JP6547827B2 - 粘着剤組成物及びその製造方法、並びに粘着製品 - Google Patents

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Description

本発明は、粘着剤組成物及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、透明性及び各種被着体への接着性能に優れる粘着剤組成物及びその製造方法、並びにこれを用いた粘着製品に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年6月12日に出願された日本国特許出願である特願2015−118857号に基づく優先権を主張するものであり、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれるものとする。
粘着剤(感圧接着剤ともいう)は、例えばテープ、ラベルなどの形態に加工され、幅広い用途において利用されている。また、その被着対象物もプラスチック、紙類、金属、ガラス及び陶器など様々な物質に対して適用される。
一方、近年のエレクトロニクス技術の飛躍的進歩により、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイパネル(PDP)などの種々のフラットパネルディスプレイ(FPD)が、様々な分野で表示装置として使用されるようになってきた。
これらの表示装置は、一般的にはガラス若しくはポリカーボネート等の透明プラスチック材料を粘着剤で貼り合せた積層構造を有する。このような用途では、粘着剤には、透明プラスチック基板や光学フィルム等の視認性を損なわない透明性を有することは勿論のこと、高温、又は高温高湿条件下での過酷な耐久性試験後においても、基板界面からの剥がれや浮きが生じないことが要求されている。特に基板にポリカーボネート樹脂板やアクリル樹脂板のようなプラスチック板を用いた場合は、吸収した水分や残留揮発性物質に起因すると思われるアウトガスが発生する。このため、プラスチック基板と、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのバリア性を有する基材フィルムからなる光学フィルムとを粘着剤により貼り合せて積層体を得た後、これを高温高湿下に曝した場合には、プラスチック基板等から発生した気泡(発泡)により粘着剤層との接着界面で浮きや剥がれが発生してしまい、外観上問題となるのみならず、視認性をも著しく損なわせてしまう。
上記のような課題に対し、貯蔵弾性率の高い粘着剤を用いることにより、粘着力が高く、且つ、形態安定性に優れた粘着剤層を基板に貼りあわせ、浮きや剥がれを抑制する方法が開示されてきた。しかし、このような粘着剤を段差形状や凹凸形状を有する面の接着に用いた場合には、接着面の凹凸形状等に十分追従することができず、凹凸部等の端面に空隙が発生する場合があった。このため、柔軟性に優れた粘着性ポリマーを主成分とした各種粘着剤組成物が提案されている。
特許文献1には、高分子量(メタ)アクリル酸エステル重合体と低分子量(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有し、これらが擬似的な架橋構造を形成し得る粘着剤組成物が開示されている。特許文献2には、分子量の異なる特定の(メタ)アクリル系共重合体、トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物及びシランカップリング剤を含む偏光板用粘着剤組成物が記載されている。
また、特許文献3には、特定の(メタ)アクリル系共重合体、当該共重合体とのSP値差が1.0以下である特定のアクリル系共重合体オリゴマー、及び架橋剤とからなる粘着剤組成物が、耐久性、接着性、段差追随性、腐食性、透明性等の性能バランスが良好である旨が記載されている。特許文献4には、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とする粘着性ポリマーと、アミノ基含有モノマー又はアミド基含有モノマーを構成単量体に含む特定の低分子量ポリマーと、架橋剤とを含有する粘着剤組成物が開示され、高温・高湿雰囲気下における発泡の抑制及び粘着剤層への水分侵入に起因する白化の回復に効果を奏することが示されている。
さらに、特許文献5には、特定の低分子量ビニル重合体及びアクリル系粘着性ポリマーを含有し、ポリカーボネートおよびポリメチルメタクリレート板に対する接着強度に優れる粘着剤組成物が開示されている。
特開2012−41453号公報 特開2011−232470号公報 特開2011−162593号公報 特開2002−327160号公報 特開2014−88549号公報
特許文献1〜3に記載された粘着剤組成物は、基材との熱収縮の差異に起因する浮きや剥がれの防止には有効であるが、高温、高湿条件下におけるプラスチック基板からのアウトガス発生に起因する浮きや剥がれについては十分に抑制することができないものであった。特許文献4及び5に記載された粘着剤組成物は、プラスチック基板を用いた際のアウトガスに起因する発泡を抑制する性能が向上している。しかしながら、粘着性ポリマーと低分子量ポリマーの組合せによっては、耐久性等に関してさらなる改善が望まれるものであった。
また、近年、意匠性に優れた商品開発が進み、各種形状を有する端末等が市場に流通している。こうした中、粘着剤に対しては曲面部位への接着性向上の要求が高まっているが、上記の各特許文献には曲面接着に対する具体的な効果については示されていない。
本明細書は、十分な透明性及び各種被着体に対する良好な接着性を示し、高温高湿条件下での使用におけるアウトガスに由来する発泡を抑制する耐久性を備えるとともに、曲面接着性にも優れる粘着剤組成物及びその製造方法、さらには該粘着剤組成物を用いてなる粘着製品を提供する。
本発明者は上記課題に鑑み鋭意検討した結果、アクリル系粘着性ポリマーと低分子量ビニル重合体を含む特定の粘着剤組成物に着目した。すなわち、それぞれ所定のアクリル系粘着性ポリマーと所定の分子量範囲のビニル重合体とを含有する粘着剤組成物で粘着剤層を形成するとき、その粘着剤層の表層に前記低分子量ビニル重合体を偏析させることができることを知得した。また、この粘着剤組成物が、高温高湿下における上記アウトガス由来の発泡の抑制に効果を奏するとともに、優れた曲面接着性を示すことを知得し、以下の手段を提供する。
本明細書が提供する手段は以下の通りである。
〔1〕ガラス転移温度(Tg)が40℃以上200℃以下、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)、及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含有する粘着剤組成物であって、
前記アクリル系粘着性ポリマー(B)は、その全構成単位に対して(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を85質量%以上含有し、
前記アクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対する前記ビニル重合体(A)の割合が0.5質量部以上30質量部以下であり、
前記粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥させて粘着剤層を得た際に、当該粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高いことを特徴とする粘着剤組成物。
〔2〕上記ビニル重合体(A)が、脂肪族環式ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を有する上記〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔3〕上記粘着剤組成物からなる膜厚50μmの粘着剤層を100μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルム基材に備えた粘着シートの85℃におけるポリカーボネート板に対する接着強度が、15N/25mm以上である上記〔1〕又は〔2〕に記載の粘着剤組成物。
〔4〕上記粘着剤組成物からなる膜厚50μmの粘着剤層を100μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルム基材に備えた粘着シートの85℃におけるポリプロピレン板に対する接着強度が、5.0N/25mm以上である上記〔1〕又は〔2〕に記載の粘着剤組成物。
〔5〕粘着剤組成物の製造方法であって、
(メタ)アクリル酸アルコキシエステルに由来する構成単位を85質量%以上含有するアクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対し、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上200℃以下、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)0.5質量部以上30質量部以下を配合する際に、
粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥させて得られた粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高くなるように前記ビニル重合体(A)及び前記アクリル系粘着性ポリマー(B)を選択して配合することを特徴とする粘着剤組成物の製造方法。
〔6〕基材の片面又は両面に上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を設けてなる粘着シート又は粘着テープ。
〔7〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層の片面又は両面にガラス板及び/又は透明プラスチック板を貼り合せてなる粘着製品。
〔8〕粘着剤層を備える粘着製品であって、
前記粘着剤層は、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上200℃以下、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含有し、
前記アクリル系粘着性ポリマー(B)は、その全構成単位に対して(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を85質量%以上含有し、
前記アクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対する前記ビニル重合体(A)の割合が0.5質量部以上30質量部以下であり、
前記粘着剤層において厚み方向で対向する少なくとも1つの表層側において前記ビニル重合体(A)をより高濃度で含有する、粘着製品。
