JP2023146136A - 薬液合成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】薬液の圧送条件の設定を容易にすることによりプロセス管理を容易にすることができる薬液合成装置を提供する。【解決手段】薬液が収容される薬液収容部と、前記薬液収容部から薬液配管を通じて送液された薬液を計量する計量部と、を備え、薬液が大気に触れることなく圧送により、前記薬液収容部から前記計量部に送液され、計量後の薬液を反応させる薬液合成装置であって、前記薬液収容部は、複数設けられており、前記薬液収容部は、共通の高さ位置に配置されている構成とする。【選択図】図2
Description
本発明は、大気に触れることなく送液される薬液を合成させる薬液合成装置に関するものであり、特に合成効率の低下を抑えることができる薬液合成装置に関するものである。
タンパク質、ペプチド、ポリマー、核酸等を化学合成する薬液合成装置では、複数の薬液(試薬)を反応容器部に供給し化学合成が行われる。例えば、核酸を合成する場合には、反応容器部内に担体(多孔質のビーズ。)を多数設け、この反応容器部に薬液を順次供給しながら、脱トリチル化、カップリング、酸化、キャッピング等の処理を繰り返し行って担体に塩基を次々に結合させる。
一般的な薬液合成装置としては、例えば、図3に示すように、担体110を収容し薬液が供給される反応容器部100と、この反応容器部100に供給する薬液を貯留する薬液タンク101等の薬液収容部と、薬液収容部から供給された薬液を計量する計量部104と、反応容器部100から排出された排液を貯留する排液タンク102とを備えている。そして、それぞれが配管103で接続されており、圧力供給源107からの圧力により薬液が圧送され、薬液が大気に触れることなく、薬液と担体110を合成反応させることができるようになっている。
ここで、図4は、薬液収容部101から計量部104の配管経路の略図である。薬液収容部101は、複数設けられており、計量する薬液の純度を維持するため、薬液収容部101それぞれが配管103で計量部104と接続されている。すなわち、それぞれの薬液収容部101の薬液は、個別の専用の配管103を通じて計量部104に供給されるようになっている。
しかし、上記薬液合成装置では、薬液を送液する条件を管理するのが困難であるという問題があった。すなわち、上段の薬液収容部101aと下段の薬液収容部101bでは、設置される高さ位置が異なっているため、薬液を圧送するのに必要な圧力が異なり、薬液収容部101の設置位置に対してそれぞれに設定する必要があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、薬液の圧送条件の設定を容易にすることによりプロセス管理を容易にすることができる薬液合成装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために本発明の薬液合成装置は、薬液が収容される薬液収容部と、前記薬液収容部から薬液配管を通じて送液された薬液を計量する計量部と、を備え、薬液が大気に触れることなく圧送により、前記薬液収容部から前記計量部に送液され、計量後の薬液を反応させる薬液合成装置であって、前記薬液収容部は、複数設けられており、前記薬液収容部は、共通の高さ位置に配置されていることを特徴としている。
上記薬液合成装置によれば、薬液収容部が共通の高さ位置に配置されているため、薬液収容部の配置位置についての薬液の位置エネルギーが共通になるため、薬液を送液するのに必要な圧力のバラツキをおさえることができる。すなわち、薬液収容部毎の高低差をなくすことができるため、高低差が起因する送液に必要な圧力を薬液収容部毎に設定する問題を回避することができる。したがって、薬液の圧送条件の設定を容易にすることができ、薬液合成装置のプロセス管理を容易にすることができる。
また、前記薬液配管には、開閉バルブが設けられており、前記開閉バルブが前記薬液収容部の液面高さ情報に基づいて制御されることにより、前記薬液収容部から送液される薬液量が制御される構成にしてもよい。
この構成によれば、薬液を圧送するために設定された圧力が液面高さの違いによる誤差を抑えることができるため、より精度よく計量部に送液することができる。
また、共通の高さ位置に配置された前記薬液収容部の薬液配管は、前記計量部に接続される位置に対して、共通の高さに保持されている構成にしてもよい。
この構成によれば、薬液収容部から送液された薬液が配管内においても位置エネルギーが共通になるため、配管毎に薬液を送液するのに必要な圧力のバラツキをおさえることができる。
また、前記複数の薬液収容部は、異なる形状を有している構成にしてもよい。
