JP6547827B2 - 粘着剤組成物及びその製造方法、並びに粘着製品 - Google Patents
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Description
本出願は、2015年6月12日に出願された日本国特許出願である特願2015−118857号に基づく優先権を主張するものであり、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれるものとする。
一方、近年のエレクトロニクス技術の飛躍的進歩により、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイパネル(PDP)などの種々のフラットパネルディスプレイ(FPD)が、様々な分野で表示装置として使用されるようになってきた。
これらの表示装置は、一般的にはガラス若しくはポリカーボネート等の透明プラスチック材料を粘着剤で貼り合せた積層構造を有する。このような用途では、粘着剤には、透明プラスチック基板や光学フィルム等の視認性を損なわない透明性を有することは勿論のこと、高温、又は高温高湿条件下での過酷な耐久性試験後においても、基板界面からの剥がれや浮きが生じないことが要求されている。特に基板にポリカーボネート樹脂板やアクリル樹脂板のようなプラスチック板を用いた場合は、吸収した水分や残留揮発性物質に起因すると思われるアウトガスが発生する。このため、プラスチック基板と、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのバリア性を有する基材フィルムからなる光学フィルムとを粘着剤により貼り合せて積層体を得た後、これを高温高湿下に曝した場合には、プラスチック基板等から発生した気泡(発泡)により粘着剤層との接着界面で浮きや剥がれが発生してしまい、外観上問題となるのみならず、視認性をも著しく損なわせてしまう。
特許文献1には、高分子量(メタ)アクリル酸エステル重合体と低分子量(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有し、これらが擬似的な架橋構造を形成し得る粘着剤組成物が開示されている。特許文献2には、分子量の異なる特定の(メタ)アクリル系共重合体、トリレンジイソシアネート系イソシアネート化合物及びシランカップリング剤を含む偏光板用粘着剤組成物が記載されている。
また、特許文献3には、特定の(メタ)アクリル系共重合体、当該共重合体とのSP値差が1.0以下である特定のアクリル系共重合体オリゴマー、及び架橋剤とからなる粘着剤組成物が、耐久性、接着性、段差追随性、腐食性、透明性等の性能バランスが良好である旨が記載されている。特許文献4には、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とする粘着性ポリマーと、アミノ基含有モノマー又はアミド基含有モノマーを構成単量体に含む特定の低分子量ポリマーと、架橋剤とを含有する粘着剤組成物が開示され、高温・高湿雰囲気下における発泡の抑制及び粘着剤層への水分侵入に起因する白化の回復に効果を奏することが示されている。
さらに、特許文献5には、特定の低分子量ビニル重合体及びアクリル系粘着性ポリマーを含有し、ポリカーボネートおよびポリメチルメタクリレート板に対する接着強度に優れる粘着剤組成物が開示されている。
また、近年、意匠性に優れた商品開発が進み、各種形状を有する端末等が市場に流通している。こうした中、粘着剤に対しては曲面部位への接着性向上の要求が高まっているが、上記の各特許文献には曲面接着に対する具体的な効果については示されていない。
〔1〕ガラス転移温度(Tg)が40℃以上200℃以下、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)、及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含有する粘着剤組成物であって、
前記アクリル系粘着性ポリマー(B)は、その全構成単位に対して(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を85質量%以上含有し、
前記アクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対する前記ビニル重合体(A)の割合が0.5質量部以上30質量部以下であり、
前記粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥させて粘着剤層を得た際に、当該粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高いことを特徴とする粘着剤組成物。
〔2〕上記ビニル重合体(A)が、脂肪族環式ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を有する上記〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔3〕上記粘着剤組成物からなる膜厚50μmの粘着剤層を100μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルム基材に備えた粘着シートの85℃におけるポリカーボネート板に対する接着強度が、15N/25mm以上である上記〔1〕又は〔2〕に記載の粘着剤組成物。
〔4〕上記粘着剤組成物からなる膜厚50μmの粘着剤層を100μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルム基材に備えた粘着シートの85℃におけるポリプロピレン板に対する接着強度が、5.0N/25mm以上である上記〔1〕又は〔2〕に記載の粘着剤組成物。
〔5〕粘着剤組成物の製造方法であって、
