JP2010276310A - 真空断熱材を備えた冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空断熱材と外箱及び内箱との間にスペーサと支持部材を配置して、発泡ウレタンの発泡圧によって真空断熱材が剥がれることなく、発泡ウレタンの未充填部を発生させない冷蔵庫を提供すること。
【解決手段】真空断熱材50eを配置する際、スペーサ70における真空断熱材50eおよび外箱21eとの接着面を連続した平面とすることで、接着面積を大きくすることができるため、スペーサ70と真空断熱材50e及び外箱21eとの接着を強固にすることができ、接着面が連続した平面であるため、接着剤塗布作業や貼付け作業がしやすくなる。さらに、内箱側又は真空断熱材の内箱側の面に、支持部材80を配置することによって、スペーサ70と支持部材80により真空断熱材50eがサンドイッチされる構造がとれるため、発泡圧によって真空断熱材50eが剥がされることはない。
【選択図】図4
【解決手段】真空断熱材50eを配置する際、スペーサ70における真空断熱材50eおよび外箱21eとの接着面を連続した平面とすることで、接着面積を大きくすることができるため、スペーサ70と真空断熱材50e及び外箱21eとの接着を強固にすることができ、接着面が連続した平面であるため、接着剤塗布作業や貼付け作業がしやすくなる。さらに、内箱側又は真空断熱材の内箱側の面に、支持部材80を配置することによって、スペーサ70と支持部材80により真空断熱材50eがサンドイッチされる構造がとれるため、発泡圧によって真空断熱材50eが剥がされることはない。
【選択図】図4
Description
本発明は、冷蔵庫に係わり、特に真空断熱材の形状、及び真空断熱材と外箱及び内箱との関連構成に関するものである。
近年、地球温暖化防止等の地球環境保護の観点から、冷蔵庫においても省エネルギー化が求められている。また、最近の社会背景として、共働き化や核家族化の傾向にあるため、週末の休みを利用して食材を纏め買いする家庭が増えていること等から、冷蔵庫の大容量化ニーズは年々高まっている。
従来から冷蔵庫は、省エネルギー化のため、冷蔵庫筐体の断熱材である硬質ウレタンフォームに真空断熱材を併用して断熱性能を大幅に向上させた製品が発売されている。真空断熱材は硬質ウレタンフォームの10倍以上の断熱性能を有するものである。
従来の技術としては、真空断熱材は一般的には作業性等を考慮して、例えば冷蔵庫筐体の外箱側の平坦な部分に配置される例が多いが、真空断熱材特有である外被材のヒートブリッジ影響によって本来の断熱性能を十分に発揮することができていない場合があった。また、外箱側には放熱パイプ等の高温部品を設置する場合があるため、外被材のヒートブリッジを助長し、所定の効果が得られないことがあった。ここで、ヒートブリッジとは、熱伝導率の高い冷蔵庫外箱に設置された真空断熱材が、温度の高い外気から外箱を通し,さらに後述する図3に示す真空断熱材の外被材(例えばアルミ箔を材料とする)の端部に形成された折り曲げ部を介して、芯材を通ることなく発泡ウレタン(硬質ウレタンフォーム)に橋絡する現象(逆に冷蔵庫内部から外気への流れでも同様)を云い、本発明の説明においても同様の意味で用いる。
また、特許文献1に示される従来技術として、真空断熱材を両側面、天面、背面、底面及び前面の各面に配置し、外箱の表面積に対し真空断熱材の被覆率が50%を超え80%以下として省エネルギー効果を高め、外箱表面積が外気温度よりも高くなる面において真空断熱材を外箱と内箱の中間で硬質ウレタンフォーム内に埋設して真空断熱材の経時的な劣化を押さえようとする冷蔵庫の例が示されている。
また、特許文献2に示される従来技術として、外箱と内箱の間に外箱側に固定されたスペーサに支持された真空断熱材が、外箱と内箱に接しないように配置されるとともに、外箱と真空断熱材および内箱と真空断熱材との隙間に硬質ウレタンフォームが充填された冷蔵庫が示されている。スペーサは、硬質ウレタンフォームの発泡方向に並列され、真空断熱材と外箱にそれぞれ接している底部と頂部を有しており、底部と外箱および頂部と真空断熱材の間に硬質ウレタンフォームが通過できる流路を設けた冷蔵庫が提案されている。また、この従来技術においては、外箱側に放熱パイプを配置する場合、放熱パイプがスペーサの頂部と頂部の間に位置しており、スペーサの底部すなわち真空断熱材には接触しないため、真空断熱材が放熱パイプの熱影響を受け難い構造とした冷蔵庫の例が示されている。
一般に真空断熱材の特性として、低温雰囲気中で使用した場合に比べ、高温雰囲気中で使用した場合は断熱性能が低下する傾向が見られる。特に放熱パイプ等の高温部品に接して使用した場合は、真空断熱材の断熱性能を低下させる虞があるのと、外被材のヒートブリッジ影響により、冷蔵庫の寿命年数を迎える前に断熱性能が著しく低下する可能性があった。
また、特許文献1に示される従来の冷蔵庫の構造では、外箱側に設けたウレタン製のスペーサにより真空断熱材を硬質ウレタンフォーム(発泡ウレタン)の中間位置になるように配置しているが、真空断熱材の姿勢を安定化するため、数多くのスペーサを1つ1つ配置しなくてはならず、組み立て工数が増加する課題がある。また、スペーサが大きすぎると硬質ウレタンフォームの流れを阻害する要因となり、小さすぎると発泡圧に耐えることができないという課題もあった。
また、ウレタンスペーサが外箱と真空断熱材の間にのみ設置されていることから、硬質ウレタンフォームが発泡方向に立ち上がる際、流動抵抗等によって外箱と真空断熱材の間に多く流れた場合、発泡圧によって真空断熱材がスペーサから剥がされ、真空断熱材が内箱に接触する等によって発泡ウレタンの未充填部(ボイド)を発生させることがあり、真空断熱材の断熱性能を十分に発揮できていなかった。
