JP2016003252A - 振動減衰材用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 幅広い温度域で優れた振動減衰性を発揮するとともに、基材への密着性に優れた塗膜を形成することができる振動減衰材用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 硬化性樹脂と可塑剤とを含み、該可塑剤は、極性構造を可塑剤の重量平均分子量1000に対して1個以上の割合で有し、かつ、流動点が−70〜200℃である振動減衰材用樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、振動減衰材用樹脂組成物に関する。より詳しくは、各種構造体における振動を減衰させて振動に起因する機械的な揺れ及び騒音を防止して安定性及び静寂性を保つために使用される振動減衰材の材料等として有用な振動減衰材用樹脂、振動減衰材用組成物及びそれによって形成される振動減衰材に関する。
各種構造体における振動を減衰させて振動に起因する機械的な揺れ及び騒音を防止して安定性及び静寂性を保つために、振動減衰材が用いられている。振動減衰材は、例えば、自動車の室内床下等に用いられている他、鉄道車両、船舶、航空機や電気機器、建築構造物、建設機器等にも広く利用されている。
このような振動減衰材として、塗布型振動減衰材(塗料)が開発されており、例えば、該当箇所にスプレーにより吹き付けるか又は任意の方法により塗布することにより形成される塗膜により、振動減衰効果及び遮音や吸音などの防音効果を得ることが可能な振動減衰塗料が種々提案されるに至っており、振動減衰材用途に用いられる樹脂組成物として、種々のものが開示されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
特許第4172536号明細書 特許第3318593号明細書 国際公開第01/40391号 特許第4465023号明細書 特開2005−281576号公報
上記のように、振動減衰材用途に用いられる樹脂組成物として種々の構成のものが開示されているが、このような樹脂組成物が用いられる用途においては、環境温度の変化に影響されずに安定して優れた振動減衰性を発揮することができる樹脂組成物が求められている。また、塗膜の基材への密着性が良好であることも重要であり、これらを両立した樹脂組成物の開発が課題となっている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、幅広い温度域で優れた振動減衰性を発揮するとともに、基材への密着性に優れた塗膜を形成することができる振動減衰材用樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、振動減衰材用樹脂組成物について種々検討したところ、硬化性樹脂と特定の可塑剤とを含む樹脂組成物とすると、得られる塗膜が、幅広い温度域で優れた振動減衰性を発揮することを見出し、更に、この塗膜が基材に対する密着性にも優れたものとなることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、硬化性樹脂と可塑剤とを含み、上記可塑剤は、極性構造を可塑剤の重量平均分子量1000に対して1個以上の割合で有し、かつ、流動点が−70〜200℃であることを特徴とする振動減衰材用樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物は、硬化性樹脂と可塑剤とを含むものであるが、これらを少なくとも1種ずつ含んでいればよく、2種以上含んでいてもよい。また、硬化性樹脂と可塑剤とを含むものである限り、その他の成分を含んでいてもよい。
なお、本発明において、振動減衰材用樹脂組成物が含む可塑剤は、振動減衰材用樹脂組成物の振動減衰性を向上させるために添加される成分である。可塑剤を加えることによって樹脂組成物の性質が粘性体に近くなり、損失正接(tanδ)が高くなる。
<硬化性樹脂>
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が含む硬化性樹脂は、振動減衰材用樹脂組成物から形成される塗膜が、使用される温度領域で硬化した塗膜となる限り特に制限されず、いずれの樹脂も使用することができる。また本発明の振動減衰材用樹脂組成物が硬化性樹脂を2種以上含む場合、当該2種以上の硬化性樹脂としては、構造が異なるものの他、例えば、重量平均分子量やガラス転移温度、SP値等の各種物性のうちいずれかにおいて異なるものであればよい。
硬化性樹脂の具体例としては、不飽和カルボン酸単量体、窒素原子を有する不飽和単量体、芳香環を有する不飽和単量体、及び、不飽和カルボン酸単量体と共重合可能なその他の単量体からなる群から選択された少なくとも1種の単量体を含む単量体成分から得られるポリマー、エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記硬化性樹脂が、不飽和カルボン酸単量体、窒素原子を有する不飽和単量体、芳香環を有する不飽和単量体、及び、不飽和カルボン酸単量体と共重合可能なその他の単量体からなる群から選択された少なくとも1種の単量体を含む単量体成分から得られるポリマーである場合、中でも、不飽和カルボン酸単量体を含む単量体成分から得られたポリマーであることが好ましい。より好ましくは、不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体とを含む単量体成分から得られたものである。
不飽和カルボン酸単量体としては、分子中に不飽和結合を含み、さらにカルボキシル基、カルボキシル基の塩、又は、カルボキシル基から誘導されるエステルを有する化合物であれば特に限定されるものではないが、エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含むことが好ましい。
また、不飽和カルボン酸単量体の他に、塩化ビニル、エチレン、ブタジエン、スチレン等も単量体として使用可能である。単量体成分を重合してなるポリマーとして、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等も使用可能である。
上記エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノメチルマレエート、モノエチルマレエート等の不飽和カルボン酸類又はその誘導体等の1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸から誘導されるエステル又は塩、及び、メタクリル酸から誘導されるエステル又は塩が単量体として好ましい。
なお、本明細書中、(メタ)アクリル酸系単量体とは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、−COOH基を有する単量体である。(メタ)アクリル酸系単量体にはアクリル酸及びメタクリル酸が含まれる。
また、本明細書中、(メタ)アクリル系単量体とは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、−COOH基がエステルとなった形態若しくは塩となった形態の単量体又はそのような単量体の誘導体である。(メタ)アクリル系単量体にはアクリレート及びメタクリレートが含まれる。
上記ポリマーの原料となる単量体成分としては、(メタ)アクリル系単量体を、全単量体成分100質量%に対して、20質量%以上含有するものであることが好ましい。より好ましくは、30質量%以上である。また、(メタ)アクリル系単量体を、全単量体成分100質量%に対して、100質量%以下含有するものであることが好ましい。
上記(メタ)アクリル系単量体のうち、−COOH基がエステルとなった形態の単量体としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート等;が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することが好適である。
上記(メタ)アクリル系単量体のうち、−COOH基が塩となった形態の単量体の場合、塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等であることが好ましい。金属塩を形成する金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子が好適である。また、有機アミン塩としては、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩や、トリエチルアミン塩が好適である。
また、上記ポリマーの原料となる単量体成分は、重合安定性の観点から全単量体成分100質量%に対して(メタ)アクリル酸系単量体を0〜20質量%含んでなることが好ましい。
(メタ)アクリル酸系単量体を含むことにより、本発明の振動減衰材用樹脂組成物が、後述する無機質充填剤等の充填剤を含む場合、充填剤の分散性が向上し、振動減衰性がより向上することになる。
また、全単量体成分100質量%に対して(メタ)アクリル酸系単量体を0〜10質量%含んでなることがより好ましい。
また、上記不飽和カルボン酸単量体を含む単量体成分から得られたポリマーの原料となる単量体成分は、不飽和カルボン酸単量体の他に、窒素原子を有する不飽和単量体、芳香環を有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸単量体と共重合可能なその他の単量体を含んでいてもよい。
その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を含むことにより、ポリマーの酸価、Tgや物性等を調整しやすくなる。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物がこれらの単量体から形成されるものであると、振動減衰性に加え、加熱乾燥性にも優れたものとすることが可能となる。
上記芳香環を有する不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等が挙げられる。好ましくはスチレンである。
すなわち、上記単量体成分を重合してなるポリマーが、スチレンを含む単量体成分から得られたスチレン(メタ)アクリル系重合体であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記単量体成分を重合してなるポリマーがスチレン(メタ)アクリル系重合体である場合、原料となる単量体成分は、単量体成分100質量%に対して、スチレン系単量体を1〜90質量%含むことが好ましい。より好ましくは、1〜80質量%であり、更に好ましくは、1〜70質量%である。また特に好ましくは、1〜50質量%であり、中でも特に好ましくは5〜45質量%であり、最も好ましくは10〜40質量%である。
上記窒素原子を有する不飽和単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。好ましくはアクリロニトリルである。
また、不飽和カルボン酸単量体と共重合可能なその他の単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
上記単量体成分を重合してなるポリマーは、極性基含有単量体を含む単量体成分から得られたものであることが好ましい。振動減衰材用樹脂組成物が含むポリマーが極性基を有すると、ポリマーと可塑剤との相互作用が大きくなり、振動減衰性がより充分に発揮されることとなる。更に振動減衰材用樹脂組成物がポリマーを2種以上含む場合には、これらのポリマー間の相互作用がより大きなものとなり、ポリマー間の摩擦がより大きくなることから、振動減衰性がより充分に発揮されることとなる。
極性基含有単量体の含有割合は、単量体成分100質量%に対して40〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは45〜95質量%であり、更に好ましくは50〜90質量%である。
上記極性基含有単量体が有する極性基としては、有機化合物において一般に極性基とされるものであればよいが、カルボン酸エステル、水酸基、ニトリル基、カルボキシル基、アミド基及びピロリドン基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、カルボン酸エステル、水酸基、及び/又はカルボキシル基である。
