JP2018191581A - 苦味抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】飲食物が有する本来の風味を損なうことなく、苦味を抑制することができる苦味抑制剤を提供する。【解決手段】本発明に係る苦味抑制剤は、アンゲリカ酸エステルの少なくとも1種を有効成分として含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、苦味抑制剤、苦味低減飲食品、および飲食品の苦味抑制方法に関する。
飲食物などを摂取した際に感じる基本的な味覚としては、甘味、酸味、塩味、苦味および旨味が挙げられる。これら5つの味の組み合わせによって、飲食物の風味が醸し出される。
例えば、これらの組み合わせの調和が崩れると特定の味が際立ち、飲食物を摂取した際に不快に感じることがある。特に、苦味が口腔内に広がると、多数の人が不快に感じる。そこで、苦味を抑制あるいはマスキングする方法が報告されている(例えば、特許文献1〜4)。
特許文献1には、ペプチド、RNAおよび遊離アミノ酸を含む酵母エキスを苦味抑制に使用することが記載されている。特許文献2には、哺乳類由来のコラーゲンペプチドを苦味抑制に使用することが記載されている。特許文献3には、ナツメグ、サンブンサン、ホルトソウ、ヒヨドリジョウゴ、セッコツボク、エゾウコギ、ゴマ、マグワ、スオウ、ベニコウジ、シソ、ニラ、バジル、イヌナズナ、ホウセンカおよびこれらの抽出物から選ばれる1種以上を有効成分とするカテキン類の苦味抑制剤が記載されている。特許文献4には、けい皮酸メチル、p-メトキシアセトフェノン、ギ酸シンナミル、コニャックオイル、セドロール、アニス酸メチル、ペリラアルデヒド、タンジーオイル、γ-ウンデカラクトン、安息香酸メチル、ネロール、フェニル酢酸ベンジル、ローズオイル、イソプレゴール、ドデカナール、クミンオイルおよびシクロヘキサデカノリドから選ばれる1種以上の香料を有効成分とするカテキン類の苦味抑制剤が記載されている。
しかし、タンパク質の分解物であるペプチドおよびアミノ酸は、旨味などの呈味成分としてしられている。そのため、飲食物に添加すると、飲食物が有する本来の風味を変化させる可能性があり、たとえ苦味が低減されたとしても、本来有している風味を損なう場合がある。特許文献3に記載の植物抽出物、および特許文献4に記載の香料は、たとえカテキン類の苦味が低減されたとしても、本来の食品が有している風味を損ない、異臭が付与される場合がある。
特開2015−19655号公報 特開2011−15632号公報 特開2012−121869号公報 特開2012−121868号公報
本発明の課題は、飲食物が有する本来の風味を損なうことなく、苦味を抑制することができる苦味抑制剤を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)アンゲリカ酸エステルの少なくとも1種を有効成分として含有する苦味抑制剤。
(2)アンゲリカ酸エステルが、下記式(I)で示される化合物の少なくとも1種である上記(1)に記載の苦味抑制剤。
Figure 2018191581
式(I)中、Rは、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、3−メチルペンチル基、エチル基、プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、3−メチルペンチル基、ヘキシル基、(Z)−3−ヘキセニル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、ゲラニール基、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブテニル基、または3−ヒドロキシ−2−メチリデンブチル基を示す。
(3)アンゲリカ酸エステルが、ローマンカミツレ由来のエステルである上記(1)または(2)に記載の苦味抑制剤。
(4)苦味を有する飲食品と上記(1)〜(3)のいずれかに記載の苦味抑制剤とを含有し、苦味抑制剤が、アンゲリカ酸エステルに換算して0.05〜2質量ppmの割合で含まれる苦味低減飲食品。
(5)苦味を有する飲食品に、アンゲリカ酸エステルの少なくとも1種を0.05〜2質量ppmの割合で添加する飲食品の苦味抑制方法。
(6)アンゲリカ酸エステルが、下記式(I)で示される化合物の少なくとも1種である上記(5)に記載の苦味抑制方法。
Figure 2018191581
式(I)中、Rは、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、3−メチルペンチル基、エチル基、プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、3−メチルペンチル基、ヘキシル基、(Z)−3−ヘキセニル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、ゲラニール基、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブテニル基、または3−ヒドロキシ−2−メチリデンブチル基を示す。
(7)アンゲリカ酸エステルが、ローマンカミツレ由来のエステルである上記(5)または(6)に記載の苦味抑制方法。
本発明によれば、飲食物が有する本来の風味を損なうことなく苦味を抑制することができる苦味抑制剤を提供することができる。さらに、本発明によれば、飲食物が有する本来の風味を損なうことなく苦味が抑制された苦味低減飲食品を提供することができる。
本開示の一実施形態に係る苦味抑制剤は、アンゲリカ酸エステルの少なくとも1種を有効成分として含有する。アンゲリカ酸エステルは、下記式(II)で示されるアンゲリカ酸((Z)−2−メチル−2−ブテン酸)をエステル化することによって得られる化合物である。
Figure 2018191581
本開示の一実施形態に係る苦味抑制剤に含有されるアンゲリカ酸エステルは特に限定されない。アンゲリカ酸エステルとしては、例えば下記式(I)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2018191581
