JP6425112B2 - 多価ヒドロキシ樹脂及びエポキシ樹脂、並びに、熱硬化性成形材料及び半導体封止材 - Google Patents

多価ヒドロキシ樹脂及びエポキシ樹脂、並びに、熱硬化性成形材料及び半導体封止材 Download PDF

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Description

本発明は、多価ヒドロキシ樹脂及びエポキシ樹脂、並びに、熱硬化性成形材料及び半導体封止材に関する。
電子材料の分野においては、半導体チップや接続部材を種々の外部環境(温度、湿度、応力など)から保護するため、エポキシ樹脂及び硬化剤等を含有する半導体封止材(熱硬化性成形材料)が用いられている。そして、近年では、半導体の高集積化、高性能化等が進み、前記熱硬化性成形材料に対する要求特性がより一層厳しくなっている。
前記熱硬化性成形材料としては、従来、フェノール類とホルムアルデヒド類とを反応させて得られるフェノール縮合体(多価ヒドロキシ樹脂)、及びエポキシ樹脂を含有する組成物が用いられている。このフェノール縮合体(多価ヒドロキシ樹脂)の硬化物は、吸水率が高くて耐湿性が低く、また難燃性も低いため、年々、その使用量が減少傾向にあった。
かかる硬化物の耐湿性や難燃性の改善を目的として、たとえば特許文献1には、フェノール類とビス(メトキシメチル)ビフェニルとを反応させて得られるフェノールノボラック縮合体(多価ヒドロキシ樹脂)、及びエポキシ樹脂を含有する組成物が提案されている。
また、硬化物の耐熱性の向上を目的として、たとえば特許文献2には、硬化剤として、2価フェノール類及び1価フェノール類と、ビフェニル化合物と、を反応させて得られるフェノールノボラック樹脂(多価ヒドロキシ樹脂)を用いる方法が提案されている。この方法によれば、硬化剤の構造中に多価ヒドロキシモノマーを導入することで、硬化物は、架橋密度が高まるためにガラス転移温度が高くなり、耐熱性が向上する。
また、硬化物の耐熱性の向上を図るため、硬化剤として、ナフトールと縮合剤とを反応させて得られるナフトール系の多価ヒドロキシ樹脂を用いる方法も提案されている。しかし、このナフトール系の多価ヒドロキシ樹脂は、軟化点及び溶融粘度が高く、半導体封止材の流動性等の点で使いにくい、という不具合があった。加えて、ナフトール系の多価ヒドロキシ樹脂の製造では、硬化時にガス化して臭気や汚染の点で問題となるナフトールを除去する操作が必要となるが、ナフトールは、沸点が高く、系外への除去が困難であった。
かかるナフトール系の多価ヒドロキシ樹脂における不具合等を改善するため、ナフトール及びフェノールの混合物と、縮合剤と、を反応させて得られるノボラック樹脂を多価ヒドロキシ樹脂として用いる方法が提案されている(特許文献3、4参照)。
特開平8−143648号公報 特開2013−43958号公報 特開平4−161419号公報 特開平6−128361号公報
しかしながら、特許文献2に記載された方法においては、硬化剤の水酸基当量の低下に伴い、硬化物は吸水率が増加しやすく耐湿性に劣るという問題がある。
また、特許文献1、3、4に記載された方法では、硬化物の曲げ弾性率が低いため、硬化の際に割れを生じやすい等の問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性及び耐湿性が従来品と比べて同等以上に良好であり、高い曲げ弾性率を示す熱硬化性成形材料を調製でき、溶融粘度の低い多価ヒドロキシ樹脂を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、下記一般式(1)で表される化合物(a)と、フェノール類(b)と、下記の一般式(3)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物(c)と、を反応させて得られる多価ヒドロキシ樹脂であって、前記化合物(a)と前記フェノール類(b)と前記化合物(c)との混合割合が、モル比で、化合物(a)/フェノール類(b)=0.01〜2.5であり、かつ、化合物(c)/[化合物(a)+フェノール類(b)]=0.01〜0.8であることを特徴とする。
Figure 0006425112
[式中、環R及び環Rは、それぞれ独立にベンゼン環又はナフタレン環を示す。R及びRは、それぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基又はヒドロキシ基を示す。k及びkは、それぞれ独立に0又は1である。R及びRは、それぞれ独立に置換基を示す。k及びkは、それぞれ独立に0〜4の整数である。]
Figure 0006425112
[式中、Y 〜Yは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を示す。]
本発明の多価ヒドロキシ樹脂においては、分散度[質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が2以下であることが好ましい。
また、本発明の多価ヒドロキシ樹脂においては、前記フェノール類(b)が、1価のフェノール類であることが好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂は、前記本発明の多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ化したことを特徴とする。
また、本発明の熱硬化性成形材料は、前記本発明の多価ヒドロキシ樹脂、及び前記本発明のエポキシ樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含有することを特徴とする。
また、本発明の半導体封止材は、前記本発明の熱硬化性成形材料であることを特徴とする。
本発明によれば、耐熱性及び耐湿性が従来品と比べて同等以上に良好であり、高い曲げ弾性率を示す熱硬化性成形材料を調製でき、かつ、軟化点及び溶融粘度の低い多価ヒドロキシ樹脂を提供できる。