上記ポリマーを形成する単量体成分は、更に、官能基を有する不飽和単量体を含んでいてもよい。該官能基を有する不飽和単量体における官能基としては、例えば、エポキシ基、グリシジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジニル基、イソシアネート基、メチロール基、ビニルエーテル基、シクロカーボネート基、アルコキシシラン基等が挙げられる。これらの官能基は、不飽和単量体の1分子中に1種あってもよく、2種以上あってもよい。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和単量体類等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、官能基を1分子中に1つ有する単官能性不飽和単量体であってもよく、2つ以上有する多官能性不飽和単量体であってもよい。
上記多官能性不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、硬化性樹脂は、ラジカル重合性の官能基を側鎖に有するものであってもよい。ラジカル重合性の官能基を有する硬化性樹脂は、例えば、上記極性基を有する硬化性樹脂を製造した後、当該硬化性樹脂が有する極性基と反応する官能基とエチレン性不飽和基等のラジカル重合性の官能基とを有する化合物を硬化性樹脂と反応させること等により得ることができる。
本発明における硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、使用するエポキシ樹脂としては、分子内に1個以上のエポキシ基を含む樹脂であれば特に限定されず、例えば、下記の樹脂等が挙げられる。
ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;該エポキシ樹脂を、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)と更に付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール類(フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、スフェノールS等)と、ホルムアルデヒド、アセトアルテヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレングリコールジメチルエーテル、ジクロロパラキシリレン、ビスヒドロキシメチルビフェニル等とを縮合反応させて得られる多価フェノール類を、更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂;該芳香族結晶性エポキシ樹脂に、更に、上記ビスフェノール類や、テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等を付加反応させることにより得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂の高分子量体;トリスフェノール型エポキシ樹脂;
上記ビスフェノール類、芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類(テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等)、又は、単/多糖類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、PEG600、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、PPG、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等)と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;該脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂を、上記ビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られる高分子量脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル3′,4′−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等のエポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、安息香酸等と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントインや、シアヌール酸、メラミン、ベンゾグアナミン等と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られる室温で固形の3級アミン含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;等。
これらのエポキシ樹脂の中でも、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。また、より硬化性を高めるため、分子内に2個以上のエポキシ基を含む樹脂(多官能エポキシ樹脂)を用いることが好適である。
なお、本明細書中では、グリシジル基もエポキシ基に含むものとする。
上記エポキシ樹脂は、重量平均分子量が200〜20000であるものが好適である。このような分子量のエポキシ樹脂を用いると、より充分に硬化した硬化物を得ることができる。より好ましくは220〜18000、更に好ましくは250〜15000である。
上記重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)のポリスチレン換算の分子量として求めることができる。本発明においては、後述の実施例に記載の方法により重量平均分子量を測定する。
上記硬化性樹脂は、ガラス転移温度が−25〜180℃であることが好ましい。硬化性樹脂として、このようなガラス転移温度を有するものを用いると、振動減衰材の実用温度域での振動減衰性能を効果的に発現することができることとなる。硬化性樹脂のガラス転移温度は、より好ましくは−20〜170℃であり、更に好ましくは、−10〜160℃である。特に好ましくは、−15〜150℃であり、最も好ましくは10〜80℃である。
なお、硬化性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、既に得られている知見に基づいて決定されてもよいし、後述する単量体成分の種類や使用割合によって制御されてもよいが、理論上は、以下の計算式(1)より算出することができる。
Figure 2016003252
式中、Tg’は、硬化性樹脂のTg(絶対温度)である。W’、W’、・・・Wn’は、全単量体成分に対する各単量体の質量分率である。Tg、Tg、・・・Tgnは、各単量体成分からなるホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度(絶対温度)である。
また、本発明の振動減衰材用樹脂組成物が硬化性樹脂を2種以上含む場合、それらの中にガラス転移温度の差が5〜100℃である2種の硬化性樹脂を含むことが好ましい。このようにガラス転移温度(Tg)に差を設けることにより、例えば、振動減衰材用途に適用したときに、幅広い温度領域下でより高い振動減衰性を発現させることが可能となり、特に実用的範囲である20〜60℃域での振動減衰性が格段に向上されることとなる。ガラス転移温度(Tg)の差の上限は、より好ましくは90℃であり、更に好ましくは80℃であり、一層好ましくは60℃であり、特に好ましくは50℃であり、最も好ましくは40℃である。また、ガラス転移温度(Tg)の差の下限は、より好ましくは5℃であり、更に好ましくは10℃であり、特に好ましくは15℃である。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が硬化性樹脂を2種以上含む場合、そのうち少なくとも1つの硬化性樹脂は、重量平均分子量が500〜100万であるものが好ましい。このような重量平均分子量のものを用いることで、振動減衰性をより高めることができる。より好ましくは、500〜50万であり、更に好ましくは、500〜30万である。特に好ましくは、500〜20万であり、中でも特に好ましくは、1000〜10万であり、最も好ましくは2000〜5万である。
上記硬化性樹脂は、重量平均分子量が1万〜100万であることが好ましい。振動減衰性を発揮するためには、硬化性樹脂に加えられた振動のエネルギーを摩擦による熱エネルギーに変えることが好適であり、硬化性樹脂に振動が加えられたときに運動することのできる樹脂であることが必要となる。硬化性樹脂がこのような重量平均分子量を有するものであると、振動が加えられたときに硬化性樹脂が充分に運動することができ、高い振動減衰性を発揮することができる。硬化性樹脂の重量平均分子量は、より好ましくは2万〜50万であり、更に好ましくは、3万〜20万であり、特に好ましくは、4万〜10万である。
なお、硬化性樹脂の重量平均分子量は、例えば、以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
上記硬化性樹脂は、溶解度パラメータ(SP値)が7〜13であることが好ましい。硬化性樹脂のSP値がこのような範囲にあると、可塑剤との相溶性に優れる。SP値はより好ましくは、7.3〜12.5であり、更に好ましくは、7.6〜12である。
硬化性樹脂のSP値は、以下のSmallの式により求めることができる。
Figure 2016003252
式中、δは、硬化性樹脂のSP値である。Δeは、硬化性樹脂を構成する単量体各成分の蒸発エネルギーの計算値(kcal/mol)であり、ΣΔeは、硬化性樹脂を構成する全単量体成分の当該計算値の合計値である。ΔVは、硬化性樹脂を構成する単量体各成分の分子容の計算値(ml/mol)であり、ΣΔVは、硬化性樹脂を構成する全単量体成分の当該計算値の合計である。xは、硬化性樹脂を構成する単量体各成分のモル分布である。
なお、単量体成分の蒸発エネルギー、及び、単量体成分の分子容は、通常用いられる計算値を用いることができる。
このように、構成する単量体の種類及びその構成比を調整することによって、硬化性樹脂のSP値を調整することができる。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物は、振動減衰材用樹脂組成物中に含まれる、硬化性樹脂及び後述する可塑剤とは異なる反応性低分子化合物の合計100質量%に対して、硬化性樹脂を5〜100質量%含んでなるものが好ましい。より好ましくは、10〜90質量%含んでなるものである。更に好ましくは、25〜75質量%含んでなるものであり、特に好ましくは、40〜60質量%含んでなるものである。
<可塑剤>
本発明の振動減衰剤用樹脂組成物は、更に、極性構造を可塑剤の重量平均分子量1000に対して1個以上の割合で有し、かつ、流動点が−70〜200℃である可塑剤を含む。このような可塑剤を含む組成物とすることで、振動減衰剤用樹脂組成物から形成される塗膜が優れた振動減衰性能を発揮するため、塗膜の膜厚を厚くすることなく、充分な振動減衰の効果を得ることができる。また、このように硬化性樹脂と可塑剤とを含むものとすることで、塗膜の基材への密着性が向上する効果も得られる。更に、可塑剤が上記割合で、上記極性構造を有することにより、ポリマーとの相溶性に優れ、可塑剤の溶出の無い塗膜が得られやすくなる。また、可塑剤が上記範囲に流動点を有するとポリマーとの相溶性に優れ、ポリマーと可塑剤とを含む本発明の振動減衰材用樹脂組成物の損失係数のピーク温度(DPTとする)の調整が容易になる。
本発明において、極性構造とはヘテロ原子を含む構造であり、好ましくはエステル基、水酸基(水酸基にはフェノール性水酸基を含む)、ニトリル基、アミン基、カルボキシル基、クロロ基、リン酸基、アミド基、ピロリドン基、エーテル(環状エーテルを含む)、チアゾール、トリアゾール、キノリンである。より好ましくはエステル基、水酸基、アミン基であり、更に好ましくは水酸基、アミン基であり、最も好ましくは水酸基である。
上記可塑剤は、極性構造を可塑剤の重量平均分子量900に対して1個以上の割合で有することが好ましい。より好ましくは重量平均分子量800に対して1個以上であり、更に好ましくは重量平均分子量700に対して1個以上であり、特に好ましくは重量平均分子量600に対して1個以上であり、最も好ましくは重量平均分子量500に対して1個以上である。
上記可塑剤の流動点は、より好ましくは−60〜170℃であり、さらに好ましくは−50〜140℃であり、特に好ましくは−40〜110℃であり、最も好ましくは−30〜80℃である。
