JP2018161905A - 車両におけるエンジン搭載部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンカバーをボンネットとは別に開閉自在としながら、ボンネットを閉めることに起因するエンジンカバーの破損を抑制することができる車両におけるエンジン搭載部構造を提供する。【解決手段】エンジンルーム内には、エンジンが搭載されている。エンジンの上方は、エンジンカバーにより覆われている。エンジンカバーは、開閉自在であって、開状態ではエンジンの上部が露出する。エンジンルームの開口部は、ボンネットにより覆われている。ボンネットも開閉自在であって、閉状態ではエンジンカバーを覆う。更に、ボンネット閉移行規制アクチュエータを備える。ボンネット閉移行規制アクチュエータは、前進/後退が自在のプランジャー451を有する。プランジャー451は、エンジンカバーが開状態である場合に前進状態となり、差込部材33がインナーパネル35の孔部35aから抜け出すのを抑制する。【選択図】図16

Description

本発明は、車両におけるエンジン搭載部構造に関し、特に、エンジンの上方を覆うエンジンカバーを有する車両におけるエンジン搭載部構造に関する。
従来から、エンジンルーム内において、エンジンの上方を覆うようにエンジンカバーが配される場合がある。このようなエンジンカバーの構造が、特許文献1,2に開示されている。
特許文献1では、ボンネットの内面側に対して、支持部材を介して固定されたエンジンカバーが開示されている。特許文献1では、該構造を採用することにより、エンジンと間隙を開けた状態でエンジンカバーを配置することができ、エンジンの振動がエンジンカバーに伝わるのを抑制し、騒音の低減を図ることができるとされている。
ところで、近年では、エンジンカバーにエンジンの保温機能が求められる場合がある。このような場合には、ボンネットを開ける際にも、エンジンをエンジンカバーで覆った状態を保持しておく必要が生じる場合がある。
このような要望に対して、特許文献2に開示されたエンジンカバーを採用することができるとも考えられる。特許文献2に開示のエンジンカバーは、ボンネットには固定されておらず、シリンダヘッドカバーに対して、着脱自在の構成となっている。
ただし、特許文献2に開示された着脱方式のエンジンカバーの場合には、エンジンのメインテナンスの際などに、エンジンカバーの置き場に困る場合が生じる。よって、エンジンカバーについては、ボンネットとは別に開閉自在の構造としておくことが望ましい。
特開2004−352143号公報 特開2013−147939号公報
しかしながら、上記のように、エンジンカバーをボンネットとは別に開閉自在の構造とする場合には、エンジンカバーが開状態であるにも拘らず、誤ってボンネットを閉めてしまうと、エンジンカバーが破損してしまうことが懸念される。
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、エンジンカバーをボンネットとは別に開閉自在としながら、ボンネットを閉めることに起因するエンジンカバーの破損を抑制することができる車両におけるエンジン搭載部構造を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る車両におけるエンジン搭載部構造は、エンジンと、エンジンカバーと、ボンネットと、警報装置及び閉移行規制装置の少なくとも一方の装置と、を備える。
前記エンジンは、エンジンルーム内に搭載されている。
前記エンジンカバーは、開閉自在であって、閉状態において、前記エンジンを覆う。
前記ボンネットは、開閉自在であって、閉状態において、前記エンジンルームの開口部を塞ぐとともに前記エンジンカバーを覆う。
前記警報装置は、前記エンジンカバー及び前記ボンネットがともに開状態である場合において、前記ボンネットだけを閉めようとしたときに、当該閉めようとすることに対して警報を発する装置である。
前記閉移行規制装置は、前記エンジンカバー及び前記ボンネットがともに開状態である場合において、前記ボンネットが閉状態へ移行するのを規制する装置である。
上記態様に係る車両におけるエンジン搭載部構造では、警報装置及び閉移行規制装置の少なくとも一方の装置を備える。これにより、上記態様では、エンジンカバーが開状態であるにも拘らずボンネットを閉めようとした場合には、ユーザに対する警報、及びボンネットの閉移行の規制の少なくとも一方が実行される。
従って、上記態様では、エンジンカバーをボンネットとは別に開閉自在としながら、ボンネットを閉めることに起因するエンジンカバーの破損を抑制することができる。
本発明の別態様に係る車両におけるエンジン搭載部構造は、上記構成において、ボンネットステーを更に備える。
前記ボンネットステーは、棒状の部材であって、前記ボンネットのインナーパネルに設けられてなる孔部に対して先端部を差し込むことで、前記ボンネットの開状態を保持する。
また、本態様において、前記エンジンカバーは、カバーヒンジと、線状部材と、掛止部材と、を有する。
前記カバーヒンジは、前記車両の前方側又は後方側の内、前記ボンネットの開閉に係る支点が設けられた側と同じ側である一方側に設けられてなり、当該エンジンカバーの開閉に係る支点である。
前記線状部材は、前記車両の前方側又は後方側の内、前記一方側とは反対側である他方側から延設され、屈曲自在の部材である。
前記掛止部材は、前記線状部材の先端部分に取り付けられ、前記ボンネットのインナーパネルに掛止可能な部材である。
本態様に係る前記掛止部材は、前記インナーパネルに掛止された状態において、前記インナーパネルの前記孔部に差し込まれた前記ボンネットステーの先端部が、前記孔部から抜け出すのを抑制し、前記閉移行規制装置としての機能を兼ね備える。
上記態様では、閉移行規制装置としての機能を兼ね備える掛止部材をエンジンカバーが有する。このため、上記態様では、閉移行規制装置として別途の部材を設けることなく、ボンネットを閉めることに起因するエンジンカバーの破損を抑制することができる。
また、上記態様では、掛止部材とボンネットステーの先端部とが隣接した位置関係となるので、ユーザが誤ってボンネットを閉めようとした場合にあっても、視覚面でユーザに気付かせることもできる。
本発明の別態様に係る車両におけるエンジン搭載部構造は、上記構成において、ボンネット開閉状態検出部と、エンジンカバー開閉状態検出部と、コントローラと、を更に備える。
前記ボンネット開閉状態検出部は、前記ボンネットの開閉に係る状態を検出する。
前記エンジンカバー開閉状態検出部は、前記エンジンカバーの開閉に係る状態を検出する。
前記コントローラは、前記ボンネット開閉状態検出部での検出情報と、前記エンジンカバー開閉状態検出部での検出情報と、を逐次受け付ける。
また、本態様においては、前記警報装置及び前記閉移行規制装置の内、少なくとも前記閉移行規制装置を備える。
本態様に係る前記コントローラは、受け付けた前記エンジンカバー開閉状態検出部からの検出情報から、前記エンジンカバーが開状態であり、受け付けた前記ボンネット開閉状態検出部からの検出情報から、前記ボンネットが開状態から閉状態へ移行されようとしていると判断した場合に、前記閉移行規制装置に対して、前記ボンネットが閉状態へ移行するのを規制するよう指令する。