〔9〕前記粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高い、上記〔8〕に記載の粘着製品。
本明細書に開示される粘着剤組成物(以下、本粘着剤組成物ともいう。)によれば、十分な透明性及び各種被着体に対する良好な接着性を発揮する粘着製品を得ることができる。また、上記粘着製品は、高温高湿条件下で使用した場合であってもアウトガス由来の発泡を抑制することが可能であるため、粘着製品の膨れや剥がれによる視認性の低下等の問題を解消するとともに、曲面接着性にも優れるものである。
本明細書は、それぞれ所定のビニル重合体及びアクリル系粘着性ポリマーを含有する特定の粘着剤組成物であって、この組成物から形成される粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高いことを特徴とする粘着剤組成物及びその製造方法、並びに当該粘着剤組成物を用いてなる粘着製品に関する。
本粘着剤組成物は、一定のガラス転移温度と数平均分子量とを有するビニル重合体(A)と、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル由来構成単位を85質量%以上有するアクリル系粘着性ポリマー(B)とを一定の比率で組み合わせることで、粘着剤層形成時に、ビニル重合体(A)を粘着剤層の表層に偏析させることができる。ビニル重合体(A)の偏析挙動は、上記した特定のビニル重合体(A)とアクリル系粘着性ポリマー(B)とが完全には相溶しない一方、完全に相分離しないことに基づいている。また、前記偏析挙動は、ビニル重合体(A)がアクリル系粘着性ポリマー(B)よりも少なくとも低極性であることに基づいている。
本粘着剤組成物は、上記の通り、アクリル系粘着性ポリマー(B)に対して完全には相溶しないビニル重合体(A)が用いられる。この際に、粘着剤組成物におけるビニル重合体(A)の使用量を適宜調整することにより偏析の程度を調節することができる。ビニル重合体(A)の使用量が少なすぎると粘着剤層表層への偏析が不十分となり十分な効果が得られない場合がある。一方、ビニル重合体(A)の使用量が多すぎるとアクリル系粘着性ポリマー(B)と相分離する結果、粘着剤層の透明性や接着性能が低下する傾向がある。その他にも、ビニル重合体(A)のガラス転移温度を適宜調整することによっても、粘着剤層表層部分のガラス転移温度が調節可能となっている。
なお、ビニル重合体(A)の偏析は、粘着剤層の形成時に生じるものであり、表面エネルギーの低い界面側にビニル重合体(A)が偏析することとなる。したがって、例えば、本粘着剤組成物によるシート状又はフィルム状の粘着剤層において厚み方向で対向する2つの表層が気体やある種の固体などの表面エネルギーの低い物質と接する場合には、こうした物質と接する低表面エネルギー界面側においてビニル重合体(A)をより高濃度で含有する一方、粘着剤層の厚み方向の中央側にてビニル重合体(A)をより低濃度で含有する粘着剤層を得ることができる。すなわち、ビニル重合体(A)を粘着剤の表層側においてより高濃度に有する傾斜組成を備える粘着剤層を得ることができる。アクリル系粘着性ポリマー(B)の観点からは、アクリル系粘着性ポリマー(B)を粘着剤層の表層側においてより低濃度で有する傾斜組成を備える粘着剤層を得ることができる。
なお、例えば、本粘着剤組成物によるシート状又はフィルム状の粘着剤層において厚み方向で対向する2つの表層のうち一方の表面のみが低表面エネルギー界面側となるときには、当該界面側においてビニル重合体(A)をより高濃度で含有する粘着剤層を得ることができる。
本粘着剤組成物は、粘着剤層におけるビニル重合体(A)の偏析の結果、粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高くすることができる。これにより、粘着剤層の接着特性を制御して良好な接着強度を得ることができる。すなわち、粘着剤の表層で構成される接着界面近傍において相対的に高いTgを備えるため、従来にはない良好な接着性を呈することができる。例えば、高温下で被着体からのアウトガスがあっても粘着剤層の浮きや剥がれを抑制でき、良好な耐久性を呈することができる。また、粘着剤層全体が、被着体に対して良好な追従性を有することができる。
以下、本明細書の開示について詳しく説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味する。
本粘着剤組成物は、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含有するものである。当該ビニル重合体(A)、アクリル系粘着性ポリマー(B)及びこれらを含有する粘着剤組成物の詳細について、以下に順次説明する。
〔ビニル重合体(A)〕
本発明のビニル重合体(A)は、40℃以上200℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する重合体である。Tgの下限は50℃以上、60℃以上とすることができる。また、上限は180℃以下、150℃以下、120℃以下とすることもできる。さらに、100℃以下とすることもできる。また、Tgの範囲は、60℃以上180℃以下、60℃以上150℃以下とすることもできる。また、本発明では、示差走査熱量測定(DSC)により昇温速度10℃/分で測定した値をTgとして採用する。Tgが40℃未満であると、各種被着体への接着強度が十分でなく耐久性に劣る場合がある。また、原料単量体の制約等から、一般に200℃を超えることはない。
ビニル重合体(A)を構成する単量体としては、ラジカル重合性を有する種々のビニル系不飽和化合物を使用することができ、例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物、脂肪族環式ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸、不飽和酸無水物、ヒドロキシル基含有ビニル化合物、アミノ基含有ビニル化合物、アミド基含有ビニル化合物、アルコキシ基含有ビニル化合物、シアノ基含有ビニル化合物、ニトリル基含有ビニル化合物、マレイミド系化合物等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの中でも、脂肪族環式ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物は、粘着剤層において良好な粘着性能が得られる傾向がある。これらのビニル化合物を用いることで、粘着性ポリマー(B)に対して相対的に低極性のビニル重合体(A)を得られ易くなり、粘着剤層を形成した際にビニル重合体(A)を表層へ偏析し易くできるからである。よって、ビニル重合体(A)が、脂肪族環式ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を有することもできる。上記脂肪族環式ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体の具体的な使用量は適宜設定することができるが、例えば、その下限は3質量%以上とすることができ、5質量%以上、10質量%以上とすることもできる。また、その上限は、例えば、80質量%以下、60質量%以下、50質量%以下とすることもできる。また、例えば、かかる使用量は、3質量%以上80質量%以下、5質量%以上60質量%以下とすることができ、10質量%以上50質量%以下とすることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル等の直鎖状又は分岐状アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。例えば、(メタ)アクリル酸メチルを用いることもできる。
上記脂肪族環式ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの中でも、比較的Tgを高く設定することができ、粘着剤層を形成した際にビニル重合体(A)が表層へ偏析し易く、良好な粘着性能が得られる傾向がある点で、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸アダマンチルとすることもできる。なかでも、(メタ)アクリル酸イソボルニルとすることもできる。
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。例えば、スチレン等を用いることもできる。
上記不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、桂皮酸、更には、不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等のモノアルキルエステル)等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
ヒドロキシル基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルや、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、m−イソプロペニルフェノール、o−イソプロペニルフェノール等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
アミノ基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジ−n−プロピルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−(ジ−n−プロピルアミノ)プロピル等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
アミド基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
アルコキシ基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシプロピル等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
シアノ基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸1−シアノエチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸1−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸2−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸3−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸4−シアノブチル、(メタ)アクリル酸6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチル−6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸8−シアノオクチル等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