(メタ)アクリル酸アルコキシエステルに由来する構成単位を85質量%以上含有するアクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対し、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上200℃以下、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)0.5質量部以上30質量部以下を配合する際に、
粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥させて得られた粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高くなるように前記ビニル重合体(A)及び前記アクリル系粘着性ポリマー(B)を選択して配合することを特徴とする粘着剤組成物の製造方法。
〔6〕基材の片面又は両面に上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を設けてなる粘着シート又は粘着テープ。
〔7〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層の片面又は両面にガラス板及び/又は透明プラスチック板を貼り合せてなる粘着製品。
〔8〕粘着剤層を備える粘着製品であって、
前記粘着剤層は、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上200℃以下、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含有し、
前記アクリル系粘着性ポリマー(B)は、その全構成単位に対して(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を85質量%以上含有し、
前記アクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対する前記ビニル重合体(A)の割合が0.5質量部以上30質量部以下であり、
前記粘着剤層において厚み方向で対向する少なくとも1つの表層側において前記ビニル重合体(A)をより高濃度で含有する、粘着製品。
〔9〕前記粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高い、上記〔8〕に記載の粘着製品。
本発明のビニル重合体(A)は、40℃以上200℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する重合体である。Tgの下限は50℃以上、60℃以上とすることができる。また、上限は180℃以下、150℃以下、120℃以下とすることもできる。さらに、100℃以下とすることもできる。また、Tgの範囲は、60℃以上180℃以下、60℃以上150℃以下とすることもできる。また、本発明では、示差走査熱量測定(DSC)により昇温速度10℃/分で測定した値をTgとして採用する。Tgが40℃未満であると、各種被着体への接着強度が十分でなく耐久性に劣る場合がある。また、原料単量体の制約等から、一般に200℃を超えることはない。
これらの中でも、脂肪族環式ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物は、粘着剤層において良好な粘着性能が得られる傾向がある。これらのビニル化合物を用いることで、粘着性ポリマー(B)に対して相対的に低極性のビニル重合体(A)を得られ易くなり、粘着剤層を形成した際にビニル重合体(A)を表層へ偏析し易くできるからである。よって、ビニル重合体(A)が、脂肪族環式ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を有することもできる。上記脂肪族環式ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体の具体的な使用量は適宜設定することができるが、例えば、その下限は3質量%以上とすることができ、5質量%以上、10質量%以上とすることもできる。また、その上限は、例えば、80質量%以下、60質量%以下、50質量%以下とすることもできる。また、例えば、かかる使用量は、3質量%以上80質量%以下、5質量%以上60質量%以下とすることができ、10質量%以上50質量%以下とすることができる。
これらの中でも、比較的Tgを高く設定することができ、粘着剤層を形成した際にビニル重合体(A)が表層へ偏析し易く、良好な粘着性能が得られる傾向がある点で、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸アダマンチルとすることもできる。なかでも、(メタ)アクリル酸イソボルニルとすることもできる。
不飽和ジカルボン酸のジアルキルエステルとしては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等のジアルキルエステルが挙げられる。
ビニルエステル化合物としては、メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル、桂皮酸ビニル等が挙げられる。
上記ビニルエーテル化合物としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が挙げられる。
また、重量平均分子量(Mw)と上記(Mn)との比(Mw/Mn)は、良好な接着強度が得られやすいという観点から、3.0以下、2.2以下、1.8以下とすることもできる。
ここで、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて得られた標準ポリスチレン換算値である。
溶液重合法による場合、有機溶剤及びビニル単量体原料を反応器に仕込み、有機過酸化物、アゾ系化合物等の熱重合開始剤を添加して、50〜300℃に加熱して共重合することにより目的とするビニル重合体を得ることができる。当該ビニル重合体は、有機溶剤に溶解された溶液として使用しても良いし、加熱減圧処理等により溶剤を留去して用いても良い。