上記態様では、コントローラが、エンジンカバー開閉状態検出部及びボンネット開閉状態検出部からの両検出情報に基づいて、エンジンカバーが開状態であるにも拘らず、ボンネットが閉状態へ移行されようとしていると判断した場合に、閉移行規制装置に対して上記指令を発するので、ボンネットを閉めることに起因するエンジンカバーの破損を抑制することができる。
本発明の別態様に係る車両におけるエンジン搭載部構造は、上記構成において、ボンネットステーを更に備える。
前記ボンネットステーは、棒状の部材であって、前記ボンネットのインナーパネルに設けられてなる孔部に対して先端部を差し込むことで、前記ボンネットの開状態を保持する。
本態様に係る前記閉移行規制装置は、前進位置と後退位置とに変位自在なプランジャーを有するアクチュエータである。ここで、前記プランジャーの前記前進位置は、前記ボンネットステーの前記先端部が前記孔部から抜け出すのを抑制する一であり、前記プランジャーの前記後退位置は、前記前進位置から退避した位置である。
そして、本態様に係る閉移行規制装置が前記コントローラからの、前記ボンネットが閉状態へ移行するのを規制するようにとの指令を受け付けた場合に、当該閉移行規制装置は、前記プランジャーを前記前進位置に移動させる。
上記態様では、アクチュエータのプランジャーを前進位置に移動させて、ボンネットステーの抜け出しを抑制するので、ボンネットを閉めることに起因するエンジンカバーの破損を抑制することができる。
本発明の別態様に係る車両におけるエンジン搭載部構造は、前記閉移行規制装置に加えて前記警報装置も備える。
本態様に係る前記コントローラは、前記閉移行規制装置に対して前記ボンネットが閉状態へと移行するのを規制させている状態において、受け付けた前記ボンネット開閉状態検出部からの検出情報から、前記ボンネットが開状態から閉状態へ移行されようとしていると判断した場合に、前記警報装置に対して、前記ボンネットを閉めようとすることに対して警報を発するよう指令する。
上記態様では、エンジンカバーが開状態であるにも拘らず、ユーザが誤ってボンネットを閉めようとした場合には、コントローラが警報装置に対して警報を発するように指令するので、閉移行規制装置での閉規制に加え、警報によるユーザへの警告もなされる。よって、上記態様では、ボンネットを閉めることに起因するエンジンカバーの破損を更に確実に抑制することができる。
本発明の別態様に係る車両におけるエンジン搭載部構造は、上記構成において、ボンネット開閉状態検出部と、エンジンカバー開閉状態検出部と、コントローラと、を更に備える。
前記ボンネット開閉状態検出部は、前記ボンネットの開閉に係る状態を検出する。
前記エンジンカバー開閉状態検出部は、前記エンジンカバーの開閉に係る状態を検出する。
前記コントローラは、前記ボンネット開閉状態検出部での検出情報と、前記エンジンカバー開閉状態検出部での検出情報と、を逐次受け付ける。
また、本態様においては、前記警報装置及び前記閉移行規制装置の内、少なくとも前記警報装置を備える。
本態様に係る前記コントローラは、受け付けた前記エンジンカバー開閉状態検出部からの検出情報から、前記エンジンカバーが開状態であり、受け付けた前記ボンネット開閉状態検出部からの検出情報から、前記ボンネットが開状態から閉状態へ移行されようとしていると判断した場合に、前記警報装置に対して、前記ボンネットを閉めようとすることに対して警報を発するよう指令する。
上記態様では、エンジンカバーが開状態であるにも拘らず、ユーザが誤ってボンネットを閉めようとした場合には、コントローラが警報装置に対して警報を発するように指令するので、警報によりユーザに対して注意喚起がなされる。よって、上記態様では、ボンネットを閉めることに起因するエンジンカバーの破損を抑制することができる。
本発明の別態様に係る車両におけるエンジン搭載部構造は、上記構成において、前記エンジンカバー開閉状態検出部は、前記エンジンカバーが閉状態であることを検出する閉状態検出センサを有する。
上記態様では、閉状態検出センサにより、エンジンカバーが閉状態であるか否かを検出する。よって、エンジンカバーが少しでも空いている状態では、警報装置及び閉移行規制装置の少なくとも一方により、ボンネットを閉めるのが抑制されることとなる。
本発明の別態様に係る車両におけるエンジン搭載部構造は、上記構成において、前記閉状態検出センサは、前進/後退が自在のキーステムを有する押釦スイッチであり、前記エンジンカバーが閉状態の場合には、前記押釦スイッチにおけるキーステムが押し込まれることで後退した状態となっている。
上記態様では、押釦スイッチにより閉状態検出センサを構成しているので、簡易な構成を以って、確実にボンネットを閉めることに起因するエンジンカバーの破損を抑制することができる。
上記の各態様に係る車両におけるエンジン搭載部構造では、エンジンカバーをボンネットとは別に開閉自在としながら、ボンネットを閉めることに起因するエンジンカバーの破損を抑制することができる。
第1実施形態に係る車両1におけるエンジンルーム2内の一部構成を示す模式正面図である。 エンジンルーム2内の一部構成を示す模式斜視図である。 ボンネット4に対してボンネットステー5の差込部材13が差し込まれ、エンジンカバー3の掛止部材14が掛止された状態を示す模式斜視図である。 ボンネット4に対してボンネットステー5の差込部材13が差し込まれ、エンジンカバー3の掛止部材14が外された状態を示す模式斜視図である。 掛止部材14の構成を示す模式斜視図である。 (a)は、ボンネット4のインナーパネル15に対して掛止部材14を掛止する前の状態を示す模式断面図であり、(b)は、ボンネット4のインナーパネル15に対して掛止部材14が掛止された状態を示す模式断面図である。 (a)は、ボンネット4におけるインナーパネル15の孔部15aに対して差込部材13を差し込む前の状態を示す模式断面図であり、(b)は、ボンネット4におけるインナーパネル15の孔部15aに対して差込部材13が掛合された状態を示す模式断面図である。 (a)は、掛止部材14が掛止された状態での掛止部材14と差込部材13との配置関係を示す模式断面図であり、(b)は、掛止部材14が掛止されている状態で差込部材13をスライドさせた状態を示す模式断面図である。 第2実施形態に係る車両21におけるエンジンルーム22内の一部構成を示す模式斜視図である。 ブラケット37及びエンジンカバー開閉センサ38の構成を拡大して示す模式拡大斜視図である。 ブラケット37及びエンジンカバー開閉センサ38の構成を示す模式断面図である。 (a)は、カバーロック部材36を上方から見た模式平面図であり、(b)は、開状態でのカバーロック部材36の状態を示す模式断面図であり、(c)は、閉状態でのカバーロック部材36の状態を示す模式断面図である。 (a)は、エンジンカバー23を閉める前の状態でのブラケット37及びカバーロック部材36の状態を示す模式断面図であり、(b)は、閉状態でのカバーロック部材36とブラケット37及びエンジンカバー開閉センサ38との状態を示す模式断面図である。 ボンネット24の開閉機構を示す模式側面図である。 (a)は、インナーパネル35に対するボンネット閉移行規制アクチュエータ45の取り付け形態を示す模式平面図であり、(b)は、インナーパネル35に対するボンネット閉移行規制アクチュエータ45の取り付け形態を示す模式断面図である。 (a)は、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45のプランジャー451が前進した状態にある場合を示す模式断面図であり、(b)は、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45のプランジャー451が後退した状態にある場合を示す模式断面図である。 エンジンカバー23及びボンネット24の開閉に係る制御システムを示す模式ブロック図である。 コントローラ46が実行する制御方法を示すフローチャートである。
