実施の形態1
(冷蔵庫)
図1は本発明の実施の形態1を表す冷蔵庫の正面図、図2は本発明の実施の形態1を示す冷蔵庫の側断面図である。これらの図に示すように、冷蔵庫1は最上段に観音開き式(あるいは開閉式)の貯蔵室である冷蔵室2を備えている。冷蔵室2の下には貯蔵室である製氷室3及び切替室4が左右に並列に配設されている。冷蔵庫1の最下段には貯蔵室である冷凍室6を備え、冷凍室6の上には貯蔵室である野菜室5を備えている。この野菜室5は、左右に並列に配設された製氷室3と切替室4の下方で、冷凍室6の上方に設けられている。
貯蔵室である冷蔵室2内は、貯蔵品(食料品や飲料品等)を収納するための貯蔵品収納空間を有し、この貯蔵品収納空間には、貯蔵品を載置する複数の樹脂製やガラス製の棚80が設けられている。この貯蔵品収納空間の下方(庫内棚の下方)には、略密閉構造の容器2X、2Yが設けられており、+3℃〜−3℃程度のチルド温度帯に制御されるチルド室2X、あるいは、+3℃〜+5℃程度に維持される野菜室温度帯に制御される野菜室2Yとして使用される。この略密閉構造の容器2X、2Yは、たまごを保存する卵室として使用しても良い。また、この略密閉構造の容器2X、2Yは、たとえば引出式構造を有しており、容器を引き出すことで貯蔵品の出し入れが行える。
略密閉構造の容器2X、2Yの構造としては、上面が開口した上面開口部を有する容器の上面開口部に着脱式のフタを設けるようにすれば略密閉構造の容器を構成できる。このフタは容器の方に設けても良いし、容器上部に設けられている棚80や仕切壁に設けても良いし、容器上部の棚や仕切壁のそのものをフタと兼用しても良い。
もちろん、各室の配置は本実施の形態を制限するものではなく、上段に設けられた冷蔵室2の下に製氷室3及び切替室4を左右に並列に配設し、これら左右に並列に配設された製氷室3及び切替室4の下方で、かつ下段に設けられた野菜室5の上部に冷凍室6を配設する、いわゆる野菜室5と左右に並列に配設された製氷室3及び切替室4との間に冷凍室6を配設するミッドフリーザータイプの方が低温室(例えば、製氷室3、切替室4、冷凍室6)が近接するため低温室間の断熱材が不要であり、また、熱漏れも少ないので省エネルギーで低コストの冷蔵庫が提供できる。
貯蔵室である冷蔵室2の正面側開口部は、自在に開放、閉塞することができる観音開き式の冷蔵室扉7が設けられており、この冷蔵室扉7は、冷蔵室扉左7A、冷蔵室扉右7Bの2つにより観音式扉を構成している。もちろん、観音式扉ではなく、1枚式の回転式扉でもよい。他の貯蔵室である製氷室3、切替室4、野菜室5、冷凍室6には、製氷室3の開口部を自在に開口・閉塞することができる引出式の製氷室扉8、切替室4の開口部を自在に開放・閉塞することができる引出式の切替室扉9、野菜室5の開口部を自在に開放・閉塞することができる引出式の野菜室扉10、冷凍室6の開口部を自在に開放・閉塞することができる引出式の冷凍室扉11がそれぞれ設けられている。ここで、引出式の貯蔵室扉(たとえば、製氷室扉8、切替室扉9、野菜室扉10、冷凍室扉11)には、貯蔵室を形成する内箱750にレール部材がネジなどのレール固定部材735あるいは嵌合構造にて固定あるいは保持されており、扉内板に固定あるいは保持された扉フレームがレール部材上を直接あるいはローラなどを介して摺動することで、扉及び扉フレームに載置されたケースが引き出し可能となっている。
また、貯蔵室である冷蔵室2の左右の冷蔵室扉左7A、冷蔵室扉右7Bのいずれかには、後述する図3に示すように、貯蔵室内の温度設定などを行う操作スイッチ(部屋選択スイッチ60a、温度帯切替スイッチ60b、瞬冷凍スイッチ60c、製氷切替スイッチ60d、ミスト供給スイッチ60e)や庫内温度や設定温度などの温度情報の表示を行う操作パネル60が設けられており、操作スイッチの操作情報や液晶表示部の表示情報や貯蔵室内の温度情報などが冷蔵庫の背面上部(冷蔵室背面)に設けられたマイコンなどを実装した制御基板で構成される制御装置30によって制御される。
冷蔵庫1の背面最下部に設けられている機械室1Aには圧縮機12が配されている。冷蔵庫1は、冷凍サイクルを備えており、圧縮機12は冷凍サイクルを構成する1部品であり機械室1Aに配置されており、冷凍サイクル内の冷媒を圧縮する作用を有する。圧縮機12で圧縮された冷媒は凝縮器(図示せず)において凝縮される。凝縮された状態の冷媒は減圧装置である毛細管(図示せず)や膨張弁(図示せず)において減圧される。冷却器13は、冷蔵庫の冷凍サイクルを構成する1部品で冷却器室131に配置されている。減圧装置にて減圧された冷媒は、冷却器13において蒸発し、この蒸発時の吸熱作用により冷却器13周辺の気体は冷却される。冷気循環用ファン14は冷却器室131内で冷却器13の近傍に配置されており、冷却器13周辺で冷却された冷気を冷気風路(例えば、切替室冷気風路16や冷蔵室冷気風路50など)を介して冷蔵庫1の貯蔵室である各室(冷蔵室2、製氷室3、切替室4、野菜室5、冷凍室6)へと送風するためのものである。
冷却器室131内に設けられている冷却器13の下方には冷却器13の除霜を行う除霜手段である除霜用ヒータ150(除霜用のガラス管ヒータで、例えば、石英ガラス管内に石英ガラス管を透過する波長0.2μm〜4μmの光を出すカーボン繊維が用いられたカーボンヒータなど)が設けられている。冷却器13と除霜用ヒータ150の間で除霜用ヒータ150の上部には、冷却器13より落下してきた除霜水が直接除霜用ヒータ150に当たらない様に、ヒータルーフ151が設けられている。除霜用ヒータ150にカーボンヒータなどの黒色媒体のヒータを使用すれば、輻射伝熱により冷却器13の霜を効率的に溶かすことができるため表面温度を低温度(約70℃〜80℃)にすることが可能となり、冷凍サイクルに使用される冷媒に可燃性冷媒(例えば、炭化水素冷媒であるイソブタンなど)を使用している場合に冷媒漏れなどが発生しても着火の危険性が低減できる。また、ニクロム線ヒータに比べて輻射伝熱により冷却器13の霜を効率的に溶かすことができるため冷却器13に着霜した霜が除々に溶けるようになり霜が塊となってどさっと落下しにくくなるので、ヒータルーフ151に落下したときの落下音が低減できるので、低騒音で除霜効率の良い冷蔵庫が提供できる。
ここで、除霜用ヒータ150は、冷却器13に一体に組み込まれたかち込みタイプのヒータであっても良い。また、ガラス管タイプヒータとかち込みタイプヒータを併用しても良い。冷却器13で生成される除霜水あるいはヒータルーフ151に落下した除霜水は、冷却器室内で落下して冷却器室131の下方に設けられている除霜水排出口より冷蔵庫外部(たとえば機械室1Aに設けられている蒸発皿等)に排出される。
風量調整手段である切替室ダンパ15は、冷気循環用ファン14により貯蔵室である切替室4に送風される冷気の冷気量を調整し、切替室4内の温度を所定温度に制御したり、切替室4の設定温度を切り替えたりするためのものである。冷却器13で冷却された冷気が冷気風路である切替室冷気風路16を通って、切替室4内に送風される。また、この切替室冷気風路16は、切替室ダンパ15の下流に配されている。
また、風量調整手段である冷蔵室ダンパ55も、冷気循環用ファン14により貯蔵室である冷蔵室2に送風される冷気の冷気量を調整し、冷蔵室2内の温度を所定温度に制御したり、冷蔵室2の設定温度を変更したりするためのものである。冷却器13で冷却された冷気が冷気風路である冷蔵室冷気風路50を通って、冷蔵室2内に送風される。
貯蔵室である、例えば切替室4は、貯蔵室内の温度を冷凍温度帯(−17℃以下)から野菜室温度帯(3〜10℃)までの間で複数の段階から選択可能な部屋(貯蔵室)であり、冷蔵庫1の冷蔵室扉左7A、冷蔵室扉右7Bのいずれかに設置した操作パネル60を操作することで貯蔵室内の温度の選択や切り替えを行う。
切替室4の、例えば奥側壁面には、切替室4内の空気温度を検知するための第1の温度検出手段である切替室サーミスタ19(図3参照)を設置し、切替室4の例えば天上面(中央部、前面部、あるいは後面部など)には貯蔵室である切替室4内に投入された貯蔵物の表面温度を直接的に検出するための第2の温度検出手段であるサーモパイル22(図3参照、あるいは赤外線センサ)を設置している。冷却器室131から切替室4に冷気を送る風路には、風量の制御や風路を遮蔽して冷気の流入を阻止することができる風量調整装置である切替室ダンパ15を設け、第1の温度検出手段である切替室サーミスタ19の検出温度(あるいはサーモパイル22の検出温度)により切替室ダンパ15を開・閉することで、切替室4の温度が選択された温度帯になるように調整したり、設定された温度範囲内に入るように制御装置30にて制御される。また、第2の温度検出手段であるサーモパイル22にて切替室4内の貯蔵物である食品の温度を直接検出するようにしている。ここで、機械室1Aは、冷蔵庫1の背面最下部に設けられている例をしめしたが、背面上部(たとえば背面最上部)に設けても良い。
(ミスト供給装置)
貯蔵室であるたとえば冷蔵室2の奥側(背面側)の仕切壁51(背面壁、断熱壁)には、貯蔵室内の除菌や加湿など行うミストを供給するミスト装置である静電霧化装置200が設けられている。静電霧化装置200は、貯蔵室内の空気中の水分を結露水として収集するための冷却部材(たとえば冷却板)が貯蔵室である冷蔵室2内から冷蔵室2の奥側の断熱された背面の仕切壁51あるいは冷却器13や冷気循環用ファン14などが配置される冷却器室131の前面壁を形成する冷却器室壁に接触するか、あるいは貫通するように設けられている。仕切壁51は、背面壁730、側壁790、天面壁740、底面壁780、貯蔵室間の仕切壁24であっても良い。この冷却部材(たとえば冷却板)は、仕切壁51の背面側や側面側や上下に設けられる冷気風路である冷蔵室冷気風路50、760内の冷気、あるいは、仕切壁51に対して貯蔵室(たとえば冷蔵室や野菜室)と反対側に設けられる貯蔵室とは別の低温の貯蔵室(たとえば貯蔵室よりも低温の冷凍室や製氷室や切替室など)内の冷気を利用して冷却されるように設けられている。ここでは静電霧化装置200について説明するが、貯蔵室内の除菌、殺菌あるいは加湿ができれば、別の除菌装置や殺菌装置や加湿装置などであっても良い。
(表示)
図3は本発明の実施の形態1を表す冷蔵庫1の制御装置30のブロック図である。制御装置30にはマイコン30a(マイクロコンピュータ)を搭載し、予め記憶しているプログラムにより、冷蔵庫1の各貯蔵室の温度制御、圧縮機12や冷気循環用ファン14の回転数制御、切替室ダンパ15、冷蔵室ダンパ55の開閉制御、ミスト装置(静電霧化装置)200への電圧印加制御などを行っている。操作パネル60には、たとえば、以下に示すスッチを備える。
(1)冷蔵室、冷凍室、切替室などの貯蔵室を選択する部屋選択スイッチ60a;
(2)切替室などの貯蔵室の温度帯(冷蔵、冷凍、チルド、ソフトフリージングなど)を切替えたり、急冷や強・中・弱などを切り替える温度帯切替スイッチ60b;
(3)貯蔵室内を過冷却状態を経て冷凍保存する瞬冷凍スイッチ60c(瞬冷凍は、過冷却冷凍ともいう);
(4)製氷に関して、透明氷、通常、急速、停止などを選択する製氷切替スイッチ60d;
(5)ミスト装置200に通電して貯蔵室内にミスト供給(静電噴霧)を実施するミスト供給スイッチ60e(静電噴霧選択)。
(6)有線や無線によりインターネットに接続するインターネット接続スイッチ(図示せず)
(7)クラウドサーバや携帯端末など冷蔵庫と有線や無線で接続されているサーバの情報あるいはサーバや携帯端末からの指示内容あるいはサーバや携帯端末へ送信した送信情報を閲覧する閲覧スイッチ(図示せず)
(8)携帯電話や携帯端末やパソコンなどの充電を行う充電スイッチ(図示せず)
ここで、貯蔵室(例えば切替室4)内の温度を検出する温度検出センサについて説明する。本実施の形態では、貯蔵室(例えば、切替室4)内の温度を検出する温度検出センサとして、第1の温度検出手段である切替室サーミスタ19と第2の温度検出手段であるサーモパイル22を備えている。貯蔵室(例えば、切替室4)内の空気の温度を検出する第1の温度検出手段である切替室サーミスタ19の検出温度は、制御装置30を構成するマイコン30aに入力され、マイコン30a(例えば、マイコン30a内の温度判定手段)で所定値と比較して温度判定を行い、所定の温度範囲内に入るように制御を行う。また、貯蔵室(例えば、切替室4)内の食品などの表面温度などを直接検出する第2の温度検出手段であるサーモパイル22の検出信号はマイコン30aに入力され、マイコン30a(例えばマイコン30a内の演算手段)で演算処理されて食品などの表面温度に換算された後、急速冷凍制御や過冷却冷凍制御など所定の温度制御を行う。また、制御装置30は、各貯蔵室(冷蔵室2、製氷室3、切替室4、野菜室5、冷凍室6)内の温度制御や静電霧化装置200の通電制御などの各種制御行い、冷蔵室扉左7A、冷蔵室扉右7Bのいずれかに設けられた操作パネル60(表示パネル)あるいはサーバあるいは携帯端末に各貯蔵室の設定温度や食品(表面)温度や各貯蔵室に設置された静電霧化装置200の動作状況などを表示する。
(冷蔵庫の箱体構造)
図4は、本発明の実施の形態1を表す冷蔵庫の横断面図である。図は、冷蔵庫1の上下方向に対して垂直な面で冷蔵庫をカットしたときの横断面図である。図4において、図1〜図3と同等部分は同一の符号を付して説明は省略する。
図4において、冷蔵庫1を構成する断熱箱体700は、外箱710と内箱750とから構成され、外箱710と内箱750との間には、真空断熱材400が配設されている。真空断熱材400は、冷蔵庫1の背面に設けられており、外箱710に直接、ホットメルトや両面テープなどの第2の介在部材である第2の接着剤を介して貼り付けられている。また、真空断熱材400は、内箱750の一部(たとえば内箱750の背面を形成する壁面の左右方向略中央部)に直接、接着剤により貼り付けられており、内箱750背面の略中央部を除く側壁790近傍の左右端部(コーナー部)は、背面壁730よりも前面側に突出した凸部450が形成されており、真空断熱材400はこの凸部450と所定長さだけ重なるように配置されるが、凸部450には、真空断熱材400を配置せずウレタンのみが充填されている部位が存在しても良い。また、内箱750と真空断熱材400との間には第1の介在部材である接着剤(たとえば硬質ウレタン等自己接着性を有する発泡断熱材を使用しても良い)が充填されており、真空断熱材400は、第1の介在部材である接着剤(たとえば硬質ウレタン等)を介して内箱750と外箱710との間に設けられている。したがって、真空断熱材400は第1の介在部材及び第2の介在部材によって内箱750あるいは外箱710に接着あるいは固着あるいは固定されている。
ここで、内箱750の背面形状は、冷蔵庫1の前面側(貯蔵室側)から見た場合、上下にわたって略中央部が凹んだ凹溝状の凹部440(第1の凹部ともいう)をなしており、この略中央部に形成された凹部440においては、真空断熱材400は、直接、外箱710と内箱750に接着剤を介して貼り付けられていることになる。また、冷蔵庫1の前面側(貯蔵室側)から見た場合、内箱750の背面形状は、幅方向(左右方向)端部側が幅方向(左右方向)略中央部に比べて前面開口部側(貯蔵室側)に突出した凸形状になる。言い換えると、内箱750の背面形状は、左右方向の略中央部が左右端部側に比べて外箱側(冷蔵庫の後方側)に凹んだ凹溝状である凹部440を有し、この凹部440が貯蔵室(たとえば冷蔵室2)内において冷蔵庫の上下方向に設けられている。
すなわち、凸部450の側面452と背面壁730とによって凹部440が形成されており、背面壁730の内面(貯蔵室側)を形成する内箱750と背面壁730の外面を形成する外箱710との間には板状の真空断熱材400が設けられている。ここで、図示されていないが、側壁790の内面(貯蔵室側)を形成する内箱750と側壁790の外面を形成する外箱710との間にも板状の真空断熱材400が設けられてもよい。背面壁730あるいは凹部440に設けられる冷気風路760は、意匠性を有するカバー部材である第1風路部品762と、第1風路部品762の背面側(内箱750側)に設けられ、断熱性を有する第2風路部品764とから構成され、凹部440内に配置されている。このカバー部材である第1風路部品762あるいは第2風路部品764は、取り付け部(係合部)を有しており、凸部450あるいは背面壁730に設けられている取り付け部(係合部)に嵌め込みあるいはねじ等の固定部材によって取り付け部同士が係合するなどしてカバー部材が凸部450あるいは背面壁730に取り付けられる。
この貯蔵室内背面の左右端部側に形成される凸部450において、幅方向の中央側(重なり長さXの範囲)は、外箱710と内箱750との間に真空断熱材400が配設され真空断熱材400と内箱750の間は第1の介在部材である接着剤(自己接着性の発泡断熱材701であり、たとえば硬質ウレタン)が充填されており、また、外箱710と真空断熱材400の間は、第2の介在部材である第2の接着剤で接着されている。凸部450における幅方向の端部側は、外箱710と内箱750との間に断熱材701(たとえば硬質ウレタン)が充填され、真空断熱材400が設けられていない部分が存在している。もちろん、凸部450において、真空断熱材400を幅方向に大きくして幅方向の真空断熱材400の配置面積を大きくした方が断熱性能及び箱体強度が向上して良いが、コストUPになるため断熱性能と強度が所定値以上であれば真空断熱材400を設けない部分を設定しても良い。
ここで、凹部440では、真空断熱材400は、外箱710とは直接、第2の介在部材である第2の接着剤を介して貼り付けられ、内箱750とは、第1の介在部材であるウレタン等の自己接着性及び発泡性を有する接着剤を介して貼り付けられている。(真空断熱材400と内箱750との間には、たとえば接着剤としての硬質ウレタンフォームが充填されている。)
したがって、真空断熱材を備えた断熱箱体や冷蔵庫において、従来(たとえば特許文献2)のように貯蔵室背面の幅方向において、真空断熱材の配設部分にウレタン等断熱を主目的とする断熱材701を設けずに内箱750に、直接、真空断熱材400を設ける場合に比べて、本実施の形態においては、左右端部側(幅方向端部側)において上下方向にわたってウレタンなどの断熱材701で構成された凸部450が形成されるので、この凸部450が形成されることによって箱体のねじれ強度、折り曲げ強度が改善される。特許文献2に示される構成では、貯蔵室背面の幅方向において、凸部450と真空断熱材400の配設部分との重なり部分が無いので箱体がねじれた場合に、凸部450と真空断熱材400とが分断されて強度低下、箱体破損の恐れが生じる可能性がある。ここで、真空断熱材の耳部(外包材のみの部分)は、芯材を有していないので断熱機能を有さず、また、強度的にも弱いので、真空断熱材の耳部については、真空断熱材の構成部品から除外して考えている。
ここで、本実施の形態で示すように、貯蔵室背面の幅方向において、凸部450が真空断熱材400の配設部分に少なくとも一部重なるように設ければ(重なり長さXだけ重なるように設ければ)、凸部450の内部に充填される硬質ウレタンフォームが真空断熱材400の幅方向(左右方向)の端部側の真空断熱材400と内箱750の間の一部にも充填されることになるので、凸部450と対向する位置の真空断熱材400と内箱750の間に充填される硬質ウレタンフォームの厚さを、凹部440と対向する位置の真空断熱材400と内箱750に充填される硬質ウレタンフォームの厚さよりも大きくできるため、真空断熱材400に対する硬質ウレタンフォームの接着面積を大きくできるとともに、真空断熱材400部分の硬質ウレタンフォームの厚さを大きくできるため、凸部450内の硬質ウレタンフォームと真空断熱材400との接合強度が増大する。
したがって、凹部440での真空断熱材400と内箱750との間の硬質ウレタンフォームの厚さを薄くしても、凸部450と真空断熱材400、及び凸部450と側壁790(あるいは凸部450が設けられる周囲壁)との接合強度を大きく向上させることができ、箱体の強度が大きく改善される。また、凸部450においては、硬質ウレタンフォームの厚さを大きくできるので、真空断熱材400が設けられていない部分があったとしても断熱性能が向上する。
また、本発明の実施の形態では、従来の特許文献2のように真空断熱材、内箱、外箱を箱体強度確保のために複雑な形状に成形する必要がなく、また、真空断熱材の芯材に安価で断熱性能の良い有機繊維や無機繊維の芯材(綿状芯材や不織布芯材など)が使用可能となるので、低コストで構造が簡単で断熱性能の高い断熱箱体、冷蔵庫、ショーケース、給湯機、真空断熱材を備えた機器等を得ることができる。
したがって、たとえば、箱体背面が変形して貯蔵室内に凹凸が形成されたり、また、たとえば、箱体が変形して貯蔵室(例えば冷蔵室2)の前面に設けられた貯蔵室扉(例えば冷蔵室扉7)が傾いたり、また、たとえば観音開き扉の場合に左右の扉(7A、7B)の一方が傾いて位置ずれを起こしたりすることがなくなるので、貯蔵室扉の開閉がスムーズに行えるし、また、左右の貯蔵室扉の位置ズレが起こらないので見栄え(意匠性)が良い。また、箱体が変形することによって貯蔵室(たとえば製氷室3、切替室4、野菜室5、冷凍室6等)内壁や左右の側壁に設けられた開閉扉や引出式ケース用のレール部材の取り付け高さが左右で異なったり、傾いたりすることがなくなるので、ケースの出し入れがスムーズに行え、信頼性が高く、使い勝手が良い冷蔵庫、機器が得られる。
また、真空断熱材400が平板状である場合には、真空断熱材400を冷蔵庫1の背面に搭載した状態では、左右方向(幅方向)や前後方向に折り曲がりやすく、また、ねじれやすいが、この点に関しても冷蔵庫などの機器に搭載された状態では、背面の左右端部側において上下方向にウレタンなどの断熱材が設けられた凸部450を形成して真空断熱材400を凸部450内に充填されるウレタンと一体に形成すれば、内箱750、真空断熱材400、外箱710が凸部450によって一体に接着されるので、箱体700の折り曲げ強度(特に前後方向への折り曲げ強度)やねじれ強度が改善できる。したがって、前面が開口している貯蔵室の開口部がたわんで変形したり、開口部のシール部材の位置ずれなどにより冷気漏れを起こしたりすることを抑制できるので、信頼性が高く、高性能で省エネルギーな断熱箱体、冷蔵庫、真空断熱材を備えた機器が得られる。
また、内箱750と真空断熱材400との間には、断熱を主目的とするウレタンなどの発泡断熱材を設ける部位(凸部450)と断熱を主目的としない接着剤(たとえば断熱を主目的とせず接着を主目的とするので自己接着性を有すれば良くウレタンなどであっても良い)が設けられる部位(凹部440)を有しているので、接着を主目的とする接着剤が設けられる部位(凹部440)は、断熱を主目的としたウレタンなど断熱材が設けられた部位に比べて、断熱性能を得るための断熱材としての所定厚さが必要なく、所定の接着強度を有していれば良いので、接着を主目的として使用される部位(たとえば凹部440)は、接着剤の厚さをかなり小さくしても良くて済むため、接着剤として硬質ウレタンを使用した場合、断熱を主目的として使用される部位に対してウレタンの厚さをかなり小さくできる。しかたがって、接着剤の厚さの差分だけ壁厚さを小さくでき、したがって貯蔵室の内容積を大きくすることが可能となり、使い勝手の良い冷蔵庫、機器が得られる。
ここで、制御配線や圧縮機やファンなどの駆動用電力線等のリード線が収納されるリード線収納部材であるパイプ720は凸部450を形成するウレタン等の断熱材701内に上下方向に渡って埋設されて設けられている。このパイプ720内に各種ダンパの開閉制御や圧縮機12や冷気循環用ファン14などの運転制御などを行うための制御配線や圧縮機12や冷気循環用ファン14などに電力を供給するための電力線等のリード線が収納される。制御配線や電力線等のリード線は、パイプ720内を通って、冷蔵庫1の下部(あるいは上部)に設けられる機械室1A内に配置された圧縮機12や、冷蔵庫1の背面や底面や上面に設けられる制御装置(制御基板など)30や、冷却器室131などに設けられる冷気循環用ファン14や、冷気風路に設けられる切替室ダンパ15、冷蔵室ダンパ55や、貯蔵室(例えば冷蔵室2)の前面を覆うように設けられた開閉扉(例えば冷蔵室扉7)に設けられた操作パネル60などと接続されている。
冷蔵庫1の背面に設けられる真空断熱材400の左右方向の幅は、冷蔵庫1の側壁790の貯蔵室内面壁791、792間の幅よりも小さくしており、冷蔵庫1の背面の左右方向の端部に複数設けられるウレタンなどの断熱材の充填口(注入口)703、704を塞ぐことがないようにしており、充填口703、704より充填されるウレタンなどの断熱材の充填流路を塞ぐことがないようにしている。
ここで、冷蔵庫1の背面に設けられる真空断熱材400の左右方向の幅は、冷蔵庫1の側壁790の貯蔵室内面壁間(貯蔵室内面壁左791と貯蔵室内面壁右792との間)の幅(距離)と同等かそれよりも小さくした方がウレタンなどの断熱材の充填口あるいは充填流路を塞ぐことがないのでウレタン断熱材が途切れることなく充填されるため断熱性能の低下などが発生しないので良いが、真空断熱材400が冷蔵庫1の背面側の左右端部に設けられるウレタンなどの断熱材の充填口703、704の配設位置と同等か充填口703、704よりも中心側(内側方向)に配置されていれば、ウレタン断熱材の充填口703、704が真空断熱材400によって塞がれることがないので、充填口703、704より充填されるウレタンなどの断熱材が側壁790内、あるいは凸部450内、あるいは真空断熱材400と内箱750との間などを流れる(充填される)のを邪魔せず、ウレタン充填不良などが発生せず断熱性能も低下しない。
ここで真空断熱材400が冷蔵庫1の側壁790の内面壁よりも幅方向外側に突出したりしてウレタン断熱材の充填口703、704の少なくとも一部を塞ぐと、ウレタンなどの断熱材の充填口703、704より充填されるウレタンが真空断熱材400によって側壁790内、あるいは凸部450内、あるいは真空断熱材400と内箱750との間などを流れるのを阻害したり邪魔したりする恐れがあり、側壁などにウレタンなどの断熱材の充填不良が発生して断熱性能が低下する可能性がある。
したがって、真空断熱材400は冷蔵庫1の背面側の左右端部に設けられるウレタンなどの断熱材の充填口703、704よりも外側にはみ出さない程度に左右に配置される左側(一方)の充填口703と右側(他方)の充填口704の内側の範囲内に配置することで充填口703、704より充填されるウレタンなどの断熱材が断熱箱体内(内箱750と外箱710の間、たとえば側壁790内、凸部450内、真空断熱材400と内箱750との間、真空断熱材400と外箱710との間など)に充填されるのを阻害したり邪魔したりしないので、断熱性能が低下しない高性能な断熱箱体や冷蔵庫が得られる。
ここで、真空断熱材400の幅が冷蔵庫1の背面側の左右端部に設けられるウレタンなどの断熱材の充填口703、704よりも外側にはみ出す(真空断熱材400の幅方向端部位置が冷蔵庫1の背面側の左右端部に設けられるウレタンなどの充填口703、704の配置位置よりも外側位置まで配置される)場合には、充填口703、704が真空断熱材400で塞がれる可能性があるので、真空断熱材400が充填口703、704の少なくとも一部を塞がないように真空断熱材400において充填口703、704と対向する部分に切欠きや開口などの切欠き部33を設けるようにすれば良い。このようにすれば真空断熱材400の幅を大きくすることが可能になるので、真空断熱材400の配設面積を大きくでき、断熱箱体あるいは断熱箱体の背面壁の外表面積に対する真空断熱材の配置面積の比率(被覆率)を大きくすることができる。したがって、断熱性能を向上させることが可能となる。(たとえば図12、図22参照)
本実施の形態では、凸部を形成する内箱750と外箱710との間(あるいは内箱750と真空断熱材400との間)にウレタン等の断熱材701を充填したり別部品(ウレタン以外の断熱材)の断熱材を配置したりして断熱箱体700の強度を向上させるようにしているが、断熱箱体700の強度を更に向上させたい場合は、凸部450内(たとえば真空断熱材400と内箱750の間、真空断熱材400の幅方向端部近傍など)、あるいは凸部450近傍であってたとえば凸部450の外部(たとえば内箱750の内側や内箱750の外側)に補強部材を設けても良い。
この補強部材は、たとえば金属製等に比べて熱伝導率の悪い部材(たとえば樹脂製の樹脂部材など)が断熱性能の低下に与える影響が小さくなるので良いが、補強部材の周囲を断熱材で覆うようにすれば金属製(アルミ製やアルミ合金製など)の部材であっても断熱性能を損なうことを抑制できるので良く、形状は棒状(丸棒や角棒など)やパイプ状であっても良い。また、内箱750にリブなどを設ける構成であってもよく、断熱箱体700のねじれ強度や折り曲げ強度など箱体強度を向上できるものであれば良い。ここで、制御配線や電力線等のリード線が収納されるパイプ720や冷媒配管725を補強部材として代用することも可能であり、パイプ720や冷媒配管725を補強部材として代用すれば、別途補強のための部品が不要となるので低コストであり、しかも断熱箱体の補強が行えるので断熱箱体の箱体強度が向上できる。また、補強部材を凸部450内や内箱750と外箱710との間の空間に配置することが可能であり、補強部材が直接ユーザに見えないため意匠性も向上する。したがって、低コストで信頼性が高く意匠性の優れた断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
(凹部を冷気風路として利用(その1))
内箱750と真空断熱材400とが接着剤(自己接着性の発泡断熱材でも良い)を介して直接貼り付けられている部分である凹部440は、凹部440の周囲に形成されている周囲壁(たとえば側壁790あるいは天井壁740あるいは仕切壁24)とのコーナー部に設けられる凸部450に対して凹んでいるため、この凹み部を冷気風路760として使用しても良い。(ここで、たとえば、貯蔵室が冷蔵室2である場合には、冷気風路760は冷蔵室冷気風路50に相当し、貯蔵室が切替室4である場合には、冷気風路760は切替室冷気風路16に相当し、貯蔵室が野菜室5である場合には、冷気風路760は野菜室冷気風路に相当する。)
凹部440を冷気風路760として使用する場合は、U字状(あるいは凹形状)の開口部を有する第2風路部品764の開口部が貯蔵室側に開口するように配置し、風路カバーである第1風路部品762を第2風路部品764のU字状の開口部を覆うように配置して第2風路部品764の開口部を第1風路部品762で塞ぐことで略密閉空間の冷気風路760を形成することができる。第1風路部品762、第2風路部品764とも、たとえば発泡スチロールや樹脂などの断熱部材で構成されるが、凹部440に配置される第2風路部品764は、背面側の風路背面部材765、側面側の風路側面部材766から構成される。
第2風路部品764の背面側の部材(風路背面部材765)の背面側には凹部440を形成する内箱750が配置されている。真空断熱材400は、背面壁730を形成する内箱750と接着剤を介して設けられており、また、第2風路部品764の側面側の部材(風路側面部材766)の側面側には内箱750により形成される凸部450が設けられており、凸部450内にはウレタンなどの断熱材701が設けられている。したがって、第2風路部品764を構成する風路背面部材765、風路側面部材766は、断熱性を有さなくても断熱性能を確保できる。すなわち、冷気風路760の背面側は背面壁730内に配置される真空断熱材400にて断熱性能が確保され、冷気風路760の側面側は凸部450内の断熱材701によって断熱性能を確保されるので、第2風路部品764を構成する風路背面部材765、風路側面部材766は、発泡スチロールなどの断熱材であっても良いが断熱性能を有さない樹脂製や金属製などの部材であっても冷気風路760の断熱性能は確保できる。よって、第2風路部品764を構成する部材は、断熱性を有する発泡スチロールなどの断熱材であっても良いが、断熱性を有さない樹脂製や金属製などの部材であっても冷気風路760を形成する部品等への露などの付着、あるいは露の発生による露付きを抑制できる。
また、第1風路部品762は、たとえば、発泡スチロールなどの断熱性を有する断熱部材あるいは樹脂などで構成されており、貯蔵室側に露などが付着、あるいは発生しないように露付きを抑制している。図では、第1風路部品762は、凹部440の左右方向の幅、あるいは第2風路部品764のU字状の開口部の左右方向の幅よりも大きな幅を有した突出部(延出部)763が設けられており、この突出部(延出部)763にて第2風路部品764の開口部あるいは凹部440を略密閉状態で塞いで冷気風路760を形成するとともに、突出部(延出部)763を利用して第1風路部品762を凸部450、あるいは第2風路部品764に着脱可能に固定することができる。ここで、第1風路部品762は第2風路部品764の開口部を塞いで冷気風路を確保できれば良いので、第2風路部品の開口部だけ塞ぐことができれば良く、凹部440までも塞ぐ必要は無いが、凹部440の開口部を塞ぐようにすれば、第1風路部品762の取り付け製が向上し、また、意匠性も向上する。
ここで、冷気風路760を形成する冷気風路部品(たとえば第1風路部品762あるいは第2風路部品764等)は、箱体の強度向上のための補強部材としても使用可能である。箱体強度あるいは箱体剛性(たとえばねじり強度、あるいは折り曲げ強度など)が弱いと考えられる場合には、第1風路部品762あるいは第2風路部品764を補強部材として使用して箱体強度(箱体剛性)を大きくすればよい。第1風路部品あるいは第2風路部品764が樹脂製の場合には箱体強度が得られる程度の所定厚さを有するようにすれば良いが、厚さを薄くしたければ、樹脂製でなく熱伝導率の小さい金属製(たとえば銅やアルミなどよりは熱伝導率の小さく断熱性能の良い金属が良い)にしても良い。また、第1風路部品762あるいは第2風路部品764に幅方向あるいは上下方向にリブを設けるなどしてねじれ強度や曲げ強度を向上させれば良い。断熱箱体700の強度あるいは剛性が問題とならない場合には、第2風路部品764を省略して凹部440を直接、冷気風路760の背面壁、側面壁として使用し、凹部440の開口部を覆うように第1風路部品762を設けるようにすることも可能である。
凹部440を直接、冷気風路760の背面壁、側面壁として使用する場合には、第2風路部品764を設ける必要がなくなるので、構造が簡単で低コストの断熱箱体700、冷蔵庫1が得られる。この場合には、凹部440を覆うように第1風路部品762を設け、凸部450に第1風路部品762の突出部(延出部)763を着脱可能に固定すれば良く、突出部(延出部)763を凸部450に直接固定することで箱体の強度も向上する。第1風路部品762を凹部440を覆うカバーとして使用することで凹部440が冷気風路760として利用できる。ここで、第1風路部品762の板厚を厚くしたり、あるいはリブを設けるなどして剛性を大きくして補強部材として使用しても良く、断熱箱体強度を向上させることができる。
冷気風路760には、貯蔵室(例えば冷蔵室2や野菜室5等)内に冷気を供給するための冷気供給口(冷気吹出口)768が1つあるいは複数個設けられている。冷気供給口(冷気吹出口)768は、第1風路部品762、あるいは第2風路部品764に1個あるいは複数個(少なくとも1個)設けられており、貯蔵室内を効率よく冷却できるように配置されている。冷気供給口768は、貯蔵室内の側方へ吹出す側方吹出口、あるいは前方へ吹出す前方吹出口、あるいは側方と前方の斜め方向へ吹出し可能な側前方斜め吹出口、あるいは上方と前方の斜め方向へ吹出し可能な上前方斜め吹出口、あるいは下方と前方の斜め方向へ吹出し可能な下前方斜め吹出口、あるいは側方と上方の斜め方向へ吹出し可能な側方上斜め吹出口、あるいは側方と下方の斜め方向へ吹出し可能な側方下斜め吹出口が設けられている。
本実施の形態では、真空断熱材400を、断熱箱体700の背面壁730や冷蔵庫1の背面に設ける例について説明しているが、断熱箱体700の側壁790や天面壁740や底面壁780、あるいは冷蔵庫1の側面や天面や底面に設けても良い。また、貯蔵室の前面開口を覆う貯蔵室扉(例えば冷蔵室扉7や冷凍室扉11など)に真空断熱材400を設けても良く、この場合には、さらなる断熱性能の向上が図れる。
図4においては、冷気風路760には側面(前面カバーである第1風路部品762の側面)に冷気供給口(冷気吹出口)768が設けられている。この冷気供給口768は、凸部450の前面側の端面451に第1風路部品762の突出部(延出部)763が設けられている。ここで、第2風路部品764の風路側面部材766に冷気供給口(冷気吹出口)768が設けられている場合には、冷気供給口(冷気吹出口)768の開口部の大きさの分だけ冷気風路760が凸部450の前面側の端面451よりも冷蔵庫1の前面側に突出するため、カバーである第1風路部品762の前面側端面769に対して凸部450の前面側端面451が奥側(後方)に凹んでおり、この奥側に凹んだ凹み部分(突出部(延出部)763と側壁790との間の空間)770が収納スペースとして有効活用できる。
本実施の形態では、カバーである第1風路部品762の前面側の端面769が凸部450の前面側の端面451よりも貯蔵室側に突出するように設けられるので、高さに差(段差部775)が生じる。この段差部775を利用して冷気供給口(冷気吹出口)768を設けることができ、また段差部775を設けることによって、段差部775の側方(冷気供給口768の側方)と側壁790との間の空間770に食品などの貯蔵物を収納する収納スペースを設けることができるので、第1風路部品762に延出部763を設けることで、段差部775を形成でき、この段差部775に冷気供給口(冷気吹出口)768を設けることで段差部775の側方の空間770である貯蔵スペースに収納あるいは貯蔵される食品などの貯蔵物を効率よく冷却することができる。
(凹部を冷気風路として利用(その2))
上記は、凹部440を冷気風路760として使用し、段差部775に冷気供給口(冷気吹出口)768を設ける例について説明したが、段差を極力小さくして貯蔵室内容積を大きくしても良い。
図5は、本発明の実施の形態1を表す別の冷蔵庫の横断面図で、冷蔵庫1の上下方向に対して垂直な面で冷蔵庫をカットしたときの横断面図である。図5において、図1〜図4と同等部分は同一の符号を付して説明は省略する。
図5において、凹部440は図4と同じように冷気風路760として利用されている。
すなわち、凸部450の側面452と背面壁730とによって凹部440が形成されており、背面壁730の内面(貯蔵室側)を形成する内箱750と背面壁730の外面を形成する外箱710との間には板状の真空断熱材400が設けられている。ここで、図示されていないが、側壁790の内面(貯蔵室側)を形成する内箱750と側壁790の外面を形成する外箱710との間にも板状の真空断熱材400が設けられてもよい。背面壁730あるいは凹部440に設けられる冷気風路760は、意匠性を有するカバー部材である第1風路部品762と、第1風路部品762の背面側(内箱750側)に設けられ、断熱性を有する第2風路部品764とから構成され、凹部440内に配置されている。このカバー部材である第1風路部品762あるいは第2風路部品764は、取り付け部(係合部)を有しており、凸部450あるいは背面壁730に設けられている取り付け部(係合部)に嵌め込みあるいはねじ等の固定部材によって取り付け部同士が係合するなどして凸部450あるいは背面壁730に取り付けられる。
冷気風路760は、凹部440内に少なくとも一部あるいは全部が収納される第2風路部品764の貯蔵室側開口部あるいは凹部440の貯蔵室側開口部を覆うように設けられるカバーである第1風路部品762と、凹部440あるいは第2風路部品764とから構成され、第1風路部品762が凸部450の前面側の端面451、あるいは、第2風路部品764の風路側面部材766に固定あるいは保持されている。本実施の形態では、第1風路部品762の延出部763により形成される段差部775の大きさが小さいので、第1風路部品762の延出部763により形成される側面の段差部775には冷気供給口768が設けることが困難なため、冷気供給口(冷気吹出口)768は第1風路部品762の前面側にしか設けられていない。しかし第1風路部品762の突出部(延出部)763の厚さを小さくできるため段差部775の大きさが小さくできる。したがって、段差部775が小さくなった分だけ貯蔵室内の奥行き方向長さを大きくでき、貯蔵室内の収納容積を大きくできる。
ここで、カバーである第1風路部品762の形状は、図4、図5に示すように板状でも良いが、貯蔵室側に突出する曲面状(たとえば円弧状あるいはアーチ形状など)であっても良い。第1風路部品762が曲面状の方が、冷気供給口768の開口方向を貯蔵室内の前面方向だけでなく、曲面部分に設けることで斜め方向にも設けることが可能となり、冷気供給口768を設ける位置の自由度が向上するので、貯蔵室内を満遍なく冷却することが可能となる。
第2風路部品764を凹部440に固定あるいは保持した後に第1風路部品762を凸部450の前面側の端面451あるいは第2風路部品764に固定あるいは保持しても良いが、第2風路部品764を予め第1風路部品762に固定、あるいは保持して一体に形成した状態で第1風路部品762と第2風路部品764との組立体を凹部440内に収納あるいは配置し、第1風路部品762の突出部(延出部)763を凸部450(たとえば前面側の端面451)に固定あるいは保持するようにしても良い。このようにすれば、第2風路部品764が第1風路部品762に固定、あるいは保持されて冷気風路760を形成した状態で、貯蔵室内の凸部450に取り付けることができるので、組立が容易であり、しかも取り外すことも容易である(第1風路部品762と第2風路部品764とによって冷気風路760の組立体を構成することができる)ので、着脱可能に冷気風路760の組立体を貯蔵室内(たとえば凸部450)に容易に取り付けることができる。