また、特許文献2に示される従来の冷蔵庫は、真空断熱材と外箱の間に設置されたスペーサが、その底部を真空断熱材に接着され、さらに外箱に接着された頂部が互い違いになった略波形状を形成しており、そのスペーサを発泡方向に並列するように設けているため、真空断熱材と外箱の間にもウレタンが充填されやすいという利点はあるが、波形状の頂部と外箱の接着面が分割された矩形面であるため、接着面積が十分に取れず、特許文献1と同様に外箱側のみに設置されていることから、例えば外箱と真空断熱材の間のウレタンが早く立ち上がった場合等において、発泡ウレタンの発泡圧によって真空断熱材が剥がされて内箱に接触する等して、未充填部(ボイド)を発生させてしまうことがあった。また、真空断熱材を外箱に配置する際に、接着を安定させるために押付けるが、スペーサの接着面が島状の矩形面であるため、外箱表面に凹凸形状が現れてしまい、外観上の見栄えの課題があった。
本発明は、真空断熱材と外箱、及び真空断熱材と内箱の間にそれぞれ固定手段(スペーサ)および支持部材を配置して、万一、発泡ウレタンの発泡バランスが崩れた場合でも、発泡ウレタンの発泡圧によって真空断熱材が剥がれることがなく、未充填部(ボイド)部分を発生させない冷蔵庫を提供することを目的とする。また、スペーサによる外箱表面の凹凸不良の発生を抑制し、真空断熱材の固定を強固にし、真空断熱材を発泡ウレタン中に埋設するための手段乃至方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
外箱と内箱の間に発泡ウレタンと真空断熱材とを備えた冷蔵庫であって、前記真空断熱材は、その一面にスペーサを介して前記外箱と離隔され、その他面に支持手段を介して前記内箱と離隔されて設置され、前記真空断熱材と前記外箱の間、及び前記真空断熱材と前記内箱の間に前記発泡ウレタンが充填されている構成とする。さらに、前記スペーサは、前記真空断熱材及び前記外箱との接着面が連続した平坦面を形成し、前記外箱と前記真空断熱材との間に設けられた注入口から底面へ前記発泡ウレタンが液流動する方向、及び前記底面から前記注入口の方向へ前記発泡ウレタンが発泡流動する方向において、前記液流動及び発泡流動を遮らない空間を確保できるように複数配列される構成とする。
外箱と内箱の間に発泡ウレタンと真空断熱材とを備えた冷蔵庫であって、前記真空断熱材は、その一面にスペーサを介して前記外箱と離隔され、その他面に支持手段を介して前記内箱と離隔されて設置され、前記真空断熱材と前記外箱の間、及び前記真空断熱材と前記内箱の間に前記発泡ウレタンが充填されている構成とする。さらに、前記スペーサは、前記真空断熱材及び前記外箱との接着面が連続した平坦面を形成し、前記外箱と前記真空断熱材との間に設けられた注入口から底面へ前記発泡ウレタンが液流動する方向、及び前記底面から前記注入口の方向へ前記発泡ウレタンが発泡流動する方向において、前記液流動及び発泡流動を遮らない空間を確保できるように複数配列される構成とする。
また、前記スペーサは、前記発泡ウレタンの流動方向に沿う平面に、固化した発泡ウレタンとの固着を強固にする表面形状を有し、具体的には、前記スペーサの平面には、前記平面を貫通する穴が前記流動方向に複数設けら、または、前記スペーサの平面には、前記流動方向に沿った溝が前記流動方向と交差する方向に複数設けられる構成とする。
また、前記スペーサは、その断面形状が略H形を形成し、前記略H形における対向する平坦面が前記外箱と前記真空断熱材との接着面となる構成とする。さらに、前記スペーサにおける前記平坦面の一方に溝又は凹部を設け、前記外箱に固定された放熱パイプを前記溝又は凹部に配設する構成とする。さらに、前記冷蔵庫における前記支持部材は、発泡系の材料からなり、前記真空断熱材の前記他面に又は前記内箱の外側面に配設される構成とする。
本発明によれば、真空断熱材の固定手段であるスペーサと支持部材によって真空断熱材が外箱と内箱から離れた状態で設置されることにより、真空断熱材の断熱性能を効果的に発揮できるようになり、断熱性能を良好とすることができる。
また、スペーサの真空断熱材との接着面および外箱の接着面を連続した平面とすることで、それぞれの接着面における接着力が大きくなるので、真空断熱材を強固に固定することができる。また、スペーサの接着面が連続した平面であるため、外箱にかかる荷重が平均的になるため、外箱表面に凹凸等の形状が浮き出ることがない。さらに、スペーサが連続した平面を持つことで接着剤等の塗布が容易になり、組み立て作業工数も低減できるため、低コスト化の効果も奏でる。
また、スペーサを配置した側と反対側に支持部材を設けたことによって、真空断熱材がスペーサと支持部材でサンドイッチするので、発泡圧によって真空断熱材がスペーサから剥がされることが無く、発泡ウレタンが均一に充填されるものである。これにより断熱性能が良好な冷蔵庫を提供することができるものである。さらに、真空断熱材が高温になる放熱パイプと一定の距離を確保できるため、熱影響による断熱性能の劣化や、ヒートブリッジによる断熱性能の悪化を抑制できる。
本発明の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫について、図面を参照しながら以下詳細に説明する。本発明の第1の実施形態については図1〜図7を用いて、第2の実施形態については図8を用いて、第3の実施形態については図11と図12を用いて、それぞれ説明する。なお、図9、図10及び図13は本実施形態と対比すべき比較例を示す図である。
「第1の実施形態」
本発明の第1の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫について、図1〜図7を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫の外観を示す正面図である。図2は第1の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫の縦断面図であり、図1のA−A線の切断図である。図3は第1の実施形態に用いた真空断熱材の断面図である。
