樹脂に対して、質量換算で、1.2以上8.0以下である、フェノール樹脂成形材料が提供される。
また本発明によれば、上記フェノール樹脂成形材料の硬化物を備える成形品が提供される。
本発明によれば、流動安定性を向上させつつ、硬化物の機械特性を向上できるフェノール樹脂成形材料およびそれを用いた成形品が提供される。
ブラベンダーを用いたときの材料のトルクと時間との挙動を説明するための図である。
本実施形態のフェノール樹脂成形材料の概要を説明する。
本実施形態のフェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂と、エステル構造を有する芳香族化合物、エステル構造を有する脂肪族化合物、および連結基を介して2個のベンゼン環が結合した構造を有する芳香族二量体からなる群から選択される一種以上の改質剤と、充填材と、を含む。当該フェノール樹脂成形材料において、充填材の含有比率が、フェノール樹脂に対して、質量換算で、1.2以上8.0以下である。
本発明者の知見によれば、フェノール樹脂および充填材を含むフェノール樹脂成形材料に対して、改質剤を適切に選択することにより、フェノール樹脂成形材料の流動安定性を向上させつつ、その硬化物の機械特性を向上できることが判明した。
本実施形態によれば、流動安定性を向上させつつ、硬化物の機械特性を向上できるフェノール樹脂成形材料を実現できる。
以下、本実施形態のフェノール樹脂成形材料の各成分について詳述する。
(ノボラック型フェノール樹脂)
本実施形態のフェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂を含む。
上記フェノール樹脂として、ノボラック型フェノール樹脂または/およびレゾール型フェノール樹脂を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ノボラック型フェノール樹脂としては、フェノール類とアルデヒド類とを、無触媒、酸性触媒または遷移金属触媒の存在下で反応させて得られる樹脂であれば、特に限定されない。
上記ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、未変性フェノール系樹脂、クレゾール樹脂、レゾルシノール樹脂、キシレノール樹脂、クレゾール・キシレノール樹脂、クレゾール変性フェノール系樹脂、レゾルシノール変性フェノール系樹脂、キシレノール変性フェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、アルキルフェノール変性フェノール系樹脂、ビスフェノール変性フェノール系樹脂、カシュー油変性フェノール系樹脂、トール油変性フェノール系樹脂、ロジン変性フェノール系樹脂、テルペン油変性フェノール系樹脂、ランダムノボラック型フェノール樹脂、ハイオルソノボラック型フェノール樹脂、または下記に示すフェノール類を2種以上使用した樹脂を用いることができる。また、これら樹脂は、2種以上の樹脂を混合したものを使用しても良い。
なお、このノボラック型フェノール樹脂は、例えば、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)が0.5以上1.0以下となるように制御した上で、反応させて得ることができる。
上記フェノール類としては、フェノール性水酸基を備えるモノマーに由来するものであれば限定されない。
このようなフェノール類としては、具体的には、フェノール;o−ジヒドロキシベンゼン、m−ジヒドロキシベンゼン、p−ジヒドロキシベンゼンなどのジヒドロキシベンゼン;o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾールなどのクレゾール;エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのアルキルフェノール;キシレノール;3−ペンタデシルフェノール、3−ペンタデシルフェノールモノエン、3−ペンタデシルフェノールジエン、3−ペンタデシルフェノールトリエンなどのカシューオイルの含有成分;1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼンモノエン、1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼンジエン、1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼントリエンといったカルドールの含有成分;2−メチル−1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼン、2−メチル−1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼンモノエン、2−メチル−1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼンジエン、2−メチル−1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼントリエンといったメチルカルドールの含有成分;ウルシオール;ビスフェノールA;ビスフェノールF;ビスフェノールSなどが挙げられる。