また、真空断熱材400との間に主目的が接着である第1介在部材である接着剤(自己接着性を有する発泡断熱材であっても良い)が介在する凹部440においては、内箱750と真空断熱材400との間の第1介在部材である接着剤(自己接着性を有する発泡断熱材であっても良い)の厚さが小さいので、仮に冷気風路760(第1風路部品あるいは第2風路部品764あるいは第1風路部品と第2風路部品の組立体等)を凹部440に取り付ける場合には、固定するためのネジなどにより真空断熱材400を傷つけてしまう可能性があるが、本実施の形態では、冷気風路760を凸部450に取り付けるようにしているため、冷気風路760を真空断熱材400と対向する位置の凹部440あるいは内箱750に取り付けなくてもよくなるので、真空断熱材400の外包材などを傷つけることが無くなり信頼性が高く断熱性能の低下や劣化の少ない断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
ここで、冷気風路760としては、凹部440を覆うように第1風路部品762を凸部450に取り付けるようにすれば、第2風路部品764を設けなくても冷気風路760を形成することができるので、部品点数が少なく低コストで組み立て容易で信頼性の高い断熱箱体や冷蔵庫が得られる。
(凹部を冷気風路として利用(その3))
図6は、本発明の実施の形態1を表す別の冷蔵庫の横断面図で、冷蔵庫1の上下方向に対して垂直な面で冷蔵庫をカットしたときの横断面図である。図6において、図1〜図5と同等部分は同一の符号を付して説明は省略する。
図6において、凸部450の側面452と背面壁730とによって凹部440が形成されており、背面壁730の内面(貯蔵室側)を形成する内箱750と背面壁730の外面を形成する外箱710との間には板状の真空断熱材400が設けられている。また、図示されていないが、側壁790の内面(貯蔵室側)を形成する内箱750と側壁790の外面を形成する外箱710との間にも板状の真空断熱材400が設けられている。背面壁730あるいは凹部440に設けられる冷気風路760は、意匠性を有するカバー部材である第1風路部品762と、第1風路部品762の背面側(内箱750側)に設けられ、断熱性を有する第2風路部品764とから構成され、凹部440内に配置されている。このカバー部材である第1風路部品762あるいは第2風路部品764は、取り付け部(係合部)を有しており、背面壁に設けられている取り付け部(係合部)に嵌め込みあるいはねじ等の固定部材によって取り付け部同士が係合するなどして背面壁730に取り付けられる。図では、冷気風路760の側部(側面)766と凸部450の側面(側方)452との間に空間770が設けられており、この空間770が貯蔵スペースとして使用できるので、貯蔵室(たとえば冷蔵室2)内の収納物の収納容積を大きくすることが可能となっている。
図6においては、冷気風路760を構成する第2風路部品764は、冷気の流れ方向(たとえば冷蔵庫1の上下方向)に対する断面形状が開口部を有するU字状をしており、このU字状の開口部が冷蔵庫1の背面方向を向くように冷蔵庫1の貯蔵室内に設置される(貯蔵室背面の凹部440内に配置される)。この第2風路部品764のU字状の開口が凹部440を形成する内箱750に当接するように第1風路部品762で押圧した状態で第1風路部品762を凸部450に固定あるいは保持することで第2風路部品764と内箱750により冷気風路760が構成される。ここで、第1風路部品762が断熱機能を有する部材(たとえばスチロールや多孔質部材等)で構成されている場合には、第2風路部品764は不要となるので、第1風路部品762と内箱にて冷気風路760を構成することができ、低コストの冷蔵庫、機器が得られる。ここで、第2風路部品764は、冷気の流れ方向に対する断面がU字状の開口を有しているが、別にU字状でなくてもよく、冷気風路を構成できれば良いので、冷気の流れ方向に対する断面形状が角状あるいは楕円状であって内部に冷気風路が形成できていれば良い。内部の冷気風路の断面形状も角状あるいは楕円状であっても良い。冷気風路は円形あるいは楕円形状の方が流路抵抗が小さく効率が良く、また、円形よりも幅方向に細長い楕円形状の方が、奥行き方向の長さを小さくできるので、貯蔵室内への突出量を小さくでき、収納容積も大きくできる。
ここで、第1風路部品762あるいは第2風路部品764を直接凹部440を形成する内箱750に固定あるいは保持することで冷気風路760を形成しても良いが、図4のように第1風路部品762に突出部(延出部)763を設け、この突出部763を図4の場合よりも長く延出させることによって、突出部(延出部)763が空間770をまたいで凸部450に固定できるようにしても良い。この場合、突出部(延出部)763を固定する場所によっては突出部763により空間770の収納容積が減少する可能性があるため、冷気風路760の上下に設けられる天面壁740あるいは底面壁780あるいは貯蔵室間を仕切る仕切壁24あるいは棚80の近傍にまで突出部(延出部)763を延出させて(またがせて)凸部450に固定あるいは保持させるようにすれば収納容積の減少を小さくできる(背の高い収納物が突出部(延出部)763に当たって収納できない事態を抑制できる)。
ここで、冷気風路760を形成する部品(第1風路部品あるいは第2風路部品)は、冷気風路760の上下に設けられる天面壁740近傍あるいは底面壁780近傍あるいは貯蔵室間を仕切る仕切壁24近傍あるいは側壁790に直接、固定あるいは保持するようにしても良い。(たとえば突出部763が空間770の上下方向略中央あるいは略中央よりも下方に設けられている場合には、空間770に背の高い収納物を収納する場合に収納物が突出部763に当たって収納できない可能性があるので、天面壁740近傍(あるいは底面壁780近傍あるいは貯蔵室間を仕切る仕切壁24近傍)などの邪魔になりにくい場所に設けるようにすれば、空間770に収納物を収納しても突出部763が邪魔になりにくく収納容積を大きくできる。)
また、少なくとも貯蔵室内の背面の一部を覆うカバーである第1風路部品762は、冷気風路760の少なくとも一部を形成あるいは冷気風路760の少なくとも一部を覆う風路カバー部と、風路カバー部から幅方向(左右方向あるいは側壁790方向)に延出し背面壁730あるいは凹部440の少なくとも一部を覆う背面カバー部と、背面カバー部に接続あるいは背面カバー部に一体に形成されて側壁790の少なくとも一部を覆う側面カバー部と、を備えるようにしてもよい。そして、背面カバー部を背面壁730あるいは凹部440あるいは凸部450を形成する内箱750に固定あるいは保持するなどして取り付けるようにしても良い。あるいは、側面カバー部を側壁790あるいは凸部450を形成する内箱750に固定あるいは保持するなどして取り付けるようにしても良い。このようにすると、カバーである第1風路部品762によって、背面壁730や側壁790や凸部450の少なくとも一部を覆うことができるので、意匠性が向上し、組立性も向上する。
また、少なくとも貯蔵室内の背面の一部を覆うカバーである第1風路部品762は、冷気風路760の少なくとも一部を形成あるいは冷気風路760の少なくとも一部を覆う風路カバー部と、風路カバー部から幅方向(左右方向あるいは側壁790方向)に延出し背面壁730あるいは凹部440の少なくとも一部を覆う背面カバー部と、風路カバー部と接続あるいは風路カバー部と一体に形成されて背面壁730の上下方向に設けられる仕切壁24(天井壁740あるいは底面壁780を含む)の少なくとも一部を覆う上下壁カバー部と、を備えるようにしてもよい。そして、背面カバー部を背面壁730あるいは凹部440あるいは凸部450を形成する内箱750に固定あるいは保持するなどして取り付けるようにしても良い。あるいは、上下壁カバー部を背面壁730の上下方向に設けられる仕切壁24(天井壁740あるいは底面壁780を含む)を形成する内箱750に固定あるいは保持するなどして取り付けるようにしても良い。このようにすると、カバーである第1風路部品762によって、背面壁730や仕切壁24や天井壁740や底面壁780の少なくとも一部を覆うことができるので、意匠性が向上し、組立性も向上する。
冷気風路760あるいは冷気風路760を形成する部品(第1風路部品あるいは第2風路部品など)には、冷却器13で生成されて冷気風路760内等を流れてきた冷気を貯蔵室(たとえば冷蔵室2や野菜室5や冷凍室6など)内に供給するための冷気供給口768が冷気風路760の側面あるいは前面に1つあるいは複数設けられており、この冷気供給口768は貯蔵室内の食品などの収納物や貯蔵物を効果的に冷却できる位置に設けられている。側面の冷気供給口と前面の冷気供給口の上下方向の高さ位置は同じ位置でも良いが、高さ位置をずらして配置した方が高さの異なる位置から冷却できるので、食品などの収納物や貯蔵物を満遍なく効率よく冷却できる。また、左右の側面(右側面と左側面)に設けられる冷気供給口768の高さ位置も同じ高さでも良いが、高さ位置をずらして配置した方が高さの異なる位置から冷却できるので、食品などの収納物や貯蔵物を満遍なく効率よく冷却できる。
なお、真空断熱材400の幅寸法、断熱箱体や冷蔵庫への設置位置は図4や図5と同等である。すなわち、冷蔵庫1の背面壁730に設けられる真空断熱材400の左右方向の幅は、たとえば冷蔵庫1の側壁790の貯蔵室内面壁791、792間の幅よりも小さくしており、冷蔵庫1の背面側に設けられるウレタン断熱材の充填口703、704より充填されるウレタンなどの断熱材の充填流路を塞ぐことがないようにしている。
ここで、真空断熱材400は、冷蔵庫1の背面の左右端部側に設けられるウレタンなどの断熱材の充填口703、704よりも外側にはみ出さない位置(たとえば充填口703、704の開口を塞がない位置、あるいは充填口703、704の開口より断熱箱体内(たとえば側壁790)に流入するウレタンなどの断熱材が側壁790内あるいは背面壁730内等に流入するのを阻害したり邪魔したりしない位置)に配置されていれば良い。たとえば左右の充填口(左充填口703と右充填口704)よりも幅方向中心側(内側)の位置、また、充填口703、704とは上下方向位置が重ならない位置に配置することで充填口703、704より断熱箱体内(内箱750と外箱710の間の空間315、たとえば側壁790内や背面壁730内など)に充填されるウレタンなどの断熱材が断熱箱体内(内箱750と外箱710の間の空間315)に充填されるのを阻害したり邪魔したりしないので、断熱材の充填不足や密度不足がなくなり、断熱性能が低下しない高性能な断熱箱体や冷蔵庫が得られる。
ここで、真空断熱材400と内箱750が接着を主目的とする接着剤(自己接着性を有する発泡断熱材でも良い)を介して直接、接着されている直接接着部位である凹部440は、たとえば硬質ウレタンなどの補強部材が充填されている補強部材介在部位(たとえば凸部450)に対して凸部450の突出高さ分だけ段差部776を有しており、凹部440は凸部450に対して奥行き方向(後方側)に凹んでいる。逆に補強部材介在部位である凸部450は、段差部776の分だけ直接接着部位である凹部440に対して奥行き方向の前方側に突出している。また真空断熱材400と内箱750が自己接着性の発泡断熱材などの接着剤を介して直接、接着されている直接接着部位である凹部440は、冷気風路760の高さ(厚さ)分だけ段差を有しており、凹部440は冷気風路760の前面側端面769に対して奥行き方向(後方側)に凹んでいる。逆に冷気風路760の前面側端面769は、段差の分だけ直接接着部位に対して奥行き方向の前方側に突出している。
以上のように本実施の形態では、内箱750と外箱710から形成され、内箱750と外箱710との間に真空断熱材400を備えた断熱箱体や冷蔵庫や保冷庫やショーケースなどの機器において、室内(たとえば貯蔵室内)の背面壁730内に設けられる真空断熱材400を内箱750に直接、自己接着性を有する発泡断熱材などの接着剤で貼り付けた直接接着部位(図では凹部440)と、真空断熱材400と内箱750との間に箱体の強度を向上させる補強部材であるウレタンなどの断熱材が介在する補強部材介在部位(図では凸部450)とを備えている。ここで、真空断熱材400と外箱710とは、直接、ホットメルトや両面接着テープなどの第2の接着剤で貼り付けられている。ホットメルトや両面テープなどの第2の接着剤は、真空断熱材400側、あるいは外箱710側に予め塗布あるいは貼り付けることができるので、接着剤の厚さを薄く出来るので良いが、塗りムラや貼りムラなどができる恐れがあるので、真空断熱材400と内箱750の間は自己接着性を有する発泡断熱材を使用した方が良い。
また、本実施の形態では、たとえば補強部材介在部位(たとえば凸部450)と直接接着部位(たとえば凹部440)とが貯蔵室内の同一高さ位置の幅方向に設けられており、貯蔵室内の幅方向の左右端部に設けられた補強部材介在部位(たとえば凸部450)と、左右の補強部材介在部位に挟まれるように左右の補強部材介在部位の間に設けられた直接接着部位(たとえば凹部440)と、によって、貯蔵室背面の左右方向に凸部450(補強部材介在部位)が形成され、凸部450の間に凹部440(直接接着部位)が形成されている。ここで、凹部440と凸部450は、貯蔵室内の上下方向のほぼ全高さ範囲にわたって設けた方が箱体の強度確保あるいは冷気風路の確保の点より望ましい。
このように、凹部440と対向する位置において、真空断熱材400と外箱710とを第2の接着剤を介して直接接触あるいは当接させるようにしているので、外箱710と真空断熱材400との間に断熱材が不要であり、断熱材を介在させる場合に比べて貯蔵室内容積を大きくできる。また、直接接着部位(たとえば凹部440)においては、真空断熱材400と内箱750を接着性を有する発泡接着剤を介して接触あるいは当接させている。本実施の形態では、真空断熱材400の配設部位(たとえば凹部440)では、真空断熱材400で断熱性能と強度を持たせるようにしているので、内箱750と真空断熱材400との間には断熱を主目的とする断熱材が不要であり、断熱を主目的として断熱材を介在させる場合に比べて壁厚さを薄くできるので、貯蔵室内容積を大きくできる。ここで、接着剤として流動性が必要な場合には、自己接着性を有する硬質ウレタンフォームなどを使用して空間315内に二相状態で流入させた後に発泡させることで接着させてもよい。
本実施の形態では、貯蔵室内を冷却する冷気を送風する冷気風路760として凹部440を利用することができるので、ユーザの手の届きにくい貯蔵室の背面の凹部440の有効利用が行えるため、貯蔵室内の収納容積を効率よく使用できる。また、所定の強度(曲げ強度や折り曲げ用度)を有する真空断熱材400を使用し、また、凸部450を貯蔵室内に所定の幅(ねじり強度や折り曲げ強度が確保できる程度が好ましい)で上下方向に連続して設けるようにすれば、断熱箱体700や冷蔵庫1の必要な強度が得られ、ねじり強度や前後方向や左右方向の折り曲げ強度が確保できるので、信頼性の高い断熱箱体700や冷蔵庫1が得られる。なお、断熱箱体700や冷蔵庫1の必要な強度が得られ、ねじり強度や前後方向や左右方向の折り曲げ強度が確保できれば、凸部450は、上下方向に連続して設ける必要はなく、1箇所あるいは断続して複数箇所設けても良い。
本実施の形態では、貯蔵室内背面の左右端部側(幅方向端部側)において上下方向にわたって配設されたウレタンなどの断熱材701で構成された凸部450が形成されるので、この凸部450が形成されることによって断熱箱体700や冷蔵庫1のねじれ強度、折り曲げ強度が改善される。したがって、断熱箱体700や冷蔵庫1が変形して貯蔵室(例えば冷蔵室2)の前面に設けられた貯蔵室扉(例えば回転式(ヒンジ式)の冷蔵室扉7)が傾いたり、たとえば観音開き扉の場合に左右の扉(7A、7B)の一方が傾いて位置ずれを起こしたりすることがなくなるので、貯蔵室扉の開閉がスムーズに行える。また、左右の貯蔵室扉の位置ズレが起こらないので見栄えが良い。また、引き出し式扉の場合には、断熱箱体700が変形することによって貯蔵室(たとえば製氷室3、切替室4、野菜室5、冷凍室6等)内壁(左右の側壁)791、792に設けられた引出式ケース用のレールの取り付け高さが左右で異なったり、傾いたりすることがなくなるので、ケースの出し入れがスムーズに行える。
ここで、本実施の形態では、真空断熱材400、凸部450を形成するウレタンなどの断熱材は、所定の強度が必要なため、真空断熱材400は曲げ弾性率は20MPa以上、凸部450を形成するウレタンなどの断熱材は曲げ弾性率が13.0MPa以上(好ましくは15MPa以上)、密度が60kg/m3より大きなもの(好ましくは62kg/m3以上)を使用している。従来は、ウレタンなどの断熱材で箱体強度と断熱性能の両方を得ようとしていたため、箱体強度確保の観点からウレタン断熱材には曲げ弾性率を大きくすることが必要であるが、硬質ウレタンの特性として曲げ弾性率を大きくしようとすると密度が大きくなり密度が大きくなると断熱性能が低下する。したがって、ウレタンの場合、所定の断熱性能を得るために曲げ弾性率を10MPa程度以上にすることが困難であり、したがって、ウレタンの厚さをたとえば15mm程度よりも薄くすることができなかった。ここで、ウレタンの厚さは薄ければ薄い方が壁の厚さを小さくでき、貯蔵室内容積を大きくできるので良い。しかし、壁厚さを小さくするためにウレタンの厚さを薄くしていくとウレタンの密度が大きくなり曲げ弾性率も大きくなるため箱体強度は大きくできるが、密度が大きくなると断熱性能が悪化するため、ウレタンの厚さを所定値(たとえば15mm)よりも薄くすることは困難であった。
本発明では、真空断熱材400に曲げ弾性率が20MPa以上の大きなものを使用するようにしているので、真空断熱材400が配設されている部分(箱体あるいは壁)では、断熱性能と強度の両方を真空断熱材400に持たせることが可能であり、外箱と内箱の間にウレタンなどの断熱材を充填する場合でも、真空断熱材が配設されている部位では、ウレタンを断熱を主目的とする断熱材として使用する必要がなく接着剤として使用可能となる。したがって、ウレタンなどの断熱材を真空断熱材400と内箱750、あるいは真空断熱材400と外箱710とを接着する接着剤として使用できるので、ウレタンの厚さを小さくしてウレタンの断熱性能が低下しても問題ない。ここで、真空断熱材400の被覆率(断熱箱体700、扉の表面積に対する真空断熱材400の配設面積の比率)あるいは真空断熱材400の充填率(外箱710と内箱750との間の空間315に対する真空断熱材400の占める容積比率)を所定値以上(たとえば40%以上)に大きくすることで、真空断熱材400が配設されていない部位があったとしても断熱箱体700としての断熱性能、強度も確保できる。
したがって、本実施の形態のように凹部440など外箱710と内箱750との間に真空断熱材400が配設されている部位においては、真空断熱材400で断熱箱体700の強度と断熱性能の両方を持たせるようにすれば、真空断熱材400と外箱710との間、あるいは真空断熱材400と内箱750との間には、接着を主目的とする接着剤として硬質ウレタンフォームを使用することができるため、ウレタンの厚さを小さくすることが可能となり、ウレタンの断熱性能の低下を考慮しなくても良くなる。したがって、硬質ウレタンフォームの厚さを薄くすることで壁厚さを小さくして硬質ウレタンの断熱性能が低下しても箱体の断熱性能は真空断熱材400が担うので問題ない。よって、ウレタンの厚さを小さくして壁厚さを小さくすることで貯蔵室内容積を大きくすることが可能となる。ただし、外箱710と真空断熱材400の間、あるいは内箱750と真空断熱材400との間のいずれか一方には、ホットメルトや両面テープなどの第2の接着剤を使用した方が、壁厚さを薄くできるので、貯蔵室内の容積を大きくできる。
ここで、真空断熱材400と外箱710との間、あるいは真空断熱材400と内箱750との間に使用する接着剤として使用する場合の硬質ウレタンフォームの厚さは、所定値以下あるいは真空断熱材400の厚さよりも小さくした方が壁厚さを小さくできるので、貯蔵室内の容積を大きくできる。ここで、真空断熱材400と外箱710との間、あるいは真空断熱材400と内箱750との間のどちらか一方に対して接着を主目的として使用する硬質ウレタンフォームの厚さを真空断熱材400の厚さよりも小さくすれば壁厚さを小さくできる効果が得られるが、真空断熱材400と外箱710の間の硬質ウレタンフォームの厚さと、真空断熱材400と内箱750との間の硬質ウレタンフォームの厚さの合計を、真空断熱材400の厚さよりも小さくすれば、更に壁厚さを小さくできるので、貯蔵室内の容積を大きくできる。
本実施の形態では、真空断熱材400と外箱710の間、あるいは真空断熱材400と内箱750との間に使用する接着剤として硬質ウレタンフォームを使用し、ウレタンの厚さを可能な限り薄くしているが、真空断熱材400と外箱710の間、あるいは真空断熱材400と内箱750との間だけでなく、真空断熱材400が設けられていないウレタンのみが充填される部位(壁内)であっても同じ硬質ウレタンフォームを使用しても良い。真空断熱材400が設けられていないウレタンのみが充填される部位(たとえば壁内あるいは凸部内の一部)については、真空断熱材400が存在しないので、真空断熱材400の厚さ分だけ硬質ウレタンの厚さを大きくできるため、ウレタンの断熱厚さも大きくできる。したがって、真空断熱材400と外箱710との間、あるいは真空断熱材400と内箱750との間に充填されるウレタンの厚さよりも真空断熱材400が存在しない部位のウレタンの厚さを大きくできるので、真空断熱材400が配設されている部位のウレタンの密度よりも真空断熱材400が配設されていない部位のウレタンの密度を小さくできるため、真空断熱材400が配設されていない部位のウレタンの断熱性能が向上し所定の性能を確保できる。また、真空断熱材400が配設されていない部位ではウレタンの厚さを大きくできるため、箱体強度も向上する。ここで、本実施の形態では、箱体強度と断熱性能の両方を満足させるため、真空断熱材400の被覆率(断熱箱体700、扉の表面積に対する真空断熱材400の配設面積の比率)あるいは真空断熱材400の充填率(外箱710と内箱750との間の空間315に対する真空断熱材400の占める容積比率)を所定値以上に大きくしている。
本実施の形態では、真空断熱材400で断熱性能、箱体強度を持たせるようにしているので、ウレタン断熱材の厚さを小さくしてウレタン断熱材の強度を曲げ弾性率が13.0MPa以上(好ましくは15MPa以上)に大きくしたものを使用可能である。また、ウレタン断熱材の密度についても60kg/m3より大きなもの(好ましくは62kg/m3以上)を使用することが可能であるので、ウレタンの厚さを低減でき、断熱箱体700の壁厚さも低減できる。ただし、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度は大きくなりすぎると、(1)ウレタンの注入量増加によるコストUP、(2)ウレタンの注入圧力増加によるウレタン漏れの発生、(3)ウレタン発泡時の発泡圧力増加による箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などとウレタンとの密着力、接着力増加のため箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などが箱体から抜けにくくなる(箱体から取り外しにくくなる)、(4)ウレタンの密度増による断熱性能の急激な悪化など、品質悪化、性能悪化、コストUP等の問題が発生する可能性があるので、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度(発泡断熱材の場合は発泡後の密度)は100kg/m3以下(好ましくは90kg/m3以下)にした方が良い。
(凸部に冷気風路)
以上は、凹部440(内箱750の貯蔵室側空間)を冷気風路760として使用する例について説明したが、凸部450内(内箱750と外箱710との間の空間)に冷気風路760を設けても良いし、凸部450の代わりに冷気風路760を別に設けても良い。図7は、本発明の実施の形態1を表す別の冷蔵庫の横断面図で、冷蔵庫1の上下方向に対して垂直な面で冷蔵庫をカットしたときの横断面図である。図7において、図1〜図6と同等部分は同一の符号を付して説明は省略する。
図7において、凸部450の側面452と背面壁730とによって凹部440が形成されており、背面壁730の内面(貯蔵室側)を形成する内箱750と背面壁730の外面を形成する外箱710との間には板状の真空断熱材400が設けられている。ここで、図示されていないが、側壁790の内面(貯蔵室側)を形成する内箱750と側壁790の外面を形成する外箱710との間にも板状の真空断熱材400が設けられてもよい。凸部450に設けられる冷気風路760は、意匠性を有するカバー部材である第1風路部品762と、第1風路部品762の背面側(外箱710側)に設けられ、断熱性を有する第2風路部品764とから構成され、凸部450内に配置されている。このカバー部材である第1風路部品762あるいは第2風路部品764は、取り付け部(係合部)を有しており、背面壁730あるいは側壁790に設けられている取り付け部(係合部)に嵌め込みあるいはねじ等の固定部材によって取り付け部同士が係合するなどして、背面壁730あるいは側壁790に取り付けられる。
ここで、凸部450内には冷気風路760が形成されており、この凸部450は貯蔵室内の背面の幅方向端部側に1つあるいは2つ、あるいは複数設けられている。冷気風路760は断面U字状あるいは断面略矩形状の第2風路部品764(あるいは第2風路部品764と真空断熱材400)によって構成され、凸部450は第2風路部品764とこの第2風路部品764の貯蔵室側を覆うように設けられた内箱750によって構成される。すなわち、真空断熱材400と内箱750との間には冷気風路760が介在している。冷気風路760には、貯蔵室内に冷気を供給する冷気供給口768が1つあるいは複数設けられている。
ここで、第2風路部品764の断面形状が開口部を有するU字状の場合には、開口部が真空断熱材400側に向くように配置されており、U字状の開口部を真空断熱材400が塞ぐことで冷気風路760を構成している。ただし、U字状の開口部は真空断熱材400側を向くように配置せずに、側壁790側、あるいは貯蔵室側を向くように配置して発泡スチロールなどの断熱材でU字状の開口部を塞ぐことで冷気風路760を構成しても良い。また、第2風路部品764を断面の外形形状は矩形状あるいは円状(円管状)あるいは楕円形状であっても良く、内部に冷気風路760が形成されていればどのような形状でもかまわないが、円形や楕円形状の方が流路抵抗が少なくて済むので良い。円形よりも幅方向に細長い楕円形状の方が高さを小さくできるので、貯蔵室内への突出高さを小さくできるので、実効容積を大きくでき、使い勝手がよい。第2風路部品764の断面の外形形状が矩形状あるいは円状(円管状)あるいは楕円形状のように冷気供給口768以外に開口部を有さない形状の場合には、第2風路部品764だけで冷気風路760を形成しても良い。
ここで、冷気風路760を形成する第2風路部品764に所定のねじれ強度や折り曲げ強度を有する断面形状(たとえばU字状あるいは断面の外形形状は矩形状あるいは円状(円管状)あるいは楕円形状等)の部材を使用するようにすれば、凸部450内に冷気風路760を設けることで凸部450の強度が向上し、箱体強度を向上させることができる。ただし、第2風路部品764に断面U字状の部材を使用した場合で、箱体のねじれや折り曲げに対して、U字状の開口部が開いたり狭まったりして強度が不足する可能性がある場合には、第2風路部品764の開口部を別部材(たとえば、板状部材や棒状部材やリブ部材など)で開口部が開いたり狭まったりしないように開口部間を接続したり、開口部を塞ぐなどして強度が確保できるようにすれば良い。
以上のように、本実施の形態では、凸部450内に断熱材701を充填する代わりに補強部材として機能する冷気風路760が設けられている。したがって、本実施の形態では、内箱750と外箱710から形成され、内箱750と外箱710との間に真空断熱材400を備えた断熱箱体や冷蔵庫などの機器において、貯蔵室内の背面に真空断熱材400を内箱750に直接、接着剤等で貼り付けた直接接着部位(図では凹部440)と、真空断熱材400と内箱750との間に箱体の強度を向上させる補強部材である冷気風路760が介在する補強部材介在部位(凸部450)とを備えている。この補強部材介在部位(凸部450)は、背面壁730と側壁790のコーナー部に設けられている。ここで、真空断熱材400と外箱710とは、直接、ホットメルトや両面テープなどの第2の接着剤で貼り付けられている。
ここで、真空断熱材400と内箱750との間の第1の介在部材である接着剤としては、自己接着性を有する硬質ウレタンフォームを使用しても良い。接着剤として硬質ウレタンフォームを使用する場合は、断熱材として機能しなくても良いので、接着剤としてウレタンを使用する場合の接着剤厚さは小さくできる。この場合、ウレタンの厚さは真空断熱材400の厚さよりも小さい方が良く、11mm以下程度が良い。接着剤の厚さは薄ければ薄いほど壁厚さを薄くできるので、貯蔵室内の容積を大きくできるので良く、10mmより小さい方がよく、6mm以下程度が好ましい。1mmよりも小さいと真空断熱材400の表面の凹凸により接着できない部位ができてしまうため内箱750が真空断熱材400から剥がれるなどの品質低下が懸念されるので、ウレタンを接着剤として使用する場合には、3mm以上が好ましい。また、強度確保の点より接着剤として硬質ウレタンフォームを使用する場合には、密度は60Kg/m3より大きい方が良い。ここで、箱体強度を向上させるためには、真空断熱材400に関しては、曲げ弾性率が13MPa以上のものを使用した方が良く、また、凸部450内に充填される断熱材701に関しても曲げ弾性率は13MPa以上、密度は60Kg/m3より大きい方が良い。ただし、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度は大きくなりすぎると、(1)ウレタンの注入量増加によるコストUP、(2)ウレタンの注入圧力増加によるウレタン漏れの発生、(3)ウレタン発泡時の発泡圧力増加による箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などとウレタンとの密着力、接着力増加のため箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などが箱体から抜けにくくなる(箱体から取り外しにくくなる)、(4)ウレタンの密度増による断熱性能の急激な悪化など、品質悪化、性能悪化、コストUP等の問題が発生する可能性があるので、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度(発泡断熱材の場合は発泡後の密度)は100kg/m3以下(好ましくは90kg/m3以下)にした方が良い。
(凹部を冷気風路として利用(その4))
つぎに、本発明の実施の形態1を表す別の冷蔵庫の構成について図8〜図10で説明する。図8は本発明の実施の形態1を表す別の冷蔵庫の横断面図で、冷蔵庫1の上下方向に対して垂直な面で冷蔵庫をカットしたときの横断面図である(図4〜図7も同じ)。図9は本発明の実施の形態1を表す冷蔵庫1の前面の開閉扉を除いた場合の冷蔵庫1を正面からみた正面図、図10は本発明の実施の形態1を示す冷蔵庫1の側断面図である。図8〜10において、図1〜図7と同等部分は同一の符号を付して説明は省略する。
図8において、凸部450が略三角形であり、凸部450の側面が斜辺456に相当する。凸部450は、一端である背面壁側端部798が背面壁730と接続され、他端である側壁側端部797が側壁790と接続されている。凸部450の側面に相当する斜辺456と背面壁730とによって凹部440が形成されており、背面壁730の内面(貯蔵室側)を形成する内箱750と背面壁730の外面を形成する外箱710との間には板状の真空断熱材400が設けられている。ここで、図示されていないが、側壁790の内面(貯蔵室側)を形成する内箱750と側壁790の外面を形成する外箱710との間にも板状の真空断熱材400が設けられてもよい。背面壁730あるいは凹部440に設けられる冷気風路760は、意匠性を有するカバー部材である第1風路部品762と、第1風路部品762の背面側(内箱750側)に設けられ、断熱性を有する第2風路部品764とから構成され、凹部440内に配置されている。このカバー部材である第1風路部品762あるいは第2風路部品764は、取り付け部(係合部)を有しており、凸部450あるいは背面壁730に設けられている取り付け部(係合部)に嵌め込みあるいはねじ等の固定部材によって取り付け部同士が係合するなどして凸部450あるいは背面壁730に取り付けられる。
貯蔵室内の背面に凹部440が形成されており、凹部440の幅方向の一部(たとえば幅方向の略中央部)が冷気風路760として利用されている。冷気風路760は、冷蔵室2に冷気を供給する冷蔵室用冷気風路50であってもよく、静電霧化装置(ミスト装置)200へ冷気を供給したり静電霧化装置200からのミストを貯蔵室である冷蔵室に冷気とともに供給するための冷気風路として使用される。また、冷気風路760は、凹部440の略中央部に設けられる第2風路部品764と第2風路部品764を覆うように設けられるカバーである第1風路部品762とから構成され、第1風路部品762は、断面形状が開口部を有するU字状をしており、前面部761と側面部767とから構成される。
第1風路部品(たとえば風路カバー)762は、凹部440において内箱750が貯蔵室側に突出するように設けられた突起部である固定用突起部910に少なくとも一部が接触するように側面部が配置されており、側面部あるいは前面部が固定用突起部910に固定あるいは保持されている。本実施の形態では、第1風路部品762の側面部の内側面が突起部910の外側面に少なくとも一部が接触しており、ネジや引っ掛け構造や嵌め込み構造等により第1風路部品762が固定あるいは保持されることで冷気風路760が形成される。ここで、第1風路部品762の形状は、断面U字形状の場合を示しているが、略半円形状または曲面形状(アーチ形状)または略V字形状等でもよい。また、第1風路部品762は、突起部910あるいは貯蔵室を形成する内箱(壁面)750あるいは棚80あるいは仕切壁(たとえば背面壁730、側壁790、天面壁740、底面壁780、貯蔵室と貯蔵室との間の仕切壁24等)等に固定あるいは保持されていれば良く、また冷気風路760が形成できれば、どのような形状であっても良い。
冷気風路760は、風量調整手段である冷蔵室ダンパ55を介して冷却器室131と接続されている。冷却器室131内に配置されている冷却器13にて生成された冷気が、冷却器室131に配置された冷気循環ファン(庫内ファン)14によって風路16、風量調整手段である冷蔵室ダンパ55を介して冷蔵室用冷気風路50である冷気風路760に運ばれる。冷気風路760に運ばれた冷気は、第1風路部品762あるいは第2風路部品764あるいは固定用の突起部910に設けられた冷気供給口768より貯蔵室(たとえば冷蔵室2)内に供給される。
本実施の形態では、貯蔵室内への冷気供給口(冷気吹出口)768は、第1風路部品762の前面部、あるいは側面部に1つあるいは複数(少なくとも1つ)設けられている。第2風路部品764が設けられている場合には、第2風路部品764の前面部、あるいは側面部あるいは背面部に1つあるいは複数(少なくとも1つ)設けられている。図では、冷気供給口768が第1風路部品762の前面部に第2風路部品764の前面部を貫通するように設けられているが、第1風路部品762の側面部に第2風路部品764の側面部を連通(あるいは貫通)するように冷気供給口768を設けるようにすれば、前面部からの冷気供給に加えて貯蔵室内に側方からも冷気を供給できるので、満遍なく効率よく、供給できる。ここで、第1風路部品762の冷気供給口と第2風路部品764の冷気供給口は同じ位置(連通する位置)に設ける必要はなく、別の位置(連通しない位置)に設けても良い。たとえば、第1風路部品762の冷気供給口を前面に設け、第2風路部品の冷気供給口を第1風路部品の冷気供給口の位置と上下方向の高さ位置が異なる部位(前面部、側面部)あるいは同じ高さ位置であっても左右方向が異なる位置(側面部)に設けるようにしても良い。
第1風路部品762の前面部761の前面側端面769と凹部440(貯蔵室背面壁)とは、貯蔵室側(冷蔵庫1の前面方向)に対して高さに差があり、この高さの差分だけ段差(段差部775)を有している。この段差部775(たとえば冷気風路760の外郭を形成する部材である第1風路部品762の側面部767あるいは突起部910)に冷気供給口(開口や切欠きなど)768を設けないようにすれば、冷気供給口768の開口や切欠きの分だけ第1風路部品762の前面側端面769(庫内側(貯蔵室側)へ突出する厚さ(高さ))を小さくでき、段差部775の庫内側への突出量小さくできる。したがって、段差部775が小さくなった分だけ貯蔵室内の奥行き方向長さを大きくでき、貯蔵室内の収納容積を大きくできる。
ここで、突起部910は、幅方向に少なくとも2箇所(冷蔵庫1の前面開口からみて右突起部、左突起部)設けられており、左右の突起部910の間の空間が第2の凹部441を形成しており、第2の凹部441は上下方向に溝形状を形成している。この突起部910は、凹部440を形成する貯蔵室背面の内箱が貯蔵室側に突出することで形成されており、上下方向に渡って連続的、あるいは間欠的に設けられている(たとえば、突起部910は、溝形状(第2の凹部441)を形成するように上下方向に略平行に少なくとも2箇所設けられている)。ここで、突起部910は内箱750と別体で形成しても良い。
そして、第1風路部品762の側面部767の内面側が第2の凹部441を形成する突起部910の外面(溝形状を形成する突起部910の外側面)に凹凸嵌合や引っ掛け構造やネジ等により保持あるいは固定される。すなわち、凹凸嵌合により保持あるいは固定する凹凸嵌合構造、あるいは突出した引っ掛け部を有し引っ掛け部が凹部あるいは凸部に引っ掛かることにより保持あるいは固定する固定部材(あるいは保持手段)を第1風路部品762と突起部910に備えることにより第1風路部品762が第2の凹部441を形成する突起部910に固定、あるいは保持される。(たとえば、第1風路部品762に引っ掛け部を設け、突起部910に引っ掛け部と対向する位置に凹部あるいは凸部を設けることで、第1風路部品762を第2の凹部441を形成する突起部910に軽く押圧するだけの簡単な構成で、第1風路部品762が突起部910に固定、あるいは保持される。)
本実施の形態では、たとえば上述したように冷蔵庫1の背面の幅方向(左右方向)略中央部に上下方向に設けられた少なくとも2つの突起部910と、背面壁730の貯蔵室側に形成された第2の凹部(溝形状)441と、第1風路部品762(たとえばU字状をしたU字状部材やアーチ状をした曲面部材など)と、で囲まれた空間(冷蔵庫1の幅方向略中央部に上下方向に設けられる空間)が形成されている。この第2の凹部441と第1風路部品762とで囲まれた空間を冷気風路760として使用しても良いが、図に示すように第2の凹部441と第1風路部品762とで囲まれた空間内に第2風路部品764を収納してこの第2風路部品764を冷気風路760として使用しても良い。ここで、突起部910あるいは第1風路部品762の側面部767は、上下方向に連続している必要はなく、風路が形成できればよく、また、風路内の冷気を貯蔵室(たとえば冷蔵室2等)内に供給できる冷気供給口768が形成できれば良い。
突起部910を冷蔵庫1の上下方向に断続的に複数設け、上下方向に断続的に設けられた複数の突起部間の突起の設けられていない突起無し部(たとえば切欠き等によって上下方向の突起部が途切れた切欠き部分)を貯蔵室内への冷気供給口768として利用しても良い。この場合、第1風路部品762で上下方向に設けられた複数の突起部間の突起なし部(上下方向の突起部が途切れた切欠き部)を塞いで風路を形成しても良いが、第2風路部品764を使用して風路を形成しても良い。また、突起部910を第1風路部品762の固定あるいは保持するための固定部あるいは保持部としてのみに使用しても良い。冷蔵庫1の上下方向に設けられた左右の2つの突起部910にて形成される第2の凹部441と第1風路部品762とで囲まれた空間(冷蔵庫1の上下方向に設けられる空間)を直接冷気風路760として使用する場合は、露付き防止や冷気風路760内の冷気の温度上昇抑制のため、第1風路部品762、あるいは突起部910は断熱材など断熱性能を有する部材を使用した方が良い。この場合、突起部910は、内箱750を突出するように成形して内部にウレタン断熱材を充填するようにすれば良い。
冷蔵庫1の上下方向に設けられた2つの突起部910で形成される第2の凹部441と第1風路部品762とで囲まれた空間(冷蔵庫1の上下方向に設けられる空間)を直接、冷気風路760として使用しても良いが、この空間内に、冷気風路760を有する第2風路部品764を設けても良い。第2風路部品764を設けるようにすれば、第2風路部品764を発泡スチロール等の断熱材などで形成することが可能となるので、第1風路部品762、あるいは突起部910に断熱材など断熱性能を有する部材を使用しなくても良くなり、第1風路部品762、あるいは突起部910の構造が簡略化できる。また、第2風路部品764を発泡スチロールや樹脂等の加工が容易な断熱材などで形成することが可能となるので、第2風路部品764の断面形状(断面の外形形状)を、円形状あるいは楕円形状あるいは多角形状(たとえば三角形や四角形や六角形等)等の色々な形状に加工あるいは成形できる。また、風路の断面形状においても、風路の流路損失や圧力損失など風路抵抗の小さな形状(たとえば円形や幅方向に細長い楕円形状など)を容易に形成できるため、効率の良い断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
第2風路部品764は、第1風路部品762と、幅方向に2つ(2つ以上でも良い)設けられた突起部910に固定あるいは保持された状態で冷蔵庫1の幅方向に設けられた2つの突起部910(2つの突起部910は長さ方向に、連続してあるいは間欠して設けられている)と内箱750とによって形成された第2の凹部441と、で囲まれた空間(冷蔵庫1の上下方向に設けられる空間)に配置されている。第2風路部品764は、内部に冷気風路760を有する風路構造を成しており、第2風路部品764の風路の外形断面形状は、円形状あるいは楕円形状あるいは多角形状(たとえば三角形や四角形や六角形等)等の形状であり、内部に冷気風路760が形成されている。第2風路部品は、内部に冷気風路760が形成できる形状であればどのような形状であっても良い。ここで、第1風路部品962あるいは第2風路部品764など風路を有する部品の場合の断面形状は、空気あるいは冷気の流れ方向に略直角な方向での断面形状を指す。
