JP2020147635A - 熱硬化性樹脂成形材料および成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導率が高く、かつ、割れにくくて耐久性が良好な成形品を製造することができる熱硬化性樹脂成形材料を提供すること。【解決手段】レゾール型フェノール樹脂(A1)と、ワラストナイトおよび/またはガラス繊維を含む繊維状フィラー(B1)と、窒化ホウ素を含む板状フィラー(B2)とを含み、全成分中の繊維状フィラー(B1)の含有率は55〜70質量%であり、全成分中の板状フィラー(B2)含有率は2〜12質量%である、熱硬化性樹脂成形材料。【選択図】なし
Description
本発明は、熱硬化性樹脂成形材料および成形品に関する。より具体的には、熱硬化性樹脂成形材料と、その材料を用いて形成された成形品に関する。
これまで、成形品の製造に用いられる熱硬化性樹脂成形材料については様々な開発がなされてきている。特に、フェノール樹脂を含む熱硬化性樹脂成形材料に関する検討が色々と知られている。
例えば、特許文献1には、射出成形機を使用して、ノボラック型フェノール樹脂およびヘキサメチレンテトラミンを含むフェノール樹脂成形材料が記載されている。また、この材料を成形することにより成型品を得ることが記載されている。
また、特許文献2には、エラストマー変性されたフェノール樹脂成分と、繊維材や無機フィラーなどの充填材を含む成形材料が記載されている。
例えば、特許文献1には、射出成形機を使用して、ノボラック型フェノール樹脂およびヘキサメチレンテトラミンを含むフェノール樹脂成形材料が記載されている。また、この材料を成形することにより成型品を得ることが記載されている。
また、特許文献2には、エラストマー変性されたフェノール樹脂成分と、繊維材や無機フィラーなどの充填材を含む成形材料が記載されている。
種々の目的のため、熱硬化性樹脂成形材料には、フィラーが含まれる。
例えば、熱伝導率が比較的高いフィラーを含む熱硬化性樹脂成形材料を用いて成形品を製造することで、成形品の熱伝導率を高めることができる。熱伝導率が高い成形品を得ることができる成形材料は、例えば、熱放散を目的に電気・電子分野に好ましく適用することができる。
例えば、熱伝導率が比較的高いフィラーを含む熱硬化性樹脂成形材料を用いて成形品を製造することで、成形品の熱伝導率を高めることができる。熱伝導率が高い成形品を得ることができる成形材料は、例えば、熱放散を目的に電気・電子分野に好ましく適用することができる。
一方、本発明者の知見として、熱伝導率が比較的高いフィラーの中には、樹脂との接着性が低いものがある。また、成形品の熱伝導率を高めるためには、樹脂量を減らしてフィラー量を増やす必要がある。
このような「樹脂との接着性が低いフィラー」を「多量に」含む熱硬化性樹脂成形材料で成形品を製造すると、熱硬化性樹脂の欠点である割れやすさが顕著となり、成形品に割れ・欠けが発生しやすくなる懸念がある。より具体的には、温度変化による膨張・収縮に起因して、成形品に割れ・欠けが発生しやすくなり、所望の耐久性が得られない懸念がある。
このような「樹脂との接着性が低いフィラー」を「多量に」含む熱硬化性樹脂成形材料で成形品を製造すると、熱硬化性樹脂の欠点である割れやすさが顕著となり、成形品に割れ・欠けが発生しやすくなる懸念がある。より具体的には、温度変化による膨張・収縮に起因して、成形品に割れ・欠けが発生しやすくなり、所望の耐久性が得られない懸念がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的の1つは、熱伝導率が高く、かつ、割れにくくて耐久性が良好な成形品を製造することができる熱硬化性樹脂成形材料を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
本発明によれば、
レゾール型フェノール樹脂(A1)と、
ワラストナイトおよび/またはガラス繊維を含む繊維状フィラー(B1)と、
窒化ホウ素を含む板状フィラー(B2)と
を含み、
全成分中の前記繊維状フィラー(B1)の含有率は55〜70質量%であり、
全成分中の前記板状フィラー(B2)含有率は2〜12質量%である、熱硬化性樹脂成形材料
が提供される。
レゾール型フェノール樹脂(A1)と、
ワラストナイトおよび/またはガラス繊維を含む繊維状フィラー(B1)と、
窒化ホウ素を含む板状フィラー(B2)と
を含み、
全成分中の前記繊維状フィラー(B1)の含有率は55〜70質量%であり、
全成分中の前記板状フィラー(B2)含有率は2〜12質量%である、熱硬化性樹脂成形材料
が提供される。
また、本発明によれば、
上記の熱硬化性樹脂成形材料を用いて形成された成形品
が提供される。
上記の熱硬化性樹脂成形材料を用いて形成された成形品
が提供される。
本発明によれば、熱伝導率が高く、かつ、割れにくくて耐久性が良好な成形品を製造することができる熱硬化性樹脂成形材料が提供される。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
<熱硬化性樹脂成形材料>
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、レゾール型フェノール樹脂(A1)と、ワラストナイトおよび/またはガラス繊維を含む繊維状フィラー(B1)と、窒化ホウ素を含む板状フィラー(B2)とを含む。そして、全成分中の繊維状フィラー(B1)の含有率は55〜70質量%であり、全成分中の板状フィラー(B2)含有率は2〜12質量%である。