単量体を含む各原料の仕込み方法は、すべての原料を一括して仕込むバッチ式の初期一括仕込みでもよく、少なくとも一つの原料を連続的に反応器中に供給するセミ連続仕込みでもよく、全原料を連続供給し、同時に反応器から連続的に生成樹脂を抜き出す連続重合方式でもよい。
また、レドックス型重合開始剤としては、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄等を還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等を酸化剤としたものを用いることができる。
アクリル系粘着性ポリマー(B)は(メタ)アクリル酸エステル化合物を主要構成単位として含む重合体である。又、そのガラス転移温度(Tg)は−80℃以上−10℃以下の範囲にある粘着性を有する重合体とすることもできる。また、−70℃以上−20℃以下の範囲とすることもできる。Tgが−80℃以上であれば粘着剤として十分な凝集力を有するとともに、良好な曲面接着性を示すことができる。一方、Tgが−10℃以下であれば、凹凸部への接着性及び低温条件下での粘着力の点でも良好な性能を示す。
一方、重量平均分子量が高すぎると製造上の扱いが困難となる場合がある。よって、上限値は2,000,000以下、1,500,000以下、1,000,000以下とすることもできる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられ、例えば、単量体としては(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル等を挙げることができ、これらの内の1種又は2種以上を使用することができる。
上記その他の単量体の使用量は、0質量%以上10質量%以下の範囲としてもよいほか、0.5質量%以上8.0質量%以下、1.0質量%以上5.0質量%以下とすることもできる。
本粘着剤組成物は、上記ビニル重合体(A)と上記アクリル系粘着性ポリマー(B)とを所定の配合比で含有することができる。そして、これにより、本粘着剤組成物から粘着剤層を得た際に、ビニル重合体(A)を表層に偏析させることで、粘着剤層におけるTgの分布も偏析させ、ひいては良好な接着強度を得ることができる。こうしたビニル重合体(A)の偏析挙動のほか、後述する粘着剤層表層と粘着剤層全体のTg差は、アクリル系粘着性ポリマー(B)に対するビニル重合体(A)の配合比、ビニル重合体(A)の単量体組成(極性)や分子量のほか、Tg、Mw/Mn等を適宜設定することにより調整することができる。
尚、上記粘着剤層全体のガラス転移温度とは、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含む粘着剤組成物から得られる粘着剤層を試料とし、公知の方法により得られるガラス転移温度を意味する。
乾燥は常温で行っても構わないが、生産性等の観点から、通常は、乾燥機を用いて40〜150℃の加熱条件下にて数秒間から数十分間の時間をかけて乾燥させる方法が一般的である。
上記イソシアネート化合物としては、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物、更には、これらのイソシアネート化合物の変性物(プレポリマー等)を用いることができる。
脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)等が挙げられる。
脂環族イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(H6XDI)、水添化MDI(H12MDI)等が挙げられる。
また、変性イソシアネートとしては、上記イソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体、ウレア変性体、イソシアヌレート変性体、オキサゾリドン変性体、イソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。
上記溶液型粘着剤組成物及びエマルション型粘着剤組成物の場合、用いられる有機溶剤または水等の媒体は、粘着剤組成物100質量部に対して通常20〜80質量部である。
又、活性エネルギー線による感度を向上させるため、光増感剤を併用することもできる。
光増感剤としては、安息香酸系及びアミン系光増感剤等が挙げられる。これらは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光重合開始剤及び光増感剤の使用量は、単官能及び/又は多官能の(メタ)アクリル酸系単量体100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下とすることもできる。
基材としては、紙類、フィルム、布、不織布、及び金属箔等を用いることができ、粘着剤組成物の塗工は直接これらの基材上に行っても良いし、離型紙等に塗工して乾燥した後に基材に転写しても良い。
粘着シートに形成される粘着剤の厚み(乾燥後の膜厚)は用途により選択されるが、通常は1〜300μmの範囲であり、5〜250μmの範囲、10〜200μmの範囲とすることもできる。
また、本実施例において得られた重合体の各種分析は、以下に記載の方法により実施した。
測定サンプル約1gを秤量(a)し、次いで、通風乾燥機155℃、30分間乾燥後の残分を測定(b)し、以下の式より算出した。測定には秤量ビンを使用した。その他の操作については、JIS K 0067−1992(化学製品の減量及び残分試験方法)に準拠した。
固形分(%)=(b/a)×100
分子量はGPCにて下記の条件で測定した。
GPC:東ソー(HLC−8120)
カラム:東ソー(TSKgel−Super MP−M×4本)
試料濃度:0.1%
流量:0.6ml/分
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計(RI)
標準物質:ポリスチレン
ビニル重合体(A)、アクリル系粘着性ポリマー(B)及び粘着剤層全体のTgはDSCにて以下の条件で測定した。