本発明の第1の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫について、図1〜図7を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫の外観を示す正面図である。図2は第1の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫の縦断面図であり、図1のA−A線の切断図である。図3は第1の実施形態に用いた真空断熱材の断面図である。
また、図4は第1の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫の縦断面図であり、図2のX−X線の切断図である。図5は第1の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫の横断面図であり、図1のZ−Z線の切断図である。図6は第1の実施形態に関するスペーサの外箱に対する配置と発泡ウレタンの発泡方向を示す図である。図7は第1の実施形態に関する冷蔵庫に用いた発泡ウレタンの注入方向と発泡方向を示す説明図である。
示す冷蔵庫の正面図であり、図2は図1のA−A断面図を示している。
図1に示す本実施形態を備えた冷蔵庫1は、図2に示すように、上から冷蔵室2、貯氷室3(製氷室3aと上段冷凍室3b)、冷凍室4、野菜室5を有している。図1の符号は、上記各室の前面開口部を閉塞する扉であり、上からヒンジ10等を中心に回動する冷蔵室扉6a,6b、冷蔵室扉6a,6b以外は全て引き出し式の扉であり、製氷室扉7aと上段冷凍室扉7b、下段冷凍室扉8、野菜室扉9を配置する。これらの引き出し式扉6〜9は扉を引き出すと、各室を構成する容器が扉と共に引き出されてくる。各扉6〜9には冷蔵庫本体1とを密閉するためのパッキン11を備え、各扉6〜9の室内側外周縁に取り付けられている。
また、冷蔵室2と製氷室3a及び上段冷凍室3bとの間を区画断熱するために仕切断熱壁12を配置している。この仕切断熱壁12は厚さ30〜50mm程度の断熱壁で、スチロフォーム、発泡断熱材(発泡ウレタン)、真空断熱材等でできており、それぞれを単独使用又は複数の断熱材を組み合わせて作られている。製氷室3a及び上段冷凍室3bと下段冷凍室4の間は、温度帯が同じであるため区画断熱する仕切り断熱壁ではなく、パッキン11受面を形成した仕切り部材13を設けている。下段冷凍室4と野菜室5の間には区画断熱するための仕切断熱壁14を設けており、仕切断熱壁12と同様に30〜50mm程度の断熱壁で、これまたスチロフォーム、或いは発泡断熱材(発泡ウレタン)、真空断熱材等で作られている。基本的に冷蔵、冷凍等の貯蔵温度帯の異なる部屋の仕切りには仕切断熱壁を設置している。
なお、箱体20内には上から冷蔵室2、製氷室3a及び上段冷凍室3b、下段冷凍室4、野菜室5の貯蔵室をそれぞれ区画形成しているが、各貯蔵室の配置については特にこれに限定するものではない。また、冷蔵室扉6a,6b、製氷室扉7a、上段冷凍室扉7b、下段冷凍室扉8、野菜室扉9に関しても回転による開閉、引き出しによる開閉及び扉の分割数等について、特に限定するものではない。
箱体20は、外箱21と内箱22とを備え、外箱21と内箱22とによって形成される空間に断熱部を設けて箱体20内の各貯蔵室と外部とを断熱している。この外箱21と内箱22の間の空間に真空断熱材50を配置し、真空断熱材50以外の空間には発泡ウレタン等の発泡断熱材23を充填してある。真空断熱材50については図3で説明するが、後述する固定部材70、支持部材80等で固定支持されている。
また、冷蔵庫の冷蔵室2、冷凍室3a、4、野菜室5等の各室を所定の温度に冷却するために冷凍室3a、4の背側には冷却器28が備えられており、この冷却器28と圧縮機30と凝縮機31、図示しないキャピラリーチューブとを接続し、冷凍サイクルを構成している。冷却器28の上方にはこの冷却器28にて冷却された冷気を冷蔵庫内に循環して所定の低温温度を保持する送風機27が配設されている。また、冷蔵庫の冷蔵室2と製氷室3a及び上段冷凍室3b、冷凍室4と野菜室5を区画する断熱材として、それぞれ断熱仕切り12,14を配置し、発泡ポリスチレン33と真空断熱材50cで構成されている。この断熱仕切り12,14については発泡ウレタン等の発泡断熱材23を充填しても良く、特に発泡ポリスチレン33と真空断熱材50cに限定するものではない。
また、箱体20の天面後方部には冷蔵庫1の運転を制御するための基板や電源基板等の電気部品41を収納するための凹部40が形成されており、電気部品41を覆うカバー42が設けられている。カバー42の高さは外観意匠性と内容積確保を考慮して、外箱21の天面とほぼ同じ高さになるように配置している。特に限定するものではないが、カバー42の高さが外箱の天面よりも突き出る場合は10mm以内の範囲に収めることが望ましい。これに伴って、凹部40は断熱材23側に電気部品41を収納する空間だけ窪んだ状態で配置されるため、断熱厚さを確保するため必然的に内容積が犠牲になってしまう。内容積をより大きくとると凹部40と内箱22間の断熱材23の厚さが薄くなってしまう。
このため、凹部40の断熱材23中に真空断熱材50aを配置して断熱性能を確保、強化している。本実施形態では、真空断熱材50aを前述の庫内灯45のケース45aと電気部品41に跨るように略Z形状に成形した1枚の真空断熱材50aとしている。尚、前記カバー42は外部からのもらい火や何らかの原因で発火した場合等を考慮し鋼板製としている。また、箱体20の背面下部に配置された圧縮機30や凝縮機31は発熱の大きい部品であるため、庫内への熱侵入を防止するため、内箱22側への投影面に真空断熱材50dを配置している。