フェノール類としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アルデヒド類としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド化合物;ヘキサメチレンテトラミンなどのアルデヒド化合物の発生源となる物質などを用いることができる。アルデヒド類としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸性触媒としては、例えば、酢酸、シュウ酸などの有機酸;塩酸、硫酸、リン酸などの鉱物酸;ジエチル硫酸;パラトルエンスルホン酸、パラフェノールスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機スルホン酸;1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸などの有機ホスホン酸などを用いることができる。酸性触媒としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記遷移金属触媒としては、例えば、バルト、ニッケル、クロム、マンガン、亜鉛、銅、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどの塩が挙げられる。この塩としては、例えば、酢酸塩などの有機塩類、ハロゲン化物、酸化物などが挙げられる。塩としては、具体的には、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。塩としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記レゾール型フェノール樹脂は、特に限定されないが、例えば、上記フェノール類および上記アルデヒド類を、アルカリ性触媒(アルカリ条件下)または亜鉛系触媒(弱酸性条件下)で反応することにより得られたものでもよい。
上記ノボラック型フェノール樹脂の含有量は、上記フェノール樹脂の固形分(またはノボラック型フェノール樹脂およびレゾール型フェノール樹脂の合計含有量)100質量%に対して、例えば、10質量%〜100質量%、20質量%〜100質量%、30質量%〜100質量%である。これにより、流動安定性に優れたフェノール樹脂成形材料を実現できる。また、ノボラック型フェノール樹脂およびレゾール型フェノール樹脂を併用することで、曲げ強度を高めつつも、流動安定性を向上させることができる。
本明細書中、「〜」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
(硬化剤)
上記フェノール樹脂成形材料は、硬化剤として、アミン系硬化剤を含むことができる。
上記アミン系硬化剤としては限定されず、ノボラック型フェノール樹脂を硬化させるために用いられる従来公知のアミン系硬化剤を用いることができる。
上記アミン系硬化剤としては、具体的には、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミンなどを用いることができる。アミン系硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミンを用いることが好ましい。
上記アミン系硬化剤の含有量は、フェノール樹脂全体(100%質量%)に対して、例えば、7質量部〜30質量部、より好ましくは10質量部〜25質量部である。上記数値範囲内とすることにより、良好な硬化性を得ることができる。
(改質剤)
上記フェノール樹脂組成物は、改質剤を含む。
この改質剤としては、エステル構造を有する芳香族化合物、エステル構造を有する脂肪族化合物、および連結基を介して2個のベンゼン環が結合した構造を有する芳香族二量体からなる群から選択される一種以上を含むものである。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エステル構造を有する芳香族化合物としては、下記一般式(A)で表される化合物、または下記一般式(A)で表される化合物からRを除いた構造を有する化合物を用いることができる。
Figure 2020105275
詳細なメカニズムは定かでないが、ノボラック型フェノール樹脂との相溶性が比較的高い上記一般式(A)中のベンゼン骨格およびエステル構造を備え、かつノボラック型フェノール樹脂との相溶性が比較的低い上記一般式(A)中の長鎖脂肪族骨格を備える基がワックスのように働くため、熱流動安定性を高められる、と考えられる。
上記一般式(A)中、Rはそれぞれ独立に、ヒドロキシ基または炭素数1〜4個のアルキル基を表し、pは0から3の整数を表し、mは1〜30の整数を表し、Rは炭素数2〜30個の飽和の長鎖炭化水素基を表す。Rは、炭素数2〜30個、好ましくは炭素数6〜25個、より好ましくは炭素数10〜22個の長鎖炭化水素基を用いることができる。
上記エステル構造を有する脂肪族化合物は、下記一般式(B)で表される化合物または、下記一般式(B)で表される化合物からRを除いた構造を有する化合物を用いることができる。
Figure 2020105275
