JP2019034290A - 合成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この合成装置によれば、反応容器の下から溶液を導入する構成となるため、反応容器内において溶液が広がりつつ上方に流れて溜められ、溶液に含まれる材料を従来よりも分散させ易くなる。このため、合成物の生成のための処理の効率化及び均質化が図れ、これにより、溶液の無駄な消費が抑えられ、溶液の利用効率を改善することが可能となる。
また、前記上ポートは、反応容器の上部に設けられており、前記ガスを排出させる他に、更に、前記下ポートから導入した溶液を排出可能とさせる。これにより、下ポートから導入した溶液を下から上に向かって反応容器を通過させ、上ポートから排出させることで、反応容器内全体を溶液で満たすことができ、合成物の生成のための処理を更に効率よく行わせることが可能となる。
また、この場合において、溶液を導入する前記下ポートは、前記排液用ポートと兼用されているのが好ましい。前記のとおり、反応容器の上部のガス用ポートから導入したガスによって、反応容器の溶液を、下ポート(排液用ポート)を通じて排出することから、反応容器のみならず、下ポート及びこの下ポートと繋がる流路においても、溶液が残留し難くなり、これら下ポート及び流路もクリーンな状態となる。このため、別の溶液が下ポートを通じて反応容器に供給される場合に、先の溶液が混ざるのを防ぐことができる。よって、下ポートを排液用ポートと兼用するのが好ましい。また、反応容器の下部に下ポートを一つ設ければ(つまり、前記のように兼用することで)、合成物生成のための溶液の導入、及び溶液の切り替えのための溶液の排出を、反応容器の下部側において行うことが可能となり、反応容器の構成が簡素化される。
また、上ポートとガス用ポートとが兼用されている場合において、前記上ポートに連結され前記反応容器の溶液を排液として排出する流路に対して、前記ガスを供給するための流路が、上から接続されているのが好ましい。この構成によれば、ガス以外の流体(つまり、反応容器の上ポートから排出された排液)が、ガスを供給するための流路を流れ難くなり、ガス源側において不具合が生じるのを防ぐことが可能となる。
図1は、本発明の合成装置の一例を示す構成図である。本発明の合成装置は、タンパク質、ペプチド、核酸等を化学合成するための装置であり、図1に示す合成装置3の場合、反応容器9に複数種類の溶液(試薬)を順に供給し、この反応容器9内において化学合成を進める。核酸を合成する場合、反応容器9内にビーズを多数設け、この反応容器9に溶液を順次供給しながら、脱トリチル化、カップリング、酸化、及びキャッピングの処理を繰り返し行い、ビーズから例えば塩基のような分子材料を次々と結合させる。用いられる溶液は数十種類(例えば20種類)とされ、これら溶液を選択的に反応容器9へ送り、溶液に含まれる分子材料により合成物(核酸)が生成される。
図2は、反応容器9、及びこの反応容器9に繋がる下流側流路40の構成を示す説明図である。反応容器9は、筒状である反応空間44を有する本体部43と、この本体部43の上下に取り付けられている蓋部材41,42とを有している。筒状である反応空間44の中心線が鉛直方向に向けられており、反応容器9は水平方向の幅寸法よりも鉛直方向に長い縦長形状を有している。なお、反応容器9内において反応空間44は複数設けられていてもよい。反応空間44に多数のビーズが設けられ、溶液が順次供給されることで、ビーズから例えば塩基のような分子材料を次々と結合させる。反応容器9は、下部9b(下の蓋部材42)に設けられている下ポート45と、上部9a(上の蓋部材41)に設けられている上ポート46とを有している。反応容器9において、後に説明するが、これら下ポート45及び上ポート46を通じて溶液やガスの出し入れが行われる。
以上のように構成された反応容器9に対して溶液を供給する処理について説明する。ここでは、図1に示す収容容器2−1の溶液(以下、「第一の溶液」と言う)を反応容器9へ供給した後、別の収容容器2−2の溶液(以下、「第二の溶液」という)を反応容器9へ供給するまでの具体例を説明する。
以上より、反応容器9において、第一溶液による処理が行われる。
以上より、反応容器9において、第二溶液による処理が行われる。
