JP2018159127A - In−Cu焼結体スパッタリングターゲット及びIn−Cu焼結体スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、Cu−In−Ga−Se系合金薄膜からなる光吸収層を形成する方法として、蒸着法により成膜する方法が知られている。蒸着法によって成膜された光吸収層を備えた太陽電池は、エネルギー交換効率が高いといった利点を有しているものの、成膜速度が遅く、生産効率が低いといった問題があった。
特許文献2には、30〜80原子%のCuを含むIn−Cu合金スパッタリングターゲットが提案されている。この特許文献2の実施例では、純InターゲットにCuチップをチップオンしたスパッタリングを行ってIn−Cu合金膜を成膜している。
しかしながら、切削油を多量に供給した場合には、切削油成分が不純物として成膜した膜に混入するおそれがあった。切削油を除去するために洗浄工程を追加した場合には、工程が増え、生産コストが増大してしまう。また、加工速度を遅くした場合には、生産効率が低下してしまうといった問題があった。
特許文献3に記載されているCuとInを含む第1の相を有する粉末は、その粉末の組成によっては粉末単独では焼結しにくく、ターゲットの密度のばらつきが大きくなる場合があった。密度のばらつきが大きくなると、スパッタ時に異常放電が発生しやすくなり、また成膜レートが不安定となるので、成膜されたIn−Cu合金薄膜の組成ずれや膜厚のばらつきが生じる原因となるおそれがある。
さらに、理論密度比が97%以上と高く、緻密で、空孔が少ないためスパッタ時の異常放電や割れの発生を抑制することができる。またさらに、密度のばらつきが2%以内と低く、組成の均一性が高いので、スパッタ時の異常放電の発生をより抑制することができるとともに、成膜レートが安定するので、成膜されたIn−Cu合金薄膜は組成や膜厚が均一となり易くなる。
この場合は、Inの含有量のばらつきが3%以内と少ないので、スパッタ時の異常放電の発生がさらに抑制されるとともに、成膜したIn−Cu合金薄膜の組成がより均一になり易くなる。
この場合、In単体相の最大粒子径が1mm以下と比較的微細とされているので、スパッタによってスパッタ面が消費された場合でも、スパッタ面の凹凸が抑えられ、スパッタ時の異常放電の発生を抑制することができる。
この場合、上述のNa化合物を含有しているので、アルカリ金属であるNaを含むIn−Cu合金薄膜を成膜することができる。また、Na化合物の最大粒子径が15μm以下とされているので、スパッタ時の異常放電の発生を抑制できる。
この場合、上述のK化合物を含有しているので、アルカリ金属であるKを含むIn−Cu合金薄膜を成膜することができる。また、K化合物の最大粒子径が15μm以下とされているので、スパッタ時の異常放電の発生を抑制できる。
In単体相の存在量(%)=[I(In)/{I(Cu7In3)+I(Cu1In1)+I(Cu11In9)+I(In)+I(Cu)+I(Na化合物)+I(K化合物)}]×100・・・(1)
前記原料粉を90℃以上140℃以下の温度で静水圧加圧して、焼結させる焼結工程と、を備えていることを特徴としている。
さらに、理論密度比(上述の組成比から算出される理論密度に対する相対密度)が97%以上であって、密度のばらつきが2%以内とされている。
ここで、In単体相の最大粒子径は1mm以下とされている。また、CuIn化合物相の最大粒子径は150μm以下とされている。
また、さらにK化合物としてKF、KCl、K2S、K2Seのうちの1種又は2種以上を含有し、このK化合物の最大粒子径が15μm以下とされていてもよい。異常放電の抑制から、K化合物の最大粒子径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。
InにCuを添加することにより、Inよりも硬いCuIn化合物相が形成され、切削加工性を大幅に向上させることが可能となる。また、結晶粒径を微細化させることが可能となる。
ここで、Inの含有量が10原子%未満であると、In単体相が少なくなり、ターゲットの高密度が困難となるおそれがある。また、ターゲットが硬くなりすぎて、切削加工時に粗大なチッピングが発生する原因となる。また、このチッピング跡に起因する異常放電が発生するおそれがある。
一方、Inの含有量が90原子%を超えると、CuIn化合物相が十分に形成されず、切削加工性を向上させることができないおそれがある。
このような理由から、本実施形態においては、Inの含有量を10原子%以上90原子%以下の範囲内に設定している。異常放電発生の抑制の理由から、Inの含有量は、好ましくは20原子%以上80原子%以下である。