また、本発明によれば、該多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ化したエポキシ樹脂を提供できる。
また、本発明によれば、耐熱性及び耐湿性が従来品と比べて同等以上に良好であり、高い曲げ弾性率を示す熱硬化性成形材料、及びこれからなる半導体封止材を提供できる。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、一般式(1)で表される化合物(a)と、フェノール類(b)と、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物及びホルムアルデヒドからなる群より選ばれる1種以上の化合物(c)と、を反応させて得られるものである。
<化合物(a)>
本発明において、化合物(a)は、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0006425112
[式中、環R及び環Rは、それぞれ独立にベンゼン環又はナフタレン環を示す。R及びRは、それぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基又はヒドロキシ基を示す。k及びkは、それぞれ独立に0又は1である。R及びRは、それぞれ独立に置換基を示す。k及びkは、それぞれ独立に0〜4の整数である。]
前記式(1)中、環R及び環Rは、それぞれ独立にベンゼン環又はナフタレン環を示す。環R及び環Rは、互いに同一の構造であっても異なる構造であってもよく、なかでも互いに同一の構造であることが好ましい。
及びRは、それぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基又はヒドロキシ基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよく、なかでも互いに同一であることが好ましい。
及びkは、それぞれ独立に0又は1である。
環R及び環Rにおいて、ヒドロキシ基の結合位置は、特に限定されるものではないが、特に、環R又は環Rがベンゼン環である場合、ベンゼン環がフルオレン骨格に結合した位置(このベンゼン環上の炭素原子を1位とする)に対して3位(メタ位)又は4位(パラ位)にヒドロキシ基が少なくとも結合していることが好ましく、4位(パラ位)にヒドロキシ基が少なくとも結合していることがより好ましい。
前記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に置換基を示す。R又はRで示される置換基としては、特に限定されず、シアノ基、炭化水素基などが挙げられる。この炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基(たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基など)がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
フルオレン骨格を構成するベンゼン環に対するR又はRの結合位置は、特に限定されない。
及びkは、それぞれ独立に0〜4の整数であり、0又は1が好ましく、0が特に好ましい。
が2以上である場合、複数のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
が2以上である場合、複数のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
以下に化合物(a)の好適な具体例を示す。
Figure 0006425112
化合物(a)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
化合物(a)としては、ビスフェノールフルオレン、ビスクレゾールフルオレン、ビスカテコールフルオレン及びビスナフトールフルオレンからなる群より選択される1以上の化合物が好ましく、これらのなかでも、化合物(c)との反応性が良く、硬化物にした際、耐熱性、耐湿性及び難燃性のバランスが特に優れていることから、ビスフェノールフルオレンが特に好ましい。
<フェノール類(b)>
本発明において、フェノール類(b)は、化合物(a)以外の、フェノール性水酸基を有する化合物をいう。
フェノール類(b)としては、化合物(c)と反応させて多価ヒドロキシ樹脂が得られるものであればよく、フェノール、レゾルシン、カテコール、ヒドロキノン、ピロガロール等の無置換フェノール類;クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール等の一置換フェノール類;キシレノール、メチルプロピルフェノール、ジプロピルフェノール、ジブチルフェノール、グアヤコール、グエトール等の二置換フェノール類;トリメチルフェノール等の三置換フェノール類;ナフトール、メチルナフトール等のナフトール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール類などが挙げられる。
フェノール類(b)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
フェノール類(b)としては、化合物(c)との反応性の観点から、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006425112
[式中、Rはメチル基又はヒドロキシ基を示す。tは0〜2の整数である。tが2である場合、複数のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
また、フェノール類(b)としては、硬化物の吸水率が低いこと、及び、硬化の際の高温条件下で硬化物がより割れにくいことから、1価のフェノール類が好ましい。