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一態様であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
ここで、本明細書においては、「掛止」との用語について、物と物とが、間に隙間が残った状態で互いに引っ掛けられた場合と、実質的に隙間がない状態で互いに引っ掛けられた場合と、の両場合を含むものとして用いる。
[第1実施形態]
1.車両1におけるエンジンルーム2内の概略構成
本実施形態に係る車両1におけるエンジンルーム2内の概略構成について、図1及び図2を用い説明する。
図1に示すように、車両1におけるエンジンの搭載部であるエンジンルーム2には、エンジンの上方を覆うエンジンカバー3が設けられている。また、エンジンルーム2の上方開口は、ボンネット4を閉状態とすることで塞がれるようになっている。ボンネット4の開閉に係る支点については、図1及び図2では図示を省略しているが、エンジンルーム2の後方側に配されている。即ち、本実施形態において、ボンネット4は、エンジンルーム2の後方側に設けられた支点を中心に、前部が開閉する構成となっている。
ここで、ボンネット4を開状態で保持するための機構として、ボンネットステー5が設けられている。ボンネットステー5は、ステー支持部材9によりシュラウド6に取り付けられている。そして、ボンネットステー5の先端部をボンネット4のインナーパネルに開けられた孔部(図1では、図示を省略。)に差し込むことで、ボンネット4の開状態が保持される。
エンジンカバー3についても、開閉に係る支点として、エンジンルーム2の後方側の部分にカバーヒンジ8が設けられている。よって、エンジンカバー3についても、後部のカバーヒンジ8を支点として前部が開閉する構成となっている。
また、エンジンカバー3には、前部(前方側の部分)に紐部材7が取り付けられている。紐部材7は、エンジンカバー3を開状態で保持するため、先端に取り付けられた掛止部材(図1では、詳細な図示を省略。)でボンネット4のインナーパネルに掛止可能となっている。
そして、本実施形態では、ボンネットステー5の差し込み位置と、エンジンカバー3の掛止部材の掛止位置とは、互いに隣接している(矢印Aで指し示す部分を参照)。
図2に示すように、エンジンカバー3は、エンジン10の上方を覆い、ボンネット4(図2では、図示を省略。)とともに閉状態の場合には、ボンネット4とエンジン10のエンジンヘッドとの間に配置され、エンジン10及びボンネット4のそれぞれと間隙をあけて配されている。
なお、エンジンカバー3のカバーヒンジ8については、車幅方向の両端部分のそれぞれに2つ設けられている。そして、エンジンカバー3は、当該カバーヒンジ8により車体に取り付けられている。
なお、図2に示すように、本実施形態では、エンジン10の側方がサイドカバー11により覆われ、後方がバックカバー12により覆われている。これにより、エンジン10の保温がなされるようになっている。なお、これらサイドカバー11及びバックカバー12についても、車体に取り付けられている。
2.ボンネットステー5と掛止部材14
ボンネット4のインナーパネル15に対するボンネットステー5の差し込みと、エンジンカバー3における掛止部材14の掛止について、図3及び図4を用い説明する。図3は、ボンネットステー5の先端部を差し込み、掛止部材14を掛止した状態を示し、図4は、ボンネットステー5の先端部を差し込み、掛止部材14の掛止を解除した状態を示す。
先ず、図4に示すように、ボンネット4を開け、当該開状態を保持しようとする場合には、ボンネットステー5の先端部である差込部材13をボンネット4のインナーパネル15に開けられた孔部15aに差し込む。孔部15aは、上下方向(閉状態では、前後方向)に長軸を有する長穴となっている。
なお、図3及び図4においては、インナーパネル15の一部だけを図示している。
図4に示すように、孔部15aに隣接する部分に、掛止部材14を掛止するための孔部15b,15cが開けられている。孔部15b,15cは、ともに上下方向(閉状態では、前後方向)に長軸を有する長穴である。
なお、ボンネット4を開状態で保持している場合においては、差込部材13は孔部15aに対して上側縁で引っ掛かった状態となっている。
次に、図3に示すように、紐部材7の先端に取り付けられた掛止部材14は、孔部15b,15cに掛止される。この状態は、図1に示すように、エンジンカバー3が開状態の場合であって、当該開状態を保持しようとする場合である。
図3に示すように、孔部15b,15cと孔部15aとは隣接して設けられているため、掛止部材14は、掛止状態において、差込部材13と隣接した位置に配されることになる。
本実施形態において、掛止部材14を係止させた状態では、差込部材13の一部が掛止部材14の一部とインナーパネル15との間の挟まれた位置関係となる。これにより、エンジンカバー3が開状態である場合には、メインテナンスを行うユーザなどに対して、視覚的な効果により、エンジンカバー3が開状態であるにも拘らず、誤ってボンネット4を閉めないように注意喚起することができる。
3.掛止部材14の構成
掛止部材14の構成について、図5を用い説明する。図5は、掛止部材14の構成を示す模式斜視図である。
図5に示すように、掛止部材14は、金属材料からなる板状部材が切削加工及び曲折加工されることにより形成されている。掛止部材14には、紐部材7を取り付けるための孔部14aが−Z側の部分に形成されている。
孔部14aが設けられた部分よりも+Z側の部分には、ユーザが把持するための把持部14dが突設されている。把持部14dは、ユーザが操作し易いように、X−Z面に対して傾斜した状態で形成されている。
把持部14dが突設された部分に対して、Z方向の上下部分には、+Y側に突出する掛止部14b,14cが設けられている。掛止部14b,14cは、インナーパネル15に開けられた孔部15b,15cに掛止するための鍵状の部分であって、側面視において逆T字形状をしている。
掛止部材14における把持部14dが突設されたのとはX方向の反対側の辺からは、−X側に向けて2つの突起部14e,14fが設けられている。突起部14eと突起部14fとは、Z方向に間隔G14をあけて設けられている。