Inの含有量のばらつきを小さくすることによって、膜組成が均一なIn−Cu合金薄膜を成膜することができる。
ここで、Inの含有量のばらつきが3%を超えると、成膜されるIn−Cu合金薄膜の組成のばらつきが大きくなるおそれがある。
In含有量のばらつき(%)={(In含有量の最大値−In含有量の最小値)/In含有量の平均値}×100
In−Cu焼結体スパッタリングターゲットの理論密度比が97%未満であると、空孔が多く存在することになり、スパッタ時に異常放電や割れが発生しやすくなるおそれがある。そこのため、本実施形態においては、理論密度比を97%以上に規定している。理論密度比は、通常100%以下である。
理論密度比(%)=(測定密度/理論密度)×100
理論密度は、In、Cu、CuIn化合物の含有量比によって変動する。このため、本実施形態においては、InとCuの含有量比が、In−Cu焼結体スパッタリングターゲットと同じ割合の溶湯を溶製し、これを鋳造して徐冷(冷却速度5℃/min以下)することで得られた無欠陥の鋳塊(10cm×10cm×10cm)の密度を測定し、その値を「理論密度」とする。無欠陥の鋳塊であるか否かの確認は目視で行う。
まず、InCu(Na化合物とK化合物を除いたInとCuの含有量比のInCu)の理論密度を上記の方法で測定し、その値をDa(g/cm3)とする。また、NaFの理論密度を2.79(g/cm3)、KFの理論密度を2.48(g/cm3)とする。そして、In−Cu焼結体スパッタリングターゲット中のInCuの含有量をWa(wt%)、NaFの含有量をWb(wt%)、KFの含有量をWc(wt%)とし理論密度Db(g/cm3)を下記の計算式より算出する。
Db=100/{(Wa/Da)+(Wb/2.79)+(Wc/2.48)}
In−Cu焼結体スパッタリングターゲットの密度のばらつきを小さくすることによって、スパッタ時の異常放電の発生がより抑制され、またスパッタ時の成膜レートが安定する。
密度のばらつきが大きくなりすぎると、スパッタ時に異常放電が発生し易くなり、またスパッタ時の成膜レートが不安定となり、成膜されたIn−Cu合金薄膜は組成や膜厚が不均一となるおそれがある。このため、本実施形態においては、In−Cu焼結体スパッタリングターゲットの密度のばらつきを2%以下と設定している。異常放電発生の抑制の理由から、密度のばらつきは、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1%以下である。
密度のばらつき(%)={(密度の最大値−密度の最小値)/密度の平均値}×100
本実施形態のIn−Cu焼結体スパッタリングターゲットにおいて、In単体相はCuIn化合物相とCuIn化合物相との間に存在し、両者を接合する作用を有する。In単体相が存在することによって、ターゲットの密度が高くなる。
このIn単体相の最大粒子径が1mmを超えて粗大になると、スパッタ時に異常放電が発生するおそれがある。このため、本実施形態においては、In単体相の最大粒子径を1mm以下と設定している。
なお、異常放電の発生を確実に抑制するためには、In単体相の最大粒子径を0.5mm以下とすることが好ましい。また、In単体相の最大粒子径の下限には特に制限はないが、0.010mm以上とすることが好ましい。
CuIn化合物相は、In単体相よりも硬い。このためCuIn化合物相が存在することにより、切削加工性が向上することになる。
このCuIn化合物相の最大粒子径が150μmを超えて粗大になると、切削加工時に粗大なチッピングが発生する原因となる。また、このチッピング跡に起因する異常放電が発生するおそれがある。このような理由から、本実施形態においては、CuIn化合物相の最大粒子径を150μm以下と設定している。
なお、チッピングの発生を確実に抑制するためには、CuIn化合物相の最大粒子径を100μm以下とすることが好ましく、50μm以下とするとさらに好ましい。また、CuIn化合物相の最大粒子径の下限には特に制限はないが、切削加工性を確実に向上させるためには、1μm以上とすることが好ましい。
スパッタリングターゲットに、Na化合物あるいはK化合物を含有させることにより、成膜されたIn膜中にアルカリ金属を含有させることができる。ここで、Cu−In−Ga−Se系合金薄膜を光吸収層として有する太陽電池においては、Cu−In−Ga−Se系合金薄膜にアルカリ金属を添加することにより、変換効率が大きく向上することになる。このため、本実施形態であるスパッタリングターゲットに、Na化合物あるいはK化合物を含有させてもよい。なお、Na化合物及びK化合物の含有量については、全ての金属元素の含有量としてそれぞれNa及びKの含有量が0.1原子%以上10原子%の範囲内とすることが好ましく、0.1原子%以上5原子%の範囲内とすることがさらに好ましい。0.1原子%未満の場合には添加による変換効率の向上効果が得られにくくなり、10原子%を超える場合にはNa化合物あるいはK化合物に起因する異常放電が多発し、スパッタが困難となるおそれがある。