以下では、「ワラストナイトおよび/またはガラス繊維を含む繊維状フィラー(B1)」を、単に繊維状フィラー(B1)とも記載する。同様に、「窒化ホウ素を含む板状フィラー(B2)」を、単に板状フィラー(B2)とも記載する。
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、レゾール型フェノール樹脂(A1)と、ワラストナイトおよび/またはガラス繊維を含む繊維状フィラー(B1)と、窒化ホウ素を含む板状フィラー(B2)とを含む。そして、全成分中の繊維状フィラー(B1)の含有率は55〜70質量%であり、全成分中の板状フィラー(B2)含有率は2〜12質量%である。
以下では、「ワラストナイトおよび/またはガラス繊維を含む繊維状フィラー(B1)」を、単に繊維状フィラー(B1)とも記載する。同様に、「窒化ホウ素を含む板状フィラー(B2)」を、単に板状フィラー(B2)とも記載する。
詳細は不明であるが、上記のような熱硬化性樹脂成形材料を用いることで、熱伝導率が高く、かつ、割れにくくて耐久性が良好な成形品を製造することができる理由については、以下のように説明することができる。なお、以下説明により本発明の範囲が限定されるものではない。
・熱伝導性について
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、フィラーとして、繊維状フィラー(B1)と板状フィラー(B2)の両方を含む。
板状フィラー(B2)だけではフィラー間に「すき間」が生じがちであり、単独ではフィラー量を増やしにくい。しかし、繊維状フィラー(B1)と板状フィラー(B2)を併用することで、板状フィラー(B2)の間を繊維状フィラー(B1)が「埋めて」、フィラー量を増やしやすくなる。フィラー量が増えて相対的に樹脂量が減ることで、熱伝導性を高めることができる。
そして、全成分中の繊維状フィラー(B1)の含有率が55〜70質量%、全成分中の板状フィラー(B2)含有率は2〜12質量%であることで 板状フィラー(B2)の間を繊維状フィラー(B1)が「ちょうどよく埋める」ことができると推測される。
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、フィラーとして、繊維状フィラー(B1)と板状フィラー(B2)の両方を含む。
板状フィラー(B2)だけではフィラー間に「すき間」が生じがちであり、単独ではフィラー量を増やしにくい。しかし、繊維状フィラー(B1)と板状フィラー(B2)を併用することで、板状フィラー(B2)の間を繊維状フィラー(B1)が「埋めて」、フィラー量を増やしやすくなる。フィラー量が増えて相対的に樹脂量が減ることで、熱伝導性を高めることができる。
そして、全成分中の繊維状フィラー(B1)の含有率が55〜70質量%、全成分中の板状フィラー(B2)含有率は2〜12質量%であることで 板状フィラー(B2)の間を繊維状フィラー(B1)が「ちょうどよく埋める」ことができると推測される。
・割れにくさ/耐久性について
レゾール型フェノール樹脂(A1)は、それ自体が架橋部位を有する。よって、フィラー量が比較的多く、相対的に樹脂量が少なくても、十分な硬化(架橋)がなされると推測される。これが成形品の割れにくさ・耐久性に寄与していると推測される。
また、フィラーとして繊維状フィラー(B1)が適度に多く用いられていることも、割れにくさに有利に働いていると推測される。具体的には、繊維状フィラー(B1)の含有率が55質量%以上であることで、成形品が冷却された際の収縮に対する耐性が増すと推測される。また、繊維状フィラー(B1)の含有率が70質量%以下であることで、フィラーの分散に十分な量の樹脂を成形材料に含めることができると推測される。
レゾール型フェノール樹脂(A1)は、それ自体が架橋部位を有する。よって、フィラー量が比較的多く、相対的に樹脂量が少なくても、十分な硬化(架橋)がなされると推測される。これが成形品の割れにくさ・耐久性に寄与していると推測される。
また、フィラーとして繊維状フィラー(B1)が適度に多く用いられていることも、割れにくさに有利に働いていると推測される。具体的には、繊維状フィラー(B1)の含有率が55質量%以上であることで、成形品が冷却された際の収縮に対する耐性が増すと推測される。また、繊維状フィラー(B1)の含有率が70質量%以下であることで、フィラーの分散に十分な量の樹脂を成形材料に含めることができると推測される。
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料が含むまたは含むことができる成分や、本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料の性状などについて以下説明する。
[レゾール型フェノール樹脂(A1)]
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、レゾール型フェノール樹脂(A1)を含む。
レゾール型フェノール樹脂(A1)は、原料のフェノール類とアルデヒド類とを、塩基性触媒の存在下で、通常、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)を1.3〜1.7として反応させて得ることができる。もちろん、レゾール型フェノール樹脂(A1)は、市販品であってもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、レゾール型フェノール樹脂(A1)を含む。