なお、掛止部材14の各コーナー部分は、ユーザが操作する際を考慮して、Cカット加工又はR加工が施されている。
また、把持部14dが突設される基部に対して、突起部14e,14fが突設される基部は、クランク状に曲折加工され、−Y側に配されている。これは、図3に示した状態において、差込部材13の一部をインナーパネル15との間で挟むためである。
4.掛止部材14の掛止
ボンネット4におけるインナーパネル15に対するエンジンカバー3における掛止部材14の掛止について、図6を用い説明する。図6(a)は、インナーパネル15の孔部15b,15cに対して掛止部材14を掛止する前の状態を示し、図6(b)は、インナーパネル15の孔部15b,15cに対して掛止部材14を掛止した後の状態を示す。
図6(a)に示すように、インナーパネル15の孔部15b,15cに対して掛止部材14を掛止しようとする場合には、ユーザは把持部14d(図5を参照。)を把持しながら、インナーパネル15に開けられた孔部15b,15cに掛止部14b,14cを差し込む。そして、二点鎖線の矢印で示すように、掛止部材14をインナーパネル15に沿って斜め下方にスライドさせる。
掛止部材14のスライドにより、図6(b)に示すように、掛止部材14の掛止部14b,14cが、孔部15b,15cの各縁部に掛止される。
5.インナーパネル15の孔部15aへの差込部材13の掛合
ボンネット4におけるインナーパネル15の孔部15aへの差込部材13の掛合について、図7を用い説明する。図7(a)は、インナーパネル15の孔部15aに対して差込部材13を掛合する前の状態を示し、図7(b)は、インナーパネル15の孔部15aに対して差込部材13を掛合した後の状態を示す。
先ず、図7(a)に示すように、ボンネットステー5の先端に設けられた差込部材13は、胴部13aと、頭部13bと、内縁部13cと、が一体形成されてなる。胴部13aは、筒形状をしており、筒内方にボンネットステー5の先端が挿入されている。
頭部13bは、胴部13aよりも孔部15aの長手方向に沿った方向でのサイズが大きくなっており、全体としてハンマーの頭部分と同様の形状をしている。ボンネットステー5の延伸方向の一方から見るとき、頭部13aは、長方形状又は長円形状を有している。
内縁部13cは、ボンネットステー5の延伸方向において、頭部13bに対して間隙をあけた状態で設けられている。内縁部13cも、ボンネットステー5の延伸方向の一方から見るとき、長方形状又は長円形状を有している。そして、差込部材13において、頭部13bと内縁部13cとの間には、溝部13dが設けられている。溝部13dの溝幅は、インナーパネル15の板厚と同じか、若干広く設定されている。
インナーパネル15の面に沿った方向において、孔部15aのサイズ、頭部13bのサイズ、及び内縁部13cのサイズは、次の関係を有する。
[数1]L15>L13b≧L13c
ユーザは、インナーパネル15の孔部15aに対して差込部材13の頭部13bを差し込もうとする場合には、ボンネット4とボンネットステー5とを持ちながら、孔部15aに差込部材13の頭部13bを合せる。そして、図7(a)に二点鎖線の矢印で示すように、孔部15aに対して頭部13bを差し込む。その後、ボンネット5を支えていた手を離すことで、差込部材13に対してインナーパネル15が相対的に斜め下方に下降する。このとき、差込部材13における内縁部13cは、その一部がインナーパネル15の外面(閉状態でエンジンルーム2側を向く面)の孔部15aの縁に当接した状態となる。
図7(b)に示すように、差込部材13における頭部13bと内縁部13cとの間の溝部13dに対して、インナーパネル15の孔部15aを臨む上側縁部が掛合する。
以上のようにして、インナーパネル15の孔部15aへの差込部材13の掛合がなされる。
6.差込部材13と掛止部材14との関係
ボンネット4及びエンジンカバー3をともに開状態で保持しようとする場合には、上述のように、インナーパネル15に対して差込部材13及び掛止部材14を掛止させる。このときの差込部材13と掛止部材14との位置関係について、図8を用い説明する。
図8(a)は、掛止部材14が掛止された状態での掛止部材14と差込部材13との配置関係を示す図であり、図8(b)は、掛止部材14が掛止されている状態で差込部材13をインナーパネル15に対して相対移動(スライド)させた状態を示す図である。
図8(a)に示すように、ボンネット4及びエンジンカバー3が開状態で保持されている場合には、差込部材13の内縁部13cの上側部分がインナーパネル15と突起部14fとで挟まれた状態となっている(矢印Bで指し示す部分を参照)。この状態においては、ユーザに対して、視覚面でエンジンカバー3が開状態にあることについての注意喚起がなされることになる。
次に、図8(b)に示すように、ユーザがボンネット4を持ち上げ、孔部15aから差込部材13を抜こうとした場合には、未だ取り外されていない掛止部材14の突起部14eとインナーパネル15とにより差込部材13の内縁部13cの下側部分が挟まれた状態となる(矢印Cで指し示す部分を参照)。このように、エンジンカバー3が開状態であるにも拘らず、ユーザがボンネット4を閉めようとした場合には、掛止部材14の突起部14eにより差込部材13が孔部15aから抜けるのが抑制される(閉移行規制装置として機能)。
7.効果
本実施形態では、ボンネット4のインナーパネル15に対する掛止部材14の掛止位置を、ボンネットステー5の差込部材13の差し込みに係る孔部15aに隣接した位置としている。このため、本実施形態では、エンジンカバー3が開状態であるにも拘らず、ユーザが誤ってボンネット4を閉めようとしても、ボンネットステー5を外す前に気付かせることが可能となっている。
よって、本実施形態では、エンジンカバー3が開状態であるにも拘らず、ユーザが誤ってボンネット4を閉めようとしても、視覚面でエンジンカバー3が開状態であることを気付かせることができ、ボンネット4を閉めることに起因するエンジンカバー3の破損などを抑制することができる。
また、本実施形態では、掛止部材14が突起部14eを有するので、エンジンカバー3が開状態である場合に、誤ってボンネット4を閉めようとしても、ボンネットステー5を外すことが抑制され、ボンネット4を閉めることが防がれる。換言すると、本実施形態における掛止部材14は、ボンネット4の閉移行を規制する閉移行規制装置として機能する。
よって、本実施形態では、更に確実にエンジンカバー3の破損などを抑制することができる。また、掛止部材14に突起部14eを設けるという簡易な構成を以って、確実にエンジンカバー3の破損を抑制することができる。
[第2実施形態]
1.エンジンルーム22内の概略構成
本実施形態に係る車両21におけるエンジンルーム22の概略構成について、図9を用い説明する。図9は、車両21におけるエンジンルーム22内の一部構成を示す模式斜視図であって、ボンネットやエンジンの図示を省略している。
図9に示すように、車両21におけるエンジンの搭載部であるエンジンルーム22内には、エンジンの上方を覆うエンジンカバー23が設けられている。エンジンは、側方がサイドカバー31で覆われ、後方がバックカバー(図示を省略。)で覆われている。