ここで、Na化合物あるいはK化合物の最大粒子径が15μmを超えると、スパッタ時に異常放電が発生するおそれがある。このため、本実施形態では、Na化合物及びK化合物を含有させる場合には、これらの最大粒子径を15μm以下に制限している。
原料粉準備工程S11では、Inを10原子%以上90原子%以下の範囲で含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、In単体相の存在量が5%以上85%以下である原料粉を準備する。
In単体相の存在量(%)=[I(In)/{I(Cu7In3)+I(Cu1In1)+I(Cu11In9)+I(In)+I(Cu)+I(Na化合物)+I(K化合物)}]×100・・・(1)
(1)Inを45原子%以上90原子%以下の範囲で含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、In単体相の存在量が5%以上85%以下であるIn−Cu合金粉末(In単体相含有In−Cu合金粉末)
(2)In単体相含有In−Cu合金粉末またはIn粉末のうち少なくとも一方と、Inの含有量が45原子%未満で、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有し、In単体相が存在しないか、あるいは存在しているとしてもその存在量が5%未満であるIn−Cu合金粉末(In単体相不含有In−Cu合金粉末)またはCu粉末のうち少なくとも一方とを、Inを10原子%以上90原子%以下の範囲で含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成となるように含む粉末混合物
ガスアトマイズの条件は、上述のIn単体相含有In−Cu合金粉末を製造する場合の条件と同じである。
焼結工程S12では、上記原料粉準備工程S11にて準備した原料粉を、90℃以上140℃以下の温度で静水圧加圧を行って、焼結体を形成する。
ここで、焼結体を形成する方法として、ホットプレス(一軸加圧)やHIP(熱間等方圧加圧)を利用することも考えられる。しかし、ホットプレスでは、プレス時の圧力分布の幅が大きく、この圧力分布の幅が、得られる焼結体の密度のばらつきとして反映され、特にスパッタ面の面積が600cm2以上の大型の焼結体(In−Cu焼結体スパッタリングターゲット)では密度のばらつきが大きくなるおそれがある。また、密度のばらつきを抑えるため、200MPaの高圧力を付与することが考えられるが、例えば、ターゲットの面積が600cm2以上の大型の焼結体を製造する場合には、約1200tonプレス機が必要となり、装置が大掛かりになり、工業的に不利になる。
機械加工工程S13では、上記焼結工程S12で得られた焼結体に対して、旋盤加工、フライス加工等を行う。これにより、所定形状のIn−Cu焼結体スパッタリングターゲットを得る。
また、理論密度比が97%以上と高く、緻密であるため、スパッタ時および加工時での割れや欠けの発生を抑制できるとともに、加工性を確実に向上させることが可能となる。さらに、密度のばらつきが2%以内と低く、組成の均一性が高いので、スパッタ時の異常放電の発生を抑制することができる。
さらに、Na化合物及びK化合物の最大粒子径が15μm以下に制限されているので、スパッタ時の異常放電の発生を抑制することができる。
例えば、本実施形態では、In−Cu焼結体スパッタリングターゲットは、In単体相を含むものとして説明したが、これに限定されることはない。例えば、原料粉に含まれているIn単体相あるいはIn粉末の全量を、原料粉を焼結させてIn−Cu焼結体スパッタリングターゲットとする際に、Cuと反応させてCuIn化合物としてもよい。また、CuIn化合物相の最大粒子径は、150μmを超えていてもよい。
(1)原料粉準備工程
表1に示すように、In−Cu合金粉末(本発明例1〜4、6〜10、比較例1〜6、8〜10)、In粉末(本発明例5、比較例7)、Cu粉末(本発明例4、5、比較例7、8)、Na化合物粉末(本発明例8、比較例4)、K化合物粉末(本発明例9、比較例5)を用意した。In粉末は、純度99.99質量%以上である。Cu粉末は、純度99.99質量%以上である。