ここで、第2風路部品764に形成される冷気風路760の断面の外形形状は、円形状あるいは楕円形状あるいは多角形状(たとえば三角形や四角形や六角形等)等の形状であり、第2風路部品764の断面形状と同等や相似形状であれば良いが、第2風路部品764の断面形状と異なっていても良い。すなわち、第2風路部品764の断面の外形形状が略四角形の場合、冷気風路760の断面の外形形状が略円形状あるいは楕円形状あるいは略三角形形状であっても良く、断面の外形形状が異なっても問題ない。ただし、第2風路部品764の風路断面は、空気(冷気)が流れるときの流路抵抗が小さい方が効率が良くなるので、円形や楕円形の方が角型や三角形形状などよりも良い。また、円形よりも幅方向に細長い楕円形状の方が設置時の高さ(貯蔵室内の突出高さ)を小さくできるので貯蔵室内の奥行き寸法を大きくできるので使い勝手が良い。したがって、第2風路部品764は、冷気風路を構成できれば良いので、冷気の流れ方向に対する断面形状が角状あるいは楕円状などであって内部に冷気風路760が形成できていれば良い。内部の冷気風路760の断面形状も角状あるいは楕円状などであっても良い。冷気風路760は円形あるいは楕円形状の方が流路抵抗が小さく効率が良く、また、円形よりも幅方向に細長い楕円形状の方が、奥行き方向の長さを小さくできるので、貯蔵室内への突出量を小さくでき、収納容積も大きくできる。(第2風路部品764の断面形状、あるいは、冷気風路760の断面形状が楕円形状の場合には、幅方向(長軸方向)が奥行き方向(短軸方向)よりも長く形成した方が良い)。ここで、第2風路部品764は、2分割、あるいは3分割など、複数分割して組み立てた状態で1つの風路部品を形成した方が加工しやすく、組み立てやすいので、良い。第2風路部品764の断面形状、あるいは、風路760の断面形状が楕円形状の場合には、第2風路部品764を分割する場合、長軸断面で2つに分割した方が加工性、組立性が向上するので良い。
冷却器室131内に配置されている熱交換器である冷却器13で生成された冷気(空気)が冷気風路16、冷蔵室ダンパ55などを介してたとえば第2風路部品764に形成された冷気風路760内を流れて、冷気供給口768より貯蔵室内に供給される。ここで、第2の凹部441と第1風路部品762とで囲まれた空間は冷気風路760として使用される。本実施の形態では、冷気風路760として使用される空間は、冷蔵庫1の背面の幅方向略中央に上下方向に設けられており、冷蔵庫を正面(前面)からみて冷蔵庫1の幅方向(左右方向)の略中央に1箇所設けられているが、別に1カ所でなくても良く、冷蔵庫1の幅方向(左右方向)に2箇所あるいは複数設けても良い。また、略中央部でなくてもよく、幅方向の端側に設けても良い。
冷気風路760として使用される空間を2箇所あるいは複数設けるようにして、冷却器室131内の熱交換器である冷却器13で生成された冷気を貯蔵室(たとえば冷蔵室2や野菜室5や切替室4やチルド室2X、2Yなど)に供給する冷気風路と、ミスト装置200で生成されたミストを貯蔵室(たとえば冷蔵室2や野菜室5や切替室4やチルド室2X、2Yなど)に供給するミスト用風路とを共有せずに区分けして別々に形成しても良い。このように風路を独立させると、風量調整手段などにより冷気の供給(冷気供給のオン、オフ、あるいは冷気量の制御)とミストの供給(ミスト供給のオン、オフ、あるいはミスト供給量の制御)を独立して制御可能となる。もちろん、冷気風路とミスト用風路を共通にしても問題ない。
第2風路部品764を設ける場合は、第1風路部品762に固定、あるいは保持されるように構成すればよい。あるいは、第2風路部品764を突起部910や内箱750あるいは棚80や仕切壁24や壁面(背面壁730、天井壁740、底面壁780など)などに保持あるいは固定できるようにしても良い。第2風路部品764を第1風路部品762に固定あるいは保持するようにして第1風路部品762、第2風路部品764を一体に形成して風路組立て体とすることで、容易に断熱箱体700あるいは冷蔵庫1に取り付けることができ、しかも容易に取り外すことも可能である。ここで、第2風路部品764が独立した風路を形成する形状の組立体を構成できれば、第2風路部品764が風路組立体を構成することができるので、着脱可能に風路組立体を貯蔵室内(たとえば突起部910あるいは凹部440あるいは第2の凹部441あるいは第1風路部品762あるいは内箱750あるいは棚80など)に取り付けることができる。また、冷気風路760を真空断熱材400と対向する内箱750(凹部440あるいは第2の凹部441を形成する部分の内箱)で構成しなくて良くなるので、構造が簡単になり低コストの断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、第1風路部品762あるいは風路組立体(第2風路部品764、あるいは第1風路部品762と第2風路部品764の組立体)を貯蔵室内のたとえば突起部910あるいは第1風路部品762あるいは棚80などに取り付けるようにすれば、第1風路部品762あるいは風路組立体を真空断熱材400と対向する位置の内箱750(凹部440あるいは第2の凹部441)に直接取り付ける必要がなくなるので、冷気風路760の取付時に内箱750が変形したり、あるいはひびが入ったり、あるいは割れ等が発生したりすることを抑制でき、したがって、内箱が真空断熱材400の外包材などを傷つけることを抑制でき、信頼性が高く断熱性能の低下や劣化の少ない断熱箱体や冷蔵庫や機器が得られる。
ここで、冷気風路760としては、第1風路部品762を凹部440あるいは第2の凹部441を覆うように設けるようにして形成すれば、第2風路部品764を設けなくて冷冷気風路760を形成することができるので、部品点数が少なく低コストで組み立て容易で信頼性の高い断熱箱体や冷蔵庫が得られる。この場合、第1風路部品762を凸部450あるいは棚80あるいは仕切壁24、壁面(背面壁730あるいは側壁790あるいは天井壁740あるいは底面壁780)などに固定あるいは保持するようにすれば良い。
凸部450は、冷蔵庫1を正面側(前面側)からみて貯蔵室背面の幅方向のコーナー部(幅方向の左右端部、幅方向の端部)に少なくとも1箇所以上(1箇所あるいは複数箇所)設けられている。箱体のねじれ強度あるいは曲げ強度あるいは圧縮強度などの箱体強度(箱体剛性)を向上させるため、内箱750と外箱710の間に硬質ウレタンフォームなどの断熱材701が充填されて形成されている。凹部440あるいは第2の凹部441においては、箱体強度は真空断熱材400の強度を所定値以上(たとえば曲げ弾性率を20MPa以上)にすることで持たせるようにしているため、真空断熱材400と内箱750との間には、接着を主目的とする第1介在部材である接着剤(たとえば接着性を有する発泡断熱材など)が充填されており、この第1介在部材である接着剤によって真空断熱材400と内箱750は接着あるいは固定あるいは固着されている。ここで、第1介在部材である接着剤として、硬質ウレタンフォームを使用してもよく、この場合、接着剤として使用するウレタンは、断熱が主目的の断熱材として使用するわけではないのでウレタンの厚さを薄くできる。すなわち、第1介在部材としてウレタンを真空断熱材400と内箱750との間に使用する場合には断熱性能は悪くてもよいので薄くても良く、接着した時に断熱箱体が必要以上に変形や歪まない程度の剛性や強度が得られる接着強度あるいは固定強度を有する所定厚さを有していれば良い。第1介在部材である硬質ウレタンフォームを接着剤として使用する場合の所定厚さは、11mm以下程度(たとえば10mmより小さい)が良く、好ましくは6mm以下程度が良く、また、接着剤としての接着力(接着性能)を満足できれば薄ければ薄い方が良く1mm以上、好ましくは3mm以上程度が良い。
図4〜図8では、冷蔵庫1の横断面を示しており、凸部450は冷蔵庫1の幅方向両端部に設けられており、貯蔵室内側(冷蔵庫1の前面側)に突出した突出部を形成している。図4〜図7においては、凸部450の断面形状(冷蔵庫1の横断面において側壁790部分と背面壁部分を除いた突出部の断面形状)は角形(矩形)であるが、図8においては、凸部450の断面形状(冷蔵庫1の横断面において側壁790と背面壁730に対して貯蔵室内側に突出した部分の断面形状)は、略三角形状をしており、三角形の斜辺456の一端が側壁790内面の所定部位(側壁側端部)797に接続され、斜辺456の他端が背面壁730の内面の所定部位(背面壁側端部)798と接続されている。すなわち、略三角形の斜辺456は一端が側壁790内面の所定部位(側壁側端部)797に接続され、他端が背面壁730の内面の所定部位(背面壁側端部)798と接続されているので、背面壁側端部798と側壁側端部797を起点とした凸部450の斜辺部456は庫内側に突出していることになる。すなわち、凸部450の断面形状において、略三角形の斜辺456に相当する部分は、貯蔵室内の内箱750において、側壁790の所定部位797から背面壁730の所定部位798に渡って略直線状あるいは曲線状あるいはアーチ状等に形成されている。
したがって、凸部450の断面形状が略三角形状の場合には、所定の強度が得られるように略三角形状の斜辺456の長さを設定すれば良い。凸部450の断面形状が角形形状の場合よりも略三角形形状の方が、凸部450に角部を有さないため貯蔵室内に突出する容積を小さくすることが可能となり、貯蔵室内の容積を大きくすることが可能となる。また、凸部450に角部を有さないので、意匠性も向上する。
また、本実施の形態では、突起部910が溝形状(第2の凹部)441を形成するように貯蔵室側(冷蔵庫1の前面側)に突出して貯蔵室内の上下方向に連続的あるいは断続的に複数設けられているので、箱体強度を向上させることが可能となる。ここで、左右の側壁790と背面壁730とのコーナー部に設けられる左右2箇所の凸部450間に設けられる凹部440は、凸部が略三角形状の場合には、左右の凸部450のそれぞれの斜辺456が接続される背面壁の所定部位798間の範囲(図8においてWで表示した部分)となる。
図4〜図8では、冷蔵庫1の背面壁730内に設けられる真空断熱材400の左右方向の幅は、貯蔵室(たとえば、冷蔵室2や野菜室5や冷凍室6など)の内壁の幅と略同等(貯蔵室を形成する左右の側壁790間の距離(長さ)と略同等)にしており、ウレタン等の充填口703、704より充填されるウレタンなどの発泡断熱材が側壁790内にスムーズに充填できるようにしている。また、内箱750と外箱710の間の空間315にウレタン等の発泡断熱材を充填する充填口703、704が真空断熱材400と重ならない(真空断熱材400が充填口703、704を塞がない)ようにしており、ウレタン等の発泡断熱材を注入時に真空断熱材400が充填口703、704を塞いで発泡断熱材が側壁790内や天井壁740内や底面壁780内や仕切壁24内へ流入するのを邪魔しないようにしている。
また、図4〜図8においては、凸部450は箱体強度を維持あるいは向上させるための補強部材としての機能を有するが、パイプ720あるいは冷媒配管725などを収納する収納部も兼ねている。なお、図8における第2の凹部441を形成する突起部910をパイプ720あるいは冷媒配管725などを収納する収納部に使用しても良いし、発泡断熱材などを充填して補強部材として使用してもよい。凸部450あるいは突起部910の一方をパイプ720あるいは冷媒配管725などを収納する収納部として使用しても良いし、凸部450と突起部910の両方をパイプ720あるいは冷媒配管725などを収納する収納部として使用しても良い。このように凸部450あるいは突起部910をパイプ720あるいは冷媒配管725などを収納する収納部に使用したり、あるいは箱体補強部として使用すれば、別途、パイプ720あるいは冷媒配管725などを収納する収納部を設ける必要がなくなり、構造が簡単で低コストで高強度の断熱箱体、冷蔵庫、機器などが得られる。
凸部450は、貯蔵室背面の幅方向の端側のコーナー部(片側コーナーあるいは両側コーナー)に設けられている。凸部450は、貯蔵室の幅方向に対して一端が貯蔵室を形成する側壁790の所定部位(側壁奥行き方向端部797)に接続され、幅方向の他端が真空断熱材400と幅方向に所定長さXだけ重なる位置の背面壁730の所定部位(背面壁幅方向端部798)に接続されており、内部に硬質ウレタン等の発泡断熱材が充填されている。このように凸部450を真空断熱材400の幅方向において一部が重なる位置(重なり長さXの位置)まで延設することで、真空断熱材400が凸部450内のウレタンを介して側壁790内のウレタンと一体に形成され、側壁790と背面壁730とが真空断熱材400、硬質ウレタンとともに一体に強固に形成され、断熱箱体700の強度が向上する。この場合、側壁790内に充填する硬質ウレタンフォームを真空断熱材400と内箱750との間の空間にも充填させて発泡させれば容易に対応可能である。ここで、凸部450はコーナー部に設けられており、断面形状が角形や矩形や略三角形状や円弧状やアーチ状で貯蔵室内に突出するように内箱750が成形され、この凸部450が形成される内箱750と外箱710との間に硬質ウレタンフォームなどを充填あるいは設置することで補強部材として凸部450が形成される。ここで、外箱710と内箱750の間の空間に充填されるウレタン等の充填材は、真空断熱材400が設けられている部分と設けられていない部分の断熱箱体700の断熱性能、内箱750と真空断熱材400と外箱710の接着強度、断熱箱体700の強度(剛性)などを考慮して決められ、本実施の形態では、硬質ウレタンフォームを充填材として使用している。
強度部(補強部)である凸部450の背面壁730側の一端が、真空断熱材400と所定長さ(重なり長さ)Xだけ重なるように設けているので、凸部450内に充填された硬質ウレタンフォームによって、真空断熱材400と内箱750が強固に接着され、真空断熱材400がウレタンを介して側壁790とも強固に接続される。また、貯蔵室背面の幅方向のコーナー部に貯蔵室内に突出する凸部450が形成されるので、真空断熱材400の配置されている凹部440の硬質ウレタンフォームの厚さが薄くなっても、断熱性能の低下が抑制され、また凸部450及び真空断熱材400によって箱体強度が向上する。また、真空断熱材400の配置されていない壁面(たとえば側壁790や仕切壁24など)においても、真空断熱材の配設面積や配設容積を大きく(真空断熱材の被覆率や充填率を大きく)することによって、真空断熱材400の配置されていない壁面を含めた断熱箱体としての断熱性能も確保できる。また、凸部450が真空断熱材400と幅方向で重なる位置まで延設されているので、真空断熱材400、側壁790、背面壁の凹部(440、441)とが一体に形成(あるいは成形)でき、箱体強度が向上する。
また、凸部450内には、制御配線や電力線等のリード線が収納されるパイプ720や冷媒配管725を配置しても良く、この場合には、凸部450による箱体強度向上に加えて、パイプ720や冷媒配管725も箱体強度の向上のための補強部材として活用できる。したがって、箱体強度向上のために別途補強部品が不要となるので低コストであり、しかも断熱箱体700の補強が行えるので断熱箱体の箱体強度が向上できる。また、補強部材を凸部450内に配置できるため、意匠性も向上する。したがって、低コストで信頼性の高く意匠性の優れた断熱箱体、冷蔵庫が得られる。
ここで、凸部450が真空断熱材400と重なる幅方向の所定長さXは、長いほど凸部450内の硬質ウレタンと真空断熱材400とが固着(あるいは保持)できる長さ(あるいは固着面積)が大きくなり箱体強度を向上させることができるが、長すぎると凸部450の貯蔵室内への突出量(貯蔵室内に突出する体積)が大きくなり、貯蔵室内の容量が小さくなるので、200mm以下好ましくは180mm以下が良い。また、凸部450が真空断熱材400と重なる幅方向の所定長さXが短かすぎると、真空断熱材400と凸部450内の硬質ウレタンとの固着力が小さくなり箱体の強度が低下するし、また、硬質ウレタンなどの充填材の真空断熱材400に対する重なる長さXが30mmよりも短くなると真空断熱材400の表面を伝って熱漏洩が大きくなる。すなわち、硬質ウレタンなどの充填材が真空断熱材400に対して重なる部分の長さXが30mmよりも短くなると、真空断熱材400の内箱750側(貯蔵室側)の表面から外箱710側(背面側)の表面へのヒートブリッジによる熱漏洩が大きくなり断熱性能が低下するので、30mm以上好ましく40mm以上が良い。したがって、真空断熱材400と凸部450の重なる長さXは、下限は30mm以上(好ましくは40mm以上)が良く、上限は200mm以下(好ましくは180mm以下)が好ましく、断熱箱体700の側壁790間距離(貯蔵室内面壁791、792間の距離)の1/3以下程度が良い。(冷蔵庫1の外幅が約600mmとした場合、側壁790の厚さを30mmとすると、側壁790の内面壁間距離は約540mmとなるので、重なる長さXは540mmの1/3以下、すなわち180mm以下程度が良い。)
本実施の形態では、真空断熱材400を背面壁に配置した例で説明しているが、側壁790に配置しても良く、真空断熱材400を背面壁と側壁790の両方に配置してもよい。この場合は、側壁側も、背面壁側と同様の理由から、真空断熱材400と凸部450の重なる長さは、下限は30mm以上(好ましくは40mm以上)が良く、上限は200mm以下(好ましくは180mm以下)が好ましい。(真空断熱材400と凸部450の重なる長さは、真空断熱材400の幅に対して第1の所定値(たとえば30mm好ましくは40mm)以上第2の所定値(たとえば真空断熱材400の幅の1/3程度)以下が望ましい。第1の所定値が30mmより小さいと、硬質ウレタンなどの充填材が真空断熱材400に対して重なる部分の長さXが短くなり、真空断熱材400の内箱側(貯蔵室側)の表面から外箱側(背面側)の表面へのヒートブリッジによる熱漏洩が大きくなり断熱性能が低下するし、凸部と真空断熱材400との重なる長さが短くなりすぎて箱体の強度が低下するので、第1の所定値は30mm以上(好ましくは40mm以上)が好ましい。また、第2の所定値が真空断熱材400の幅の1/3を越えると凹部440あるいは第2の凹部441の幅が小さくなり、冷気風路760が所定の大きさを確保できなくなるので、第2の所定値は1/3以下が良い。)
ここで、真空断熱材400を天井壁740あるいは底面壁780あるいは貯蔵室間を仕切る仕切壁24に配置してコーナー部に凸部450を設けても良い。背面壁730と天井壁740のコーナー部に形成される凸部と真空断熱材400との重なる長さ、あるいは背面壁730と底面壁780とのコーナー部に形成される凸部と真空断熱材400との重なる長さ、あるいは背面壁730と仕切壁24とのコーナー部に形成される凸部との重なる長さ、あるいは側壁790と天井壁740とのコーナー部に形成される凸部と真空断熱材400との重なる長さも、上記と同様に下限は30mm以上(好ましくは40mm以上)が良く、上限は200mm以下(好ましくは180mm以下)が好ましい。
以上のように、強度部である凸部450の一端が真空断熱材400に重なる部分の幅方向の長さXを所定範囲内に設定しているので、箱体強度と断熱性能を損なうことなく左右の凸部450間に形成される凹部440、あるいは凸部450と第2の凹部との間に形成される空間770(突起部910と凸部450との間の空間770)を大きくできる。したがって、所定の箱体強度及び所定の断熱性能を確保した上で、庫内容積を増大でき、食品などの貯蔵品収納空間である空間770を大きくできるので、貯蔵室内の収納容積を大きくでき、ユーザにとって使い勝手の良い冷蔵庫、機器が得られる。
本実施の形態では、貯蔵室前面の開閉ドア(たとえば冷蔵室扉7)内にも真空断熱材400が設けられており、扉外郭を形成する扉内板と扉外板に対して接着剤にて直接、真空断熱材400が貼り付けられている。この場合、接着剤として硬質ウレタンを使用してもよい。この場合は、ウレタンは、断熱材として使用されるわけではないので断熱性能が悪くてもよく、接着した時に所定の接着強度を有する所定厚さを有していれば良い。接着剤としての所定厚さは、11mm以下程度、好ましくは6mm以下程度が良く、また、接着剤としての接着力(接着性能)を満足できれば薄ければ薄い方が良く1mm以上、好ましくは3mm以上程度が良い。ここで、冷蔵室扉7の強度(ねじれ強度、曲げ強度など)は真空断熱材400の強度(剛性)で確保しているので、従来のように発泡断熱材で扉強度を確保する必要がないため、接着材にウレタンを使用する場合でも上述したように接着剤として所定厚さ分だけ確保できれば良いので、扉の厚さを薄くできる。したがって、その分、庫内容積を大きくできる。ここで、冷蔵室扉7などの貯蔵室扉7、8、9、10、11の前面にガラス面材を設け、ガラス面材と真空断熱材との間に介在部材として接着剤(たとえば硬質ウレタンフォーム)を使用する場合であっても、接着剤としての所定厚さは、11mm以下程度(たとえば10mmより小さい方が良い)、好ましくは6mm以下程度が良く、また、接着剤としての接着力(接着性能)を満足できれば薄ければ薄い方が良く1mm以上、好ましくは3mm以上程度が良い。
ここで、図4〜図7の場合と同様に、少なくとも貯蔵室内の背面の一部あるいは第2の凹部441を覆うカバー部材である第1風路部品762は、冷気風路760の少なくとも一部を形成あるいは冷気風路760の少なくとも一部を覆う風路カバー部と、風路カバー部から幅方向(左右方向あるいは側壁790方向)に延出し背面壁730あるいは凹部440の少なくとも一部を覆う背面カバー部と、背面カバー部に接続あるいは背面カバー部に一体に形成されて側壁790の少なくとも一部を覆う側面カバー部と、を備えるようにしてもよい。そして、背面カバー部を背面壁730あるいは凹部440あるいは凸部450を形成する内箱750に固定あるいは保持するなどして取り付けるようにしても良い。あるいは、側面カバー部を側壁790あるいは凸部450を形成する内箱750に固定あるいは保持するなどして取り付けるようにしても良い。このようにすると、カバーである第1風路部品762によって、背面壁730や側壁790や凸部450の少なくとも一部を覆うことができるので、意匠性が向上し、組立性も向上する。
また、少なくとも貯蔵室内の背面の一部を覆うカバー部材である第1風路部品762は、冷気風路760の少なくとも一部を形成あるいは冷気風路760の少なくとも一部を覆う風路カバー部と、風路カバー部から幅方向(左右方向あるいは側壁790方向)に延出し背面壁730あるいは凹部440の少なくとも一部を覆う背面カバー部と、風路カバー部と接続あるいは風路カバー部と一体に形成されて背面壁730の上下方向に設けられる仕切壁24(天井壁740あるいは底面壁780を含む)の少なくとも一部を覆うように背面壁730の上端部あるいは下端部から前方に延出して設けられる上下壁カバー部と、を備えるようにしてもよい。そして、背面カバー部を背面壁730あるいは凹部440あるいは凸部450を形成する内箱750に固定あるいは保持するなどして取り付けるようにしても良い。あるいは、上下壁カバー部を背面壁730の上下方向に設けられる仕切壁24(天井壁740あるいは底面壁780を含む)を形成する内箱750に固定あるいは保持するなどして取り付けるようにしても良い。このようにすると、カバーである第1風路部品762によって、背面壁730や仕切壁24や天井壁730や底面壁780の少なくとも一部を覆うことができるので、意匠性が向上し、組立性も向上する。
図9、図10において、冷蔵庫1は最上段に観音開き式(あるいは開閉式)の貯蔵室である冷蔵室2を備えている。冷蔵室2の下には貯蔵室である製氷室3及び切替室4が左右に並列に配設されている。冷蔵庫1の最下段には貯蔵室である野菜室5を備え、野菜室5の上には貯蔵室である冷凍室6を備えている。この冷凍室6は、左右に並列に配設された製氷室3と切替室4の下方で、野菜室5の上方に設けられており、いわゆる野菜室5と左右に並列に配設された製氷室3及び切替室4との間に冷凍室6が配設されるミッドフリーザータイプの貯蔵室配置となっている。
貯蔵室である冷蔵室2内は、貯蔵品(食料品や飲料品等)を収納するための貯蔵品収納空間21を有し、この貯蔵品収納空間21には、貯蔵品を載置する複数の樹脂製やガラス製の棚80が設けられている。この貯蔵品収納空間21の下方(最下段の庫内棚の下部)には、略密閉構造の容器2X、2Yが設けられており、+3℃〜−3℃程度のチルド温度帯に制御されるチルド室2Y、あるいは、+3℃〜+5℃程度に維持される野菜室温度帯に制御される野菜室2Xとして使用される。この略密閉構造の容器2X、2Yは、たまごを保存する卵室として使用しても良い。また、この略密閉構造の容器2X、2Yは、たとえば引出式構造を有しており、容器を引き出すことで貯蔵品の出し入れが行える。
略密閉構造の容器2X、2Yの構造としては、上面が開口した上面開口部を有する容器の上面開口部に着脱式のフタを設けるようにすれば略密閉構造の容器を構成できる。このフタは容器の方に設けても良いし、容器上部に設けられている棚80や仕切壁に設けても良いし、容器上部の棚や仕切壁のそのものをフタと兼用しても良い。
本実施の形態では、野菜室5と左右に並列に配設された製氷室3及び切替室4との間に冷凍室6を配設するミッドフリーザータイプであり、低温室(例えば、製氷室3、切替室4、冷凍室6)が近接するため低温室間の断熱材が不要であり、また、熱漏れも少ないので省エネルギーで低コストの冷蔵庫が提供できる。
また、図1と同様に、貯蔵室である冷蔵室2の正面側開口部は、自在に開放、閉塞することができる観音開き式の冷蔵室扉7が設けられており、この冷蔵室扉7は、冷蔵室扉左7A、冷蔵室扉右7Bの2つにより観音式扉を構成している。もちろん、観音式扉ではなく、1枚式の回転式扉でもよい。他の貯蔵室である製氷室3、切替室4、野菜室5、冷凍室6には、製氷室3の開口部を自在に開口・閉塞することができる引出式の製氷室扉8、切替室4の開口部を自在に開放・閉塞することができる引出式の切替室扉9、野菜室5の開口部を自在に開放・閉塞することができる引出式の野菜室扉10、冷凍室6の開口部を自在に開放・閉塞することができる引出式の冷凍室扉11がそれぞれ設けられている。
また、貯蔵室である冷蔵室2の左右の冷蔵室扉左7A、冷蔵室扉右7Bのいずれかには、貯蔵室内の温度設定などを行う操作スイッチ(部屋選択スイッチ60a、温度帯切替スイッチ60b、瞬冷凍スイッチ60c、製氷切替スイッチ60d、ミスト供給スイッチ60e、その他の機能スイッチ(たとえばエコモードスイッチや省エネアドバイスを行うアドバイススイッチ、インターネットに接続や設定を行うインターネット設定・接続スイッチするなど))や庫内温度や設定温度などの温度情報の表示などを行う操作パネル60が設けられており、操作スイッチの操作情報や液晶表示部の表示情報や貯蔵室内の温度情報などが冷蔵庫背面上部(冷蔵室背面壁)あるいは冷蔵庫天井面(たとえば冷蔵室上面壁、天井壁)の制御基板室31に設けられたマイコンなどを実装した制御基板で構成される制御装置30によって制御される。
また、制御装置30はアンテナなどの送受信手段を有しており、送受信手段は制御装置(制御基板)30あるいは制御基板室31内あるいは冷蔵庫1の上部(制御装置30の近傍あるいは制御基板室31内が好ましい)あるいは冷蔵庫1の背面(制御装置30の近傍あるいは制御基板室31内が好ましい)あるいは冷蔵庫1の側面(制御装置30の近傍あるいは制御基板室31内が好ましい)に設けられている。したがって、制御装置30は、赤外線接続あるいは無線接続あるいは有線接続(電灯線接続やインターネット回線接続やLAN(ローカルエリアネットワーク)接続やUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)接続など)にて冷蔵庫1の外部に配置される外部機器と機器情報を送受信できる。ここで冷蔵庫1の外部機器とは、外部サーバや携帯端末(携帯電話や携帯情報端末や携帯パソコンなど)や外部の他機器(エアコンやテレビや他冷蔵庫や給湯機や照明や洗濯機など)などである。また、機器情報とは、冷蔵庫1の機器情報(たとえば、庫内温度や消費電力や運転履歴や積算運転時間や圧縮機の運転情報(オン、オフ、回転数、電流情報など))や冷蔵庫1以外の情報(たとえば天気予報や災害情報(地震情報含む))やネットワークに接続された他機器の運転状況や各機器の消費電力量の情報などである。
ここで、冷蔵庫1が運転時間を計測する時間計測手段と計測した運転時間あるいは積算運転時間を記憶する記憶手段を備え、機器情報として予め定められた標準使用期間(標準使用時間)と積算運転時間の情報を外部サーバ(たとえばクラウドサーバなど)に送信することで、標準使用期間に対する実際の積算運転期間(積算運転時間)の割合(比率)や、標準使用期間に対して実際の積算運転期間(積算運転時間)が予め定められた所定の割合を越えた場合に買い替えのメッセージを受信して操作パネル60や携帯端末などに表示させたり音声でアナウンスさせることもできる。また、外部機器に対しても、標準使用期間に対する実際の積算運転期間(積算運転時間)の割合(比率)や、標準使用期間に対して実際の積算運転期間(積算運転時間)が予め定められた所定の割合を越えた場合に買い替えのメッセージを受信して操作パネル60や携帯端末などに表示させたり音声でアナウンスさせることもできる。
また、送受信手段を有しているため、外部の環境情報(天気予報や災害情報や地震情報や気温情報など)や外部機器情報(外部の他機器の運転状況や消費電力情報など)や電力の送受信が行えるため、サーバや外部機器からの情報を受信して省エネ制御を行ったり、他機器の情報を表示したりできる。また、冷蔵庫1の前面の開閉扉に設けられる操作パネル60あるいは外部の携帯端末を操作することで、冷蔵庫1の情報を外部サーバや他機器に送信したり、外部サーバや他機器からの情報を受信して操作パネル60や携帯端末などに表示させたり冷蔵庫などの機器を動作させたりすることができる。
また、冷蔵庫やショーケースなどの機器の場合には、貯蔵室内を所定温度(たとえば冷凍室であれば−18℃)まで冷却して圧縮機12あるいは冷気循環用ファン14の運転を停止すると貯蔵室内温度は時間とともに上昇する。したがって、時間計測手段と温度計測手段を備えていれば、予め、工場出荷時などユーザが使用開始する前に貯蔵室内を所定の温度まで冷却した後に圧縮機12あるいは冷気循環用ファン14の運転を停止した状態、あるいはダンパ15、55を閉にした状態など所定の条件での経過時間に対する貯蔵室内温度の温度上昇度合い、あるいは計測開始時の貯蔵室内温度(所定温度)と所定時間(たとえば10分)後の貯蔵室内温度の差分などの貯蔵室内温度情報を初期の温度情報として制御装置30の記憶手段に記憶させておき、制御装置30の記憶手段から外部のサーバなどに機器情報として送信して記憶させておくようにすれば、断熱性能の劣化の判断や異常の判断が行え、ユーザに買い替えを促すメッセージを携帯端末や操作パネル60内の表示装置などに表示させることが可能となる。
すなわち、予め、工場出荷時などユーザが使用開始する前に貯蔵室内を所定の温度まで冷却した後に圧縮機12あるいは冷気循環用ファン14の運転を停止した状態、あるいは切替室ダンパ15、55を閉にした状態など所定の条件での経過時間に対する貯蔵室内温度の温度上昇度合い(初期温度上昇度合い)、あるいは計測開始時の貯蔵室内温度(所定温度)と所定時間(たとえば10分)後の貯蔵室内温度との差分(初期温度差分)などの貯蔵室内温度情報を貯蔵室ごとの初期温度情報として制御装置30の記憶手段に記憶させておき、ユーザが使用開始した後にサーバなど外部機器に機器情報として送信して記憶させておく。そして定期的に初期と同条件で温度上昇度合い、あるいは貯蔵室内温度の差分を計測して、機器情報として外部のサーバなどの外部機器に送信してサーバなどの外部機器にて初期温度情報と比較して許容範囲内であれば「異常なし」を表す信号を冷蔵庫などの機器本体が受信する。初期温度情報と比較して許容範囲外であれば「異常あり」を表す信号を冷蔵庫などの機器本体あるいは携帯端末が受信し、信号を受信した機器本体あるいは携帯端末は断熱性能劣化などの異常のメッセージあるいは買い替えを促すメッセージなどを表示するようにすれば良い。
また、冷蔵庫1の前面の開閉扉に設けられる操作パネル60あるいは外部の携帯端末を操作したりあるいは冷蔵庫1の制御装置30が自動で、外部機器に電力を供給したり、あるいは外部電源(たとえば太陽光発電装置や充電池や燃料電池など電力の供給が可能な機器)からの電力の供給や外部機器から電力の供給に切り替えて電力の供給を受けるようにすることも可能である。特に停電時などで冷蔵庫1への電力の供給が停止した場合でも、携帯端末やパソコンなどを操作することで電力の供給元を電灯線から外部電源に切り替えることで冷蔵庫1への電力の供給を行うことが可能になるので、携帯電話や携帯端末等の携帯機器やパソコン等が接続できる接続端子などを冷蔵庫1(あるいはネットワークに接続された機器)が備えていれば、携帯電話や携帯端末等の携帯機器やパソコン等の充電ができ、また、携帯電話や携帯端末等の携帯機器やパソコン等が有する他機器や外部の情報を表示したり操作したりすることも可能となる。
また、冷蔵庫1の内箱750と外箱710から形成され前面に開口部が設けられた収納空間(たとえば各貯蔵室2、3、4、5、6など)を有する本体部と、収納空間の前面開口部を開閉自在に閉塞する扉(たとえば、7、8、9、10、11など)とを備えた冷蔵庫の場合、本体部と扉にそれぞれ温度情報や機器制御情報などの情報の送受信や電力搬送が可能な送受信手段を設け、本体部と扉とを無線や赤外線で接続して情報や電力の送受信可能にすれば、扉を本体部と有線で接続する必要がなくなるので、間口の狭い入口(たとえば間口の小さな住宅の玄関など)を通過して冷蔵庫を室内等に搬送する際に、扉を本体部から取り外して搬送することが可能になるので、間口の狭い住宅への設置が可能しなる。また、工場出荷時から、扉と本体部を別々に梱包して搬送することも可能になり、また、重量が軽くなるので搬送しやすくなる。また、扉が本体部と別体であっても、扉と本体部との間では電力の送電、受電が可能なので、扉の前面に設けられる操作パネルの操作電源も得られ、さらに扉と本体部との間では機器情報や、機器の操作信号や制御信号の送受信も可能なので、扉の操作パネルを操作した場合には、本体部の機器(圧縮機12やファン14やダンパ15、55など)の運転、停止、その他の制御動作が可能となる。
冷蔵庫1の背面最下部(あるいは背面上部)に設けられている機械室1Aには圧縮機12が配置されている。冷蔵庫1は、冷凍サイクルを備えており、圧縮機12は冷凍サイクルを構成する1部品であり機械室1Aに配置されており、冷凍サイクル内の冷媒を圧縮する作用を有する。圧縮機12で圧縮された冷媒は凝縮器(図示せず)において凝縮される。凝縮された状態の冷媒は毛細管(図示せず)や膨張弁(図示せず)等の減圧装置において減圧される。冷却器13は、冷蔵庫の冷凍サイクルを構成する1部品であり、冷蔵室2、製氷室3、切替室4、野菜室5あるいは冷凍室6の背面壁内に形成されている冷却器室131に配置されている。減圧装置にて減圧された冷媒は、冷却器13において蒸発し、蒸発時の吸熱作用により冷却器13周辺の気体は冷却される。冷気循環用ファン(庫内ファン)14は、冷却器室131内で冷却器13の近傍に配置されており、冷却器13周辺で冷却された冷気を冷気風路(例えば、冷気風路16や冷蔵室冷気風路50、760など)を介して冷蔵庫1の複数の貯蔵室である各室(冷蔵室2、製氷室3、切替室4、野菜室5、冷凍室6)へと送風するためのものである。
また、図1と同様に冷却器室131内に設けられている冷却器13の下方には冷却器13の除霜を行う除霜手段である除霜用ヒータ150が設けられており、冷却器13と除霜用ヒータ150の間で除霜用ヒータ150の上部には、冷却器13より落下してきた除霜水が直接除霜用ヒータ150に当たらない様に、ヒータルーフ151が設けられている。
ここで、除霜用ヒータ150は、冷却器13に一体に組み込まれたかち込みタイプのヒータであっても良い。また、ガラス管タイプヒータとかち込みタイプヒータを併用しても良い。冷却器13で生成される除霜水あるいはヒータルーフ151に落下した除霜水は、冷却器室131内で落下して冷却器室131の下方に設けられている除霜水排出口155より冷蔵庫外部(たとえば機械室1Aに設けられている蒸発皿等)に排出される。
風量調整手段である切替室ダンパ15は、冷気循環用ファン14により貯蔵室である切替室4に送風される冷気の冷気量を調整し、切替室4内の温度を所定温度に制御したり、切替室4の設定温度を切り替えたりするためのものである。冷却器13で冷却された冷気は冷気風路16を通って、切替室4内に送風される。また、この冷気風路16は、切替室ダンパ15の下流に配されている。
また、風量調整手段である冷蔵室ダンパ55も、冷気循環用ファン14により貯蔵室である冷蔵室2に送風される冷気の冷気量を調整し、冷蔵室2内の温度を所定温度に制御したり、冷蔵室2の設定温度を変更したりするためのものである。冷却器13で冷却された冷気が冷気風路16、冷気風路50、760を通って、冷蔵室2内に送風される。
貯蔵室である、例えば切替室4は、貯蔵室内の温度を冷凍温度帯(−17℃以下)から野菜室温度帯(3〜10℃)までの間で複数の段階から選択可能な部屋(貯蔵室)であり、冷蔵庫1の冷蔵室扉左7A、冷蔵室扉右7Bのいずれかに設置した操作パネル60あるいは外部の携帯端末などを操作することで貯蔵室内の温度の選択や切り替えを行う。
また、切替室4の、例えば奥側壁面には、切替室4内の空気温度を検知するための第1の温度検出手段である切替室サーミスタ19(図3と同等)が設置されており、切替室4の例えば天上面(中央部、前面部、あるいは後面部など)には貯蔵室である切替室4内に投入された貯蔵物の表面温度を直接的に検出するための第2の温度検出手段であるサーモパイル22(図3と同等、あるいは赤外線センサ)を設置されている。第1の温度検出手段である切替室サーミスタ19の検出温度(あるいはサーモパイル22の検出温度)により切替室ダンパ15を開・閉することで、切替室4の温度が選択された温度帯になるように調整したり、設定された温度範囲内に入るように制御装置30にて制御される。また、第2の温度検出手段であるサーモパイル22にて切替室4内の貯蔵物である食品の温度を直接検出できるようにしている。
(ミスト装置200)
貯蔵室(たとえば冷蔵室2)の奥側(背面側)の仕切壁51(背面壁730、風路カバーである第1風路部品762)、あるいは貯蔵室(たとえば冷蔵室2)内の貯蔵品収納空間21の下部に設けられた略密閉容器(たとえば略密閉容器2Xあるいは2Y)の容器背面壁の後方の仕切壁)、あるいは貯蔵室(たとえば野菜室5)の背面仕切壁または上面仕切壁24には、貯蔵室内にミストを供給するミスト装置200である静電霧化装置200が設けられている。
ミスト装置200は、少なくとも放電電極を備えており、放電電極に水が供給されるかあるいは放電電極に水を生成させて、放電電極に電圧を印加することで放電電極にミストが生成される。放電電極への水の供給は、放熱部を冷却することで放熱部と熱的に接続された放電電極に結露水を発生させれば良い。あるいは放熱部と放電電極が熱的に接続されていない場合には、放熱部が冷却されることで生成される結露水を放電電極に供給するようにすれば良い。(放電電極が吸熱部を兼ねる構造でも良く、この場合には、放熱部が放電電極と熱的に接続されており、放熱部が冷却されることで、放電電極に結露水を発生させても良い)。または、ミスト装置200は、少なくとも放電電極と放電電極を保持または収納する電極保持部とを備えており、放電電極に電圧を印加することでミストを発生させる。放電電極に水を供給する水供給手段を有する場合には、水供給手段より放電電極に水を供給し放電電極に電圧を印加することでミストを発生させても良い。ここで、水供給手段としては、水を貯留できる貯水タンクや熱交換器(たとえば冷却器13)などであれば良い。水供給手段が冷却器13の場合には、冷却器13で生成される除霜水を冷却器室131内に配置された容器152で受けて溜めて、容器内の水を毛細管現象などによって放電電極に供給するようにすれば良い。ここで、対向電極を備えた方が、ミストの生成が安定するが、対向電極はなくても良く、気中放電でも良い。
ここで、放電電極は、貯蔵室(たとえば冷蔵室2)内に設けられており、ミスト装置200が設けられている仕切壁内に冷気風路が設けられている場合には、放熱部は貯蔵室の仕切壁(背面あるいは上面あるいは下面あるいは側面)に設けられる冷気風路(たとえば冷気風路16、50、760)の風路壁に直接接触するかあるいは熱伝導部材を介して間接接触するか、あるいは風路壁を貫通して冷気風路内に突出するように設ければ、冷気風路内の冷気で放熱部が冷却されて放熱部と熱的に接続されている放電電極に結露水が発生し放電電極に電圧が印加されることでミストが発生するので良い。
ミスト装置200が設けられている貯蔵室(上面あるいは下面あるいは側面)の仕切壁に対して貯蔵室(たとえば野菜室5)と反対側に設けられる別の隣接する貯蔵室(例えば冷凍室6)内の冷気を利用して放熱部を冷却しても良い。この場合には、放熱部を貯蔵室側から他の貯蔵室(例えば冷凍室)の底面壁あるいは上面壁に接触するように設ければ良い。(ミスト装置200は、貯蔵室であればどの部屋に設けても良く、冷蔵室2あるいは野菜室5あるいはチルド室2X、2Y等どの貯蔵室や容器内でも良い。ミスト装置200を背面壁に設ける場合は、貯蔵室と冷却器室の間に設けられる背面壁の一部を構成する仕切壁に設けても良い。(温度差を有する2つの隣接する貯蔵室間(たとえば高温側の貯蔵室である野菜室5と隣接する低温側の貯蔵室である冷凍室6の間)の仕切板に高温側の貯蔵室側にミスト装置200を設けて、放熱部の一端(放電電極と反対側の端部)を他の貯蔵室の仕切り板に接触するように設けて低温側の貯蔵室の低温の冷気を利用(高温側の貯蔵室と低温側の貯蔵室の温度差を利用)して放熱部を冷却するように設けてもよい。)