可塑剤の流動点は、固体になるまで冷却した可塑剤を5℃/分で加熱し、溶融して流動性が生じることを観察することにより求めることができる。
可塑剤の重量平均分子量は100〜4000が好ましい。より好ましくは120〜3000であり、更に好ましくは140〜2000であり、特に好ましくは150〜1000である。可塑剤の重量平均分子量が上記範囲内であると、ポリマーとの相溶性に優れるため好ましい。可塑剤の重量平均分子量を上記範囲に設定することで可塑剤のブリードアウトや加熱乾燥時の揮発を防止でき、振動減衰性を更に高めることが可能となる。
可塑剤の重量平均分子量は、例えば、以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL SuperHZ1000、TSK−GELSuperMultiporeHZ−M(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
本発明の振動減衰剤用樹脂組成物が含む可塑剤は、芳香族炭化水素類、複素芳香族化合物類、有機酸類、及び、それらの変性物からなる群より選択された少なくとも1種であることが好ましい。
本明細書中、「芳香族炭化水素類、複素芳香族化合物類、有機酸類、及び、それらの変性物からなる群より選択された少なくとも1種」とは、「芳香族炭化水素類、芳香族炭化水素類の変性物、複素芳香族化合物類、複素芳香族化合物類の変性物、有機酸類、及び、有機酸類の変性物からなる群から選択された少なくとも1種」と同義である。
上記芳香族炭化水素類又は芳香族炭化水素類の変性物としては、例えば、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ビス(2−ブトキシエチル)、フタル酸ジトリデシル等のフタル酸エステル類、トリメリット酸エステル類、テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)等のテレフタル酸エステル類、安息香酸グリコールエステル等の安息香酸エステル類、スチレン化フェノール類等が挙げられる。
さらに、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン(例えば、オクチル化ジフェニルアミン)、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニルベンゼンジアミンとスチレン、2,4,4−トリメチルペンタンとの反応物等の芳香族第二級アミン類、1,3−ジフェニルグアニジン、N,N’−ジフェニルグアニジン、N,N’−ジオルトトリルグアニジン等のグアニジン類、N,N’−ジフェニルチオ尿素等のチオウレア類、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、n−ブチルアルデヒドアニリン等のアニリン類、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のジフェニルアクリレート類、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシド等のベンゾフェノン類、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロへキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−プロピルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビスフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,5−ジメチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2−メチル−5−エチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2−メチル−5−プロピルフェノール)、4,4’−エチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,7−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−ブタン、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−〔(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4−ビニルフェノール、テトラキス(メチレン−ジ−t−ブチル−4−ヒドロハイドロシンナメート)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレ−ト、ペンタエリスリチル−テトラ[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、テトラキス(メチレン−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロハイドロシンナメート)、ハイドロキノン等のフェノール類、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−1−ナフトール、2−アミノ−6−ヒドロキシナフトール等のナフトール類が挙げられる。
また、複素芳香族化合物類又は複素芳香族化合物類の変性物としては、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等のキノリン類、N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−(t−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジシクロへキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルスルフィド等のベンゾチアジル類、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸オクチル、3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオン酸オクチル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ハイドロキシ−3’−(3,4,5,6−テトラハイドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−5’−t−オクチルフェノール)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類等が挙げられる。
また、有機酸類又は有機酸類の変性物としては、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ビス(2−ブトキシエチル)等のアジピン酸エステル類、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル類、セバシン酸ジブチル等のセバシン酸エステル類、アゼライン酸ジヘキシル、アゼライン酸ジオクチル等のアゼライン酸類、ステアリン酸エステル類、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類、エポキシ化大豆油等のエポキシ化油脂類、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類、グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート等のグリセリン類、トリエチレングリコールジカプレート類、ポリカプロラクトン類、アジピン酸ポリエステル等のポリエステル類等が挙げられる。
さらに、3,3’−チオビスプロピオン酸ジトリデシル、3,3’−チオビスプロピオン酸ジドデシル等の有機チオ酸類、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト等の亜リン酸類、リン酸トリフェニル、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−ジ−2,6−キシレニルホスフェート、3,9−ビス(4−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファピロ[5.5]ウンデカン等のリン酸エステル類等が挙げられる。
また、その他の可塑剤としては、ポリエーテル類、ポリブテン類、塩素化パラフィン類等が挙げられる。
本明細書において、スチレン化フェノール類とは、フェノール類とスチレン類を反応原料として得られる有機低分子化合物である。
フェノール類としては、例えば、フェノールの他、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン等の多価フェノール類、(o−,m−,p−)クレゾール、4−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルカテコール、4−オクチルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール等のアルキルフェノール類、1−ナフトール、2−ナフトール、1,4−ジヒドロキシナフタレン、9,10−アントラセンジオール等の多環芳香族(多価)フェノール類が挙げられる。
スチレン類としては、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−t−ブチルスチレン、4−ビニル安息香酸等が挙げられ、好ましくはスチレンである。
これらのフェノール類とスチレン類が反応して得られるスチレン化フェノール類としては、フェノールとスチレンが反応して得られるモノ(又はジ,トリ)(α−メチルベンジル)フェノールが好ましい。
スチレン化フェノール類が、モノ(又はジ,トリ)(α−メチルベンジル)フェノールである場合、モノ−α−メチルベンジルフェノール、ジ−α−メチルベンジルフェノール、トリ−α−メチルベンジルフェノールのうちの1種を含んでもよく、2種以上を含む混合物でもよい。上記2種以上の混合物の場合にそれらの配合割合は特に限定されるものではない。
本発明の振動減衰剤用樹脂組成物が含む可塑剤としては、上記のものの中でも、芳香族炭化水素類及びその変性物が好ましい。より好ましくは、スチレン化フェノール類である。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物は、振動減衰材用樹脂組成物中の硬化性樹脂、可塑剤及び後述する可塑剤とは異なる反応性低分子化合物の総量100質量%に対して、可塑剤を10〜95質量%含んでなるものが好ましい。より好ましくは、15〜90質量%含んでなるものである。更に好ましくは、30〜75質量%含んでなるものであり、特に好ましくは、40〜60質量%含んでなるものである。
なお、硬化性樹脂又は反応性低分子化合物としてエポキシ樹脂を用い、可塑剤としてスチレン化フェノールを用いた場合には、硬化性樹脂又は反応性低分子化合物と可塑剤とが反応してしまう。このように、可塑剤が組成物中の他の成分と反応し得る場合には、反応せずに残る可塑剤の割合が上記のようになるように配合することが好ましい。
<可塑剤とは異なる反応性低分子化合物>
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が、更に可塑剤とは異なる反応性低分子化合物として、ラジカル重合性の官能基及び/又は極性構造と反応することが可能な官能基を1分子中に1個以上有する化合物を含むことは、本発明の好適な実施形態の1つである。本発明の振動減衰材用樹脂組成物は、反応性低分子化合物を1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
なお、上記可塑剤の中には、ラジカル重合性の官能基及び/又は極性構造と反応することが可能な官能基を1分子中に1個以上有する化合物も含まれるが、本発明では可塑剤としての機能を有するものは可塑剤に分類することとする。
可塑剤とは異なる反応性低分子化合物は、ラジカル重合性の官能基及び/又は極性構造と反応することが可能な官能基を1分子中に1個以上有する化合物である限り特に制限されず、硬化性樹脂に架橋構造を形成する架橋剤として機能するもの、反応性希釈剤として機能するもの等が挙げられ、いずれのものであってもよく、これらのいずれにも該当しないものであってもよい。