フェノール類(b)は、上記のなかでも、1価のフェノール類であって前記一般式(4)で表される化合物(式中のRがメチル基、tは0〜2の整数)を用いることがより好ましく、そのなかでも、安価であり、反応性が良く、硬化物にした際に難燃性に優れ、大量に使用しても容易にリサイクル可能であることから、フェノールが特に好ましい。
ここでいう「1価のフェノール類」とは、芳香環1個当たりに結合しているヒドロキシ基が1個の芳香族ヒドロキシ化合物をいう。したがって、本発明においてビスフェノール類は1価のフェノール類に包含される。
<化合物(c)>
本発明において、化合物(c)は、下記の一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物及びホルムアルデヒドからなる群より選ばれる1種以上の化合物である。
Figure 0006425112
[式中、Y〜Yは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を示す。]
前記式(2)中、Y及びYは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を示し、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がさらに好ましく、メトキシ基が特に好ましい。Y及びYは、化合物(a)とフェノール類(b)との反応性、及びその反応の制御のしやすさの観点から、互いに同一であることが好ましい。
前記式(3)中、Y及びYは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を示し、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がさらに好ましく、メトキシ基が特に好ましい。Y及びYは、化合物(a)とフェノール類(b)との反応性、及びその反応の制御のしやすさの観点から、互いに同一であることが好ましい。
前記式(2)で表される化合物のなかで好適なものとしては、1,4−ビス(アルコキシメチル)キシレン、1,2−ビス(アルコキシメチル)キシレン、1,3−ビス(アルコキシメチル)キシレン;1,4−ビス(ハロゲン化メチル)キシレン、1,2−ビス(ハロゲン化メチル)キシレン、1,3−ビス(ハロゲン化メチル)キシレンなどが挙げられる。
前記式(3)で表される化合物のなかで好適なものとしては、4,4’−ビス(アルコキシメチル)ビフェニル、2,2’−ビス(アルコキシメチル)ビフェニル、2,4’−ビス(アルコキシメチル)ビフェニル;4,4’−ビス(ハロゲン化メチル)ビフェニル、2,2’−ビス(ハロゲン化メチル)ビフェニル、2,4’−ビス(ハロゲン化メチル)ビフェニルなどが挙げられる。
ホルムアルデヒドは、固形のものを用いてもよく、水溶液にして用いてもよい。なかでも、安価であり、反応の制御が容易である点から、水溶液にして用いることが好ましい。
化合物(c)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
化合物(c)としては、硬化物の耐湿性及び耐熱性がより高まることから、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物が好ましい。そのなかでも、取り扱いが容易であり、安価で容易に入手できることから1,4−ビス(アルコキシメチル)キシレン、4,4’−ビス(アルコキシメチル)ビフェニル、1,4−ビス(ハロゲン化メチル)キシレン、4,4’−ビス(ハロゲン化メチル)ビフェニルがより好ましい。
(多価ヒドロキシ樹脂の製造方法)
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、たとえば、化合物(a)とフェノール類(b)と化合物(c)とを、必要に応じて酸性触媒の存在下で反応させることにより製造できる。
前記化合物(a)と前記フェノール類(b)と前記化合物(c)との混合割合については以下の通りである。
化合物(a)とフェノール類(b)とのモル比が、化合物(a)/フェノール類(b)=0.01〜2.5であり、好ましくは0.02〜1であり、より好ましくは0.03〜0.5であり、特に好ましくは0.05〜0.3である。
かかる化合物(a)とフェノール類(b)とのモル比が前記範囲で小さいほど、多価ヒドロキシ樹脂の溶融粘度の低粘度化を図りやすい。かかる化合物(a)とフェノール類(b)とのモル比が下限値未満であると、硬化物の耐湿性及び耐熱性の向上効果が得られにくい。また、硬化物の難燃性の向上効果も得られにくい。一方、かかる化合物(a)とフェノール類(b)とのモル比が上限値を超えると、多価ヒドロキシ樹脂の溶融粘度が高くなりすぎるおそれがある。
化合物(c)と、化合物(a)及びフェノール類(b)の合計と、のモル比が、化合物(c)/[化合物(a)+フェノール類(b)]=0.01〜0.8であり、好ましくは0.05〜0.5であり、より好ましくは0.1〜0.3である。
かかる化合物(c)と該合計とのモル比が下限値未満であると、歩留りが低下しやすくなる。また、軟化点が低くなり、多価ヒドロキシ樹脂表面がベタついて取り扱いにくくなる。一方、かかる化合物(c)と該合計とのモル比が上限値を超えると、多価ヒドロキシ樹脂の分散度が大きくなり、溶融粘度が高くなりすぎるおそれがある。
化合物(a)とフェノール類(b)と化合物(c)とを反応させる際、化合物(c)として、前記式(2)中のYもしくはY、又は、前記式(3)中のYもしくはYがハロゲン原子である化合物を用いる場合、酸性触媒は必ずしも必要ではない。すなわち、酸性触媒を添加しなくても、化合物(a)とフェノール類(b)と化合物(c)との反応が進行する。
化合物(c)として、前記式(2)中のYもしくはY、又は、前記式(3)中のYもしくはYがハロゲン原子でない(すなわち、炭素数1〜4のアルコキシ基、又はヒドロキシ基である)化合物を用いる場合、酸性触媒の存在下で、化合物(a)とフェノール類(b)と化合物(c)との反応が進行する。