ニトリル基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、α−イソプロピルアクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−フルオロアクリロニトリル等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2、6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ナフチルマレイミド等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記化合物以外に、不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステル、ビニルエステル化合物、ビニルエーテル化合物等を用いることもできる。
不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステルとしては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等のジアルキルエステルが挙げられる。
ビニルエステル化合物としては、メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル、桂皮酸ビニル等が挙げられる。
上記ビニルエーテル化合物としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が挙げられる。
上記ビニル重合体(A)の数平均分子量(Mn)は500以上10,000以下とすることができる。下限は1,000以上、1,500以上とすることもできる。また、上限は7,000以下、5,000以下、4,000以下とすることもできる。また、範囲は500以上7,000以下、1,000以上5,000とすることもできる。Mnが10,000を超えるとアクリル系粘着性ポリマー(B)との相溶性が悪くなる。一方、Mnが500未満の重合体を製造するには、重合開始剤や連鎖移動剤を多量に用いたり、生産性の低下を招く等の問題がある。
また、重量平均分子量(Mw)と上記(Mn)との比(Mw/Mn)は、良好な接着強度が得られやすいという観点から、3.0以下、2.2以下、1.8以下とすることもできる。
ここで、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて得られた標準ポリスチレン換算値である。
本発明のビニル重合体(A)は、その製造方法について特段の制約はないが、例えば、溶液重合法等の公知のラジカル重合方法を採用して上記単量体を重合することにより容易に得ることができる。
溶液重合法による場合、有機溶剤及びビニル単量体原料を反応器に仕込み、有機過酸化物、アゾ系化合物等の熱重合開始剤を添加して、50〜300℃に加熱して共重合することにより目的とするビニル重合体を得ることができる。当該ビニル重合体は、有機溶剤に溶解された溶液として使用しても良いし、加熱減圧処理等により溶剤を留去して用いても良い。
単量体を含む各原料の仕込み方法は、すべての原料を一括して仕込むバッチ式の初期一括仕込みでもよく、少なくとも一つの原料を連続的に反応器中に供給するセミ連続仕込みでもよく、全原料を連続供給し、同時に反応器から連続的に生成樹脂を抜き出す連続重合方式でもよい。
溶液重合法に使用する有機溶剤としては、有機炭化水素系化合物が適当であり、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの重合溶剤の中では、ビニル系重合体をよく溶解し、精製しやすいように沸点が比較的低い、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトンを用いることもできる。
本発明で使用する開始剤は、アゾ系化合物、有機過酸化物、無機過酸化物等を用いることができるが、特に限定されるものではない。公知の酸化剤及び還元剤からなるレドックス型重合開始剤を用いても良い。また、同じく公知の連鎖移動剤を併用することもできる。
上記アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾクメン、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスジメチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−(tert−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ビス(tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
上記無機過酸化物としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
また、レドックス型重合開始剤としては、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄等を還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等を酸化剤としたものを用いることができる。
また、本発明のビニル重合体(A)は、攪拌槽型反応器を使用し、180〜350℃の温度範囲において連続重合することにより得ることもできる。この重合方法では、重合開始剤や連鎖移動剤を実質的に使用することなく比較的低分子量のビニル重合体を得ることができるため純度の高い重合体が得られ、後述する着色や臭気の点でも有利であるため好ましい。重合温度が180℃未満の場合には、重合反応に重合開始剤や多量の連鎖移動剤が必要となり、得られた共重合体は着色しやすく、また好ましくない臭気を発生する。一方、重合温度が350℃を越える場合には、重合反応中に分解反応が起こりやすく、得られる共重合体が着色するため、これを含む粘着剤組成物から得られる粘着層の透明性の低下が懸念される。さらに、このような重合方法によれば分子量の分布範囲の小さいビニル重合体が得られる。尚、重合開始剤は随意に使用してもよいが、全単量体に対して約1質量%以下で使用することもできる。
〔アクリル系粘着性ポリマー(B)〕
アクリル系粘着性ポリマー(B)は(メタ)アクリル酸エステル化合物を主要構成単位として含む重合体である。又、そのガラス転移温度(Tg)は−80℃以上−10℃以下の範囲にある粘着性を有する重合体とすることもできる。また、−70℃以上−20℃以下の範囲とすることもできる。Tgが−80℃以上であれば粘着剤として十分な凝集力を有するとともに、良好な曲面接着性を示すことができる。一方、Tgが−10℃以下であれば、凹凸部への接着性及び低温条件下での粘着力の点でも良好な性能を示す。
さらに、上記アクリル系粘着性ポリマー(B)は、十分な凝集力と良好な接着性とを発揮する観点から、重量平均分子量(Mw)が100,000以上、250,000以上、400,000以上とすることもできる。
一方、重量平均分子量が高すぎると製造上の扱いが困難となる場合がある。よって、上限値は2,000,000以下、1,500,000以下、1,000,000以下とすることもできる。
本明細書では、上記アクリル系粘着性ポリマー(B)は、その全構成単位に対して(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を85質量%以上含有することができる。これにより、柔軟で粘着性に優れるアクリル系粘着性ポリマーが得られるとともに、上記ビニル重合体(A)とを含む粘着剤組成物から粘着剤層を形成した際に、アクリル系粘着性ポリマー(B)に対するビニル重合体(A)の極性を相対的に低くすることができ、この結果ビニル重合体(A)を表層へ偏析させて、良好な粘着性能を発揮させることができる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの使用量は、90質量%以上、92質量%以上、95質量%以上とすることもできる。また、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの使用量の上限は100質量%以下であり、99.5質量%以下としてもよく、99.0質量%以下としても良い。
上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸ブトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル及び(メタ)アクリル酸ブトキシブチル等の炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等を挙げることができ、上記ビニル重合体(A)の偏析を生じさせ易い点で炭素数2〜4のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを用いることもできる。また、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは、上記の内の1種又は2種以上を使用することができる。
アクリル系粘着性ポリマー(B)は上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル以外にも本発明の効果を損なわない範囲で、これと共重合可能な他の単量体を使用することができる。共重合可能な単量体としては例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、その他のビニル系単量体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられ、例えば、単量体としては(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル等を挙げることができ、これらの内の1種又は2種以上を使用することができる。
上記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、例えばポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらの内の1種又は2種以上を使用することができる。