上記一般式(B)中、Rは炭素数6〜30個の飽和の長鎖炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜30個の飽和の長鎖炭化水素基を表す。Rは、炭素数6〜30個、好ましくは炭素数10〜25個、より好ましくは炭素数12〜22個の飽和の長鎖炭化水素基を用いることができる。Rは、炭素数1〜30個、好ましくは炭素数1〜25個、より好ましくは炭素数1〜22個の飽和の長鎖炭化水素基を用いることができる。
詳細なメカニズムは定かでないが、ノボラック型フェノール樹脂との相溶性が比較的低い上記一般式(B)中の長鎖脂肪族骨格を備える基がワックスのように働くため、熱流動安定性を高められる、と考えられる。
上記改質剤として、一般式(A)で表される化合物からRを除いた構造および一般式(B)で表される化合物からRを除いた構造の少なくとも一方を有していればよく、両方の構造を分子内に有していてもよい。
詳細なメカニズムは定かでないが、ノボラック型フェノール樹脂との相溶性が比較的高い上記一般式(A)中のベンゼン骨格および、相溶性が比較的低い上記一般式(B)中の長鎖脂肪族骨格の両者を備える基がワックスのように働くため、熱流動安定性を高められる、と考えられる。
上記連結基を介して2個のベンゼン環が結合した構造を有する芳香族二量体は、下記一般式(C)で表される化合物を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2020105275
上記一般式(C)中、RおよびRはそれぞれ独立に、ヒドロキシ基または炭素数1〜4個のアルキル基を表し、qおよびrはそれぞれ0から3の整数を表し、Xは、単結合、または−NH−、−CH−、−CHR−、−O−、−C(=O)−、−SO−、−S−、および−C(CH−からなる群から選択される2価の置換基を表す。ただし、Rは炭素数1〜4個のアルキル基を表す。
詳細なメカニズムは定かでないが、芳香族二量体は、芳香族単量体と比べて、高沸点および/または低立体障害であるため、熱流動安定性を高められる、と考えられる。
また、上記改質剤は、分子内の脂肪族炭素数(芳香族環を構成する炭素以外の炭素数)が、例えば10個以上30個以下である化合物を含むことができる。このような高炭素数の化合物を用いることにより、詳細なメカニズムは定かでないが、熱流動安定性を高めることができる。
上記改質剤の含有量の上限値は、フェノール樹脂100質量%に対して、例えば5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。これにより、フェノール樹脂組成物やその成形品の物性の低下を抑制することができる。また、上記改質剤の含有量の下限値は、フェノール樹脂100質量%に対して、例えば0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。これにより、熱流動安定性を向上させることができる。
(充填材)
上記フェノール樹脂成形材料は、充填材を含む。
上記充填材としては、例えば、繊維基材、有機充填材、無機充填材等が挙げられる。
繊維基材は、その形状が繊維状である繊維状充填材である。有機充填材および無機充填材は、それぞれ、粒状充填材または板状充填材のいずれでもよい。板状充填材はその形状が板状である充填材である。粒状充填材は、不定形状を含む繊維状・板状以外の形状の充填材である。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、金属繊維、ワラストナイト、アタパルジャイト、セピオライト、ロックウール、ホウ酸アルミニウムウイスカー、チタン酸カリウム繊維、炭酸カルシウムウィスカー、酸化チタンウィスカー、セラミック繊維などの繊維状無機充填材;アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維などの繊維状有機充填材;が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。なお、本実施形態においては、フェノール樹脂成形材料として、ガラス繊維を含んでもよい。
また、上記板状充填材、粒状充填材としては、例えば、タルク、カオリンクレー、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム水和物、マイカ、ガラスフレーク、ガラス粉、炭酸マグネシウム、シリカ、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、上記繊維状充填材の粉砕物などが挙げられる。
上記充填材の含有比率の下限値は、フェノール樹脂に対して、質量換算で、例えば、1.2以上、好ましくは1.8以上、より好ましくは2.0以上である。これにより、フェノール樹脂成形材料の硬化物の機械的強度を高め、成形材料に好適なフェノール樹脂成形材料を実現できる。上記充填材の含有比率の上限値は、フェノール樹脂に対して、質量換算で、例えば、8.0以下、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.5以下である。これにより、粘度の上昇を抑制しつつも、製造安定性を高めることができる。
