JP2019011382A - 粘着剤組成物およびその用途 - Google Patents
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Abstract
Description
前記ビニル重合体(A)は、ガラス転移温度(Tg)が30℃以上200℃以下であり、かつ、数平均分子量が500以上10,000以下であり、
当該粘着剤組成物全体のガラス転移温度である第1のTgが−80℃以上10℃以下である、繊維生地接合用粘着剤組成物。
〔2〕粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥させて粘着剤層を得た際に、当該粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分から計算されるガラス転移温度である第2のTgが、前記第1のTgよりも30℃以上高い、前記〔1〕に記載の繊維生地接合用粘着剤組成物。
〔3〕ビニル重合体(A)が、脂肪族環系ビニル単量体に由来する構造単位を10質量%以上含有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の繊維生地接合用粘着剤組成物。
〔4〕アクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対するビニル重合体(A)の割合が0.5質量部以上60質量部以下である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の繊維生地接合用粘着剤組成物。
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の繊維生地接合用粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥して得られた粘着剤層を有する粘着シート。
〔6〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の繊維生地接合用粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層を介して生地が接合された接合部を含む衣類。
ビニル重合体(A)は、30℃以上200℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する重合体とすることができる。Tgの好ましい下限は40℃以上であり、より好ましくは50℃以上である。Tgは、さらに好ましくは60℃以上であり、なお好ましくは70℃以上であり、一層好ましくは80℃以上である。Tgの好ましい上限は、180℃以下であり、より好ましくは150℃以下であり、さらに好ましくは120℃以下であり、なお好ましくは110℃以下であり、一層好ましくは100℃以下である。また、Tgのより好ましい範囲は50℃以上180℃以下であり、さらに好ましくは60℃以上150℃以下である。本明細書において、示差走査熱量測定(DSC)により昇温速度10℃/minで測定した値をTgとして採用する。Tgが30℃未満であると、粘着剤層の表層部分のTgが十分に高くなりにくく、繊維生地等への接着強度が十分でなく耐久性に劣る場合がある。また、原料単量体の制約等から、一般にTgが200℃を超えることはない。
これらの中でも、アクリル系粘着性ポリマーに対して適切な相溶性を得られることから、(メタ)アクリル系不飽和化合物を主体とすることが好ましい。(メタ)アクリル系不飽和化合物の具体的な使用量は、10質量%以上100質量%以下の範囲が好ましい。より好ましくは30質量%以上95質量%以下の範囲であり、さらに好ましくは50質量%以上90質量%以下の範囲である。
これらの中でも、比較的Tgを高く設定することができ、接合部を強固に接着できる点から(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸アダマンチル等の脂肪族環系ビニル単量体を用いることが好ましい。脂肪族環系ビニル単量体の具体的な使用量は、ビニル重合体(A)の全構成単量体に対して10質量%以上90質量%以下の範囲が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましく、30質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。
また、重量平均分子量(Mw)と上記(Mn)との比(Mw/Mn)は、良好な接着強度が得られやすいという観点から、3.0以下が好ましい。より好ましくは2.5以下であり、さらに好ましくは2.0以下であり、一層好ましくは1.8以下である。なお、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて得られた標準ポリスチレン換算値である。
本発明のアクリル系粘着性ポリマー(B)は、(メタ)アクリル酸エステル類を主要構成単位として含有する重合体である。アクリル系粘着性ポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)は、−80℃以上10℃以下の範囲にある粘着性を有する重合体であることが好ましく、−80℃以上0℃以下の範囲がより好ましく、−80℃以上−20℃以下の範囲がさらに好ましい。なお好ましくは−80℃以上−30℃以下の範囲である。Tgが−80℃未満の場合は、得られる粘着剤層の凝集力が不十分となり、せん断接着性が低下する傾向がある。Tgが0℃を超える場合は、繊維を接合した際に、風合いが十分でない場合がある。