真空断熱材50について、図3を用いてその構成を説明する。真空断熱材50は、芯材51と該芯材51を圧縮状態に保持するための内包材52、前記内包材52で圧縮状態に保持した芯材51を被覆するガスバリヤ層を有する外被材53、及び吸着剤54とから構成される。外被材53は前記真空断熱材50の両面に配置され、同じ大きさのラミネートフィルムの稜線から一定の幅の部分を熱溶着により貼り合わせた袋状で構成されている。
なお、本実施形態において、芯材51についてはバインダー等で接着や結着していない無機繊維の積層体として平均繊維径4μmのグラスウールを用いた。前記芯材51については、無機系繊維材料の積層体を使用することによりアウトガスが少なくなるため(一方、有機系の場合、真空引きのとき又は経時的にガスが発生し、このガスをアウトガスと云う)、断熱性能的に有利であるが、特にこれに限定するものではなく、例えばセラミック繊維やロックウール、グラスウール以外のガラス繊維等の無機繊維等でもよい。芯材51の種類によっては内包材52が不要の場合もある。
また、芯材51については、無機系繊維材料の他に、有機系樹脂繊維材料を用いることができる。有機系樹脂繊維の場合、耐熱温度等をクリヤーしていれば特に使用に際しては制約されるものではない。具体的には、ポリスチレンやポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等をメルトブローン法やスパンボンド法等で1〜30μm程度の繊維径になるように繊維化するのが一般的であるが、繊維化できる有機系樹脂や繊維化方法であれば特に問うものではない。
外被材53のラミネート構成についてはガスバリヤ性を有し、熱溶着可能であれば特に限定するものではないが、本実施形態においては、表面保護層、第1ガスバリヤ層、第2ガスバリヤ層、熱溶着層の4層構成からなるラミネートフィルムとし、表面層は保護材の役割を持つ樹脂フィルムとし、第1ガスバリヤ層は樹脂フィルムに金属蒸着層を設け、第2ガスバリヤ層は酸素バリヤ性の高い樹脂フィルムに金属蒸着層を設け、第1ガスバリヤ層と第2ガスバリヤ層は金属蒸着層同士が向かい合うように貼り合わせている。熱溶着層については表面層と同様に吸湿性の低いフィルムを用いた。
具体的には、表面層を二軸延伸タイプのポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等の各フィルム、第1ガスバリヤ層をアルミニウム蒸着付きの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、第2ガスバリヤ層をアルミニウム蒸着付きの二軸延伸エチレンビニルアルコール共重合体樹脂フィルム又はアルミニウム蒸着付きの二軸延伸ポリビニルアルコール樹脂フィルム、或いはアルミ箔とし、熱溶着層を未延伸タイプのポリエチレン、ポリプロピレン等の各フィルムとした。この4層構成のラミネートフィルムの層構成や材料については特にこれらに限定するものではない。例えば第1ガスバリヤ層や第2ガスバリヤ層として、金属箔、或いは樹脂系のフィルムに無機層状化合物、ポリアクリル酸等の樹脂系ガスバリヤコート材、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等によるガスバリヤ膜を設けたものや、熱溶着層には例えば酸素バリヤ性の高いポリブチレンテレフタレートフィルム等を用いても良い。
表面層については第1ガスバリヤ層の保護材であるが、真空断熱材の製造工程における真空排気効率を良くするためにも、好ましくは吸湿性の低い樹脂を配置するのが良い。また、通常、第2ガスバリヤ層に使用する金属箔以外の樹脂系フィルムは、吸湿することによってガスバリヤ性が著しく悪化してしまうため、熱溶着層についても吸湿性の低い樹脂を配置することで、ガスバリヤ性の悪化を抑制すると共に、ラミネートフィルム全体の吸湿量を抑制するものである。これにより、先に述べた真空断熱材50の真空排気工程においても、外被材53が持ち込む水分量を小さくできるため、真空排気効率が大幅に向上し、断熱性能の高性能化につながっている。尚、各フィルムのラミネート(貼り合せ)は、二液硬化型ウレタン接着剤を介してドライラミネート法によって貼り合わせるのが一般的であるが、接着剤の種類や貼り合わせ方法には特にこれに限定するものではなく、ウェットラミネート法、サーマルラミネート法等の他の方法によるものでも何ら構わない。
また、内包材52については本実施形態では熱溶着可能なポリエチレンフィルム、吸着剤54については物理吸着タイプの合成ゼオライトを用いたが、いずれもこれらの材料に限定するものではない。内包材52についてはポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム等、吸湿性が低く熱溶着でき、アウトガスが少ないものであれば良く、吸着剤54については水分やガスを吸着するもので、物理吸着、化学反応型吸着のどちらでも良い。
次に、第1の実施形態に係る冷蔵庫について図4及び図5を用いて説明する。図4及び図5は、図2及び図1におけるX−X切断面及びZ−Z切断面を示すものである。第1の実施形態に係る冷蔵庫1は、箱体20に使用する真空断熱材50のうち、外箱21の両側面21eに配置する真空断熱材50eを、発泡ウレタン23の略中間に埋設した例である。その他、天面と背面については外箱21a,21bにそれぞれ真空断熱材50a,50bを直接貼り付け、底面については内箱22面に貼り付けた。仕切り断熱12,13については図2には真空断熱材50cを図示しているが、第1の実施形態においては真空断熱材50cを使用しなかった。図示の通り、真空断熱材50cについては使用しても何ら問題はない。