レゾール型フェノール樹脂(A1)は、原料のフェノール類とアルデヒド類とを、塩基性触媒の存在下で、通常、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)を1.3〜1.7として反応させて得ることができる。もちろん、レゾール型フェノール樹脂(A1)は、市販品であってもよい。
原料のフェノール類は、特に限定されない。例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、アルキルフェノール類、カテコール、レゾルシン等が挙げられる。
原料としてフェノール類を1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
原料としてフェノール類を1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
原料のアルデヒド類は、特に限定されない。例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド化合物、およびこれらのアルデヒド化合物の発生源となる物質、あるいはこれらのアルデヒド化合物の溶液等が挙げられる。
原料としてアルデヒド類を1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
原料としてアルデヒド類を1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
レゾール型フェノール樹脂(A1)の数平均分子量は、用途や所望の特性にあわせて適宜設定すればよい。
数平均分子量の下限値は、例えば400以上、好ましくは450以上、さらに好ましくは500以上である。
数平均分子量の上限値は、例えば2000以下、好ましくは1800以下、さらに好ましくは1500以下である。
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、ポリスチレン標準物質を用いて作成した検量線をもとに算出することができる。
数平均分子量の下限値は、例えば400以上、好ましくは450以上、さらに好ましくは500以上である。
数平均分子量の上限値は、例えば2000以下、好ましくは1800以下、さらに好ましくは1500以下である。
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、ポリスチレン標準物質を用いて作成した検量線をもとに算出することができる。
レゾール型フェノール樹脂(A1)の、成形材料全体中の含有率は、好ましくは12〜27質量%、より好ましくは17〜22質量%である。この量を適切に調整することで、成形品の熱伝導率を一層高めうる。かつ/または、成形品を割れにくくしうる。
[ノボラック型フェノール樹脂(A2)]
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、レゾール型フェノール樹脂(A1)に加え、ノボラック型フェノール樹脂(A2)を含んでもよい。これにより、成形時の流動性を高めることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、レゾール型フェノール樹脂(A1)に加え、ノボラック型フェノール樹脂(A2)を含んでもよい。これにより、成形時の流動性を高めることができる。
ノボラック型フェノール樹脂(A2)としては、例えば、未変性フェノール系樹脂、クレゾール樹脂、レゾルシノール樹脂、キシレノール樹脂、クレゾール・キシレノール樹脂、クレゾール変性フェノール系樹脂、レゾルシノール変性フェノール系樹脂、キシレノール変性フェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、アルキルフェノール変性フェノール系樹脂、ビスフェノール変性フェノール系樹脂、カシュー油変性フェノール系樹脂、トール油変性フェノール系樹脂、ロジン変性フェノール系樹脂、テルペン油変性フェノール系樹脂、ランダムノボラック型フェノール樹脂、ハイオルソノボラック型フェノール樹脂、または下記に示すフェノール類を1種または2種以上を原料として使用した樹脂を用いることができる。
ノボラック型フェノール樹脂(A2)は、例えば、無触媒または触媒(例えば酸性触媒または遷移金属触媒)存在下で、原料のフェノール類とアルデヒド類とを、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)が0.5〜1.0となるように制御した上で、反応させて得ることができる。
原料のフェノール類とアルデヒド類については、レゾール型フェノール樹脂(A1)の原料として挙げたものと同様のものが挙げられる。
原料のフェノール類とアルデヒド類については、レゾール型フェノール樹脂(A1)の原料として挙げたものと同様のものが挙げられる。
酸性触媒としては、例えば、酢酸、シュウ酸などの有機酸;塩酸、硫酸、リン酸などの鉱物酸;ジエチル硫酸;パラトルエンスルホン酸、パラフェノールスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機スルホン酸;1−ヒドロキシエチリデン−1,1'−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸などの有機ホスホン酸などを用いることができる。
酸性触媒は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸性触媒は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
