JP2019067522A - 鉛蓄電池用正極格子体の製造方法、蓄電池用正極格子体、及び鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池用正極格子体の製造方法、蓄電池用正極格子体、及び鉛蓄電池 Download PDF

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祐太朗 川口
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Abstract

【課題】正極格子体のグロースによる短絡を防止し得、その結果優れた寿命特性を有する鉛蓄電池を得る。【解決手段】正極格子体50の第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bのうちの少なくとも一部を、グロースの影響により上方(第1横枠骨51Aと及び第2横枠骨51Bとが離間する方向)への伸びが進行する前に破断する箇所にすべく、平均結晶粒径が9μm以上に再結晶化させる再結晶化工程を実行するようにした。【選択図】図4

Description

本発明は、自動車用鉛蓄電池、又は各種バックアップ用鉛蓄電池等に適した鉛蓄電池用正極格子体の製造方法、蓄電池用正極格子体、及び鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池の正極板は、正極格子体に鉛ペーストを充填し、熟成・乾燥を経て作製される。正極格子体には、グロースと呼ばれる伸びによる変形(低速クリープ変形とも言う)が生じる。グロースの発生により正極格子体が変形する際、基本的に正極格子体はセル室の内壁による拘束を受けていない上方に向かって変形していく。この状態が継続した場合、変形した正極格子体が対極側のストラップに接触して短絡を引き起こす可能性がある。
この短絡を回避すべく、正極格子体における第1ノードと第2ノードとの中間に、切り欠きや格子幅が狭い箇所等のウィークリンクを設け、グロースが進行して短絡が生じる前に正極格子体が破断する形状が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許第5103385号公報
しかしながら、格子体の形状は電池性能にとって重要な電位分布の最適化に非常に大きな影響を与えるため、切り欠き等の形状を避けることが理想的である。また、上記ウィークリンクを設けるためにプレス金型の形状が複雑化するため、製造コストの増加や歩留まりの悪化等を招くおそれがある。
そこで、本発明は、正極格子体のグロースによる短絡を防止し得、その結果優れた寿命特性を有する鉛蓄電池を得ることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、四角形状の枠骨と、前記枠骨の上辺を構成する第1横枠骨から突出する耳部とを一体に有する鉛蓄電池用正極格子体に、前記第1横枠骨と、前記枠骨の下辺を構成する第2横枠骨とが離間する方向への伸びが進行する前に破断する破断箇所を設ける製造方法において、前記第1横枠骨、及び前記第2横枠骨のうちの少なくとも一部を、前記破断箇所にすべく、平均結晶粒径が9μm以上に再結晶化させる工程を実行することを特徴とする。
上記構成において、前記工程では、前記第1横枠骨、及び前記第2横枠骨のうちの少なくとも一部に、加熱された加熱体を接触させて再結晶化させることを特徴とする。
また、上記構成において、前記工程では、前記第1横枠骨、及び前記第2横枠骨のうちの少なくとも一部に、レーザーを照射して再結晶化させることを特徴とする。
また、上記構成において、前記鉛蓄電池用正極格子体には、Pb−Ca−Sn系合金が用いられることを特徴とする。
また、本発明は、四角形状の枠骨と、前記枠骨の上辺を構成する第1横枠骨から突出する耳部とを一体に有するとともに、前記第1横枠骨と、前記枠骨の下辺を構成する第2横枠骨とが離間する方向への伸びが進行する前に破断する破断箇所を有する鉛蓄電池用正極格子体において、前記第1横枠骨、及び前記第2横枠骨のうちの少なくとも一部は、前記破断箇所として、平均結晶粒径が9um以上の再結晶組織にされていることを特徴とする。
また、上記構成において、前記鉛蓄電池用正極格子体を用いた正極板と、負極板とが交互に配置され、前記正極板の前記第1横枠骨に設けられた耳部同士がストラップで接続され、前記負極板の耳部同士が別のストラップで接続されていることを特徴とする。
本発明によれば、正極格子体のグロースによる短絡を防止し得、その結果優れた寿命特性を有する鉛蓄電池を得られるものである。
本発明の実施形態に係る鉛蓄電池の極板群を示す図である。 正極板の製造方法を示すフローチャートである。 格子体成型工程の構成例を示す図である。 正極格子体を示す図である。 (A)は加熱体を正極格子体と共に示す図、(B)は再結晶化工程に使用する加熱体の第1変形例を示す図、(C)は再結晶化工程に使用する加熱体の第2変形例を示す図である。 レーザーを使用する場合の格子体成型工程の構成例を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について説明する。本発明の実施形態に係る鉛蓄電池は、自動車用鉛蓄電池、又は各種バックアップ用鉛蓄電池等に適した鉛蓄電池である。
