JP2019210316A - フェノール樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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誠司 大橋
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Kazuya Fujita
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Abstract

【課題】熱流動安定性に優れたフェノール樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明のフェノール樹脂組成物は、ノボラック型フェノール樹脂と、アミン硬化剤と、エステル構造を有する芳香族化合物、エステル構造を有する脂肪族化合物、および連結基を介して2個のベンゼン環が結合した構造を有する芳香族二量体からなる群から選択される一種以上の改質剤と、を含むものである。【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール樹脂組成物および成形品に関する。
これまでフェノール樹脂組成物について様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、射出成形機を使用して、ノボラック型フェノール樹脂およびヘキサメチレンテトラミンを含有するフェノール樹脂組成物を成形することにより成型品を得ることが記載されている。
特開平10−330583号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載のフェノール樹脂組成物において、熱流動安定性の点で改善の余地があることが判明した。
本発明者はさらに検討したところ、ノボラック型フェノール樹脂およびアミン系硬化剤に対して、改質剤を適切に選択することにより、熱流動安定性を高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
ノボラック型フェノール樹脂と、
アミン系硬化剤と、
エステル構造を有する芳香族化合物、エステル構造を有する脂肪族化合物、および連結基を介して2個のベンゼン環が結合した構造を有する芳香族二量体からなる群から選択される一種以上の改質剤と、を含む、フェノール樹脂組成物が提供される。
また本発明によれば、上記フェノール樹脂組成物の硬化物を備える成形品が提供される。
本発明によれば、熱流動安定性に優れたフェノール樹脂組成物およびそれを用いた成形品が提供される。
本実施形態のフェノール樹脂組成物の成形方法の一例を示す模式図である。 ラボプラストミルを用いたときのフェノール樹脂組成物のトルクと時間との挙動を説明するための図である。
本実施形態のフェノール樹脂組成物の概要を説明する。
本実施形態のフェノール樹脂組成物は、ノボラック型フェノール樹脂と、アミン系硬化剤と、エステル構造を有する芳香族化合物、エステル構造を有する脂肪族化合物、および連結基を介して2個のベンゼン環が結合した構造を有する芳香族二量体からなる群から選択される一種以上の改質剤と、を含むものである。
本発明者の知見によれば、ノボラック型フェノール樹脂およびアミン系硬化剤に対して、上記の改質剤を適切に選択することにより、熱流動安定性を高められることが判明した。
本実施形態によれば、熱流動安定性に優れるフェノール樹脂組成物を実現できる。
以下、本実施形態のフェノール樹脂組成物の各成分について詳述する。
(ノボラック型フェノール樹脂)
本実施形態のフェノール樹脂組成物は、フェノール樹脂として、ノボラック型フェノール樹脂を含む。
上記ノボラック型フェノール樹脂としては、フェノール類とアルデヒド類とを、無触媒、酸性触媒または遷移金属触媒の存在下で反応させて得られる樹脂であれば、特に限定されない。
上記ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、未変性フェノール系樹脂、クレゾール樹脂、レゾルシノール樹脂、キシレノール樹脂、クレゾール・キシレノール樹脂、クレゾール変性フェノール系樹脂、レゾルシノール変性フェノール系樹脂、キシレノール変性フェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、アルキルフェノール変性フェノール系樹脂、ビスフェノール変性フェノール系樹脂、カシュー油変性フェノール系樹脂、トール油変性フェノール系樹脂、ロジン変性フェノール系樹脂、テルペン油変性フェノール系樹脂、ランダムノボラック型フェノール樹脂、ハイオルソノボラック型フェノール樹脂、または下記に示すフェノール類を2種以上使用した樹脂を用いることができる。また、これら樹脂は、2種以上の樹脂を混合したものを使用しても良い。
なお、このノボラック型フェノール樹脂は、例えば、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)が0.5以上1.0以下となるように制御した上で、反応させて得ることができる。