図10に示すように、真空断熱材400は、冷蔵庫1の背面、上面、底面に設けられている。また、図示していないが、側面、仕切壁24、扉にも真空断熱材400が設けられている。背面に設けられる真空断熱材400は、図8で説明したように少なくとも凹部440の範囲においては、外箱710、内箱750に主目的が接着である接着剤としての発泡断熱材によって直接貼り付けられており、接着剤としては、接着性を有する硬質ウレタンフォームを使用すれば良く、硬質ウレタンフォームを使用すれば、フリーフォーム密度を適切に調整することによって狭い流路(たとえば真空断熱材400と内箱750の間など)内であっても満遍なくムラなく充填できる。また、狭い流路であっても接着できるため接着剤として硬質ウレタンフォームが適しており、硬質ウレタンフォームを接着剤として使用している。
主目的を接着剤として硬質ウレタンフォームを使用する場合には、硬質ウレタンフォームの厚さが薄くなることによる断熱性能の低下について考慮しなくて良くなるため、硬質ウレタンフォームの厚さを所定の厚さ以下にすることができ、壁面(たとえば背面壁)の厚さを薄くでき貯蔵室内の容積を大きくすることが可能となる。硬質ウレタンフォームを接着剤として使用した場合の接着剤としての所定厚さは、11mm以下程度(たとえば10mmより小さい方が良い)、更に好ましくは6mm程度以下が良く、また、接着剤としての接着力(接着性能)を満足できれば薄ければ薄い方が良く所定厚さ(たとえば1mm以上、好ましくは3mm)以上程度が良い。たとえば1mmより薄くすると、真空断熱材400の表面の粗さ(外包材の凹凸)を接着剤の厚さが吸収できずに真空断熱材400の表面の凸部が直接内箱750に接触し接着できない部分が生じ接着強度が低下する可能性がので、硬質ウレタンフォームを接着材として使用する場合には、薄すぎると接着強度が低下する恐れがあるので、所定厚さ以上とした方が良い。
もちろん、硬質ウレタンフォームを接着剤として使用した場合、断熱性能が得られないわけではなく、真空断熱材400よりは劣るが断熱材としての断熱性能も得ることができる。すなわち、真空断熱材400をたとえば外箱710あるいは内箱750に接着する場合に、接着剤として硬質ウレタンフォームを使用すれば、真空断熱材400による断熱効果に加えてウレタンによる断熱効果も得られる。また、内箱750と外箱710の間に真空断熱材400が設けられていない部分については、真空断熱材400が設けられない分だけ硬質ウレタンフォームの厚さを大きくできるので、断熱性能が向上する。また、自己接着性を有する硬質ウレタンフォームを内箱750と外箱710の間の接着剤として使用できる。したがって、断熱箱体700の箱体強度が向上し、また、断熱性能も向上する。
冷却器室131内に配置された冷却器13で生成された冷気は、冷気循環用ファン14により冷気風路16、風量調整手段である冷蔵室ダンパ55、第2風路部品に形成される冷蔵室用冷気風路760を介して第1の風路部品762に設けられた冷気供給口768より冷蔵室2内(略密閉容器2X、2Yを含む)に供給される。貯蔵室である冷蔵室2内を冷却した冷気は、冷蔵室戻り風路410を通って冷却器室131に戻るが、冷蔵室戻り風路410内の冷気の一部を野菜室5に供給するようにしても良い。この場合は、野菜室5内を冷却した冷気は野菜室戻り風430を通って冷却器室131に戻される。野菜室5への冷気の供給については、冷蔵室2や切替室4等、他の貯蔵室を冷却して温度が上昇した戻り冷気で冷却するようにしてもよいが、冷却器室131の冷却器13にて生成された冷気で直接冷却しても良い。
製氷室3あるいは切替室4への冷気は、冷気循環用ファン14の動作により冷却器室131内に配置された冷却器13より冷気風路16、風量調整装置である切替室ダンパ15、切替室用冷気風路17を介して供給され、製氷室用戻り風路(図示せず)あるいは切替室用戻り風路(図示せず)を介して冷却器室131に戻る。冷凍室6への冷気は、冷却器室131内に配置された冷却器13より冷気風路16、冷凍室用冷気風路18を介して供給され、冷凍室用戻り風路420を介して冷却器室131に戻される。
ここで、貯蔵室へのミストの供給は、冷気循環用ファン14のオンまたはオフと同時、あるいは時間をずらしてあるいは連動してミスト装置200に通電または停止するようにしても良い。また、ミストを複数の貯蔵室に供給する場合には、第1の貯蔵室(たとえば野菜室5や冷蔵室2)と第2の貯蔵室(たとえば冷蔵室2や冷凍室6や野菜室5や切替室4など)のミスト供給の切替にダンパ装置(たとえば切替室ダンパ15や冷蔵室ダンパ55や野菜室ダンパや冷凍室ダンパなど)を使用しても良い。たとえば、ミスト装置200が第1の貯蔵室(たとえば野菜室)の上部の仕切壁の凹部に少なくとも一部が収納されるように設けられている場合で、この凹部と連通するミスト供給用の風路を仕切壁内に有している場合、野菜室ダンパを開にした時には、凹部内のミストは仕切壁内のミスト供給用の風路を通って第1の冷気風路(たとえば野菜室戻り風路など)、冷却器室、第2の冷気風路を介して第2の貯蔵室(たとえば冷蔵室)に供給されるようにし、野菜室ダンパを閉にした時には、野菜室には冷気が供給されないので、凹部内のミストは重力で第1の貯蔵室(たとえば野菜室)内に供給されるようにすれば良い。この時、第2の冷気風路を冷蔵室2の背面に設けられる冷気風路760としても良い。また、ダンパ装置の開閉で第1の貯蔵室へのミストの供給と第2の貯蔵室へのミストの供給を切り替えても良い。また、ダンパ装置の代わりに冷気循環用ファン14のオン、オフで行っても良い。
また、凹部内で冷気と混合されてミストを含んだ冷気を第1の貯蔵室に供給し、第1の貯蔵室に供給されたミストを含んだ冷気の一部を仕切壁(たとえば上面仕切壁や側面仕切壁)に設けられた風路(たとえば冷却器室への戻り風路)を介して冷却器室に戻し、冷却器室を介して第2の貯蔵室にミストを含んだ冷気を供給するようにしてもよい。)仕切壁に設けられる風路は、ミスト装置200(霧化装置)の少なくと一部あるいは全部が収納される凹部を覆うように設けられるカバーで形成しても良いし、別部品で形成しても良いし、仕切壁の内部に設けても良い。ここで、カバーには冷気入口や冷気出口の少なくと1つを設ければ良い。
(ワイドギャップ半導体)
制御基板室31内には、制御装置30が設けられており、スイッチング素子やダイオード素子などの半導体部品が設けられており、インバータ駆動回路などの少なくとも一部の半導体部品にワイドバンドギャップ半導体が使用されている。また、制御装置30には、半導体部品のみ(ワイドバンドギャップ半導体のみでも良い)搭載しても良いし、たとえば制御関連部品(たとえばトランスやリレーやコンバータや電源リアクタやコンデンサや電流検出部品などのうちの少なくとも1つ)などを半導体部品と一緒に搭載しても良い。
本実施の形態では、制御装置30に搭載される半導体部品(たとえば圧縮機12や圧縮機冷却ファンや冷気循環用ファン14などの駆動制御用のインバータ駆動回路用半導体など)としてワイドバンドギャップ半導体を使用している。従来は制御装置30に搭載されるたとえばインバータ駆動回路部品などの半導体部品には一般的にシリコン(Si)をベースとした半導体が用いられてきたが、本実施の形態ではワイドバンドギャップ半導体を使用しており、ワイドバンドギャップ半導体としては、たとえば炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)などを使用している。
シリコン(Si)半導体に対するワイドバンドギャップ半導体(たとえば炭化珪素SiCや窒化ガリウム、ガリウムナイトライド(GaN)など)の優位点としては、以下の2点があげられる。1つ目のメリットとしては、素子の損失が小さく、高温動作が可能である点である。Siは発熱量が多く、また約100℃〜200℃で半導体性能が低下して動作困難になるため放熱用のフィン(放熱器)を設け、更に空気を介して放熱させる必要があり、フィンを搭載するための収納容積と放熱のための空間が必要になる。これに対し、ワイドバンドギャップ半導体(たとえばSiC)は素子でのスイッチング損失が小さく、省エネルギーでありながら、また、300℃程度までは性能の低下が起こりにくいため、機械室1Aなど高温雰囲気中での使用が可能となる。また、300℃程度までは性能の低下が起こりにくいため、放熱用のフィンが不要、あるいは放熱用のフィンをかなり小さく(高さや大きさを小さく低背化、小形化)できるというメリットがある。
2つ目のメリットとしては、半導体構成部品であるデバイスの厚さを小さくできる点である。ワイドバンドギャップ半導体(たとえばSiCやGaN)は、絶縁破壊電界強度が大きいので、半導体の耐圧が大きい(シリコン(Si)の約10倍の耐圧を持っている)ため、半導体デバイスの厚さを1/10程度にまで小さく(薄く)できる。本実施の形態では、このような特性を持つワイドバンドギャップ半導体を用いることで、インバータ駆動回路部品の大幅な小型化、低背化や、放熱環境を気にしなくて良い構造などが実現できるため、設計の自由度の大きな小形で高温環境下での品質良好な冷蔵庫が得られる。
制御装置30に搭載されるインバータ駆動回路部品などの半導体部品には、ワイドバンドギャップ半導体が使用されているため、絶縁破壊電解強度が大きく、耐圧が大きいため厚さや大きさが小さくできる(シリコンに比べ約1/10)。また、300℃の高温でも動作可能なので半導体部品の冷却用の放熱フィン(放熱器)も極端に小さくできる。したがって、従来は、制御装置30に搭載された状態で他の制御関連部品などよりも極端に高さが高かった放熱器が設けられたインバータ駆動回路部品である半導体部品に、本実施の形態ではワイドバンドギャップ半導体を使用することにより放熱器とインバータ駆動回路部品を合わせた高さや大きさ(縦や横の幅)を極端に小さく(低背化や小形化)できるため、制御装置30に搭載した状態で他の制御関連部品(たとえば電源リアクタやコンデンサやトランスや電流検出部品など)の高さと同等程度、あるいは同等程度以下の高さにまで低くすることが可能である。
ここで、制御基板室31が配置されている部分においても、真空断熱材400を外箱710あるいは制御基板室31に接着剤にて直接貼り付け、真空断熱材400と内箱750との間には接着剤として硬質ウレタンフォームを所定厚さ(たとえば、1mm以上、好ましくは3mm以上、また11mm以下好ましくは6mm以下)になるように設定して充填すれば良い。
また、本実施の形態では、制御基板室31を冷蔵庫1の上面に設けて真空断熱材400で周囲を断熱する構成であるが、インバータ駆動回路部品などの半導体部品にワイドバンドギャップ半導体を使用するようにすれば、制御基板室31の周囲を真空断熱材400やウレタン断熱材で覆って制御基板室31内が高温環境下となっても問題ない。また、インバータ駆動回路部品などの半導体部品にワイドバンドギャップ半導体を使用するようにすれば、制御基板室31を高温環境下となる機械室1A内に配置しても良い。ワイドバンドギャップ半導体は、従来のSi半導体に比べて高温度環境下であっても故障しにくく動作可能なので、制御基板室31を断熱材で覆っても問題ない。また、制御基板室31を高温環境下となる機械室1A内に配置する場合であっても制御基板室31の周囲に断熱材などを設けて制御基板室31内の温度が高温とならないように断熱する必要がないので、制御基板室の仕様を簡素化でき、低コストの圧縮機や機器を得ることができる。また、制御基板室31を断熱する必要がないため、制御基板室31の大きさを断熱材の厚さ分だけ高さを薄く(あるいは幅や奥行きを小さく)小形化できるので、真空断熱材400と制御基板室31、真空断熱材400と内箱750を直接、接着剤で接着するようにすれば、断熱材としてのウレタンを充填する必要がなくなるので、制御基板室31が設けられる壁面(たとえば上面壁や背面壁など)の壁面厚さを小さくすることが可能となり、その分、貯蔵室内容積(庫内容積)を大きくできる。
また、制御基板室31がスペースの関係で従来では設置できなかった圧縮機12の周囲空間(たとえば圧縮機12の端子箱の上部空間や側面空間(あるいは周囲空間)など)に設置できるようになるので、制御基板室31の設置の自由度(設計の自由度)が向上し、たとえば機械室1A内のスペースの有効利用のできる冷蔵庫や空調機などの機器が得られる。
(除霜用ヒータ、除霜水利用)
冷蔵庫1の背面最下部(あるいは背面最上部)に設けられている機械室1Aには圧縮機12が配されている。冷蔵庫1は、冷凍サイクルを備えており、圧縮機12は冷凍サイクルを構成する1部品であり機械室1Aに配置されており、冷凍サイクル内の冷媒を圧縮する作用を有する。圧縮機12で圧縮された冷媒は凝縮器(図示せず)において凝縮される。凝縮された状態の冷媒は減圧装置である毛細管(図示せず)や膨張弁(図示せず)において減圧される。冷却器13は、冷蔵庫の冷凍サイクルを構成する1部品で冷却器室131に配置されている。減圧装置にて減圧された冷媒は、冷却器13において蒸発し、この蒸発時の吸熱作用により冷却器13周辺の気体は冷却される。冷気循環用ファン14は冷却器室131内で冷却器13の近傍に配置されており、冷却器13周辺で冷却された冷気を冷気風路(例えば、切替室冷気風路16や冷蔵室冷気風路50など)を介して冷蔵庫1の貯蔵室である各室(冷蔵室2、製氷室3、切替室4、野菜室5、冷凍室6)へと送風するためのものである。
冷却器室131内に設けられている冷却器13の下方には冷却器13の除霜を行う除霜手段である除霜用ヒータ150(除霜用のガラス管ヒータで、例えば、石英ガラス管内に石英ガラス管を透過する波長0.2μm〜4μmの光を出すカーボン繊維が用いられたカーボンヒータなど)が設けられている。冷却器13と除霜用ヒータ150の間で除霜用ヒータ150の上部には、冷却器13より落下してきた除霜水が直接除霜用ヒータ150に当たらない様に、ヒータルーフ151が設けられている。除霜用ヒータ150にカーボンヒータなどの黒色媒体のヒータを使用すれば、輻射伝熱により冷却器13の霜を効率的に溶かすことができるため表面温度を低温度(約70℃〜80℃)にすることが可能となり、冷凍サイクルに使用される冷媒に可燃性冷媒(例えば、炭化水素冷媒であるイソブタンなど)を使用している場合に冷媒漏れなどが発生しても着火の危険性が低減できる。また、ニクロム線ヒータに比べて輻射伝熱により冷却器13の霜を効率的に溶かすことができるため冷却器13に着霜した霜が除々に溶けるようになり霜が塊となってどさっと落下しにくくなるので、ヒータルーフ151に落下したときの落下音が低減できるので、低騒音で除霜効率の良い冷蔵庫が提供できる。
ここで、除霜用ヒータ150は、冷却器13に一体に組み込まれたかち込みタイプのヒータであっても良い。また、ガラス管タイプヒータとかち込みタイプヒータを併用しても良い。冷却器13で生成される除霜水あるいはヒータルーフ151に落下した除霜水は、冷却器室内で落下して冷却器室131の下方に設けられている除霜水受け部154を介して除霜水排出口155より冷蔵庫外部(たとえば機械室1Aに設けられている蒸発皿等)に排出される。
ここで、冷凍室用冷却器と冷蔵室用冷却器の2つの冷却器(蒸発器)が設けられている場合には、冷蔵室用冷却器においては、冷凍室用冷却器に比べて蒸発温度を比較的高く設定できるので、冷却器への霜の付着が少ない。したがって、除霜用ヒータ150が不要となるので、ヒータルーフ151も不要となる。したがって、冷却器13で生成される除霜水は、冷却器室内で冷却器室131の下部に設けられている除霜水受け部154に直接落下して除霜水排出口155より冷蔵庫外部(たとえば機械室1Aに設けられている蒸発皿等)に排出される。
冷凍室用冷却器と冷蔵室用冷却器の2つの冷却器(蒸発器)が設けられている場合には、冷蔵室2の下部(略密閉容器2X、2Y)の後方の貯蔵室背面あるいは野菜室5の背面に冷蔵室用冷却器が設けられるので、ミスト装置200を冷蔵室2の貯蔵品収納空間の背面壁あるいは略密閉容器2X、2Yの背面の後方の貯蔵室背面壁あるいは野菜室5の背面壁などに設ければ良い。ミスト装置200の水供給手段として冷蔵室用冷却器で生成される除霜水を使用することが可能であり、冷却器室131内で冷却器13の下方に配置されるヒータルーフ151の代わりに冷蔵室用冷却器で生成される除霜水を受けて溜める容器を配置すれば良い。この場合、容器の上部に設けられる水排出口容器より水があふれた場合にあふれた水を除霜水排出口155より冷蔵庫外部に排出させれば、容器上部に設けられる水排出口より溢れた水の処理が不要になる。したがって、容器を冷却器室131内に設け、容器は冷蔵室用冷却器の下方で、除霜水排出口155よりも上方に設ける方が良い。また、ミスト装置200の放電電極は、容器よりも上方位置であって冷蔵室用冷却器と同等高さ位置(冷却器の前面側位置)あるいは冷蔵室用冷却器と容器の間の位置に設ける方が容器内の水を放電電極に毛細管現象などで供給する場合に水の供給経路が短くできるので良い。
ミスト装置200は、図に示すように冷凍室6の下方に隣接して設けられる野菜室5の上面壁(上面の仕切壁24)の凹部内に少なくとも一部が収納されるように設けられており、ミスト装置200が設けられる貯蔵室(野菜室5)の上部に隣接して設けられる他の貯蔵室(冷凍室6)内の冷気を利用して放熱部に結露水を発生させてこの結露水を使用して放電電極に電圧を印加することで放電電極にミストを発生させるようにしても良い。
図9、図10において、貯蔵室内照明装置900は、たとえば貯蔵室である冷蔵室2の内壁の天井壁(上面壁)740に設けられており、複数のLEDにより構成されている。ここで、照明装置900を貯蔵室内の側壁790や底面壁780や仕切壁24に設けても良い。照明装置900の複数のLEDは、棚80の前縁よりも冷蔵庫1の前面側に設けられており、貯蔵室内を棚80にさえぎられること無く上方から下方まで満遍なく照射できる。また、照明装置900の複数のLEDのうち、少なくとも1つは、貯蔵室扉(例えば冷蔵室扉7)が開放された時に貯蔵室扉(例えば冷蔵室扉7)に設けられる扉ポケットを照射できるように光軸が配置されているので、夜間など冷蔵庫1の周囲が薄暗い場合であっても、貯蔵室内だけでなく、扉ポケットも照射できるので、ユーザにとって使い勝手の良い冷蔵庫が得られる。
以上は、貯蔵室の背面壁730に設けられる冷気風路760が、凹部440を形成する内箱750に対して別部品(たとえば、第1風路部品762)で形成されている例であるが、第1風路部品762を内箱750で一体に成形あるいは形成しても良い。この場合、背面壁730を形成する内箱750に形成される凹部440の幅方向(左右方向)の略中央部位置の内箱を上下方向にわたって断面円弧状(あるいはアーチ形状、あるいはU字形状)の突出部を形成してにこの突出部が貯蔵室内側に突出するように成形して第1風路部品762の代用とすれば良い。そして、この内箱で形成された円弧形状(あるいはアーチ形状、あるいはU字形状)の突出部と真空断熱材400との間の空間を冷気風路760として使用しても良い。この円弧形状の突出部と真空断熱材400だけで冷気風路760を形成するのが困難な場合には、突出部と真空断熱材400との間の空間に断面楕円形状などの第2風路部品764を設ければ良い。このように内箱750で第1風路部品762を代用するようにすれば、第1風路部品762が不要になり、第1風路部品を内箱750などに組付ける必要がなくなり組立性も改善できるので、部品点数が少なく低コストで意匠性の良い断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
(別の断熱箱体、冷蔵庫)
図11は、本発明の実施の形態1に係る断熱箱体の正面断面図である。図12は、この断熱箱体の背面図である。また、図13は、この断熱箱体の前面側から見た斜視図である。図14は、断熱箱体を背面側(後ろ側)から見た斜視図である。また、図22は別の断熱箱体の背面図である。図1〜図10と同等部分は、同一の符号を付して説明は省略する。なお、真空断熱材400は、実際には外箱710と内箱750との間に形成される壁内空間315に配置されるものである。しかしながら、図12では、冷蔵庫1の背面壁に配置された真空断熱材400の形状の理解を容易とするため、外箱710の背面を透過して真空断熱材400を示している(つまり、真空断熱材400を実線で示している)。また、図13では、レール755の図示を省略している。
冷蔵庫1は、例えば金属からなる外箱710と、例えば樹脂からなる内箱750とから構成される断熱箱体700を備えている。そして、外箱710と内箱750との間に形成される壁内空間315(たとえば冷蔵庫1あるいは断熱箱体700の天面、左右側面、背面及び底面部)に断熱材としての硬質ウレタンフォーム及び/または真空断熱材400が配設(充填)されている。
本実施の形態1に係る冷蔵庫1を構成する断熱箱体700は、天面及び底面及び側面が閉塞された有底角筒形状(略直方体形状)に形成され、前面部が開口した開口部を有する形状となっている。そして、断熱箱体700は、例えば複数(図では2枚)の仕切壁24によって、複数の貯蔵室(たとえば冷蔵室2、製氷室3、切替室4、野菜室5、冷凍室6など)に区画されている。これら仕切壁24には、前面側に板金により成形された板金カバー34(例えば、厚さ0.5mm以上)がネジ等の固定部材によって取り付けられている。この板金カバー34をネジ等で断熱箱体700に締結することにより、仕切壁24が断熱箱体700に取り付けられる構成となっている。このように、板金カバー34を用いて仕切壁24を断熱箱体700に取り付けることにより、断熱箱体700の強度を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る冷蔵庫1あるいは断熱箱体700には、たとえば冷蔵室2や野菜室5や冷凍室6などの貯蔵室に、貯蔵室の中に設置される棚80あるいは引き出し式の貯蔵室(たとえば引き出し式の扉あるいは引き出しケース等)を支えるためのレール部(たとえばレールあるいはレール保持部)755が側壁790に形成されている。
このような構成の断熱箱体700は、例えば次のように製造される。まず、真空断熱材400をあらかじめ外箱710に第2の接着剤により接着固定する。そして、外箱710と内箱750とを例えば壁内空間(外箱710と内箱750との間に形成される空間)315を設けた状態で治具や接着などにより固定する。その後、図14に示すように、断熱箱体700の背面側を上にした状態で、背面側の幅方向端部に複数形成されたウレタンなどの注入口703、704より液体状の硬質ウレタンフォームの原料(原液)を注入して空間315内で一体発泡を行わせることにより、壁内空間315内を硬質ウレタンフォームで充填する。
本実施の形態では、真空断熱材400が配設されている部位(たとえば凹部440あるいは第2の凹部441あるいは側壁790あるいは扉(7、8、9、10、11)等)においては、ウレタンを断熱材として使用するのが主目的でなく、接着剤としての使用を主目的としている。すなわち、真空断熱材400が配設されている部位においては、断熱性能の確保は、真空断熱材400の被覆率あるいは充填率を所定値以上とすることで対応するようにしている。たとえば凹部440の一部範囲あるいは全範囲では、真空断熱材400と内箱750との間の空間に塗布あるいは充填される、たとえば硬質ウレタンを接着機能を主目的とした接着剤として使用するようにしているため、壁(冷蔵庫1の背面壁730)内の真空断熱材400と内箱750(あるいは外箱710)との間の空間315に塗布、あるいは充填される接着剤は、接着剤としての接着力(接着強度、接着性能)を満足できれば良く、また製品適用時に接着材に起因する接着不良(剥がれや変形)などの品質不良を起こさなければ良いので、接着剤としての所定厚さは薄い方が良く、11mm以下程度(たとえば10mmより小さい方がよい)、好ましくは6mm以下程度が良い。
また、接着剤としての接着力(接着性能)を満足し、接着時の箱体強度を所定値以上確保するためには、接着剤の接着厚さが所定の厚さ以上である必要があり、1mm以上が望ましい。ここで、真空断熱材400の表面の凹凸や内箱750(あるいは外箱710)の表面の凹凸があっても真空断熱材400と内箱(あるいは外箱)との間の空間の略全面に接着剤が塗布されるかあるいは充填されるなどして真空断熱材400と内箱750(あるいは外箱710)との間の空間315の凹凸のある部分も含めて略全面に接着剤が行き渡る方がよいので、好ましくは3mm以上程度が良い。
ここで、背面壁に設けられている凹部440に限らず、背面壁730の他の部分や側壁790や天面壁740や底面壁780や仕切壁24などにおいても、真空断熱材400が設けられている場合には真空断熱材400と対向する部位は、凹部440と同様に真空断熱材400と壁面(内箱750あるいは外箱710あるいは仕切壁)とが直接接着するようにしても良く、壁内空間315は接着剤としての所定厚さが確保できれば良い。したがって、接着剤としての所定厚さは、11mm以下程度(たとえば10mmより小さい方が良い)、好ましくは6mm以下程度が良く、また、1mm以上程度、好ましくは3mm以上程度が良い。
ここで、断熱箱体700の背面側においては、ウレタンなどの発泡断熱材の原液を充填する注入口703、704が設けられているので、注入口703、704と対向する位置の断熱箱体700の内部の空間(外箱710と内箱750の間の空間)315には、注入口703、704より硬質ウレタンフォームを充填する必要があるため真空断熱材400を配置することが難しい。(注入口703、704に真空断熱材400が干渉するとウレタンの原液の注入が困難になる。)そこで、本実施の形態では、断熱箱体700の背面側においては、図12に示すように、注入口703、704と対向する部位を除いて真空断熱材400を配設している(注入口703、704に真空断熱材400が干渉しないように真空断熱材400の注入口703、704と対向する部位に切欠き部(開口あるいは切り欠き)33を設けている)。たとえば、注入口703、704と対向する部位が切り欠かれた真空断熱材400を使用するようにして注入口703、704と対向する部位には切欠き部33がくるように真空断熱材400を配置してウレタンの充填、流動を妨げないようしている。
また、断熱箱体700の背面側に配設される真空断熱材400は、たとえば、一体物ではなく、複数(例えば2個〜3個)に分割して並設し、注入口703、704と対向する部位に注入口703、704の大きさと略同等かそれ以上の切欠きや開口などの切欠き部33を有する真空断熱材400を配設するようにすれば良い。ここで、真空断熱材400は分割する必要はなく、1枚の真空断熱材400であっても良い。真空断熱材400に切欠きや開口を設けるなどして注入口703、704から充填されるウレタンが断熱箱体700内の必要な部位に充填あるいは流動するのを抑制あるいは邪魔しなければ1枚の真空断熱材400であっても良い。
真空断熱材400は、本実施の形態では、略長方形状の4つの角部のうちの少なくとも1つの角部に切欠き部33を有し、この切欠き部33が注入口703、704に対向するように配置されている。真空断熱材400は、断熱箱体700に設置された状態では、注入口703、704と対向する位置の角部に切欠き部33が形成されており、注入口703、704と対向する部位には真空断熱材400の角部に形成された切欠き部33を配置して、注入口703、704と真空断熱材400が干渉しないように配置することで、真空断熱材400の配設面積を大きくでき、かつ注入口703、704を避けて、真空断熱材400を配置することができる(硬質ウレタンフォームの原液を真空断熱材400に邪魔されることなく注入することができる)。したがって、断熱箱体あるいは断熱箱体の背面壁の外表面積に対する真空断熱材の配置面積の比率(被覆率)を大きくすることができ、また、箱体を形成する外箱と内箱との間の空間の容積に対する真空断熱材の容積の割合(真空断熱材の充填率)も大きくできるので、冷蔵庫あるいは断熱箱体の断熱性能を向上させることが可能となる。このような構成で真空断熱材400を配設することにより、断熱性能に優れ、箱体強度を確保できる断熱箱体700あるいは冷蔵庫1を提供することができる。ここで、真空断熱材400に切欠き部33を設けない場合には、真空断熱材400を注入口703、704を避けて配置すれば良い。(真空断熱材400が注入口703、704と干渉しない位置に配置すれば良い。)
ここで、注入口703、704は、側壁790を形成する外箱710と内箱750との間に位置するようにした方が望ましい。
なお、注入口703、704の形成位置はあくまでも一例であり、断熱箱体700の形状、つまり外箱710と内箱750との間に形成される壁内空間315の形状に応じて、適宜形成すればよい。したがって、注入口703、704が設けられる位置は、断熱箱体700あるいは冷蔵庫1の形状に応じて、任意の一側面(左側側面、右側側面、正面、背面、天面、底面等)に形成すればよい。
図22は本発明の実施の形態を表す別の断熱箱体700の背面図である。図1〜図14と同等部分は同一の符号を付して説明は省略する。図22では、図12と同様、冷蔵庫1の背面壁730に配置された真空断熱材400の形状の理解を容易とするため、外箱710の背面を透過して真空断熱材400を示している(つまり、真空断熱材400を実線で示している)。
図22では、断熱箱体700の背面側に配設される硬質ウレタンフォームなどを充填あるいは注入する充填口(注入口)703、704は、断熱箱体700の背面下部あるいは背面上部に設けられる機械室1Aを除く背面壁部分の四隅近傍(4つの角部近傍)に4箇所設けられている。充填口(注入口)703、704の配置位置は、幅方向では箱体700の左端あるいは右端から所定距離(幅方向内側端部位置)Y1、上下方向では、上端あるいは下端あるいは機械室1Aの端部から所定距離(上下方向内側端部位置)Y2だけ離れた位置に設けられている。ここで、側壁790の厚さ(壁厚さ)をT1mm、充填口の幅方向長さ(円の場合は直径)をr1としたとき、注入口703、704の幅方向の所定距離(幅方向内側端部位置)Y1は、充填口(注入口)703、704からウレタンなどの充填材を充填したときに側壁790内にウレタンなどの充填材がスムーズに流れるようにT1+r1以下が好ましい。たとえば側壁790の厚さが20mm〜50mm程度、充填口703、704の直径r1は25mm〜50mm程度とした場合、充填口703、704を側壁790の端部から所定距離T01mm(たとえば10mm)以上離して配置するとすれば、所定距離Y1はT01+r1以上T1+r1以下となるので、35mm以上80mm以下程度が好ましい。
また、注入口703、704の上下方向の所定距離(上下方向内側端部位置)Y2は、充填口(注入口)703、704からウレタンなどの充填材を充填したときに天井壁あるいは底面壁あるいは機械室と貯蔵室間を仕切る断熱仕切壁の厚さ(壁厚さ)をT2mm、充填口の上下方向長さ(円の場合は直径)をr2としたとき、天井壁内あるいは底面壁内あるいは仕切壁内にウレタンなどの充填材がスムーズに流れるようにT2+r2以下が好ましく、天井壁あるいは底面壁あるいは仕切壁の厚さが20mm〜50mm程度、充填口703、704の直径r2は25mm〜50mm程度であるので、充填口703、704を壁面の端部から所定距離T02mm(たとえば10mm)以上離して配置するとすれば、所定距離Y2はT02+r2以上T2+r2以下となるので、35m以上80mm以下程度が好ましい。
ここで、所定距離T01(あるいはT02)は、外箱710に注入口703、704の穴加工を行うにあたって、注入口703、704が加工可能な距離(たとえば注入口が側壁790の外壁を形成する外板に干渉せず、また、注入口703、704の加工時に注入口703、704が破断や変形などを起こさない距離)、あるいはウレタン等の断熱材や接着剤の流動が阻害されない距離(たとえば、ウレタンなどの原液の流動が側壁790の外壁を形成する外板に邪魔されない距離、またはウレタンなどの原液の流動が側壁790内の外壁側に配置される真空断熱材に邪魔されない距離)である。所定距離T01、T02は、たとえば側壁790の外壁を形成する外板の板厚が0.6〜3mm程度、側壁790内で外壁側に配置される真空断熱材の厚さが11mm以下(たとえば10mmより小さい方が好ましいので9.5mm)を想定すると、真空断熱材の厚さ(9.5mm)の方が板厚(0.6〜3mm)よりも大きいので、所定距離T01(あるいはT02)は、真空断熱材の厚さである9.5mm以上であれば良く、この場合には9.5mm以上であれば良いが、余裕代を考慮して10mmあるいは10mm以上が好ましい。
ここで、図8に示すように室内(貯蔵室内)側に突出する凸部450が設けられている場合には、充填口703、704を凸部450の設けられている範囲(凸部450の略三角形の斜辺456が背面壁730あるいは側壁790と接続される所定部位797、798の範囲)であればスムーズに充填されるので、所定距離Y1は、凸部450の幅方向長さをA(幅方向凸部長さA)とすれば、T01+r1以上T1+A以下が好ましく、所定距離Y2は、凸部450の上下方向長さをB(上下方向凸部長さB)とすれば、T02+r2以上T2+B以下が好ましい。したがって、所定距離Y1は、凸部450の長さAをたとえば180mm〜200mmとすれば、250mm以下(好ましくは230mm以下程度)までは、充填されたウレタンなどの充填材が凸部450の斜辺部(円弧状であっても良い)456にぶつかっても斜辺部が傾斜しているためスムーズに側壁790内や天井壁740内などに注入できるので問題ない。
以上より、本実施の形態では、外箱710と内箱750とから形成され、少なくとも背面壁730、側壁790を有する箱体と、該箱体に設けられ、前面に開口部を有する貯蔵室2、3、4、5、6、7と、背面壁730内の外箱側に設けられる真空断熱材400と、背面壁730の幅方向端部あるいは上下方向端部に設けられ、背面壁730内に介在部材である断熱材の原液を注入する注入口703、704と、を備え、前記注入口703、704は箱体の背面の上部あるいは下部の機械室1Aを除いた背面壁(図22では機械室1Aを除いた背面壁の4隅、図12では、機械室1Aを除いた背面壁の左右端側)に設けられており、真空断熱材400は、注入口703、704と対向する部位に注入口703、704と干渉しないように切り欠きまたは開口などの切り欠き部33が設けられており、断熱材の厚さを11mm以下(ばらつきや真空断熱材の表面の凹凸などを考慮すると10mmよりも小さい方が良い)にすれば、断熱箱体あるいは断熱箱体の背面壁の外表面積に対する真空断熱材の配置面積の比率(被覆率)を大きくすることができ、また、箱体を形成する外箱と内箱との間の空間の容積に対する真空断熱材の容積の割合(真空断熱材の充填率)も大きくできるので、冷蔵庫あるいは断熱箱体の断熱性能を向上させることが可能となる。
また、断熱材の密度を60Kg/m3より大きくすることにより箱体の強度(剛性)が向上し、信頼性の高い冷蔵庫が得られる。ただし、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度は大きくなりすぎると、(1)ウレタンの注入量増加によるコストUP、(2)ウレタンの注入圧力増加によるウレタン漏れの発生、(3)ウレタン発泡時の発泡圧力増加による箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などとウレタンとの密着力、接着力増加のため箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などが箱体から抜けにくくなる(箱体から取り外しにくくなる)、(4)ウレタンの密度増による断熱性能の急激な悪化など、品質悪化、性能悪化、コストUP等の問題が発生するので、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度(発泡断熱材の場合は発泡後の密度)は100kg/m3以下(好ましくは90kg/m3以下)にした方が良い。
また、断熱材の厚さ/(前記断熱材の厚さ+前記真空断熱材の厚さ)が0.3以下にすることにより、箱体の壁厚さを低減でき、しかも箱体強度、断熱性能とも向上できるので、室(たとえば貯蔵室)内の容積が大きく、高強度で断熱性能の良好な断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。また、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を大きくすることができるので、硬質ウレタンフォームの厚さが小さくなっても強度を向上させることができる。したがって、壁厚さを小さくしても箱体強度を向上できる。また、真空断熱材400と硬質ウレタンフォームを備えた複合部材から形成される壁の複合熱伝導率を小さくできるので、壁厚さを小さくしても断熱性能を向上させることができる。
また、断熱材が硬質ウレタンフォームであり、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を15MPa以上、150MPa以下、真空断熱材400の曲げ弾性率を20MPa以上にすることにより、介在部材である硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を大きくすることができるので、硬質ウレタンフォームの厚さが小さくなっても強度を向上させることができる。また、真空断熱材の剛性が向上するので、箱体強度が向上する。
また、真空断熱材は、少なくとも側壁790内及び背面壁730内に配置され、背面壁730と側壁790の外表面積に対する真空断熱材400の配置面積の比率を70%以上にすることにより、箱体変形量が小さく、高強度で剛性の高く、断熱性能が良好な断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、箱体を形成する前記外箱と前記内箱との間の空間の容積に対する前記真空断熱材の占める容積の割合が40%以上にすることにより、箱体変形量が小さく、高強度で剛性の高く、断熱性能が良好な断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、真空断熱材は略四角形の板状であって、切り欠き部33は、注入口703、704と対向する部位に注入口703、704と干渉しないように略四角形の4つの角部(4隅)のうちの少なくとも注入口703、704が設けられている角部に設けられているので、充填口(注入口)703、704からウレタンなどの充填材を充填したときに側天井壁内あるいは底面壁内あるいは仕切壁内にウレタンなどの充填材がスムーズに流れるようになる。注入口703、704が機械室1Aを除く背面壁の4隅に設けられている場合には、真空断熱材400の切り欠き部33も注入口703、704と対向する4隅(略四角形状の真空断熱材400の4つの角部)に設ければ良い。
(側壁にレール部材)
ここで、側壁790に棚80あるいは引き出し式の貯蔵室(たとえば引き出し式の扉あるいは引き出しケース等)を支えるためのレール部(たとえばレールあるいはレール取り付け部)755が形成される場合について説明する。
図24は、本発明の実施の形態を表す冷蔵庫のレール取り付け部近傍の要部断面図である。図25は、本発明の実施の形態を表す別の冷蔵庫のレール取り付け部近傍の要部断面図である。図26は、本発明の実施の形態を表す別の冷蔵庫のレール取り付け部近傍の要部断面図である。図27は、本発明の実施の形態を表す別の冷蔵庫のレール取り付け部近傍の要部断面図である。図24〜図27において、図1〜図14と同等部分には同一の符号を付して説明は省略する。また、図24〜図27においては、同等部分は同一の符号を付しているので、1つの図で説明し他の図での説明は省略する。
図24において、側壁790の壁厚さは局所的な突起や凹みを除いた平均的な厚さが20mm以上40mm以下であって、たとえば冷蔵室2や野菜室5や冷凍室6などの貯蔵室に、貯蔵室の中に設置される棚80あるいは引き出し式の貯蔵室(たとえば引き出し式の扉あるいは引き出しケース等)を支えるためのレール部(たとえばレール部材取り付け部あるいはレール保持部)755が内箱750に凹形状の内箱凹部717あるいは凸形状の内箱凸部等で形成され、レール部材810のレール支持部820がネジなどのレール固定部材735により内箱750あるいは補強部材731あるいはウレタン等の断熱材701に固定される。したがって、側壁790において、真空断熱材400と内箱750との間に充填される第3の介在部材である硬質ウレタンフォームなどの断熱材701の厚さを所定厚さ(11mm程度以下、好ましくは10mmより小さくより好ましくは6mm程度以下)以下に設定して壁厚さを薄くして貯蔵室内容積を大きくしようとすると、レール部材あるいは補強部材を固定あるいは保持するためのネジなどの固定部材が真空断熱材400の外包材を傷つけたり破損したりする恐れがある。
ここで、真空断熱材400を傷つけないようにネジなどの固定部材735の長さを短くするとレール部材810を固定あるいは保持するため固定強度あるいは保持強度が弱くなり、レール部材810にケース520や棚80などを設置した場合に貯蔵品が収納あるいは載置された場合に貯蔵品やケース520や棚80などの重みにより固定部材735が内箱750からはずれる恐れがある。また、2段レール構成の引出式ケースの場合などケース520を引き出した時の引き出し量が大きくなる場合には、レール部材810にケース520などを設置した場合に貯蔵品やケース520などの重みによりレール部材810あるいは補強部材731と対向する位置の内箱750の取付部分でレール部755が変形して引き出し式ケース520がスムーズに引き出せない状況になる恐れがある。ここで、ウレタン等の断熱材701内に挿入されて固定されるネジなどの固定部材735の長さ(ネジ部の長さ)は強度確保上10mm程度よりも短くすることが困難であり、通常は15mm程度以上確保しており、真空断熱材400と内箱750との間の第3の介在部材である硬質ウレタンフォーム701の厚さを15mm程度以下(好ましくは11mm以下(たとえば10mmより小さい方が良い))にすることは困難であった。特に従来使用のウレタンは、断熱性能確保のため、密度が60kg/m3以下と小さい範囲で使用しているため、ウレタン内に空隙が多く、ネジなどの固定部材を保持する強度が小さいため、ネジ等の固定部材の長さが長く必要となっていた。