図1は本発明の実施形態に係る鉛蓄電池の極板群10を示す図である。
鉛蓄電池は、隔壁により内部を多数のセル室に区分けされた電槽を備え、各セル室に極板群10が収納される。極板群10を構成する正極板11と負極板12とは交互に配置され、正極板11の耳部11A同士がストラップ21で接続され、負極板12の耳部12A同士が別のストラップ22で接続される。
正極板11と負極板12とはセパレーター15によって隔離される。セパレーター15は袋状に形成され、負極板12を各々収容する。なお、正極板11をセパレーター15に収容してもよく、適宜に構成を変更してもよい。
図1中、符号23は、ストラップ21に一体に設けられ、鉛蓄電池のケース外に露出する外部端子(極柱とも言う)を示している。また、符号24は、他のストラップ22に一体に設けられたセル間接続体(中間極柱とも言う)を示している。
図2は正極板11の製造方法を示すフローチャートである。
正極板11は、スラブ鋳造工程(ステップS11)、圧延工程(ステップS12)、格子体成型工程(ステップS13)、活物質充填工程(ステップS14)、シートの切断工程(ステップ15)、乾燥工程(ステップ16)、及び熟成・乾燥工程(ステップS17)が順に実行されることによって製造される。
スラブ鋳造工程(ステップS11)は、鉛、又は鉛合金からスラブを鋳造する工程である。このスラブ鋳造工程では、鉛(Pb)、又は、鉛と各種金属を混ぜ合わせた混合金属のブロック、又は粉末体を素材として用意する。混合合金では、カルシウム(Ca)、及びスズ(Sn)の他、例えば、アルミニウム(Al)、又はバリウム(Ba)等の金属が鉛と混合される。混合される金属の選択、及び質量比は、耐食性、機械的強度、及び正極活物質の保持性能等を考慮して決定される。
スラブの素材は特に限定されるものではないが、Pb−Ca−Sn系合金が望ましい。Pb−Ca−Sn系合金の正極格子体を用いた正極板11は、自己放電が小さく、減水量が少ないといった特徴を有しているので、メンテナンスフリーの観点からも望ましい。但し、Pb−Ca−Sn系合金は、Pb−Sb合金に比べると機械的強度が低く、且つ、圧延組織には、表面から腐食が進行する全面腐食が起こるため、グロースと呼ばれる伸びによる変形が起こり易い傾向にある。
スラブ鋳造工程では、上記素材を約500℃まで加熱、溶融した後、約100℃に保持した相対する2つの金属ロール間に流し込む。前記相対する金属ロールは1〜3m/minの速度で回転しており、金属ロールによって冷却された溶湯はスラブとなって金属ロール間から連続的に押し出される。
圧延工程(ステップS12)は、前記スラブを圧延して鉛を主成分とする圧延シート(以下、鉛圧延シートと言う)を製造する工程である。この圧延工程では、上下一対の圧延ロール間を通してスラブを圧延し、圧下率を80%以上とする高い圧下率で圧延する。なお、スラブの圧延は、スラブに熱を加えずに圧延する冷間圧延が好ましい。また、圧延後の圧延シートはロール状に巻き取られる。
格子体成型工程(ステップS13)は、鉛圧延シートから正極格子体(鉛蓄電池用正極格子体)を成型する工程である。図3は格子体成型工程の構成例を示す図である。
格子体成型工程では、打ち抜き工程(ステップS13A)と、再結晶化工程(ステップS13B)とが順に実行される。打ち抜き工程では、パンチングプレス機31によって鉛圧延シート(図3中、符号33を付して示す)から正極格子体(図3中、符号50を付して示す)が打ち抜かれる。再結晶化工程(ステップS13B)では、加熱された金属体からなる加熱体(図3中、符号35を付して示す)からの熱によって正極格子体50の所定領域が再結晶化される。
図4は正極格子体50を示している。
正極格子体50は、四角形状の枠骨51と、この枠骨51の四辺のうちの上辺を構成する第1横枠骨51Aから上方に突出する耳部11Aと、枠骨51内に形成される格子53とを一体に備えている。枠骨51は、上辺を構成する第1横枠骨51Aと、下辺を構成する第2横枠骨51Bと、左右の側辺を構成する2つの側辺部51C、51Dとで構成される。格子53は、上下及び左右方向に間隔を有する格子形状であり、図4では、耳部12Aから離れるにしたがって左右方向の間隔が拡がる形状に形成されている。枠骨51の縦横寸法比、及び格子53の形状等は適宜に変更可能である。
また、図4には、極板群10を構成した場合における負極板12の耳部12Aの位置を二点鎖線で示している。図4及び図1に示すように、負極板12の耳部12Aは、負極板12の上辺から上方に突出し、且つ、正極格子体50側(正極板11側に相当)から見た正面視で、正極格子体50の耳部11Aから水平方向に離間した位置に設けられている。なお、負極板12の上辺は、正極格子体50の第1横枠骨51Aに対向する箇所でもある。