上記フェノール類としては、フェノール性水酸基を備えるモノマーに由来するものであれば限定されない。
このようなフェノール類としては、具体的には、フェノール;o−ジヒドロキシベンゼン、m−ジヒドロキシベンゼン、p−ジヒドロキシベンゼンなどのジヒドロキシベンゼン;o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾールなどのクレゾール;エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのアルキルフェノール;キシレノール;3−ペンタデシルフェノール、3−ペンタデシルフェノールモノエン、3−ペンタデシルフェノールジエン、3−ペンタデシルフェノールトリエンなどのカシューオイルの含有成分;1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼンモノエン、1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼンジエン、1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼントリエンといったカルドールの含有成分;2−メチル−1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼン、2−メチル−1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼンモノエン、2−メチル−1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼンジエン、2−メチル−1,3−ジヒドロキシ−5−ペンタデシルベンゼントリエンといったメチルカルドールの含有成分;ウルシオール;ビスフェノールA;ビスフェノールF;ビスフェノールSなどが挙げられる。フェノール類としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アルデヒド類としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド化合物;ヘキサメチレンテトラミンなどのアルデヒド化合物の発生源となる物質などを用いることができる。アルデヒド類としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸性触媒としては、例えば、酢酸、シュウ酸などの有機酸;塩酸、硫酸、リン酸などの鉱物酸;ジエチル硫酸;パラトルエンスルホン酸、パラフェノールスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機スルホン酸;1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸などの有機ホスホン酸などを用いることができる。酸性触媒としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記遷移金属触媒としては、例えば、コバルト、ニッケル、クロム、マンガン、亜鉛、銅、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどの塩が挙げられる。この塩としては、例えば、酢酸塩などの有機塩類、ハロゲン化物、酸化物などが挙げられる。塩としては、具体的には、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。塩としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本実施形態のフェノール樹脂組成物は、フェノール樹脂として、レゾール型フェノール樹脂を含有してもよい。上記レゾール型フェノール樹脂は、特に限定されないが、例えば、上記フェノール類および上記アルデヒド類を、アルカリ性触媒(アルカリ条件下)または亜鉛系触媒(弱酸性条件下)で反応することにより得られたものでもよい。
上記ノボラック型フェノール樹脂の含有量は、上記フェノール樹脂の固形分(またはノボラック型フェノール樹脂およびレゾール型フェノール樹脂の合計含有量)100重量%に対して、例えば、60重量%〜100重量%、80重量%〜100重量%、90重量%〜100重量%である。これにより、流動安定性に優れたフェノール樹脂組成物を実現できる。
なお、本明細書中、「〜」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
(アミン系硬化剤)
本実施形態に係るアミン系硬化剤としては限定されず、ノボラック型フェノール樹脂を硬化させるために用いられる従来公知のアミン系硬化剤を用いることができる。
アミン系硬化剤としては、具体的には、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミンなどを用いることができる。アミン系硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミンを用いることが好ましい。