真空断熱材50eの固定方法については、外箱21eの内側にスペーサ70を図6(a)の如く発泡ウレタンの発泡方向23bに並列するように配置した。スペーサ70の形状と配置の説明については後述するが、ここで、発泡ウレタンの発泡方法について図7を用いて説明する。
図7において、冷蔵庫1の背面の外板21cが上面になるように図示しない発泡治具内に配置し、図7(a)に示すように、外板21cに設けた注入孔25から発泡ウレタン23を矢印23aの方向に注入する。その後、発泡ウレタンは、図7(b)に示すように冷蔵庫1の前面部21fに溜った後に発泡を開始し、矢印23bの方向に立ち上がるように発泡が進み、全体に充填される。なお、発泡ウレタンは,ウレタンに発泡剤を混入させて液状としたものであり、注入口25からは液状で滴下され、ゲル状になった底面からは発泡ウレタンは泡状となって上方に立ち上がっていき次第に固化するものである。
次に、第1の実施形態に関するスペーサ70について説明する。図6(a)に示されるように、スペーサ70は、連続した平面からなる接着面70a、70bを有し、接着面70aと70bを結ぶ柱状部70cを有するH形断面形状から構成される。接着面70aは真空断熱材50eと、反対側の接着面70bは外箱21eとそれぞれ接着される。スペーサ70の柱状部70cには発泡ウレタン23との接着性を強固にするための貫通孔70dを設ける。この貫通孔70dに発泡ウレタン23が流入することで、スペーサ70が発泡ウレタン中に埋没して強固に固定されることになる。
貫通孔70dについては、図6(b)に示すように、貫通しない溝70eを柱状部70cの両面に発泡方向23bに沿って設けてもよく、場合によっては貫通孔70dや柱状部70cへの溝加工については省略しても構わない。スペーサ70の材料として、本実施形態ではABS樹脂を用いた。ABS樹脂は射出成形しやすい材料であることから選定したものであるが、材質についてはAS(アクリロニトリルスチレン共重合化合物)、PS(ポリスチレン)およびその他の樹脂を用いてもよく、成形方法についても押出し成形やその他の方法等を用い、特に限定するものではない。スペーサ70は熱を伝え難くさせるために、熱伝導率が1(W/m・K)未満の材料が望ましい。図6に示すH形断面形状は、発泡ウレタンがその流動を妨げられることなく流れ易くする形状であり、且つ発泡ウレタンの発泡との接触面積を大きくして発泡との固定関係を強固にする形状である。
また、本実施形態に用いた真空断熱材50については、外被材53のラミネート構成として、表面層を二軸延伸ポリプロピレンフィルム、第1ガスバリヤ層をアルミニウム蒸着付き二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、第2ガスバリヤ層をアルミニウム蒸着付き二軸延伸エチレンビニルアルコール共重合体樹脂フィルム、熱溶着層を未延伸タイプの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムとした。芯材51については、無機系繊維材料である平均繊維径4μmのガラス繊維の集合体であるノンバインダーのグラスウールを用いた。その他の材料については上述した通りである。
次に、第1の実施形態に係る真空断熱材における外箱と内箱の間での配置について図4と図5を参照しながら説明する。図3に示す真空断熱材50が薄厚方向(図3の図示例で紙面上下方向)からみて矩形形状であると(正方形又は多角形形状でも構わない)、短辺と長辺の対からなる4辺の端縁部が外箱又は内箱から浮いていれば、当該端縁部を介したヒートブリッジの影響を避けることができる。すなわち、真空断熱材50の4辺の端部が外箱又は内箱に接していると、当該端部を介した熱伝導の回り込み、いわゆるヒートブリッジが発生して断熱性能が低くなるので、真空断熱材50を外箱と内箱の略中間位置に配置する必要がある。
そこで、図4、図5及び図6(a)に示すように、スペーサ70の接着面70aに図示しない合成ゴム系粘着タイプのホットメルト接着剤を塗布し、真空断熱材50の所定位置に複数のスペーサ70を貼付ける。図6に示すように、発泡方向23bに沿って並列にH形断面形状のスペーサを貼り付ける。また、支持部材80の一面に同様な接着剤を塗布して真空断熱材50の所定位置に複数の支持部材80を貼り付ける。これによって、真空断熱材50の薄厚方向の両面にスペーサ70と支持部材80が配置された構造体ができあがる。続いて、スペーサ70の接着面70bにも同様にホットメルト接着剤を塗布し、外箱21eの内側の面に接着した後に、支持部材80の他面に同様な接着剤を塗布して内箱22の外側面を当接させて固着する。
なお、真空断熱材の外箱と内箱の略中間位置への配置(組み込み)手法については、上述の手法に限ることはなく、例えば、スペーサを接着後の真空断熱材を外箱の内側面に接着配置した後、内箱22の外側面に、二液硬化性の発泡ウレタン(ウレタンと発泡剤)を液状のまま数箇所に直接滴下させ、略ボール状に発泡固化させてこの固化したものを支持部材80としてもよい。この支持部材80の固着された内箱を真空断熱材に当接させることによって組み込み完了となる。この支持部材により、外箱21eと内箱22を組合せた際に真空断熱材50eがスペーサ70と支持部材80によってサンドイッチされた状態に保持することができる。
支持部材80については発泡ウレタン以外にもフォームメルト等の発泡系接着剤を内箱22或いは真空断熱材50eに直接塗布したり、ブロック状に成形したスチロフォームや硬質ウレタンフォーム等の発泡断熱材等を内箱22或いは真空断熱材50eに配置してもよい。樹脂材料からなる成形品等を予め内箱22に嵌め込みや接着等で配置してもよい。