本粘着剤組成物は、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含有することができる。ビニル重合体(A)は、アクリル系粘着性ポリマー(B)に対して適度な相溶性を有する。このため、これらを含む粘着剤組成物から得られる粘着剤層は良好な透明性を示すと共に、粘着剤層中においてビニル重合体(A)が一部偏析し、その表層におけるビニル重合体(A)の濃度が他の部分よりも高くなる場合がある。
本粘着剤組成物は、架橋剤を含有することができる。架橋剤は、必ずしも必要ではないが、意図する接着特性のほか、本粘着剤組成物の形態、例えば、エマルジョン形態であるか溶液形態であるか等にも応じて、その添加が検討される。架橋剤を含有することで、本粘着剤組成物から得られる粘着剤層の凝集力や接着力を調整し、さらに、高温高湿下での接着性や引張せん断接着強度を付与したりすることができる。架橋剤としては、グリシジル基を2つ以上有するグリシジル化合物、イソシアネート基を2つ以上有するイソシアネート化合物、アジリジニル基を2つ以上有するアジリジン化合物、オキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物等が挙げられる。これらのうち、アジリジン化合物、グリシジル化合物及びイソシアネート化合物を用いることが好ましい。
本粘着剤組成物より形成される粘着剤層全体のガラス転移温度(Tg)、すなわち、第1のTgは、−80℃以上10℃以下の範囲とすることができる。好ましい下限は−70℃以上であり、より好ましくは−60℃以上である。また、好ましい上限は0℃以下であり、より好ましくは−10℃以下であり、さらに好ましくは−20℃以下である。好ましい範囲は−70℃以上−20℃以下である。第1のTgが−80℃未満の場合は、得られる粘着剤層の凝集力が不十分となり、引張せん断接着強度等が悪化する傾向があり、10℃を超える場合は、タック及び低温条件下での粘着力等が十分でない場合がある。なお、本粘着剤組成物のTgは、DSCにて、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気を測定雰囲気として得ることができる。
本粘着剤組成物の第2のTg、すなわち、当該粘着剤組成物をセパレータに塗工、乾燥させて粘着剤層を得た際に、当該粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgは、X線光電子分光測定(XPS)から得られるビニル重合体(A)とアクリル系粘着性ポリマー(B)との組成比率から、計算によって求められ、粘着剤層の表面から該5nm程度の深さまでの表層を形成する組成物のTgとして捉えることができる。測定方法の詳細は、後述する実施例に記載の操作に従うことができる。
本粘着剤組成物は、第2のTg(粘着剤層の表層部分の組成から計算されるTg)が、第1のTg(粘着剤層全体のTg)よりも30℃以上高いものとなることが好ましい。こうしたTg組成を有する粘着剤層によれば、高い剥離強度及び引張せん断接着強度を得ることができる。また、従来の一般的な粘着剤による粘着剤層が高温になればなるほど接着性が低下するのに対し、高温での高い接着性(被着体に対する剥離強度)を発揮することができる。
第2のTgの測定に際しては、本粘着剤層の表層のX線光電子分光分析よる組成分析を行うが、その際に、表層におけるビニル重合体(A)の質量分率を求めることができる。この質量分率を、本粘着剤層の表層部分におけるビニル重合体(A)の偏析状態の指標とすることができる。
本粘着剤組成物は、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を規定量含むものであればその混合方法に特段の制約はない。例えば、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を混合して本粘着剤組成物を得てもよいし、ビニル重合体(A)の存在下にアクリル系粘着性ポリマー(B)を重合することにより本粘着剤組成物を得てもよい。
本粘着剤組成物は、例えばセパレーター等へ塗工し、加熱乾燥処理により溶媒を除去することにより粘着シートの粘着剤層を構成することができる。すなわち、得られる粘着シートが備える粘着剤層は、本粘着剤組成物に由来する組成、粘着剤層全体の第1のTg、粘着剤層の表層部分の組成から計算される第2のTg、これらの温度差を備えることができる。
本粘着剤組成物から得られる粘着剤層を備える粘着シートは、剥離強度のみならず優れた引張せん断接着強度を発現することができる。
粘着シートの形状についても特段の制限はなく、使用状況に応じて適宜設定すればよい。粘着シートは枚葉状であってもよく、ロール状であってもよい。また、短冊状に裁断されていてもよく、衣類の接合箇所に併せ、特定の形状を備えるものであってもよい。