化合物(c)としてホルムアルデヒドを用いる場合、酸性触媒の存在下で、化合物(a)とフェノール類(b)と化合物(c)との反応が進行する。
酸性触媒としては、特に制限はなく、無機酸、有機酸を用いることができ、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、3−フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛などの無機酸;シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。
酸性触媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
酸性触媒の使用量は、化合物(a)とフェノール類(b)と化合物(c)との合計100質量部に対して0.01〜2質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。酸性触媒の使用量が好ましい下限値未満であると、反応速度が遅くなりやすく、一方、好ましい上限値を超えると、反応が急激に進み、反応をコントロールすることが難しくなる。
化合物(a)とフェノール類(b)と化合物(c)とを反応(一括反応)させる際、反応温度は、10〜250℃であることが好ましく、60〜180℃であることがより好ましい。反応温度が好ましい下限値未満であると、反応の進行が遅くなりやすく、一方、反応温度が好ましい上限値を超えると、反応をコントロールすることが難しくなり、多価ヒドロキシ樹脂が安定的に得られにくい。一括反応の反応時間は、1〜20時間であることが好ましく、3〜10時間であることがより好ましい。反応時間が好ましい下限値未満であると、未反応成分が残りやすく、一方、反応時間が好ましい上限値を超えると、生産性が低下しやすい。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂を製造する方法としては、上述の方法に限定されず、化合物(a)と化合物(c)とを、必要に応じて酸性触媒の存在下で反応させた後、フェノール類(b)を反応させることによっても製造できる。
化合物(a)と化合物(c)とを反応させる際、反応温度は、10〜250℃であることが好ましく、60〜180℃であることがより好ましい。反応温度が好ましい下限値未満であると、反応の進行が遅くなりやすく、一方、反応温度が好ましい上限値を超えると、反応をコントロールすることが難しくなる。化合物(a)と化合物(c)との反応時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜8時間であることがより好ましい。反応時間が好ましい下限値未満であると、未反応成分が残りやすく、一方、反応時間が好ましい上限値を超えると、生産性が低下しやすい。
化合物(a)と化合物(c)とを反応させた後にフェノール類(b)を反応させる際、反応温度は、10〜250℃であることが好ましく、60〜180℃であることがより好ましい。反応温度が好ましい下限値未満であると、反応の進行が遅くなりやすく、一方、反応温度が好ましい上限値を超えると、反応をコントロールすることが難しくなる。フェノール類(b)を反応させる際の反応時間は、1〜20時間であることが好ましく、1〜8時間であることがより好ましい。反応時間が好ましい下限値未満であると、未反応成分が残りやすく、一方、反応時間が好ましい上限値を超えると、生産性が低下しやすい。
また、本発明の多価ヒドロキシ樹脂を製造する際、化合物(c)は、所定の配合量の全部を一度に加えてもよく、分割して加えることもできる。
また、化合物(a)は、それ自体が高い耐熱性を有することから、未反応の化合物(a)が残存しても必ずしも除去する必要がない。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、上述の(多価ヒドロキシ樹脂の製造方法)により、たとえば下記一般式(5)で表される樹脂が得られる。
Figure 0006425112
[式中、X及びXは、それぞれ独立に化合物(a)に由来する基、及び/又は、フェノール類(b)に由来する基を示す。Zは、前記の化学式(6)、化学式(7)又は化学式(8)で表される2価の連結基を示す。nは1〜15の整数である。]
本発明の多価ヒドロキシ樹脂の分散度[質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.01〜1.4であることがさらに好ましく、1.1〜1.4であることが特に好ましい。多価ヒドロキシ樹脂の分散度が前記の好ましい範囲であると、多価ヒドロキシ樹脂の軟化点と溶融粘度を低く調整しやすい。
多価ヒドロキシ樹脂の分散度を、前記の好ましい範囲に制御するには、化合物(a)とフェノール類(b)と化合物(c)との混合割合を考慮しつつ化合物(c)の使用量を増減させる方法などを用いればよい。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂の質量平均分子量(Mw)は、350〜1500であることが好ましく、400〜1000であることがより好ましい。多価ヒドロキシ樹脂のMwが前記の好ましい範囲であると、多価ヒドロキシ樹脂の軟化点と溶融粘度を低く調整しやすい。
多価ヒドロキシ樹脂のMwを、前記の好ましい範囲に制御するには、化合物(a)とフェノール類(b)と化合物(c)との混合割合を考慮しつつ化合物(c)の使用量を増減させる方法などを用いればよい。
本発明において、質量平均分子量(Mw)及び分散度は、標準物質をポリスチレンとしたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定される値を示す。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、軟化点が60〜160℃の範囲であるものが好ましく、65〜110℃の範囲であるものがより好ましい。多価ヒドロキシ樹脂の軟化点が好ましい下限値以上であると、硬化物のガラス転移温度が高まり、硬化物の耐熱性がより向上する。一方、多価ヒドロキシ樹脂の軟化点が好ましい上限値以下であると、多価ヒドロキシ樹脂の溶融粘度を低減しやすい。