上記充填材の含有量の下限値は、上記フェノール樹脂成形材料の固形分100質量%に対して、例えば、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上である。これにより、フェノール樹脂成形材料の硬化物の機械的強度を高め、成形材料に好適なフェノール樹脂成形材料を実現できる。一方、上記充填材の含有量の上限値は、上記フェノール樹脂成形材料の固形分100質量%に対して、特に限定されないが、例えば、90質量%以下、好ましくは88質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。これにより、粘度の上昇を抑制しつつも、製造安定性を高めることができる。
本明細書において、フェノール樹脂成形材料の固形分とは、フェノール樹脂成形材料中における不揮発分を指し、水や溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。
上記フェノール樹脂成形材料は、必要に応じて、エラストマーを含有してもよい。
上記エラストマーとしては、特に限定されないが、アクリルニトリルブタジエンゴム、イソプレン、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。この中でもアクリルニトリルブタジエンゴムが好ましい。エラストマーを用いることで特に靱性を付与することができる。
上記フェノール樹脂成形材料は、必要に応じて、硬化助剤を含有してもよい。硬化助剤は、上記硬化剤と併用できる。これにより、熱安定性や硬化性を高めることができる。
上記硬化助剤としては、特に限定されず、硬化を促進できるものを用いることが出来、例えば、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物、サリチル酸、安息香酸などの芳香属カルボン酸を例示することができる。上記硬化助剤はフェノール樹脂100質量部に対して、例えば、0.5質量部〜20質量部の割合で適宜配合して用いられる。
上記フェノール樹脂成形材料は、特性などの改質を目的として、公知の樹脂材料を組み合わせて使用することもできる。このような樹脂成分の例としては、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂が挙げられる。また必要によりこれらの複数種を組み合わせて用いることもできる。
上記フェノール樹脂成形材料は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した成分以外の他の成分を含むことができる。この他の成分としては、例えば、離型剤、顔料、難燃剤、カップリング剤等の添加剤が挙げられる。
上記離型剤として、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、(酸化)ポリエチレンなどが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、フェノール樹脂100質量%に対して、例えば、0.1質量%〜5質量%の割合で適宜配合して用いられる。
上記顔料として、例えば、カーボンブラックなどが挙げられる。
本実施形態のフェノール樹脂成形材料の製造方法は、上述の各成分をニーダー、ロール等で予め溶融混練し、次いで他の原料と均一に混合した後、あるいは、配合する全原料をロール、コニーダ、二軸押出し機等の混練装置単独またはロールと他の混合装置との組み合わせで溶融混練した後、造粒または粉砕して得られる。なお、本実施形態のフェノール樹脂成形材料の形状としては、特に限定されないが、例えば、粉粒状、顆粒状、タブレット状またはシート状等が挙げられる。
本実施形態の構造体(成形品)は、上述したフェノール樹脂成形材料の硬化物を備えるものである。
本実施形態の成形品としては、機械的強度や熱時剛性に優れるため、たとえば、自動車、航空機、鉄道車両、船舶、事務機器、電機機器、摺動部品に用いられる高強度成形品が挙げられる。すなわち、本実施形態のフェノール樹脂成形材料は、高強度成形品の形成に好適に用いることができる。
本実施形態の成形品は、上述したフェノール樹脂成形材料を用いて製造することができる。成形品の成形方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、トランスファー成形、コンプレッション成形、射出成形等を用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
表1に記載の各成分の詳細は以下の通りである。
(フェノール樹脂)
・ノボラック型フェノール樹脂1:ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト社製、PR−53194、Mw:700)
・レゾール型フェノール樹脂1:レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト社製、PR−53529、Mw:700)
(改質剤)
・改質剤1:下記の化学式で表される化合物(BASF社製、Irganox1076)
Figure 2020105275
・改質剤2:下記の化学式で表される化合物(オクチル化ジフェニルアミン、芳香族二量体)
Figure 2020105275
(離型剤)
・離型剤1:ステアリン酸(日本油脂社製)
・離型剤2:酸化ポリエチレン(三井化学社製)
(充填材)
・充填材1:ガラス繊維(日東紡績社製、CS3E479(平均繊維径11μm、平均繊維長3mm))
(硬化剤)
・硬化剤1:ヘキサメチレンテトラミン(キシダ化学社製)
(添加剤)
・顔料1:カーボンブラック(三菱化学社製、#5)