また、図示を省略しているが、エンジンルーム22の上方開口は、ボンネットを閉状態とすることで塞がれるようになっている。これらについては、上記第1実施形態と同様である。
本実施形態においても、ボンネットの開閉に係る支点は、エンジンルーム22の後方側に配されている。即ち、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、ボンネットは、エンジンルーム22の後方側に設けられた支点(実際には、4節リンク機構により支持。)を中心に、前部が開閉する構成となっている。
図9に示すように、本実施形態に係る車両21においても、ボンネットと開状態で保持するための機構として、ボンネットステー25が設けられている。ボンネットステー25は、ステー支持部材29によりシュラウド26に取り付けられている。
ボンネットステー25の先端部には、上記第1実施形態と同様に、差込部材33が設けられている。
エンジンカバー23についても、上記第1実施形態と同様に、エンジンルーム22の後方側に設けられたカバーヒンジ(図示を省略。)により開閉自在の状態で支持固定されている。そして、エンジンカバー23の前部には、当該エンジンカバー23を閉状態で保持しておくためにカバーロック部材36が設けられている(矢印Dで指し示す部分)。
なお、図9などでは図示を省略しているが、本実施形態に係るエンジンカバー23においても、前部に紐部材が取り付けられ、その先端部に掛止部材が取り付けられている。これより、本実施形態に係るエンジンカバー23も、掛止部材をボンネットに引っ掛けることにより開状態が保持できるようになっている。
ただし、本実施形態では、掛止部材の掛止位置と、ボンネットステー25における差込部材33の差込位置とは、必ずしも隣接している必要はない。
2.カバーロック部材36とブラケット37の構成
エンジンカバー23が閉状態である場合に、当該閉状態を保持するために設けられているカバーロック部材36と、これを受けるブラケット37の構成について、図10から図13を用い説明する。図10は、ブラケット37及びその周辺部の構成を示す模式斜視図であり、図11は、ブラケット37及びその周辺部の構成を示す模式断面図である。
また、図12は、(a)がカバーロック部材36を上方から見た模式平面図であり、(b)が開状態でのカバーロック部材36を示す模式断面図であり、(c)が閉状態でのカバーロック部材36を示す模式断面図である。図13は、(a)が開状態でのカバーロック部材36とブラケット37を示す模式断面図であり、(b)が閉状態でのカバーロック部材36とブラケット37を示す模式断面図である。
先ず、図10に示すように、ブラケット37は、シュラウド26の後端側の部分から、後方側に向けて延設された枠体である。ブラケット37には、カバーロック部材36の挿入部分にエンジンカバー開閉センサ38が取り付けられている。
図11に示すように、ブラケット37は、前方側の部分である根元部37aと、後方側の部分である上板部37bと、を有する。根元部37a及び上板部37bは、ともに板状部分である。根元部37aは下方側に設けられ、上板部37bは上方側に設けられている。
カバーロック部材36の挿入を受け入れる孔部37cは、根元部37aと上板部37bとの間に設けられている。
なお、ブラケット37において、上板部37bの下方は空間があいた状態となっている(下空間37d)。
エンジンカバー開閉センサ38は、ブラケット37に対して、孔部37cの底部側に取り付けられている。エンジンカバー開閉センサ38は、センサ本体380とキーステム381とを有する押釦スイッチである。エンジンカバー開閉センサ38からは、エンジンカバー23の開閉状態に係る情報を出力するための信号線39が延出されている。
次に、図12(b)、(c)に示すように、カバーロック部材36は、胴部36aと、操作部36bと、ベース部36cと、フック部36dと、を有してなる。カバーロック部材36は、軸芯Ax36回りに回転自在となっている。
胴部36aは、エンジンカバー23をその厚み方向に挿通している。操作部36bは、胴部36aの上部に一体に設けられている。図12(a)に示すように、操作部36bは、ユーザがカバーロック部材36を回転させようとする際に操作する部分である。
ベース部36cは、胴部36aの中間部分に一体に設けられている。ベース部36cは、操作部36bとでエンジンカバー23を厚み方向に挟み込む状態となっている。
図12(b)、(c)に示すように、フック部36dは、胴部36aの下部に一体に設けられている。フック部36dは、一端部分が胴部36aの径方向外側へと突設されている。そして、ユーザが操作部36bを操作することにより、図12(b)で示す状態(開状態)と、図12(c)で示す状態(閉状態)と、を選択的に切り替えられるようになっている。
次に、図13(a)に示すように、ユーザがエンジンカバー23を閉めようとした場合には、カバーロック部材36を開状態として、カバーロック部材36の下端部(フック部36dが設けられた部分)を孔部37cに侵入させてゆく。
なお、カバーロック部材36の侵入前の状態では、エンジンカバー開閉センサ38のキーステム381は上方に前進した状態となっており、エンジンカバー23が開状態であることを検出している。
図13(b)に示すように、エンジンカバー23の下面部がブラケット37の上板部37bの上面部に当接するまで、カバーロック部材36を侵入させる。そして、ユーザが操作部36bを回転させることで、フック部36dも回転し、その先端部分が上板部37bの下面部37eに掛止される。
図13(b)に示す状態において、エンジンカバー開閉センサ38のキーステム381は押し込まれて後退した状態となり、エンジンカバー23が閉状態であることを検出する。
なお、本実施形態では、エンジンカバー23の閉状態を維持するために2つのカバーロック部材36を設けているが、両方を上記のように閉検出ができる構成とすることもできるし、一方だけを上記のように閉検出ができる構成とすることもできる。
3.ボンネット24の開閉機構
本実施形態に係るボンネット24の開閉機構について、図14を用い説明する。図14は、ボンネット24の開閉機構を示す模式側面図である。
図14に示すように、本実施形態に係るボンネット24は、所謂、4節リンク機構を用い開閉できるようになっている。
具体的に、ボンネット24の開閉機構は、ボンネット取付ベース40と、車体取付ベース41と、リンクアーム42,43と、で構成されている。ボンネット取付ベース40は、ボンネット24への取り付けのベースとなる部分である。
車体取付ベース41は、車体への取り付けのベースとなる部分である。リンクアーム42,43は、互いに長さが異なっており、リンクアーム42の方がリンクアーム43よりも長くなっている。リンクアーム42及びリンクアーム43は、それぞれ分ネット取付ベース40及び車体取付ベース42に支持されている。
リンクアーム42は、ボンネット取付ベース40に対して軸芯Ax42aを中心に回転自在であり、車体取付ベース41に対して軸芯Ax42bを中心に回転自在である。