ここで「軟化点」は、JIS K 6910に準拠した方法により測定される値を示す。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、溶融粘度が3000mPa・s以下のものが好ましく、1000mPa・s以下のものがより好ましく、20〜500mPa・sの範囲であるものがさらに好ましい。多価ヒドロキシ樹脂の溶融粘度が好ましい上限値以下であると、熱硬化性成形材料の流動性が高まって成形しやすくなる。
ここで「溶融粘度」は、粘度計(ブルックフィールド社製のCAP2000 VISCOMETER)を使用し、温度条件を150℃に設定することにより測定される値を示す。
以上説明した本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、エポキシ樹脂用の硬化剤、エポキシ樹脂の原料等として用いることができる。
(エポキシ樹脂用の硬化剤としての用途)
本発明の多価ヒドロキシ樹脂と、エポキシ樹脂と、を混合することにより、半導体封止材になり得る熱硬化性成形材料を調製できる。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、分子内にフルオレン骨格を有する。このため、該多価ヒドロキシ樹脂を熱硬化性成形材料に用いた場合、その硬化物は、常温条件下での硬度が高まり、物理的な衝撃などに強い。また、その硬化物は、高い曲げ弾性率を示し、加熱されることで柔軟性が増すため、硬化の際に割れを生じにくい。加えて、その硬化物は、高い難燃性が維持される。
また、本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、フルオレン骨格の導入によって、その嵩高い構造により分子運動が抑制されることから、熱硬化性成形材料に用いた場合、その硬化物のガラス転移温度が高まり、硬化物は耐熱性がより向上する。
また、本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、化合物(a)とフェノール類(b)と化合物(c)との混合割合の制御によって溶融粘度が低減されることから、熱硬化性成形材料の調製において、充填剤(フィラー)多く配合できる。加えて、フルオレン骨格の導入によって水酸基当量が高くなっていることから、硬化物の吸水率が低減し、硬化物は耐湿性が高まる。さらに、本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、溶融粘度が低いことにより、濾過処理を良好に行うことができるため、金属異物が充分に除去される。
熱硬化性成形材料の原料としてのエポキシ樹脂には、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニル型などの従来公知のものを用いることができる。
該エポキシ樹脂と本発明の多価ヒドロキシ樹脂との混合割合は、諸特性(耐熱性、耐湿性、強度など)に優れることから、エポキシ樹脂中のエポキシ基当量と、多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基当量とが当量比で、水酸基/エポキシ基=0.8〜1.2であることが好ましく、0.9〜1であることがより好ましい。
熱硬化性成形材料は、多価ヒドロキシ樹脂とエポキシ樹脂以外に、その他成分を含有してもよい。
その他成分としては、本発明の多価ヒドロキシ樹脂以外の硬化剤、充填剤(フィラー)、硬化促進剤、離型剤、表面処理剤、着色剤、可撓性付与剤などが挙げられる。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂以外の硬化剤としては、従来公知のフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂などが挙げられる。
充填剤(フィラー)としては、結晶性シリカ粉、溶融性シリカ粉、石英ガラス粉、タルク、ケイ酸カルシウム粉、ケイ酸ジルコニウム粉、アルミナ粉、炭酸カルシウム粉等が挙げられ、結晶性シリカ粉、溶融性シリカ粉が好ましい。
熱硬化性成形材料中の充填剤の含有割合は、50〜95質量%が好ましく、75〜90質量%がより好ましい。充填剤の含有割合が好ましい下限値以上であれば、硬化の際、熱膨張の発生が抑制される。一方、充填剤の含有割合が好ましい上限値以下であれば、充分な流動性が得られ、成形性が向上する。本発明の多価ヒドロキシ樹脂を用いると、従来よりも多量の充填剤を安定に配合することができると共に、熱硬化性成形材料の流動性が優れ、金型への充填性なども向上する。
硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、トリス−2,6−ジメトキシフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、亜リン酸トリフェニルなどのリン化合物;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;2−ジメチルアミノメチルフェノール、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルメチルアミンなどの三級アミン類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7の有機酸塩類などが挙げられる。
離型剤としては、たとえばカルナバワックス等の各種ワックス類などが挙げられる。
表面処理剤としては公知のシランカップリング剤など、着色剤としてはカーボンブラックなど、可撓性付与剤としてはシリコーン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリルゴムなど、がそれぞれ挙げられる。