上記アミン系硬化剤の含有量は、フェノール樹脂100重量部に対して、例えば、7重量部〜30重量部、より好ましくは10重量部〜25重量部である。上記数値範囲内とすることにより、良好な硬化性を得ることができる。
(改質剤)
本実施形態のフェノール樹脂組成物は、改質剤を含む。
この改質剤としては、エステル構造を有する芳香族化合物、エステル構造を有する脂肪族化合物、および連結基を介して2個のベンゼン環が結合した構造を有する芳香族二量体からなる群から選択される一種以上を含むものである。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エステル構造を有する芳香族化合物としては、下記一般式(A)で表される化合物、または下記一般式(A)で表される化合物からRを除いた構造を有する化合物を用いることができる。
Figure 2019210316
詳細なメカニズムは定かでないが、ノボラック型フェノール樹脂との相溶性が比較的高い上記一般式(A)中のベンゼン骨格およびエステル構造を備え、かつノボラック型フェノール樹脂との相溶性が比較的低い上記一般式(A)中の長鎖脂肪族骨格を備える基がワックスのように働くため、熱流動安定性を高められる、と考えられる。
上記一般式(A)中、Rはそれぞれ独立に、ヒドロキシ基または炭素数1〜4個のアルキル基を表し、pは0から3の整数を表し、mは1〜30の整数を表し、Rは炭素数2〜30個の飽和の長鎖炭化水素基を表す。Rは、炭素数2〜30個、好ましくは炭素数6〜25個、より好ましくは炭素数10〜22個の長鎖炭化水素基を用いることができる。
上記エステル構造を有する脂肪族化合物は、下記一般式(B)で表される化合物または、下記一般式(B)で表される化合物からRを除いた構造を有する化合物を用いることができる。
Figure 2019210316
上記一般式(B)中、Rは炭素数6〜30個の飽和の長鎖炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜30個の飽和の長鎖炭化水素基を表す。Rは、炭素数6〜30個、好ましくは炭素数10〜25個、より好ましくは炭素数12〜22個の飽和の長鎖炭化水素基を用いることができる。Rは、炭素数1〜30個、好ましくは炭素数1〜25個、より好ましくは炭素数1〜22個の飽和の長鎖炭化水素基を用いることができる。
詳細なメカニズムは定かでないが、ノボラック型フェノール樹脂との相溶性が比較的低い上記一般式(B)中の長鎖脂肪族骨格を備える基がワックスのように働くため、熱流動安定性を高められる、と考えられる。
上記改質剤として、一般式(A)で表される化合物からRを除いた構造および一般式(B)で表される化合物からRを除いた構造の少なくとも一方を有していればよく、両方の構造を分子内に有していてもよい。
詳細なメカニズムは定かでないが、ノボラック型フェノール樹脂との相溶性が比較的高い上記一般式(A)中のベンゼン骨格および、相溶性が比較的低い上記一般式(B)中の長鎖脂肪族骨格の両者を備える基がワックスのように働くため、熱流動安定性を高められる、と考えられる。
上記連結基を介して2個のベンゼン環が結合した構造を有する芳香族二量体は、下記一般式(C)で表される化合物を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2019210316
上記一般式(C)中、RおよびRはそれぞれ独立に、ヒドロキシ基または炭素数1〜4個のアルキル基を表し、qおよびrはそれぞれ0から3の整数を表し、Xは、単結合、または−NH−、−CH−、−CHR−、−O−、−C(=O)−、−SO−、−S−、および−C(CH−からなる群から選択される2価の置換基を表す。ただし、Rは炭素数1〜4個のアルキル基を表す。
詳細なメカニズムは定かでないが、芳香族二量体は、芳香族単量体と比べて、高沸点および/または低立体障害であるため、熱流動安定性を高められる、と考えられる。
また、前記改質剤は、分子内の脂肪族炭素数(芳香族環を構成する炭素以外の炭素数)が、例えば10個以上30個以下である化合物を含むことができる。このような高炭素数の化合物を用いることにより、詳細なメカニズムは定かでないが、熱流動安定性を高めることができる。
上記改質剤の含有量の上限値は、ノボラック型フェノール樹脂の固形分100質量%に対して、例えば5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。これにより、フェノール樹脂組成物やその成形品の物性の低下を抑制することができる。また、上記改質剤の含有量の下限値は、ノボラック型フェノール樹脂の固形分100質量%に対して、例えば0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。これにより、熱流動安定性を向上させることができる。
(充填材)
本実施形態のフェノール樹脂組成物は、充填材を含むことができる。
上記充填材としては、例えば、繊維基材、有機充填材、無機充填材等が挙げられる。