その他のビニル系単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のα、β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂肪族環式ビニル化合物;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート及びポリエチレン−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシブチルアクリルアミド等のエチレン系不飽和カルボン酸アミド及びN−置換化合物;アリルアルコール等の不飽和アルコール;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸グリシジル、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を使用することができる。
上記その他の単量体の使用量は、0質量%以上10質量%以下の範囲としてもよいほか、0.5質量%以上8.0質量%以下、1.0質量%以上5.0質量%以下とすることもできる。
アクリル系粘着性ポリマー(B)もまた、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知のラジカル重合法により得ることができる。
〔粘着剤組成物〕
本粘着剤組成物は、上記ビニル重合体(A)と上記アクリル系粘着性ポリマー(B)とを所定の配合比で含有することができる。そして、これにより、本粘着剤組成物から粘着剤層を得た際に、ビニル重合体(A)を表層に偏析させることで、粘着剤層におけるTgの分布も偏析させ、ひいては良好な接着強度を得ることができる。こうしたビニル重合体(A)の偏析挙動のほか、後述する粘着剤層表層と粘着剤層全体のTg差は、アクリル系粘着性ポリマー(B)に対するビニル重合体(A)の配合比、ビニル重合体(A)の単量体組成(極性)や分子量のほか、Tg、Mw/Mn等を適宜設定することにより調整することができる。
本粘着剤組成物は、固形分換算で、アクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対してビニル重合体(A)を0.5質量部以上30質量部以下含有することができる。ビニル重合体とアクリル系粘着性ポリマー(B)との配合比率は、本粘着剤組成物から粘着剤層を得た際における、ビニル重合体(A)の偏析程度ひいては表層部分のTgが粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高くなるように適宜設定される。特に限定するものではないが、ビニル重合体(A)の下限は、例えば、0.8質量部以上であり、1.0質量部以上とすることもできる。また、上限は、例えば、20質量部以下であり、15質量部以下とすることもできる。また、例えば、含有量は、0.8質量部以上20質量部以下とすることができ、1.0質量部以上15質量部以下とすることができる。ビニル重合体(A)の使用量を0.5質量部以上とすることにより耐久性が向上して加熱湿熱後の浮きや剥がれを抑制する効果が十分発現される傾向にあり、30質量部以下とすることにより段差形状への追随性を良好なものとすることができる。また、30質量部を超えるとビニル重合体(A)とアクリル系粘着性ポリマー(B)との相溶性を維持が困難となり相分離が生じやすくなる。
本粘着剤組成物から得られる粘着剤層全体のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されるものではないが、0℃以下、−10℃以下、−20℃以下とすることもできる。Tgが0℃以下であれば十分な粘着力を発揮することができる。また、入手可能な構成単量体の制約等からTgの下限は−80℃である。よって、本発明の粘着剤層全体のTgは、−80℃以上0℃以下の範囲、−80℃以上−10℃以下の範囲、−70℃以上−20℃以下の範囲とすることもできる。
尚、上記粘着剤層全体のガラス転移温度とは、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含む粘着剤組成物から得られる粘着剤層を試料とし、公知の方法により得られるガラス転移温度を意味する。
本粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥させること等によって粘着剤層を得ることができる。こうした本粘着剤組成物によれば、こうして得られる粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgsを、粘着剤層全体のTgbよりも30℃以上高くすることができる。当該表層部分のTgsと粘着剤層全体のTgbとの差(Tgs−Tgb)が30℃未満の場合は、例えば60℃又は85℃の高温条件下における接着強度が十分でなく、本明細書が課題とする耐久性又は曲面接着性が不十分となる虞がある。上記(Tgs−Tgb)は、40℃以上、50℃以上とすることもできる。上記(Tgs−Tgb)の上限は特に制限されるものではないが、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)が取り得るTgから230℃が限度であり、一般的には200℃以下である。
上記の通り「表層部分の組成から計算されるTg」は、X線光電子分光測定(XPS)から得られるビニル重合体(A)とアクリル系粘着性ポリマー(B)との組成比率から計算によって求められる。XPSでは粘着剤層の表面にX線を照射することにより発生する光電子を検出し、その運動エネルギーから組成情報を得ることができる。表面から深い層で発生した光電子は表面に到達する前にその運動エネルギーを喪失するため、XPSにおける検出深さは数nmとなる。したがって、XPSにより粘着剤層の表面から数nm程度の表層部分に関する組成情報を得ることができ、得られた組成情報に基づいてビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の組成比率を求め、Tgを算出することができる。XPSの具体的な測定条件及びTgの算出方法等は、後述する実施例の記載に従う。
本粘着剤組成物は、当該粘着剤組成物からなる膜厚50μmの粘着剤層を100μ厚ポリエチレンテレフタレートフィルム基材に備えた粘着シートの85℃におけるポリカーボネート板(PC板)に対する接着強度が、15N/25mm以上とすることもできる。ここで、上記接着強度は、剥離速度300mm/分での180°剥離強度を意味する。85℃におけるPC板に対する接着強度が15N/25mm以上であれば、PC板に対する高温高湿条件下での耐久性及びPCに対する曲面接着性が向上する傾向がある。上記接着強度は、20N/25mm以上とすることもできる。
本粘着剤組成物は、当該粘着剤組成物からなる膜厚50μmの粘着剤層を100μ厚ポリエチレンテレフタレートフィルム基材に備えた粘着シートの85℃におけるポリプロピレン板(PP板)に対する接着強度が、5.0N/25mm以上とすることもできる。ここで、上記接着強度は、剥離速度300mm/分での180°剥離強度を意味する。85℃におけるPP板に対する接着強度が5.0N/25mm以上であれば、PP板に対する高温高湿条件下での耐久性及びPPに対する曲面接着性が向上する傾向がある。上記接着強度は、7.0N/25mm以上とすることもできる。
上記粘着シートを作製するに当たっては、粘着剤組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム基材に直接塗工し、乾燥することにより粘着シートを得る方法、又は、一旦離型紙等に塗工した後、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材に転写する方法のいずれの方法を採用しても良い。
乾燥は常温で行っても構わないが、生産性等の観点から、通常は、乾燥機を用いて40〜150℃の加熱条件下にて数秒間から数十分間の時間をかけて乾燥させる方法が一般的である。
また、接着強度の測定は、JIS Z 0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準じて測定するものであり、後述する実施例の欄において記載された条件によりポリカーボネート板又はポリプロピレン板に対する接着強度を測定する。
本発明のビニル重合体(A)は、アクリル系粘着性ポリマー(B)に対して適度な相溶性を有する。このため、これらを含む粘着剤組成物から得られる粘着剤層は良好な透明性を示すとともに、粘着剤層中においてビニル重合体(A)が一部偏析し、その表層におけるビニル重合体(A)の濃度が他の部分よりも高くなる傾向がある。このように、粘着剤層の表層におけるビニル重合体(A)の濃度が他より高くなる構成を取った場合、透明プラスチック基板に粘着シートを貼り付けた積層体であっても接着界面近傍の粘着剤層は比較的高いTgを有するため、当該基板から発生するアウトガスによる粘着シートの浮きや剥がれが抑制され、良好な耐久性を示す。また、粘着剤層全体としては十分な柔軟性を有し、良好な粘着性能を示すことができる。さらには、オレフィン系の被着体に対しても良好な接着性を示すようになる。
本粘着剤組成物は、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を規定量含むものであれば、その混合方法に特段の制約はない。例えば、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を混合する方法であってもよいし、ビニル重合体(A)の存在下にアクリル系粘着性ポリマー(B)を重合することにより得られたものでもよい。
本発明の粘着剤組成物は、上記ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)以外にも必要に応じて、架橋剤(硬化剤)、粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、難燃剤、防かび剤、シランカップリング剤、充填剤、着色剤等の添加剤を含有した組成物とすることもできる。
上記架橋剤(硬化剤)としては、グリシジル基を2つ以上有するグリシジル化合物、イソシアネート基を2つ以上有するイソシアネート化合物、アジリジニル基を2つ以上有するアジリジン化合物、オキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物等が挙げられる。これらのうち、アジリジン化合物、グリシジル化合物及びイソシアネート化合物を用いることもできる。
上記アジリジン化合物としては、1,6−ビス(1−アジリジニルカルボニルアミノ)ヘキサン、1,1’−(メチレン−ジ−p−フェニレン)ビス−3,3−アジリジル尿素、1,1’−(ヘキサメチレン)ビス−3,3−アジリジル尿素、エチレンビス−(2−アジリジニルプロピオネート)、トリス(1−アジリジニル)ホスフィンオキサイド、2,4,6−トリアジリジニル−1,3,5−トリアジン、トリメチロールプロパン−トリス−(2−アジリジニルプロピオネート)等が挙げられる。