なお、本発明において低分子化合物とは、重合していない化合物のみを意味するものではなく、分子量(又は重量平均分子量)が1万以下の化合物を意味し、重合体であっても重量平均分子量が1万以下の化合物は低分子化合物に該当する。
上記可塑剤とは異なる反応性低分子化合物は、分子量(又は重量平均分子量)が4000以下であることが好ましい。反応性低分子化合物の分子量は、より好ましくは、100〜3000であり、更に好ましくは、200〜2000であり、特に好ましくは、400〜1500であり、より一層好ましくは600〜1000である。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が、更に可塑剤とは異なる反応性低分子化合物を含む場合、当該反応性低分子化合物の含有割合は、硬化性樹脂と反応性低分子化合物との合計100質量%に対して、1〜99質量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜90質量%であり、更に好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜70質量%であり、最も好ましくは40〜60質量%である。
上記反応性低分子化合物が、硬化性樹脂と反応し得る官能基を2個以上有することは、本発明の好適な実施形態の1つである。
このように反応性低分子化合物が硬化性樹脂と反応し得る官能基を2個以上有することで、反応性低分子化合物が架橋剤として機能し、硬化性樹脂に架橋構造を形成することができる。
硬化性樹脂が有する官能基と、反応性低分子化合物が有する官能基との組合せは、それらが反応しうるものである限り特に制限されないが、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、及び、アミド基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基と、無水カルボン酸基、エポキシ基、及び、イソシアナート基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基の組み合わせが好ましい。これらの中でも、より好ましくは、カルボキシル基とエポキシ基との組合せ、カルボキシル基又はヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せである。更に好ましくは、硬化性樹脂がカルボキシル基を有し、反応性低分子化合物がエポキシ基を有すること、又は、硬化性樹脂がカルボキシル基又はヒドロキシル基を有し、反応性低分子化合物がイソシアネート基を有することである。
また、この他に、硬化性樹脂と反応性低分子化合物とが、ともにラジカル重合性の官能基を有する組合せも好ましい。ラジカル重合性の官能基としては、エチレン性不飽和基等の不飽和炭化水素基が好ましい。この場合、ラジカル重合性の官能基を有する反応性低分子化合物としては、上述した硬化性樹脂の原料となる単量体と同様の化合物を用いることができる。ラジカル重合性の官能基を有する硬化性樹脂は、上述した方法等により製造することができる。
上記反応性低分子化合物が架橋剤である場合、架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。
上記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。
上記イソシアネート系架橋剤としては、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートHL)、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物(三井化学社製、商品名:タケネート110N)等の市販品も挙げられる。
上記エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ系架橋剤としては、商品名テトラッドC(三菱ガス化学社製)の市販品等も挙げられる。
また、本発明の振動減衰材用樹脂組成物が硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含み、可塑剤とは異なる反応性低分子化合物として、エポキシ樹脂の架橋剤(硬化剤)を含む場合、エポキシ樹脂の架橋剤としては、特に制限されず、2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物、アミン化合物、有機酸無水物、イミダゾール化合物、ジアザビシクロウンデセンのような含窒素複素環化合物、有機ホスフィン、有機ボロン錯体、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
これらの硬化剤の中でも、フェノール化合物やアミン化合物、有機酸無水物が好ましく、硬化物の耐水性の点から、フェノール化合物がより好ましい。
上記フェノール化合物としては、1分子中にフェノール性の水酸基を2個以上含有する化合物であり、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂;フェノールアラルキル型フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂;トリフェノールメタン型フェノール樹脂、トリフェノールプロパン型フェノール樹脂等のトリフェノールアルカン型フェノール樹脂;脂環式フェノール樹脂;複素環型フェノール樹脂;ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂等のビスフェノール型フェノール樹脂;等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記フェノール化合物の中でも、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂が好ましく、フェノールノボラック樹脂がより好ましい。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が、硬化性樹脂に架橋構造を形成する架橋剤として機能する反応性低分子化合物を含む場合、その含有量は、振動減衰材用樹脂組成物中の硬化性樹脂が有する官能基1当量に対して、反応性低分子化合物が有する、硬化性樹脂と反応する官能基が0.1〜2.0当量となる量であることが好ましい。より好ましくは、硬化性樹脂が有する官能基1当量に対して、0.5〜1.8当量であり、更に好ましくは、0.7〜1.5当量である。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物では、反応性低分子化合物が可塑剤と反応する官能基を有するものであってもよい。この場合、反応性低分子化合物が可塑剤のみと反応するものであってもよく、反応性低分子化合物が可塑剤とも硬化性樹脂とも反応するものであってもよい。この場合、反応性低分子化合物が有する、硬化性樹脂や可塑剤と反応する官能基が0.1〜2.0当量となる量であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜1.8当量であり、更に好ましくは、0.7〜1.5当量である。
反応性低分子化合物が2つ以上の官能基を有する重合体であって、可塑剤が反応性低分子化合物と反応する官能基を2つ以上有する場合、反応性低分子化合物と可塑剤との間で架橋構造が形成されることになるが、このような反応性低分子化合物と可塑剤とを含むことも本発明の好適な実施形態の1つである。したがって、本発明の振動減衰材用樹脂組成物から形成される塗膜が、反応性低分子化合物と可塑剤との間の架橋構造と、反応性低分子化合物と硬化性樹脂との間の架橋構造とが形成されるものであることも本発明の好適な実施形態の1つである。
反応性低分子化合物が有する官能基と、可塑剤が有する官能基とが反応する場合、そのような官能基の組合せとしては、上述した硬化性樹脂が有する官能基と、反応性低分子化合物が有する官能基との組合せと同様である。
反応性低分子化合物が可塑剤とも硬化性樹脂とも反応するものである場合、これらが有する官能基の組合せとしては、反応性低分子化合物がエポキシ基又はイソシアネート基を有し、可塑剤、硬化性樹脂がヒドロキシ基(フェノール性水酸基を含む)又はカルボキシル基を有する場合等が挙げられる。
また上記反応性低分子化合物が、少なくとも1つのラジカル重合性基を有する単量体であって、硬化時に反応性低分子化合物自体が重合反応を起こすことも、本発明の好適な実施形態の1つである。
このような反応性低分子化合物は、反応性希釈剤として機能することができる。反応性希釈剤を含むことで、その希釈効果によって樹脂組成物が取り扱いしやすいものとなり、且つ、硬化時にそれ自体が重合反応を起こして硬化に寄与することになる。したがって、硬化性を向上し、また通常の溶剤と異なり、溶剤の除去工程・廃棄を不要とすることができる。
上記反応性希釈剤として機能する反応性低分子化合物としては、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度は硬化性樹脂と同様に−25〜180℃であることが好ましい。
さらに、反応性希釈剤として機能する反応性低分子化合物(単官能性単量体)を2種以上用いる場合も同様である。このようなガラス転移温度を有するものを用いると、振動減衰材の実用温度域での振動減衰性能を効果的に発現することができることとなる。反応性低分子から形成されるポリマーのガラス転移温度は、より好ましくは−20〜170℃であり、更に好ましくは、−10〜160℃である。特に好ましくは、−15〜150℃であり、最も好ましくは10〜80℃である。
上記反応性希釈剤として機能する反応性低分子化合物としては、アクリル酸アルキルエステルを含有するものであることが好ましく、実質的にアクリル酸アルキルエステルだけからなることが好ましい。
上記アクリル酸アルキルエステルとしては、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシルジグリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ラウリルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、ステアリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジシクロペンテニルエチルアクリレート等が挙げられる。
特に、エトキシジエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシルジグリコールアクリレートが好ましく、2−エチルヘキシルジグリコールアクリレートがより好ましい。
なお、上記単官能性単量体の構造式を例示すると、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルジグリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジシクロペンテニルエチルアクリレートは、それぞれ下記式(1)、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)の通りである。
Figure 2016003252
上記以外のアクリル酸アルキルエステルとして、エステル基を構成するアルキル基が炭素数1〜18のアルキル基である各種のアクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルを使用でき、具体的にはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸イソオクチル等が使用できる。また、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよいし、更に共重合可能な他の単量体を併用してもよい。共重合可能な他の単量体としては、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、N−ビニルピロリドン等の各種の単量体をいずれも使用可能である。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が、反応性希釈剤として機能する反応性低分子化合物を含む場合、その含有量は、振動減衰材用樹脂組成物の固形分100質量%に対して、5〜80質量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜60質量%であり、更に好ましくは、20〜40質量%である。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物はまた、硬化性樹脂の原料となる単量体の一部を未反応のまま反応性低分子化合物として含んでいてもよい。この場合、振動減衰材用樹脂組成物を基材に塗布した後に未反応の低分子化合物を重合させることで、塗膜を硬化させることができる。