本発明の実施の形態では、断熱箱体700あるいは冷蔵庫1の側壁790において、室内(貯蔵室など)に設置される棚80あるいは引き出し式のケース(たとえば引き出し式の貯蔵室あるいは貯蔵室の扉あるいは引き出しケース等)520を支えるためのレール部(たとえばレール取り付け部あるいはレール保持部)755が内箱750に形成されているが、この内箱750のレール部755と対向する部位の内箱750と外箱710との間に真空断熱材400が配設されている。ここで、内箱750のレール部755と対向する部位の内箱750と外箱710との間に真空断熱材400が配設される場合には、ネジなどの固定部材735を側壁790ではなく室を形成する下面の仕切壁24あるいは室を形成する上面の仕切壁(上面壁)24あるいは天井壁740、あるいは底面壁780に設けるようにすれば良い。この場合には、固定部材は、側壁790の近傍の底面壁780あるいは下面の仕切壁24あるいは上面の仕切壁24あるいは天井壁740に設けられることになるため、底面壁780あるいは下面の仕切壁24あるいは天井壁740あるいは上面の仕切壁24にも真空断熱材を配設する場合には、固定部材735を設ける部位を避けるか切り欠くなどして真空断熱材400を配設するようにすれば良い。このようにすることで、側壁790に真空断熱材400を配設することができるとともに、壁厚さを薄くすることができる。
また、本発明の実施の形態では、第3の介在部材として使用されるウレタン等の断熱材701内に挿入されるネジなどの固定部材735の長さ(ネジ部の長さ)を10mm程度より小さくしても、第3の介在部材であるウレタンの密度が60kg/m3より大きな範囲で使用するようにすれば、ウレタン内の空隙が密度60kg/m3よりも小さい場合に比べて少なくなり、ネジなどの固定部材735を保持するウレタンの強度が大きくなるので、固定部材735の保持強度が向上する。この場合、樹脂製あるいは金属製の板状補強部材(ネジ固定部)731を真空断熱材400と内箱750の間に形成して固定部材735をネジ固定部731に挿入するなどして固定しても良い。補強部材731の厚さはネジなどの固定部材735を保持あるいは固定できる厚さであればよく、2mm以上10mm以下程度に設定されている。この場合でも、第3の介在部材であるウレタンの密度を60kg/m3より大きくすれば、補強部材(ネジ固定部)731のウレタン等の断熱材701内での保持強度を大きくできるので、内箱750のレール部755や固定部材735の変形などが抑制され、また、補強部材731のウレタン等の断熱材701内での位置ズレなども抑制できる。特に2段階で引き出される2段レール構造の場合には、固定部材の固定あるいは保持強度が大きく必要になるが、ウレタンの密度を60kg/m3より大きくすれば、問題なく使用できる。また、ウレタンなどの断熱材701の厚さが11mm以下(たとえば10mmよりも小さく)好ましくは6mm以下にして、ネジなどの固定部材735のネジ部長さを10mm以下にしてもネジ735を固定する部分(レール部755)の内箱750の厚さ(たとえば1〜2mm)分、あるいは補強部材731の厚さ(たとえば1mm〜8mm程度)分だけネジ部のウレタン等の断熱材701への突出長さが短くなるので、真空断熱材400をネジ735が傷つけたり破袋したりすることはない。
すなわち、内箱750と外箱710の間に真空断熱材400が設けられ、引き出し式貯蔵室用のレール部材810が設けられる側壁790において、側壁790の厚さが40mm以下、レール部材810が取り付けられるレール部(レール取り付け部)755と対向する部位の発泡断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)701の厚さが11mm以下(ばらつきや真空断熱材の表面の凹凸などを考慮すると10mm未満が良い)であって、発泡断熱材の厚さ/(発泡断熱材の厚さ+真空断熱材の厚さ)が0.3以下であって、硬質ウレタンフォームの密度を60kg/m3より大きくすることで、ネジなどの固定部材735の外れが抑制され、あるいはネジなどの固定部材735の保持強度あるいは固定強度が増加し、レール部755が変形したりしないのでケース520などの出し入れがスムーズに行える。また、ネジなどの固定部材735を取り付けるレール部(レール取り付け部)755あるいは内箱750が破損することもなくなり、信頼性が向上する。
レール部材810は、貯蔵室2、3、4、5、6の開閉扉7、8、9、10、11に固定あるいは保持され、開閉扉の開とともに引き出される移動レールである上レール811、貯蔵室の側壁790に固定された固定レールである下レール812、上レール811と下レール812の間に設けられた中間レール813、下レール812にネジあるいは溶接などのレール支持部固定部材836で固定されたレール支持部820、上レール811にネジあるいは溶接などのケース支持部固定部材835で固定されたケース支持部830、中間レール813と上レール811及び下レール812との係合を支持する回転支持部材である複数のベアリング815、とから構成されている。レール支持部820は、貯蔵室2、3、4、5、6の側壁790を形成する内箱750のレール部755にネジなどのレール固定部材735にて固定されている。また、ケース支持部830は、貯蔵室2、3、4、5、6に設けられているケース520を支持しており、移動レールである上レール811の前後方向の移動に伴ってケース520が前後方向に移動する(上レール811の移動に伴ってケース520が前後方向に移動することでケース520が前後方向に出し入れされる)。また、中間レール813は、上レール811の前後方向への移動に伴って前後方向に移動する。したがって、各貯蔵室2、3、4、5、6のケース520は、各貯蔵室扉7、8、9、10、11を冷蔵庫1に対して前後方向に引き出すのと同期して上レール811と共に前後に移動し、各貯蔵室扉が全開した時にはケース520は上方向に着脱自在になっている。
ここで、下レール812とレール支持部820を一体に形成しても良い。すなわち、下レール812とレール支持部820を予め溶接などで一体に固定しておいても良い。この場合には、レール支持部固定部材836であるネジが不要になり、組立性が改善される。また、下レール812の一部をレール支持部820として使用しても良く、この場合には、溶接やネジなどが不要になるので、低コストで組立性が良好なレール部材、冷蔵庫が得られる。
レール部材810のレール支持部820は、各貯蔵室の側壁790を構成する内箱750のレール部755にレール固定部材735によって固定あるいは保持されている。ここで、レール部材810はある程度の大きさを有するため、レール部755の貯蔵室側に取り付けられた状態では貯蔵室側に出っ張る(突出する)ため、貯蔵室内への出っ張り量(突出量)を小さくするため、レール部755は、貯蔵室側からみて外箱710方向に凹ませた方が良い。よって、内箱750のレール部755は外箱710方向に凹んだ形状をしており、内箱凹部717が形成されている。このようにレール部755を外箱710側へ凹ませた内箱凹部717に貯蔵室側からレール部材810を取り付けることにより、貯蔵室内の容積及びケース520の容積を大きくできる。
内箱750のレール部755の外箱710側(貯蔵室側とは反対側)には、真空断熱材400との間に補強部材731が設けられており、補強部材731と真空断熱材400との間には第3の介在部材としてウレタン等の断熱材701が充填されており、補強部材731は、ウレタン等の断熱材701によりレール部755に略密着するように固定または保持されている。内箱750のレール部755と外箱710の間は、内箱750側からレール部755、補強部材731、ウレタン等の断熱材701、真空断熱材400、外箱710の順に設けられている。ここで、本実施の形態では、内箱750と真空断熱材400との間にウレタンなどの断熱材701を充填するようにしているが、断熱性能及び箱体強度は真空断熱材400でまかなわれるため、断熱材701の代わりに第3の介在部材として接着剤を使用しても良く、この場合は接着剤として自己接着性を有する発泡断熱材である硬質ウレタンフォームを使用しても良い。なお、外箱710と真空断熱材400とは、ホットメルトや両面テープなどの第2の介在部材である第2の接着剤で固定されている。
ここで、真空断熱材400と内箱750の間に充填されるウレタンなどの断熱材701の厚さQは、15mm程度以上(好ましくは13mm以上)に設定すれば良いが11mm以下にした方が良い。また、真空断熱材400と内箱750のレール部755との間に充填されるウレタンなどの断熱材701の厚さPは、11mm以下(ばらつきや真空断熱材表面の凹凸など考慮して10mmよりも小さい方が良い)に設定されているので、ウレタンなどの断熱材701の曲げ弾性率を大きくでき箱体700あるいは冷蔵庫1の強度向上が図れる。また、補強部材731と真空断熱材400との間に充填されるウレタンなどの断熱材701の厚さRは、所定厚さPよりも補強部材の厚さ分だけ小さく、たとえば補強部材の厚さが2mmとすれば8mm以下、補強部材の厚さを4mmとすれば6mm程度以下に設定されているので、更なる強度向上が図れる。また、ウレタンなどの断熱材701の密度は、60kg/m3よりも大きく設定されているため、ネジなどの固定部材735の保持強度あるいは固定強度が向上し、ネジの緩みや外れや抜けが抑制される。また、補強部材731の保持強度あるいは固定強度が向上し、補強部材731の位置ズレの発生や、位置ズレによるネジの変形や内箱750のレール部755の変形が抑制でき、信頼性の高い冷蔵庫や機器が得られる。ただし、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度は大きくなりすぎると、(1)ウレタンの注入量増加によるコストUP、(2)ウレタンの注入圧力増加による箱体等からのウレタン漏れの発生、(3)ウレタン発泡時の発泡圧力増加による箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などとウレタンとの密着力、接着力増加のため箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などが箱体から抜けにくくなる(箱体から取り外しにくくなる)、(4)ウレタンの密度増による断熱性能の急激な悪化など、品質悪化、性能低下、コストUPなどの問題が発生するので、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度を100kg/m3以下(好ましくは90kg/m3以下)にした方が良い。
図25において、補強部材731は、金属性あるいは樹脂製であり、固定部材735が固定される板状の補強部材本体部734、補強部材本体部734の上端あるいは上部に設けられて略水平方向に延出した板状の補強部材延出部上732、補強部材本体部734の下端あるいは下部に設けられて略水平方向に延出した板状の補強部材延出部下733とから構成され、補強部材本体部734、補強部材延出部上732、補強部材延出部下733が一体に形成(一体に組立てられている)あるいは一体成形されている。
補強部材731は、内箱750のレール部755に形成されている内箱凹部717の外箱710側に両面テープやホットメルトなどの第2の接着剤で接着されたあと、ウレタンなどの断熱材701が充填されることで内箱750のレール部755に固定あるいは保持される。補強部材731は、補強部材延出部上732と補強部材延出部下733が補強部材本体部734の端面から同方向に延出した断面U字状をしており、補強部材本体部734が内箱凹部717の底面部(凹み部)に設けられ、補強部材延出部上732が内箱凹部717を形成する凹部段部上718と対向するように載置される位置関係で補強部材731が内箱凹部717の外箱710側に設けられる。また、補強部材延出部下733は内箱凹部717を形成する凹部段部下719と対向するように設けられる。よって、補強部材731は、補強部材延出部上732あるいは補強部材延出部733下が内箱750に対して位置決めを容易に行うことができる。また、補強部材731を内箱凹部717に外箱710側から覆うように取り付けることが可能になるので、補強部材731の内箱750への位置決めあるいは取り付けが容易となり、また、内箱凹部717の強度も向上する。ここで、補強部材731は、補強部材延出部上732あるいは補強部材延出部下733のどちらか一方が形成あるいは成形されていれば補強部材延出部上732あるいは補強部材延出部下733と凹部段部上718あるいは凹部段部下719とによって位置決め可能なので、どちらか一方を省略しても良い(どちらか一方を設ければ良い)。
また、図25では、レール支持部820はレール部材810の固定レールである下レール812に溶接により一体に形成されているので、レール部材810の内箱750のレール部755への組み付けが容易である。また、レール部材810がレール支持部820あるいは固定レールである下レール812を介して内箱凹部717のレール部材載置部である凹部段部下719に載置されており、レール部材810が下方へ移動しないように位置決めされ、また、凹部段部下719の上面側には、レール支持部820をネジなどで固定あるいは保持する固定部が設けられており、レール支持部820あるいはレール部材810の上方あるいは横方向への移動が抑制されるように固定部(移動抑制部)に固定あるいは保持されている。
レール部材810が、レール部材載置部である凹部段部下719に載置されているため、レール部材810を支持するレール支持部820がケース520の重みで下方に変形することが抑制されるので、扉あるいはケース520の出し入れがスムーズに行える。ここで、ケース520は、ケース底面壁、4つのケース側壁から構成され、上面が開口した容器であり、製造上抜き勾配が設けられるため、ケース520を形成するケース側壁は、上方から下方に向かってケース520の中心軸方向へ傾斜している。すなわち、ケース520の幅は、上端よりも下端の方が狭くなるように形成されている。
したがって、ケース520と側壁790との間のすきま(長さ)は、ケース520の上端よりも下端の方が大きい。よって、ケース520をレール部材810で支持する場合には、レール部材810は、ケース520の高さ方向の下方で支持するほうがケース520の容積を大きくできるので良い。ケース520の高さの1/2以下好ましくは1/3以下の位置でケース520をレール部材810(たとえばケース支持部830)で支持したほうがケースの幅を大きくできるので、ケース520の容積を大きくできる。この場合、ケース520のケース側壁にケース段差部525を設け、レール部材810のケース支持部830がケース段差部525を支持するようにしても良い。このようにすることで、容易にケース520を支持できる。また、ケース520の高さ方向の下端近傍(たとえばケース520の高さの1/2以下好ましくは1/3以下の位置)で支持しても良いが、最下端であるケース底面壁の裏面を支持すれば、ケース520にケース段差部525を設ける必要がなくなり、ケース520の製造が容易になる。
レール部材載置部である凹部段部下719が形成される内箱750と真空断熱材400(あるいは外箱710)との間に充填されるウレタンなどの断熱材701(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度は60kg/m3より大きくした方が、レール部材載置部である凹部段部下719の強度が向上するので、ケース520に重量物を収納してもレール部材810を載置するレール部材載置部である凹部段部下719が変形したりしないので、安定してケース520の出し入れが可能となり、信頼性の高い冷蔵庫や機器が得られる。
また、図24、図25においては、内箱凹部717は、レール部材810の少なくとも一部(たとえばレール支持部820など)あるいは全部を収納することが可能なので、レール部材810の貯蔵室側への突出量を小さくでき、したがって、貯蔵室内の容積を大きくでき、また、ケース520の容積も大きくできる。
図24、図25では、内箱750を貯蔵室側からみて凹んだ内箱凹部717の外箱710側に補強部材731が設けられている例を説明したが、図26は、内箱750を貯蔵室側からみて突出した内箱凸部727の外箱710側に補強部材731が設けられている例である。図において、側壁790を形成する内箱750は、レール部755が貯蔵室側に突出しており、内箱凸部727を形成している。内箱凸部727は、凸部段部上728、凸部段部下729を有しており、凸部段部上728、凸部段部下729により凸形状が形成されている。
図26において、内箱凸部727は、外箱710側からみると凹んだ凹部形状をなしており、この内箱凸部727の外箱710側に形成される凹部に補強部材731が収納(少なくとも一部あるいは全部が収納)されており、凸部段部下にて補強部材731の上下方向あるいは横方向の位置決めが行われている。また、内箱凸部727の外箱710側に形成される凹部に補強部材731の少なくとも一部あるいは全部を収納することにより、補強部材731の外箱710側への突出量を小さくできるので、真空断熱材400(あるいは外箱710)と内箱750との間にウレタン等の断熱材701を充填する場合に、ウレタンが流れる流路の幅(真空断熱材400と補強部材731の間のウレタンなどの断熱材701の厚さ)Rが狭くなってウレタンが流れにくくなるのを抑制できる。したがって、ウレタンなどの断熱材701の流れが阻害されないので、補強部材731と真空断熱材400との間にウレタンなどの断熱材701の厚さRを11mm以下(ばらつきや真空断熱材の表面の凹凸などを考慮すると10mmより小さい方が良い)に設定できるため、補強部材731と真空断熱材400との間にウレタンなどの断熱材701の厚さRを充分に確保できるので、補強部材731の保持強度の低下、あるいは、ネジなどのレール固定部材735の固定あるいは保持強度の低下を抑制できる。
また、レール支持部820はレール部材810の固定レールである下レール812に溶接などにより一体に形成されているので、レール部材810の内箱750のレール部755への組み付けが容易である。また、レール支持部820は、貯蔵室間に設けられる仕切壁24、あるいは、底面部780に載置されており、レール部材810が下方へ移動しないように位置決めされており、また、仕切壁24あるいは底面部780には、レール支持部820をネジなどで固定あるいは保持する固定部が設けられており、レール支持部820あるいはレール部材810の上方あるいは横方向への移動が抑制されるように固定部(移動抑制部)に固定あるいは保持されている。ここで、仕切壁24、あるいは底面部780には、真空断熱材400が設けられている。
レール部材810は、図24、図25では、内箱750の内箱凹部717の外箱710側に設けられ、図26では、内箱凸部727の外箱710側に設けられているが、レール部材810は、内箱凹部717あるいは内箱凸部727に設ける必要はなく、図27のように内箱750の平坦部に設けても良い。
図27において、レール部材810は、内箱750のレール部755に設けられるが、レール部755は、内箱750の平坦面にネジなどの固定部材735により固定されている。また、レール部755の外箱710側の面には補強部材731が設けられており、補強部材731は、真空断熱材400との間に充填されるウレタン等の断熱材701によって固定あるいは保持される。このとき、補強部材731は、内箱750にホットメルトや両面テープなどの第2の接着材で接着あるいは固定された状態で断熱材701が充填されることによって内箱750の外箱710側の面に保持あるいは固定される。
図27においては、図24〜図26と同様に、ウレタン等の断熱材701の密度は60kg/m3より大きくしているため、ネジなどの固定部材735の保持強度あるいは固定強度が向上し、ネジの緩みや外れや抜けが抑制される。また、補強部材731の保持強度あるいは固定強度が向上し、補強部材731の位置ズレの発生や、位置ズレによるネジの変形や内箱750のレール部755の変形が抑制でき、信頼性の高い冷蔵庫や機器が得られる。
また、真空断熱材400と内箱750のレール部755との間に充填されるウレタンなどの断熱材701の厚さPは、11mm以下(ばらつきや真空断熱材の表面の凹凸などを考慮すると10mmよりも小さい方が良い)、好ましくは6mm以下に設定されているので、ウレタンなどの断熱材701の曲げ弾性率を大きくでき箱体700あるいは冷蔵庫1の強度向上が図れる。また、補強部材731と真空断熱材400との間に充填されるウレタンなどの断熱材701の厚さRは、所定厚さPよりも補強部材731の厚さ分だけ小さくたとえば補強部材731の厚さが2mmとすれば8mm以下、補強部材731の厚さを4mmとすれば6mm程度以下に設定できるので、更なる強度向上が図れる。
また、図27においては、内箱750のレール部755の端部(たとえば下端)は、内箱750が貯蔵室側に突出した突出部757を形成しており、この突出部757の上面にレール部材810のレール支持部820が載置されている。この突出部757の貯蔵室側への幅方向の突出長さは、レール部材810の幅方向への突出長さよりの小さく設定されており、レール部材810よりも貯蔵室内に突出しないようにすることで貯蔵室容積やケース容積の容積が小さくなることを抑制している。
また、レール支持部820はレール部材810の固定レールである下レール812に溶接などにより一体に形成されているので、レール部材810を内箱750のレール部755に組み付けるのが容易である。また、レール支持部820は、レール部755の端部(下端)に形成された突出部757の上面側に載置されており、レール部材810が下方へ移動しないように位置決めされており、また、突出部757の上面側には、レール支持部820をネジなどで固定あるいは保持する固定部が設けられており、レール支持部820あるいはレール部材810の上方あるいは横方向への移動が抑制されるように固定部(移動抑制部)に固定あるいは保持されている。
ここで、図24、図26では、レール部755が仕切壁24あるいは底面壁780の近傍に設けられているため、レール部材810が仕切壁24あるいは底面壁780の近傍に取り付けられることになり、ケース520が高さ方向の下方位置で支持されることになるのでレール部材810の載置強度が向上するので良いが、図25、図27では、レール部755が仕切壁24あるいは底面壁780と所定距離Gを有しているため、レール部材810が仕切壁24あるいは底面壁780に対して所定距離Gだけ上部に取り付けることが可能となるので、ケース520の支持位置を上部にすることが可能となり、ケースの出し入れがスムーズに行える。また、レール部材810のケース支持部830の長さを短くできるので、強度の向上が図れ、しかも低コストなレール部材、冷蔵庫が得られる。
ここで、ケース520のケース側壁にケース段差部525を設け、レール部材810のケース支持部830がケース段差部525を支持するようにしても良い。このようにすることで、容易にケース520を支持できる。また、ケース520の高さ方向の下方あるいは下端近傍(たとえばケース520の高さの1/2以下好ましくは1/3以下の位置)で支持しても良いが、最下端であるケース底面壁の裏面を支持すれば、ケース520に段差部525を設ける必要がなくなり、ケース520の製造が容易になる。
レール載置部である貯蔵室側に突出したレール部端部(レール部突出部)757が形成される内箱750と真空断熱材400(あるいは外箱710)との間に充填されるウレタンなどの断熱材701(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度は60kg/m3より大きくした方が、レール部材載置部であるレール部端部757の強度が向上するので、ケース520に重量物を収納してもレール部材810を載置するレール部材載置部であるレール部突出部757が変形したりしないので、安定してケース520の出し入れが可能となり、信頼性の高い冷蔵庫や機器が得られる。
ここで、レール部材810は、側壁790に設けなくても良く、レール部材810が配置される貯蔵室の仕切壁(貯蔵室と貯蔵室との間に設けられる仕切壁であって貯蔵室の底面あるいは上面を形成する仕切壁24、あるいは底面壁780、あるいは天井壁740を含む)に設けても良い。すなわち、レール部材810を支持するレール支持部820を仕切壁(仕切壁24あるいは天井壁740あるいは底面壁780を含む)に設けても良い(載置しても良い)。このように、レール部材810を支持するレール支持部820を貯蔵室の仕切壁24に設けるようにすれば、側壁790に固定部材735を設ける必要がなくなるので、側壁に配置される真空断熱材400の厚さを大きくでき、また、側壁790内の真空断熱材400と内箱750との間に充填されるウレタンなどの断熱材701の厚さを小さくできる。したがって、貯蔵室内の容積、あるいはケース520の容積を大きくできる。
ここで、レール支持部820を仕切壁に設ける場合には、仕切壁24あるいは底面壁780あるいは天井壁740において、レール固定部材735が設けられる位置には、真空断熱材400を配置しないようにすれば良い。また、レール固定部材735が設けられる位置には、ネジなどの固定部材が固定される補強部材を設けるようにすれば、固定部材の固定強度あるいは保持強度が向上する。また、真空断熱材400と仕切壁24を形成する外郭部材との間に硬質ウレタンフォームあるいは発泡スチロールなどの断熱材を充填あるいは塗布あるいは配置する場合には、断熱材701の密度を60kg/m3よりも大きくすれば、レール部材810を固定あるいは保持する固定部材あるいは補強部材の保持あるいは固定強度が向上するので、信頼性が向上する。なお、断熱材701の厚さは、先に説明した理由により10mmより小さくするのが良い。
以上は内箱750のレール部755を貯蔵室内側からネジなどで固定する場合(固定部材735であるネジのネジ頭が貯蔵室2、3、4、5、6側に設けられ、固定部材735のネジ部が内箱750のレール部755と真空断熱材400の間に設けられている場合)について説明したが、固定部材のネジ735を側壁790の内部側から貯蔵室2、3、4、5、6内に突出させて固定させても良く、その場合には、ネジ頭が真空断熱材400と内箱750のレール部755間に設けられる(ネジ部はレール部755あるいはレール補強部材731あるいはウレタン等の断熱材701に固定される)ことになるが、この場合でも、ウレタンの密度が60kg/m3より大きいので、ウレタン等の断熱材701の強度が増加し、ネジなどの固定部材735とウレタンなどの断熱材701、内箱750とウレタンなどの断熱材701の固定強度あるいは保持強度が増加するので、内箱などの変形や補強部材731の位置ズレやネジの緩み等が抑制され、ケース520などがスムーズに引き出せる(スムーズに出し入れできる)。
本発明の実施の形態では、側壁790のレール部材が設けられる部位と対向する位置の内箱750と真空断熱材400との間の発泡断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の厚さを11mm以下(好ましくは10mm未満)に設定することで、ウレタンの曲げ弾性率を大きくできるので、壁の強度を維持した上で壁厚を薄くすることができる。また、側壁790のレール部材が設けられる部位と対向する位置の内箱750と真空断熱材400との間の発泡断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の厚さを6mm以下に設定すれば、ウレタンの曲げ弾性率をさらに大きくできるので、壁の強度を維持した上で壁厚を薄くすることができる。
また、発泡断熱材の厚さ/(発泡断熱材の厚さ+真空断熱材の厚さ)を0.3以下に設定することで、発泡断熱材と真空断熱材を組み合わせた複合部材の複合熱伝導率を小さくできるので、壁厚さを薄くしても断熱性能が向上する。
また、ウレタンの発泡後の密度を60kg/m3より大きくすることで壁の強度を維持した上で壁厚を薄くすることができる。
以上より、本発明の実施の形態では、側壁790のレール部材が設けられる部位と対向する位置の内箱750と真空断熱材400との間の発泡断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の厚さが11mm以下(好ましくは10mmより小さい)であって、発泡断熱材の厚さ/(発泡断熱材の厚さ+真空断熱材の厚さ)を0.3以下に設定し、ウレタンの発泡後の密度を60kg/m3より大きくすれば、更に壁の強度を維持した上で壁厚を薄くすることができる。ここで、上式における発泡断熱材の厚さはウレタンの厚さであるので、発泡断熱材の厚さとしては、真空断熱材400と内箱750のレール部755との間に充填されるウレタンなどの断熱材701の厚さP、あるいは真空断熱材400と内箱750の間に充填されるウレタンなどの断熱材701の厚さQ、あるいは真空断熱材400と補強部材731の間のウレタンなどの断熱材701の厚さRであっても良い。たとえば、発泡断熱材の厚さを真空断熱材400と補強部材731の間のウレタンなどの断熱材701の厚さRとした場合には、発泡断熱材の厚さR/(発泡断熱材の厚さR+真空断熱材の厚さ)を0.3以下に設定すれば良い。同様に厚さをPあるいはQとした場合には、厚さRをPまたはQに置き換えれば良い。また、図17、図18、図19に示されているウレタンの厚さも、同様に真空断熱材400と内箱750のレール部755との間に充填されるウレタンなどの断熱材701の厚さP、真空断熱材400と内箱750の間に充填されるウレタンなどの断熱材701の厚さQ、真空断熱材400と補強部材731の間のウレタンなどの断熱材701の厚さRであっても良い。
また、外箱750と内箱710とから形成され、背面壁730、側壁790を有する箱体と、箱体内が仕切壁24により区画されて形成された前面に開口部を有する貯蔵室2、3、4、5、6と、貯蔵室に収納され、貯蔵室の側壁に設けられたレール部材810を介して引き出される引き出し式のケースと、芯材が無機繊維または有機繊維からなる繊維系材料で形成され、レール部材810が設けられた側壁を形成する内箱と外箱との間に配設された真空断熱材400と、レール部材と対向する位置の内箱と真空断熱材との間の内箱側に設けられ、レール部材を支持あるいは保持する補強部材731と、レール部材と対向する位置の補強部材と真空断熱材との間に充填される断熱材701と、を備え、レール部材と対向する位置の断熱材の厚さが10mmよりより小さく、レール部の内箱と真空断熱材との間に充填される断熱材の密度を60kg/m3よりも大きくすれば、壁の強度を維持した上で壁厚を薄くすることができ、断熱性能も向上させることができる。ただし、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度は大きくなりすぎると、(1)ウレタンの注入量増加によるコストUP、(2)ウレタンの注入圧力増加による箱体等からのウレタン漏れの発生、(3)ウレタン発泡時の発泡圧力増加による箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などとウレタンとの密着力、接着力増加のため箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などが箱体から抜けにくくなる(箱体から取り外しにくくなる)、(4)ウレタンの密度増による断熱性能の急激な悪化など、品質悪化、性能低下、コストUPなどの問題が発生するので、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度(発泡断熱材の場合は発泡後の密度)を100kg/m3以下(好ましくは90kg/m3以下)にした方が良い。
また、真空断熱材400の曲げ弾性率を20MPa以上にすれば更に壁厚さを薄くできる。ここで、レール部材を側壁790に固定するのではなく、側壁790の近傍の底面壁780あるいは底面の仕切壁24あるいは上面壁(天井壁)740あるいは上面の仕切壁24に固定するようにすれば良い。ここで、ネジなどの固定部材を設ける部位と対向する内箱750と外箱710との間に真空断熱材400を配置しない場合には、固定部材を設ける底面壁780あるいは下面の仕切壁24あるいは天井壁740あるいは上面の仕切壁24は、外気と接触しない壁あるいは仕切壁の方が良い。外気と接する壁(例えば側壁790、天井壁740、背面壁730、底面壁780など)には真空断熱材400を設けない部位を極力少なくした方が熱漏洩により損失を低減できるので、高性能な断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。このようにすることで、背面壁730、側壁790の真空断熱材400の配設面積を大きくできるので、断熱箱体700における真空断熱材400の被覆率あるいは充填率を大きくすることができる。
ここで、本実施の形態1に係る断熱箱体700は、断熱箱体700内の硬質ウレタンフォームが主に断熱機能を担うという従来の技術思想とは異なり真空断熱材400が配設されている部分では、真空断熱材400が断熱性能と箱体強度を担うという新たな技術思想に基づいている。このため、本実施の形態1に係る断熱箱体700は、外箱710と内箱750との間に形成される壁内空間315内の真空断熱材400の充填率(外箱710と内箱750との間に形成される壁内空間315の総体積に対する真空断熱材400の体積の占める割合)を所定値以上(たとえば40%以上(好ましくは45%以上))としている。ここで、真空断熱材400の充填率は、扉の外郭を形成する扉外板と扉内板との間の扉内空間の体積に対する真空断熱材400の体積の占める割合である扉の充填率も含めている。
従来は、外箱710あるいは内箱750の表面積に対する真空断熱材の占める面積の割合(被覆率)が所定の範囲に入るように真空断熱材を配置されており、真空断熱材400の厚さの影響が考慮されないため、真空断熱材400の厚さよりも硬質ウレタンフォームの厚さを大きくして断熱箱体の強度を硬質ウレタンでもたせようとしていた。従来は真空断熱材400の被覆率を大きくして箱体の断熱性能を向上させようとしているが、真空断熱材400の充填率を大きくして断熱性能と箱体強度の両方を向上させようとしていないため、真空断熱材400の充填率は小さく(たとえば従来の冷蔵庫における充填率は20%程度)、断熱性能が向上しない場合があり、また箱体強度は硬質ウレタンフォームにたよっていた。本実施の形態では、真空断熱材400の厚さを考慮した充填率の考え方で真空断熱材400を配置するようにしたので、従来のように断熱性能が向上しないということが無くなる。真空断熱材400の充填率を所定値以上(たとえば40%以上)にすることで、断熱性能が向上し、しかも、箱体強度、断熱性能を満足した上で壁厚さを薄くできるので、貯蔵室内容積を大きくでき、製品に要求される貯蔵室内容積を所定の容量以上に設定することができる。すなわち、真空断熱材400の長さ、幅、厚さ、配置箇所を適切に設定できるので、壁厚さを低減でき、その分だけ貯蔵室内容積を大きくできる。
このように、空間315内における真空断熱材400の充填率を従来よりも増大させることにより、断熱性能が従来よりも向上するので、従来よりも断熱箱体700の壁厚を薄くしても、断熱性能を従来と同程度以上に確保することが可能となる。
(第1風路部品の他の構成)
以上説明したように、本発明の実施の形態では、たとえば図4、図5、図6、図8などに示した冷気風路760の一部を形成する第1風路部品762の幅方向長さは、凹部440の幅よりも小さくなっており、凸部450、または第2の凹部441、または第2の凹部441を形成する突起部910などにネジなどの固定部材あるいは引っ掛け構造あるいは嵌合構造などにより固定あるいは保持される。ここで、冷気風路760の一部を形成する第1風路部品762の幅方向長さを背面壁730あるいは側壁790の一部を覆うように側壁790の内面まで延出させて第1風路部品762を側壁790の内面にネジなどの固定部材あるいは引っ掛け構造あるいは嵌合構造などにより固定あるいは保持しても良い。もちろん、第1風路部品762を側壁790の内面だけでなく突起部910、凹部440、凸部450などに固定部材あるいは引っ掛け構造あるいは嵌合構造などにより固定あるいは保持しても良い。
また、冷気風路760の一部を形成する第1風路部品762の幅方向長さを側壁790の内面まで延出させて第2の凹部441だけでなく凹部440、凸部450の少なくとも一部あるいは全部を覆うようにすれば、第1風路部品762が意匠パネルと兼用でき、室(たとえば貯蔵室)の背面壁730、あるいは側壁790の内面の少なくとも一部あるいは全部を覆うことが可能となり、第1風路部品762を背面あるいは側面の一部を覆うカバー部材として使用できる。したがって、冷気風路760からの冷気を室内に供給する供給口を第1風路部品762に設ける場合に配置の自由度が向上し、室内の収納物を効率よく冷却でき、また、第1風路部品762に内箱750とは異なる別部材が使用できるので、形状や色を変更したり、種々の加工やペイントや文字記載などが容易にできるので、機能性や意匠性が向上する。第1風路部品を意匠パネルと兼用してカバー部材として使用する場合には、略U字形状に形成して、室を形成する背面壁730及び側壁790の内面の少なくとも一部、あるいは壁面の内面全部を覆うようにすれば良い。この場合、照明装置(庫内照明)900は、室を形成する天井壁740あるいは底面壁780に配置するようにすれば、カバー部材である第1風路部品762を側壁790まで延出させる場合に、照明装置900を側壁790内面に設ける場合に比べての照明装置900の設置される部分の第1風路部品762を切り欠いたり開口を設けたりする必要がなくなるので、カバー部材である意匠パネル(第1風路部品762)の形状が容易になり、低コストな断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。ここで、カバー部材である意匠パネルは、室を形成する天井壁740と背面壁730の少なくとも一部、あるいは壁面の内面側全部を覆うように形成しても良い。
(ウレタンの厚さ、真空断熱材の充填率)
ここで、真空断熱材400の充填率と箱体の強度の関係について説明する。図15は硬質ウレタンフォームの密度と熱伝導率の関係を示す図、図16は硬質ウレタンフォームの密度と曲げ弾性率を示す図、図17は硬質ウレタンを充填したときのウレタンの流路厚さとウレタンの熱伝導率の関係を示す図、図18は硬質ウレタンを充填したときのウレタンの流路厚さとウレタンの曲げ弾性率の関係を示す図である。図15〜図18は、所定隙間(流路)を有する2つの面の間に硬質ウレタンを充填させて発泡させた模擬構造体での試験結果であり、流路の一方の面は第1の部材である鋼板(たとえば真空断熱材あるいは冷蔵庫1の断熱箱体700の外郭である外箱710を形成する塗装鋼板)であり、流路の他方の面は第2の部材である樹脂(たとえば、内箱750に使用されるABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの共重合合成樹脂)やEPS(発泡プラスチック)などの樹脂)である。
図15は、横軸が硬質ウレタンフォームの密度(kg/m3)を表し、縦軸が硬質ウレタンフォームの熱伝導率〔W/(m・K)〕を表している。また、図16は、横軸が硬質ウレタンフォームの密度(kg/m3)を表し、縦軸が硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率(MPa)を表している。図17は、横軸が硬質ウレタンフォームが充填される流路厚さ(mm)を表し、縦軸が硬質ウレタンフォームの熱伝導率〔W/(m・K)〕を表している。図18は、横軸が硬質ウレタンフォームが充填される流路厚さ(mm)を表し、縦軸が硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率(MPa)を表している。ここで、硬質ウレタンフォームが充填される流路厚さは、流路内に硬質ウレタンフォームが充填されて発泡した状態の硬質ウレタンフォームの厚さを表す。
図15、図16より、硬質ウレタンフォームは、密度が大きくなると熱伝導率、曲げ弾性率が大きくなり、密度が小さくなると熱伝導率、曲げ弾性率が小さくなる。すなわち、密度と熱伝導率あるいは密度と曲げ弾性率はほぼ比例関係になっている。
図17、図18より、硬質ウレタンフォームは、ウレタンが充填される流路厚さ(あるいは、流路内に硬質ウレタンフォームが充填されて発泡した状態のウレタンの厚さ)が狭くなると熱伝導率が大きくなり、また、曲げ弾性率も大きくなる。したがって、流路内で発泡後のウレタンの厚さは厚いほど熱伝導率が小さくなり断熱性能は向上するが、曲げ弾性率は小さくなり強度が低下する。したがって、ウレタンの厚さを小さくして壁厚さを薄くしようとした場合には、曲げ弾性率が大きくなるので強度上は問題なかったが、熱伝導率が大きくなりすぎて断熱性能が悪化するためウレタンの厚さをある程度(たとえば15mm)よりも小さくすることができなかった。
ここで、図17、図18において、ウレタンが充填される流路厚さ(あるいは流路内で発泡した後のウレタンの厚さ)が狭くなると密度が大きくなり、密度が大きくなると図15に示したように熱伝導率が大きくなり断熱性能が悪くなる。ここで、図17に示すようにウレタンが充填される流路厚さ(あるいは流路内で発泡した後のウレタンの厚さ)が所定の厚さ(たとえば11mm)以下になると急激に熱伝導率が大きくなり断熱性能が悪化する。硬質ウレタンフォームは、ウレタン流路を形成する第1の部材と第2の部材の間で発泡して第1の部材と第2の部材に接着した状態で固まるが、このときウレタンは、コア層と、このコア層の両側(第1の部材側と第2の部材側)にスキン層といわれる境界層が形成される。
図23Aと図23Bは、硬質ウレタンフォームが発泡した後の断面形状の模式図であり、図23Aは、第1部材(内箱750)と第2部材(外箱710)の間に硬質ウレタンフォーム701Aが充填された場合の断面を表した模式図、図23Bは、第1部材(内箱750)と第2部材(外箱710)の間に第3部材(真空断熱材400)が介在した場合に第1部材と第3部材の間に硬質ウレタンフォーム701Aが充填された場合の断面を表した模式図である。
図23Aにおいて、第1の部材と第2の部材との間に発泡充填されたウレタンを備えた断熱壁は、第1の部材(たとえば内箱750)、第1のスキン層701B、コア層701C、第2のスキン層701D、第2の部材(たとえば外箱710)の順で構成される。一方、図23Bに示すように第1の部材(内箱750)と第2の部材(外箱710)の間に、第3の部材として真空断熱材400が配設される場合には、断熱壁は、第1の部材(内箱750)、第1のスキン層701B、コア層701C、第2のスキン層701D、第3の部材(真空断熱材400)、第2の接着剤715、第2の部材(外箱710)の順で構成される。なお、第1のスキン層701B、コア層701C、及び第2のスキン層701Dが、硬質ウレタンフォーム701Aを構成している。