遷移金属触媒としては、例えば、コバルト、ニッケル、クロム、マンガン、亜鉛、銅、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどの塩が挙げられる。塩としては、例えば、酢酸塩などの有機塩類、ハロゲン化物、酸化物などが挙げられる。塩として具体的には、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
遷移金属触媒は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
遷移金属触媒は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ノボラック型フェノール樹脂(A2)を用いる場合、レゾール型フェノール樹脂(A1)の量に対するノボラック型フェノール樹脂(A2)の量(A2/A1)は、質量比で、好ましくは0.15〜0.50、より好ましくは0.2〜0.45である。
また、ノボラック型フェノール樹脂(A2)を用いる場合、成形材料全体中の含有率は、好ましくは5〜10質量%、より好ましくは6〜9質量%である。
ノボラック型フェノール樹脂(A2)を用いる場合、その量を適切に調整することで、他の性能を維持しつつ、成形時の流動性を高めやすい。
また、ノボラック型フェノール樹脂(A2)を用いる場合、成形材料全体中の含有率は、好ましくは5〜10質量%、より好ましくは6〜9質量%である。
ノボラック型フェノール樹脂(A2)を用いる場合、その量を適切に調整することで、他の性能を維持しつつ、成形時の流動性を高めやすい。
レゾール型フェノール樹脂(A1)とノボラック型フェノール樹脂(A2)の合計量は、本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料の全体中、好ましくは18〜32質量%、より好ましくは23〜29質量%である。
フェノール樹脂の合計量が18質量%以上であることで、成形品の割れにくさの一層の向上や、成形品の機械強度の向上(例えば曲げ強度の向上)などを図ることができる。一方、フェノール樹脂の合計量が32質量%以下であることで、フィラー量を多くしやすく、成形品の熱伝導性を一層高めやすい。
フェノール樹脂の合計量が18質量%以上であることで、成形品の割れにくさの一層の向上や、成形品の機械強度の向上(例えば曲げ強度の向上)などを図ることができる。一方、フェノール樹脂の合計量が32質量%以下であることで、フィラー量を多くしやすく、成形品の熱伝導性を一層高めやすい。
[繊維状フィラー(B1)]
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、ワラストナイトおよび/またはガラス繊維を含む繊維状フィラー(B1)を含む。
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、ワラストナイトおよび/またはガラス繊維を含む繊維状フィラー(B1)を含む。
ワラストナイトは、天然鉱物として産出される珪酸塩鉱物の一種であり、通常は比較的大きなアスペクト比を有する繊維状である。ワラストナイトとしては、市場で入手可能なものを適宜用いることができる。
ガラス繊維を構成するガラスの具体例としては、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラスなどが挙げられる。これらの中でもEガラスが好ましい。適切なガラスを用いることにより、成形品の熱膨張係数を小さくすることができる。
ワラストナイトおよび/またはガラス繊維は、レゾール型フェノール樹脂(A1)との親和性向上などのため、表面処理されていてもよい。例えば、シランカップリング剤などのカップリング剤により表面が修飾されていてもよい。
繊維状フィラー(B1)は、好ましくは、ワラストナイトとガラス繊維の両方を含む。
本発明者の知見として、ガラス繊維は特に成形材料の補強(割れにくさの向上)に有利であり、一方、ワラストナイトは特に熱伝導率の向上に有利である。よって、ワラストナイトとガラス繊維を併用することで、熱伝導率の高さと割れにくさを一層高めることができる。
繊維状フィラー(B1)が、ワラストナイトとガラス繊維の両方を含む場合、その比率は、質量比で、ワラストナイト:ガラス繊維=1:1〜6:1、好ましくは4:1〜6:1である。
本発明者の知見として、ガラス繊維は特に成形材料の補強(割れにくさの向上)に有利であり、一方、ワラストナイトは特に熱伝導率の向上に有利である。よって、ワラストナイトとガラス繊維を併用することで、熱伝導率の高さと割れにくさを一層高めることができる。
繊維状フィラー(B1)が、ワラストナイトとガラス繊維の両方を含む場合、その比率は、質量比で、ワラストナイト:ガラス繊維=1:1〜6:1、好ましくは4:1〜6:1である。
繊維状フィラー(B1)の数平均繊維径は、好ましくは1〜20μm、より好ましくは3〜13μmである。
繊維状フィラー(B1)の数平均繊維長は、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜200μmである。
繊維状フィラー(B1)の数平均繊維径や数平均繊維長を適切に調整することで、熱伝導率の高さと割れにくさを一層高めうる。かつ/または、成形性(流動性など)を高めうる。
繊維状フィラー(B1)の数平均繊維長は、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜200μmである。
繊維状フィラー(B1)の数平均繊維径や数平均繊維長を適切に調整することで、熱伝導率の高さと割れにくさを一層高めうる。かつ/または、成形性(流動性など)を高めうる。