熱硬化性成形材料の硬化は、温度を100〜200℃に制御して行うことが好ましい。
硬化操作の一例としては、いったん前記の好適な温度で30秒間以上、1時間以下の硬化を行った後、さらに、前記の好適な温度で1〜20時間の後硬化を行う方法が挙げられる。
(エポキシ樹脂の原料としての用途)
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、エポキシ化してエポキシ樹脂(以下「エポキシ化多価ヒドロキシ樹脂」ともいう。)として用いることができる。
該エポキシ化多価ヒドロキシ樹脂を、従来公知のエポキシ樹脂用の硬化剤、又は本発明の多価ヒドロキシ樹脂と反応させることにより硬化物が得られる。この硬化物は、耐熱性及び耐湿性が従来品と比べて同等以上に良好であり、高い曲げ弾性率を示す。
かかるエポキシ化多価ヒドロキシ樹脂は、たとえば、本発明の多価ヒドロキシ樹脂を、塩基性触媒の存在下、エピハロヒドリンと反応させることにより得られる。
塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;水酸化アンモニウム;ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類等が挙げられる。塩基性触媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
塩基性触媒の使用量は、多価ヒドロキシ樹脂の水酸基当量に対して1.0〜4.5mol量が好ましく、2.0〜3.0mol量がより好ましい。
多価ヒドロキシ樹脂とエピハロヒドリンとを反応させる際、反応温度は、30〜160℃であることが好ましく、40〜150℃であることがより好ましく、50〜120℃であることがさらに好ましく、反応時間は、3〜20時間であることが好ましく、5〜10時間であることがより好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例1、2、4〜6、8、9、11〜13、15、17、18、20、21、23は参考例である。
<評価>
本実施例において、多価ヒドロキシ樹脂及びエポキシ化多価ヒドロキシ樹脂についての質量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)及び溶融粘度は、以下の方法によりそれぞれ測定した。多価ヒドロキシ樹脂についての軟化点は、以下の方法により測定した。
また、熱硬化性成形材料(硬化後)についてのガラス転移温度、吸水率及び曲げ弾性率は、以下の方法によりそれぞれ測定した。
[質量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)]
多価ヒドロキシ樹脂及びエポキシ化多価ヒドロキシ樹脂のMw、Mw/Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した。具体的には、下記のGPC測定装置及びカラムを使用し、標準物質をポリスチレンとして測定した。
多価ヒドロキシ樹脂のMw、Mw/Mnを測定する場合:
GPC測定装置:東ソー社製のHLC8120GPC。
カラム:TSKgel G3000H+G2000H+G2000H。
エポキシ化多価ヒドロキシ樹脂のMw、Mw/Mnを測定する場合:
GPC測定装置:東ソー社製のHLC8320GPC。
カラム:TSKgel GMHHRL+GMHHRL。
[軟化点]
多価ヒドロキシ樹脂の軟化点(℃)は、JIS K 6910に準拠した方法により測定した。
[溶融粘度]
多価ヒドロキシ樹脂及びエポキシ化多価ヒドロキシ樹脂の溶融粘度(mPa・s)は、粘度計(ブルックフィールド社製のCAP2000 VISCOMETER)を使用し、温度条件を150℃に設定することにより測定した。
[ガラス転移温度]
熱硬化性成形材料(硬化後)のガラス転移温度(℃)は、熱硬化性成形材料(硬化前)をトランスファー成形(175℃−120秒間)することによって作製した試験片(幅2mm×長さ30mm×厚さ1mm)を180℃−5時間で後硬化させたものについて、粘弾性スペクトロメーター(セイコーインスツルーメンツ製のDMS110)を使用し、10℃/分の昇温速度で30〜300℃の範囲を測定することにより求めた。
このガラス転移温度が高いほど、耐熱性に優れていることを意味する。
[吸水率]
熱硬化性成形材料(硬化後)の吸水率(%)は、熱硬化性成形材料(硬化前)をトランスファー成形(175℃−120秒間)することによって作製した吸水率評価用の試験片(直径50mm、厚さ3mm)を180℃−5時間で後硬化させたものについて、一定量の純水を入れたプレッシャークッカーを使用し、121℃の水中で20時間経過前後の質量変化を測定することにより算出した。
この吸水率が低いほど、耐湿性に優れていることを意味する。
[曲げ弾性率]
熱硬化性成形材料(硬化後)の曲げ弾性率(MPa)は、熱硬化性成形材料(硬化前)をトランスファー成形(175℃−120秒間)することによって作製した試験片(幅10mm×長さ64mm×厚さ4mm)を180℃−5時間で後硬化させたものについて、JIS K 7197に準拠した方法により測定した。
この曲げ弾性率が高いほど、硬化の際に割れを生じにくいことを意味する。
<多価ヒドロキシ樹脂の製造例>
(実施例1)
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた内容量1Lのガラス製フラスコに、ビスフェノールフルオレン140g(0.4mol)と、フェノール329g(3.5mol)と、1,4−ビス(メトキシメチル)キシレン166g(1.0mol)とを入れて混合し、この溶液にパラトルエンスルホン酸0.6gを添加し、150℃にて3時間反応させた(一括反応)。このとき発生するメタノールは系外へ除去した。反応終了後、95℃まで冷却し、48質量%KOH水溶液で中和した。未反応フェノールモノマーを除去した後、水洗し、多価ヒドロキシ樹脂を得た。
(実施例2)