この構成によれば、異なる形状の薬液収容部であっても、高低差が起因する送液に必要な圧力の調節を容易にすることができる。
本発明の薬液合成装置によれば、薬液の圧送条件の設定を容易にすることによりプロセス管理を容易にすることができる。
本発明の薬液合成装置に係る実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態における薬液合成装置を示す配管経路図である。なお、本実施形態では、流体として薬液(試薬)が用いられる例を説明するが、本発明は薬液に限定されるものではなく、薬液以外の液体を化学合成、混合等行う場合にも適用することができる。
図1に示すように、薬液合成装置は、薬液が貯留される薬液収容部である薬液タンク1と、薬液の計量を行う計量部3と、担体を収容した反応容器部2と、この反応容器部2から排出された排液を貯留する収容容器部である排液タンク10と、を備えており、それぞれ配管4で連結されている。そして、薬液タンク1から供給された薬液が計量部3で計量された後、薬液が反応容器部2に供給されると反応容器部2で担体と薬液が接触することにより化学合成される。例えば、核酸を合成する場合には、反応容器部2内に多孔質の担体が収容されており、この反応容器部2に計量された薬液を順次供給しながら、脱トリチル化、カップリング、酸化、キャッピング等の処理を繰り返し行って担体に塩基を次々に結合させる。そして、化学合成後の薬液は、排液タンク10に送液されることにより排出される。
薬液タンク1は、化学合成で用いる試薬を貯留するためのものである。図1の例では、3つの薬液タンク1を図示しているが、実際には薬液の種類毎に多数の薬液タンク1が設けられており、それぞれの薬液タンク1が薬液配管42で計量部3と連結されている。すなわち、それぞれの薬液タンク1に収容された薬液が、他の薬液と混ざることなく計量部3に送液されるようになっている。なお、薬液配管42には、金属製の配管が用いられており、薬液により薬液配管42が腐食しにくくなっている。
薬液タンク1には、圧力調整手段6が接続されており、この圧力調整手段6により薬液タンク1の薬液が圧送により送液されるように構成されている。圧力調整手段6は、ガスが充填されているガスタンク61と、このガスタンク61と薬液タンク1とを連結する配管41とを有しており、この配管41を通じてガスタンク61のガスを薬液タンク1に供給することができる。すなわち、ガスタンク61のガスが供給されることにより、薬液タンク1の圧力がガスタンク61の圧力に調節され、計量部3内の圧力との差圧を形成することにより薬液タンク1の薬液が計量部3に送液される。そして、ガスタンク61の圧力を調節することにより、薬液タンク1から送液される薬液の流量を調節することができる。すなわち、薬液タンク1の圧力と計量部3との差圧を大きくすると、薬液タンク1から送液される薬液の送液速度が大きくなって薬液量を大きくすることができ、薬液タンク1の圧力と計量部3との差圧を小さくすると、薬液タンク1から送液される薬液の送液速度が小さくなって薬液量を抑えることができる。
また、配管41、薬液配管42には、バルブ51(本発明の開閉バルブである)が設けられている。このバルブ51は、対象となる薬液タンク1と計量部3とを選択的に接続させるものである。すなわち、供給対象として選択された薬液タンク1のバルブ51を開にした状態(開状態)で、ガスタンク61からガスを供給して薬液タンク1を加圧することにより薬液タンク1の圧力が計量部3の圧力よりも大きくなるように制御され、選択された薬液タンク1の薬液が薬液配管42を通じて計量部3に送液される。なお、配管41、薬液配管42、・・は、特に区別する必要がない場合は、単に配管4と呼ぶ。
また、計量部3は、供給された薬液を精度よく計量するものである。本実施形態では、供給された薬液の質量を計量し、反応容器部2の担体と反応させる薬液量を精度よく計量できるようになっている。すなわち、計量部3は、計量容器31と計量容器31に接続されたロードセル(不図示)とを有しており、計量容器31に貯留された薬液がロードセルにより計量されるようになっている。
計量容器31には、上端部に薬液配管42が接続され、下端部に薬液配管43が接続されており、薬液タンク1から送液された薬液が薬液配管42を通じて供給され、計量後の薬液が薬液配管43を通じて排出されるようになっている。具体的には、選択された薬液タンク1と計量容器31とを接続する配管4のバルブ51が開状態で、選択された薬液タンク1がガスタンク61により加圧されることにより、その薬液が薬液配管42を通じて計量容器31に供給される。そして、反応容器部2において、1度の合成反応に必要な薬液量が計量されると同時に送液が停止されることにより、計量容器31において、合成反応に必要な薬液が貯留された状態になる。そして、計量後の薬液が計量容器31から反応容器部2に薬液配管43を通じて送液される。