純度99.99質量%以上のCu金属塊と、純度99.99質量%以上のIn金属塊を、InとCuの含有量が表1に示す組成となるように秤量した。秤量した原料を、カーボン坩堝に充填して溶解した後、噴射温度800℃、噴射ガス圧2.5MPa、ノズル径1.5mmの条件にてガスアトマイズ法により、In−Cu合金粉末を作製した。作製したIn−Cu合金粉末のIn単体相の存在量を、下記のようにして測定した。その結果を表1に示す。
In−Cu合金粉末のX線回折パターンを以下の条件で測定した。
装置:理学電気社製(RINT−Ultima/PC)
管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:40mA
走査範囲(2θ):10°〜80°
スリットサイズ:発散(DS)2/3度、散乱(SS)2/3度、受光(RS)0.8mm
測定ステップ幅:2θで0.02度
スキャンスピード:毎分2度
試料台回転スピード:30rpm
本発明例4、5、8、9および比較例4、5、7、8は、用意した粉末を、全体量を100質量%としたときの配合割合が、表1の投入割合となるように秤量し、秤量した各粉末を混合し、得られた粉末混合物を原料粉とした。粉末の混合は、ボールミルを用いた。
原料粉の組成とIn単体相の存在量を表1に示す。なお、原料粉の組成は、用意した粉末の組成と配合割合から算出した。原料粉のIn単体相の存在量は、原料粉のX線回折パターンから算出した。
上記(1)原料粉準備工程で調製した原料粉を、モールドに充填して、表2に示す焼結条件にて加熱して、焼結させた。
上記(2)焼結工程で得られた焼結体を、旋盤とフライス盤とを用いて126mm×178mm×6mmtサイズのIn−Cu焼結体スパッタリングターゲットに加工した。
得られたIn−Cu焼結体スパッタリングターゲットの破片を酸で前処理した後、ICP−AES法によりIn、Na、Kの組成分析を行った。Cu及びその他の成分については、残部として記載した。測定結果は表1の原料粉とほぼ同じであった為、表1の原料粉の組成比と同じ数値を表3に記載した。
図2に示すように、In−Cu焼結体スパッタリングターゲットのスパッタ面の向かい合う角部を結ぶ対角線が交差する交点(1)と、各対角線上の角部から対角線の全長の10%以内の位置にある(2)、(3)、(4)、(5)の5点において、一辺の長さが6.3mm(=126mm×5%)の正方形状に切断して、立方体状のターゲット片を切り出した。切り出した立方体状のターゲット片を厚さ方向に3等分して、合計15個の薄型立方体状のターゲット片(6.3mm×6.3mm×2mmt)を得た。得られた薄型立方体状のターゲット片をそれぞれ分析試料として、サイズと重量を測定し、測定密度を算出した。測定密度の平均値を表3に示す。
まず、InCu(NaFとKFを除いたInとCuの含有量比のInCu)の理論密度を上記の方法で測定し、その値をDa(g/cm3)とした。NaFの理論密度を2.79(g/cm3)、KFの理論密度を2.48(g/cm3)とした。そして、In−Cu焼結体スパッタリングターゲット中のInCuの含有量をWa(wt%)、NaFの含有量をWb(wt%)、KFの含有量をWc(wt%)とし、理論密度Db(g/cm3)を下記の計算式より算出した。
Db=100/{(Wa/Da)+(Wb/2.79)+(Wc/2.48)}
その結果を表3に示す。
理論密度比(%)={(測定密度(平均値))/理論密度}×100
密度のばらつき(%)={(密度の最大値−密度の最小値)/密度の平均値}×100
上記の密度の測定で得られた薄型立方体状のターゲット片を分析試料としてそれぞれ酸で前処理した後、ICP−AES法によりInの含有量を測定した。次いで、測定したIn含有量の最大値と最小値をそれぞれ抽出し、また全てのIn含有量の平均値を算出した。そして、In含有量のばらつきを、下記の式により算出した。その結果を表3に示す。
In含有量のばらつき(%)={(In含有量の最大値−In含有量の最小値)/In含有量の平均値}×100
In−Cu焼結体スパッタリングターゲットの加工表面に対してクロスセッションポリッシャ加工(CP加工)を行い、プローブマイクロアナライザ(EPMA)装置(日本電子株式会社製)を用いて、1000倍でCu、Inの元素マッピング像(図1参照)をそれぞれ5枚撮影し、CuとInの元素マッピング像から、Inのみが存在している領域をIn単体相と定義した。In単体相の内接円の直径を測定し、これをIn単体相の粒子径とした。さらにこれらの操作を任意の5箇所について実施し、その中で最も大きいものを、得られた焼結体のIn単体相の最大粒子径とした。
また、CuIn化合物相、Na化合物とK化合物についても、上述と同様の方法により、最大粒子径を測定した。その結果を表3に示す。