図2に示す再結晶化工程(ステップS13B)においては、第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bの各領域に、加熱された加熱体35(図3参照)が接触されることによって、第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bの各領域が再結晶化される。加熱温度は、再結晶組織が得られる範囲で設定すればよく、例えば、300℃〜400℃が望ましく、より好ましくは300℃〜350℃である。なお、加熱温度が低すぎると、接触時間が短い場合、再結晶組織が得られない。一方、加熱温度が高すぎると、鉛圧延シート33が溶融する可能性がある。そのため、加熱温度を鉛の融点(327℃)以上とする場合、加熱体35と正極格子体50との接触時間を短くし、前記正極格子体50が溶融しないよう適宜調整する必要がある。
生成される再結晶粒径については、平均結晶粒径が9μm以上にすることが望ましい。発明者等の検討によると、平均結晶粒径が9μmよりも小さい場合、腐食形態が粒界腐食にならずに破断が起こり難いためである。
正極格子体50のうち、第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bを除く領域は、鉛圧延シート33の組織(圧延組織、又は結晶組織に相当)を維持する。これによって、第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bの領域(平均結晶粒径が9μm以上の再結晶組織)は、周辺領域よりも機械的強度が低く、グロースによる変形が生じた場合に破断し易い領域となる。
図5(A)は加熱体35を正極格子体50と共に示す図である。
加熱体35は、不図示のヒーターによって加熱された上下のアルミニウム合金製の板で構成される。加熱体35は、第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bの両側の表裏面に各々接触することによって、各横枠骨51A、51Bを効率良く加熱し再結晶化を促進させる。なお、加熱体35による横枠骨の加熱は、必ずしも第1横枠骨51A、及び第2横枠骨の両者を加熱する必要は無く、少なくとも第1横枠骨51A、第2横枠骨51Bの何れか一方のみを加熱しても良い。
図5(A)では、格子体成型工程(ステップS13)において、鉛圧延シートから正極格子体50が2列で打ち抜かれ、2列の正極格子体50がそのまま再結晶工程へ搬送された場合を示している。
図5(A)に示すように、加熱体35は、搬送方向Xに対して直角方向に間隔を空けて3列で配置され、両側に位置する上下一対の加熱体35が、各正極格子体50の第2横枠骨51Bに両面から接触し、中央に位置する上下一対の加熱体35が、各列の正極格子体50の第1横枠骨51Aに接触する。これにより、正極格子体50の搬送経路にて、正極格子体50の第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bが加熱されて再結晶化される。なお、中央の加熱体35は、各正極格子体50の耳部11Aにも接触し、耳部11Aも再結晶化される。
加熱体35の材質は、アルミニウム合金に限定されず、銅合金等の他の金属でもよいし、セラミックス材料等の金属以外の材料でもよい。金属以外の材料を使用する場合、熱伝導性、及び耐久性に優れた材料が望ましい。例えば、セラミックス材料を使用する場合、熱伝導性に優れた窒化アルミニウム等が望ましい。
再結晶化工程は図5(A)に示す構成に限定されない。
図5(B)は再結晶化工程に使用する加熱体35の第1変形例を示す図である。第1変形例の加熱体35は、金属、又はセラミックス等の熱伝導性を有する円柱型のローラー35Aを有し、各ローラー35Aが不図示のヒーターによって加熱される。各ローラー35Aは、搬送方向Xに対して直角方向に間隔を空けて配置され、各正極格子体50の第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bに接触しながら回転する。この構成によれば、正極格子体50を搬送しながら、正極格子体50の所定箇所を再結晶化させることができる。この場合、加熱体35(ローラー35A)は、正極格子体50の移動をガイドするガイドローラーを兼用可能である。
図5(C)は再結晶化工程に使用する加熱体35の第2変形例を示す図である。第2変形例の加熱体35は、金属、又はセラミックス等の熱伝導性を有する環状のベルト35Cと、ベルト35Cが巻回されるプーリー35Dとを有し、少なくとも各ベルト35Cが不図示のヒーターによって加熱される。各ベルト35Cは、搬送方向Xに対して直角方向に間隔を空けて配置され、各正極格子体50の第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bに接触しながら回転する。この構成によっても、正極格子体50を搬送しながら、正極格子体50の所定箇所を再結晶化させることができる。