上記グリシジル化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等の多官能グリシジル化合物が挙げられる。
上記イソシアネート化合物としては、例えば、イソシアネート基を2つ以上有する化合物が用いられる。
上記イソシアネート化合物としては、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物、更には、これらのイソシアネート化合物の変性物(プレポリマー等)を用いることができる。
芳香族イソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。
脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)等が挙げられる。
脂環族イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(H6XDI)、水添化MDI(H12MDI)等が挙げられる。
また、変性イソシアネートとしては、上記イソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体、ウレア変性体、イソシアヌレート変性体、オキサゾリドン変性体、イソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物が架橋剤(硬化剤)を含有する場合、その含有量は、上記(メタ)アクリル系重合体100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下とすることもできる。また、0.03質量部以上5質量部以下、0.05質量部以上2質量部以下とすることもできる。
上記粘着性付与剤としては、ロジンエステル、ガムロジン、トール油ロジン、水添ロジンエステル、マレイン化ロジン、不均化ロジンエステル等のロジン誘導体;テルペンフェノール樹脂、α−ピネン、β−ピネン、リモネン等を主体とするテルペン系樹脂;(水添)石油樹脂;クマロン−インデン系樹脂;水素化芳香族コポリマー;スチレン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン系樹脂;(メタ)アクリル系重合体等が挙げられる。
上記可塑剤としては、ジn−ブチルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジn−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジn−オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類;ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジn−ブチルセバケート等のセバシン酸エステル類;ビス(2−エチルヘキシル)アゼレート等のアゼライン酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類;ポリプロピレングリコール等のグリコール類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ変性植物油類;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;アジピン酸と1,3−ブチレングリコールとのエステル化物等のエステルオリゴマー類;低分子量ポリブテン、低分子量ポリイソブチレン、低分子量ポリイソプレン等の低分子量重合体;プロセスオイル、ナフテン系オイル等のオイル類等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−〔β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ビス〔3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール類等のフェノール系酸化防止剤;ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ステアリル3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤;ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、〔2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェノラート)〕−n−ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸モノエチレート、ニッケル−ジブチルジチオカルバメート等のニッケル系紫外線安定剤等が挙げられる。
上記老化防止剤としては、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、1−(N−フェニルアミノ)−ナフタレン、スチレン化ジフェニルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、モノ(α−メチルベンジル)フェノール、ジ(α−メチルベンジル)フェノール、トリ(α−メチルベンジル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル等が挙げられる。
上記難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ヘキサブロモベンゼン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、デカブロモジフェニルオキサイド、含ハロゲンポリフォスフェート等のハロゲン系難燃剤;リン酸アンモニウム、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、酸性リン酸エステル、含窒素リン化合物等のリン系難燃剤;赤燐、酸化スズ、三酸化アンチモン、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤;ポリ(ジメトキシシロキサン)、ポリ(ジエトキシシロキサン)、ポリ(ジフェノキシシロキサン)、ポリ(メトキシフェノキシシロキサン)、メチルシリケート、エチルシリケート、フェニルシリケートのようなシロキサン系難燃剤等が挙げられる。
上記防かび剤としては、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、トリハロアリル、トリアゾール、有機窒素硫黄化合物等が挙げられる。
上記シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、タルク等の無機粉末充填剤;ガラス繊維、有機補強用繊維等の繊維状充填剤等が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、上記ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含むものであればその形態に特段の制約はない。例えば、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解した溶剤型粘着剤組成物の形態として用いてもよいし、水媒体中にアクリル系粘着性ポリマー及びビニル重合体が分散したエマルション型粘着剤組成物の形態として用いてもよい。
上記溶液型粘着剤組成物及びエマルション型粘着剤組成物の場合、用いられる有機溶剤または水等の媒体は、粘着剤組成物100質量部に対して通常20〜80質量部である。
エマルション型粘着剤として用いる場合には、安定剤が配合されてなるものとすることができる。この安定剤としては、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ジブチルスズジラウリン酸鉛、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト等の塩化ビニル用安定剤;ジ−n−オクチルスズビス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)塩、ジ−n−オクチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジ−n−オクチルスズジラウリン酸塩、ジ−n−オクチルスズマレイン酸エステル塩、ジ−n−ブチルスズビスマレイン酸エステル塩、ジ−n−ブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジ−n−ブチルスズビスオクチルチオグリコールエステル塩、ジ−n−ブチルスズβ−メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジ−n−メチルスズビス(イソオクチルメルカプトアセテート)塩、ポリ(チオビス−n−ブチルスズサルファイド)、モノオクチルスズトリス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)、ジブチルスズマレエート、ジ−n−ブチルスズマレートエステル・カルボキシレート、およびジ−n−ブチルスズマレートエステル・メルカプチド等の有機スズ系安定剤;三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、ケイ酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉛等の鉛系安定剤;カドミウム系石けん、亜鉛系石けん、バリウム系石けん、鉛系石けん、複合型金属石けん、ステアリン酸カルシウム等の金属石けん系安定剤等が挙げられる。
その他にも、本発明の粘着剤組成物は、上記ビニル重合体(A)及び上記アクリル系粘着性ポリマー(B)以外に、単官能及び/又は多官能の(メタ)アクリル酸系単量体、並びに光重合開始剤等を含む組成物とすることにより、紫外線等の活性エネルギー線により硬化するいわゆるシロップ型の光硬化型粘着剤組成物の形態として用いてもよい。
光硬化型粘着剤組成物の場合、当該組成物中は有機溶剤等を含んでも良いが、一般的には溶剤類を含まない無溶剤型として用いられる。
上記単官能(メタ)アクリル酸系単量体としては、炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(メタ)アクリル酸等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