式(I)中、Rは、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、3−メチルペンチル基、エチル基、プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、3−メチルペンチル基、ヘキシル基、(Z)−3−ヘキセニル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、ゲラニール基、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブテニル基、または3−ヒドロキシ−2−メチリデンブチル基を示す。
これらのアンゲリカ酸エステルの中でも、苦味抑制効果がより発揮される点で、プロピルアンゲレート(Rがプロピル基)、アミルアンゲレート(Rがアミル基)、ブチルアンゲレート(Rがブチル基)、イソブチルアンゲレート(Rがイソブチル基)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
アンゲリカ酸エステルは、化学合成によって得られたものであってもよく、天然物由来のものであってもよい。天然物由来の場合、ローマンカミツレ由来のアンゲリカ酸エステルが好ましい。ローマンカミツレ(Anthemis nobilis)はキク科の多年生植物であり、ローマンカモミールなどとも称される。ローマンカミツレの精油および抽出物には、式(I)で示されるアンゲリカ酸エステルが含まれ、特に、イソプロピルアンゲレート、ブチルアンゲレート、イソブチルアンゲレートなどが主成分として含まれる。
ローマンカミツレの精油は、ローマンカミツレを水蒸気蒸留、圧搾などに供することにより得られる。ローマンカミツレの部位は限定されず、花弁、葉、茎など全草を使用することができ、好ましくは花弁が使用される。
ローマンカミツレの抽出物は、ローマンカミツレを還流抽出、常温ホモジナイズ抽出、超臨界流体抽出などに供することにより得られる。ローマンカミツレの部位は限定されず、精油と同様、全草を使用することができ、好ましくは花弁が使用される。還流抽出法のように溶媒を用いて抽出する場合、溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノールなどの低級アルコール、またはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール)、グリセリン脂肪酸エステル、アセトンなど比較的極性が高いケトン類、酢酸エチルなどのエステル類などの有機溶媒や、水などが挙げられる。
ローマンカミツレの精油および抽出物は、アンゲリカ酸エステルを含有しているため、アンゲリカ酸エステルとしてそのまま使用してもよい。あるいは、ローマンカミツレの精油および抽出物を精製して不純物を除去して使用してもよく、ローマンカミツレの精油および抽出物から所望のアンゲリカ酸エステル(例えば、プロピルアンゲレート、2−メチル2−プロピルアンゲレート、イソブチルアンゲレート、ブチルアンゲレート、tert−ブチルアンゲレートなど)を単離して使用してもよい。
本開示の一実施形態に係る苦味抑制剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の成分が含まれていてもよい。さらに、本開示の一実施形態に係る苦味抑制剤の形態は特に限定されず、例えば、液剤形態あるいは粉体形態にすることが可能である。
液剤形態として使用する場合、例えばアンゲリカ酸エステルを、溶剤で希釈すればよい。希釈に使用される溶剤としては、例えば、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、動物および植物油脂などが挙げられる。さらに、付加的成分または他の有効成分と組み合わせて合剤にすることができる。例えば、公知の各種天然香料、合成香料などと組み合わせて使用することもできる。
さらに、本開示の一実施形態に係る苦味抑制剤は、賦形剤(デキストリン、アラビアガム、乳糖など)や上記の溶剤を添加し、噴霧乾燥により粉末状あるいは顆粒状に、凍結乾燥または加熱乾燥により固形剤として使用することが可能であり、用途に応じて種々の剤形を採用することができる。
本開示の一実施形態に係る苦味抑制剤が対象とする苦味(苦味成分)は特に限定されない。苦味成分としては、例えば、カフェイン、テオブロミンなどのアルカロイド類、カテキン、クロロゲン酸、カカオポリフェノールなどのポリフェノール類、リモニン、ノミリンなどのリモノイド類、フムロン、イソフムロンなどのフムロン類、ナリンギン、スウェルチアマリンなどの苦味配糖体、マグネシウム塩、カルシウム塩などの無機塩類、苦味タンパク、アミノ酸などが挙げられる。
本開示の一実施形態に係る苦味抑制剤は、苦味を有する飲食品に添加して使用される。苦味抑制剤の添加量は、飲食品中に含まれる苦味成分の種類や量に応じて適宜設定される。苦味抑制剤はアンゲリカ酸エステルに換算して、飲食品中に通常0.05〜2質量ppm程度、好ましくは0.1〜1質量ppm程度の割合となるように添加される。
苦味を有する飲食品としては特に限定されず、例えば、コーヒー、茶、カカオ、柑橘類(例えば、オレンジ、グレープフルーツ、ダイダイ、ユズなど)、センブリ、ホップなどの苦味を有する食材を原料として含む飲食品が挙げられる。このような飲食品としては、具体的に、コーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り菓子類、ウーロン茶、ウーロン茶飲料、緑茶、緑茶飲料、緑茶または抹茶入り菓子類、チョコレート(ハイカカオチョコレート)、チョコレート菓子類、柑橘類のジュース(例えば、オレンジジュース、グレープフルーツジュースなど)、マーマレード、柑橘類を含む菓子類、柑橘類を含む調味料(例えば、ポン酢など)、ビール、ビールテイスト飲料、生薬入り栄養ドリンク、胃腸薬などが挙げられる。特に、HLB病(カンキツグリーニング病)に罹患したオレンジは苦味が強く、このようなオレンジ果汁を用いたジュースなどの飲食品に本開示の一実施形態に係る苦味抑制剤は好適に使用される。