下ポート45が排液用ポート65と兼用されていることにより、ガス用ポート66(上ポート46)から導入したガスによって、反応容器9の第一溶液(第二溶液)を、下ポート45を通じて排出することから、反応容器9のみならず、下ポート45及びこの下ポート45と繋がる第一共通流路47においても、第一溶液(第二溶液)が残留し難くなり、これら下ポート45及び第一共通流路47もクリーンな状態となる。このため、例えば、一次側流路51から第二溶液が、第一共通流路47及び下ポート45を通じて、反応容器9に供給される場合に、先に供給されていた第一溶液が、新たに供給される第二溶液に混ざるのを防ぐことができる。よって、本実施形態のように、下ポート45を排液用ポート65と兼用する構成が好ましい。
また、前記のとおり、下ポート45から反応容器9に導入した第一溶液(第二溶液)は、反応に用いられると、上ポート46から排出され第二共通流路48を通過し排液タンク60側へと排出される。そして、反応容器9内に残る第一溶液(第二溶液)を排出するために、ガス用ポート66(上ポート46)からガスを導入する。本実施形態では、上ポート46がガス用ポート66と兼用されていることにより、ガス用ポート66(上ポート46)を通じて導入する前記ガスは、その前に第二共通流路48を通過している。このため、反応容器9のみならず、第二共通流路48及び上ポート46においても、反応に用いられた第一溶液(第二溶液)が残留し難くなり、これら第二共通流路48及び上ポート46もクリーンな状態となる。よって、本実施形態のように、上ポート46をガス用ポート66と兼用する構成が好ましい。
すなわち、図2において、既に説明したように、一次側流路51は反応容器9側へ新たな第二溶液を供給するための流路であり、この一次側流路51を構成する配管は、第一合流部53に上から接続されている。つまり、一次側流路51を構成する配管は、第一合流部53よりも高い位置から、この第一合流部53に接続されている。また、前記のとおり、排液用ポート65として機能する下ポート45に連結されている第一共通流路47、及びドレイン流路49が、この第一合流部53に接続されており、図3により説明したように、これら第一共通流路47及びドレイン流路49には、反応容器9内において処理が済んだ第一溶液が排液となって流れる。このように、反応容器9の第一溶液を排液として排出する流路(第一共通流路47及びドレイン流路49)の途中において、本実施形態では、反応容器9側へ新たに第二溶液を供給することとなる一次側流路51が、上から接続されている。この構成によれば、本実施形態のように、下ポート45と排液用ポート65とが兼用されていることで、後に第二溶液が流れる第一共通流路47を、既に使用された第一溶液(排液)が流れるが、このような第一溶液(排液)が、新たな第二溶液を供給するための一次側流路51側(つまり、バルブ51aと第一合流部53との間の流路部51b)へ流れ難くなり(逆流し難くなり)、また、この流路部51bに第一溶液(排液)が滞留しないため、第一溶液から第二溶液への切り替えにおいて、純度の高い第二溶液を、一次側流路51を通じて反応容器9に供給することが可能となる。
図2に示す形態では、反応容器9を通過して排液となる溶液が流れる二次側流路52が、第三合流部55を介して、ドレイン流路49に接続されている場合について説明したが、図4に示すように、二次側流路52は、ドレイン流路49に接続されないで、ドレイン流路49に接続する排液タンク60に直接、又は他の排液タンク60′に接続されていてもよい。図4に示す形態においても、図2及び図3に示す形態と同様に、反応容器9は、ガス用ポート66と排液用ポート65と有しているが、下ポート45が排液用ポート65として用いられ、上ポート46がガス用ポート66として用いられる。そして、排液用ポート65(下ポート45)に連結され反応容器9の溶液を排液として排出する流路(第一共通流路47及びドレイン流路49)の途中において、反応容器9側へ新たな溶液を供給するための一次側流路51が、上から接続されている。また、上ポート46に連結され反応容器9の溶液を排液として排出する流路(第二共通流路48及び二次側流路52)に対して、ガス流路50が、上から接続されている。
図5は、図4に示す形態の変形例を示している。図5に示す形態においても、前記各形態と同様に、反応容器9は、ガス用ポート66と排液用ポート65と有しているが、下ポート45が排液用ポート65として用いられ、上ポート46がガス用ポート66として用いられる。そして、排液用ポート65(下ポート45)に連結され反応容器9の溶液を排液として排出する流路(第一共通流路47及びドレイン流路49)の途中(途中合流部56)から延びる延長流路57に対して、反応容器9側へ新たな溶液を供給するための一次側流路51が、上から接続されている。また、上ポート46に連結され反応容器9の溶液を排液として排出する流路(第二共通流路48及び二次側流路52)に対して、ガス流路50が、上から接続されている。