図2に示す活物質充填工程(ステップS14)は、正極格子体50の格子目に正極活物質として鉛粉と希硫酸と水とを練り合わせた鉛ペーストを充填する工程である。正極活物質の充填工程の終了後、シートの切断工程(ステップS15)を行い、鉛ペーストの水分量が所定の量となるよう乾燥工程(ステップS16)を行う。そして、公知の方法にて熟成・乾燥工程(ステップ16)を行い、正極板11を得る。
次に、本発明の実施例を比較例とともに説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、スラブの素材にPb−Ca−Sn−Al鉛合金を用いた。具体的には、Caが0.06質量%、Snが1.6質量%、Alが0.02質量%、残部Pbからなる合金をスラブの素材に用い、スラブ鋳造工程、圧延工程を経て鉛圧延シートを製造した。スラブ鋳造工程では、幅320×長さ100×厚さ10mmのスラブを作製し、圧延工程では、圧下率が約90%となるように上下2段の圧延ロールを用いて圧延を行い鉛圧延シート33を作製した。その後、打ち抜き工程により正極格子体50を形成した。
次に、種々の加熱温度(290℃、300℃、350℃)に設定したアルミニウム合金製の加熱体35に正極格子体50の耳部11A、第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bを5秒間接触させた後、この正極格子体50上に鉛粉と希硫酸と水とを練り合わせた鉛ペーストを充填し、熟成、乾燥を経て正極板11を作製した。この正極板11を7枚と、負極板12をセパレーター15に挿入したものを8枚とした構成の極板群10を電槽に入れた。その後、電槽内に比重1.240の硫酸水溶液(電解液)を注入し、初期充電を行うことで鉛蓄電池を作製した。
また、従来例として熱処理を施さない格子体も作製し、同様の手順にて鉛蓄電池を作製した。これらの電池サイズは、JIS D 5301(始動用鉛蓄電池)に規定される、5時間率容量で52Ahを有する85D23形鉛蓄電池とした。
上記鉛蓄電池について、高温過充電寿命試験を行った。本試験は75℃環境下において、満充電状態の鉛蓄電池を放電電流25Aで2分間放電し、その後、充電電圧14.8V(最大充電電流25A)で10分間充電する工程を繰り返した。前記工程を480サイクル繰り返す毎に、放電電流400Aで30秒間放電し、30秒目の電圧が7.2Vにまで低下した時点を寿命サイクル数とした。試験結果を表1に示す。
Figure 2019067522
表1において、比較例1は、加熱体35の加熱温度を290℃に設定したものであり、実施例1は、加熱体35の加熱温度を300℃に設定したものである。また、実施例2は、加熱体35の加熱温度を350℃に設定したものである。
表1の結果から、従来例、及び比較例はほぼ同様の寿命サイクル数を示した。これは、いずれの正極格子体50も全面腐食を起こしていたため、破断が発生せず、正極板11が高さ方向に大きくグロースしたためである。つまり、正極板11の第1横枠骨51Aと、負極板12の耳部12A同士を接続するストラップ22との距離が非常に近くなり、正極活物質の軟化によって浮遊した活物質が負極板12の耳部12Aに電析し、デントライト状に成長して短絡が発生したものと考えられる。
一方、実施例1、2は、結晶粒界での腐食によりグロースが始まった時点で正極格子体50の第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bの少なくともいずれかが折れ(つまり、正極板11が折れ)、それ以上のグロースが発生しなかったため、寿命サイクル数が大きく増加したものと考えられる。
換言すると、グロースの影響により、正極格子体50が電槽の内壁(セル室の内壁)による拘束をうけていない上方への伸び(第1横枠骨51Aと第2横枠骨51Bが離間する方向への伸びに相当)が、負極板12側のストラップ22に接触するまで進行する前に、第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bの少なくともいずれかが破断したため、短絡が回避され、寿命サイクル数が増加したものと考えられる。
以上説明したように、本実施形態では、正極格子体50の第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bを、平均結晶粒径が9μm以上に再結晶化させる再結晶化工程を実行することによって、第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bを、グロースの影響により上方(第1横枠骨51Aと及び第2横枠骨51Bとが離間する方向)への伸びが進行する前に破断する箇所にしている。
これにより、正極格子体50に、グロースが進行する前に破断する切り欠きや格子幅が狭い形状を設けることなく、負極板12側のストラップ22との接触を回避し、寿命サイクル数を延ばすことができる。したがって、正極格子体50のグロースによる短絡を防止し得、その結果優れた寿命特性を有する鉛蓄電池を得ることが可能になる。