以上説明した真空断熱材50の冷蔵庫への組み込みによって、真空断熱材は外箱と内箱から離れた状態で設置されることとなり、真空断熱材によるヒートブリッジによる断熱性能の低下を回避することができ、さらに支持手段80によって真空断熱材が内箱と一定の間隔を保持しているので、発泡ウレタンの発泡立ち上がりに伴う真空断熱材の内箱方向への剥がれを防止することができる。
真空断熱材の組み込みが完了した後に、図7に示すように、発泡ウレタンを注入した結果、外箱21eと真空断熱材50eの間および内箱22と真空断熱材50eのそれぞれの空間には、未充填部(ボイド)部は確認されず、発泡ウレタン23が均一に充填されていることを確認した。
第1の実施形態に係る冷蔵庫の断熱性能を測定した結果、後述する比較例1(対比する基準となる構成例)を100(指数)とした場合、96(数値が小さい方が高断熱性能を表す)となり、真空断熱材50eを発泡ウレタン23の略中間に配置することで、断熱性能が約4%改善することを確認した。
「第2の実施形態」
次に、本発明の第2の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫におけるスペーサの構造について、図8を参照しながら以下説明する。図8は第2の実施形態に関するスペーサの外箱に対する配置と発泡ウレタンの発泡方向を示す図である。第2の実施形態においても、図1、図3、図4、図5及び図7で説明した第1の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫の構造については同様であるので、この構造を援用する。
次に、本発明の第2の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫におけるスペーサの構造について、図8を参照しながら以下説明する。図8は第2の実施形態に関するスペーサの外箱に対する配置と発泡ウレタンの発泡方向を示す図である。第2の実施形態においても、図1、図3、図4、図5及び図7で説明した第1の実施形態に係る真空断熱材を備えた冷蔵庫の構造については同様であるので、この構造を援用する。
図8において、第2の実施形態に用いたスペーサ71は、発泡ウレタン23と同じものを予め図示しない成形型で所定の形状に成形したもので、第1の実施形態のスペーサ70と同様に連続した平面からなる接着面71a,71bを有し、発泡ウレタン23との接着を強固にするため、発泡方向23bと同方向に貫通しない略溝部(不図示)を設けてもよい。図8(a)に示すスペーサ71の具体例は、レール状のH形断面形状ではなくて、製作上の簡易性から矩形断面の形状を形成している。
第2の実施形態のスペーサ71については真空断熱材50eや外箱21eと接着しやすいように、少なくとも接着面71a,71bの表面はスキン層を形成していることが好ましい。それ以外の仕様については第1の実施形態と同様である。スペーサ71については硬質ウレタンフォームに限定するものではなく、スチロフォーム、フェノールフォーム、その他、断熱効果のあるものであれば使用することができる。取扱い性やコスト面を考慮すると、好ましくは発泡系の断熱部材がよい。また、スペーサ71の形状については、図8(b)に示すように、発泡ウレタン23の発泡方向23bに対して傾斜した傾斜面72cを有するスペーサ72や、図8(c)のようなH形断面のスペーサ73でもよい。
上述した仕様のスペーサを用いて、発泡ウレタン23を注入した結果、外箱21eと真空断熱材50eの間および内箱22と真空断熱材50eのそれぞれの空間に、未充填部(ボイド) 部は確認されず、第1の実施形態と同様に発泡ウレタン23が均一に充填されていることを確認した。第2の実施形態を採用した冷蔵庫の断熱性能を測定した結果、後述する比較例1を100(指数)とした場合、95となり良好な結果が得られた。
「本実施形態と対比すべき基準となる比較例1」
上述した本発明の第1と第2の実施形態と対比すべき断熱性能に関する基準の比較例1について、図9を参照しながら説明する。図9は本発明の実施形態と対比すべき断熱性能に関する基準の比較例1を示す図であり、X−X線の切断図である。
上述した本発明の第1と第2の実施形態と対比すべき断熱性能に関する基準の比較例1について、図9を参照しながら説明する。図9は本発明の実施形態と対比すべき断熱性能に関する基準の比較例1を示す図であり、X−X線の切断図である。
比較例1に示す冷蔵庫は、本発明の第1の第2の実施形態において、両側面である外箱21eの真空断熱材50eはスペーサ70を使用せずに、従来技術のように、外箱21eの内面にホットメルト接着剤で直接貼り付け、内箱22には支持部材80を設けない構造とした。それ以外は全て第1と第2の実施形態と同じ仕様とした。
以上の仕様で発泡ウレタンを充填した結果、真空断熱材50eと内箱22の間には未充填部(ボイド)部は確認されず、発泡ウレタンが均一に充填されていることを確認し、未充填部効果には問題はないが、比較例1の冷蔵庫の断熱性能については、前述の通り100(指数)である(基準値とする)。
「本実施形態と対比すべき基準となる比較例2」
図10は本発明の実施形態と対比すべき断熱性能に関する比較例2を示す図であり、ブロック状にスペーサを配列した配置図である。比較例2として示す冷蔵庫は、本発明の第1の第2の実施形態において採用した、真空断熱材50eを固定するスペーサ70の代わりに、図10の図示するようにスチロフォームからなるブロック材75を複数用い、第1と第2の実施形態と同様に真空断熱材50eに図示しないホットメルト接着剤を用いて貼り付けた後、外箱21eに接着配置した。そして、内箱22側には支持部材80を設けない仕様とした。それ以外は全て第1と第2の実施形態と同じとした。