DSC:TA Instrument製(Q−100)
昇温温度:10℃/分
測定雰囲気:窒素
ポリマー組成はモノマー仕込量とGC測定によるモノマー消費量から算出した。
GC:Agilent Technolosies製(7820A GC System)
検出器:FID
カラム:100%ジメチルシロキサン(CP−Sil 5CB) 長さ30m、内径0.32mm
算出方法:内部標準法
合成例1(重合体A−1の合成)
内容積1リットルの4つ口フラスコに、酢酸ブチル(198質量部)とジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬社製、商品名「V−601」)(4.4質量部)とからなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」という)(141質量部)、メタクリル酸イソボルニル(以下、「IBXMA」という)(110質量部)、V−601(84質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール(4800質量部)及び蒸留水(1200質量部)からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−1を得た。得られた重合体A−1のポリマー組成は、仕込量とGC測定によるモノマー消費量から計算した結果、MMA59質量%及びIBXMA41質量%からなり、Mw2520、Mn1900、Mw/Mn1.33であった。Tgは77℃であった。
重合体A−1の組成及び分析結果を表1に示す。
合成例2(重合体A−2)
内容積1リットルの4つ口フラスコに、酢酸ブチル(198質量部)とV−601(3.6質量部)とからなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(200質量部)、IBXMA(56質量部)、V−601(69質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をヘキサン(6000質量部)に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−2を得た。
重合体A−2の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積1リットルの4つ口フラスコに、酢酸ブチル(198質量部)とV−601(1.2質量部)とからなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(165質量部)、IBXMA(44質量部)、V−601(23質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をヘキサン(6000質量部)に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−3を得た。
重合体A−3の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積1リットルの4つ口フラスコに、MMA(35質量部)、スチレン(以下、「St」という)(5質量部)、酢酸ブチル(198質量部)とV−601(7.5質量部)とからなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(158質量部)、St(47質量)、V−601(68質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール(4800質量部)及び蒸留水(1200質量部)からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−4を得た。
重合体A−4の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積1リットルの4つ口フラスコに、MMA(19質量部)、St(11質量部)、酢酸ブチル(224質量部)、V−601(8.7質量部)からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(108質量部)、St(93質量部)、V−601(78質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール(4200質量部)及び蒸留水(1800質量部)からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−5を得た。
重合体A−5の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積1リットルの4つ口フラスコに、MMA(40質量部)、St(6質量部)、酢酸ブチル(250質量部)、V−601(2.5質量部)からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(161質量部)、St(43質量部)、V−601(22質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール(4200質量部)及び蒸留水(1800質量部)からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−6を得た。
重合体A−6の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積1リットルの4つ口フラスコに、MMA(63質量部)、酢酸ブチル(250質量部)、V−601(4.2質量部)からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(188質量部)、V−601(46質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をヘキサン(6000質量部)に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−7を得た。