硬化性樹脂の原料となる単量体の一部を低分子化合物として含む場合、硬化性樹脂の原料となる単量体全体100モル%のうち、10〜70モル%を反応させずに未反応のままとしておくことが好ましい。未反応の単量体の割合は、より好ましくは、20〜60モル%であり、更に好ましくは、30〜50モル%である。
<その他の成分>
本発明の振動減衰材用樹脂組成物は、硬化性樹脂、可塑剤、可塑剤とは異なる反応性低分子化合物以外のその他の成分を含んでもよい。なお、ここでいうその他の成分とは、振動減衰材用樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥した後も塗膜中に残る不揮発分(固形分)のことを意味し、水性媒体や有機溶剤は含まれない。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物は、上記その他の成分として硬化促進剤を含んでいてもよい。特に、振動減衰材用樹脂組成物が硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応を促進するための硬化促進剤を含むことが好ましい。
硬化促進剤の種類は、特に限定されるものではなく、組成物として混合した状態で保存できるいわゆる一液性の潜在性タイプと、混合すると直ちに硬化が始まる二液性タイプのいずれでもよい。二液性タイプのものを用いる場合には、振動減衰材用樹脂組成物を使用する際に硬化促進剤を添加することになる。
硬化促進剤は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記硬化促進剤としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のフェノール塩やフェノールノボラック塩、炭酸塩等の誘導体;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;エチルホスフィン、プロピンホスフィン、フェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリアルキルホスフィン等のオルガノホスフィン化合物;Ar−NH−CO−N(式中、Arは、置換または非置換のアリール基である)で表わされる尿素誘導体;イミダゾール骨格を有する化合物等が挙げられる。
上記硬化促進剤を使用する場合の使用量は、硬化性樹脂100重量部に対して、通常0.2〜20重量部であることが好ましい。より好ましくは0.5〜10重量部である。
また、本発明の振動減衰材用樹脂組成物は、増粘剤を含んでいてもよい。
振動減衰材用樹脂組成物が増粘剤を含む場合、振動減衰材用樹脂組成物の総量100質量%に対し、固形分を20〜90質量%含有してなることが好ましく、より好ましくは30〜90質量%であり、更に好ましくは40〜90質量%である。特に好ましくは、50〜80質量%である。このような固形分の含有割合にすることで、加熱乾燥性が向上し、塗膜外観を損なわずに振動減衰性を発揮することが可能となる。
上記増粘剤を含む振動減衰材用樹脂組成物における硬化性樹脂の配合量としては、例えば、振動減衰材用樹脂組成物の固形分100質量%に対し、硬化性樹脂の固形分が10〜60質量%となるように設定することが好ましく、より好ましくは15〜60質量%である。このような硬化性樹脂の配合量とすることで振動減衰性がより充分に発揮される。
上記振動減衰材用樹脂組成物が増粘剤を含む場合、振動減衰材用樹脂組成物のpHは、7〜11であることが好ましく、より好ましくは7〜9である。当該pHは、上述したものと同様の方法により測定することができる。このようなpHであると増粘剤の性能が充分に発揮され、顔料分散性が向上するため振動減衰性がより充分に発揮される。
上記振動減衰材用樹脂組成物が増粘剤を含む場合、振動減衰材用樹脂組成物の粘度は、50〜200Pa・sであることが好ましい。このような粘度であると、基材への塗工がしやすく、かつ、液ダレのない、塗布型振動減衰材用樹脂組成物として好適なものとなる。より好ましくは60〜150Pa・sである。
振動減衰材用樹脂組成物の粘度は、B型粘度計により測定することができる。
上記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂等が挙げられる。増粘剤の配合量としては、振動減衰材用樹脂組成物中の単量体成分を重合してなるポリマーの固形分100重量部に対し、固形分で0.01〜2重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜1.5重量部であり、更に好ましくは0.1〜1重量部である。このような増粘剤の含有量にすることで顔料の分散性や塗膜の加熱乾燥性が向上し、塗膜外観を損なわず振動減衰性をより充分に発揮することが可能となる。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物は、更に顔料を含むものであってもよい。
顔料としては、例えば、後述する着色剤や防錆顔料等の1種又は2種以上を使用することができる。上記顔料の配合量としては、振動減衰材用樹脂組成物中の単量体成分を重合してなるポリマーの固形分100重量部に対し、50〜700重量部とすることが好ましく、より好ましくは100〜550重量部である。このような顔料の配合量であると顔料の分散性が向上し、振動減衰性がより充分に発揮される。
その他、本発明の振動減衰材用樹脂組成物に配合することのできるその他の成分としては、例えば、発泡剤;水系架橋剤;充填剤;ゲル化剤;分散剤;消泡剤;着色剤;防錆顔料;安定剤;湿潤剤;防腐剤;発泡防止剤;老化防止剤;防黴剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を振動減衰材用樹脂組成物の形態に合わせて適宜選択して使用することができる。
なお、上記他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を用いて、上記振動減衰材用樹脂組成物等と混合され得る。
上記発泡剤としては、特開2013−199622号公報に記載のものと同様のものを用いることができる。
上記発泡剤の配合量としては、振動減衰材用樹脂組成物中の単量体成分を重合してなるポリマーの固形分100重量部に対し、0.5〜5.0重量部とすることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0重量部である。このような発泡剤の含有量にすることで塗膜の加熱乾燥性が向上し、塗膜外観を損なわず振動減衰性をより充分に発揮することが可能となる。
上記水系架橋剤としては、特開2013−199622号公報に記載のものと同様のものを用いることができる。水系架橋剤の配合量としては、例えば、振動減衰材用樹脂組成物中の単量体成分を重合してなるポリマーの固形分100重量部に対し、固形分で0.01〜20重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.15〜15重量部、更に好ましくは0.5〜15重量部である。このような架橋剤の含有量にすることで塗膜の加熱乾燥性が向上し、塗膜外観を損なわず振動減衰性をより充分に発揮することが可能となる。
水系架橋剤は、上記可塑剤を加える前の単量体成分を重合してなるポリマーに添加してもよいし、振動減衰材用樹脂組成物として他の成分を配合するときに同時に添加してもよい。上記振動減衰材用樹脂組成物に架橋剤を混合することにより、樹脂の強靱性が向上し、その結果、高温領域でより充分な高振動減衰性が発現する。中でもオキサゾリン化合物を用いることが好ましい。
上記充填剤としては、炭酸カルシウムの他、特開2013−199622号公報に記載のものと同様のものを用いることができる。
充填剤の配合量としては、振動減衰材用樹脂組成物中の単量体成分を重合してなるポリマーの固形分100重量部に対し、50〜700重量部とすることが好ましく、より好ましくは100〜550重量部である。
上記充填材として、粒子状形状の充填材を用いる場合、充填材の平均粒子径は、0.5〜50μmであることが好ましい。より好ましくは、2〜25μmである。このような充填剤を用いると、充填剤の分散性や塗膜の加熱乾燥性が向上し、塗膜外観を損なわず振動減衰性をより充分に発揮することが可能となる。
粒子状形状の充填材としては、炭酸カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。
充填材として炭酸カルシウムを用いる場合、上記のような好ましい平均粒子径を有することから、NS#100、NN#200、SS#30(日東粉化社製)、R重炭(丸尾カルシウム社製)が好適である。
充填材の平均粒子径は、全自動粒度測定器により測定することができ、粒度分布からの重量50%径の値である。
上記ゲル化剤としては、例えば、デンプン、寒天等が挙げられる。
上記分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤、及び、ポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えば、シリコン系消泡剤等が挙げられる。
上記着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、ハンザイエロー、ベンジンイエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド等の有機又は無機の着色剤が挙げられる。
上記防錆顔料としては、例えば、リン酸金属塩、モリブデン酸金属塩、硼酸金属塩等が挙げられる。
上記その他の成分としては更に、多価金属化合物を用いてもよい。この場合、多価金属化合物により、振動減衰材用樹脂組成物の安定性、分散性、加熱乾燥性や、振動減衰材用樹脂組成物から形成される振動減衰材の振動減衰性が向上することとなる。多価金属化合物としては特に限定されず、例えば、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記多価金属化合物の形態としては、例えば、粉体、水分散体や乳化分散体等であってよい。中でも、振動減衰材用樹脂組成物中への分散性が向上することから、水分散体又は乳化分散体の形態で使用することが好ましく、より好ましくは乳化分散体の形態で使用することである。
また、多価金属化合物の使用量は、振動減衰材用樹脂組成物中の固形分100重量部に対して、0.05〜5.0重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜3.5重量部である。
上記その他の成分としては更に、後述する、硬化性樹脂の重合反応時に用いる重合開始剤、重合連鎖移動剤、重合禁止剤、触媒、キレート剤、無機塩、乳化剤等が挙げられる。
<本発明の振動減衰材用樹脂組成物の形態>
本発明の振動減衰材用樹脂組成物は、硬化性樹脂と可塑剤とが溶剤に溶解した溶剤系の組成物であってもよく、硬化性樹脂が水系溶剤中にエマルションの形態で存在した水系の組成物であってもよく、溶剤を実質的に含まない無溶剤系の組成物であってもよい。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が、硬化性樹脂が水系溶剤中にエマルションの形態で存在した水系の組成物である場合、可塑剤は、振動減衰材用樹脂組成物が含む重合体中に含まれていてもよく、又は、可塑剤が水系溶剤中にエマルションの形態で存在していてもよい。
このような、本発明の振動減衰材用樹脂組成物が更に溶剤を含み、硬化性樹脂と可塑剤とが溶剤に溶解した溶剤系の振動減衰材用樹脂組成物は、本発明の振動減衰材用樹脂組成物の好適な実施形態の1つである。
また、硬化性樹脂が水系溶剤中にエマルションの形態で存在し、可塑剤が重合体中に含まれるか、または水系溶剤中にエマルションの形態で存在した水系の振動減衰材用樹脂組成物もまた、本発明の振動減衰材用樹脂組成物の好適な実施形態の1つである。
更に、本発明の振動減衰材用樹脂組成物が溶剤を実質的に含まない無溶剤系の組成物であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