繊維基材は、その形状が繊維状である繊維状充填材である。有機充填材および無機充填材は、それぞれ、粒状充填材または板状充填材のいずれでもよい。板状充填材はその形状が板状である充填材である。粒状充填材は、不定形状を含む繊維状・板状以外の形状の充填材である。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記粒状充填材としては、例えば、粒形の無機充填材を用いることができ、ガラスビーズ、ガラスパウダー、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、クレーおよびマイカなどを用いることができる。
上記繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、金属繊維、ワラストナイト、アタパルジャイト、セピオライト、ロックウール、ホウ酸アルミニウムウイスカー、チタン酸カリウム繊維、炭酸カルシウムウィスカー、酸化チタンウィスカー、セラミック繊維などの繊維状無機充填材;アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維などの繊維状有機充填材;が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、本実施形態においては、フェノール樹脂組成物として、ガラス繊維を含んでもよい。
また、上記板状充填材、粒状充填材としては、例えば、タルク、カオリンクレー、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム水和物、マイカ、ガラスフレーク、ガラス粉、炭酸マグネシウム、シリカ、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、上記繊維状充填材の粉砕物などが挙げられる。
上記充填材の含有量は、上記フェノール樹脂100重量%に対して、例えば、30重量%〜80重量%、好ましくは40重量%〜75重量%、より好ましくは50重量%〜70重量%である。上記下限値以上とすることにより、フェノール樹脂組成物の硬化物の機械的強度を高めることができる。上記上限値以下とすることにより、製造安定性を高めることができる。
本実施形態のフェノール樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した成分以外の他の成分を含むことができる。この他の成分としては、例えば、エラストマー、硬化促進剤、樹脂成分、離型剤、顔料、難燃剤、密着向上剤、カップリング剤等の添加剤が挙げられる。なお、上記フェノール樹脂組成物は溶剤が配合されていてもよい。
本実施形態のフェノール樹脂組成物は、必要に応じて、エラストマーを含有してもよい。
上記エラストマーとしては、特に限定されないが、アクリルニトリルブタジエンゴム、イソプレン、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。この中でもアクリルニトリルブタジエンゴムが好ましい。エラストマーを用いることで特に靱性を付与することができる。
本実施形態のフェノール樹脂組成物は、必要に応じて、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤は、上記硬化剤と併用できる。これにより、熱安定性や硬化性を高めることができる。
上記硬化促進剤としては、特に限定されず、通常の硬化促進剤を用いることが出来、例えば、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物、サリチル酸、安息香酸などの芳香属カルボン酸を例示することができる。上記硬化促進剤はフェノール樹脂100重量部に対して、例えば、0.5重量部〜20重量部の割合で適宜配合して用いられる。
本実施形態のフェノール樹脂組成物は、特性などの改質を目的として、公知の樹脂材料を組み合わせて使用することもできる。このような樹脂成分の例としては、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂が挙げられる。また必要によりこれらの複数種を組み合わせて用いることもできる。
上記離型剤として、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレンなどが挙げられる。
上記顔料として、例えば、カーボンブラックなどが挙げられる。
次に、本実施形態のフェノール樹脂組成物の製造方法について説明する。
本実施形態のフェノール樹脂組成物は、公知の方法を用いて製造し得る。
上記フェノール樹脂組成物の製造方法の一例としては、上述の各成分をニーダー、ロール等で予め溶融混練し、次いで他の原料と均一に混合した後、あるいは、配合する全原料をロール、コニーダ、二軸押出し機等の混練装置単独またはロールと他の混合装置との組み合わせで溶融混練した後、造粒または粉砕して得られる。
なお、本実施形態のフェノール樹脂組成物の形状としては、特に限定されないが、例えば、粉粒状、顆粒状、タブレット状またはシート状等が挙げられる。
本実施形態の成形品(構造体)は、上述したフェノール樹脂組成物の硬化物を備えるものである。