実施例1において、フェノールの配合量を611g(6.5mol)、パラトルエンスルホン酸の添加量を0.9gに変更した以外は、実施例1と同様にして多価ヒドロキシ樹脂を得た。
(実施例3)
実施例2において、1,4−ビス(メトキシメチル)キシレン166g(1.0mol)の代わりに4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル242g(1.0mol)を配合した以外は、実施例2と同様にして多価ヒドロキシ樹脂を得た。
(実施例4)
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた内容量1Lのガラス製フラスコに、ビスフェノールフルオレン210.0g(0.6mol)と、フェノール639.2g(6.8mol)と、ホルマリン(ホルムアルデヒドの37体積%水溶液)81.1g(ホルムアルデヒド1.0mol)とを入れて混合し、この溶液にシュウ酸3.8gを添加し、還流にて5時間反応させた(一括反応)。反応終了後、水洗し、未反応フェノールモノマーを除去し、多価ヒドロキシ樹脂を得た。
(実施例5)
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた内容量1Lのガラス製フラスコに、ビスフェノールフルオレン140g(0.4mol)と、1,4−ビス(メトキシメチル)キシレン166g(1.0mol)とを入れて混合し、この溶液にパラトルエンスルホン酸0.6gを添加し、140℃にて2時間反応させた。このとき発生するメタノールは系外へ除去した。次に、フェノール329g(3.5mol)を添加し、さらに150℃にて1.5時間反応させた(フェノール後添加)。このとき発生するメタノールは系外へ除去した。反応終了後、95℃まで冷却し、48質量%KOH水溶液で中和した。未反応フェノールモノマーを除去した後、水洗し、多価ヒドロキシ樹脂を得た。
(実施例6)
実施例5において、フェノールの配合量を611g(6.5mol)に変更した以外は、実施例5と同様にして多価ヒドロキシ樹脂を得た。
(実施例7)
実施例6において、1,4−ビス(メトキシメチル)キシレン166g(1.0mol)の代わりに4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル242g(1.0mol)を配合した以外は、実施例6と同様にして多価ヒドロキシ樹脂を得た。
(比較例1)
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた内容量1Lのガラス製フラスコに、フェノール235g(2.5mol)と、1,4−ビス(メトキシメチル)キシレン166g(1.0mol)とを入れて混合し、この溶液にパラトルエンスルホン酸0.4gを添加し、150℃にて3時間反応させた。このとき発生するメタノールは系外へ除去した。反応終了後、95℃まで冷却し、48質量%KOH水溶液で中和した。未反応モノマーを除去した後、水洗し、多価ヒドロキシ樹脂を得た。
(比較例2)
比較例1において、1,4−ビス(メトキシメチル)キシレン166g(1.0mol)の代わりに4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル242g(1.0mol)を配合し、さらに、フェノールの配合量を376g(4.0mol)及びパラトルエンスルホン酸の添加量を0.6gにそれぞれ変更した以外は、比較例1と同様にして多価ヒドロキシ樹脂を得た。
(比較例3)
温度計、攪拌機及び冷却管を備えた内容量1Lのガラス製フラスコに、化合物(a)の比較品(化合物(a’))として2−ナフトール108g(0.6mol)と、フェノール244.4g(2.6mol)と、1,4−ビス(メトキシメチル)キシレン166g(1mol)とを入れて混合し、この溶液にパラトルエンスルホン酸0.5gを添加し、110℃で保持しながら2時間反応させ、さらに150℃にて1.5時間反応させた。このとき発生するメタノールは系外へ除去した。反応終了後、95℃まで冷却し、48質量%KOH水溶液で中和した。未反応モノマーを除去した後、水洗し、多価ヒドロキシ樹脂を得た。反応終了時の未反応2−ナフトールは2.3質量%であった。
各例で得られた多価ヒドロキシ樹脂について、質量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)、軟化点及び溶融粘度をそれぞれ測定した結果を表1に示した。
Figure 0006425112
<熱硬化性成形材料の製造例(1)>
(実施例8〜14、比較例4〜6)
表2に示す組成に従い、各原料を混合して熱硬化性成形材料(1)〜(10)をそれぞれ調製した。
エポキシ樹脂及び多価ヒドロキシ樹脂は、エポキシ樹脂中のエポキシ基当量と、多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基当量と、の当量比が1となるように配合量を設定した。
使用した原料を以下に示す。
エポキシ樹脂:フェノールノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬製の商品名「EOCN1020」。
多価ヒドロキシ樹脂:上記の実施例1〜7及び比較例1〜3でそれぞれ製造したもの。
球状シリカ:充填剤、龍森製の商品名「MSR−2212」。
トリフェニルホスフィン:硬化促進剤、試薬。
カルナバワックス:離型剤、日本ワックス製。
得られた熱硬化性成形材料(1)〜(10)について、ガラス転移温度、吸水率及び曲げ弾性率をそれぞれ測定した結果を表2に示した。
Figure 0006425112
表1、2の結果から、本発明を適用した実施例1〜7の多価ヒドロキシ樹脂によれば、軟化点及び溶融粘度が低いこと、加えて、耐熱性及び耐湿性に優れ、高い曲げ弾性率を示す熱硬化性成形材料(1)〜(7)を調製できたことが確認できる。
<エポキシ樹脂(エポキシ化多価ヒドロキシ樹脂)の製造例>
(実施例15)