ここで、溶剤を実質的に含まないとは、溶剤を全く含まないか、含んでいるとしても、組成物中に含まれる硬化性樹脂のうち、溶剤に溶解しているか、エマルションの形態で存在しているものの割合が10%以下である場合をいうものとする。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が溶剤を含む場合、振動減衰材用樹脂組成物全体100質量%に対する、組成物中の不揮発分は20〜90質量%であることが好ましい。不揮発分量がこのような範囲にあることで、振動減衰材用樹脂組成物が塗布により塗膜を形成しやすく、また、塗膜が優れた振動減衰性を発揮することとなる。組成物中の不揮発分は、より好ましくは、30〜87質量%であり、更に好ましくは、40〜84質量%であり、特に好ましくは、50〜80質量%である。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が溶剤系の振動減衰材用樹脂組成物である場合、組成物が含む溶剤としては、硬化性樹脂、可塑剤を溶解することができるものであれば特に制限されず、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ヘキサン、トルエン、キシレン等の1種又は2種以上を用いることができる。また、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等を含んでいてもよい。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が上述した溶剤系の振動減衰材用樹脂組成物である場合、本発明の振動減衰材用樹脂に硬化性樹脂として含有される重合体の製造方法としては、特に制限されないが、有機溶剤に単量体を溶解し、溶剤中で重合する溶液重合により製造することが好ましい。
溶液重合に用いる有機溶剤としては、上述した溶剤系の振動減衰材用樹脂組成物が含む溶剤と同様のものを用いることができる。また、後述する重合開始剤、重合連鎖移動剤等を用いることができる。
また、本発明の振動減衰材用樹脂組成物が水系の組成物である場合、組成物のpHとしては特に限定されないが、4〜12であることが好ましく、より好ましくは5〜11であり、更に好ましくは6〜10である。振動減衰材用樹脂組成物のpHは、当該樹脂に、アンモニア水、水溶性アミン類、水酸化アルカリ水溶液等を添加することによって調整することができる。このようなpHにすると振動減衰材用樹脂組成物の機械的安定性が向上し、加熱乾燥時の塗膜外観を損なわず振動減衰性をより充分に発揮することが可能となる。
本明細書中、pHは、pHメーターにより測定することができる。例えば、pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)を用いて25℃での値を測定することが好ましい。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が、硬化性樹脂が水系溶剤中にエマルションの形態で存在した水系のものである場合、水系溶剤としては、後述するポリマーエマルションの製造の際に用いる水系溶剤と同様のものを用いることができる。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物に硬化性樹脂として含まれる重合体がエマルションの形態である場合、すなわち、本発明の振動減衰材用樹脂組成物が水系の振動減衰材用樹脂組成物である場合、本発明の振動減衰材用樹脂に含有される重合体は、乳化剤の存在下で乳化重合法により単量体成分を重合することにより製造される。乳化重合を行う形態としては特に限定されず、例えば、水性媒体中に単量体成分、重合開始剤及び乳化剤を適宜加えて重合することにより行うことができる。また、分子量調節のために重合連鎖移動剤等を用いることが好ましい。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物に含有される硬化性樹脂(重合体)がコア部とシェル部とを有するエマルションである場合、通常の乳化重合法を用いて得ることが好ましい。具体的には、乳化剤及び/又は保護コロイドの存在下、水系溶剤中で単量体成分を乳化重合させてコア部を形成した後、該コア部を含むエマルションに更に単量体成分を乳化重合させてシェル部を形成する多段重合により得ることが好ましい。このように、本発明の振動減衰材用樹脂組成物に含有される硬化性樹脂がコア部とシェル部とを有するエマルションであって、該エマルションがコア部を形成した後、シェル部を形成する多段重合により得られるものである形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。シェル部は1段であってもよいが、2段以上の多層構造を有していてもよい。
上記水系溶剤としては特に限定されず、例えば、水、水と混じり合うことができる溶剤の1種又は2種以上の混合溶剤、このような溶剤に水が主成分となるように混合した混合溶剤等が挙げられる。これらの中でも、本発明の振動減衰材用樹脂組成物を含む塗料を塗布する際の安全性や環境への影響を考慮すると、水が好適である。
上記乳化剤の使用量としては、硬化性樹脂の原料となる重合性不飽和結合基を有する化合物の総量100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部である。より好ましくは0.5〜7重量部であり、更に好ましくは1〜6重量部である。このような範囲であると、機械安定性を充分に向上でき、重合安定性が充分に維持できる。
上記乳化剤としては、アニオン性(系)、カチオン性(系)、ノニオン性(系)、両性の各種界面活性剤、及び、高分子界面活性剤の1種又は2種以上を用いることができる。
アニオン性(系)、カチオン性(系)、ノニオン性(系)、両性の各種界面活性剤としては、特開2013−199622号公報に記載のものと同様のものが挙げられる。
上記アニオン系界面活性剤として好適な市販品としては、例えば、ラテムルWX、ラテムル118B、ペレックスSS−H、エマルゲンA−60、B−66、レベノールWZ(花王社製)、ニューコール707SF、ニューコール707SN、ニューコール714SF、ニューコール714SN、AB−26S、ABEX−2010、2020、2030、DSB(ローディア日華社製)等を挙げることができる。
また、これらのノニオンタイプに相当する界面活性剤も使用することができる。
上記アニオン系界面活性剤としては、また反応性界面活性剤として、反応性アニオン系界面活性剤、スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤、アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤等の1種又は2種以上を用いることができる。
スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルS−120、S−120A、S−180及びS−180A(いずれも商品名、花王社製)、エレミノールJS−2(商品名、三洋化成工業社製)、アデカリアソープSR−10、SR−20、SR−30(ADEKA社製)等が挙げられる。
アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルASK(商品名、花王社製)等が挙げられる。
更に、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルフォネート塩(例えば、三洋化成工業社製「エレミノールRS−30」、日本乳化剤社製「アントックスMS−60」等)、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルフォネー卜塩(例えば、第一工業製薬社製「アクアロンKH−10」等)等のアリル基を有する硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(例えば、花王社製「ラテムルPD−104」等)等も用いることができる。
また、上記アニオン系界面活性剤としては、更に反応性界面活性剤も用いることができ、特開2013−199622号公報に記載のものと同様のものを用いることができる。
これらの界面活性剤の中でも、環境面からは、非ノニルフェニル型の界面活性剤を用いることが好適である。
上記保護コロイドとしては、特開2013−199622号公報に記載のものと同様のものを用いることができる。
上記保護コロイドの使用量としては、使用条件等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、より好ましくは5重量部以下であり、特に好ましくは3重量部以下である。このように保護コロイドを使用することで重合安定性や機械的安定性に優れたエマルションを得ることができる。
上記乳化重合による重合体の製造方法においては、乳化重合によりエマルションを製造した後、中和剤によりエマルションを中和することが好ましい。これにより、エマルションが安定化されることになる。
中和剤としては特に限定されず、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミン;ジグリコールアミン、アンモニア水;水酸化ナトリウム等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、振動減衰材用樹脂組成物から形成される塗膜の耐水性等が向上することから、塗膜の加熱時に揮散する揮発性塩基を用いることが好ましい。より好ましくは、加熱乾燥性が良好となり、振動減衰性が向上することから、沸点が80〜360℃のアミンを用いることが好ましい。このような中和剤としては、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミン、ジグリコールアミンが好適である。より好ましくは、沸点が130〜280℃のアミンを用いることである。
なお、上記沸点は、常圧での沸点である。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が無溶剤系の組成物である場合、組成物を基材に塗布した後、溶剤を揮発させる必要がないため、溶剤を含む組成物を用いた場合に比べて短時間で塗膜を乾燥させることができるため、塗膜を形成する際の乾燥工程を削減したり、乾燥工程の時間を短縮することが可能となる。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が溶剤を実質的に含まない無溶剤系の組成物である場合、本発明の振動減衰材用樹脂に硬化性樹脂として含有される重合体の製造方法は特に制限されず、硬化性樹脂の原料となる単量体成分を、溶剤を使用することなく重合反応させて硬化性樹脂を製造してもよく、溶剤を使用して重合反応を行った後、溶剤を揮発させて溶剤を実質的に含まない硬化性樹脂を得てもよい。
重合体として(メタ)アクリル系重合体を用いる場合、液状の可塑剤中で(メタ)アクリル系モノマーをラジカル重合させるようにすると、特殊な触媒を使用しなくても、暴走することなく重合反応を進めることができる。
上記液状の可塑剤中で原料となる単量体成分を重合させて硬化性樹脂を製造する場合、可塑剤の割合は、可塑剤と硬化性樹脂の原料となる単量体成分の合計100質量%に対して、20質量%以上とすることが好ましい。より好ましくは、30質量%以上であり、更に好ましくは、40質量%以上であり、特に好ましくは、50質量%以上である。
また、振動減衰材用樹脂組成物を硬化させて得られる塗膜からの可塑剤のブリードアウトを防止する点から、可塑剤の割合は、可塑剤と硬化性樹脂の原料となる単量体成分の合計100質量%に対して、90質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、80質量%以下であり、更に好ましくは、70質量%以下であり、最も好ましくは60質量%以下である。
上記液状の可塑剤中で原料となる単量体成分を重合させて硬化性樹脂を製造する場合、使用する液状の可塑剤としては、25℃における粘度が1000mPa・s以下のものが好ましい。より好ましくは、粘度が800mPa・s以下のものであり、更に好ましくは、粘度が500mPa・s以下のものである。
可塑剤の粘度は、B型粘度計を用いて測定することができる。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物が溶剤系のもの、水系のもの、無溶剤系のもののいずれの形態のものであっても、硬化性樹脂を製造する際には、重合開始剤、重合連鎖移動剤やその他の添加剤を用いて行うことができる。
上記重合開始剤としては、熱によって分解し、ラジカル分子を発生させる物質であれば特に限定されないが、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系重合開始剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.1〜2重量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1重量部である。