より具体的には、繊維状フィラー(B1)がワラストナイトである場合、数平均繊維径は、好ましくは1〜15μm、より好ましくは3〜12μmである。また、数平均繊維長は、好ましくは5〜70μm、より好ましくは10〜60μmである。
また、繊維状フィラー(B1)がガラス繊維である場合、数平均繊維径は、好ましくは7〜20μm、より好ましくは9〜13μmである。また、数平均繊維長は、好ましくは70〜300μm、より好ましくは100〜200μmである。
また、繊維状フィラー(B1)がガラス繊維である場合、数平均繊維径は、好ましくは7〜20μm、より好ましくは9〜13μmである。また、数平均繊維長は、好ましくは70〜300μm、より好ましくは100〜200μmである。
繊維状フィラー(B1)の数平均繊維径および数平均繊維長は、例えば顕微鏡(電子顕微鏡が好ましい)で、フィラー100本の径および長さを測定することで求めることができる。測定は、熱硬化性樹脂成形材料中に含まれる繊維状フィラー(B1)に対して行われることが好ましい。原料を混練などして熱硬化性樹脂成形材料を得る際、繊維状フィラー(B1)の一部は折れて短くなるためである。
前述のように、成形材料の全成分中の繊維状フィラー(B1)の含有率は55〜70質量%である。この値は好ましくは60〜65質量%である。繊維状フィラー(B1)の含有率を適切に調整することで成形品の熱伝導性や割れにくさを一層高めうる。また、成形時の流動性の調整なども行いうる。
[板状フィラー(B2)]
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、窒化ホウ素を含む板状フィラー(B2)を含む。
ここで、フィラーが「板状」であるとは、フィラーの長径が、厚さよりも十分に大きいものである。より具体的には、(長径÷厚さ)の値が好ましくは2以上、より好ましくは3以上となるものである。
窒化ホウ素(特に六方晶系の窒化ホウ素、h−BNとも表記される)は、その結晶構造上、通常、板状となっている。
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、窒化ホウ素を含む板状フィラー(B2)を含む。
ここで、フィラーが「板状」であるとは、フィラーの長径が、厚さよりも十分に大きいものである。より具体的には、(長径÷厚さ)の値が好ましくは2以上、より好ましくは3以上となるものである。
窒化ホウ素(特に六方晶系の窒化ホウ素、h−BNとも表記される)は、その結晶構造上、通常、板状となっている。
板状フィラー(B2)のメジアン径は、好ましくは2〜20μm、より好ましくは4〜18μmである。このメジアン径を調整することで、熱伝導率をより高めうる。かつ/または、成形時の流動性を適切に調整することができる。このメジアン径は、板状フィラー(B2)をレーザー回折散乱法で測定し、体積基準で評価することで求められるものである。
前述のように、成形材料の全成分中の板状フィラー(B2)含有率は2〜12質量%である。この値は好ましくは4〜9質量%である。板状フィラー(B2)の含有率を適切に調整することで、成形品の熱伝導性や割れにくさを一層高めうる。
別観点として、繊維状フィラー(B1)の量に対する、板状フィラー(B2)の量(B2/B1)は、質量比で、好ましくは0.04〜0.20、より好ましくは0.07〜0.13である。この比を調整することで、成形品の熱伝導性や割れにくさを一層高めることができる。かつ/または、成形時の流動性を高めることができる。
[その他の成分]
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、最終的に得られる成形品の品質を過度に損なわない限りにおいて、その他の成分を1種または2種以上含んでもよい。
その他の成分としては、例えば、硬化剤、硬化促進剤、エラストマー、フェノール樹脂以外の樹脂、離型剤、着色剤(顔料など)、難燃剤、密着向上剤、カップリング剤等の添加剤が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、最終的に得られる成形品の品質を過度に損なわない限りにおいて、その他の成分を1種または2種以上含んでもよい。
その他の成分としては、例えば、硬化剤、硬化促進剤、エラストマー、フェノール樹脂以外の樹脂、離型剤、着色剤(顔料など)、難燃剤、密着向上剤、カップリング剤等の添加剤が挙げられる。
硬化促進剤としては、成形材料の分野で公知の硬化促進剤を挙げることができる。例えば、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物、サリチル酸、安息香酸などの芳香属カルボン酸などを挙げることができる。
硬化促進剤を用いる場合、その量は、レゾール型フェノール樹脂(A1)とノボラック型フェノール樹脂(A2)の合計量を100質量部としたとき、例えば0.1〜10質量部である。
硬化促進剤を用いる場合、その量は、レゾール型フェノール樹脂(A1)とノボラック型フェノール樹脂(A2)の合計量を100質量部としたとき、例えば0.1〜10質量部である。
エラストマーとしては、アクリルニトリルブタジエンゴム、イソプレン、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。この中でもアクリルニトリルブタジエンゴムが好ましい。エラストマーを用いることで、特に成形品の靱性を高めることができる。
フェノール樹脂以外の樹脂としては、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。