本実施形態の成形品は、上述したフェノール樹脂組成物を用いて製造することができる。成形品の成形方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、トランスファー成形、コンプレッション成形、射出成形等を用いることができる。
成形品の成形方法の一例として、図1を用いて、射出成形について説明する。
まず、射出成形機20をゲート、ランナー、キャビティーなどの成形空間を備える金型10に接続する。
射出成形機20は、例えば、シリンダー21、シリンダー21内で回転可能なスクリュー22、シリンダー21内にフェノール樹脂組成物を投入可能な投入口23、シリンダー21を介してフェノール樹脂組成物を加熱するヒーター24および、シリンダー21内で混練した成形材料を金型10に送り出すノズル25を備える。スクリュー22は、先端に逆流弁26を備える。
続いて、加熱した射出成形機20に、フェノール樹脂組成物を投入する。フェノール樹脂組成物は、シリンダー21内で、ヒーター24によって加熱されながら、スクリュー22によって混練され、混練領域30を通過する。
混練領域30を通過したフェノール樹脂組成物は、ノズル25の存在するノズル領域40に到達する。これにより、フェノール樹脂組成物は、スクリュー22による圧力によって、ノズル25を介して金型10に射出される。
ノズル25から射出されたフェノール樹脂組成物は、金型の成形領域50に流入しながら硬化する。ここで、成形領域50は金型の成形空間である。なお、金型10の内部には温水などの熱媒体が流れており、これによって、成形空間の温度が一定に保つことができる。
本実施形態の成形品としては、例えば、自動車、航空機、鉄道車両、船舶、汎用機械、家庭用電化製品やこれらの周辺部品に用いられる成形品、またはこれらの筺体、構造・機構部品、電気・電子部品に用いられる成形品が挙げられる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
表1に記載の各成分の詳細は以下の通りである。
(フェノール樹脂)
・ノボラック型フェノール樹脂1:ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト社製、PR−51305、オルソ/パラ結合比=0.8)
(改質剤)
・改質剤1:下記の化学式で表される化合物(BASF社製、Irganox1076)
Figure 2019210316
・改質剤2:下記の化学式で表される化合物(3−フェニルプロピオン酸エチル、エステル構造を有する芳香族化合物)
Figure 2019210316
・改質剤3:下記の化学式で表される化合物(酢酸ステアリル、エステル構造を有する脂肪族化合物)
Figure 2019210316
・改質剤4:下記の化学式で表される化合物(2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、芳香族二量体)
Figure 2019210316
・改質剤5:下記の化学式で表される化合物(オクチル化ジフェニルアミン、芳香族二量体)
Figure 2019210316
・改質剤6:下記の化学式で表される化合物(2,6−ジ−tert−ブチル−o−クレゾール、芳香族単量体)
Figure 2019210316
(硬化剤)
・ヘキサメチレンテトラミン1:ヘキサメチレンテトラミン(キシダ化学社製)
(充填材)
・充填材1:ガラスビーズ(Potters社製、平均粒径10μm)
(添加剤)
・離型剤1:ステアリン酸カルシウム(日東化成工業社製、Ca−St)
<フェノール樹脂組成物の調製>
各実施例、各比較例について、表1に示される配合比率で、各成分を配合し、次のようにして各評価用のフェノール樹脂組成物を得た。
・ラボプラストミル用サンプルの作製
各実施例、各比較例について、表1に示される配合比率で、各成分を配合し、ミキサーで粉砕、混合することでフェノール樹脂組成物(ラボプラストミル用サンプル)を得た。
・キュラスト用サンプルの作製
各実施例、各比較例について、表1に示される配合比率で、各成分を配合、ミキサーで粉砕し、約110℃のラボプラストミルで、溶融粘度が10N・m増加するまで混練し、冷却後粉砕して、フェノール樹脂組成物(キュラスト用サンプル)を得た。
Figure 2019210316
得られたフェノール樹脂組成物について、下記の評価項目に基づいて評価を実施した。評価結果は表1に示す。
[熱流動安定性(ラボプラストミル150℃の熱流動安定時間)]
得られたラボプラストミル用サンプル(フェノール樹脂組成物)について、図2に示す時間TおよびTの測定を次のように行った。まず、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製、30C150)を用いて、回転数30rpm、測定温度150℃の条件でフェノール樹脂組成物の溶融トルクを経時的に測定した。
フェノール樹脂組成物の溶融トルク挙動は次のようであった。まず、ラボプラストミルにフェノール樹脂組成物を投入した後、急激にトルクが立ち上がり、溶融ピークを越えた後、トルクが徐々に下がり、トルクが安定した後、再び、トルクが緩やかに上昇する。