本発明の衣類は、本発明の繊維生地接合用粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層を介して生地が接合された接合部を含む。このため、本発明の衣類は、接着部分に引っ張り応力を加えたり繰り返し使用した場合であっても当該接着部分に剥がれが生じることがなく、耐久性に優れるものである。
また、本粘着剤組成物から得られる粘着剤層は衣類を着用等する環境下において十分柔軟であるため、接合部にごわつき等を感じることなく、風合いに優れるものである。
測定サンプル約1gを秤量(a)し、次いで、通風乾燥機155℃、30分間乾燥後の残分を測定(b)し、以下の式より算出した。測定には秤量ビンを使用した。その他の操作については、JIS K 0067−1992(化学製品の減量及び残分試験方法)に準拠した。
固形分(%)=(b/a)×100
分子量はGPCにて下記の条件で測定した。
GPC:東ソー(HLC−8120)
カラム:東ソー(TSKgel−Super MP−M×4本)
試料濃度:0.1%
流量:0.6ml/分
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計(RI)
標準物質:ポリスチレン
ビニル重合体(A)、アクリル系粘着性ポリマー(B)及び粘着剤組成物のTgはDSCにて以下の条件で測定した。
DSC:TA Instrument製(Q−100)
昇温温度:10℃/分
測定雰囲気:窒素
ポリマー組成はモノマー仕込量とGC測定によるモノマー消費量から算出した。
GC:Agilent Technolosies製(7820A GC System)
検出器:FID
カラム:100%ジメチルシロキサン(CP−Sil 5CB) 長さ30m、内径0.32mm
算出方法:内部標準法
合成例1(重合体A−1の合成)
内容積1リットルの4つ口フラスコに、酢酸ブチル(210質量部)とジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬社製、V−601)(0.9質量部)とからなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に昇温した。別途、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」ともいう)(165質量部)、メタクリル酸イソボルニル(以下、「IBXMA」ともいう)(44質量部)、V−601(17質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をヘキサン(6000質量部)に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−1を得た。得られた重合体A−1のポリマー組成は、仕込量とGC測定によるモノマー消費量から計算した結果、MMA80質量%、IBXMA20質量%からなり、Mw7390、Mn4760、Mw/Mn1.55であった。Tgは100℃であった。
重合体A−1の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積1リットルの4つ口フラスコに、酢酸ブチル200質量部、V−601 4.0質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に昇温した。別途、MMA59質量部、IBXMA200質量部、V−601 75質量部、酢酸ブチル90質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール2800質量部と蒸留水700質量部からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合を単離して、重合体A−2を得た。
重合体A−2の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積1リットルの4つ口フラスコに、MMA19質量部、スチレン(以下、「St」ともいう)11質量部、酢酸ブチル224質量部、V−601 8.7質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に昇温した。別途、MMA108質量部、St93質量部、V−601 78質量部、酢酸ブチル90質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール4200質量部、蒸留水1800質量部からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−3を得た。
重合体A−3の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積1リットルの4つ口フラスコに、酢酸ブチル221質量部、V−601 3.2質量部からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に昇温した。別途、MMA34質量部、メタクリル酸ブチル(以下、「BMA」ともいう)215質量部、V−601 60質量部、酢酸ブチル90質量部からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール4200質量部、蒸留水1800質量部からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−4