離型剤としては、例えば、ステアリン酸などの脂肪酸、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛などの脂肪酸塩、脂肪酸アミド、ポリエチレンなどが挙げられる。
離型剤を用いる場合、その量は、レゾール型フェノール樹脂(A1)とノボラック型フェノール樹脂(A2)の合計量を100質量部としたとき、例えば0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。
離型剤を用いる場合、その量は、レゾール型フェノール樹脂(A1)とノボラック型フェノール樹脂(A2)の合計量を100質量部としたとき、例えば0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。
顔料として、例えば、カーボンブラックが挙げられる。その他、所望の色の成形品を得るため、各種の着色顔料なども使用可能である。
顔料を用いる場合、その量は、レゾール型フェノール樹脂(A1)とノボラック型フェノール樹脂(A2)の合計量を100質量部としたとき、例えば0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。
顔料を用いる場合、その量は、レゾール型フェノール樹脂(A1)とノボラック型フェノール樹脂(A2)の合計量を100質量部としたとき、例えば0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。
[性状など]
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、通常、常温(23℃)では固体状であり、流動性を有しない。具体的な性状としては、顆粒状、粉粒状、タブレット状、シート状などであることができる。射出成形やトランスファー成形等への適用可能性の点からは、顆粒状、粉粒状またはタブレット状が好ましい。
所望の性状とするために、打錠や粒度調整などの処理がなされてもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、通常、常温(23℃)では固体状であり、流動性を有しない。具体的な性状としては、顆粒状、粉粒状、タブレット状、シート状などであることができる。射出成形やトランスファー成形等への適用可能性の点からは、顆粒状、粉粒状またはタブレット状が好ましい。
所望の性状とするために、打錠や粒度調整などの処理がなされてもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、溶剤(有機溶剤等)を含んでいてもよい。ただし、成形材料としての流通や取扱いの容易性、作業環境におけるVOC発生抑制などの観点から、本実施形態の熱硬化性樹脂成形材料は、溶剤等の揮発分を実質的に含まないことが好ましい。
<成形品、その製造方法>
上述の熱硬化性樹脂成形材料を硬化させることで、成形品を製造することができる。例えば、上述の熱硬化性樹脂成形材料および適当な金型を用い、トランスファー成形、コンプレッション成形、射出成形等の方法により、成形品(熱硬化性樹脂成形材料の硬化物)を製造することができる。
上述の熱硬化性樹脂成形材料を硬化させることで、成形品を製造することができる。例えば、上述の熱硬化性樹脂成形材料および適当な金型を用い、トランスファー成形、コンプレッション成形、射出成形等の方法により、成形品(熱硬化性樹脂成形材料の硬化物)を製造することができる。
成形品の用途は特に限定されない。用途としては、例えば、自動車、航空機、鉄道車両、船舶、事務機器、汎用機械、家庭用電化製品、電機機器、各種筺体、構造・機構部品などを挙げることができる。もちろん、これら以外の用途も排除されない。
特に、「熱伝導率が高く、かつ、割れにくい成形品を製造することができる」という特性に基づき、電気部品や電子部品の一部または全部を、上述の熱硬化性樹脂成形材料を用いて製造することが好ましい。
レゾール型フェノール樹脂(A1)、繊維状フィラー(B1)および板状フィラー(B2)は、全て、基本的には絶縁材料であるという点からも、電気部品や電子部品の製造に上述の熱硬化性樹脂成形材料が適用されることは好ましい。
レゾール型フェノール樹脂(A1)、繊維状フィラー(B1)および板状フィラー(B2)は、全て、基本的には絶縁材料であるという点からも、電気部品や電子部品の製造に上述の熱硬化性樹脂成形材料が適用されることは好ましい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<素材>
素材として以下を準備した。
素材として以下を準備した。
(フェノール樹脂)
レゾール型フェノール樹脂:住友ベークライト社製「PR−53529」(数平均分子量:700)
ノボラック型フェノール樹脂:住友ベークライト社製「PR−51305」(数平均分子量:900)
レゾール型フェノール樹脂:住友ベークライト社製「PR−53529」(数平均分子量:700)
ノボラック型フェノール樹脂:住友ベークライト社製「PR−51305」(数平均分子量:900)
(繊維状フィラー(B1))
ワラストナイト1:NYCO社製「NYAD325」(数平均繊維径:10μm、数平均繊維長:50μm)
ワラストナイト2:NYCO社製「NYAD1250」(数平均繊維径:3μm、数平均繊維長:9μm)
ガラス繊維:日東紡績社製「CS3E479」(数平均繊維径:11μm、数平均繊維長:150μm)
ワラストナイト1:NYCO社製「NYAD325」(数平均繊維径:10μm、数平均繊維長:50μm)