スキン層は、第1の部材近傍あるいは第2の部材近傍あるいは第3の部材近傍に形成され、ウレタンの流路厚さ(ウレタンの厚さ)が従来使用される範囲である20mm〜30mm程度ではスキン層の厚さはコア層の厚さに対して十分小さく、密度、熱伝導率などへの影響は小さいが、ウレタンの厚さが所定厚さ(たとえば11mm)以下になると、コア層の厚さに対するスキン層の厚さの占める割合が大きくなり、ウレタンの密度、熱伝導率、曲げ弾性率に対する影響が急激に大きくなり、密度、熱伝導率、曲げ弾性率が急激に大きくなる。したがって、断熱性能が急激に悪化する。また、図18に示すように、ウレタンの密度が上昇することによりウレタンの曲げ弾性率も急激に上昇する。
したがって、従来は、ウレタンの厚さを小さくすると曲げ弾性率は大きくなり強度は向上するが、ウレタンの熱伝導率が上昇して断熱性能が悪化するため、ウレタンの厚さを小さくできず15mm〜30mm程度の範囲で使用していた。従来は、ウレタンが主断熱材で真空断熱材が補助断熱材という考え方で配設しているため、ウレタン断熱材の断熱性能が悪化しない範囲でウレタンの厚さを決めており、狭い部分でも15mm〜20mm程度を確保していた。
しかしながら、本実施の形態では、真空断熱材が主断熱材であり、しかも真空断熱材で箱体の強度を持たせるという考え方で断熱壁を形成しているので、真空断熱材が配設されている部分の硬質ウレタンは、断熱性能を要求されないので、所定の厚さ(たとえば11mm好ましくは6mm)以下であっても問題なく、薄ければ薄い方が曲げ弾性率が上昇し箱体強度が向上するので良い。所定の厚さが11mm以下になるとコア層に対するスキン層の厚さの影響が大きくなり、熱伝導率が急激に大きくなり断熱性能が急激に低下するので、従来は硬質ウレタンフォームの厚さを11mm以下にすることが困難であった。従来は、硬質ウレタンフォームの厚さについて、局所的に小さな範囲では所定値を11mm以下にすることができたとしても平均的な厚さを11mm以下にすることは困難であった。さらに所定の厚さが6mm以下になるとコア層に対するスキン層の厚さの影響がさらに大きくなり、断熱性能がさらに悪化するので、従来は使用困難であったが、本実施の形態では、真空断熱材400に断熱箱体700の断熱性能を持たせるため、ウレタンの厚さを薄くして使用しても問題ない。したがって、本実施の形態では、硬質ウレタンフォームの厚さを11mm以下(好ましくは10mmより小さく)に設定することで、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を大きくして箱体700の強度(剛性)を向上させることができる。また、硬質ウレタンフォームの厚さを6mm以下に設定すれば、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率をさらに大きくできるので、箱体700の強度(剛性)がさらに向する。
なお、真空断熱材400が配設されていない部分では、ウレタンの厚さは、真空断熱材の厚さ(たとえば、15mm〜30mm程度)分だけ厚く形成できるので、ウレタンの厚さは20mm〜40mm程度を確保できるようになり、ウレタンの熱伝導率が急激に上昇する範囲(ウレタンの厚さ11mm以下)で使用しなくて良くなり、ウレタンの熱伝導率の上昇度合い(傾き)が小さな範囲(たとえばウレタンの厚さがたとえば15mm以上の範囲)で使用できるので、ウレタンの厚さのばらつきを考慮してもウレタンの断熱性能を所定値以下となるように確保可能となる。したがって、断熱箱体700の強度及び断熱箱体700の断熱性能の両方を満足することが可能となる。
ここで、ウレタン流路の一方の面に使用される第1部材は、樹脂(たとえば、内箱750に使用されるABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの共重合合成樹脂)あるいはEPS(発泡プラスチックなどの樹脂))が使用される。流路の他方の面は真空断熱材の外包材であるアルミ蒸着フィルムや外箱710を形成する塗装鋼板(PCM)などの鋼板が使用される。
次に真空断熱材400が配設されている部分(たとえば凹部440あるいは第2の凹部441など)において、発泡ウレタンと真空断熱材400を備えた断熱壁の厚さ(真空断熱材の厚さ+ウレタンの厚さ)に対するウレタンの厚さの比率(=ウレタンの厚さ/(ウレタンの厚さ+真空断熱材厚さ))と複合熱伝導率(真空断熱材とウレタンを合わせた断熱壁の熱伝導率)の関係について説明する。
図19は、壁厚さ(壁の内壁間厚さ)を27mmで一定にしたときの真空断熱材とウレタンを合わせた断熱材の厚さに対するウレタンの厚さの比率と複合熱伝導率の関係を示す図である。図19において、横軸は真空断熱材とウレタンを合わせた断熱材の厚さに対するウレタンの厚さの比率、すなわちウレタンの厚さ/(ウレタンの厚さ+真空断熱材厚さ)を表し、縦軸は複合熱伝導率(真空断熱材とウレタンを合わせた熱伝導率)を表している。ここでは、ウレタンの厚さと真空断熱材の厚さの合計、すなわち、ウレタンの厚さ+真空断熱材の厚さを壁内厚さとしている。
図19より壁内厚さに対してウレタンの厚さが小さくなると複合熱伝導率が小さくなり断熱性能が向上することが分かる。ここで、複合熱伝導率とは、ウレタンと真空断熱材を合わせた複合部材の熱伝導率を表す。図において、ウレタンの厚さ/壁内厚さが0.3を堺にして傾きが変化しており、ウレタンの厚さ/壁内厚さが0.3よりも大きい場合に比べて、ウレタンの厚さ/壁内厚さが0.3程度以下の方が傾きが小さく複合熱伝導率の低下の割合が小さい。図は壁内厚さ一定での試験確認であるので、ウレタンの厚さ/壁内厚さの比が小さくなればなるほど、ウレタンの厚さが小さくなり逆に真空断熱材の厚さが大きくなるので、壁内厚さに対する真空断熱材の厚さの占める割合は大きくなる。すなわち、壁内厚さに対してウレタンの厚さが小さくなれば、ウレタンの厚さに対する真空断熱材の厚さの割合が増加することになる。図において、ウレタンの厚さ/壁内厚さが約0.6では、ウレタンの厚さの方が真空断熱材の厚さよりも大きいので、ウレタンの熱伝導率が複合熱伝導率(真空断熱材とウレタンを合わせた熱伝導率)に与える影響が大きく複合熱伝導率も大きい(断熱性能が悪い)。ウレタンの厚さ/壁内厚さを小さくしていくと、ウレタンの厚さに対する真空断熱材の厚さの割合が増加していくので、ウレタンの熱伝導率よりも真空断熱材の熱伝導率の影響の方が複合熱伝導率に与える影響が大きくなり、その結果、ウレタンの厚さ/(ウレタンの厚さ+真空断熱材の厚さ)が小さくなるにつれてウレタンと真空断熱材を合わせた複合部材の熱伝導率(複合熱伝導率)が低下していく。ここで、ウレタンの厚さ/(ウレタンの厚さ+真空断熱材の厚さ)が0.3程度までは、ウレタンの熱伝導率よりも真空断熱材の熱伝導率の影響の方が複合熱伝導率に与える影響が大きいので、複合熱伝導率の低下割合も大きく、ウレタンの厚さ/(ウレタンの厚さ+真空断熱材の厚さ)が小さくなればなるほど複合熱伝導率が小さくなり断熱性能が大きく向上する。
しかし、壁内厚さに対するウレタンの厚さの比率、すなわちウレタンの厚さ/(ウレタンの厚さ+真空断熱材の厚さ)が0.3程度よりも小さくなるところから複合熱伝導率の低下の傾きが変化し、複合熱伝導率の低下の傾きが小さくなる(複合熱伝導率の低下の割合が小さくなる)。これは、壁内厚さに対するウレタンの厚さの比率、すなわちウレタンの厚さ/壁内厚さが小さくなったため、複合部材(ウレタンと真空断熱材を合わせた部材)の断熱性能に対し、真空断熱材の断熱性能が支配的となり、ウレタンの断熱性能が複合部材の断熱性能へ与える影響が小さくなったためと考えられる。したがって、本実施の形態では、複合部材(ウレタンと真空断熱材の両方が隣接して形成された断熱部材)により形成される断熱壁では、ウレタンの厚さ/壁内厚さを0.3以下となるようにウレタンの厚さを設定すれば、断熱性能の低下の割合が小さくなるので、ウレタンの厚さあるいは真空断熱材の厚さにバラツキが生じても断熱性能のバラツキが小さくできるので良い。逆に真空断熱材の厚さ/壁内厚さを0.7以上に設定しても良い。
したがって、ウレタンの厚さ/壁内厚さが0.3程度以下となるようにウレタンの厚さを設定すれば、複合熱伝導率を小さくでき、複合部材の断熱性能が大幅に向上する。また、ウレタンの厚さのバラツキ(あるいは真空断熱材の厚さのバラツキ)を考慮してウレタンの厚さ/壁内厚さを0.3以下の範囲内になるように設定すれば、ウレタンの厚さや真空断熱材の厚さがばらついたとしても複合部材の断熱性能の低下を抑制でき、しかも複合部材の複合熱伝導率のバラツキを抑制できるので、信頼性が高く、高性能な断熱壁、断熱箱体、冷蔵庫、機器などが得られる。
図20は壁内空間315の容積に対する真空断熱材400の容積の占める割合である真空断熱材の充填率と、断熱箱体700に負荷(荷重)を与えた時の断熱箱体の変形量の関係を示した図である。図20において、横軸は、真空断熱材の充填率を表し、縦軸は断熱箱体の変形量を表す。ここで、真空断熱材の充填率は、壁内の空間315の容積に対して真空断熱材400の占める容積の比率(割合)であり、断熱箱体の変形量は、たとえば冷蔵庫1などの断熱箱体において、扉のある状態で箱体の側面の上から約1/4程度の高さ位置に略水平方向(横方向、前面開口部を正面に見て左右方向)に所定の荷重を加えた時の箱体700の側壁790の上端位置の左右方向(横方向)の変形量の計算結果であり、真空断熱材400の充填率が20%のときの変形量を1としている。図20は、真空断熱材の被覆率(たとえば65%)、ウレタン密度(たとえば60kg/m3)、ウレタンの曲げ弾性率(たとえば9MPa)、真空断熱材の曲げ弾性率(たとえば15MPa)、複合部材の厚さ(たとえば28mm)、外箱と内箱の厚さを加えた壁厚さ(たとえば30mm)などは一定とし、真空断熱材の厚さを変化させて真空断熱材の充填率を変更した場合の結果である。
図20において、真空断熱材の充填率が大きくなれば、箱体変形量が小さくなる。これは、真空断熱材の曲げ弾性率がウレタンの曲げ弾性率よりも大きいため、断熱箱体内のウレタン容積に対する真空断熱材の容積の比率が増加するに伴って真空断熱材の曲げ弾性率の影響が大きくなり箱体700の剛性が増加したためであると考えられる。真空断熱材400の充填率が40%以上になると箱体の変形量の低下割合が極端に小さくなり、真空断熱材の充填率を大きくしても箱体変形量がほとんど変化しなくなっている。これは、箱体強度(箱体の変形)に対する真空断熱材400の影響度合いがほぼ飽和に近づいたためと考えられる。
真空断熱材400は硬質ウレタンフォームよりも曲げ弾性率が大きいため、空間315内の容積に対する真空断熱材400の容積の占める比率(割合)を大きくする(真空断熱材の充填率を大きくする)ことで断熱箱体700の変形量を小さくできるので、断熱箱体700の断熱性能が向上し、断熱箱体700あるいは冷蔵庫1あるいは機器の箱体強度を大きくすることができる。この際、真空断熱材400の厚みを増して充填率を大きくすれば箱体の強度UPの効果とともに断熱性能も向上できる。ここで、真空断熱材の厚さを大きくすることで真空断熱材の充填率を大きくしても良いが、箱体700の表面積に対する真空断熱材400の表面積の割合(真空断熱材の被覆率)を大きくすることで真空断熱材の充填率を大きくしてもよく、この場合でも箱体の強度を大きくすることが可能であり、しかも、真空断熱材400の被覆率を大きくすることで真空断熱材の充填率を大きくできる。また、真空断熱材400の被覆率を大きくすれば、真空断熱材の配設範囲(配設部位)が増え、断熱箱体700の壁厚を薄くすることができるので、壁厚が薄く出来る分だけ貯蔵室内容積を大きくできる。
本実施の形態では、たとえば、断熱箱体の外郭を形成する外箱710と断熱箱体の貯蔵室の内壁の一部を形成する内箱750との間の空間315の少なくとも一部に真空断熱材400を備え、空間315内の真空断熱材400の充填率を40%以上とし、外箱710の表面積に対する真空断熱材400の面積比率(被覆率)を60%以上とすることで、断熱性能が高く箱体強度も大きく信頼性の高い断熱箱体、冷蔵庫、機器などが得られる。ここで、本実施の形態では、従来の断熱箱体に用いられていた硬質ウレタンフォームよりも曲げ弾性率の高い真空断熱材400にて断熱箱体700の壁面強度を担う構成としているので、箱体強度と断熱性能の両方を満足させることができ、しかも壁厚さを薄くできるので、貯蔵室内容積も大きくできる。
本実施の形態に係る断熱箱体700は、硬質ウレタンに比べ曲げ強度の高い真空断熱材400の充填率を所定値以上(あるいは所定範囲内)に設定するか、あるいは真空断熱材400の充填率と被覆率の両方を所定値以上(あるいは所定範囲内)に設定することで、断熱性能と箱体強度の両方を満足した上で断熱箱体700の壁厚を薄くすることができる。したがって、断熱箱体700や冷蔵庫1の外形サイズを変更せずに貯蔵室内の内容積を拡大でき、断熱箱体700あるいは冷蔵庫1あるいは機器の内部に貯蔵できる収納物や貯蔵物を増やすことが可能となる。なお、壁強度が低下すると断熱箱体700が歪み、例えば内部に設置されている棚80がレール部よりはずれて落下したり、引き出し式の貯蔵室(あるいは引き出し式の扉あるいはケース、または開閉扉など)の摺動性が悪くなるといった不具合が発生するが、本実施の形態では、真空断熱材400の充填率または/及び被覆率を所定値以上(所定範囲内)に設定するようにしているため、断熱箱体700の壁厚を薄くすることができ、しかも箱体強度と断熱性能を向上させることができるので、棚80がレール部よりはずれて落下したり、引き出し式の貯蔵室(あるいは扉あるいはケース、または開閉扉など)の摺動性が悪くなって信頼性が低下するのを抑制できる。
また、本実施の形態1に係る断熱箱体700は、空間315内の真空断熱材400の充填率を90%以下としている。上述したような本実施の形態に係る技術思想によれば、空間315内を全て真空断熱材400とするのが理想的である。しかしながら、図11などでも説明したように、背面壁730には凸部450あるいは突起部910がもうけられており、また内箱750に形成されるレール部755が空間315内に突出して設けられており、また、断熱箱体700を例えば冷蔵庫1に用いる場合、壁内空間315内には、断熱箱体700の機械室1Aに搭載される圧縮機12や制御基板室31に収納される制御装置30(たとえば圧縮機の回転数等を制御するもの)等を接続する配線類をまとめたハーネスを収納するパイプ720も配設されることとなるので、真空断熱材400の充填率を90%よりも大きくすることは困難である。また、断熱箱体700を例えば冷蔵庫1に適用する場合、空間315内には、冷媒配管725等も配設されることとなる。このため、空間315内に90%を越えて真空断熱材400を配設しようとすると、真空断熱材400で配線類720や冷媒配管725やレール部755などの形状に合わせた真空断熱材400が必要となり、真空断熱材400の形状が複雑となるので、真空断熱材400の成形(あるいは形成)が困難となるので、真空断熱材400の充填率を90%以下に設定している。
また、断熱箱体700の強度が低下して歪みが発生するのを抑えるためには外箱710と内箱750を真空断熱材400と接着して接着強度を持たせる必要があるが、内箱750には貯蔵室(たとえば冷蔵室2)内に設置された棚80を保持するためのレール部755やその他部品(たとえば照明装置900あるいはミスト装置200あるいは仕切壁24など)が取り付けられていることが多く形状が複雑である。したがって、真空断熱材400を外箱710側にホットメルトや両面テープなどの第2の接着剤で接着させることは容易でも、真空断熱材400を形状が複雑な内箱750側に接着させて接着強度を得ることは困難である。
しかしながら、硬質ウレタンフォームを内箱750と真空断熱材400との間の接着剤として使用すれば、空間315内に二相状態で流動させながら充填させて発泡させることが可能なので、空間315内に凸部450や突起部910やレール部755やその他の部品が存在する場合でも問題なく内箱750と真空断熱材400とをウレタンにより接着させることが可能となる。もちろん、外箱710と真空断熱材400の間、あるいは外箱710と内箱750の間に接着剤として硬質ウレタンフォームを充填しても良い。このとき、断熱箱体700内に硬質ウレタンフォームが充填されない未充填部(つまり、空隙)が生じると、断熱箱体700の断熱性能が低下してしまう。したがって、本実施の形態に係る断熱箱体700においては、硬質ウレタンフォームを充填するために必要なある程度の所定隙間(例えば1mm程度以上、好ましく3mm程度以上)の確保が必要となるので、空間315内の真空断熱材400の充填率は90%以下が良く、好ましくは80%以下が良い。
ところで、空間315内における真空断熱材400の充填率を増大させれば、空間315内における硬質ウレタンフォームの充填率は低下する。このため、外箱710と内箱750との間のウレタンの厚さが低減し断熱箱体700の箱体強度が低下してしまうことが懸念されるようにも思われる。しかしながら、本実施の形態に係る断熱箱体700は、ウレタンよりも断熱性能、曲げ剛性とも優れた真空断熱材400を使用することで、箱体強度の低下が抑制できる。また、本実施の形態では、熱伝導率が小さな真空断熱材400によって主に断熱機能と強度を担うという技術思想によってもたらされているため、図20に示したように真空断熱材の充填率を40%以上にすることで硬質ウレタンの充填量が少なくなっても箱体700の強度を向上させることができる。また、図19に示したように真空断熱材400の厚さを厚くする(すなわち、真空断熱材の充填率を大きくする)ことで、真空断熱材と硬質ウレタンフォームを合わせた複合断熱材の複合熱伝導率を小さくできるので、箱体700の断熱性能も向上する。
ここで、硬質ウレタンフォームの密度を大きくして曲げ弾性率(曲げ剛性)を増大させると、硬質ウレタンフォーム自体の断熱性能は低下するが、真空断熱材400の被覆率と充填率を所定値以上とすることで、ウレタンの断熱性能の低下の影響は小さく問題にならない。本実施の形態に係る断熱箱体700においては、図16に示したように硬質ウレタンフォームの密度を従来よりも大きく、例えば60kg/m3より大きくすることで、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を、従来の断熱箱体に用いられていた硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率(たとえば6〜10MPa程度)よりも大きな15MPa以上とすることができ、真空断熱材400が配置されていない部分の箱体強度も向上させることが可能となる。したがって、本実施の形態に係る断熱箱体700、冷蔵庫1、ショーケース、給湯機などの機器は、真空断熱材400の充填率を40%以上、真空断熱材の側背面の被覆率を70%以上に設定することにより、硬質ウレタンフォームの充填率の低下に起因する強度低下を抑制することができ、収納物の重量による歪みに耐え切れず断熱箱体700が変形することも抑制できる。すなわち、真空断熱材400の充填率を大きくすることによって断熱箱体700の強度を向上させることができ、また、優れた断熱性能が得られるので、信頼性が高く省エネルギーな真空断熱材を備えた断熱箱体、真空断熱材を備えた冷蔵庫、真空断熱材を備えたショーケース、真空断熱材を備えた給湯装置、真空断熱材を備えた機器などが得られる。
なお、硬質ウレタンフォームの密度調整は、例えば空間315内に注入する硬質ウレタンフォームの原液の量を従来よりも多く充填する(注入時間を長くしたり、あるいは注入圧力を大きくする)ことにより、密度を大きくしたり小さくしたり調整することができる。また、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率は、図16で示したように密度の大きさにほぼ比例して大きくなるので、密度を大きくすれば大きくでき、曲げ弾性率が大きい方が箱体剛性が大きくなるので良いが、ウレタンの曲げ弾性率は150MPa以下とした方が良い。硬質ウレタンフォームは、曲げ弾性率が150MPaよりも大きくなると、硬質ウレタンフォームの密度が大きくなりすぎてスポンジ状に発泡できずに固まってしまい、断熱性能が急激に低下するので、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率は150MPa以下にした方が、断熱性能の低下が抑制できるので良く、高性能な断熱箱体が得られる。また、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度は大きくなりすぎると、(1)ウレタンの注入量増加によるコストUP、(2)ウレタンの注入圧力増加による箱体等からのウレタン漏れの発生、(3)ウレタン発泡時の発泡圧力増加による箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などとウレタンとの密着力、接着力増加のため箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などが箱体から抜けにくくなる(箱体から取り外しにくくなる)、(4)ウレタンの密度増による断熱性能の急激な悪化など、品質悪化、性能低下、コストUPなどの問題が発生するので、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度(発泡断熱材の場合は発泡後の密度)を100kg/m3以下(好ましくは90kg/m3以下)にした方が良い。
本実施の形態では、断熱箱体700を、たとえば、以下のような仕様の冷蔵庫に適用している。
(1)外箱710及び内箱750の合計板厚が2mm程度以下で、外箱710の板厚と内箱750板厚を含む断熱箱体700の平均壁厚が20mm程度以上40mm程度以下の断熱箱体を使用(ここで、背面壁730、側壁790、天井壁740、底面壁780、仕切り壁24等の板厚を含む壁厚さが20mm以上40mm以下程度が好ましく、また、外箱710と内箱750の板厚を除いた空間315の壁厚方向の平均距離(壁内厚さ)は18mm程度〜38mm程度)。
(2)真空断熱材400の厚みが10mm程度〜30mm程度であり、真空断熱材の配設されている部分(たとえば凹部440あるいは第2の凹部441)の壁内の空間315における硬質ウレタンフォームの壁厚方向の平均流路幅(ウレタン流路厚さ)が1mm以上(好ましくは3mm以上)であり、また、11mm以下(ばらつきや真空断熱材400の表面の凹凸等を考慮すると10mm未満が良く好ましくは6mm以下)。
(3)硬質ウレタンフォームの熱伝導率は、0.018W/(m・K)〜0.026W/(m・K)。
(4)真空断熱材400の熱伝導率は、0.0019W/(m・K)〜0.0025W/(m・K)。
(5)内容積が200L〜600Lクラスで、所定の条件下での消費電力が60W程度以下程度。
このような冷蔵庫1における断熱性能は、真空断熱材400の充填率と被覆率が所定の範囲内になるように設定して真空断熱材400の大きさや厚さを選定することによって、真空断熱材400が断熱箱体の断熱性能、断熱箱体の箱体強度に対して支配的となるので、真空断熱材400の熱伝導率は小さい方が断熱箱体の複合熱伝導率を小さくできるので良く、0.0030W/(m・K)以下が好ましい。真空断熱材400の熱伝導率が0.0030W/mKを超えると、壁厚低減による断熱性能への影響が大きくなり、断熱性能が悪化し、消費電力量が大きくなる。このため、本実施の形態では、真空断熱材400の熱伝導率を0.0030W/(m・K)以下とすることにより、壁厚を薄くすることに対しての断熱性能低下の影響を抑制している。また、真空断熱材400の熱伝導率は小さければ小さい方が良いが、熱伝導率を0.001W/(m・K)低減するためにかかるコストが大幅に増大するため、真空断熱材400の熱伝導率は0.0012W/(m・K)以上のものを使用するようにしている。真空断熱材400の熱伝導率は0.0019W/(m・K)以上0.0025W/(m・K)以下であれば硬質ウレタンフォームの熱伝導率よりも約10倍小さいので、断熱箱体700の断熱性能は従来よりも格段に良くなり、製品仕様を満足できる。したがって、真空断熱材400は、熱伝導率が0.0012W/(m・K)以上0.0030W/(m・K)以下程度(好ましくは0.0019W/(m・K)以上0.0025W/(m・K)以下程度)のものを使用すれば良い。
本発明の実施の形態に係る断熱箱体700の一例として、壁厚さと真空断熱材400の充填率、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率、断熱箱体700の箱体変形量の関係を表1に示す。表1の項1は、従来の仕様であり、壁厚さ40mm、真空断熱材400の充填率が20%、内箱750と真空断熱材400の間に充填されるウレタンの曲げ弾性率が9MPaのときの結果である。ここで、真空断熱材400の曲げ弾性率は20MPaのものを使用している。表1の項1と項2より真空断熱材400の充填率が20%、ウレタンの曲げ弾性率9MPaの場合は、断熱箱体700の壁厚を40mmから30mmに薄くすると箱体強度が低下する。したがって、項3に示すように壁厚さを30mmまで低減させる場合には、真空断熱材400の充填率を40%以上まで大きくすれば、箱体変形量が項1(従来)より若干大きいが項1(従来)と同等レベルまで低下することが分かる。
表1の項4に示すように、断熱箱体700の壁厚を従来の40mm(表1の項1)から30mmに薄くしても真空断熱材400の充填率を40%以上とし、かつウレタンの曲げ弾性率を15Mpa以上(表1の項4)とすれば、箱体変形量が従来(項1)よりも小さくできるので、断熱箱体700の箱体強度を従来品(項1)以上にすることが可能となる。すなわち、壁厚さを低減(たとえば40mmから30mmに低減)させても真空断熱材400の充填率とウレタンの曲げ弾性率を所定値以上に設定すれば、箱体強度が低下することなく、断熱性能も向上させることができる。したがって、本実施の形態では、真空断熱材400としては、曲げ弾性率20MPa以上のものを使用し、真空断熱材400の充填率を40%以上、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を15MPa以上に設定することで、断熱箱体の壁厚さを薄く(例えば40mmから30mmに薄く)しても断熱箱体700の強度を従来よりも向上させることが可能となる。
また、真空断熱材400の外郭を形成する外包材(外装フィルム)には、アルミ箔フィルムよりもアルミ蒸着フィルムを使用するようにした方が良い。真空断熱材400の外包材を伝って発生する熱漏洩(真空断熱材400の外包材を介して、真空断熱材400の表面から裏面へ熱が伝導して漏洩する所謂ヒートブリッジ)を抑制するために、真空断熱材400の外包材として、アルミ箔フィルムよりもヒートブリッジが生じにくいアルミ蒸着フィルムを外包材(外装フィル)として使用した方が良い。
なお、本実施の形態1における硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率、熱伝導率、密度の測定は、たとえば、所定の大きさ(たとえば100×100×5mm以上)の硬質ウレタンフォームを切り出して測定すれば良い。真空断熱材400の配設されている部分においては、左右側面、背面、天面、底面の5つの各面ごとに真空断熱材が配設されている部分より複数切り出し、その平均値を算出すれば良い。(1箇所しか切り出せない場合は1箇所で複数箇所測定するなどして代用すれば良い)。扉にも真空断熱材が配設されている場合には、扉についてもウレタンの密度、曲げ弾性率、熱伝導率を測定すれば良い。また、真空断熱材400が配設されていない部分においても左右側面、背面、天面、底面の5つの各面ごとに複数切り出し、その平均値を算出すれば良い。本実施の形態では、いずれの場合も密度あるいは曲げ弾性率が大きいと推測できる場所よりも切り出して測定するようにしている。なお、冷媒配管725やリード線などの配線部品720などがある場合など硬質ウレタンフォームを所定の大きさに切り出せない場合には、中心位置に近い位置で所定の大きさの硬質ウレタンフォームが切り出せる位置にすれば良い。
本実施の形態では、左側面、右側面、背面、天面、底面あるいは扉の6つの面ごとに真空断熱材400が配設されている部分と配設されていない部分のウレタンの密度あるいは曲げ弾性率を測定し、ウレタンの密度あるいは曲げ弾性率が所定値以上になるようにしている。ウレタンのフリーフォーム密度、真空断熱材の厚さ、壁厚さなどを調整することで、真空断熱材400と内箱750との間、あるいは真空断熱材400と外箱710との間、あるいは外箱710と内箱750との間に介在するウレタンの密度、あるいは曲げ弾性率を所定値以上に設定できる。
ここで、本実施の形態では、左右側面、背面、天面、底面あるいは扉の6つの面において、各面ごとに少なくとも真空断熱材400が配設されている部分のウレタンの密度、曲げ弾性率を所定値以上に設定するようにしており、加えて各面ごとに少なくとも真空断熱材400が配設されていない部分のウレタンの密度、曲げ弾性率を所定値以上に設定するようにしても良い。ここで、左右側面、背面、天面、底面あるいは扉の6つの面において、各面ごとにウレタン密度、曲げ弾性率が所定値以上になるように設定すれば、真空断熱材400が配設されていない部分においても強度が向上する。また、個別の面ごとに強度が得られるので、必要な部分だけ高強度に設定でき低コストで信頼性の高い良い断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。また、左右側面、背面、天面、底面あるいは扉の6つの面の密度、あるいは曲げ弾性率の平均値が第1の所定値以上(密度60kg/m3以上、曲げ弾性率15MPa以上)、第2の所定値以下(密度100kg/m3以下、曲げ弾性率150MPa以下)になるように設定するようにすれば、箱体全体での強度確保が行えるので、断熱性能が高く信頼性の高い断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、真空断熱材400の被覆率、充填率についても、左右側面、背面、天面、底面あるいは扉の6つの面において、各面ごとあるいは複数の面を合わせた被覆率、充填率が所定値以上になるように設定すれば、個別の面ごとに強度、断熱性能が得られるので、必要な部分だけ高強度に設定でき低コストで高断熱で信頼性の高い断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。また、左右側面、背面、天面、底面あるいは扉の6つの面全体が所定値以上になるように設定するようにすれば、箱体全体での強度確保、断熱性能の向上が行えるので、断熱性能が高く信頼性の高い断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
以上、本実施の形態に係る断熱箱体700においては、真空断熱材400の被覆率を所定値(60%)より大きく(真空断熱材400の側背面の被覆率を70%以上)している。また、真空断熱材400の充填率も所定値(40%)以上にして硬質ウレタンフォームの充填量を少なくしているので、断熱箱体の断熱性能と箱体強度を確保した上で断熱箱体700の壁厚を従来よりも薄くすることができる。したがって、断熱性能が向上するため、省エネルギーであり、しかも壁厚が薄く出来る分だけ従来よりも貯蔵室内の内容積を大きくできるので、内容積効率の優れた断熱箱体700、冷蔵庫1、ショーケース、機器を提供することができる。すなわち、本発明の実施の形態によれば、断熱箱体700あるいは冷蔵庫1あるいはショーケースなどの機器の外形サイズを変更せずに内容積(たとえば貯蔵室2〜6の内容積)を従来よりも大きくできるので、断熱箱体700あるいは冷蔵庫1の内部に貯蔵できる収納物を従来よりも増やすことができる。よって、ユーザにとって使い勝手のよく、省エネルギーな断熱箱体700、冷蔵庫1、ショーケースなどの機器が得られる。逆に内容積(たとえば貯蔵室2〜6の内容積)を従来と同等にすれば、外形サイズを小さくできるので、省エネルギーでコンパクトな断熱箱体700、冷蔵庫1、ショーケース、給湯装置などの機器が得られる。
なお、本実施の形態で示した断熱箱体700や冷蔵庫1の形態や形状はあくまでも一例である。例えば、断熱箱体700の貯蔵品収納空間を3枚の横仕切り板で区画して上下方向に4つの収納空間(貯蔵室)を形成しても良い。また、例えば、断熱箱体700の貯蔵品収納空間を3枚の横仕切り板で区画してさらに縦仕切り板によって区画することで5つの収納空間(貯蔵室)を形成してもよい。仕切り板の数を増やすことにより、断熱箱体700の強度をより向上させることができる。すなわち、仕切り板の数を増やして収納室や貯蔵室の数を多くするほど、仕切り板による箱体強度向上の効果が得られるので、真空断熱材400で覆っている部分の硬質ウレタンフォーム(真空断熱材400と内箱750との間の空間315)の平均厚さを薄くしても(例えば11mm以下、好ましくは10mm未満、より好ましくは6mm以下)、十分な箱体強度を確保することができる。このため、断熱箱体700の外形サイズを変更せずに貯蔵室の内容積をさらに大きくでき、断熱箱体700の内部に貯蔵できる収納物をさらに増やすことが可能となる。
また、本実施の形態においては、仕切壁24の内部構造については、断熱箱体700と同様の構成にしてもよい。すなわち、仕切壁24の内部空間に真空断熱材400を配置して硬質ウレタンフォームを充填するが、硬質ウレタンフォームは接着剤として使用できれば良いので薄くても良く、例えば11mm程度以下(好ましくはばらつきや真空断熱材の表面の凹凸等を考慮すると10mm未満)が良く、より好ましくは6mm程度以下が良い。ここで、仕切壁24内には、断熱箱体700のように配管725や配線720等が配置されない場合が多いので、そのような場合には、仕切壁24に対しての真空断熱材400の充填率は断熱箱体700と同等の40%以上90%以下に設定しても良いが、仕切壁24に関しては、仕切壁24の大きさ(仕切壁24内の空間)のほぼ全面に真空断熱材400を配置することが可能となるので、真空断熱材400の充填率を40%以上95%以下程度まで充填率を高めることが可能である。また、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率は15MPa以上、密度は60kg/m3よりも大きくすればよい。このように仕切壁24内にも真空断熱材400を配置して充填率を所定範囲に設定することにより、断熱箱体700の断熱性能をより向上させることができる。
本実施の形態では、真空断熱材を備えた断熱箱体あるいは断熱壁の場合、組立性を考慮して真空断熱材400を外箱710にホットメルトや両面テープなどの発泡ウレタンとは異なる第2の接着剤で直接貼り付け、真空断熱材400と内箱750との間には接着を主目的とする接着剤として硬質ウレタンフォームを充填するようにしているが、真空断熱材400を外箱710と内箱750との間に形成される空間315内にEPSなどの樹脂によるスペーサなどを配置して真空断熱材400を内箱750と外箱710との間に浮かせて配置するようにして、真空断熱材400と外箱710との間、及び、真空断熱材400と内箱750との間に硬質ウレタンフォームを充填するようにしても良い。また、真空断熱材400を内箱750にホットメルトや両面テープなどの第2の接着剤で直接貼り付けて真空断熱材400と外箱710との間にウレタンフォームを充填するようにしても良い。
ここで、真空断熱材400を外箱710と内箱750との間にスペーサなどで浮かせて配置する場合には、外箱710の内面側(外箱710と真空断熱材400との間の空間)にスペーサを設けてスペーサ空間に冷媒配管725(たとえば凝縮配管)を設けるようにすれば良い。冷媒配管725は、機械室1A内に配置されている圧縮機12から吐出された高温高圧の冷媒が流れる凝縮配管でもあり、冷媒配管725の管壁及び外箱710を介して熱伝導などによって、配管725内を流れる冷媒を配管725の周囲の空気によって冷却して冷媒を凝縮させることで凝縮配管として使用される。また、本実施の形態に係る断熱箱体700は、冷媒配管725と重ならない位置(対向しない位置)の外箱710の内壁に、冷媒配管725の直径以上の厚みを有する樹脂製のスペーサを設けて、真空断熱材400をスペーサに貼り付けるようにすれば、冷媒配管725を外箱710に這わせてから真空断熱材400が貼り付けられたスペーサを冷媒配管725を覆うように外箱710に直接両面テープなどで貼り付けることができ製造が容易になる。本実施の形態に係る断熱箱体700は、真空断熱材400が内箱750と所定の間隔を介して配置され、また真空断熱材400が外箱710と所定の間隔を介して配置されているので、真空断熱材400が硬質ウレタンフォーム内に埋設された構成となり、断熱性能が向上する。
以上のように、本実施の形態では、断熱箱体700は、外箱710と内箱750との間の空間315内において、硬質ウレタンフォーム内に真空断熱材400を埋設させるようにして発泡充填しても良く、この場合には外箱710と真空断熱材400との間に凝縮配管725が存在する場合が多いが、EPSなどの樹脂製のスペーサなどで真空断熱材400を外箱710と所定の距離を持たせる構成とすることで真空断熱材400を配設することができる。
また、真空断熱材400は、高温になるほど周囲のガスを吸収しやすく内部の真空度が低下し熱伝導率が悪化することがある。夏場など外気温度が高い場合には外箱710の周囲温度(周囲の空気温度)が高くなり外箱710自体の温度も高くなる可能性があり、また、凝縮配管として使用される配管725も高温になるので、真空断熱材400の信頼性確保の観点から考えると真空断熱材400を外箱710や冷媒配管(凝縮配管)725から遠ざけることが望ましい。真空断熱材400を外箱710や冷媒配管(凝縮配管)725から遠ざけることで真空断熱材400の温度上昇による劣化を抑制することができるので、真空断熱材400をスペーサなどで外箱710の壁面あるいは冷媒配管725から遠ざけるように浮かせる構造とすれば、断熱性能の低下を抑制でき長期的に信頼性の高い断熱箱体700、冷蔵庫1を提供することが可能となる。
また、真空断熱材400は周囲のガス(空気など)を吸収することで内部の真空度が下がり、熱伝導率が悪化することがあるが、EPSなど樹脂製のスペースを外箱710に貼り付けるなどして硬質ウレタンフォーム内に真空断熱材400を埋設させる構成にすれば、真空断熱材400の周囲のガス(空気など)の存在量を減らすことができるので、真空断熱材400が周囲のガス(空気など)を吸収することが抑制でき、真空度の低下による真空断熱材400の劣化を抑制でき、長期的に高断熱性能を維持でき、しかも信頼性の高い断熱箱体700、冷蔵庫1、機器などを提供することが可能となる。
特に、本実施の形態に係る断熱箱体700においては、硬質ウレタンフォームの密度が従来の断熱箱体に用いられていた硬質ウレタンフォームよりも密度の高いもの(密度が60Kg/m3より大きなもの)を使用するので、密度が大きい分だけ硬質ウレタンフォーム内の気泡が少なくなり、気泡内のガスの量(空気量)を減らすことが可能である。したがって、真空断熱材400の周囲を硬質ウレタンフォームで埋設あるいは覆うように充填あるいは配設すれば、真空断熱材400の周囲のガス(空気など)の存在量を減らすことができるので、真空断熱材400の真空度の低下を抑制できる(ウレタンの密度が大きくなればなるほど、ウレタン内の空隙数が減り、ウレタン内の空気量が減る)。特にウレタンの厚さが薄い場合(たとえば11mm以下の場合)には、真空断熱材400はウレタン周囲などからの空気などのガスの進入を受けやすいので、ウレタンの密度を大きくして真空断熱材400の周囲のガス量を減らすことによる真空断熱材400の劣化抑制に対する効果が大きい。したがって、真空断熱材400の劣化をより抑制でき、長期的に信頼性の高い断熱箱体700、冷蔵庫1、機器を提供することが可能となる。
なお、本実施の形態では凝縮配管725を空間315内に配置した断熱箱体700を例に説明したが、凝縮配管725が空間315内に設けられていない断熱箱体700においても、硬質ウレタンフォーム内に真空断熱材400を埋設させても勿論よい。真空断熱材400の周囲のガスの存在量を減らすことができるので、真空断熱材400の劣化を抑制でき、長期的に信頼性の高い断熱箱体700を提供することが可能となる。
ここで、内箱750にレール部(引き出し式貯蔵室の引き出し用のレールあるいは凹部など)755が形成されていない構成の断熱箱体700、冷蔵庫1の場合など、内箱750が真空断熱材400を直接、接着剤や両面テープなどで貼り付けやすい形状となっている場合には、真空断熱材400の全てまたは一部を内箱750側に配設してもよい。
ここで、本実施の形態のように真空断熱材400を内箱750側にホットメルトや両面テープなどで直接貼り付ける構成の断熱箱体700の場合には、より少ない量の真空断熱材400で、省エネルギーで、かつ従来よりも貯蔵室の内容積効率の優れた断熱箱体700、冷蔵庫1を提供することができる。すなわち、略直方体状あるいは円筒状の断熱箱体700の場合、内箱750の表面積よりも外箱710の表面積の方が大きいため、真空断熱材400を貼り付ける場合、内箱750の表面に張った方が外箱710の表面に張るよりも小さくて済むので、低コストで断熱性能の良い断熱箱体、冷蔵庫、ショーケース、給湯機、機器が得られる。また、たとえば、同じ大きさの真空断熱材400を貼り付ける場合には、直方体状の断熱箱体700の角部(たとえば断熱箱体700の背面と側面との接続部である角部あるいは天面と側面の角部あるいは天面と背面の角部等)において、角部における隣り合う壁面の真空断熱材400間の隙間(たとえば天面の真空断熱材400と隣り合う側面の真空断熱材400との間の隙間あるいは距離)が、真空断熱材400を外箱710側に配設した場合は、真空断熱材400を内箱750側に配設した場合と比較して大きくなってしまう。すなわち、真空断熱材400を内箱750に配設することにより、同じ大きさの真空断熱材400を外箱710に配設した場合と比べ、隣り合う真空断熱材400同士の間に形成される隙間を小さくでき、隙間が小さくなる分だけ熱漏洩による熱ロスが小さくなり、断熱効率の良い断熱箱体700、冷蔵庫1、給湯機、ショーケース、機器を提供することができる。