上記重合開始剤には、重合を促進させるため、必要に応じて還元剤を併用することができる。還元剤としては、特開2013−199622号公報に記載のものと同様のものを用いることができ、使用量も同様である。
上記重合連鎖移動剤として特開2013−199622号公報に記載のものと同様のものを用いることができる。
重合連鎖移動剤の使用量としては、例えば、全単量体成分100重量部に対して、好ましくは20重量部以下、より好ましくは、10重量部以下である。更に好ましくは、5.0重量部以下、特に好ましくは2.0重量部以下、最も好ましくは1.0重量部以下である。
上記重合は、必要に応じて、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のキレート剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の分散剤や、無機塩等の存在下で行ってもよい。また、単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
上記硬化性樹脂を製造する際の反応温度や反応時間は、使用する単量体の種類や、反応の方法に応じて適宜設定すればよいが、重合温度としては、例えば、0〜100℃であることが好ましく、より好ましくは40〜95℃である。また、重合時間は、例えば、1〜15時間とすることが好適で、より好ましくは5〜10時間である。
単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては特に限定されず、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物は、制振材として用いられることが好ましい。
例えば振動減衰材用樹脂組成物を基材に塗布して乾燥することにより塗膜を形成し、制振材として利用することができる。
このような、本発明の振動減衰材用樹脂組成物を基材に塗布して形成される塗膜もまた、本発明の1つであり、本発明の塗膜が形成された部材もまた、本発明の1つである。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物は、塗料として用いられることが望ましく、塗料としての振動減衰材用樹脂組成物を基材に塗布して塗膜を形成することにより用いることができる。
振動減衰材用樹脂組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、刷毛、へら、エアスプレー、エアレススプレー、モルタルガン、リシンガン等を用いて塗布することができる。
上記振動減衰材用樹脂組成物を塗布した後、乾燥して塗膜を形成させる条件としては、加熱乾燥してもよく、常温乾燥してもよいが、効率性の点で加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥の温度の下限としては、110℃以上とすることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。また、加熱乾燥の温度の上限としては、210℃以下とすることが好ましく、より好ましくは170℃以下である。このような乾燥温度にすることで加熱乾燥性が向上し、塗膜外観を損なわず振動減衰性をより充分に発揮することが可能となる。
また、振動減衰材用樹脂組成物を乾燥、成形して塗膜を作製し、上記塗膜を基材の必要部位に貼り付けることによっても、制振材として利用することができる。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物を基材に塗布した後、塗膜を硬化させる方法は特に制限されず、熱硬化であってもよく、光硬化であってもよい。硬化方法は、振動減衰材用樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂の種類等により適宜選択すればよい。
上記振動減衰材用樹脂組成物を振動減衰材用途に適用する場合、その振動減衰性は、振動減衰材用樹脂組成物から形成される膜の損失正接を測定することにより評価することができる。
損失正接は、通常tanδで表され、振動減衰材に対して与えた振動がどの程度減衰したかを示すものである。上記損失正接は、数値が高いほど振動減衰性能に優れていることを示す。
上記損失正接の測定方法としては、動的粘弾性測定により、損失正接tanδを求める方法を用いることができる。動的粘弾性測定は、例えば、レオメーター(RSAIII、TAinstruments社製、又は、ARES、TAinstruments社製)を用いて行うことができる。
上記損失正接は、表面が平滑なテフロン(登録商標)板上に乾燥後膜厚が0.2mmとなるように振動減衰材用樹脂組成物を塗布し、90℃で30分乾燥後、100℃で30分減圧乾燥し、長さ25mm×幅5mmのサイズに切り出したサンプルにより測定することができる。損失正接の測定は、測定の対象となる振動減衰材用樹脂組成物から可塑剤を除いたものに該当するブランクの樹脂成分から形成した被膜について測定した損失正接のピーク面積を基準として、測定の対象となる振動減衰材用樹脂組成物から形成した被膜の損失正接のピーク面積の増減を観測し、ピークトップ温度の前後30℃の範囲の面積を計測することにより行うことができる。
又は、表面が平滑なテフロン(登録商標)板上に乾燥後膜厚が0.5mmとなるように振動減衰材用樹脂組成物を塗布し、90℃で30分乾燥後、100℃で30分減圧乾燥し、直径25mmのサイズに切り出したサンプルを用いた、ずりモードによる測定方法により行うことができる。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物の損失正接(tanδ)のピーク温度(TPTとする)は、0℃以上100℃以下であることが好ましい。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物のTPTは、振動減衰材用樹脂組成物が含むポリマーと可塑剤を混合した状態で測定した動的粘弾性測定での損失正接(tanδ)のピーク温度として定められる。
振動減衰材用樹脂組成物のTPTは0℃以上であることが好ましく、より好ましくは10℃以上であり、さらに好ましくは20℃以上である。
また、振動減衰材用樹脂組成物のTPTは100℃以下であることが好ましく、より好ましくは80℃以下であり、さらに好ましくは60℃以下である。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物のTPTがこのような範囲にあると、振動減衰材用樹脂組成物のDPTを実用温度域に調整することが容易であるため好ましい。
損失正接は、上記と同じ方法により測定することができる。
上記振動減衰材用樹脂組成物を振動減衰材用途に適用する場合、その振動減衰性は、振動減衰材用樹脂組成物から形成される膜の損失係数を測定することにより評価することができる。
損失係数は、通常ηで表され、振動減衰材に対して与えた振動がどの程度減衰したかを示すものである。上記損失係数は、数値が高いほど振動減衰性能に優れていることを示す。
上記損失係数の測定方法としては、共振周波数付近で測定する共振法が一般的であり、半値幅法、減衰率法、機械インピーダンス法がある。本発明の振動減衰材用樹脂組成物において、振動減衰材用樹脂組成物から形成される膜の損失係数としては、片持ち梁法を用いた共振法(3dB法)により測定することが好適である。片持ち梁法を用いる測定は、例えば、株式会社小野測機製のCF−5200型FFTアナライザーを用いて行うことができる。
また、上記損失係数は、冷間圧延鋼板(SPCC−SD:長さ250mm×幅10mm×厚み1.6mm)上に、長さ200mm×幅10mm×厚み3.0mmの塗膜容量で振動減衰材用樹脂組成物を塗布し、95℃×30分間乾燥後、130℃×60分間焼付け乾燥して被膜を形成することにより、測定することが好ましい。損失係数の測定は、例えば、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃及び60℃の各温度における損失係数を共振法(3dB法)により測定し、各測定数値を滑らかな曲線で結び、その曲線のピーク値により評価するのが好ましく、上述したDPTはその曲線のピーク温度とするのが好ましい。本発明の振動減衰材用樹脂組成物のDPTは、0℃以上、100℃以下であることが好ましい。また、振動減衰材用樹脂組成物のDPTは、0℃以上であることが好ましく、より好ましくは10℃以上であり、更に好ましくは20℃以上である。また、振動減衰材用樹脂組成物のDPTは100℃以下であることが好ましく、より好ましくは80℃以下であり、更に好ましくは60℃以下である。本発明の振動減衰材用樹脂組成物のDPTがこのような範囲にあると、振動減衰材の実用温度域での振動減衰性能をより効果的に発現することができることとなる。
また、振動減衰材用樹脂組成物から形成される膜の実用温度範囲が通常では10〜60℃であるので、10、20℃、30℃、40℃、50℃及び60℃の各温度における損失係数を合計した値で振動減衰性能を評価してもよく、振動減衰材用樹脂組成物から形成される膜が、10、20℃、30℃、40℃、50℃及び60℃の各温度における損失係数を合計した総損失係数が大きいほど、振動減衰材用樹脂組成物から形成される膜の実用温度範囲である10〜60℃において優れた振動減衰性を発揮しているということができる。
本発明の振動減衰材用樹脂組成物は、上述の構成よりなり、優れた振動減衰性能を発揮する塗膜を形成することができるため、鉄道車両、船舶、航空機や電気機器、建築構造物、建設機器等の、塗布型振動減衰材が使用される各種用途に好適に用いることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
硬化性樹脂の重量平均分子量、ガラス転移温度(Tg)は、以下の条件により測定又は算出した。
<重量平均分子量>
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
<ガラス転移温度(Tg)>
上述した計算式(1)により算出した。
樹脂溶液の粘度は、B型粘度計を用いて測定した。
製造例1−1
(溶剤型の樹脂溶液a1の製造例)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた重合器に、酢酸エチル240部を仕込んだ。さらに、メチルメタクリレート332.5部、スチレン150部、アクリル酸2.5部、ヒドロキシエチルアクリレート15部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン2.5部を計量したモノマープレミックスのうち1割を重合器に添加し、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。モノマープレミックスの残り9割は滴下ロートに仕込んだ。次に、重合器の内温を75℃に維持しながら、2%濃度になるように酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名「ABN−E」、日本ヒドラジン工業社製)溶液を7.5部添加し、初期重合を開始した。10分後、反応系内を75℃に維持したまま、残りのモノマープレミックスを180分にわたって均一に滴下した。同時に2%濃度になるように酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液70部を180分かけて均一に滴下した。滴下終了後、内温75〜85℃で5時間反応させ、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、不揮発分61.0%、粘度1300mPa・s、重量平均分子量4.8万、Tg97℃の樹脂溶液a1を得た。
製造例1−2
(無溶剤型の樹脂溶液a2の製造例)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器に、製造例1−1で製造した樹脂溶液a1を200部投入した。内温を80〜85℃に調整して反応器内を減圧して、反応溶媒である酢酸エチルの留去を開始した。7時間後、酢酸エチルの留去が終了した後に、反応器を常圧に戻し、反応性低分子化合物として2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)30.5部を投入し、粘度8100mPa・sの無溶剤型の樹脂溶液a2を得た。
製造例2−1