同様に、リンクアーム43は、ボンネット取付ベース40に対して軸芯Ax43aを中心に回転自在であり、車体取付ベース41に対して軸芯Ax43bを中心に回転自在である。
ここで、本実施形態では、車体取付ベース41に対するリンクアーム43の回転角を、ボンネットヒンジ回転角センサ44で検出可能となっている。ボンネットヒンジ回転角センサ44は、車体取付ベース41に対するリンクアーム43の回転角を逐次検出するセンサである。
4.ボンネット閉移行規制アクチュエータ45の構成
本実施形態では、一定の条件下において、ボンネット24を閉じることを規制するボンネット閉移行規制装置として、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45が設けられている。ボンネット閉移行規制アクチュエータ45の構成について、図15及び図16を用い説明する。
図15は、(a)がボンネット24のインナーパネル35に対するボンネット閉移行規制アクチュエータ45の配設形態を示す模式平面図であり、(b)がインナーパネル35に対するボンネット閉移行規制アクチュエータ45の配設形態を矢印Eの側から見た模式断面図である。図16は、(a)がボンネット24の閉状態移行に係る規制が解除された状態を示す模式断面図であり、(b)がボンネット24の閉状態移行が規制された状態を示す模式断面図である。
図15(a)、(b)に示すように、ボンネット24におけるインナーパネル35には、内面(アウターパネル側の面)にボンネット閉移行規制アクチュエータ45が取り付けられている。ボンネット閉移行規制アクチュエータ45は、孔部35aの長手方向の一端側の側部に配置され、孔部35aを臨むようになっている。
ボンネット閉移行規制アクチュエータ45は、アクチュエータ本体450と、当該アクチュエータ本体450から前進/後退が自在のプランジャー451と、を有する。図15(b)の矢印Fで示すように、プランジャー451は、前進時には孔部35aの内方側を塞ぎ、後退時には孔部35aの内方側を開状態とする。
次に、図16(a)に示すように、本実施形態においても、差込部材33は、胴部33aと、頭部33bと、内縁部33cと、溝部33dと、を有する。差込部材33の構成については、上記第1実施形態に係る差込部材13と同様である。
ボンネット24の閉移行を規制する必要がない場合には、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45のプランジャー451は後退した状態となっている。このため、ユーザがボンネット25及びボンネットステー25を操作し、差込部材33の頭部33bをインナーパネル35の孔部35aから抜き出すことが可能な状態となっている。
一方、図16(b)に示すように、ボンネット24の閉移行を規制することが必要な場合には、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45のプランジャー451は前進し、孔部35aにおける内方側が塞がれた状態となっている。このため、ユーザがボンネット25及びボンネットステー25を操作し、差込部材33の頭部33bをインナーパネル35の孔部35aから抜き出そうとしても、差込部材33の頭部33bの端部がプランジャー451に当たり、差込部材33の頭部33bをインナーパネル35の孔部35aから抜くことができないようになっている。
なお、本実施形態では、エンジンカバー23が閉状態である場合には、プランジャー451を後退させ(図16(a)の状態)、エンジンカバー23が開状態である場合には、プランジャー451を前進させる(図16(b)の状態)。
5.制御システム
エンジンカバー23及びボンネット24の開閉に係る制御システムについて、図17を用い説明する。
図17に示すように、エンジンカバー23及びボンネット24の制御システムは、コントローラ46を有する。コントローラ46は、エンジンカバー開閉センサ38からのエンジンカバー23の開閉に係る情報(エンジンカバー開閉データ)と、ボンネットヒンジ回転角センサ44からのボンネット24の回転角に関する情報(ボンネットヒンジ回転角データ)と、を逐次取得できるようになっている。
また、コントローラ46からは、警報ブザー47と、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45とに駆動指令を出せるようになっている。
ここで、警報ブザー47については、例えば、エンジンルーム22内に設けられている。
なお、コントローラ46に対するエンジンカバー開閉センサ38及びボンネットヒンジ回転角センサ44からの情報伝達経路については、有線であっても無線であってもよい。同様に、コントローラ46から警報ブザー47及びボンネット閉移行規制アクチュエータ45への信号伝達経路についても、有線であっても無線であってもよい。
6.制御方法
車両21において、コントローラ46が実行する制御方法について、図18を用い説明する。
図18に示すように、コントローラ46は、エンジンカバー23及びボンネット24の開閉に係る制御において、エンジンカバー開閉データ及びボンネットヒンジ回転角データの読み込みを逐次実行する(ステップS1)。
次に、コントローラ46は、読込んだエンジンカバー開閉データに基づいて、エンジンカバー23が開状態にあるか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、コントローラ46は、図13(a)に示すようにエンジンカバー23が開状態にあるか、図13(b)に示すようにエンジンカバー23が閉状態にあるか、をエンジンカバー開閉データに基づき判定する。
コントローラ46は、エンジンカバー23が閉状態であると判定した場合には(ステップS2:No)、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45に対して、プランジャー451を後退させる旨の指令、あるいは、プランジャー451が後退した状態を維持する旨の指令を出す(ステップS4)。具体的に、コントローラ46は、図16(a)に示す状態とするよう、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45に対して指令を出す。
一方、コントローラ46は、エンジンカバー23が開状態であると判定した場合には(ステップS2:Yes)、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45に対して、プランジャー451を前進させる旨の指令、あるいは、プランジャー451が前進した状態を維持する旨の指令を出す(ステップS3)。具体的に、コントローラ46は、図16(b)に示す状態とするよう、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45に対して指令を出す。これにより、該状況において、ユーザがインナーパネル35の孔部35aから差込部材33の頭部33bを抜こうとしても、抜けない状態となる。
次に、コントローラ46は、図16(b)に示す状況にあるにも拘らず、ボンネットヒンジ回転角データに基づき、ボンネット24を閉じようされているか否かを判定する(ステップS5)。