また、本実施の形態に係る断熱箱体700は、内部に仕切壁24などで区画形成された複数の貯蔵室2、3、4、5、6の開口部を開閉するためのヒンジ式あるいは引き出し式の開閉扉を備えている。この扉は、例えば金属からなる外郭部材(外板)と、例えば樹脂からなる内側部材(内板)と、を備えている。そして、外郭部材と内側部材との間に形成される扉内部空間に、硬質ウレタンフォームと真空断熱材400が配設(充填)されている。扉も本実施の形態で説明した断熱箱体に対する真空断熱材の充填率を所定範囲に設定し、また真空断熱材400で断熱機能のほとんどを持たせるという技術思想に基づいて形成されたものであり、扉内部空間の真空断熱材400の充填率を40%〜90%、被覆率を70%以上にしている。
このような開閉扉の製造にあたっては、真空断熱材400をあらかじめ外郭部材に第2の接着剤などで接着固定し、液体状の硬質ウレタンフォームの原料を真空断熱材と内側部材の間の空間、外側部材と内側部材の間の空間に注入して外郭部材、真空断熱材400、内側部材を一体に形成できるように発泡させることにより、扉内部空間内に発泡断熱材である硬質ウレタンフォームを充填することができる。この場合も、硬質ウレタンフォームの厚さは、接着剤としての強度を有すれば良いので、1mm以上好ましくは3mm以上がよく、また11mm以下(好ましくは10mmより小さく、より好ましくは6mm以下)であれば良い。
なお、開閉扉には、貯蔵室2、3、4、5、6には、収納箱(収納ケース520)を支持するためのフレームあるいは、扉ポケットあるいは、棚80等が取り付けられる場合があり、フレームの固定ネジ、扉ポケットの固定部材、棚80の取り付け部材などを開閉扉の内側(庫内側)にネジなどの締結部材や固定部材や保持部材で締結あるいは保持することが必要になる場合がある。このような場合には、締結部材や固定部材や保持部材が扉内部空間に突出する場合があり、真空断熱材400に接触すると真空断熱材の外包材を傷つけてしまう恐れがあるので、開閉扉の内側には真空断熱材400を傷つけない厚さだけウレタンフォームを配設あるいは充填した方が好ましい。但し、開閉扉の貯蔵室内側(内板側)に取り付ける取付部品(たとえば締結部材や固定部材や保持部材など)が特に必要い場合には、内板に真空断熱材400を貼り付けても良い。なお、取付部品を避けて真空断熱材を設ける場合には、内板に真空断熱材を貼り付けても良い。
また、外郭部材(外板)と内側部材(内板)とを有し、外郭部材と内側部材との間に形成される扉内部空間に真空断熱材400が配設され、外郭部材あるいは内側部材と真空断熱材400との間に発泡断熱材である硬質ウレタンフォームが充填される場合には、発泡断熱材の密度を60kg/m3よりも大きくすれば、収納箱(収納ケース520)を支持するためのフレームを固定するための固定部材であるネジなどの保持強度または固定強度が向上するので、ケース520に重量物を収納しても扉が変形しにくくなり、安定してケース520の出し入れが可能となり、信頼性の高い冷蔵庫や機器が得られる。また、ハンドルなどの別部材を固定するための固定部材であるネジなどの保持強度または固定強度が向上するので、別部材であるハンドルなどの扉取り付け部材を扉に取り付ける場合に、扉取り付け部材の扉への取り付け強度が向上するので、扉が変形しにくくなり、安定して扉の開閉が可能となり、信頼性の高い冷蔵庫や機器が得られる。また、外郭部材あるいは内側部材と真空断熱材400との間に発泡断熱材である硬質ウレタンフォームを60kg/m3よりも大きくすれば、発泡断熱材の曲げ弾性率が向上し、扉の強度も向上する。
ここで、真空断熱材400は、全ての開閉扉または一部の開閉扉に配設してもよい。例えば、外気と断熱箱体700内(たとえば、貯蔵室内)の温度差が比較的小さい場合(たとえば冷蔵室2や野菜室5など冷蔵温度帯の貯蔵室)には、真空断熱材400を開閉扉に配設しても断熱性能改善の効果が小さい。このような場合、真空断熱材400を開閉扉に配設しなくても十分な断熱性能を確保できる。真空断熱材400は、外気と断熱箱体700内(たとえば、貯蔵室内)の温度差が比較的大きな場合(たとえば製氷室3や切替室4や冷凍室6などの冷凍温度帯の貯蔵室)には、真空断熱材400を開閉扉に配設すると断熱性能改善の効果が大きい。したがって、外気と断熱箱体700内(たとえば、貯蔵室内)の温度差が比較的大きな冷凍温度帯の貯蔵室の場合には、真空断熱材400を開閉扉に配設することで十分な断熱性能を確保できる。
また、扉外板にガラス面材を使用しても良く、その場合には、枠部と庫内側面部とを有し前面側が開口した樹脂製の内側部材の枠部の前面側(庫内側面部とは反対側)の開口部に外板の代わりにガラス面材を両面テープなどで貼り付けて扉内部空間を形成し、この扉内部空間に硬質ウレタンフォームと真空断熱材400を配設(充填)すれば良い。また、真空断熱材400は、内側部材の庫内側面部に両面テープなどの第2の接着剤で接着された状態で扉内部空間に介在部材である接着剤(たとえば硬質ウレタンフォーム)が充填あるいは塗布あるいは封入される。ここで、介在部材である接着剤(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度を60kg/m3よりも大きくすることで、介在部材である硬質ウレタンフォームが密に形成され、曲げ弾性率が大きくなるため、ガラス面材を使用した場合でもガラス面材の保持あるいは接着強度が向上し、また、扉内部空間の介在部材である硬質ウレタンフォームの強度(剛性)が向上するので、扉の強度(剛性)も向上する。また、介在部材の厚さを11mm以下(たとえば10mmより小さい方が良い)にしたので、ウレタンフォームの曲げ弾性率を大きくすることができるため、ウレタンフォームの厚さが小さくなっても強度を向上させることができる。したがって、扉厚さを小さくでき、しかも箱体強度を向上できる。また、介在部材(接着剤)として自己接着性を有する硬質ウレタンフォームを使用し、〔(介在部材の厚さ)/(介在部材の厚さ+真空断熱材の厚さ)〕を0.3以下に設定すれば、真空断熱材400と硬質ウレタンフォームを備えた複合部材から形成される扉の複合熱伝導率を小さくできるので、扉厚さを小さくしても断熱性能を向上させることができる。
以上、本実施の形態の断熱箱体700あるいは冷蔵庫1あるいは機器においては、外箱710と内箱750との間に形成された空間315と、開閉扉の内部空間である扉内部空間と、を合わせた空間体積に対して、真空断熱材400の占める体積比率である真空断熱材400の充填率が所定の範囲内(たとえば40%以上80%以下)に入るようにするようにしている。このため、断熱箱体700の壁厚(たとえば、外箱710と内箱750との間の距離、及び、開閉扉の厚み)を従来よりも薄くすることができるため、省エネルギーで、かつ貯蔵室内の内容積効率の優れた断熱箱体700、冷蔵庫1、機器を提供することができる。したがって、断熱箱体700あるいは冷蔵庫1の外形サイズを変更しなくても貯蔵室内の内容積を従来よりも大きくできるので、断熱箱体700の内部に収納できる収納物を従来よりも増やすことができる。したがって、従来よりも省エネルギーで断熱性能の優れた、商品価値の高い断熱箱体700、冷蔵庫1、給湯機、ショーケース、機器を提供することができる。
なお、空間315内における真空断熱材400の充填率を増大させることにより、空間315内における硬質ウレタンフォームの充填率が低下する。本実施の形態に係る断熱箱体700においては、硬質ウレタンフォームの密度を従来よりも大きく(例えば60kg/m3より大きく)して、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を、従来の断熱箱体に用いられていた硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率(6MPa〜10MPa程度)よりも大きな15.0MPa以上にしている。したがって、本実施の形態に係る断熱箱体700は、硬質ウレタンフォームの充填率の低下に起因する強度低下も抑制することができ、貯蔵品収納空間や貯蔵室内の収納物や開閉扉の重量による歪みに耐え切れず断熱箱体700が変形するなどの問題がなく、信頼性の高い断熱箱体700や冷蔵庫1や機器が得られる。
したがって、本実施の形態の冷蔵庫1あるいは真空断熱材400を有する断熱箱体700を備えた機器においては、断熱箱体700が歪んで開閉扉が傾いたり開閉扉がスムーズに開閉できないということを抑制でき、また、変形による外観の悪化を抑制することができる。また、開閉扉と断熱箱体の開口部をシールするガスケットとガスケットの接触面(シール面)との位置関係がずれて隙間が発生し、貯蔵室内の空気(冷蔵庫の場合は冷気)が断熱箱体外へ流出することも防止できる。よって、真空断熱材400を多量に使用しても断熱箱体700の性能低下や信頼性低下が抑制でき、優れた断熱性能を有するので、省エネルギーで高信頼性の冷蔵庫あるいは真空断熱材を有する断熱箱体あるいは真空断熱材を備えた機器、断熱箱体を備えた機器を得ることができる。
また、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度は大きくなりすぎると、(1)ウレタンの注入量増加によるコストUP、(2)ウレタンの注入圧力増加による箱体等からのウレタン漏れの発生、(3)ウレタン発泡時の発泡圧力増加による箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などとウレタンとの密着力、接着力増加のため箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などが箱体から抜けにくくなる(箱体から取り外しにくくなる)、(4)ウレタンの密度増による断熱性能の急激な悪化など、品質悪化、性能低下、コストUPなどの問題が発生するので、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度(発泡断熱材の場合は発泡後の密度)は100kg/m3以下(好ましくは90kg/m3以下)にした方が良い。
ここで、断熱箱体700が冷蔵庫に使用される場合のように、上下方向の高さが幅方向の長さよりも大きい細長い直方体形状をしている場合には、略水平に配置される底面部780や天井部740や貯蔵室間の仕切壁24等よりも、略垂直に配置される側壁790や背面壁730の方が細長い形状をしているので、剛性が弱く変形しやすい。そのため、本実施の形態のように真空断熱材400の充填率、被覆率を所定範囲内に設定することで、断熱箱体700の強度(剛性)を向上させることができる。また、凸部450あるいは突起部910を設けることでも箱体強度を向上させることもできる。また、凸部450の一端を凹部440あるいは第2の凹部441に配設される真空断熱材400と所定長さXだけ重なるように設け、他端を側面部790に接続することで真空断熱材400を硬質ウレタンフォームを介して凸部450と一体に形成でき、また、真空断熱材400を硬質ウレタンフォームを介して側壁790と一体に形成できるので、箱体700の強度を向上させることができる。
図21は、断熱箱体700の側面部790と背面部の表面積に対する真空断熱材400の占める面積比率(側背面被覆率)と箱体変形量の関係を表した図であり、計算結果である。断熱箱体の強度は、側壁790、背面壁730の形状が細長い長方形状であり、天面壁740や底面壁780や仕切壁24などの略正方形状に比べて剛性が弱いので、真空断熱材400の側背面被覆率を所定値以上に設定することで箱体強度を向上させることができる。ここでは、側壁790と背面壁730の表面積に対する真空断熱材400の占める面積比率(側背面被覆率)と箱体強度の関係について説明する。
図21において、横軸は断熱箱体700の側壁790と背面壁730の表面積に対する真空断熱材400の占める面積比率(側背面被覆率)を表し、縦軸は箱体の変形量を表している。ここで、ウレタンの密度は60kg/m3、真空断熱材400の充填率は40%、側背面の面積比率(側背面被覆率)は50%の時の箱体変形量を1としている。計算に使用した真空断熱材400の曲げ弾性率は20MPaであり、実際に使用される真空断熱材の曲げ弾性率の測定結果に基づいており、従来の硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率(6MPa〜10MPa程度)よりも大きいものを使用している。ここで、面積比率(側背面被覆率)を変更する場合、真空断熱材の充填率は40%で一定としているので、真空断熱材の面積比率(側背面被覆率)が大きくなれば真空断熱材の厚さが小さくなっている。
なお、計算に使用した冷蔵庫1は、一例であるが、4枚扉以上(たとえば4枚扉あるいは5枚扉あるいは6枚扉仕様)で内容積が500Lクラスで消費電力が40W以下程度の冷蔵庫を想定している。外箱710と内箱750との間の板厚さを含む距離(壁厚さ)は、平均30mmであり、空間315の厚さ(壁内厚さ)は外箱710、内箱750の板厚をそれぞれ1mmと仮定して28mmとした。硬質ウレタンフォームの密度は、60Kg/m3、真空断熱材400の熱伝導率は、0.0021(W/mK)、硬質ウレタンフォームの熱伝導率は0.019(W/mK)であり、真空断熱材400が硬質ウレタンフォームよりも約10倍程度、断熱性能が良い。
図21において、横軸が側面壁と背面壁とをあわせた表面積に対する真空断熱材400の占める面積比率(側背面の真空断熱材被覆率)を表し、縦軸が開閉扉を有する断熱箱体700に所定の荷重を加えた場合の箱体変形量(箱体の倒れ量)を表している。ここで、箱体の変形量は、たとえば断熱箱体の一方の側壁の上面から約1/4程度の高さ位置に略水平方向(横方向、前面開口部を正面に見て左右方向)に所定の荷重を加えた場合の断熱箱体の側壁上端の左右方向の変形量を表している。
図21において、真空断熱材400の面積比率が大きくなると箱体変形量が小さくなることが分かる。側面・背面の面積比率(側背面の真空断熱材被覆率)が70%以上になると箱体変形量の変化率が小さくなっている。すなわち、側面・背面の面積比率が70%程度までは面積比率が大きくなると箱体変形量が急激に小さくなるが、側面・背面の面積比率が70%以上になると面積比率が大きくなっても箱体変形量はほとんど変化しなくなる。したがって、側面・背面の面積比率(側背面の真空断熱材被覆率)が70%以上になると箱体の変形量の低下割合が極端に小さくなり、真空断熱材の側背面面積比率を大きくしても箱体変形量がほとんど変化しなくなっている。これは、箱体強度に対する真空断熱材の側背面の面積比率の影響度合いがほぼ飽和に近づいたためと考えられる。
ここで、真空断熱材の充填率を40%で一定として計算しているため、真空断熱材400の配設面積を大きくしていくと、真空断熱材400の厚みが薄くなる。真空断熱材の側面・背面の面積比率が70%程度までは、側面・背面の面積比率を大きくしていくと、真空断熱材の厚さが薄くなることによる箱体変形の増加量よりも真空断熱材の配設面積が大きくなることによる箱体の強度UPによる箱体変形の減少量の方が大きいため、箱体の剛性が向上し、箱体の変形量が減少していく。しかし、真空断熱材の側面・背面の面積比率が70%程度を超えると、真空断熱材の厚さが薄くなることによる箱体の強度低下による箱体変形の増加量と真空断熱材の配設面積が大きくなることによる箱体の強度UPによる箱体変形の減少量とが同程度になり、箱体の変形量の減少度合いが小さくなったと考えられる。
また、真空断熱材の配設面積比率(被覆率)を大きくすることによって真空断熱材の厚さが薄くなるとウレタンフォームの厚さが厚くなる。配設面積比率が70%程度までは、真空断熱材の厚さが所定厚さ以上であるため、真空断熱材の厚さの減少量よりも面積比率の増加量の方が断熱箱体の強度に与える影響が大きく箱体変形量が減少するが、真空断熱材の配設面積比率をさらに増加させていくと真空断熱材の厚さが小さくなり、ウレタンの厚さが大きくなることで、ウレタンの厚さの増加量と真空断熱材の配設面積比率の増加量の断熱箱体の強度に与える影響が同等になり、箱体変形量の減少度合いが小さくなると考えられる。
したがって、真空断熱材400の側面・背面の面積比率(側背面被覆率)を所定値(70%)以上に設定すれば、箱体強度が得られるので信頼性の高い箱体が得られる。また、真空断熱材の側面・背面の面積比率を所定値(70%)以上に設定すれば、箱体変形量がほとんど変化しない領域になるため、真空断熱材の配設面積にバラツキが生じても、箱体の変形量がほとんど変化しないので、高強度で意匠性が良く、信頼性の高い断熱箱体、冷蔵庫、ショーケース、機器が得られる。真空断熱材400の被覆率を所定値以上(60%以上)にして、真空断熱材400の側面・背面の面積比率を第2の所定値(70%)以上に設定すれば、断熱性能が向上し、しかも箱体変形量を低減できるので、断熱性能が大きく信頼性の高い省エネルギーな冷蔵庫、ショーケース、機器が得られる。
ここで、真空断熱材の厚みを一定とし真空断熱材400の配設面積を広げていけば、真空断熱材の被覆率、充填率とも大きくできるが、真空断熱材400の充填率を大きくするとコストが増大するため、充填率を変えずに被覆率を大きくすることで断熱箱体700の強度を上げた方が低コストであり、しかも真空断熱材の配設面積が大きくできるので断熱効率がよくなる。したがって、真空断熱材400の充填率を40%以上、側面・背面の面積比率(側背面の真空断熱材被覆率)を70%以上とすることで低コストで効率よく断熱箱体の強度の確保できる。したがって、真空断熱材の側面・背面の面積比率(側背面の真空断熱材被覆率)を第2の所定値(断熱箱体の変形量の低下割合が小さくなる面積比率であり、たとえば70%程度)以上に設定すれば、断熱箱体700の壁厚を薄く(ウレタンの厚さを薄く)して貯蔵室の内容積を大きくすることが可能となる。側壁790と背面壁730の真空断熱材400の配設面積(側背面の真空断熱材被覆率)が大きくなるほど断熱箱体700の変形量が小さくなるので、断熱箱体700の強度を大きくすることができ、高強度で断熱性能の優れた断熱箱体700、冷蔵庫1、断熱箱体を備えた機器を提供できる。
(ウレタン物性)
ここで、断熱箱体700に充填される硬質ウレタンフォームの物性、特性について説明する。硬質ウレタンフォームは、フリーフォーム密度を大きくすることで、発泡したあとの強度が安定して外観の優れた、品質の高い断熱箱体700を提供できる。
ここで、フリーフォーム密度とは、箱体など密閉された空間内でウレタンを発泡させるのではなく、開放された容器内など開放状態でウレタンを発泡させた時の硬質ウレタンフォームの密度である。ただし、実際には、断熱箱体700内の密閉された狭い空間内でウレタンが発泡、膨張するため、断熱箱体700など密閉された狭い空間内で発泡、膨張したウレタンの密度は、開放された状態で発泡、膨脹したウレタンのフリーフォーム密度よりも大きくなる。
発泡後の硬質ウレタンフォームの密度を上げることによって図16で説明したように曲げ弾性率を大きくすることが可能であるが、ウレタン原液をそのまま断熱箱体700に流し込んで充填して密度を大きくしようとした場合、従来使用の発泡倍率の小さいウレタンでは、フリーフォーム密度が26〜28kg/m3と小さく、発泡倍率が小さいため、ウレタンの流れる部分の流路厚さに大小が存在すると発泡度合いが均一にならず、注入口703、704付近と末端部(注入口から離れた部位)とではウレタン密度にムラができやすく、安定した強度を得ることが困難である。
本実施の形態では、フリーフォーム密度を従来(たとえば25〜28kg/m3程度)よりも大きくした硬質ウレタンフォーム(たとえばフリーフォーム密度が30〜45kg/m3程度)を使用することで、ウレタンが流れる部分の流路厚さに多少の大小が存在しても、発泡倍率が大きいため安定して発泡でき、発泡した後の密度のバラツキを小さくすることが可能となる。したがって、発泡後のウレタンの密度を略均一にすることが容易となる。
硬質ウレタンフォームのような発泡体は、内部に気泡を有しており、密度が小さい方が気泡が多く断熱の効果が高い。そのため従来は、断熱箱体700には、使用される硬質ウレタンフォームの発泡後の密度が25〜28kg/m3程度の密度の小さい物が使用されている。この従来のウレタンフォームを使用して曲げ弾性率を15MPa以上にして断熱箱体700の強度を確保しようとすると、例えば壁内厚さ28mmの場合、真空断熱材の厚さを除いたウレタンの厚さが8mmの断熱箱体では、ウレタンのジャストパック量(対象となる箱体内に硬質ウレタンフォームが無理な負荷などかけずに丁度充填される時のウレタン量であり発泡後の密度が均一になりやすい)よりも多くのウレタンを注入、充填させなければならなくなり、密度にムラができやすい。
さらに、ジャストパック量よりもウレタンを多く注入、充填しなければならないため、ウレタン注入時に加圧するか充填時間を長くする必要が生じるため、断熱箱体700や開閉扉の外郭の接合部などの隙間(例えば外箱710と内箱750との接合部)からウレタンが漏れだし、必要とする所定量のウレタンを注入できず(充填できず)、箱体に充填後の硬質ウレタンフォームの密度を所定値(たとえば60Kg/m3)よりも大きい密度に確保することが困難である。また、ウレタンが箱体の外郭から漏れ出すと、漏れ出たウレタンを取り除く作業が必要となり、作業時間あるいは組立時間が多く必要になり、コストアップ、意匠性低下となっていた。したがって、従来は、断熱箱体に充填された後のウレタンの密度は60Kg/m3よりも小さく、25〜30Kg/m3程度、多くても55Kg/m3以下程度のものを使用していた。
ここで、本実施の形態では、ウレタン原液に含まれる発泡材などの量を減らすことで、フリーフォーム密度を大きくすることを検討した。例えばウレタンの厚さが8mm(真空断熱材の厚さを除いたウレタン流路厚さが約8mm)の断熱箱体700では、フリーフォーム密度を所定値(30kg/m3以上、好ましくは35kg/m3以上)に設定することでジャストパック量での密度(無理な負荷などかけずに箱体に充填された後のウレタンの密度)を60kg/m3より大きくすることが可能となり、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を15MPa以上とすることができる。したがって、ウレタンの密度ムラやウレタン漏れといった断熱箱体の不具合を解消でき、信頼性の高い、高強度の断熱箱体700、冷蔵庫1、ショーケース、断熱箱体を備えた機器を得ることができる。
ここで、硬質ウレタンのフリーフォーム密度を所定値よりも大きくして発泡後のウレタン密度を大きくしたことによる断熱性能への影響が懸念されるが、図17〜図21で説明したように、たとえば真空断熱材400の配設部位のウレタンの厚さを所定値以下(11mm以下、あるいは6mm以下)に設定したり、ウレタンの厚さ/壁内厚さを所定値(0.3)以下に設定したり、真空断熱材400の充填率を所定範囲(40%以上90%以下)に設定したりすれば、断熱箱体の断熱性能に対する影響(断熱箱体700や開閉扉の断熱箱体の断熱性能へ与える影響)を小さくすることができる。なお、ウレタンの厚さを11mm以下にする場合には、フリーフォーム密度を、所定値(たとえば35kg/m3)以上にすることでウレタン漏れの起こらないジャストパック量に設定することが可能となる(ジャストパック量を調整することができる)。
本実施の形態に係る断熱箱体700は、断熱箱体700の壁厚を従来よりも薄くすることができ、また、所定の強度を確保しても外郭よりウレタン充填時にウレタンが漏れにくく、必要な品質を満足でき、省エネルギーで、内容積効率の優れた断熱箱体700を提供することができる。すなわち、断熱箱体700あるいは冷蔵庫1あるいは断熱箱体を備えた機器の外形サイズを変更せずに断熱箱体の貯蔵品収納容積(たとえば冷蔵庫の場合には、庫内容積あるいは貯蔵室容積)を従来よりも大きくすることができ、断熱箱体700の内部に貯蔵できる収納物を従来よりも増やすことができる。したがって、ユーザにとって使い勝手がよく、断熱性もよく、しかも高強度で信頼性の高い断熱箱体700あるいは冷蔵庫1あるいは断熱箱体を備えた機器が得られる。また、室内(貯蔵室内)の収納容積を従来と同等に設定する場合は、壁厚さを小さく出来る分だけ、外形寸法を小さくできる。
ここで、冷蔵庫1は、冷蔵室2、冷凍室6、野菜室5などの複数の貯蔵室へ供給する空気(冷気)を冷却するための冷却装置を備えている。この冷却装置は、圧縮機12、冷媒配管(たとえば凝縮配管725)、減圧装置(膨張弁やキャピラリーチューブ等)、冷却器13等で構成されて冷凍サイクルを形成している。この冷凍サイクルを構成する構成要素のうち、圧縮機12、減圧装置は、冷蔵庫1を形成する断熱箱体700の背面下側(背面上側でも良い)に形成された機械室1A内に設けられている。凝縮配管725は、断熱箱体700の例えば側壁790あるいは背面壁730あるいは天面壁740に設けられている。貯蔵室の背面には貯蔵品収納空間を形成するファングリルなどにより背面壁730の貯蔵室側に内箱750とは別部材の背面カバーが設けられており、冷却器13は、内箱750とファングリルなどの背面カバー部材との間に形成された冷却器室131内に設けられている。また、この冷却器室131には、冷却器13で冷却された空気(冷気)を冷蔵室2、冷凍室6、野菜室5などの各貯蔵室に送風するための冷気循環用ファン14も設けられている。また、断熱箱体700の天面壁740あるいは背面壁730の上部(あるいは背面壁730の略中央高さ位置)には制御基板室31が設けられ、制御基板室31内には制御装置30が設けられており、当該制御装置30は、圧縮機12や冷気循環用ファン14の回転数等を運転動作制御、あるいは庫内温度制御などを行う。
このように構成された冷蔵庫1においては、機械室1A内に配置されている圧縮機12によって送り出された高温高圧のガス冷媒は、冷媒配管(たとえば凝縮配管)725を通り凝縮されて低温高圧の液冷媒になり、低温高圧の液冷媒は、減圧装置によって低温低圧の気液二相冷媒に減圧され、冷却器13に到達するときには、例えば−20℃以下の低い温度となっている。この低温低圧の気液二相冷媒が冷却器室131内の空気を冷却し、この冷却された空気を冷気循環用ファン14によって冷蔵室2、冷凍室6、野菜室5などの各貯蔵室へ供給することにより、冷蔵室2、冷凍室6、野菜室5などの貯蔵室(あるいは、これら貯蔵室に収納された収納物)が冷却される。一方、冷却器室131内の空気を冷却した低温低圧の気液二相冷媒は、冷却器室131内の空気によって加熱されて蒸発し、低圧のガス状冷媒となって再び圧縮機12に吸入され、圧縮される。
以上のように、本実施の形態の冷蔵庫1においては、外箱710及び内箱750の間に形成された空間315と開閉扉の扉内部空間との内部容積の合計容積に対する真空断熱材400の占める割合である真空断熱材の充填率を所定値(たとえば40%〜80%)としている。このため、断熱箱体700の壁内厚さ(たとえば外箱710と内箱750間の距離(厚さ)、あるいは、開閉扉の厚さ)を従来よりも薄くしても断熱性能を確保できる。したがって、本実施の形態の冷蔵庫1においては、断熱箱体700の断熱性能が向上しているため、複数の貯蔵室2、3、4、5、6内の冷気や収納物が暖まりにくいので、冷却のための圧縮機12の運転時間を短くできたりファンの風量を小さくできる。したがって、貯蔵室2、3、4、5、6内の冷却に必要な空気(冷気)の風量を小さく抑えることができ、圧縮機12の回転数を下げたり運転OFF時間を長くしたりできるので省エネルギーな運転が可能となる。このため、本実施の形態の冷蔵庫1では、従来に比べて省エネルギー化することができる。また、冷蔵庫1は、外形サイズを変更せずに貯蔵室容積(庫内容積)を従来よりも拡大でき、貯蔵室内に貯蔵できる収納物を従来よりも増やすことができるので、使い勝手の良い冷蔵庫、機器が得られる。
また、最も外気との温度差の大きい冷凍室6を上下方向の略中央位置に配置すれば、上面及び下面よりの冷凍室6への外気からの熱進入を抑制できるので、外気から冷凍室6に熱が侵入する熱進入面を4面(前面の開閉扉、左側面、右側面、背面の4面)にすることができる。このため、省エネルギーな冷蔵庫1を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、空間315及び扉内部空間に充填される硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を15.0MPa以上としているので、断熱箱体700の箱体強度が所定の強度を満足でき、したがって収納物の重量による歪みに耐え切れず断熱箱体700が変形することを抑制できる。このため、断熱箱体700が歪んで前面の開閉扉が傾いてしまうことを抑制でき、外観の悪化を防ぐことができる。また、開閉扉と断熱箱体の前面開口部との間をシールするシール部材の位置がずれて隙間が発生し、冷蔵室2、冷凍室6、野菜室5、製氷室3、切替室4内の空気(冷気)が断熱箱体700や冷蔵庫1の外部へ漏れ出ることを抑制できるので、より省エネルギーな冷蔵庫や機器を得ることができる。
なお、空間315、あるいは扉内部空間内における真空断熱材400の充填率の分布については、外気と各貯蔵室との温度差に応じて、空間315、あるいは扉内部空間内において、所定の位置毎に真空断熱材400の充填率を変更してもよい。
例えば、低温室である冷凍室6(あるいは製氷室3、切替室4)は、貯蔵室内の温度と外気との温度差が最も大きくなる。このため、冷凍室6と対向する範囲にある断熱箱体700の左側面、右側面、背面及び前面(開閉扉)における真空断熱材400の充填率を他の貯蔵室(たとえば高温室である冷蔵室2、野菜室5)と対向する範囲の壁面(たとえば左側面、右側面、背面及び前面(開閉扉))よりも大きくしてもよい(例えば60%以上)。このように構成することにより、最も温度の低い低温室である冷凍室6への熱侵入を抑制でき、より省エネルギーな冷蔵庫1、機器を提供できる。
また例えば、外気温度が例えば30℃の時、機械室1A内は例えば40℃以上となり、制御基板室31も例えば40℃以上まで温度が上昇する。つまり、機械室1A及び制御基板室31と対向する位置の貯蔵室との間の壁面や仕切壁24は、他の部分の壁面や仕切壁24と比べて貯蔵室内との温度差が大きくなる。このため、機械室1A、制御基板室31の近傍に配置された貯蔵室には熱が侵入しやすくなる。このため、機械室1A、あるいは制御基板室31と貯蔵室との間に配置される壁面や仕切壁24においては真空断熱材400の充填率を他の壁面や仕切壁24よりも大きくして断熱性能を向上させても良い。例えば機械室1A、あるいは制御基板室31と貯蔵室との間に配置される壁面や仕切壁24においては真空断熱材400の充填率を60%以上(真空断熱材400の側背面被覆率を70%以上)にして、他の壁面や仕切壁24の真空断熱材400の充填率を40%以上(90%以下)にすれば良い。このように構成することにより、温度の高い機械室1Aや制御基板室から近傍の貯蔵室へ熱が侵入することを抑制でき、冷蔵庫1をより省エネルギー化できる。
本実施の形態に係る断熱箱体700は、例えば、水を加熱する加熱装置、及び該加熱装置で加熱された水を貯留するタンクを備えた貯湯装置にも用いることもできる。断熱箱体700の内部にタンクを配設することにより、従来よりも外形サイズの小さな断熱箱体700によってタンクを断熱することができ、貯湯装置を省スペース化することができる。また、本実施の形態は、真空断熱材を備えた断熱壁を有する機器(たとえば、冷蔵庫、ショーケース、冷凍機、給湯装置、ジャーポット、空調装置など)であれば適用可能である。
本発明の実施の形態では、真空断熱材400に凹凸などを設ける必要がなく、外包材内に封入する芯材を外包材の凹凸形状に沿った形状にする必要もないので、真空断熱材400に平板状のものを使用可能なので、芯材に流動性を有する粒状のものを使用する必要がなく、ガラス繊維などの無機繊維や有機繊維などの繊維系芯材を使用可能であり、しかも外包材に凹凸を設けるなどの複雑な加工が不要となるため、低コストで取り扱い性が良好で断熱性能が向上する断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
ここで、本実施の形態では、第3の介在部材は第1の介在部材と同じであってもよい。また、第2の介在部材も第1の介在部材と同じであっても良い。
(実施形態が奏する効果)
以上説明したように、本実施の形態では、外箱710と内箱750とから形成され、少なくとも側壁790、背面壁730を有し、前面に開口部を有する断熱箱体700において、背面壁730と側壁790とのコーナー部に形成され、背面壁730に対して前面開口部側に突出する凸部450と、背面壁730を形成する内箱750に形成され、凸部450に対して前面側から見て後方側に凹んだ凹部440(第2の凹部441であっても良い)と、少なくとも背面壁730を形成する内箱750と外箱710との間に設けられ、凹部440と対向する位置の内箱750と外箱710との間に配置され、少なくとも幅方向(又は長さ方向)において凹部440の幅(図8では凹部440の範囲Wで表示)よりも大きな平板状の真空断熱材400と、を備え、凸部450は、真空断熱材400と所定長さXだけ重なるように形成されており、真空断熱材400と凹部440を形成する内箱750との間、及び真空断熱材400と凸部450を形成する内箱750との間に介在部材として接着剤を充填するようにすれば、真空断熱材400と内箱750との間の接着剤の厚さが小さくなったとしても凸部450が真空断熱材400と長さXだけ重なっているため重なった長さX分だけ接着剤(たとえば発泡断熱材である硬質ウレタンフォーム)の接着厚さが増え、真空断熱材400が凸部450内の接着剤を介して凹部440を形成する内箱750(あるいは外箱710)と強固に接着できる。また、凹部440を形成する内箱750と側壁790を形成する内箱750も凸部450を介して強固に接着できる。したがって、凹部440における真空断熱材400と内箱750との間の接着剤の厚さを薄くしても接着剤厚さの大きな凸部450を介して凹部440、真空断熱材400、側壁790が一体に形成されるので、真空断熱材が配設される凹部440の壁厚さを薄くでき、しかも箱体あるいは壁の強度を向上させることができる。
ここで、介在部材である接着剤として、自己接着性を有する発泡断熱材である硬質ウレタンフォームを使用すれば、真空断熱材400と内箱750との間の硬質ウレタンフォームの厚さを所定である11mm以下(厚さのばらつきや真空断熱材400の表面の凹凸等を考慮すると10mm未満が良い)に薄く設定したとしても凸部450が真空断熱材400と長さXだけ重なっているため重なった長さX分だけ真空断熱材400と内箱750との間の硬質ウレタンフォームの厚さを大きくすることができ、真空断熱材400が凸部450内の硬質ウレタンフォームを介して内箱750(あるいは外箱710)と強固に接着できる。また、凹部440と対向する位置の真空断熱材400と内箱750との間の硬質ウレタンフォームの厚さを薄くしても凹部440と対向する位置の真空断熱材400が凸部450内の硬質ウレタンフォームを介して側壁790と一体に形成されるので、凹部440が形成される部分の壁厚さを薄くしても箱体強度あるいは壁の強度を向上させることができる。
また、外箱710と内箱750とから形成され、背面壁730の周囲に少なくとも1つの周囲壁(たとえば側壁790、天井壁740、底面壁780、仕切壁24)を有し、前面に開口部有する断熱箱体700において、背面壁730は、周囲壁とのコーナー部に形成された凸部450と、凸部450に対して前面側から見て後方側に凹んだ凹部440(あるいは第2の凹部441)と、を有し、凹部440(あるいは第2の凹部441)と対向する位置の内箱750と外箱710との間に配置され、少なくとも幅方向あるいは長さ方向において凹部の幅P(凹部の範囲W)よりも大きな平板状の真空断熱材400と、を備え、凸部450は、真空断熱材400と所定長さXだけ重なるように形成されており、
凹部440と対向する位置の内箱750と真空断熱材400との間、及び凸部450と対向する位置の内箱750と真空断熱材400との間に介在部材として接着剤を充填すれば、真空断熱材400と内箱750との間の接着剤の厚さが小さくなったとしても凸部450が真空断熱材400と長さXだけ重なっているため重なった長さX分だけ接着剤(たとえば発泡断熱材である硬質ウレタンフォーム)の接着厚さが増え、真空断熱材400が凸部450内の接着剤を介して凹部440を形成する内箱750(あるいは外箱710)と強固に接着できる。また、凹部440を形成する内箱750と少なくとも1つの周囲壁(たとえば側壁790、天井壁740、底面壁780、仕切壁24)も凸部450を介して強固に接着できる。したがって、凹部440における真空断熱材400と内箱750との間の接着剤の厚さを薄くしても介在部材厚さ(接着剤厚さ)の大きな凸部を介して凹部440、真空断熱材400、少なくとも1つの周囲壁(たとえば側壁790、天井壁740、底面壁780、仕切壁24)が一体に形成されるので、真空断熱材が配設される凹部440の壁厚さを薄くでき、しかも箱体あるいは壁の強度を向上させることができる。
また、周囲壁が、背面壁730と接続されて室(たとえば貯蔵室)を形成する側壁790、天井壁740、底面壁780、仕切壁24のいずれかであれば、凹部440における真空断熱材400と内箱750との間の介在部材である接着剤の厚さを薄くしても凹部440に配置される真空断熱材400が凸部の介在部材(接着剤)を介して少なくとも1つの周囲壁(たとえば側壁790、天井壁740、底面壁780、仕切壁24)と一体に形成されるので、凹部が形成される部分の壁厚さを薄くしても、箱体あるいは壁の強度を向上させることができる。また、介在部材(接着剤)として硬質ウレタンフォームを使用すれば、所定の断熱性能も得ることができる。
また、介在部材(接着剤)として、充填前は流動性のある液体状あるいは二相状態であり、充填後は発泡して接着剤として機能する自己接着性を有する発泡断熱材を使用すれば、凹部440における真空断熱材400と内箱750との間のすきまを小さくしても、液体状態あるいは二相状態で狭いすきまに流入させることができるので、介在部材(接着剤)をまんべんなく充填することができ、接着強度あるいは固定強度を確保できる。したがって壁厚さを薄くしても箱体の強度を確保できる。また、断熱材としても機能するため、断熱性能も向上する。
また、介在部材として接着剤を使用する場合、接着剤が発泡断熱材である硬質ウレタンフォームであれば、ウレタンの厚さの薄くなる部分(例えば凹部440など真空断熱材400が配置されている壁)では、断熱材としての効果が小さくなるが、本実施の形態のように介在部材である硬質ウレタンフォームを接着剤として使用すればよい。また、ウレタンの厚さを厚く確保できる部分(たとえば真空断熱材400が配置されていない壁など)は、断熱材としての効果が得られるため、断熱材として使用できるので、箱体の強度と断熱性能の両方を確保でき、高性能で信頼性の高い断熱箱体、冷蔵庫、機器などが得られる。また、硬質ウレタンフォームには、他の断熱材料にはない自己接着性という優れた特長があるため、他の接着剤を使わなくとも、対象物(内箱750、真空断熱材400、外箱710)の表面に直接発泡することにより、対象物に強く接着した断熱層を形成することができ、接着性と断熱性の両方を得ることができる。
また、真空断熱材400と内箱750との間に充填される介在部材である接着剤の厚さを、真空断熱材400の厚さよりも小さくしても、真空断熱材400で壁強度、あるいは箱体強度を確保できるので、真空断熱材400を備えた壁の壁厚さを薄くできる。
また、凹部440と対向する位置の内箱750と真空断熱材400との間に充填される介在部材である接着剤(たとえば硬質ウレタンフォーム)の厚さを11mm以下に設定すれば、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を大きくすることができるので、硬質ウレタンフォームの厚さが小さくなっても強度を向上させることができる。したがって、壁厚さを小さくしても箱体強度を向上できる。
また、背面壁730と、側壁790と、上面壁24(あるいは天井壁740)と、下面壁24(あるいは底面壁780)と、から形成され、前面が開口した断熱箱体において、背面壁730の内面を形成する内箱750と背面壁730の外面を形成する外箱710との間、あるいは、側壁790の内面を形成する内箱750と側壁790の外面を形成する外箱710との間、に設けられた真空断熱材400と、真空断熱材400と内箱750の間に充填あるいは封入あるいは塗布あるいは設けられ、真空断熱材400と内箱750を接着あるいは固着あるいは固定する介在部材と、を備え、介在部材がウレタンフォームであり、介在部材の厚さが11mm以下であるようにしたので、ウレタンフォームの曲げ弾性率を大きくすることができるため、ウレタンフォームの厚さが小さくなっても強度を向上させることができる。したがって、壁厚さを小さくしても箱体強度を向上できる。
また、介在部材(接着剤)として自己接着性を有する硬質ウレタンフォームを使用し、〔(介在部材の厚さ)/(介在部材の厚さ+真空断熱材の厚さ)〕を0.3以下に設定すれば、真空断熱材400と硬質ウレタンフォームを備えた複合部材から形成される壁の複合熱伝導率を小さくできるので、壁厚さを小さくしても断熱性能を向上させることができる。
また、真空断熱材400と外箱710との間は、ホットメルトあるいは両面テープなどの発泡断熱材以外の第2の介在部材である第2の接着剤で直接接着し、凹部440(あるいは第2の凹部441)と対向する位置の内箱750と真空断熱材400との間に充填される第1の介在部材である接着剤(たとえば硬質ウレタンフォーム)の厚さを11mm以下であって、第1の介在部材の厚さ/(第1の介在部材の厚さ+真空断熱材の厚さ)を0.3以下に設定すれば、真空断熱材400を外箱710に第2の介在部材である第2の接着剤で直接接着した後に、真空断熱材400と内箱750との間に第1の介在部材である接着剤を充填すればよくなるので、組立性が改善する。また、外箱710と真空断熱材400との間には、ホットメルトあるいは両面テープなどの発泡断熱材以外の第2の接着剤で直接接着すれば、壁厚さを低減できる。また、第1の介在部材である硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を大きくすることができるので、硬質ウレタンフォームの厚さが小さくなっても強度を向上させることができる。したがって、壁厚さを小さくしても箱体強度を向上できる。また、真空断熱材400と硬質ウレタンフォームを備えた複合部材から形成される壁の複合熱伝導率を小さくできるので、壁厚さを小さくしても断熱性能を向上させることができる。