また、正極格子体50の素材には、Pb−Ca−Sn系合金を用いるので、自己放電が小さく、減水量が少ない、といったメリットが得られる。一方、Pb−Ca−Sn系合金は、グロースによる変形が起こり易い傾向にあるが、正極格子体50の再結晶化構造によって、負極板12側のストラップ22との接触を回避できるので、鉛蓄電池のメンテナンスフリー化により有利となる。
上記の説明では、正極格子体50の第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bを両面から加熱して再結晶化させる場合を説明したが、これに限定されない。例えば、第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bの片面だけを加熱して再結晶化させてもよい。要は、第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bのうちの少なくとも一部を再結晶化させて、負極板12側のストラップ22との接触を回避すればよい。
また、再結晶化させる方法は、加熱体35を用いる方法に限定されず、例えば、レーザーを照射して再結晶化させてもよい。図6はレーザーを使用する場合の格子体成型工程の構成例を示す図である。図6に示すように、パンチングプレス機31の下流側に、上下に間隔を空けてレーザー装置45が配置される。各レーザー装置45によって第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bの両面にレーザーが照射される。レーザーは、半導体レーザー、炭酸ガスレーザーなどの公知のレーザーを適用可能である。また、レーザーは、鉛の吸収率が良い近赤外出力のレーザー等を用いることが望ましい。
レーザーを使用した場合、非接触で再結晶化が可能になる、短時間で熱処理が可能になる、高精度な位置制御により熱処理が可能になる、といったメリットが得られる。これにより、正極格子体50の傷つきを回避したり、熱による歪みを抑えたりし易くなる。また、レーザーを第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bの両面に照射する構成に限定されず、第1横枠骨51A、及び第2横枠骨51Bのうちの少なくとも一部をレーザーで再結晶化させて、負極板12側のストラップ22との接触を回避すればよい。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形、及び変更が可能である。
10 極板群
11 正極板
11A、12A 耳部
12 負極板
21、22 ストラップ
23 外部端子
24 セル間接続体
31 パンチングプレス機
33 鉛圧延シート
35 加熱体
45 レーザー装置
50 正極格子体(鉛蓄電池用正極格子体)
51 枠骨
51A 第1横枠骨
51B 第2横枠骨
51C、51D 側辺部
53 格子
X 搬送方向

Claims (6)

  1. 四角形状の枠骨と、前記枠骨の上辺を構成する第1横枠骨から突出する耳部とを一体に有する鉛蓄電池用正極格子体に、前記第1横枠骨と、前記枠骨の下辺を構成する第2横枠骨とが離間する方向への伸びが進行する前に破断する破断箇所を設ける製造方法において、
    前記第1横枠骨、及び前記第2横枠骨のうちの少なくとも一部を、前記破断箇所にすべく、平均結晶粒径が9μm以上に再結晶化させる工程を実行することを特徴とする鉛蓄電池用正極格子体の製造方法。
  2. 前記工程では、前記第1横枠骨、及び前記第2横枠骨のうちの少なくとも一部に、加熱された加熱体を接触させて再結晶化させることを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池用正極格子体の製造方法。
  3. 前記工程では、前記第1横枠骨、及び前記第2横枠骨のうちの少なくとも一部に、レーザーを照射して再結晶化させることを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池用正極格子体の製造方法。
  4. 前記鉛蓄電池用正極格子体には、Pb−Ca−Sn系合金が用いられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鉛蓄電池用正極格子体の製造方法。
  5. 四角形状の枠骨と、前記枠骨の上辺を構成する第1横枠骨から突出する耳部とを一体に有するとともに、前記第1横枠骨と、前記枠骨の下辺を構成する第2横枠骨とが離間する方向への伸びが進行する前に破断する破断箇所を有する鉛蓄電池用正極格子体において、
    前記第1横枠骨、及び前記第2横枠骨のうちの少なくとも一部は、前記破断箇所として、平均結晶粒径が9um以上の再結晶組織にされていることを特徴とする鉛蓄電池用正極格子体。
  6. 請求項5に記載の鉛蓄電池用正極格子体を用いた正極板と、負極板とが交互に配置され、前記正極板の前記第1横枠骨に設けられた耳部同士がストラップで接続され、前記負極板の耳部同士が別のストラップで接続されていることを特徴とする鉛蓄電池。
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