・硬化助剤1:水酸化カルシウム(河合石灰工業社製)
<フェノール樹脂成形材料の調製>
各実施例、各比較例について、表1に示される配合比率で、各成分を配合し、約90℃の加熱ロールで約5分間混練し、冷却後粉砕して、フェノール樹脂成形材料を得た。
Figure 2020105275
得られたフェノール樹脂成形材料について、下記の評価項目に基づいて評価を実施した。評価結果は表1に示す。
[流動安定時間(ブラベンダー150℃の流動安定時間)、溶融粘度(ブラベンダー150℃の溶融トルク)]
得られたフェノール樹脂成形材料について、図1に示す時間T、Tおよび最低トルク値の測定を次のように行った。まず、ブラベンダー(東洋精機製作所社製、ラボプラストミル試験機、30cc)を用いて、回転数30rpm、測定温度150℃の条件でフェノール樹脂成形材料の溶融トルクを経時的に測定した。
測定開始点は、ブラベンダーにフェノール樹脂成形材料を投入し、急激にトルクが立ち上がった後、トルクが下がり始める点とした。
次いで、測定開始点からトルク値が[最低トルク値+5N・m]となる点までの時間Tと、測定開始点から最低トルク値を経た後にトルク値が[最低トルク値+5N・m]となる点までの時間Tを測定結果に基づいて算出した。また、測定結果から、最低トルク値(N・m)を算出した。
表1中、150℃における流動安定時間を|時間T−時間T|(秒)とし、150℃の溶融トルクを、最低トルク値(N・m)とした。
[硬化性(キュラストメーター150℃でのT(50))]
キュラストメーター(JSRトレーディング社製、製品名:キュラストメーターIID型)を用い、金型温度150℃にて、得られたフェノール樹脂成形材料の硬化トルクを経時的に測定した。測定結果に基づいて、測定開始から15分後におけるトルク(最大トルクと定義する)の50%に到達するまでの時間T(50)を算出した。表1中の単位は秒である。
[機械特性(常温での曲げ強度)、(常温での曲げ弾性率)]
得られたフェノール樹脂成形材料を用いて、トランスファー成形(金型温度175℃、硬化時間3分間)により、曲げ強度・曲げ弾性率の試験片を作製した。
常温25℃における曲げ強度及び曲げ弾性率の測定は、JIS−K6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して行った。表1に結果を示す。
実施例1〜5は、対応する比較例1と比べて、実施例6は、対応する比較例2と比べて、実施例7は、対応する比較例3と比べて、フェノール樹脂成形材料の流動安定性を向上させつつ、硬化物の機械特性を向上できる結果が示された。また、実施例6の結果から、実施例1〜5と比べて充填材を高充填化した場合でも、流動安定性の効果が得られることが分かった。また、実施例7の結果から、ノボラック型フェノール樹脂およびレゾール型フェノール樹脂を併用したときでも効果が得られることが分かった。
このような実施例のフェノール樹脂成形材料は、金型成形に用いられる成形材料に好適に用いることが可能である。

Claims (9)

  1. フェノール樹脂と、
    エステル構造を有する芳香族化合物、エステル構造を有する脂肪族化合物、および連結基を介して2個のベンゼン環が結合した構造を有する芳香族二量体からなる群から選択される一種以上の改質剤と、
    充填材と、を含み、
    前記充填材の含有比率が、前記フェノール樹脂に対して、質量換算で、1.2以上8.0以下である、フェノール樹脂成形材料。
  2. 請求項1に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記充填材の含有量が、当該フェノール樹脂成形材料の固形分100質量%に対して、50質量%以上90質量%以下である、フェノール樹脂成形材料。
  3. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記改質剤の含有量は、前記フェノール樹脂100質量%に対して、0.1質量%以上5質量%以下である、フェノール樹脂成形材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂を含む、フェノール樹脂成形材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    アミン系硬化剤を含む、フェノール樹脂成形材料。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    離型剤を含む、フェノール樹脂成形材料。
  7. 請求項6に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記離型剤が、前記フェノール樹脂100質量%に対して、0.1質量%以上5質量%以下である、フェノール樹脂成形材料。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のフェノール樹脂成形材料であって、
    前記充填材が、ガラス繊維を含む、フェノール樹脂成形材料。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のフェノール樹脂成形材料の硬化物を備える成形品。
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