また、真空断熱材400は、少なくとも背面壁730に配置され、背面壁730と側壁790の表面積に対する背面壁730と側壁790に配置される真空断熱材400の配置面積の比率を70%以上にすれば、箱体強度が向上し、箱体の変形量を低減できる。したがって、高強度で信頼性の高い断熱箱体、冷蔵庫、給湯機、機器などが得られる。
すなわち、真空断熱材400は、少なくとも背面壁730に配置され、背面壁730あるいは側壁790に配置された真空断熱材400の背面壁730あるいは側壁790への投影面積の合計が、背面壁730と側壁790を合わせた合計表面積に対して70%以上の割合となるように真空断熱材400を配置したので、箱体強度が向上し、箱体の変形量を低減できる。したがって、高強度で信頼性の高い断熱箱体、冷蔵庫、給湯機、機器などが得られる。
また、外箱710と内箱750とを有した断熱箱体700において、外箱710と内箱750との間に形成される空間315の容積に対する真空断熱材400の占める容積が40%以上にすれば、箱体強度が向上し、箱体の変形量を低減できる。したがって、高強度で信頼性の高い断熱箱体、冷蔵庫、給湯機、機器などが得られる。
また、側壁790と背面壁730とのコーナー部に凸部450を設けて外箱710と内箱750との間に真空断熱材400を配置したことにより箱体強度が向上するため、真空断熱材400に凹凸などを設ける必要がなく、また、外包材内に封入する芯材を凹凸形状に形成する必要もないので、真空断熱材400に平板状のものを使用可能であるため、真空断熱材400の芯材として、有機繊維または無機繊維などの繊維径芯材を使用可能であり、したがって、真空断熱材400の芯材として、有機繊維または無機繊維などの繊維径芯材を使用可能なので、芯材に流動性を有する粒状のものを使用して凹凸などの複雑な形状に形成する必要がなく、しかも外包材も凹凸を設けるなどの複雑な加工が不要となるため、低コストで取り扱い性が良好で断熱性能が向上する断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、外箱710と内箱750との間に真空断熱材400を配置し、真空断熱材400と内箱750との間の介在部材である硬質ウレタンフォームの厚さを11mm以下(好ましくは10mmより小さく)したことにより箱体強度が向上するため、真空断熱材400に凹凸などを設ける必要がなく、また、外包材内に封入する芯材を凹凸形状に形成する必要もないので、真空断熱材400に平板状のものを使用可能であるため、真空断熱材400の芯材として、有機繊維または無機繊維などの繊維径芯材を使用可能であり、したがって、真空断熱材400の芯材として、有機繊維または無機繊維などの繊維径芯材を使用可能なので、芯材に流動性を有する粒状のものを使用して凹凸などの複雑な形状に形成する必要がなく、しかも外包材も凹凸を設けるなどの複雑な加工が不要となるため、低コストで取り扱い性が良好で断熱性能が向上する断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、断熱箱体700と、貯蔵品を収納する貯蔵室2、3、4、5、6と、貯蔵室を冷却する冷気を生成する冷却器13と、を備え、凹部440あるいは第2の凹部441が上下方向に設けられており、凹部440あるいは第2の凹部441を冷却器13により生成された冷気が流れる冷気風路760に使用することができるので、凹部の部分の壁厚を薄くできるため貯蔵室内容積を大きくでき、しかも凹部を冷気風路760に使用できるので、別途冷気風路を設ける必要がなくなる。
また、断熱箱体700と、貯蔵品を収納する貯蔵室2、3、4、5、6と、貯蔵室を冷却する冷気を生成する冷却器13と、を備え、凹部440あるいは第2の凹部441が上下方向に設けられており、凹部440あるいは第2の凹部441をミスト装置200により生成されたミストが流れる風路に使用することができる。したがって、凹部の部分の壁厚を薄くできるため貯蔵室内容積を大きくでき、しかも凹部をミスト風路に使用できるので、別途ミスト風路を設ける必要がなくなる。
また、冷却器13が配置される冷却器室131を備え、凹部440あるいは第2の凹部441が冷却器室131と連通しているので、凹部を冷気風路として使用できる。
また、凸部450内をミスト装置200で生成されたミストを供給するミスト風路に使用するようにすれば、凸部が箱体の強度UPになるとともに、別途ミストを供給する風路を設けるが必要がなくなり、低コストで加湿、除菌などが行なえ、意匠性の良い断熱箱体、及びその断熱箱体を有した冷蔵庫などの機器が得られる。
また、凹部440あるいは第2の凹部441が貯蔵室(たとえば冷蔵室2)の背面に設けられ、貯蔵室内を照射する照明装置900を貯蔵室を形成する上面壁、あるいは下面壁、あるいは側面壁、あるいは仕切壁24に設けるようにしたので、冷気風路760と照明装置900を異なる壁面に設けることができ、同じ壁面に設ける場合に比べて風路の構成、配置位置や照明装置の構成、配置位置の自由度が向上する。
また、冷凍サイクルを備え、冷凍サイクルを形成する配管725を凸部450に配置するようにすれば、箱体の強度UPになるとともに、別途配管725を設ける場所が必要がなくなり、低コストで意匠性の良い断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、冷凍サイクルと、凹部440あるいは第2の凹部441に前面側(前面開口側)に突出するように形成された突起部910と、を備え、冷凍サイクルを形成する配管725を突起部910に配置するようにすれば、箱体の強度UPになるとともに、別途配管725を設ける場所が必要なくなり、低コストで意匠性の良い断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、圧縮機駆動制御用リード線あるいは温度制御用のリード線などの制御用リード線あるいは制御用リード線を内部に配置したパイプ720を凸部450に配置するようにすれば、箱体の強度UPになるとともに、別途制御用リード線あるいはパイプ720等を設ける場所が必要なくなり、低コストで意匠性の良い断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、冷凍サイクルと、凹部440あるいは第2の凹部441に前面側に突出するように形成された突起部910と、を備え、圧縮機駆動制御用リード線あるいは温度制御用のリード線などの制御用リード線あるいは制御用リード線などを内部に配置するパイプ720等を突起部910に配置するようにすれば、箱体の強度UPになるとともに、別途制御用リード線あるいはパイプ720等を設ける場所が必要なくなり、低コストで意匠性の良い断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、外箱710に発泡断熱材の充填口703、704を設け、真空断熱材400が充填口を塞がないように真空断熱材を配置するようにすれば、発泡断熱材を充填する場合に、真空断熱材で発泡断熱材が充填されるのを邪魔されないので、箱体全域に満遍なく充填できる。したがって、高強度で信頼性の高い断熱箱体、冷蔵庫、機器などが得られる。
また、外箱710と内箱750とにより形成され、天井壁740、背面壁730、側壁790、底面壁780を有する断熱箱体700の外郭と、断熱箱体700に設けられ、前面に開口部を有する貯蔵室2、3、4、5、6と、貯蔵室の背面壁730に形成され、貯蔵室の背面壁の幅方向略中央位置に設けられた凹部440(あるいは第2の凹部441)と、凹部440と対向する位置の内箱750と外箱710との間に配置され、少なくとも幅方向において凹部440の幅よりも大きな平板状の真空断熱材400と、凹部440と対向する位置の内箱750と真空断熱材400との間に充填される介在部材である発泡断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)と、を備え、真空断熱材400の曲げ弾性率が20MPa以上であり、凹部440と対向する位置の介在部材である発泡断熱材の厚さが11mm以下であって、発泡断熱材の厚さ/(発泡断熱材の厚さ+真空断熱材の厚さ)が0.3以下、すなわち、下記(1)(2)(3)の条件のうち少なくとも1つの条件
(1)真空断熱材の曲げ弾性率>=20MPa、
(2)発泡断熱材の厚さ/(発泡断熱材の厚さ+真空断熱材の厚さ)<=0.3、
(3)発泡断熱材の厚さ<=11mm(好ましくは発泡断熱材の厚さ<10mm)、
を満足すれば、箱体の壁厚さを低減でき、しかも箱体強度、断熱性能とも向上できるので、室(たとえば貯蔵室)内の容積が大きく、高強度で断熱性能の良好な断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。また、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を大きくすることができるので、硬質ウレタンフォームの厚さが小さくなっても強度を向上させることができる。したがって、壁厚さを小さくしても箱体強度を向上できる。また、真空断熱材400と硬質ウレタンフォームを備えた複合部材から形成される壁の複合熱伝導率を小さくできるので、壁厚さを小さくしても断熱性能を向上させることができる。
また、外箱710と内箱750とにより形成され、天井壁740、背面壁730、側壁790、底面壁780を有する断熱箱体700の外郭と、断熱箱体700に設けられ、前面に開口部を有する貯蔵室2、3、4、5、6と、断熱箱体700の背面壁730の外面に設けられ、背面壁730の外面の幅方向端部あるいは上下方向端部に設けられた注入口703、704と、外箱710と内箱750とから形成される空間315内に注入口から注入されるウレタン等の発泡断熱材と、を備え、真空断熱材400の曲げ弾性率が20MPa以上であり、介在部材である発泡断熱材の厚さが11mm以下であって、発泡断熱材の厚さ/(発泡断熱材の厚さ+真空断熱材の厚さ)が0.3以下、すなわち、下記(1)(2)(3)の条件のうち少なくとも1つの条件
(1)真空断熱材の曲げ弾性率>=20MPa、
(2)発泡断熱材の厚さ/(発泡断熱材の厚さ+真空断熱材の厚さ)<=0.3、
(3)発泡断熱材の厚さ<=11mm(好ましくは発泡断熱材の厚さ<10mm)、
を満足し、
真空断熱材400の注入口703、704と対向する部位には、注入口703、704と干渉しないように切欠き部33が設けるようにすれば、箱体の壁厚さを低減でき、しかも箱体強度、断熱性能とも向上できるので、室(たとえば貯蔵室)内の容積が大きく、高強度で断熱性能の良好な断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。また、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を大きくすることができるので、硬質ウレタンフォームの厚さが小さくなっても強度を向上させることができる。したがって、壁厚さを小さくしても箱体強度を向上できる。また、真空断熱材400と硬質ウレタンフォームを備えた複合部材から形成される壁の複合熱伝導率を小さくできるので、壁厚さを小さくしても断熱性能を向上させることができる。また、真空断熱材400を注入口703、704と干渉せずに被覆面積を大きくで設けることができるので、断熱性能の大きな断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、外箱710と内箱750とにより形成され、天井壁740、背面壁730、側壁790、底面壁780を有する断熱箱体700の外郭と、断熱箱体700に設けられ、前面に開口部を有する貯蔵室2、3、4、5、6と、断熱箱体700の背面壁730の外面に設けられ、背面壁730の外面の幅方向端部あるいは上下方向端部に設けられた注入口703、704と、外箱710と内箱750とから形成される空間315内に注入口から注入されるウレタン等の発泡断熱材と、を備え、真空断熱材400の曲げ弾性率が20MPa以上であり、介在部材である発泡断熱材の厚さを11mm以下(好ましくは発泡断熱材の厚さが10mm未満)、発泡断熱材の密度を60Kg/m3より大きくしているので、断熱性能および壁強度を確保しながら壁厚さを小さくできる。
また、真空断熱材400の注入口703、704と対向する部位には、注入口703、704と干渉しないように切欠き部33を設けるようにすれば、箱体の壁厚さを低減でき、しかも箱体強度、断熱性能とも向上できるので、室(たとえば貯蔵室)内の容積が大きく、高強度で断熱性能の良好な断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。また、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を大きくすることができるので、硬質ウレタンフォームの厚さが小さくなっても強度を向上させることができる。したがって、壁厚さを小さくしても箱体強度を向上できる。また、真空断熱材400と硬質ウレタンフォームを備えた複合部材から形成される壁の複合熱伝導率を小さくできるので、壁厚さを小さくしても断熱性能を向上させることができる。また、真空断熱材400を注入口703、704と干渉せずに被覆面積を大きくで設けることができるので、断熱性能の大きな断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。ここで、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度は大きくなりすぎると、(1)ウレタンの注入量増加によるコストUP、(2)ウレタンの注入圧力増加による箱体等からのウレタン漏れの発生、(3)ウレタン発泡時の発泡圧力増加による箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などとウレタンとの密着力、接着力増加のため箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などが箱体から抜けにくくなる(箱体から取り外しにくくなる)、(4)ウレタンの密度増による断熱性能の急激な悪化など、品質悪化、性能低下、コストUPなどの問題が発生するので、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度(発泡断熱材の場合は発泡後の密度)は100kg/m3以下(好ましくは90kg/m3以下)にした方が良い。
また、真空断熱材400は、少なくとも背面壁730内に配置され、背面壁730と側壁790の合計の表面積に対する背面壁730と側壁790に配置される真空断熱材400の配置面積の比率を70%以上にすれば、箱体変形量が小さく、高強度で剛性の高く、断熱性能が良好な断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、外箱710と内箱750とから形成され、前面に開口部を有する断熱箱体と、外箱710と内箱750との間の空間315内の外箱内面に設けられた(外箱内表面に貼り付けられた)真空断熱材400と、断熱箱体の背面壁730の外面に設けられ、背面壁730の外面の幅方向端部あるいは上下方向端部に設けられた注入口703、704と、外箱710と内箱750とから形成される空間315内に注入口から注入されるウレタン等の発泡断熱材と、備え、注入口703、704と対向する部位には、注入口703、704が真空断熱材400と干渉しないように切欠き部33が設けられているので、断熱箱体あるいは断熱箱体の背面壁の外表面積に対する真空断熱材の配置面積の比率(被覆率)を大きくすることができ、また、箱体を形成する外箱と内箱との間の空間の容積に対する真空断熱材の容積の割合(真空断熱材の充填率)も大きくできるので、冷蔵庫あるいは断熱箱体の断熱性能を向上させることが可能となる。ここで、切り欠き部33の大きさや形状は、注入口703、704が真空断熱材400と干渉しなければ問題ないが、注入口703、704の大きさと略同等かそれ以上の切欠きや開口が好ましい。
また、充填口(注入口)703、704の幅方向配置位置を、箱体700の左端あるいは右端からの距離(幅方向内側端部位置)をY1、側壁790の厚さ(壁厚さ)をT1mm、充填口の幅方向長さ(円の場合は直径)をr1としたとき、注入口703、704の幅方向の所定距離(幅方向内側端部位置)Y1を、T1+r1以下にすれば、充填口(注入口)703、704からウレタンなどの充填材を充填したときに側壁790内にウレタンなどの充填材がスムーズに流れるようになる。
また、充填口(注入口)703、704の上下方向配置位置を、箱体700の上下方向上端あるいは下端あるいは機械室1Aの端部からの距離(上下方向内側端部位置)をY2、天井壁あるいは底面壁あるいは機械室と貯蔵室間を仕切る断熱仕切壁の厚さ(壁厚さ)をT2mm、充填口の上下方向長さ(円の場合は直径)をr2としたとき、注入口703、704の上下方向の所定距離(上下方向内側端部位置)Y2を、T2+r2以下にすれば、充填口(注入口)703、704からウレタンなどの充填材を充填したときに、天井壁内あるいは底面壁内あるいは仕切壁内にウレタンなどの充填材がスムーズに流れるようになる。
また、断熱箱体外郭を形成する外箱710と内箱750との間の空間315の容積に対する真空断熱材400の占める容積の割合を40%以上に設定すれば、箱体変形量が小さく、高強度で剛性の高く、断熱性能が良好な断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、外箱710と内箱750とから形成され、前面に開口部を有する断熱箱体と、外箱710と内箱750との間の空間315内の外箱内面に設けられた(外箱内表面に貼り付けられた)真空断熱材400と、断熱箱体の背面壁730の外面に設けられ、背面壁730の外面の幅方向端部あるいは上下方向端部に設けられた注入口703、704と、外箱710と内箱750とから形成される空間315内に注入口から注入されるウレタン等の発泡断熱材と、備え、前記真空断熱材には、注入口703、704と対向する部位に、注入口703、704と干渉しないように切り欠きや開口などの切欠き部33が設けられており、前記真空断熱材は、少なくとも背面壁730内に配置され、背面壁730と側壁790の合計の表面積に対する背面壁730と側壁790に配置される真空断熱材400の配置面積の比率を70%以上にすれば、箱体変形量が小さく、高強度で剛性の高く、断熱性能が良好な断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。また、真空断熱材400を注入口703、704と干渉せずに被覆面積を大きくで設けることができるので、断熱性能の大きな断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、外箱710と内箱750とから形成され、前面に開口部を有する断熱箱体と、外箱710と内箱750との間の空間315内の外箱内面に設けられた(外箱内表面に貼り付けられた)真空断熱材400と、断熱箱体の背面壁730の外面に設けられ、背面壁730の外面の幅方向端部あるいは上下方向端部に設けられた注入口703、704と、外箱710と内箱750とから形成される空間315内に注入口から注入されるウレタン等の発泡断熱材と、備え、前記真空断熱材には、注入口703、704と対向する部位に、注入口703、704と干渉しないように切り欠きや開口などの切欠き部33が設けられており、断熱箱体外郭を形成する外箱710と内箱750との間の空間315の容積に対する真空断熱材400の占める容積の割合を40%以上に設定すれば、箱体変形量が小さく、高強度で剛性の高く、断熱性能が良好な断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。また、真空断熱材400を注入口703、704と干渉せずに被覆面積を大きくで設けることができるので、断熱性能の大きな断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。また、真空断熱材400を注入口703、704と干渉せずに被覆面積を大きくで設けることができるので、断熱性能の大きな断熱箱体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、本実施の形態では、外箱710と内箱750とにより形成され、天面壁740、背面壁730、側壁790、底面壁780を有する断熱箱体700の外郭と、断熱箱体700の外郭の内部が仕切壁24により区画されて形成された前面に開口部を有する貯蔵室2、3、4、5、6と、貯蔵室に収納され、貯蔵室を形成する側壁790に設けられたレール部材810を介して引き出される引き出し式のケース520と、少なくとも貯蔵室の側壁790を形成する内箱750と外箱710との間に配設された真空断熱材400と、側壁790のレール部材810が取り付けられるレール取り付け部755の内箱750と真空断熱材400との間に充填される介在部材である発泡断熱材と、を備え、レール取り付け部755と対向する位置の発泡断熱材の厚さを11mm以下(たとえば10mmより小さい方が良く)にすれば、壁厚さを薄くできる。また、介在部材である発泡断熱材として硬質ウレタンフォームを使用すれば、曲げ弾性率が向上し、箱体の強度が増加し、レール取り付け部755の保持強度あるいは固定強度も向上する。
また、外箱710と内箱750とにより形成され、天面壁740、背面壁730、側壁790、底面壁780を有する断熱箱体700の外郭と、断熱箱体700の外郭の内部が仕切壁24により区画されて形成された前面に開口部を有する貯蔵室2、3、4、5、6と、貯蔵室に収納され、貯蔵室を形成する側壁790に設けられたレール部材810を介して引き出される引き出し式のケース520と、少なくとも貯蔵室の側壁790を形成する内箱750と外箱710との間に配設された真空断熱材400と、側壁790のレール部材810が取り付けられるレール取り付け部755の内箱750と真空断熱材400との間に充填あるいは塗布される介在部材である発泡断熱材と、を備え、レール取り付け部755と対向する位置の介在部材である発泡断熱材の厚さが11mm以下(たとえば10mmより小さい方が良い)であり、レールを取り付けるレール部(レール取り付け部)755の内箱750と真空断熱材400との間に充填あるいは塗布される介在部材である発泡断熱材の密度を60kg/m3よりも大きくしている。したがって、介在部材の密度が60kg/m3よりも大きいためレールなどを固定するためのネジあるいはネジ固定部の保持強度あるいは固定強度が増加しレール取り付け部755近傍の内箱750が変形したりしないので引き出し扉やケースなどの引き出しがスムーズに行える。また、ネジなどの固定部材が取り付けられるレール取り付け部755が破損することもなくなり、信頼性が向上する。また、発泡断熱材の厚さを11mm以下(好ましくは10mmより小さく)にすれば、壁厚さを薄くできるとともに、介在部材である発泡断熱材として硬質ウレタンフォームを使用すれば、曲げ弾性率が向上し、箱体の強度が増加する。
ここで、断熱箱体あるいは冷蔵庫あるいは機器などの側壁790あるいは背面壁730あるいは天井壁740あるいは底面壁730あるいは仕切壁24の壁厚さは薄い方が庫内の貯蔵品収納容積が大きくできるので、壁厚さは40mm以下が良く、また、壁厚さが薄すぎると強度低下、断熱性能低下、真空断熱材の空間の減少による組み立て性の悪化などの問題が発生する恐れがあるので、壁厚さは20mm以上程度が良い。したがって、側壁790あるいは背面壁730あるいは天井壁740あるいは底面壁730あるいは仕切壁24などの断熱箱体の壁厚さあるいは冷蔵庫の壁厚さあるいは機器の壁厚さは、20mm以上40mm以下の範囲内にした方が良い。
また、本実施の形態では、外箱710と内箱750とにより形成され、天面壁740、背面壁730、側壁790、底面壁780を有する断熱箱体700の外郭と、断熱箱体700の外郭の内部が仕切壁24により区画されて形成された前面に開口部を有する貯蔵室2、3、4、5、6と、貯蔵室に収納され、貯蔵室の底面あるいは上面を形成する仕切壁(貯蔵室と貯蔵室との間の仕切壁24、底面壁780、天井壁740を含む)に設けられたレール部材810を介して引き出される引き出し式のケース520と、レール部材810が設けられた仕切壁(貯蔵室と貯蔵室との間の仕切壁24、底面壁780、天井壁740を含む)内に配設された真空断熱材400と、レール部材810と対向する位置の仕切壁(貯蔵室と貯蔵室との間の仕切壁24、底面壁780、天井壁740を含む)において、仕切壁(貯蔵室と貯蔵室との間の仕切壁24、底面壁780、天井壁740を含む)を形成する外郭部材と真空断熱材400との間に充填あるいは塗布あるいは配置される介在部材である断熱材と、を備え、レール部材810と対向する仕切壁の位置における介在部材である断熱材の厚さが11mm以下(たとえば10mmより小さい)であり、外郭部材と真空断熱材400との間に充填あるいは塗布あるいは配置される介在部材である断熱材の密度を60kg/m3よりも大きくしている。したがって、介在部材の密度が60kg/m3よりも大きいためレールなどを固定するためのネジあるいはネジ固定部の保持強度あるいは固定強度が増加し、仕切壁(貯蔵室と貯蔵室との間の仕切壁24、底面壁780、天井壁740を含む)のレール取り付け部近傍の外郭部材が変形したりしないので引き出し扉やケースなどの引き出しがスムーズに行える。また、ネジなどの固定部材が取り付けられる仕切壁が破損することもなくなり、信頼性が向上する。また、介在部材である断熱材の厚さを11mm以下(たとえば10mmよりも小さく)にすれば、壁厚さを薄くできるとともに介在部材である断熱材として硬質ウレタンフォームを使用すれば、曲げ弾性率が向上し、仕切壁、箱体の強度が増加する。
また、(介在部材である発泡断熱材の厚さ)/(介在部材である発泡断熱材の厚さ+真空断熱材400の厚さ)を0.3以下に設定すれば、介在部材である発泡断熱材と真空断熱材とを合わせた複合部材の熱伝導率を小さくできるので、複合部材の断熱性能を向上させることができる。
また、貯湯タンクなどの熱源を断熱する場合等には、断熱壁(背面壁730、天井壁740、底面壁780、側壁790、仕切壁24など)の厚さを薄くして円筒状や角筒状や前面開口を有する箱体700などの断熱箱体の外形の大きさ(たとえば外径、幅、奥行き、高さなど)を小さくしたコンパクトな断熱箱体、冷蔵庫、貯湯装置、機器などを得ることができる。
また、介在部材である発泡断熱材が硬質ウレタンフォームであり、硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を15MPa以上で使用するようにすれば、レールなどを固定するためのネジあるいはネジ固定部の保持あるいは固定強度が増加しレール取り付け部755近傍の内箱750が変形したりしないので引き出し扉やケースなどの引き出しがスムーズに行える。また、ネジなどの取り付け部の内箱750が破損することもなくなり、信頼性が向上する。
また、レールが2段階に引き出し可能な2段レール、あるいは、3段階に引き出し可能な3段レールを使用する場合には、レール部(レール取り付け部)755への負荷が大きくなるが、レール部755と対向する位置の介在部材である発泡断熱材の厚さが11mm以下であり、(介在部材である発泡断熱材の厚さ)/(介在部材である発泡断熱材の厚さ+真空断熱材400の厚さ)が0.3以下であって、レール部材810を取り付けるレール取り付け部(レール部)755の内箱750と真空断熱材400との間に充填される介在部材である発泡断熱材の密度を60kg/m3よりも大きくすれば、内箱750のレール部755の強度が向上し、また、レール部材810などを固定するためのネジなどの固定部材735の保持強度あるいは固定強度が増加しレール部755近傍の内箱750が変形したりしないので、2段レールあるいは3段レールを使用した場合であっても引き出し扉やケースなどの引き出しがスムーズに行える。また、ネジなどの固定部材735の取り付け部であるレール部755あるいは内箱750が破損することもなくなり、信頼性が向上する。
また、ケース520は、ケース520を形成するケース側壁と、ケース側壁に形成され、レール部材810にてケース520が支持される段部であるレール支持部(ケース段差部)525と、を有し、段部であるレール支持部(ケース段差部)525がケース520の高さ方向に対して、上面から1/2以下の下方位置好ましくは1/3以下の下方位置に設けるようにすれば、段部であるレール支持部(ケース段差部)525がケース520の高さ方向に対して1/2よりも上方に設ける場合に比べてケース520の抜き勾配の分だけケース520の幅を大きくできるので、ケース520の容積を大きくできる。
また、天井壁740あるいは背面壁730の庫外側(図14に示すように貯蔵室側とは反対側)に設けられ、制御装置30が配置さる制御基板室31と、制御基板室31と内箱750との間に配設される真空断熱材400と、真空断熱材400と内箱750との間に充填される自己接着性を有する介在部材である発泡断熱材である硬質ウレタンフォームと、を備え、制御基板室31と対向する位置の発泡断熱材の厚さが11mm以下であって、介在部材である発泡断熱材の厚さ/(介在部材である発泡断熱材の厚さ+真空断熱材の厚さ)が0.3以下、すなわち、
発泡断熱材の厚さ<=11mm(たとえば発泡断熱材の厚さ<10mm)
発泡断熱材の厚さ/(発泡断熱材の厚さ+真空断熱材の厚さ)<=0.3
とすれば、制御基板室31が設けられた部位の箱体の壁厚さを低減でき、しかも箱体強度、断熱性能とも向上できるので、室(たとえば貯蔵室)内の容積が大きく、高強度で断熱性能の良好な冷蔵庫、機器が得られる。また、介在部材である硬質ウレタンフォームの厚さを小さくすることにより硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を大きくすることができるので、介在部材である硬質ウレタンフォームの厚さが小さくなっても強度を向上させることができる。したがって、壁厚さを小さくしても箱体強度を向上できる。また、介在部材である発泡断熱材の厚さ/(介在部材である発泡断熱材の厚さ+真空断熱材の厚さ)が0.3以下に設定すれば、真空断熱材400と硬質ウレタンフォームを備えた複合部材から形成される壁の複合熱伝導率を小さくできるので、壁厚さを小さくしても断熱性能を向上させることができる。ここで、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度は大きくなりすぎると、(1)ウレタンの注入量増加によるコストUP、(2)ウレタンの注入圧力増加による箱体等からのウレタン漏れの発生、(3)ウレタン発泡時の発泡圧力増加による箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などとウレタンとの密着力、接着力増加のため箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などが箱体から抜けにくくなる(箱体から取り外しにくくなる)、(4)ウレタンの密度増による断熱性能の急激な悪化など、品質悪化、性能低下、コストUPなどの問題が発生するので、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度(発泡断熱材の場合は発泡後の密度)は100kg/m3以下(好ましくは90kg/m3以下)にした方が良い。
また、介在部材である硬質ウレタンフォームの密度を60kg/m3よりも大きくすることで、介在部材である硬質ウレタンフォームが密に形成され、曲げ弾性率が大きくなるため、制御基板室31の変形を抑制できる。また、硬質ウレタンフォームが密に形成されるため、ネジなどの固定部材で固定する場合には、ネジなどの保持強度が向上する。
また、断熱箱体700の前面開口部を開閉自在に閉塞する扉を備えた冷蔵庫において、扉は扉枠部材あるいは扉内板などで形成される扉外郭と扉外郭の前面に設けられる意匠面であるガラス面材とで形成されており、ガラス面材と扉外郭とで形成される扉内部空間に真空断熱材400を備えており、扉内部空間(たとえばガラス面材と真空断熱材400との間)に充填あるいは塗布あるいは封入される介在部材である硬質ウレタンフォームの密度を60kg/m3よりも大きくすることで、介在部材である硬質ウレタンフォームが密に形成され、曲げ弾性率が大きくなるため、扉前面にガラス面材を配設した場合でもガラス面材の保持あるいは接着強度が向上するので、ガラス面材の落下を抑制でき、また、扉内部空間の介在部材である硬質ウレタンフォームの強度が向上するので、ガラス面材を備えた扉の強度(剛性)も向上する。ここで、ガラス面材は、従来の鋼板に比べて厚さが大きく重量も重くなるのでガラス面材が落下しにくいように扉外郭のガラス面材保持構造を強固にしなければならなくなり構造が複雑で高コストになるが、本実施の形態のように硬質ウレタンフォームの密度を60kg/m3よりも大きくすることによって、ウレタンフォームとガラス面材との密着性が増加しガラス面材の保持力が増加するので、ガラス面材の落下に対する信頼性が向上する。また、ガラス面材と対向する位置の発泡断熱材の厚さが11mm以下(厚さのばらつきや真空断熱材400の表面の凹凸等の影響を考慮すると10mm未満が良い)にすれば、介在部材であるウレタンの曲げ弾性率も向上できるので、扉強度を向上でき、扉厚さも低減できる。
また、扉前面に設けられるガラス面材と扉外郭(扉枠部材あるいは扉内板などで形成される)との間の扉内部空間に配設される真空断熱材400と、真空断熱材400とガラス面材との間に充填される自己接着性を有する介在部材である発泡断熱材である硬質ウレタンフォームと、を備え、ガラス面材と対向する位置の発泡断熱材の厚さが11mm以下(厚さのばらつきや真空断熱材400の表面の凹凸等の影響を考慮すると10mm未満が良い)であって、介在部材である発泡断熱材の厚さ/(介在部材である発泡断熱材の厚さ+真空断熱材の厚さ)が0.3以下、すなわち、
発泡断熱材の厚さ<=11mm(たとえば発泡断熱材の厚さ<10mm)
発泡断熱材の厚さ/(発泡断熱材の厚さ+真空断熱材の厚さ)<=0.3
とすれば、ガラス面材が設けられた扉の厚さを低減でき、しかも扉体強度、断熱性能とも向上できるので、室(たとえば貯蔵室)内の容積が大きく、高強度で断熱性能の良好な冷蔵庫、機器が得られる。また、介在部材である硬質ウレタンフォームの厚さを小さくすることにより硬質ウレタンフォームの曲げ弾性率を大きくすることができるので、介在部材である硬質ウレタンフォームの厚さが小さくなっても強度を向上させることができる。したがって、扉厚さを小さくしても扉体強度を向上できる。また、介在部材である発泡断熱材の厚さ/(介在部材である発泡断熱材の厚さ+真空断熱材の厚さ)が0.3以下に設定すれば、真空断熱材400と硬質ウレタンフォームを備えた複合部材から形成される壁の複合熱伝導率を小さくできるので、扉の厚さを小さくしても断熱性能を向上させることができる。
ここで、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度は大きくなりすぎると、(1)ウレタンの注入量増加によるコストUP、(2)ウレタンの注入圧力増加による箱体等からのウレタン漏れの発生、(3)ウレタン発泡時の発泡圧力増加による箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などとウレタンとの密着力、接着力増加のため箱体変形抑制用金型や箱体押さえ部材などが箱体から抜けにくくなる(箱体から取り外しにくくなる)、(4)ウレタンの密度増による断熱性能の急激な悪化など、品質悪化、性能低下、コストUPなどの問題が発生するので、介在部材であるウレタンなどの断熱材(たとえば硬質ウレタンフォーム)の密度(発泡断熱材の場合は発泡後の密度)は100kg/m3以下(好ましくは90kg/m3以下)にした方が良い。
また、外箱と内箱とから形成され、背面壁、側壁を有する箱体と、箱体内に設けられ、前面に開口部を有する貯蔵室と、箱体の前面開口部を開閉自在に閉塞する扉と、を備えた冷蔵庫において、扉は、扉の周囲壁を形成する扉枠部と貯蔵品を収納する貯蔵室側の面部を形成する扉内板とによって形成された扉外郭と、前記扉外郭の前面側(断熱箱体あるいは冷蔵庫あるいは機器などに取り付けられたときの前面側)に設けられたガラス面材と、で形成されており、ガラス面材と扉外郭とで形成される扉内部空間に設けられる真空断熱材と、扉内部空間に充填あるいは塗布あるいは封入される発泡断熱材と、を備え、ガラス面材と扉外郭とで形成される扉内部空間の容積に対する真空断熱材の占める容積の割合を40%以上にすることにより、扉の変形量が小さく、高強度で剛性の高く、断熱性能が良好な扉体、冷蔵庫、機器が得られる。
また、断熱箱体あるいは冷蔵庫あるいは機器などの側壁790あるいは背面壁730あるいは天井壁740あるいは底面壁730あるいは仕切壁24の壁厚さあるいは扉の厚さは薄い方が庫内の貯蔵品収納容積が大きくできるので、壁厚さは40mm以下が良く、また、壁厚さが薄すぎると強度低下、断熱性能低下、真空断熱材の空間の減少による組み立て性の悪化などの問題が発生する恐れがあるので、壁厚さは20mm以上程度が良い。したがって、側壁790あるいは背面壁730あるいは天井壁740あるいは底面壁730あるいは仕切壁24などの断熱箱体の壁厚さあるいは冷蔵庫の壁厚さあるいは機器の壁厚さは、20mm以上40mm以下の範囲内にした方が良い。
また、貯蔵室の前面開口部を閉塞する扉を備え、扉は、扉枠部と扉内板で形成された扉外郭と、扉外郭に設けられたガラス面材と、で形成されており、ガラス面材と前記扉外郭とで形成される扉内部空間に設けられた真空断熱材と、扉内部空間に充填あるいは塗布あるいは封入される発泡断熱材と、を備え、ガラス面材と前記真空断熱材との間に充填あるいは塗布あるいは封入される発泡断熱材の発泡後の密度が60kg/m3よりも大きく、厚さを10mmより小さくすれば、断熱性能が良好で貯蔵室内容積が大きく、ガラス面材の使用による意匠性もすぐれ、箱体強度も向上する冷蔵庫が得られる。
また、制御基板室31の内部、あるいは近傍に設けられ、赤外線接続あるいは無線接続あるいは有線接続(電灯線接続やインターネット回線接続やLAN接続やUSB接続など)にて冷蔵庫1の外部に配置される外部機器と機器情報を送受信可能な送受信手段を備えるようにすれば、冷蔵庫の機器情報を送信したり、あるいは外部機器からの情報を受信することができるので、冷蔵庫や他機器の情報を冷蔵庫や携帯端末や外部機器に表示させることができる。また、サーバからの指示情報を受けて冷蔵庫を制御することもできる。また、冷蔵庫や携帯端末から他機器を制御することも可能になる。
また、制御基板室31に制御基板室用カバーを設け、制御基板室31内あるいは制御基板用カバーにネットワーク接続用の端子を備えるようにすれば、冷蔵庫設置後に無線アダプタやWiFiアダプタや有線LANなどを容易に接続することができ、ネットワークを構築することができる。もちろん、ネットワーク接続用の端子は、天井壁730あるいは側壁790であれば、容易に接続できるので問題ない。
また、少なくとも貯蔵室内の背面の一部あるいは第2の凹部441を覆うカバー部材(第1風路部品762)が、冷気風路760の少なくとも一部を形成あるいは冷気風路760の少なくとも一部を覆う風路カバー部と、風路カバー部から幅方向に延出し背面壁730あるいは凹部440の少なくとも一部を覆う背面カバー部と、を備えるようにすれば、カバー部材(第1風路部品762)によって、背面壁730や凸部450の少なくとも一部を覆うことができるので、意匠性が向上し、組立性も向上する。
また、少なくとも貯蔵室内の背面の一部あるいは第2の凹部441を覆うカバー部材(第1風路部品762)が、冷気風路760の少なくとも一部を形成あるいは冷気風路760の少なくとも一部を覆う風路カバー部と、風路カバー部から幅方向に延出し背面壁730あるいは凹部440の少なくとも一部を覆う背面カバー部と、背面カバー部に接続あるいは背面カバー部に一体に形成されて側壁790の少なくとも一部を覆う側面カバー部と、を備えるようにすれば、カバー部材(第1風路部品762)によって、背面壁730や側壁790や凸部450の少なくとも一部を覆うことができるので、意匠性が向上し、組立性も向上する。
また、背面カバー部を背面壁730あるいは凹部440あるいは凸部450を形成する内箱750に固定あるいは保持するなどして取り付けるか、あるいは、側面カバー部を側壁790あるいは凸部450を形成する内箱750に固定あるいは保持するなどして取り付けるようにすれば、カバー部材(第1風路部品762)によって、背面壁730や側壁790や凸部450の少なくとも一部を覆うことができるので、意匠性が向上し、組立性も向上する。
また、少なくとも貯蔵室内の背面の一部を覆うカバー部材(第1風路部品762)が、冷気風路760の少なくとも一部を形成あるいは冷気風路760の少なくとも一部を覆う風路カバー部と、風路カバー部から幅方向(左右方向あるいは側壁790方向)に延出し背面壁730あるいは凹部440の少なくとも一部を覆う背面カバー部と、風路カバー部と接続あるいは風路カバー部と一体に形成されて背面壁730の上部あるいは下部に設けられる仕切壁24(天井壁740あるいは底面壁780を含む)の少なくとも一部を覆うように背面壁730の上端部あるいは下端部から前面開口方向に延出して設けられる上下壁カバー部と、を備えるようにすれば、カバー部材(第1風路部品762)によって、背面壁730や仕切壁24や天井壁730や底面壁780の少なくとも一部を覆うことができるので、意匠性が向上し、組立性も向上する。
また、背面カバー部を背面壁730あるいは凹部440あるいは凸部450を形成する内箱750に固定あるいは保持するなどして取り付けるか、あるいは、上下壁カバー部を背面壁730の上下方向に設けられる仕切壁24(天井壁740あるいは底面壁780を含む)を形成する内箱750に固定あるいは保持するなどして取り付けるようにすれば、カバー部材(第1風路部品762)によって、背面壁730や仕切壁24や天井壁730や底面壁780の少なくとも一部を覆うことができるので、意匠性が向上し、組立性も向上する。