を得た。
重合体A−4の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積2リットルの4つ口フラスコに、アクリル酸メトキシエチル(以下、「MEA」ともいう)255質量部、アクリル酸ブチル(以下、「BA」ともいう)8質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」ともいう)15質量部、酢酸エチル520質量部を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を40℃に昇温し、アゾビスバレロニトリル(和光純薬社製、V−65)11.4質量部を仕込み、重合を開始した。4時間後、重合溶液をヘキサン10000質量部に滴下することでアクリル系粘着性ポリマーを単離し、重合体B−1を得た。得られた重合体B−1は、MEA85質量%、BA10質量%、HEA5質量%からなり、Mw520000、Mn80000、Mw/Mn6.5であった。
重合体B−1の組成及び分析結果を表2に示す。
内容積2リットルの4つ口フラスコに、MEA188質量部、BA192質量部、HEA20質量部、酢酸エチル740質量部を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を40℃に昇温し、V−65 10.3質量部を仕込み、重合を開始した。4時間後、重合溶液をヘキサン10000質量部に滴下することでアクリル系粘着性ポリマーを単離し、重合体B−2を得た。得られた重合体B−2は、MEA47質量%、BA48質量%、HEA5質量%からなり、Mw510000、Mn90000、Mw/Mn5.7であった。
重合体B−2の組成及び分析結果を表2に示す。
実施例1
上記合成例1で得られた重合体A−1を酢酸エチルに溶解して固形分濃度30質量%の重合体A−1溶液を調整した。同様に、上記合成例3で得られた重合体(B−1)を酢酸エチルに溶解して固形分濃度30質量%の重合体(B−1)溶液を調整した。当該重合体A−1溶液8質量部、重合体B−1溶液100質量部、架橋剤としてタケネートD−110N(固形分濃度75質量%、三井化学社製)0.16量部を混合し、粘着剤組成物を得た。
粘着シート試料から粘着剤を0.2g採取し、粘着剤の初期重量を秤量した。その粘着剤を50gの酢酸エチルに浸漬し、室温で16時間静置した。その後、200メッシュ金網でろ過し、メッシュに残った残分を80℃で3時間乾燥し、秤量した。初期の重量と残分の重量から、下式によりアクリル系粘着性ポリマー(B)に対するゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=(残分の重量)/[(初期の重量)×(アクリル系粘着性ポリマー(B)の固形分)/(粘着剤組成物全体の固形分)]×100
撥水処理を施したナイロン生地2枚を2.5cm幅に裁断した粘着シート試料を介して貼り合せ、ナイロン/粘着シート/ナイロンの順に積層されてなる積層体を得た。この積層体を新東工業社製「精密ホットプレスCYP−T」を用いて熱プレス処理(130℃、3kg/cm2、10秒間)することにより圧着した。圧着後の積層体を試験片とし、恒温槽付き引張試験機INSTRON5566A(インストロンジャパン製)を用いて、測定温度23℃、試験片幅2.5cm、剥離速度300mm/分の条件で90°剥離強度を測定した。
撥水処理を施したナイロン生地2枚を2.5cm幅に裁断し、1cm幅だけ重なるように粘着シート試料を介して貼り合せた。上記剥離強度と同様の熱プレス処理(130℃、3kg/cm2、10秒間)により圧着した後、恒温槽付き引張試験機INSTRON5566A(インストロンジャパン製)を用いて、測定温度23℃、試験片幅2.5cm、剥離速度300mm/分の条件でせん断方向の剥離強度を測定した。
剥離強度測定用の試験片(熱プレス処理後)の接着箇所の風合いについて以下の基準で評価した。
○:柔らかい
△:曲げる際にやや抵抗(硬さ)を感じる
×:芯のある硬さ(ごわつき)を感じる
粘着フィルム試料のX線光電子分光装置(XPS)測定によるO1sとC1sのピーク面積比から、粘着剤層の表層部分におけるビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の総量に対する、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の各質量分率(wA及びwB)を算出し、FOXの式に基づき表層部分のTgを算出した。
なお、XPS測定は以下の条件で測定した。
装置: アルバック・ファイ社製 PHI5000 VersaProbe
X線: Al−Kα (1486.6eV)
試料へのX線入射角: 0° (試料測定面の法線に対する角度)
光電子検出角: 45° (試料測定面の法線に対する角度)
XPS測定によるO1sとC1sのピーク面積比は、下式(1)の通り、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)からなる粘着剤組成物から形成された粘着剤層表層部の単位重量当りに存在する酸素原子数と炭素原子数の比で表される。