コントローラ46は、ボンネット24の閉移行が規制されているにも拘らず、ボンネット24が閉じられようとしていると判定した場合には(ステップS5:Yes)、警報ブザー47に対して、警報を発するよう指令する(ステップS6)。これにより、ユーザに対して、ボンネット24の閉移行が規制されていることを気付かせることができる。
一方、コントローラ46は、ボンネット24が閉じられようとしていないと判定した場合には(ステップS5:No)、そのままリターンする。
以上のように、コントローラ46は、エンジンカバー23及びボンネット24の開閉に係る制御を実行する。
7.効果
本実施形態に係る車両21のエンジン搭載部構造では、警報装置としての警報ブザー47及び閉移行規制装置としてのボンネット閉移行規制アクチュエータ45と、これらを制御するコントローラ46と、を備える。これにより、本実施形態では、エンジンカバー23が開状態であるにも拘らずボンネット24を閉めようとした場合には、ユーザに対する警報、及びボンネット24の閉移行の規制が実行される。
従って、本実施形態では、エンジンカバー23をボンネット24とは別に開閉自在としながら、ボンネット24を閉めることに起因するエンジンカバー23の破損を抑制することができる。
また、本実施形態では、コントローラ46が、エンジンカバー開閉状態検出部としてのエンジンカバー開閉センサ38及びボンネット開閉状態検出部としてのボンネットヒンジ回転角センサ44からの両検出情報に基づいて、エンジンカバー23が開状態であるにも拘らず、ボンネット24が閉状態へ移行されようとしていると判断した場合に(図18のステップS2:Yes)、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45に対してプランジャー451を前進させる旨の指令を発するので、ボンネット24を閉めることを抑制し、エンジンカバー23の破損を抑制することができる。
また、本実施形態では、エンジンカバー23が開状態であって、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45のプランジャー451を前進している状況において、ユーザが誤ってボンネット24を閉めようとした場合には、コントローラ46が警報ブザー47に対して警報を発するように指令するので(図18のステップS6)、警報によるユーザへの警告もなされる。よって、本実施形態では、ボンネット24を閉めることに起因するエンジンカバー23の破損を更に確実に抑制することができる。
[変形例]
上記第1実施形態では、ボンネットステー5の先端の差込部材13差込位置と、掛止部材14の掛止位置とを隣接した位置関係としたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。即ち、簡易な構成を以ってエンジンカバー3の開状態を保持するとの目的を達成するためだけであれば、互いに位置は離れていてもよい。
また、上記第2実施形態では、ボンネットステー25の差込部材33の差し込み位置と、掛止部材の掛止位置との相互の位置関係については、詳しく言及をしなかったが、隣接していてもよく、離れていてもよい。
また、上記第1実施形態では、エンジンカバー3の開状態を保持する閉状態保持部として紐部材7と掛止部材14との組み合わせを以って構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、棒状部材の先端を鍵状に形成しておき、当該先端をボンネットのインナーパネルに掛止させる構成を採用することもできる。この構成では、1つの部材を以って開状態保持部を構成することが可能である。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、エンジン10の形式などについて特に言及しなかったが、種々のエンジン種類及び配置形態を採用することが可能である。例えば、エンジンの種類については、ガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよい。また、エンジン形式については、単気筒エンジンであってもよいし、多気筒エンジンであってもよい。また、多気筒エンジンの場合には、複数の気筒が直列配置された形態の他、V型あるいはW型とすることなども可能である。
エンジンの配置形態についても、横置きであってもよいし、縦置きであってもよい。
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、エンジンルーム2,22が車両の前方側に設けられてなる構成を一例として採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、車両の後方側にエンジンルームを設けてもよいし、車室の直後にエンジンルームを設けてもよい。
また、上記第1実施形態では、掛止部材14を掛止させる対象として、インナーパネル15に開けた孔部15b,15cとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、インナーパネル15の一部からフック状の突起を設けておき、当該突起に掛止部材を掛止させることとしてもよい。
また、上記第2実施形態でも、ボンネット24を開状態で保持するためにボンネットステー25を採用し、エンジンカバー23を開状態で維持するために、紐部材及び掛止部材(ともに図示を省略。)を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、少なくとも一方をダンパにより開状態を維持するようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、エンジンカバー23が開状態であるにも拘らず、ボンネット24を閉めるのを抑制するための手段として、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45と警報ブザー47とを設けることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、ボンネットを閉状態へと移行するのを規制する装置、及び警報装置、の一方だけを備える構成とすることもできる。
また、上記第2実施形態では、エンジンカバー開閉状態検出部の一例としてエンジンカバー開閉センサ38を設け、ボンネット開閉状態検出部の一例としてボンネット回転角センサ44を設けたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、エンジンカバー開閉状態検出部としては、近接センサや光電センサ等を採用することができるし、ボンネット開閉状態検出部についても同様である。
また、上記第2実施形態では、ボンネット24の閉移行を規制する装置として、ボンネット閉移行規制アクチュエータ45をインナーパネル35の内面側に設けることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、ボンネットの開閉に係るリンク機構部に対して、リンクの動作を規制する手段を設けることとしてもよい。