本開示の一実施形態に係る苦味抑制剤を、上記の苦味を有する飲食品に添加することによって、飲食物が有する本来の風味を損なうことなく苦味が抑制された苦味低減飲食品が得られる。本開示の一実施形態に係る苦味抑制剤は、例えば、食品産業分野や、医薬・医薬部外品産業分野において好適に使用される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(調製例1)
0.4gのイソブチルアンゲレートを、含水エタノール(エタノールの濃度:60質量%)で希釈して、総量を1000gとした。得られた溶液に含まれるイソブチルアンゲレートの濃度は400質量ppmである。
(調製例2)
1.25gのローマンカミツレ精油を、含水エタノール(エタノールの濃度:60質量%)で希釈して、総量を1000gとした。使用したローマンカミツレ精油に含まれるアンゲリカ酸エステルは下記のとおりであり、ローマンカミツレ精油中に32.9質量%のアンゲリカ酸エステルが含まれていた。得られた溶液に含まれるアンゲリカ酸エステルの濃度は約411質量ppmである。
プロピルアンゲレート:2.9質量%
イソブチルアンゲレート:28.5質量%
2−メチル−2−ブチルアンゲレート:1.5質量%
ブチルアンゲレート:微量
tert−ブチルアンゲレート:微量
(実施例1:ビールの苦味抑制)
国内外市販ビールに、調製例1で得られた溶液を0.15質量%の割合で添加した。ビールに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は0.6質量ppmであった。イソブチルアンゲレートが添加されたビールの苦味について、下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
7名のパネラーに(20代、30代、40代、50代および60代の男性各1名、ならびに20代および30代の女性各1名)、ビール(無添加品)を試飲してもらった。次いで、7名のパネラーに口内を十分に洗浄してもらい、イソブチルアンゲレートが添加されたビール(添加品)を試飲してもらった。無添加品と添加品とを比較して、添加品の苦味が改善されているか否かを、下記の基準で評価してもらった。7名のパネラーの合計点が10点以上の場合、苦味が改善されていると評価した。
2点:苦味を感じない、あるいは明らかに苦味が改善されている場合。
1点:苦味を感じるものの、無添加品よりは改善されている場合。
0点:苦味が改善されていない場合。
(実施例2:ビールの苦味抑制)
国内外市販ビールに、調製例2で得られた溶液を0.15質量%の割合で添加した。ビールに添加されたアンゲリカ酸エステルの濃度は約0.62質量ppmであった。ビール(無添加品)とアンゲリカ酸エステルが添加されたビール(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例3:グレープフルーツジュースの苦味抑制)
果汁100%のグレープフルーツジュースに、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。グレープフルーツジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は0.4質量ppmであった。グレープフルーツジュース(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加されたグレープフルーツジュース(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例4:グレープフルーツジュースの苦味抑制)
果汁100%のグレープフルーツジュースに、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。グレープフルーツジュースに添加されたアンゲリカ酸エステルの濃度は約0.41質量ppmであった。グレープフルーツジュース(無添加品)とアンゲリカ酸エステルが添加されたグレープフルーツジュース(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例5:コーヒーの苦味抑制)
無糖ブラックコーヒーに、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。無糖ブラックコーヒーに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は0.4質量ppmであった。無糖ブラックコーヒー(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加された無糖ブラックコーヒー(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例6:コーヒーの苦味抑制)
無糖ブラックコーヒーに、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。無糖ブラックコーヒーに添加されたアンゲリカ酸エステルの濃度は約0.41質量ppmであった。無糖ブラックコーヒー(無添加品)とアンゲリカ酸エステルが添加された無糖ブラックコーヒー(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例7:緑茶飲料の苦味抑制)
緑茶飲料(100ml当たり35mg以上のポリフェノール類含有)に、調製例1で得られた溶液を0.05質量%の割合で添加した。緑茶飲料に添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は0.2質量ppmであった。緑茶飲料(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加された緑茶飲料(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例8:緑茶飲料の苦味抑制)
緑茶飲料に、調製例2で得られた溶液を0.05質量%の割合で添加した。緑茶飲料に添加されたアンゲリカ酸エステルの濃度は約0.21質量ppmであった。緑茶飲料(無添加品)とアンゲリカ酸エステルが添加された緑茶飲料(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例9:ハイカカオチョコレートの苦味抑制)