図10は本発明の実施形態と対比すべき断熱性能に関する比較例2を示す図であり、ブロック状にスペーサを配列した配置図である。比較例2として示す冷蔵庫は、本発明の第1の第2の実施形態において採用した、真空断熱材50eを固定するスペーサ70の代わりに、図10の図示するようにスチロフォームからなるブロック材75を複数用い、第1と第2の実施形態と同様に真空断熱材50eに図示しないホットメルト接着剤を用いて貼り付けた後、外箱21eに接着配置した。そして、内箱22側には支持部材80を設けない仕様とした。それ以外は全て第1と第2の実施形態と同じとした。
以上の仕様で発泡ウレタンを注入した結果、発泡ウレタンが真空断熱材50eと外箱21eの間のブロック材75が比較的少なく配置された部分に多く流れてしまい、発泡ウレタン23の発泡圧で真空断熱材50eが内箱22側に押され、ブロック材75から剥がれてしまった(支持部材が内箱との間に介在していないので)。これにより真空断熱材50eは内箱22と接触し、この部分に大きな未充填部(ボイド)部が発生したため、発泡ウレタン23を均一に充填することができなかった。その後、同じ仕様で何度か試したが、発泡ウレタン23の注入配分や注入量を調整することで未充填部(ボイド)発生を防止できる場合もあったが、ウレタン充填不良の発生頻度が多く、不安定な結果となった。
比較例2で未充填部(ボイド)部がない冷蔵庫の断熱性能については、比較例1を100(指数)とした場合102となった。多数のブロック材75を使用したことにより、発泡ウレタンの流動を阻害したため、断熱性能を悪化させたものと考えられる。
「第3の実施形態」
次に、第3の実施形態に関するスペーサの形状と放熱パイプとの関連構造並びに配置構造について、図11と図12を参照しながら以下説明する。第3の実施形態に用いたスペーサ77は、図11(a)に示すように、第1の実施形態のスペーサ70に放熱パイプ90が当接しないように逃げ溝を設けたものである。図11(b)に示すように、外箱21eの内面にアルミテープ91で固定された放熱パイプ90の投影面上にスペーサ77を設置することができるように、接着面77bに放熱パイプ90用の逃げ溝77cを設けた。溝77cについては、放熱パイプ90の直径よりも広い幅と高さとして、発泡ウレタン23が放熱パイプ23と溝77cの間を流動して埋まるように設定した。放熱パイプ90については図示の通り数回曲げた全長が長いものを使用した。それ以外については第1の実施形態と同じ仕様とした。
次に、第3の実施形態に関するスペーサの形状と放熱パイプとの関連構造並びに配置構造について、図11と図12を参照しながら以下説明する。第3の実施形態に用いたスペーサ77は、図11(a)に示すように、第1の実施形態のスペーサ70に放熱パイプ90が当接しないように逃げ溝を設けたものである。図11(b)に示すように、外箱21eの内面にアルミテープ91で固定された放熱パイプ90の投影面上にスペーサ77を設置することができるように、接着面77bに放熱パイプ90用の逃げ溝77cを設けた。溝77cについては、放熱パイプ90の直径よりも広い幅と高さとして、発泡ウレタン23が放熱パイプ23と溝77cの間を流動して埋まるように設定した。放熱パイプ90については図示の通り数回曲げた全長が長いものを使用した。それ以外については第1の実施形態と同じ仕様とした。
以上の仕様で発泡ウレタンを充填した結果、外箱21eと真空断熱材50eの間および内箱22と真空断熱材50eの間、さらには放熱パイプ90の周囲のそれぞれには未充填部(ボイド)部は確認されず、発泡ウレタンが均一に充填されていることを確認した。
第3の実施形態の冷蔵庫の断熱性能を測定した結果、比較例1を100(指数)とした場合96となり、実施例1と同様の効果が得られた。また、1年相当経過後に断熱性能を測定した結果、指数99を示した。
「本実施形態と対比すべき基準となる比較例3」
図13は本発明の実施形態と対比すべき断熱性能に関する比較例3を示す図であり、真空断熱材の周辺に放熱パイプを配列した配置図である。比較例3は前述の比較例1と同じく両側面である外箱21eに真空断熱材50eをホットメルト接着剤で直接貼り付け、内箱22には支持部材80を設けない仕様とし、真空断熱材50eの周囲に放熱パイプ90を図示の如く配置した。それ以外は第1の実施形態と同じ仕様とした。
図13は本発明の実施形態と対比すべき断熱性能に関する比較例3を示す図であり、真空断熱材の周辺に放熱パイプを配列した配置図である。比較例3は前述の比較例1と同じく両側面である外箱21eに真空断熱材50eをホットメルト接着剤で直接貼り付け、内箱22には支持部材80を設けない仕様とし、真空断熱材50eの周囲に放熱パイプ90を図示の如く配置した。それ以外は第1の実施形態と同じ仕様とした。
以上の仕様で発泡ウレタンを充填した結果、外箱21eと真空断熱材50eの間および内箱22と真空断熱材50eの間、さらには放熱パイプ90の周囲のそれぞれには未充填部(ボイド)部は確認されず、発泡ウレタンが均一に充填されていることを確認した。比較例3の冷蔵庫の断熱性能を測定した結果、比較例1と同等であった。また、1年相当経過後に断熱性能を測定した結果、指数107を示した。
以上説明した本発明の第1、第2及び第3の実施形態と比較例1,2,3とを対比した件を取り纏めると次のようになった。本実施形態と比較例の消費電力についてみると、これらの冷蔵庫の消費電力量を測定した結果、比較例1を100(指数)とした場合、第1の実施形態が90、第2の実施形態が89、第3の実施形態が85、比較例2が106、比較例3が103となった。第3の実施形態については、放熱パイプ90を配置した結果、放熱性が向上した効果により消費電力量が低減し、省エネ性で優位であることが確認できた。また、第3の実施形態と比較例3の1年相当経過後の断熱性能から、真空断熱材と放熱パイプが近接して配置された場合、真空断熱材が放熱パイプの熱影響により断熱性能が悪化している傾向が見られるが、第3の実施形態のように一定距離を維持し、放熱パイプが発泡ウレタンで断熱されることによって真空断熱材に与える熱影響の度合いが軽減されるため断熱性能の経時劣化を抑制しているといえる。