また、上記第2実施形態では、エンジンカバー23が開状態であるにも拘らず、ボンネット24を閉めようとした際の警報として、警報ブザー47を一例として採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、光により警報を発する装置を採用することや、振動により警報を発する装置を採用することもできる。
また、上記第2実施形態でも、エンジンカバー23の開状態を維持するための機構として、紐部材及び掛止部材を備えることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、アブソーバやリンク機構によりエンジンカバーの開状態を維持することとしてもよい。
1,21 車両
2,22 エンジンルーム
3,23 エンジンカバー
4,24 ボンネット
5,25 ボンネットステー
7 紐部材
10 エンジン
13,33 差込部材
14 掛止部材
15,35 インナーパネル
36 カバーロック部材
37 ブラケット
38 エンジンカバー開閉センサ(押釦スイッチ)
44 ボンネットヒンジ回転角センサ
45 ボンネット閉移行規制アクチュエータ
46 コントローラ
47 警報ブザー

Claims (8)

  1. 車両におけるエンジン搭載部構造であって、
    エンジンルーム内に搭載された前記エンジンと、
    開閉自在であって、閉状態において、前記エンジンを覆うエンジンカバーと、
    開閉自在であって、閉状態において、前記エンジンルームの開口部を塞ぐとともに前記エンジンカバーを覆うボンネットと、
    前記エンジンカバー及び前記ボンネットがともに開状態である場合において、前記ボンネットだけを閉めようとしたときに、当該閉めようとすることに対して警報を発する警報装置、及び前記ボンネットが閉状態へ移行するのを規制する閉移行規制装置の少なくとも一方の装置と、
    を備える、
    車両におけるエンジン搭載部構造。
  2. 請求項1記載の車両におけるエンジン搭載部構造であって、
    棒状の部材であって、前記ボンネットのインナーパネルに設けられてなる孔部に対して先端部を差し込むことで、前記ボンネットの開状態を保持するボンネットステーを更に備え、
    前記エンジンカバーは、
    前記車両の前方側又は後方側の内、前記ボンネットの開閉に係る支点が設けられた側と同じ側である一方側に設けられてなり、当該エンジンカバーの開閉に係る支点であるカバーヒンジと、
    前記車両の前方側又は後方側の内、前記一方側とは反対側である他方側から延設され、屈曲自在の線状部材と、
    前記線状部材の先端部分に取り付けられ、前記ボンネットのインナーパネルに掛止可能な掛止部材と、
    を有し、
    前記掛止部材は、前記インナーパネルに掛止された状態において、前記インナーパネルの前記孔部に差し込まれた前記ボンネットステーの先端部が、前記孔部から抜け出すのを抑制し、前記閉移行規制装置としての機能を兼ね備える、
    車両におけるエンジン搭載部構造。
  3. 請求項1記載の車両におけるエンジン搭載部構造であって、
    前記ボンネットの開閉に係る状態を検出するボンネット開閉状態検出部と、
    前記エンジンカバーの開閉に係る状態を検出するエンジンカバー開閉状態検出部と、
    前記ボンネット開閉状態検出部での検出情報と、前記エンジンカバー開閉状態検出部での検出情報と、を逐次受け付けるコントローラと、
    を更に備えるとともに、
    前記警報装置及び前記閉移行規制装置の内、少なくとも前記閉移行規制装置を備え、
    前記コントローラは、受け付けた前記エンジンカバー開閉状態検出部からの検出情報から、前記エンジンカバーが開状態であり、受け付けた前記ボンネット開閉状態検出部からの検出情報から、前記ボンネットが開状態から閉状態へ移行されようとしていると判断した場合に、前記閉移行規制装置に対して、前記ボンネットが閉状態へ移行するのを規制するよう指令する、
    車両におけるエンジン搭載部構造。
  4. 請求項3記載の車両におけるエンジン搭載部構造であって、
    棒状の部材であって、前記ボンネットのインナーパネルに設けられてなる孔部に対して先端部を差し込むことで、前記ボンネットの開状態を保持するボンネットステーを更に備え、
    前記閉移行規制装置は、前記ボンネットステーの前記先端部が前記孔部から抜け出すのを抑制する前進位置と、当該前進位置から退避した後退位置と、に変位自在なプランジャーを有するアクチュエータであり、
    前記閉移行規制装置が前記コントローラからの、前記ボンネットが閉状態へ移行するのを規制するようにとの指令を受け付けた場合に、当該閉移行規制装置は、前記プランジャーを前記前進位置に移動させる、
    車両におけるエンジン搭載部構造。
  5. 請求項3又は請求項4記載の車両におけるエンジン搭載部構造であって、
    前記警報装置も備え、
    前記コントローラは、前記閉移行規制装置に対して前記ボンネットが閉状態へと移行するのを規制させている状態において、受け付けた前記ボンネット開閉状態検出部からの検出情報から、前記ボンネットが開状態から閉状態へ移行されようとしていると判断した場合に、前記警報装置に対して、前記ボンネットを閉めようとすることに対して警報を発するよう指令する、
    車両におけるエンジン搭載部構造。
  6. 請求項1記載の車両におけるエンジン搭載部構造であって、
    前記ボンネットの開閉に係る状態を検出するボンネット開閉状態検出部と、
    前記エンジンカバーの開閉に係る状態を検出するエンジンカバー開閉状態検出部と、
    前記ボンネット開閉状態検出部での検出情報と、前記エンジンカバー開閉状態検出部での検出情報と、を逐次受け付けるコントローラと、
    を更に備えるとともに、
    前記警報装置及び前記閉移行規制装置の内、少なくとも前記警報装置を備え、
    前記コントローラは、受け付けた前記エンジンカバー開閉状態検出部からの検出情報から、前記エンジンカバーが開状態であり、受け付けた前記ボンネット開閉状態検出部からの検出情報から、前記ボンネットが開状態から閉状態へ移行されようとしていると判断した場合に、前記警報装置に対して、前記ボンネットを閉めようとすることに対して警報を発するよう指令する、
    車両におけるエンジン搭載部構造。
  7. 請求項3から請求項6の何れか記載の車両におけるエンジン搭載部構造であって、
    前記エンジンカバー開閉状態検出部は、前記エンジンカバーが閉状態であることを検出する閉状態検出センサを有する、
    車両におけるエンジン搭載部構造。
  8. 請求項7記載の車両におけるエンジン搭載部構造であって、
    前記閉状態検出センサは、前進/後退が自在のキーステムを有する押釦スイッチであり、
    前記エンジンカバーが閉状態の場合には、前記押釦スイッチにおけるキーステムが押し込まれることで後退した状態となっている、
    車両におけるエンジン搭載部構造。
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