上記多官能(メタ)アクリル酸系単量体としては、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びそのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。この他にも、ポリウレタン(メタ)アクリレート及びポリイソプレン系(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を有する重合体(マクロモノマー)を使用することもできる。ポリイソプレン系(メタ)アクリレートの具体的な化合物としては、例えば、イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物等が該当する。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
光重合開始剤としては、ベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、ベンゾフェノン類及、キサントン類、アシルホスフィンオキシド類、α−ジケトン類等が挙げられる。
又、活性エネルギー線による感度を向上させるため、光増感剤を併用することもできる。
光増感剤としては、安息香酸系及びアミン系光増感剤等が挙げられる。これらは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光重合開始剤及び光増感剤の使用量は、単官能及び/又は多官能の(メタ)アクリル酸系単量体100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下とすることもできる。
さらに、上記にて説明した光硬化型粘着剤組成物以外にも上記ビニル重合体(A)、単官能及び/又は多官能の(メタ)アクリル酸系単量体、並びに光重合開始剤を含む組成物による光硬化型接着剤組成物としても使用することができる。当該光硬化型接着剤組成物には、必要に応じて上記アクリル系粘着性ポリマー(B)を混合することができる。
本発明の粘着剤組成物は、粘着フィルム、粘着シート、粘着テープ、粘着ラベル、感圧性テープ、表面保護フィルム、表面保護テープ、マスキングテープ、電気絶縁用テープ、ラミネート物等の各種一般粘着加工製品の他に、各種光学フィルム等の積層体を構成する際の貼り合せ用途にも好適に用いることができる。
上記一般粘着加工製品に適用する場合、本発明の粘着剤組成物を各種基材の片面又は両面に塗工後、乾燥またはUV等の活性エネルギー線を照射することにより粘着剤層を形成し、粘着シート又は粘着テープ等の粘着製品とすることができる。また、組成物を溶融状態にして、基材に塗工した後、冷却することにより、粘着層を有する製品を得ることもできる。
基材としては、紙類、フィルム、布、不織布、及び金属箔等を用いることができ、粘着剤組成物の塗工は直接これらの基材上に行っても良いし、離型紙等に塗工して乾燥した後に基材に転写しても良い。
粘着シートに形成される粘着剤の厚み(乾燥後の膜厚)は用途により選択されるが、通常は1〜300μmの範囲であり、5〜250μmの範囲、10〜200μmの範囲とすることもできる。
また、基材にガラス板及び/又は透明プラスチック板用いることにより、粘着剤層の片面又は両面にガラス板及び/又は透明プラスチック板を貼り合せてなる粘着加工品を得ることができる。係る粘着加工品は各種光学フィルム等の積層体として適用することができる。この場合においても、粘着剤組成物の塗工は基材上に直接行っても良いし、離型紙等に塗工して乾燥した後に基材に転写しても良い。
本発明の粘着剤組成物は、透明性及び耐湿熱白化性に優れ、かつガラスをはじめとする各種被着体に対して高いタックと接着強度を有するため、タッチパネル、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイパネル等のディスプレイ及びこれに用いられる各種光学フィルムの貼り合せにも好適である。また、フレキシブルプリント回路基板等の電子部品における接着用途にも有用である。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。以下の記載において「部」は質量部を意味し、「%」は質量%を意味する。
また、本実施例において得られた重合体の各種分析は、以下に記載の方法により実施した。
<固形分>
測定サンプル約1gを秤量(a)し、次いで、通風乾燥機155℃、30分間乾燥後の残分を測定(b)し、以下の式より算出した。測定には秤量ビンを使用した。その他の操作については、JIS K 0067−1992(化学製品の減量及び残分試験方法)に準拠した。
固形分(%)=(b/a)×100
<分子量測定>
分子量はGPCにて下記の条件で測定した。
GPC:東ソー(HLC−8120)
カラム:東ソー(TSKgel−Super MP−M×4本)
試料濃度:0.1%
流量:0.6ml/分
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計(RI)
標準物質:ポリスチレン
<ガラス転移点(Tg)>
ビニル重合体(A)、アクリル系粘着性ポリマー(B)及び粘着剤層全体のTgはDSCにて以下の条件で測定した。
DSC:TA Instrument製(Q−100)
昇温温度:10℃/分
測定雰囲気:窒素
<ポリマー組成>
ポリマー組成はモノマー仕込量とGC測定によるモノマー消費量から算出した。
GC:Agilent Technolosies製(7820A GC System)
検出器:FID
カラム:100%ジメチルシロキサン(CP−Sil 5CB) 長さ30m、内径0.32mm
算出方法:内部標準法
1.ビニル重合体の合成
合成例1(重合体A−1の合成)
内容積1リットルの4つ口フラスコに、酢酸ブチル(198質量部)とジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬社製、商品名「V−601」)(4.4質量部)とからなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」という)(141質量部)、メタクリル酸イソボルニル(以下、「IBXMA」という)(110質量部)、V−601(84質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール(4800質量部)及び蒸留水(1200質量部)からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−1を得た。得られた重合体A−1のポリマー組成は、仕込量とGC測定によるモノマー消費量から計算した結果、MMA59質量%及びIBXMA41質量%からなり、Mw2520、Mn1900、Mw/Mn1.33であった。Tgは77℃であった。
重合体A−1の組成及び分析結果を表1に示す。
合成例2(重合体A−2の合成)
合成例2(重合体A−2)
内容積1リットルの4つ口フラスコに、酢酸ブチル(198質量部)とV−601(3.6質量部)とからなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(200質量部)、IBXMA(56質量部)、V−601(69質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をヘキサン(6000質量部)に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−2を得た。
重合体A−2の組成及び分析結果を表1に示す。
合成例3(重合体A−3の合成)
内容積1リットルの4つ口フラスコに、酢酸ブチル(198質量部)とV−601(1.2質量部)とからなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(165質量部)、IBXMA(44質量部)、V−601(23質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をヘキサン(6000質量部)に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−3を得た。
重合体A−3の組成及び分析結果を表1に示す。
合成例4(重合体A−4の合成)
内容積1リットルの4つ口フラスコに、MMA(35質量部)、スチレン(以下、「St」という)(5質量部)、酢酸ブチル(198質量部)とV−601(7.5質量部)とからなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(158質量部)、St(47質量)、V−601(68質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール(4800質量部)及び蒸留水(1200質量部)からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−4を得た。
重合体A−4の組成及び分析結果を表1に示す。
合成例5(重合体A−5の合成)
内容積1リットルの4つ口フラスコに、MMA(19質量部)、St(11質量部)、酢酸ブチル(224質量部)、V−601(8.7質量部)からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(108質量部)、St(93質量部)、V−601(78質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール(4200質量部)及び蒸留水(1800質量部)からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−5を得た。
重合体A−5の組成及び分析結果を表1に示す。
合成例6(重合体A−6の合成)
内容積1リットルの4つ口フラスコに、MMA(40質量部)、St(6質量部)、酢酸ブチル(250質量部)、V−601(2.5質量部)からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(161質量部)、St(43質量部)、V−601(22質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール(4200質量部)及び蒸留水(1800質量部)からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−6を得た。
重合体A−6の組成及び分析結果を表1に示す。
合成例7(重合体A−7の合成)
内容積1リットルの4つ口フラスコに、MMA(63質量部)、酢酸ブチル(250質量部)、V−601(4.2質量部)からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(188質量部)、V−601(46質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をヘキサン(6000質量部)に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−7を得た。
重合体A−7の組成及び分析結果を表1に示す。
合成例8(重合体A−8の合成)