ワラストナイト2:NYCO社製「NYAD1250」(数平均繊維径:3μm、数平均繊維長:9μm)
ガラス繊維:日東紡績社製「CS3E479」(数平均繊維径:11μm、数平均繊維長:150μm)
(板状フィラー(B2))
窒化ホウ素1:デンカ社製「SGP」(メジアン径:18μm)
窒化ホウ素2:デンカ社製「SP−2」(メジアン径:4μm)
窒化ホウ素1:デンカ社製「SGP」(メジアン径:18μm)
窒化ホウ素2:デンカ社製「SP−2」(メジアン径:4μm)
(比較用フィラー)
アルミナ:デンカ社製「DAM−05」(球形、平均粒径:5μm)
ガラスビーズ:ユニチカ社製「UB−13LA」(球形、平均粒径:45μm)
アルミナ:デンカ社製「DAM−05」(球形、平均粒径:5μm)
ガラスビーズ:ユニチカ社製「UB−13LA」(球形、平均粒径:45μm)
(その他)
水酸化カルシウム:河合石灰工業社製「消石灰超特号」
ステアリン酸カルシウム:日東化成工業社製「Ca−St」
カーボンブラック:三菱化学社製「#5」
水酸化カルシウム:河合石灰工業社製「消石灰超特号」
ステアリン酸カルシウム:日東化成工業社製「Ca−St」
カーボンブラック:三菱化学社製「#5」
ここで、繊維状フィラーの数平均繊維径および数平均繊維長は、以下手順で求めた値である。
(1)後述の曲げ試験片(曲げ強さ測定用の試験片)を切断した断面を走査型電子顕微鏡で撮影した。
(2)撮影で得られた画像中に断面が確認できる繊維状フィラーの断面径と、得られた画像中に両端が確認できる繊維状フィラーの繊維長とを、それぞれを100測定し、平均した。
参考までに、全ての実施例・比較例において、繊維状フィラーの数平均繊維径および数平均繊維長は同程度であった。混練・粉砕条件が同様であったためと考えられる。
(1)後述の曲げ試験片(曲げ強さ測定用の試験片)を切断した断面を走査型電子顕微鏡で撮影した。
(2)撮影で得られた画像中に断面が確認できる繊維状フィラーの断面径と、得られた画像中に両端が確認できる繊維状フィラーの繊維長とを、それぞれを100測定し、平均した。
参考までに、全ての実施例・比較例において、繊維状フィラーの数平均繊維径および数平均繊維長は同程度であった。混練・粉砕条件が同様であったためと考えられる。
繊維状フィラー以外のフィラーの径については、素材としてのフィラーの径を示している。
<熱硬化性樹脂成形材料の製造>
準備した素材を、後掲の表1に記載の量で混合して混合物を得た。
その混合物を、回転速度の異なる加熱ロールで混練し、その後、シート状にして冷却した。加熱ロールの混練条件は、回転速度は高速側/低速側20/14rpm、温度は高速側/低速側90/20℃で、混練時間は5分間とした。
冷却後、得られたシート状の混練物を粉砕することにより、顆粒状の成形材料を得た。
準備した素材を、後掲の表1に記載の量で混合して混合物を得た。
その混合物を、回転速度の異なる加熱ロールで混練し、その後、シート状にして冷却した。加熱ロールの混練条件は、回転速度は高速側/低速側20/14rpm、温度は高速側/低速側90/20℃で、混練時間は5分間とした。
冷却後、得られたシート状の混練物を粉砕することにより、顆粒状の成形材料を得た。
<評価>
(熱伝導率)
まず、得られた成形材料を用い、射出圧力:150MPa、金型温度:175℃の条件での射出成形により、JIS K 6911に示される曲げ試験片(曲げ強さ測定用の試験片)を作製した。この試験片から10mm×10mm×厚み2mmの小片を切り出し、これを熱伝導率測定用の試験片とした。
試験片に、ULVAC社製のXeフラッシュアナライザーTD−1RTVを用いて、レーザーフラッシュ法により板状の試験片の厚み方向の熱拡散係数(α)を測定した。測定は、大気下、25℃で行った。
得られた熱拡散係数(α)、ならびに、比熱(Cp)および比重(D)の測定値から、下記式に基づいて熱伝導率を算出した。
熱伝導率[W/(m・K)]=α[m2/s]×Cp[J/kg・K]×D[g/cm3]
(熱伝導率)
まず、得られた成形材料を用い、射出圧力:150MPa、金型温度:175℃の条件での射出成形により、JIS K 6911に示される曲げ試験片(曲げ強さ測定用の試験片)を作製した。この試験片から10mm×10mm×厚み2mmの小片を切り出し、これを熱伝導率測定用の試験片とした。
試験片に、ULVAC社製のXeフラッシュアナライザーTD−1RTVを用いて、レーザーフラッシュ法により板状の試験片の厚み方向の熱拡散係数(α)を測定した。測定は、大気下、25℃で行った。
得られた熱拡散係数(α)、ならびに、比熱(Cp)および比重(D)の測定値から、下記式に基づいて熱伝導率を算出した。
熱伝導率[W/(m・K)]=α[m2/s]×Cp[J/kg・K]×D[g/cm3]
(割れにくさ(冷熱衝撃性))
得られた成形材料を用い、射出圧力:150MPa、金型温度:175℃の条件での射出成形により、円形の鉄が埋め込まれた円形の成形体を作製した。具体的には、直径60mm×厚み10mmの円形の鉄が、径方向の樹脂の最小厚みが5mmとなる位置に埋め込まれた、直径70mm×厚み10mmの円形の成形体を作製した(樹脂材料とは熱膨張率が異なる材料と組み合わせて成形体とすることで、熱膨張/収縮に起因する割れを観察しやすくしている)。
得られた成形体を冷却・加熱することを繰り返して、割れが発生するか否かを評価した。具体的には、気相にて−40℃で30分の冷却と120℃で30分の加熱を1サイクルとして、300サイクルの試験を行った。そして、割れが発生しなかったものを○(良好)、割れが発生したものを×(不良)とした。割れの発生有無は目視により確認した。