このようなトルク挙動において、トルク値が初期ピーク(溶融ピーク)のトップに到達した時間をTとし、溶融ピークの後、トルクがはじめて3N・mに到達した時間をTとした。
式|時間T−時間T|に基づいて、150℃における熱流動安定時間を算出するとともに、比較例1を基準(150℃における熱流動安定時間=1.00)としたときの、各実施例の150℃における熱流動安定時間の相対値を算出した。その相対値を表1に示す。
[硬化性(キュラストメーター150℃でのT(50))]
キュラストメーター(JSRトレーディング社製、製品名:キュラストメーターIID型)を用い、金型温度150℃にて、得られたキュラスト用サンプル(フェノール樹脂組成物)の硬化トルクを経時的に測定した。測定結果に基づいて、測定開始から15分後におけるトルク(最大トルクと定義する)の50%に到達するまでの時間T(50)を得て、比較例1を基準(T(50)=1.00)としたときの、各実施例のT(50)の相対値を算出した。その算出値を表1に示す。
実施例1〜5は、比較例1および比較例2に対して、熱流動安定性に優れることが分かった。また、実施例1〜5は、相対値に基づくT(50)の増加率よりも熱流動安定時間の増加率が大きいことから、硬化性の低下を抑制しつつも、熱流動安定性を高められることが分かった。このような実施例のフェノール樹脂組成物は、金型成形に用いられる成形材料に好適に用いることが可能である。
10 金型
20 射出成形機
21 シリンダー
22 スクリュー
23 投入口
24 ヒーター
25 ノズル
26 逆流弁
30 混練領域
40 ノズル領域
50 成形領域

Claims (9)

  1. ノボラック型フェノール樹脂と、
    アミン系硬化剤と、
    エステル構造を有する芳香族化合物、エステル構造を有する脂肪族化合物、および連結基を介して2個のベンゼン環が結合した構造を有する芳香族二量体からなる群から選択される一種以上の改質剤と、を含む、フェノール樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のフェノール樹脂組成物であって、
    前記改質剤の含有量は、当該ノボラック型フェノール樹脂の固形分100質量%に対して、5質量%以下である、フェノール樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂組成物であって、
    前記芳香族化合物は、下記一般式(A)で表される化合物からRを除いた構造を有する、フェノール樹脂組成物。
    Figure 2019210316
    (上記一般式(A)中、Rはそれぞれ独立に、ヒドロキシ基または炭素数1〜4個のアルキル基を表し、pは0から3の整数を表し、mは1〜30の整数を表し、Rは炭素数2〜30個の飽和の長鎖炭化水素基を表す。)
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のフェノール樹脂組成物であって、
    前記脂肪族化合物は、下記一般式(B)で表される化合物からRを除いた構造を有する、フェノール樹脂組成物。
    Figure 2019210316
    (上記一般式(B)中、Rは炭素数6〜30個の飽和の長鎖炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜30個の飽和の長鎖炭化水素基を表す。)
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のフェノール樹脂組成物であって、
    前記芳香族二量体は、下記一般式(C)で表される化合物を含む、フェノール樹脂組成物。
    Figure 2019210316
    (上記一般式(C)中、RおよびRはそれぞれ独立に、ヒドロキシ基または炭素数1〜4個のアルキル基を表し、qおよびrはそれぞれ0から3の整数を表し、Xは、単結合、または−NH−、−CH−、−CHR−、−O−、−C(=O)−、−SO−、−S−、および−C(CH−からなる群から選択される2価の置換基を表す。ただし、Rは炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のフェノール樹脂組成物であって、
    前記改質剤は、分子内の脂肪族炭素数が10個以上30個以下であるものを含む、フェノール樹脂組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のフェノール樹脂組成物であって、
    充填材を含む、フェノール樹脂組成物。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のフェノール樹脂組成物であって、
    離型剤を含む、フェノール樹脂組成物。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載のフェノール樹脂組成物の硬化物を備える成形品。
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