(O/C)A+B:粘着剤組成物を乾燥して得られた粘着剤層のXPS測定から求められるO1sとC1sのピーク面積比
WA:ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の総量に対するビニル重合体(A)の質量分率
Mw−A:ビニル重合体(A)の全構成単量体単位の加重平均分子量
Mw−B:アクリル系粘着剤組成物(B)の全構成単量体単位の加重平均分子量
NO−A:ビニル重合体(A)を構成する全構成単量体の平均単量体構造式中に含まれる酸素原子数
NO−B:アクリル系粘着性ポリマー(B)を構成する全構成単量体の平均単量体構造式中に含まれる酸素原子数
NC−A:ビニル重合体(A)を構成する全構成単量体の平均単量体構造式中に含まれる炭素原子数
NC−B:アクリル系粘着性ポリマー(B)を構成する全構成単量体の平均単量体構造式中に含まれる炭素原子数
(O/C)A:ビニル重合体(A)を乾燥して得られたフィルムのXPS測定から求められるO1sとC1sのピーク面積比
(O/C)B:アクリル系粘着性ポリマー(B)を乾燥して得られたフィルムのXPS測定から求められるO1sとC1sのピーク面積比
WB:ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の総量に対するアクリル系粘着性ポリマー(B)の質量分率
(O/C)A+B:0.327(実測値)
(O/C)A:0.309(実測値)
(O/C)B:0.435(実測値)
NC−A:MMA1分子中の炭素原子数(5)、IBXMA1分子中の炭素原子数(14)及び組成比より、5×89.9(mol%)+14×10.1(mol%)=5.91
NC−B:MEA1分子中の炭素原子数(6)、BA1分子中の炭素原子数(7)、HEA1分子中の炭素数(5)及び組成比より、6×84.4(mol%)+7×10.1(mol%)+5×5.6(mol%)=6.05
Mw−A:MMAの分子量(100)、IBXMAの分子量(222)及び組成比より、100×89.9(mol%)+222×10.1(mol%)=112.3
Mw−B:MEAの分子量(130)、BAの分子量(128)、HEAの分子量(116)及び組成比より、130×84.4(mol%)+128×10.1(mol%)+116×5.6(mol%)=129.0
これらの値を式(4)に代入することによりWA=0.840が得られ、(5)式よりWB=0.160が得られた。
1/〔表層部分のTg〕(K)=WA/TgA+WB/TgB (6)
ここで、
TgA:ビニル重合体(A)のTg(100℃)
TgB:アクリル系粘着性ポリマー(B)のTg(−35℃)
実施例1において、ビニル重合体及びアクリル系粘着性ポリマーの種類、比率を表3に示すように変えて粘着剤組成物を得ると共に、実施例1と同様の測定を行った。結果を表3に示した。
市販のウレタン系ホットメルト接着剤を用い、粘着剤層50μmとする両面セパレータ付き粘着シート試料を得た。実施例1と同様の測定を行い、結果を表3に示した。
Claims (6)
- ビニル重合体(A)、及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含有する粘着剤組成物であって、
前記ビニル重合体(A)は、ガラス転移温度(Tg)が30℃以上200℃以下であり、かつ、数平均分子量が500以上10,000以下であり、
当該粘着剤組成物全体のガラス転移温度である第1のTgが−80℃以上10℃以下である、繊維生地接合用粘着剤組成物。 - 粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥させて粘着剤層を得た際に、当該粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分から計算されるガラス転移温度である第2のTgが、前記第1のTgよりも30℃以上高い、請求項1に記載の繊維生地接合用粘着剤組成物。
- ビニル重合体(A)が、脂肪族環系ビニル単量体に由来する構造単位を10質量%以上含有する、請求項1又は2に記載の繊維生地接合用粘着剤組成物。
- アクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対するビニル重合体(A)の割合が0.5質量部以上60質量部以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維生地接合用粘着剤組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の繊維生地接合用粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥して得られた粘着剤層を有する粘着シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の繊維生地接合用粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層を介して生地が接合された接合部を含む衣類。
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