重合体A−7の組成及び分析結果を表1に示す。
内容積1リットルの4つ口フラスコに、酢酸ブチル(250質量部)、V−601(0.1質量部)からなる混合液を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を90℃に上昇した。別途、MMA(200質量部)、St(56質量部)、V−601(2.2質量部)、酢酸ブチル(90質量部)からなる混合液を滴下ロートからフラスコ内に5時間かけて滴下することにより重合を行った。滴下終了後、重合溶液をメタノール(4200質量部)及び蒸留水(1800質量部)からなる混合溶液に滴下することにより、重合溶液中のビニル重合体を単離して、重合体A−8を得た。
重合体A−8の組成及び分析結果を表1に示す。
MMA:メタクリル酸メチル
St:スチレン
IBXMA:メタクリル酸イソボルニル
合成例9(重合体B−1の合成)
内容積2リットルの4つ口フラスコに、アクリル酸メトキシエチル(以下、「MEA」という)(285質量部)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」という)(15質量部)、酢酸エチル(520質量部)を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を40℃に上昇し、アゾビスバレロニトリル(以下、「V−65」という)(11.5質量部)を仕込み重合を開始した。4時間後、重合溶液をヘキサン(10000質量部)に滴下することでアクリル系粘着性ポリマーを単離し、重合体B−1を得た。得られた重合体B−1は、MEA95質量%、HEA5質量%とからなり、Mw50万、Mn7万、Mw/Mn7.1であった。
内容積2リットルの4つ口フラスコに、MEA(285質量部)、アクリル酸(以下、「AA」という)(15質量部)、酢酸エチル(520質量部)を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を40℃に上昇し、V−65(11.5質量部)を仕込み重合を開始した。4時間後、重合溶液をヘキサン(10000質量部)に滴下することでアクリル系粘着性ポリマーを単離し、重合体B−2を得た。得られた重合体B−2は、MEA95質量%、AA5質量%とからなり、Mw49万、Mn7万、Mw/Mn6.8であった。
内容積2リットルの4つ口フラスコに、MEA(239質量部)、アクリル酸ブチル(以下、「BA」という)(19質量部)、HEA(15質量部)、酢酸エチル(520質量部)を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を40℃に上昇し、V−65(11.4質量部)を仕込み重合を開始した。4時間後、重合溶液をヘキサン(10000質量部)に滴下することでアクリル系粘着性ポリマーを単離し、重合体B−3を得た。得られた重合体B−3は、MEA88質量%、BA7質量%、HEA5質量%とからなり、Mw51万、Mn8万、Mw/Mn6.4であった。
内容積2リットルの4つ口フラスコに、MEA(217質量部)、BA(41質量部)、HEA(15質量部)、酢酸エチル(520質量部)を仕込み、この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を40℃に上昇し、V−65(11.4質量部)を仕込み重合を開始した。4時間後、重合溶液をヘキサン(10000質量部)に滴下することでアクリル系粘着性ポリマーを単離し、重合体B−4を得た。得られた重合体B−4は、MEA80質量%、BA15質量%、HEA5質量%とからなり、Mw50万、Mn7万、Mw/Mn7.2であった。
実施例1
上記合成例1で得られた重合体(A−1)を酢酸エチルに溶解して固形分濃度30質量%の重合体(A−1)溶液を調整した。同様に上記合成例9で得られた重合体(B−1)を酢酸エチルに溶解して固形分濃度30質量%の重合体(B−1)溶液を調整した。当該重合体(A−1)溶液2質量部、重合体B−1溶液(100質量部)、架橋剤としてコロネートL45(日本ポリウレタン工業社製)(0.27質量部)を混合し、粘着剤組成物を得た。
粘着フィルム試料から粘着剤を0.2g採取し、粘着剤の初期重量を秤量した。その粘着剤を50gの酢酸エチルに浸漬し、室温で16時間静置する。その後、200メッシュ金網にろ過し、メッシュに残った残分を80℃で3時間乾燥し、秤量した。初期の重量と残分の重量から、下式(1)によりアクリル系粘着性ポリマー(B)に基づくゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=(残分の重量)/[(初期の重量)×(アクリル系粘着性ポリマー(B)の固形分)/(粘着剤組成物全体の固形分)]×100 (1)
粘着フィルム試料を易接着処理したPETフィルム(100μm)に転写して評価用の粘着シートを得た。被着体をPC板(三菱ガス化学社製、ユーピロンNF−2000、2mm厚)もしくはPP板(住友化学製、住友ノーブレンMH8、2mm厚)とし、上記評価用の粘着シートを貼り合せ、卓上加圧脱泡装置TBR−200(千代田電気工業社製)を用いて0.5MPa、50℃の条件下で20分間圧着した後、恒温槽付き引張り試験機ストログラフR型(東洋精機社製)を用いて、23℃、60℃及び85℃の条件で、JIS Z−0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準じて粘着シートの180度剥離強度を測定し、接着強度とした。尚、剥離速度は300mm/min.とした。