ハイカカオチョコレート(カカオ分86%)に、調製例1で得られた溶液を0.2質量%の割合で添加した。ハイカカオチョコレートに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は0.8質量ppmであった。ハイカカオチョコレート(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加されたハイカカオチョコレート(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例10:ハイカカオチョコレートの苦味抑制)
ハイカカオチョコレートに、調製例2で得られた溶液を0.2質量%の割合で添加した。ハイカカオチョコレートに添加されたアンゲリカ酸エステルの濃度は約0.82質量ppmであった。ハイカカオチョコレート(無添加品)とアンゲリカ酸エステルが添加されたハイカカオチョコレート(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例11:オレンジジュースの苦味抑制)
果汁100%のオレンジジュースに、調製例1で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。オレンジジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は0.4質量ppmであった。オレンジジュース(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加されたオレンジジュース(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例12:オレンジジュースの苦味抑制)
果汁100%のオレンジジュースに、調製例2で得られた溶液を0.1質量%の割合で添加した。オレンジジュースに添加されたアンゲリカ酸エステルの濃度は約0.41質量ppmであった。オレンジジュース(無添加品)とアンゲリカ酸エステルが添加されたオレンジジュース(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例13:オレンジジュースの苦味抑制)
リモニンおよびノミリンを各5ppm含む果汁100%のオレンジジュースを調製し、そのオレンジジュースに調製例1で得られた溶液を0.2質量%の割合で添加した。オレンジジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は0.8質量ppmであった。調製オレンジジュース(無添加品)とイソブチルアンゲレートが添加された調製オレンジジュース(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
(実施例14:オレンジジュースの苦味抑制)
リモニンおよびノミリンを各5ppm含む果汁100%のオレンジジュースを調製し、そのオレンジジュースに、調製例2で得られた溶液を0.2質量%の割合で添加した。オレンジジュースに添加されたイソブチルアンゲレートの濃度は約0.82質量ppmであった。調製オレンジジュース(無添加品)とアンゲリカ酸エステルが添加された調製オレンジジュース(添加品)とを比較して、実施例1と同様の方法で評価した。結果を表1に示す。
Figure 2018191581
表1に示すように、苦味を有する飲食品に、イソブチルアンゲレート、あるいはアンゲリカ酸エステルを含むローマンカミツレ精油を添加すると、飲食品が本来有する風味に影響を及ぼすことなく、苦味が低減していることがわかる。

Claims (7)

  1. アンゲリカ酸エステルの少なくとも1種を有効成分として含有する苦味抑制剤。
  2. 前記アンゲリカ酸エステルが、下記式(I)で示される化合物の少なくとも1種である請求項1に記載の苦味抑制剤。
    Figure 2018191581
    式(I)中、Rは、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、3−メチルペンチル基、エチル基、プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、3−メチルペンチル基、ヘキシル基、(Z)−3−ヘキセニル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、ゲラニール基、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブテニル基、または3−ヒドロキシ−2−メチリデンブチル基を示す。
  3. 前記アンゲリカ酸エステルが、ローマンカミツレ由来のエステルである請求項1または2に記載の苦味抑制剤。
  4. 苦味を有する飲食品と請求項1〜3のいずれかに記載の苦味抑制剤とを含有し、苦味抑制剤が、アンゲリカ酸エステルに換算して0.05〜2質量ppmの割合で含まれる苦味低減飲食品。
  5. 苦味を有する飲食品に、アンゲリカ酸エステルの少なくとも1種を0.05〜2質量ppmの割合で添加する飲食品の苦味抑制方法。
  6. 前記アンゲリカ酸エステルが、下記式(I)で示される化合物の少なくとも1種である請求項5に記載の苦味抑制方法。
    Figure 2018191581
    式(I)中、Rは、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、3−メチルペンチル基、エチル基、プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、3−メチルペンチル基、ヘキシル基、(Z)−3−ヘキセニル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、ゲラニール基、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブテニル基、または3−ヒドロキシ−2−メチリデンブチル基を示す。
  7. 前記アンゲリカ酸エステルが、ローマンカミツレ由来のエステルである請求項5または6に記載の苦味抑制方法。
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