従来技術のように、スペーサを外箱にのみ設置して真空断熱材を配置したのでは発泡ウレタンの発泡圧で真空断熱材が剥がされ、ウレタンの未充填部(ボイド)の発生等の不具合発生頻度が高いものとなっていたのに対して、本実施形態に係る冷蔵庫は、真空断熱材を発泡ウレタンの略中間にスペーサと支持部材によって配置することで、真空断熱材特有のヒートブリッジ影響を低減することができ、断熱性能の良好な省エネ冷蔵庫を提供できるものである。本実施形態のように、真空断熱材の固定部材が連続した平面からなる接着面を有する形状にしたことで、組み立て作業性が飛躍的に向上し、組み立てにかかる工数低減によるコスト低減に効果を発揮するものである。具体的には、真空断熱材を配置する際、スペーサにおける真空断熱材および外箱との接着面を連続した平面とすることで、接着面積を大きくすることができるため、スペーサと真空断熱材および外箱との接着を強固にすることを可能とし、接着面が連続した平面であるため、接着剤塗布作業や貼付け作業がしやすくなる。さらに、内箱側又は真空断熱材の内箱側の面に、支持部材を配置することによって、スペーサと支持部材により真空断熱材がサンドイッチされる構造がとれるため、発泡圧によって真空断熱材が剥がされることはないという効果が期待できる。
また、真空断熱材の投影面内に放熱パイプを配置しても、真空断熱材が熱による断熱性能の悪化等を生じさせない距離を確保できる逃げ溝付きのスペーサを採用したことによって、放熱特性が大幅に向上し、より省エネを実現できる冷蔵庫を提供できるものである。本実施形態は冷蔵庫のみならず、断熱材を必要とする製品、機器、住宅・建物及び自動車や電車等の車両分野にも広く適用できる。
1;冷蔵庫、2;冷蔵室、3a;製氷室、3b;上段冷凍室、4;下段冷凍室、5;野菜室、6a;冷蔵室扉、6b;冷蔵室扉、7a;製氷室扉、7b;上段冷凍室扉、8;下段冷凍室扉、9;野菜室扉、
10;扉用ヒンジ、11;パッキン、12,14;断熱仕切り、13;仕切り部材、20;箱体、21;外箱、21a;天板、21b;後板、21d;底板、21e;側面、21f;前面、22;内箱、23;断熱材、23a;注入方向、23b;発泡方向、25;注入孔、27;送風機、28;冷却器、
30;圧縮機、31;凝縮機、33;発泡ポリスチレン、40;凹部、41;電気部品、42;カバー、50,50a,50b,50c,50d,50e;真空断熱材、51;芯材、52;内包材、53;外被材、54;吸着剤、
70;スペーサ、70a,70b;接着面、70c;柱状部、71;スペーサ、71a,71b;接着面、72;スペーサ、72c;傾斜部、73;スペーサ、75;ブロック材、77;スペーサ、77c;溝部、80;支持部材、90;放熱パイプ、91;アルミテープ
10;扉用ヒンジ、11;パッキン、12,14;断熱仕切り、13;仕切り部材、20;箱体、21;外箱、21a;天板、21b;後板、21d;底板、21e;側面、21f;前面、22;内箱、23;断熱材、23a;注入方向、23b;発泡方向、25;注入孔、27;送風機、28;冷却器、
30;圧縮機、31;凝縮機、33;発泡ポリスチレン、40;凹部、41;電気部品、42;カバー、50,50a,50b,50c,50d,50e;真空断熱材、51;芯材、52;内包材、53;外被材、54;吸着剤、
70;スペーサ、70a,70b;接着面、70c;柱状部、71;スペーサ、71a,71b;接着面、72;スペーサ、72c;傾斜部、73;スペーサ、75;ブロック材、77;スペーサ、77c;溝部、80;支持部材、90;放熱パイプ、91;アルミテープ
Claims (8)
- 外箱と内箱の間に発泡ウレタンと真空断熱材とを備えた冷蔵庫であって、
前記真空断熱材は、その一面にスペーサを介して前記外箱と離隔され、その他面に支持手段を介して前記内箱と離隔されて設置され、
前記真空断熱材と前記外箱の間、及び前記真空断熱材と前記内箱の間に前記発泡ウレタンが充填されている
ことを特徴とする冷蔵庫。 - 請求項1において、
前記スペーサは、前記真空断熱材及び前記外箱との接着面が連続した平坦面を形成し、
さらに、前記スペーサは、前記外箱と前記真空断熱材との間に設けられた注入口から底面へ前記発泡ウレタンが液流動する方向、及び前記底面から前記注入口の方向へ前記発泡ウレタンが発泡流動する方向において、前記液流動及び発泡流動を遮らない空間を確保できるように複数配列される
ことを特徴とする冷蔵庫。 - 請求項1または2において、
前記スペーサは、前記発泡ウレタンの流動方向に沿う平面に、固化した発泡ウレタンとの固着を強固にする表面形状を有することを特徴とする冷蔵庫。 - 請求項3において、
前記スペーサの平面には、前記平面を貫通する穴が前記流動方向に複数設けられることを特徴とする冷蔵庫。 - 請求項3において、
前記スペーサの平面には、前記流動方向に沿った溝が前記流動方向と交差する方向に複数設けられることを特徴とする冷蔵庫。 - 請求項1ないし5のいずれか1つの請求項において、
前記スペーサは、その断面形状が略H形を形成し、前記略H形における対向する平坦面が前記外箱と前記真空断熱材との接着面となる
ことを特徴とする冷蔵庫。 - 請求項6において、
前記平坦面の一方に溝又は凹部を設け、前記外箱に固定された放熱パイプを前記溝又は凹部に配設することを特徴とする冷蔵庫。 - 請求項1ないし7のいずれか1つの請求項において、
前記支持部材は、発泡系の材料からなり、前記真空断熱材の前記他面に又は前記内箱の外側面に配設されることを特徴とする冷蔵庫。
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