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた内容量500mLのガラス製フラスコに、実施例2で得られた多価ヒドロキシ樹脂199.2gと、エピクロロヒドリン555.1gと、メチルエチルケトン216.3gとを加え、60℃まで加熱して溶解させた。これらを強く撹拌しながら、60℃で180分間かけてNaOHフレーク120g(多価ヒドロキシ樹脂の水酸基当量に対して2.5mol量)を加えた後、65℃で180分間反応させた。ここで得られた反応液は乳白濁色であった。この反応液にメチルエチルケトン400mLを加えて80℃に加熱し、セライトろ過を行った。その後、メチルイソブチルケトンとイオン交換水とにより洗浄を行った。
次に、30質量%NaOH水溶液800gを加え、70℃で60分間撹拌して閉環反応を行った。該閉環反応後の反応液を、イオン交換水で3回以上洗浄した後、減圧濃縮し、80℃で15時間真空乾燥してエポキシ樹脂(エポキシ化多価ヒドロキシ樹脂)を得た。
(実施例16)
実施例15において、実施例2で得られた多価ヒドロキシ樹脂199.2gの代わりに実施例3で得られた多価ヒドロキシ樹脂237.6gを配合した以外は、実施例15と同様にしてエポキシ樹脂(エポキシ化多価ヒドロキシ樹脂)を得た。
(実施例17)
実施例15において、実施例2で得られた多価ヒドロキシ樹脂199.2gの代わりに実施例4で得られた多価ヒドロキシ樹脂159.6gを配合した以外は、実施例15と同様にしてエポキシ樹脂(エポキシ化多価ヒドロキシ樹脂)を得た。
各例で得られたエポキシ樹脂(エポキシ化多価ヒドロキシ樹脂)について、質量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)及び溶融粘度をそれぞれ測定した結果を表3に示した。得られたエポキシ樹脂(エポキシ化多価ヒドロキシ樹脂)は、いずれも室温(23℃)下で、粘性の高い液体であった。
Figure 0006425112
<熱硬化性成形材料の製造例(2)>
(実施例18〜23)
表4に示す組成に従い、各原料を混合して熱硬化性成形材料(11)〜(16)をそれぞれ調製した。
エポキシ樹脂及び多価ヒドロキシ樹脂は、エポキシ樹脂中のエポキシ基当量と、多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基当量と、の当量比が1となるように配合量を設定した。
使用した原料を以下に示す。
エポキシ樹脂:上記の実施例15〜17でそれぞれ製造したエポキシ化多価ヒドロキシ樹脂。
多価ヒドロキシ樹脂:上記の実施例2〜4でそれぞれ製造したもの、及びフェノールノボラック樹脂(群栄化学工業株式会社製の商品名「PSM−4261」)。
球状シリカ:充填剤、龍森製の商品名「MSR−2212」。
トリフェニルホスフィン:硬化促進剤、試薬。
カルナバワックス:離型剤、日本ワックス製。
得られた熱硬化性成形材料(11)〜(16)について、ガラス転移温度、吸水率及び曲げ弾性率をそれぞれ測定した結果を表4に示した。
Figure 0006425112
表3、4の結果から、本発明を適用した実施例15〜17のエポキシ樹脂(エポキシ化多価ヒドロキシ樹脂)によれば、溶融粘度が低いこと、加えて、耐熱性及び耐湿性が比較例4〜6の熱硬化性成形材料と比べて同等以上に良好であり、より高い曲げ弾性率を示す熱硬化性成形材料(11)〜(16)を調製できたことが確認できる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物(a)と、
    フェノール類(b)と、
    下記の一般式(3)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物(c)と、
    を反応させて得られる多価ヒドロキシ樹脂であって、
    前記化合物(a)と前記フェノール類(b)と前記化合物(c)との混合割合が、モル比で、
    化合物(a)/フェノール類(b)=0.01〜2.5
    であり、かつ、
    化合物(c)/[化合物(a)+フェノール類(b)]=0.01〜0.8
    であることを特徴とする多価ヒドロキシ樹脂。
    Figure 0006425112
    [式中、環R及び環Rは、それぞれ独立にベンゼン環又はナフタレン環を示す。R及びRは、それぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基又はヒドロキシ基を示す。k及びkは、それぞれ独立に0又は1である。R及びRは、それぞれ独立に置換基を示す。k及びkは、それぞれ独立に0〜4の整数である。]
    Figure 0006425112
    [式中、Y 〜Yは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を示す。]
  2. 分散度[質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が2以下であることを特徴とする、請求項1に記載の多価ヒドロキシ樹脂。
  3. 前記フェノール類(b)が、1価のフェノール類であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多価ヒドロキシ樹脂。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ化したことを特徴とするエポキシ樹脂。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の多価ヒドロキシ樹脂及び請求項4に記載のエポキシ樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含有することを特徴とする熱硬化性成形材料。
  6. 請求項5に記載の熱硬化性成形材料であることを特徴とする半導体封止材。
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