以上のような構成を備えている各形態の合成装置3によれば、溶液に含まれる材料を反応容器9内において広く分散させ、合成物の生成のための処理の効率化及び均質化が図れる。この結果、溶液の無駄な消費が抑えられ、溶液の利用効率を改善することが可能となる。
図1に示す合成装置3では、溶液を送る手段が圧送方式であり、タンク4に充填されているガスを用いて、上流側の容器と下流側の容器との圧力差により送液が行われる構成である。このため、全体流路25におけるコンタミネーション、異物の詰まりによる故障の点で、送液手段にポンプ(電動ポンプや油圧ポンプ)が含まれる場合よりも有利である。つまり、ポンプが用いられる場合、ポンプの可動部が流路中に露出することから、この可動部が有する摺動部材等の剥離や摩耗粉の発生により、コンタミネーション及び異物の詰まりの点で不利である。また、溶液に含まれている溶剤が硬化(結晶化)すると、ポンプの故障の原因となる。更に、合成装置3では、定期的にまたは所定のタイミングで(所定の頻度で)溶液が接する配管や機器等の接液部を交換する必要がある。前記のとおり、本実施形態では、各バルブにピンチバルブが採用されており、ピンチバルブは、駆動部が溶液と接することがないため、交換対象とはならない。つまり、ピンチバルブによって挟まれるチューブのみを交換すればよいことから、ディスポーザブルの点で有利である。
前記実施形態では、下ポート45が排液用ポート65と兼用されている場合について説明したが、下ポート45と排液用ポート65とが別々でありそれぞれが独立して設けられていてもよい。また、上ポート46がガス用ポート66と兼用されている場合について説明したが、上ポート46とガス用ポート66とが別々でありそれぞれが独立して設けられていてもよい。
各収容容器2の溶液を、中間容器7を介して反応容器9へ供給する場合について説明したが、中間容器7を省略してもよく、各収容容器2から反応容器9へ直接的に溶液を供給するように構成してもよい。
溶液を送る手段を全て圧送としたが、一部又は全部において、その他の動力によるものであってもよい。
前記実施形態では、各バルブをピンチバルブとする場合について説明したが、他の形式のバルブであってもよい。
9:反応容器 24:送液手段
45:下ポート 46:上ポート 47:第一共通流路
48:第二共通流路 49:ドレイン流路 50:ガス流路
51:一次側流路 52:二次側流路 65:排液用ポート
66:ガス用ポート G:ガス
Claims (7)
- 溶液が収容されている収容容器から延びて設けられている配管と、前記収容容器の溶液を前記配管を通じて送る送液手段と、前記収容容器から送られた溶液が入れられ合成物が生成される反応容器と、を備え、
前記反応容器は、前記溶液を当該反応容器の下から導入可能とする下ポートを有している、合成装置。 - 前記反応容器は、当該反応容器の上部に設けられ前記下ポートを通じて当該反応容器内に溶液が供給されると当該反応容器内のガスを外部へ排出可能とする上ポートを更に有している、請求項1に記載の合成装置。
- 前記反応容器は、当該反応容器の上部に設けられガスを当該上部から導入可能とするガス用ポートと、当該反応容器の下部に設けられ当該反応容器内の溶液を当該下部から排出可能とする排液用ポートと、を更に有している、請求項1又は2に記載の合成装置。
- 溶液を導入する前記下ポートは、前記排液用ポートと兼用されている、請求項3に記載の合成装置。
- 前記排液用ポートに連結され前記反応容器の溶液を排液として排出する流路の途中において、前記反応容器側へ新たな溶液を供給するための一次側流路が、上から接続されている、請求項4に記載の合成装置。
- 前記反応容器は、当該反応容器の上部に設けられ前記下ポートから導入した溶液を当該上部から排出可能とする上ポートを更に有し、
前記上ポートは前記ガス用ポートと兼用されている、請求項3〜5のいずれか一項に記載の合成装置。 - 前記上ポートに連結され前記反応容器の溶液を排液として排出する流路に対して、前記ガスを供給するための流路が、上から接続されている請求項6に記載の合成装置。
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