得られた成形材料を用い、射出圧力:150MPa、金型温度:175℃の条件での射出成形により、円形の鉄が埋め込まれた円形の成形体を作製した。具体的には、直径60mm×厚み10mmの円形の鉄が、径方向の樹脂の最小厚みが5mmとなる位置に埋め込まれた、直径70mm×厚み10mmの円形の成形体を作製した(樹脂材料とは熱膨張率が異なる材料と組み合わせて成形体とすることで、熱膨張/収縮に起因する割れを観察しやすくしている)。
得られた成形体を冷却・加熱することを繰り返して、割れが発生するか否かを評価した。具体的には、気相にて−40℃で30分の冷却と120℃で30分の加熱を1サイクルとして、300サイクルの試験を行った。そして、割れが発生しなかったものを○(良好)、割れが発生したものを×(不良)とした。割れの発生有無は目視により確認した。
(機械強度:曲げ強さ)
得られた成形材料を用い、射出圧力:150MPa、金型温度:175℃の条件での射出成形により、JIS K 6911に示される曲げ試験片(曲げ強さ測定用の試験片)を作製した。
得られた試験片について、JIS K 6911に準拠し、曲げ強さを測定した。
得られた成形材料を用い、射出圧力:150MPa、金型温度:175℃の条件での射出成形により、JIS K 6911に示される曲げ試験片(曲げ強さ測定用の試験片)を作製した。
得られた試験片について、JIS K 6911に準拠し、曲げ強さを測定した。
成形材料の組成および評価結果をまとめて以下の表1に示す。
表1の「組成」の欄の数値(フィラー比率(B2/B1)を除く)は、各素材の使用量を質量%で記載したものである。
表1の「組成」の欄の数値(フィラー比率(B2/B1)を除く)は、各素材の使用量を質量%で記載したものである。
表1の実施例1〜8の成形材料を用いた評価において、熱伝導率は高く、また、割れの発生は抑えられた。すなわち、レゾール型フェノール樹脂と、ワラストナイトおよび/またはガラス繊維を含む繊維状フィラー(B1)と、窒化ホウ素を含む板状フィラー(B2)とを含み、繊維状フィラー(B1)の含有率は55〜70質量%、板状フィラー(B2)含有率は2〜12質量%である成形材料を用いて成形材料を作製することで、熱伝導率が高く、かつ、割れにくくて耐久性が良好な成形品を製造することができた。
また、実施例1〜8の成形材料を用いた評価において、曲げ強度や流動性は十分良好だった。
また、実施例1〜8の成形材料を用いた評価において、曲げ強度や流動性は十分良好だった。
一方、比較例1〜5成形材料を用いた評価では、熱伝導率と割れにくさの少なくとも一方が悪い結果となった。
具体的には、繊維状フィラー(B1)のみを多量に含み、板状フィラー(B2)を含まない比較例1の成形材料の評価では、熱伝導性が悪かった。板状フィラー(B2)の量が多すぎる比較例2、板状フィラー(B2)を含まず球状フィラーを含む比較例3および4、および、繊維状フィラー(B1)の量が70質量%を超える比較例4の成形材料の評価では、割れが発生した。
具体的には、繊維状フィラー(B1)のみを多量に含み、板状フィラー(B2)を含まない比較例1の成形材料の評価では、熱伝導性が悪かった。板状フィラー(B2)の量が多すぎる比較例2、板状フィラー(B2)を含まず球状フィラーを含む比較例3および4、および、繊維状フィラー(B1)の量が70質量%を超える比較例4の成形材料の評価では、割れが発生した。
Claims (8)
- レゾール型フェノール樹脂(A1)と、
ワラストナイトおよび/またはガラス繊維を含む繊維状フィラー(B1)と、
窒化ホウ素を含む板状フィラー(B2)と
を含み、
全成分中の前記繊維状フィラー(B1)の含有率は55〜70質量%であり、
全成分中の前記板状フィラー(B2)含有率は2〜12質量%である、熱硬化性樹脂成形材料。 - 請求項1に記載の熱硬化性樹脂成形材料であって、
前記繊維状フィラー(B1)の量に対する、前記板状フィラー(B2)の量(B2/B1)は、質量比で0.04〜0.20である、熱硬化性樹脂成形材料。 - 請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂成形材料であって、
前記繊維状フィラー(B1)は、ワラストナイトとガラス繊維の両方を含む、熱硬化性樹脂成形材料。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂成形材料であって、
前記繊維状フィラー(B1)の、数平均繊維径は1〜20μmであり、数平均繊維長は5〜300μmである、熱硬化性樹脂成形材料。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂成形材料であって、
前記板状フィラー(B2)のメジアン径は2〜20μmである、熱硬化性樹脂成形材料。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂成形材料であって、
さらに、ノボラック型フェノール樹脂(A2)を含む、熱硬化性樹脂成形材料。 - 請求項6に記載の熱硬化性樹脂成形材料であって、
前記レゾール型フェノール樹脂(A1)の量に対する、前記ノボラック型フェノール樹脂(A2)の量(A2/A1)は、質量比で0.15〜0.50である、熱硬化性樹脂成形材料。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂成形材料を用いて形成された成形品。
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