この計量部3からの送液は、ガスタンク62(圧力調節手段6)によって行われる。すなわち、計量容器31には、ガスタンク61とは別にガスタンク62が接続されており、ガスタンク62から計量容器31にガスが供給できるようになっている。そして、ガスタンク62から計量容器31にガスが供給されることにより、計量容器31の圧力が調節され、計量部3と反応容器部2との差圧が調節されることにより、計量容器31内の薬液が反応容器部2に送液されるようになっている。
また、反応容器部2は、反応容器部2内に含む担体と供給された薬液等を接触させて化学合成させる反応場を提供するものである。本実施形態では、反応容器部2は、一方向に延びるガラス製の円筒管が使用されており、反応容器部2内には担体が収容されている。また、この反応容器部2の鉛直方向両端部には、薬液が供給される薬液供給部71と、薬液が排出される薬液排出部72とが接続されている。すなわち、反応容器部2は、薬液供給部71を通じて薬液が供給され、薬液排出部72を通じて薬液が排出されるようになっている。本実施形態では、鉛直方向上側に薬液排出部72、鉛直方向下側に薬液供給部71が設けられている。これにより、薬液供給部71から薬液が供給されると、供給された薬液が重力の影響により反応容器部2の径方向に広がりつつ貯留される。そのため、反応容器部2全体に薬液を行きわたらせることができ、薬液を反応容器部2に収容された担体と無駄なく化学合成させることができる。
また、反応容器部2の下流側には、後述の排液タンク10が設けられており、反応容器部2と排液タンク10とが配管45によって接続されている。すなわち、反応容器部2の薬液は、薬液排出部72から配管45を通じて排出させることができる。
また、反応容器部2の下流側には、反応容器部2で反応完了後に排液された薬液等を貯留する排液タンク10が設けられている。排液タンク10は、反応容器部2に比べて容量が大きく形成されており、反応容器部2から複数回排出された場合でも貯留できる容量に形成されている。本実施形態では、薬液排出部72を経て、反応後の薬液が排液タンク10に排出されるようになっている。すなわち、反応後の薬液は、ガスタンク62からガスが供給されることにより反応容器部2が加圧され、薬液排出部72を通じて排液タンク10に排出されるようになっている。このようにして、本発明の薬液合成装置は、薬液タンク1から排液タンク10まで大気に触れることなく、薬液が圧送により送液されるように構成されている。
また、図2に示すように、薬液タンク1は、すべて同じ形状を有しており、共通の高さ位置Sに配置されている。図2の例では、共通の高さ位置Sに6つの薬液タンク1a~1fが配置されており、例えば、図示しない台座、収容棚などに載置されている。なお、薬液タンク1a~1fは、特に区別する必要がない場合は、薬液タンク1と称す。
薬液タンク1は、薬液を吐出する出口ポート11と、ガスタンク61からガスが供給されるガスポート12とを有している。すなわち、ガスタンク61から配管41を通じてガスが供給されると薬液タンク1が加圧されることにより、薬液タンク1内の薬液が出口ポート11を通じて吐出される(送液される)ようになっている。
具体的には、薬液タンク1a~1fは、それぞれの出口ポート11と計量容器31が専用の薬液配管42a~42fで接続されている。すなわち、薬液タンク1aには、薬液配管42aが接続されており、同様にして、薬液タンク1b~1fには、薬液配管42b~42fがそれぞれ専用の配管として接続されている。そして、薬液タンク1にガスタンク61からガスが供給されることにより、それぞれの薬液タンク1a~1fの薬液が出口ポート11から薬液配管42a~42fを通じて送液されるようになっている。そして、薬液配管42a~42fには、それぞれバルブ51が設けられており、バルブ51を開にした状態で加圧されることにより、選択された薬液が計量容器31に送液されるようになっている。
また、薬液配管42a~42fは、最上位の高さ位置が薬液タンク1の設置位置から高さh1(高さ位置R)の位置に保持されている。すなわち、薬液配管42a~42fは、出口ポート11に接続された位置から、高さh1まで延びて設置され、計量容器31に接続されている。これにより、すべての薬液配管42は、計量部31と接続される位置(高さ位置P)から見て、高さ位置Pと高さ位置Rとの差を有するように保持されており、すべての薬液タンク1a~1fの薬液は、高さh1を経由して計量容器31に送液されることにより、送液における薬液の位置エネルギーの変化がすべての薬液タンク1a~1fにおいて共通になるように構成されている。これにより、それぞれの薬液タンク1a~1fの薬液を送液するための圧力は、薬液タンク1a~1f毎に設定する必要がなく薬液タンク1a~1fにおいて共通に設定することができる。