粘着フィルム試料を易接着処理したPETフィルム(100μm)に転写して評価用の粘着シートを得た。ポリメチルメタクリレート板にCOPフィルム(日本ゼオン社製、ゼオノアZF−14 100μm)を貼り付けて被着体とし、上記評価用の粘着シートを貼り合せ、卓上加圧脱泡装置TBR−200(千代田電気工業社製)を用いて0.5MPa、50℃の条件下で20分間圧着した後、恒温槽付き引張り試験機ストログラフR型(東洋精機社製)を用いて、23℃、60℃及び85℃の条件で、JIS Z−0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準じて粘着シートの180度剥離強度を測定し、接着強度とした。尚、剥離速度は300mm/min.とした。
粘着フィルム試料のX線光電子分光装置(XPS)測定によるO1sとC1sのピーク面積比から、粘着剤層の表層部分におけるビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の総量に対する、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の各質量分率(wA及びwB)を算出し、FOXの式に基づき表層部分のTgを算出した。
尚、XPS測定は以下の条件で測定した。
装置: アルバック・ファイ社製 PHI5000 VersaProbe
X線: Al−Kα (1486.6eV)
試料へのX線入射角: 0° (試料測定面の法線に対する角度)
光電子検出角: 45° (試料測定面の法線に対する角度)
XPS測定によるO1sとC1sのピーク面積比から算出される酸素原子数と炭素原子数の比は、下式(2)の通り、ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)からなる粘着剤組成物から形成された粘着剤層表層部の単位重量当りに存在する酸素原子数と炭素原子数の比で表される。
(O/C)A+B:粘着剤組成物を乾燥して得られた粘着剤層のXPS測定から求められるO1sとC1sのピーク面積比から算出される酸素原子数と炭素原子数の比
WA:ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の総量に対するビニル重合体(A)の質量分率
Mw-A:ビニル重合体(A)の全構成単量体単位の加重平均分子量
Mw-B:アクリル系粘着剤組成物(B)の全構成単量体単位の加重平均分子量
NO-A:ビニル重合体(A)を構成する全構成単量体の平均単量体構造式中に含まれる酸素原子数
NO-B:アクリル系粘着性ポリマー(B)を構成する全構成単量体の平均単量体構造式中に含まれる酸素原子数
NC-A:ビニル重合体(A)を構成する全構成単量体の平均単量体構造式中に含まれる炭素原子数
NC-B:アクリル系粘着性ポリマー(B)を構成する全構成単量体の平均単量体構造式中に含まれる炭素原子数
(O/C)A:ビニル重合体(A)を乾燥して得られたフィルムのXPS測定から求められるO1sとC1sのピーク面積比から算出される酸素原子数と炭素原子数の比
(O/C)B:アクリル系粘着性ポリマー(B)を乾燥して得られたフィルムのXPS測定から求められるO1sとC1sのピーク面積比から算出される酸素原子数と炭素原子数の比
WB:ビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)の総量に対するアクリル系粘着性ポリマー(B)の質量分率
(O/C)A+B:0.260(実測値)
(O/C)A:0.252(実測値)
(O/C)B:0.439(実測値)
NC-A:MMA1分子中の炭素原子数(5)、IBXMA1分子中の炭素原子数(14)及び組成比より、5×76.1(mol%)+14×23.9(mol%)=7.15
NC-B:MEA1分子中の炭素原子数(6)、HEA1分子中の炭素原子数(5)及び組成比より、6×94.4(mol%)+5×5.6(mol%)=5.94
Mw-A:MMAの分子量(100)、IBXMAの分子量(222)及び組成比より、100×76.1(mol%)+222×23.9(mol%)=129.2
Mw-B:MEAの分子量(130)、HEAの分子量(116)及び組成比より、130×94.4(mol%)+116×5.6(mol%)=129.2
これらの値を式(5)に代入することによりWA=0.95が得られ、(6)式よりWB=0.05が得られた。
1/〔表層部分のTg〕(K)=WA/TgA+WB/TgB (7)
ここで、
TgA:ビニル重合体(A)のTg(77℃)
TgB:アクリル系粘着性ポリマー(B)のTg(−31℃)
粘着フィルム試料の片面に厚さ100μmの易接着処理したPETフィルムを貼り付け、他方の面にポリカーボネート板を貼り付けた積層体を作成し、前記積層体に50℃、0.5MPa、20分の圧着処理を行った。その後、積層体に60℃/95%RH又は85℃/85%の恒温恒湿槽で24時間負荷を与え、負荷後の外観(発泡の有無)を目視で確認し、以下の基準に従って評価した。
○:外観変化なし
△:試験片の面積に対し発泡を生じた部分の面積が10%以下
×:試験片の面積に対し発泡を生じた部分の面積が10%超
粘着フィルム試料から片方の剥離フィルムを剥がし、厚さ1mmのガラスプレートに転写し、もう一方の剥離フィルムを剥がした。これを23℃、50%RH条件下で1日静置した後、日本電色社製ヘイズメーター「ヘイズメーターNDH2000」(型式名)を使用してヘイズ値を測定することにより、その配合組成における相溶性を評価した。
粘着フィルム試料の片面に厚さ100μmの易接着処理したPETフィルムを貼り付けて粘着シートを作製した後、幅20mm、長さ12.5mmに切り取った。これを8mmΦのPP及びPCの円柱棒に巻き付け、セロハンテープを用いてラミネートすることにより円柱棒に固定した。上記手順により、粘着シートは各円柱棒の円周の略50%に渡り貼り付けられた状態となる。次いで、セロハンテープにより固定した状態のまま、オートクレーブ中で50℃、0.5MPa、20分の圧着処理を行った。圧着後、23℃、50%RHで1時間保管し、セロハンテープを剥がしたものをサンプルとした。サンプルを23℃、24時間および85℃、24時間静置し、粘着シートの剥がれの有無、及び粘着シートが剥れた場合には剥れた距離を測定し、以下に示す基準に基づいて評価した。
〇:剥がれなし
△:粘着シートが剥れた距離が1mm以下