内容積1リットルの4つ口フラスコに、酢酸ブチル(250質量部)、V−601(0.1質量部)からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(200質量部)、St(56質量部)、V−601(2.2質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール(4200質量部)及び蒸留水(1800質量部)からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−8を得た。
重合体A−8の組成及び分析結果を表1に示す。
Figure 0006547827
表1で用いた化合物の詳細を以下に示す。
MMA:メタクリル酸メチル
St:スチレン
IBXMA:メタクリル酸イソボルニル
2.アクリル系粘着性ポリマーの合成
合成例9(重合体B−1の合成)
内容積2リットルの4つ口フラスコに、アクリル酸メトキシエチル(以下、「MEA」という)(285質量部)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」という)(15質量部)、酢酸エチル(520質量部)を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を40℃に上昇し、アゾビスバレロニトリル(以下、「V−65」という)(11.5質量部)を仕込み重合を開始した。4時間後、重合溶液をヘキサン(10000質量部)に滴下することでアクリル系粘着性ポリマーを単離し、重合体B−1を得た。得られた重合体B−1は、MEA95質量%、HEA5質量%とからなり、Mw50万、Mn7万、Mw/Mn7.1であった。
合成例10(重合体B−2の合成)
内容積2リットルの4つ口フラスコに、MEA(285質量部)、アクリル酸(以下、「AA」という)(15質量部)、酢酸エチル(520質量部)を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を40℃に上昇し、V−65(11.5質量部)を仕込み重合を開始した。4時間後、重合溶液をヘキサン(10000質量部)に滴下することでアクリル系粘着性ポリマーを単離し、重合体B−2を得た。得られた重合体B−2は、MEA95質量%、AA5質量%とからなり、Mw49万、Mn7万、Mw/Mn6.8であった。
合成例11(重合体B−3の合成)
内容積2リットルの4つ口フラスコに、MEA(239質量部)、アクリル酸ブチル(以下、「BA」という)(19質量部)、HEA(15質量部)、酢酸エチル(520質量部)を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を40℃に上昇し、V−65(11.4質量部)を仕込み重合を開始した。4時間後、重合溶液をヘキサン(10000質量部)に滴下することでアクリル系粘着性ポリマーを単離し、重合体B−3を得た。得られた重合体B−3は、MEA88質量%、BA7質量%、HEA5質量%とからなり、Mw51万、Mn8万、Mw/Mn6.4であった。
合成例12(重合体B−4の合成)
内容積2リットルの4つ口フラスコに、MEA(217質量部)、BA(41質量部)、HEA(15質量部)、酢酸エチル(520質量部)を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を40℃に上昇し、V−65(11.4質量部)を仕込み重合を開始した。4時間後、重合溶液をヘキサン(10000質量部)に滴下することでアクリル系粘着性ポリマーを単離し、重合体B−4を得た。得られた重合体B−4は、MEA80質量%、BA15質量%、HEA5質量%とからなり、Mw50万、Mn7万、Mw/Mn7.2であった。
3.粘着剤組成物の製造及び評価
実施例1
上記合成例1で得られた重合体(A−1)を酢酸エチルに溶解して固形分濃度30質量%の重合体(A−1)溶液を調整した。同様に上記合成例9で得られた重合体(B−1)を酢酸エチルに溶解して固形分濃度30質量%の重合体(B−1)溶液を調整した。当該重合体(A−1)溶液2質量部、重合体B−1溶液(100質量部)、架橋剤としてコロネートL45(日本ポリウレタン工業社製)(0.27質量部)を混合し、粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物を、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」)製セパレーター上に、乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布した。粘着剤組成物を80℃、4分間乾燥することで、酢酸エチルを除去するとともに架橋反応をさせ、前記セパレーターとは剥離力の異なる厚さ38μmのPET製セパレーターを貼りあわせて、40℃で5日間静置して熟成(エージング)することにより、両面セパレーター付き粘着フィルム試料を得た。
得られた粘着フィルム試料について、次に示す方法により各種測定及び評価を行った。得られた結果を表2に示す。
<ゲル分率>
粘着フィルム試料から粘着剤を0.2g採取し、粘着剤の初期重量を秤量した。その粘着剤を50gの酢酸エチルに浸漬し、室温で16時間静置する。その後、200メッシュ金網にろ過し、メッシュに残った残分を80℃で3時間乾燥し、秤量した。初期の重量と残分の重量から、下式(1)によりアクリル系粘着性ポリマー(B)に基づくゲル分率を算出した。

ゲル分率(%)=(残分の重量)/[(初期の重量)×(アクリル系粘着性ポリマー(B)の固形分)/(粘着剤組成物全体の固形分)]×100 (1)
<ポリカーボネート(PC)及びポリプロピレン(PP)に対する剥離強度>
粘着フィルム試料を易接着処理したPETフィルム(100μm)に転写して評価用の粘着シートを得た。被着体をPC板(三菱ガス化学社製、ユーピロンNF−2000、2mm厚)もしくはPP板(住友化学製、住友ノーブレンMH8、2mm厚)とし、上記評価用の粘着シートを貼り合せ、卓上加圧脱泡装置TBR−200(千代田電気工業社製)を用いて0.5MPa、50℃の条件下で20分間圧着した後、恒温槽付き引張り試験機ストログラフR型(東洋精機社製)を用いて、23℃、60℃及び85℃の条件で、JIS Z−0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準じて粘着シートの180度剥離強度を測定し、接着強度とした。尚、剥離速度は300mm/min.とした。
<COPに対する接着強度>
粘着フィルム試料を易接着処理したPETフィルム(100μm)に転写して評価用の粘着シートを得た。ポリメチルメタクリレート板にCOPフィルム(日本ゼオン社製、ゼオノアZF−14 100μm)を貼り付けて被着体とし、上記評価用の粘着シートを貼り合せ、卓上加圧脱泡装置TBR−200(千代田電気工業社製)を用いて0.5MPa、50℃の条件下で20分間圧着した後、恒温槽付き引張り試験機ストログラフR型(東洋精機社製)を用いて、23℃、60℃及び85℃の条件で、JIS Z−0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準じて粘着シートの180度剥離強度を測定し、接着強度とした。尚、剥離速度は300mm/min.とした。
<粘着剤層の表層部分のTg>
粘着フィルム試料のX線光電子分光装置(XPS)測定によるO1sとC1sのピーク面積比から、粘着剤層の表層部分におけるビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の総量に対する、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の各質量分率(wA及びwB)を算出し、FOXの式に基づき表層部分のTgを算出した。
尚、XPS測定は以下の条件で測定した。
装置: アルバック・ファイ社製 PHI5000 VersaProbe
X線: Al−Kα (1486.6eV)
試料へのX線入射角: 0° (試料測定面の法線に対する角度)
光電子検出角: 45° (試料測定面の法線に対する角度)
上記質量分率の具体的な算出方法について以下に記載する。
XPS測定によるO1sとC1sのピーク面積比から算出される酸素原子数と炭素原子数の比は、下式(2)の通り、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)からなる粘着剤組成物から形成された粘着剤層表層部の単位重量当りに存在する酸素原子数と炭素原子数の比で表される。
Figure 0006547827
ここで、
(O/C)A+B:粘着剤組成物を乾燥して得られた粘着剤層のXPS測定から求められるO1sとC1sのピーク面積比から算出される酸素原子数と炭素原子数の比
A:ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の総量に対するビニル重合体(A)の質量分率
w-A:ビニル重合体(A)の全構成単量体単位の加重平均分子量
w-B:アクリル系粘着剤組成物(B)の全構成単量体単位の加重平均分子量
O-A:ビニル重合体(A)を構成する全構成単量体の平均単量体構造式中に含まれる酸素原子数
O-B:アクリル系粘着性ポリマー(B)を構成する全構成単量体の平均単量体構造式中に含まれる酸素原子数
C-A:ビニル重合体(A)を構成する全構成単量体の平均単量体構造式中に含まれる炭素原子数
C-B:アクリル系粘着性ポリマー(B)を構成する全構成単量体の平均単量体構造式中に含まれる炭素原子数
また、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)各単体を乾燥して得られたフィルムのXPS測定により求められるO1sとC1sのピーク面積比から算出される炭素原子数と酸素原子数の比は、各々下式(3)及び(4)で表される。
Figure 0006547827
ここで、
(O/C)A:ビニル重合体(A)を乾燥して得られたフィルムのXPS測定から求められるO1sとC1sのピーク面積比から算出される酸素原子数と炭素原子数の比
Figure 0006547827
ここで、
(O/C)B:アクリル系粘着性ポリマー(B)を乾燥して得られたフィルムのXPS測定から求められるO1sとC1sのピーク面積比から算出される酸素原子数と炭素原子数の比
上記の式(2)〜(4)より下記式(5)が導かれ、これよりビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の総量に対するビニル重合体(A)の質量分率(WA)が算出される。
Figure 0006547827
さらに、上記で求めたWAの値と下記式(6)から、アクリル系粘着性ポリマー(B)の質量分率(WB)が算出される。
Figure 0006547827
ここで、
B:ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の総量に対するアクリル系粘着性ポリマー(B)の質量分率
実施例1について、上記式(5)における各要素を以下に示す。
(O/C)A+B:0.260(実測値)
(O/C)A:0.252(実測値)
(O/C)B:0.439(実測値)
C-A:MMA1分子中の炭素原子数(5)、IBXMA1分子中の炭素原子数(14)及び組成比より、5×76.1(mol%)+14×23.9(mol%)=7.15
C-B:MEA1分子中の炭素原子数(6)、HEA1分子中の炭素原子数(5)及び組成比より、6×94.4(mol%)+5×5.6(mol%)=5.94
w-A:MMAの分子量(100)、IBXMAの分子量(222)及び組成比より、100×76.1(mol%)+222×23.9(mol%)=129.2
w-B:MEAの分子量(130)、HEAの分子量(116)及び組成比より、130×94.4(mol%)+116×5.6(mol%)=129.2
これらの値を式(5)に代入することによりWA=0.95が得られ、(6)式よりWB=0.05が得られた。
次いで、測定に得られた表面組成から下式(7)で表されるFOXの式に従って、表層部分のTgを計算し、69.4℃という値を得た。
1/〔表層部分のTg〕(K)=WA/TgA+WB/TgB (7)
ここで、
TgA:ビニル重合体(A)のTg(77℃)
TgB:アクリル系粘着性ポリマー(B)のTg(−31℃)
<耐久性>
粘着フィルム試料の片面に厚さ100μmの易接着処理したPETフィルムを貼り付け、他方の面にポリカーボネート板を貼り付けた積層体を作成し、前記積層体に50℃、0.5MPa、20分の圧着処理を行った。その後、積層体に60℃/95%RH又は85℃/85%の恒温恒湿槽で24時間負荷を与え、負荷後の外観(発泡の有無)を目視で確認し、以下の基準に従って評価した。
○:外観変化なし
△:試験片の面積に対し発泡を生じた部分の面積が10%以下
×:試験片の面積に対し発泡を生じた部分の面積が10%超
<ビニル重合体(A)とアクリル系粘着性ポリマー(B)との相溶性>
粘着フィルム試料から片方の剥離フィルムを剥がし、厚さ1mmのガラスプレートに転写し、もう一方の剥離フィルムを剥がした。これを23℃、50%RH条件下で1日静置した後、日本電色社製ヘイズメーター「ヘイズメーターNDH2000」(型式名)を使用してヘイズ値を測定することにより、その配合組成における相溶性を評価した。
<曲面接着性>
粘着フィルム試料の片面に厚さ100μmの易接着処理したPETフィルムを貼り付けて粘着シートを作製した後、幅20mm、長さ12.5mmに切り取った。これを8mmΦのPP及びPCの円柱棒に巻き付け、セロハンテープを用いてラミネートすることにより円柱棒に固定した。上記手順により、粘着シートは各円柱棒の円周の略50%に渡り貼り付けられた状態となる。次いで、セロハンテープにより固定した状態のまま、オートクレーブ中で50℃、0.5MPa、20分の圧着処理を行った。圧着後、23℃、50%RHで1時間保管し、セロハンテープを剥がしたものをサンプルとした。サンプルを23℃、24時間および85℃、24時間静置し、粘着シートの剥がれの有無、及び粘着シートが剥れた場合には剥れた距離を測定し、以下に示す基準に基づいて評価した。
〇:剥がれなし
△:粘着シートが剥れた距離が1mm以下
×:粘着シートが剥れた距離が1mmを超える
実施例2〜9及び比較例1〜8
実施例1において、アクリル系粘着性ポリマー及びビニル重合体の種類、比率を表2及び表3に示すように変えて粘着剤組成物を得るとともに、実施例1と同様の測定を行った。結果を表2及び表3に示す。
Figure 0006547827
Figure 0006547827
本願発明の粘着組成物を用いた実施例1〜9は、良好な透明性を示すとともに、23℃〜85℃の広い温度範囲に渡り各被着体に対して高い接着強度を示した。またこれらの粘着剤組成物を用いて得られたPCを基板とする積層体は、高温高湿条件下に24時間曝した後であっても粘着シートの浮きや剥がれが見られず、耐久性に優れるものであった。さらに、各種被着体に対する曲面接着性についても良好な結果が得られた。
中でも、85℃におけるPCに対する接着強度が15N/25mm以上である実施例1〜5及び7〜9は、PCを被着体とする耐久性及び曲面接着性の全ての評価において良好な結果を示した。また、85℃におけるPPに対する接着強度が5.0N/25mm以上である実施例1〜3、5、7及び8は、PPを被着体とする曲面接着性の全ての評価において良好な結果を示した。
比較例1〜5はアクリル系粘着性ポリマー(B)の全構成単位に対する(メタ)アクリル酸アルコキシエステル由来の構成単位が少ない(80質量%)場合の実験例であり、耐久性及び曲面接着性についてバランスの取れた結果は得られなかった。
また、比較例6〜8は、本発明で規定するアクリル系粘着性ポリマー(B)を用いているものの粘着剤層を形成する際にビニル重合体(A)の偏析が不十分であり、表層部分のTgと粘着剤全体のTgとの差がほとんど見られない。このため、各種被着体への接着性に劣り、耐久性及び曲面接着性も不十分なものであった。
本発明の粘着剤組成物は、粘着フィルム、粘着シート、粘着テープ、ラベル等の各種一般粘着加工製品に好適に用いることができる。粘着加工製品の具体例としては、粘着シート、粘着フィルム、粘着テープ、感圧性テープ、表面保護フィルム、表面保護テープ、マスキングテープ、電気絶縁用テープ、ラミネート物等が挙げられる。
上記の他にも、本発明の粘着剤組成物は、透明性及び耐湿熱性に優れ、かつガラス、プラスチック等の各種被着体に対して高い接着強度及びタックを有するため、タッチパネル、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイパネル等のディスプレイ及びこれらに用いられる各種光学フィルムの貼り合せにも好適である。

Claims (8)

  1. ガラス転移温度(Tg)が40℃以上200℃以下、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)、及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含有する粘着剤組成物であって、
    前記アクリル系粘着性ポリマー(B)は、その全構成単位に対して(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を85質量%以上含有し、
    前記アクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対する前記ビニル重合体(A)の割合が0.5〜30質量部であり、
    前記粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥させて粘着剤層を得た際に、当該粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高いことを特徴とする粘着剤組成物。
  2. 前記ビニル重合体(A)が、脂肪族環式ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を有する請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記粘着剤組成物からなる膜厚50μmの粘着剤層を100μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルム基材に備えた粘着シートの85℃におけるポリカーボネート板に対する接着強度が、15N/25mm以上である請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記粘着剤組成物からなる膜厚50μmの粘着剤層を100μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルム基材に備えた粘着シートの85℃におけるポリプロピレン板に対する接着強度が、5.0N/25mm以上である請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  5. 粘着剤組成物の製造方法であって、
    (メタ)アクリル酸アルコキシエステルに由来する構成単位を85質量%以上含有するアクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対し、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上200℃以下、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)0.5質量部以上30質量部以下を配合する際に、
    粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥させて得られた粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高くなるように前記ビニル重合体(A)及び前記アクリル系粘着性ポリマー(B)を選択して配合することを特徴とする粘着剤組成物の製造方法。
  6. 基材の片面又は両面に請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を設けてなる粘着シート又は粘着テープ。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層の片面又は両面にガラス板及び/又は透明プラスチック板を貼り合せてなる粘着製品。
  8. 粘着剤層を備える粘着製品であって、
    前記粘着剤層は、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上200℃以下、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含有し、
    前記アクリル系粘着性ポリマー(B)は、その全構成単位に対して(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を85質量%以上含有し、
    前記アクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対する前記ビニル重合体(A)の割合が0.5質量部以上30質量部以下であり、
    前記粘着剤層において厚み方向で対向する少なくとも1つの表層側において前記ビニル重合体(A)をより高濃度で含有し、
    前記粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高い、粘着製品。
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