(側鎖二重結合を有する高分子を含む溶剤型の樹脂溶液b1の製造例)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器に、製造例1−1で製造した樹脂溶液a1を100部、重合禁止剤として2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(商品名:アンテージW−400、川口化学工業社製)0.05部、触媒としてジオクチル錫(商品名:ネオスタンU−830、日東化成社製)0.04部を添加した。2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:カレンズMOI、昭和電工社製)2部を投入した。内温を70〜71℃で3時間反応させて、側鎖二重結合を有する不揮発分60.5%、粘度1250mPa・s、重量平均分子量4.8万、Tgの58℃の樹脂溶液b1を得た。
製造例2−2
(無溶剤型の樹脂溶液b2の製造例)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器に、製造例2−1で製造した樹脂溶液b1を200部投入した。内温を80〜85℃に調整して反応器内を減圧して、反応溶媒である酢酸エチルの留去を開始した。7時間後、酢酸エチルの留去が終了した後に、反応器無を常圧に戻し、反応性低分子化合物としてトリメチロールプロパントリメタクリレート(商品名:TMPT、新中村化学工業社製)13.4部を投入し、粘度24000mPa・sの無溶剤型の樹脂溶液b2を得た。
製造例3
(無溶剤型の樹脂溶液cの製造例)
TMPTを添加しない以外は製造例2−2と同様に製造し、粘度65000mPa・sの無溶剤型の樹脂溶液cを得た。
製造例4
(無溶剤型の樹脂溶液dの製造例)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた重合器に、メチルメタクリレート14部、n−ブチルアクリレート4部、イソボルニルメタクリレート77.5部、アクリル酸1.5部、ヒドロキシエチルアクリレート3部、可塑剤としてのスチレン化フェノール(商品名「ノクラックSP」、大内新興製)400部を重合器に添加し、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を85℃まで昇温した。85℃に維持しながら、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名「ABN−E」、日本ヒドラジン工業社製)を1.0部添加し重合を開始した。反応開始から2時間後、3時間後、4時間後にそれぞれ2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を2部を添加し、内温83〜87℃でさらに3時間反応させ、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、粘度5500mPa・sの樹脂溶液dを得た。可塑剤を除いた樹脂は重量平均分子量3.2万、Tg138℃であった。
製造例5−1
(溶剤型の樹脂溶液e1の製造例)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた重合器に、酢酸エチル240部を仕込んだ。さらに、スチレン400部、n−ブチルアクリレート10部、イソボルニルメタクリレート82.5部、アクリル酸7.5部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン2.5部を計量したモノマープレミックスのうち1割を重合器に添加し、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。モノマープレミックスの残り9割は滴下ロートに仕込んだ。次に、重合器の内温を75℃に維持しながら、2%濃度になるように酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名「ABN−E」、日本ヒドラジン工業社製)溶液を7.5部添加し、初期重合を開始した。10分後、反応系内を75℃に維持したまま、残りのモノマープレミックスを180分にわたって均一に滴下した。同時に2%濃度になるように酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液70部を180分かけて均一に滴下した。滴下終了後、内温75〜85℃で5時間反応させ、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、不揮発分61.1%、粘度1500mPa・s、重量平均分子量5.2万、Tg106℃の樹脂溶液e1を得た。
製造例5−2
(無溶剤型の樹脂溶液e2の製造例)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器に、製造例5−1で製造した樹脂溶液e1を200部投入した。内温を80〜85℃に調整して反応器内を減圧して、反応溶媒である酢酸エチルの留去を開始した。7時間後、酢酸エチルの留去が終了した後に、反応器無を常圧に戻し、反応性低分子化合物としてjER828(商品名、三菱化学製エポキシ樹脂)6.4部を投入し粘度60000mPa・sの無溶剤型の樹脂溶液e2を得た。
実施例1
表1に示すように、製造例1−2で準備した樹脂溶液a2に、可塑剤を加えて粘度6000mPa・sのポリマーと可塑剤との混合物を調製した。さらに、その混合物100重量部に対し、ラジカル重合開始剤としてのビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(化薬アクゾ社製、商品名:パーカドックス 16)1.0重量部を配合したものを、表面が平滑なテフロン(登録商標)上に膜厚が0.2mmとなるように塗布し、100℃で30分熱処理を行うことで硬化させ、長さ25mm×幅5mmのサイズに切り出したサンプルを得た。得られた塗膜は、可塑剤が析出していない均一な塗膜だった。
実施例2
表1に示すように、製造例2−2で準備した樹脂溶液b2に、可塑剤を加えて粘度6800mPa・sのポリマーと可塑剤との混合物を調製した。さらに、その混合物100重量部に対し、UV重合開始剤として1−ヒドロキシ-シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製、商品名:IRGACURE 184)1.0重量部を配合したものを、表面が平滑なテフロン(登録商標)上に膜厚が0.2mmとなるように塗布し、紫外線照射ランプで紫外線を2000mJ/cmの積算光量で照射することにより硬化させ、長さ25mm×幅5mmのサイズに切り出したサンプルを得た。得られた塗膜は、可塑剤が析出していない均一な塗膜だった。
実施例3
表1に示すように、製造例3で準備した樹脂溶液cに、可塑剤を加えて粘度7500mPa・sのポリマーと可塑剤との混合物を調製した。その混合物を表面が平滑なテフロン(登録商標)上に膜厚が0.2mmとなるように塗布し、電子線(EB)照射装置により200kV、100kGyの線量で照射することにより硬化させ、長さ25mm×幅5mmのサイズに切り出したサンプルを得た。得られた塗膜は、可塑剤が析出していない均一な塗膜だった。
実施例4
表1に示すように、製造例4で準備した樹脂溶液d100重量部に対し、反応性低分子化合物としてデュラネート24A−100(商品名、旭化成ケミカルズ社製)1.5重量部を配合し粘度5400mPa・sの混合物を調製した。その混合物を、表面が平滑なテフロン(登録商標)上に膜厚が0.2mmとなるように塗布し、100℃で30分熱処理を行うことで硬化させ、長さ25mm×幅5mmのサイズに切り出したサンプルを得た。得られた塗膜は、可塑剤が析出していない均一な塗膜だった。
なお、デュラネート24A−100は、下記式(7)の化合物である。
Figure 2016003252
実施例5
表1に示すように、製造例5−2で準備した樹脂溶液e2に、可塑剤を加えて粘度6300mPa・sのポリマーと可塑剤との混合物を調製した。さらに、その混合物100重量部に対し、硬化促進剤としての2−ウンデシルイミダゾール(四国化成工業社製、商品名:C110Z)2.0重量部を配合したものを、表面が平滑なテフロン(登録商標)上に膜厚が0.2mmとなるように塗布し、100℃で30分熱処理を行うことで硬化させ、長さ25mm×幅5mmのサイズに切り出したサンプルを得た。得られた塗膜は、可塑剤が析出していない均一な塗膜だった。
比較例1
可塑剤、開始剤を配合しない以外は、実施例1と同様にサンプルを作成した。
比較例2
EB硬化を行なわないこと以外は、実施例3と同様に行なった。得られた塗膜は室温(25℃)で硬化していないため、粘弾性評価用のフィルムサンプルを切り出すことができなかった。
動的粘弾性の評価
各実施例及び比較例で調製した振動減衰材用樹脂組成物について、動的粘弾性測定を行い、損失係数tanδを求めた。損失係数の測定には、レオメーター(RSAIII、TAinstruments社製)を用いた。測定には、上記手順で得た厚み0.2mm、幅5mm、長さ25mmの乾燥塗膜を試験片として用い、測定条件は引張モード、−40〜80℃、昇温レート3℃/min、周波数1Hzの条件で測定した。評価はtanδピークトップ値(ピーク高さ)、半値幅、ピーク高さと半値幅の積、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃でのtanδを合計したもので行った。なお、半値幅とはtanδピークトップ値を1/2にした部分の、ピークの温度幅を示す。tanδピーク高さ2.0以上のとき優れた振動減衰効果を示す。
10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃でのtanδ合計が8.8以上のとき◎、8.8未満で5以上のとき○、5未満のとき×とした。結果を表1に示した。
密着性試験
冷間圧延鋼板(SPCC・幅70mm×長さ150mm×厚み0.8mm)の上に、幅60mm×長さ100mmの面積で膜厚が0.2mmとなるように塗布する以外は、実施例、比較例と同様に配合、硬化を行ない、塗膜を作成した。40℃において、塗膜を外側にして鋼板ごと塗膜を90度曲げたときの塗膜状態を観察した。結果を表1に示した。
○:浮き、剥がれがなく塗膜が鋼板に密着している
×:浮き、剥がれなど塗膜が鋼板から密着していない部分が見られる
Figure 2016003252
表1中、可塑剤A〜Dは、それぞれ以下のものである。
可塑剤A:オクチル化ジフェニルアミン(流動点:75℃)(大内新興化学工業社製、商品名:ノクラックAD−F)
可塑剤B:2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)(流動点:120℃)(大内新興化学工業社製、商品名:ノクラックNS−6)
可塑剤C:アルキル化ジフェニルアミン(流動点:−30℃)(大内新興化学工業社製、商品名:ノクラックODA)
可塑剤D:スチレン化フェノール(流動点:−25℃)(大内新興化学工業社製、商品名:ノクラックSP)

Claims (6)

  1. 硬化性樹脂と可塑剤とを含み、
    該可塑剤は、極性構造を可塑剤の重量平均分子量1000に対して1個以上の割合で有し、かつ、流動点が−70〜200℃であることを特徴とする振動減衰材用樹脂組成物。
  2. 前記振動減衰材用樹脂組成物は、更に可塑剤とは異なる反応性低分子化合物として、ラジカル重合性の官能基及び/又は極性構造と反応することが可能な官能基を1分子中に1個以上有する化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の振動減衰材用樹脂組成物。
  3. 前記可塑剤は、重量平均分子量が100〜4000であることを特徴とする請求項1又は2に記載の振動減衰材用樹脂組成物。
  4. 前記可塑剤は、芳香族炭化水素類、複素芳香族化合物類、有機酸類、及び、それらの変性物からなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の振動減衰材用樹脂組成物。
  5. 前記硬化性樹脂は、ガラス転移温度が−25〜180℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の振動減衰材用樹脂組成物。
  6. 前記硬化性樹脂は、重量平均分子量が1万〜100万であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の振動減衰材用樹脂組成物。
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