×:粘着シートが剥れた距離が1mmを超える
実施例1において、アクリル系粘着性ポリマー及びビニル重合体の種類、比率を表2及び表3に示すように変えて粘着剤組成物を得るとともに、実施例1と同様の測定を行った。結果を表2及び表3に示す。
中でも、85℃におけるPCに対する接着強度が15N/25mm以上である実施例1〜5及び7〜9は、PCを被着体とする耐久性及び曲面接着性の全ての評価において良好な結果を示した。また、85℃におけるPPに対する接着強度が5.0N/25mm以上である実施例1〜3、5、7及び8は、PPを被着体とする曲面接着性の全ての評価において良好な結果を示した。
また、比較例6〜8は、本発明で規定するアクリル系粘着性ポリマー(B)を用いているものの粘着剤層を形成する際にビニル重合体(A)の偏析が不十分であり、表層部分のTgと粘着剤全体のTgとの差がほとんど見られない。このため、各種被着体への接着性に劣り、耐久性及び曲面接着性も不十分なものであった。
上記の他にも、本発明の粘着剤組成物は、透明性及び耐湿熱性に優れ、かつガラス、プラスチック等の各種被着体に対して高い接着強度及びタックを有するため、タッチパネル、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイパネル等のディスプレイ及びこれらに用いられる各種光学フィルムの貼り合せにも好適である。
Claims (8)
- ガラス転移温度(Tg)が40℃以上200℃以下、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)、及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含有する粘着剤組成物であって、
前記アクリル系粘着性ポリマー(B)は、その全構成単位に対して(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を85質量%以上含有し、
前記アクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対する前記ビニル重合体(A)の割合が0.5〜30質量部であり、
前記粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥させて粘着剤層を得た際に、当該粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高いことを特徴とする粘着剤組成物。 - 前記ビニル重合体(A)が、脂肪族環式ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を有する請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 前記粘着剤組成物からなる膜厚50μmの粘着剤層を100μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルム基材に備えた粘着シートの85℃におけるポリカーボネート板に対する接着強度が、15N/25mm以上である請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
- 前記粘着剤組成物からなる膜厚50μmの粘着剤層を100μm厚ポリエチレンテレフタレートフィルム基材に備えた粘着シートの85℃におけるポリプロピレン板に対する接着強度が、5.0N/25mm以上である請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
- 粘着剤組成物の製造方法であって、
(メタ)アクリル酸アルコキシエステルに由来する構成単位を85質量%以上含有するアクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対し、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上200℃以下、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)0.5質量部以上30質量部以下を配合する際に、
粘着剤組成物をセパレーターに塗工、乾燥させて得られた粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高くなるように前記ビニル重合体(A)及び前記アクリル系粘着性ポリマー(B)を選択して配合することを特徴とする粘着剤組成物の製造方法。 - 基材の片面又は両面に請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を設けてなる粘着シート又は粘着テープ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層の片面又は両面にガラス板及び/又は透明プラスチック板を貼り合せてなる粘着製品。
- 粘着剤層を備える粘着製品であって、
前記粘着剤層は、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上200℃以下、数平均分子量が500〜10,000であるビニル重合体(A)及びアクリル系粘着性ポリマー(B)を含有し、
前記アクリル系粘着性ポリマー(B)は、その全構成単位に対して(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する構成単位を85質量%以上含有し、
前記アクリル系粘着性ポリマー(B)100質量部に対する前記ビニル重合体(A)の割合が0.5質量部以上30質量部以下であり、
前記粘着剤層において厚み方向で対向する少なくとも1つの表層側において前記ビニル重合体(A)をより高濃度で含有し、
前記粘着剤層のX線光電子分光分析により得られるその表層部分の組成から計算されるTgが、粘着剤層全体のTgよりも30℃以上高い、粘着製品。
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