また、薬液合成装置は、図示しない制御装置を有しており、制御装置により各バルブ、圧力調節手段6が制御され、薬液の流れが制御されるようになっている。具体的には、制御装置は、バルブ51の開閉状態を制御し、計量容器31で計量すべき薬液の送液状態が制御される。すなわち、制御装置により、対象の薬液が収容される薬液タンク1に接続される配管41、42のバルブ51が制御され、計量に必要な薬液量が制御される。すなわち、高さ位置Sに設置される薬液タンク1から配管42の高さh1(高さ位置R)を経て計量容器31への送液に必要な圧力が設定されている。すなわち、個々の薬液タンク1に対して個別に送液に必要な圧力を設定していた従来に比べて、共通となる送液に必要な圧力が基本圧力として設定されている。
また、制御装置は、センサ等から得た薬液タンク1に収容される薬液の液面高さ情報から送液するための圧力を制御する。具体的には、制御装置は、薬液タンク1に収容される薬液の残液量から液面高さを演算し取得するようになっており、この液面高さによる水頭圧を考慮し、送液に必要な圧力を演算する。図2の例では、薬液の使用などにより、薬液タンク1fの液面が他の薬液タンク1よりも下がっていることから、薬液タンク1fと他の薬液タンクとの液面高さの差がセンサ又は薬液使用量などから算出され、基本圧力に加味して送液に必要な圧力が薬液タンク1fに対して設定される。すなわち、薬液タンク1a~1fでは、容器形状、計量容器31に対する薬液配管42の高さ位置をそれぞれ共通にし、さらに、液面高さによる水頭差の影響を考慮して、薬液を送液するために必要な圧力が精度よく求められるようになっている。
このように、上記薬液合成装置によれば、薬液タンク1が共通の高さ位置に配置されているため、薬液タンク1の配置位置についての薬液の位置エネルギーが共通になるため、薬液を送液するのに必要な圧力のバラツキをおさえることができる。すなわち、薬液タンク1毎の高低差をなくすことができるため、高低差が起因する送液に必要な圧力を薬液タンク毎に設定する問題を回避することができる。したがって、薬液の圧送条件の設定を容易にすることができ、薬液合成装置のプロセス管理を容易にすることができる。
また、上記実施形態では、制御装置が薬液タンク1の液面高さ情報から送液に必要な圧力を演算する例について説明したが、計量の精度によっては、薬液タンク1の液面高さから生じる水頭圧を考慮せず、送液に必要な圧力を演算するものであってもよい。
また、上記実施形態では、薬液配管42が金属製である例について説明したが、金属製ではなく、樹脂等の薬液配管42を用いるものであってもよい。ただ、薬液配管42を金属製とした方が、耐腐食性だけでなく、送液するための圧力により配管径が膨張することにより圧送条件の設定が困難になるのを回避することができる。
また、上記実施形態では、同形状の薬液タンク1を使用する例について説明したが、それぞれ異なる形状の薬液タンク1を使用するものであってもよい。異なる形状の薬液タンク1であっても、高低差が起因する送液に必要な圧力の調節を容易にすることができる。
1 薬液タンク(薬液収容部)
2 反応容器部
3 計量部
6 圧力調整手段
11 出口ポート
42 薬液配管
51 バルブ(開閉バルブ)
61 ガスタンク
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Claims (4)
- 薬液が収容される薬液収容部と、
前記薬液収容部から薬液配管を通じて送液された薬液を計量する計量部と、
を備え、薬液が大気に触れることなく圧送により、前記薬液収容部から前記計量部に送液され、計量後の薬液を反応させる薬液合成装置であって、
前記薬液収容部は、複数設けられており、前記薬液収容部は、共通の高さ位置に配置されていることを特徴とする薬液合成装置。 - 前記薬液配管には、開閉バルブが設けられており、
前記開閉バルブが前記薬液収容部の液面高さ情報に基づいて制御されることにより、前記薬液収容部から送液される薬液量が制御されることを特徴とする請求項1に記載の薬液合成装置。 - 共通の高さ位置に配置された前記薬液収容部の薬液配管は、前記計量部に接続される位置に対して、共通の高さに保持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬液合成装置。
- 前記複数の薬液収容部は、異なる形状を有していることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の薬液合成装置。
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