得られたIn−Cu焼結体スパッタリングターゲットを用いて、次のような条件でスパッタによる成膜を行った。DCマグネトロンスパッタ装置により、スパッタガスとしてArガスを用いて、流量50sccm、圧力0.67Paとし、投入電力として、6W/cm2の電力にて、それぞれ1時間のスパッタを行い、DC電源装置(京三製作所社製HPK06Z−SW6)に備えられているアークカウント機能により、異常放電の回数をカウントした。その結果を表4に示す。
XRFを用いて、In−Cu焼結体スパッタリングターゲットの表面のIn組成比率[a(原子%)]を測定する。次に、以下のような条件でスパッタを行う。
DCマグネトロンスパッタ装置により、スパッタガスとしてArガスを用いて、流量50sccm、圧力0.67Paとし、投入電力として、6W/cm2の電力にてスパッタを行う。エロージョン箇所が3mmの深さになるまでスパッタを行った後、エロージョン箇所(バルク)のIn組成比率[b(原子%)]をXRFにて測定する。
そして、下記の式より、スパッタ掘り込み試験時のターゲットのIn組成ずれ(バルク/表面)を算出した。その結果を表4に示す。
In組成ずれ(%)={(a−b)の絶対値/a}×100
DCマグネトロンスパッタ装置により、スパッタガスとしてArガスを用いて、流量50sccm、圧力0.67Paとし、投入電力として、6W/cm2の電力にて未使用のターゲットのスパッタを行い、500nm成膜する。得られたスパッタ膜中の銅とインジウムの含有量を、ICP発光分光分析法を用いて測定し、スパッタ膜のIn組成比率[c(原子%)]を測定する。次に、上記のような条件でスパッタを行う。エロージョン箇所が3mmの深さになるまでスパッタを行った後、再度500nm成膜を行い、スパッタ膜のIn組成比率[d(原子%)]をICP発光分光分析法にて測定する。
そして、下記の式より、スパッタ膜のIn組成ずれを算出した。その結果を表4に示す。
In組成ずれ(%)={(c−d)の絶対値/c}×100
上記の異常放電回数の測定終了後、ターゲットの外観を観察し、目視で割れの有無を評価した。その結果を表4に示す。
In−Cu焼結体スパッタリングターゲットに旋盤加工を行い、加工後の加工屑の付着の有無を目視観察した。その結果を表4に示す。なお、加工条件は以下の通りとした。
工具:超硬インサート(三菱マテリアル株式会社製TNMG160404−MJ VP05RT)
送り:0.7〜1mm/rpm
1回の切り込み量:1〜2mm
切削環境:乾式
上記の加工後のIn−Cu焼結体スパッタリングターゲットについて、チッピングの有無を目視で確認した。チッピングが発生した場合には、In−Cu焼結体スパッタリングターゲットの端面から欠けた部分の最大距離をデジタルノギスで測定した。このとき、チッピングが面している面のうち、欠けた部分が最も大きい面に対して測定を行った。その結果を表4に示す。
Claims (6)
- Inを10原子%以上90原子%以下の範囲で含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、
理論密度比が97%以上であって、密度のばらつきが2%以内であることを特徴とするIn−Cu焼結体スパッタリングターゲット。 - Inの含有量のばらつきが3%以内である請求項1に記載のIn−Cu焼結体スパッタリングターゲット。
- In単体相と、CuIn化合物相とが存在し、前記In単体相は最大粒子径が1mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のIn−Cu焼結体スパッタリングターゲット。
- さらにNa化合物としてNaF、NaCl、Na2S、Na2Seのうちの1種又は2種以上を含有し、このNa化合物の最大粒子径が15μm以下とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のIn−Cu焼結体スパッタリングターゲット。
- さらにK化合物としてKF、KCl、K2S、K2Seのうちの1種又は2種以上を含有し、このK化合物の最大粒子径が15μm以下とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のIn−Cu焼結体スパッタリングターゲット。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のIn−Cu焼結体スパッタリングターゲットの製造方法であって、
Inを10原子%以上90原子%以下の範囲で含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、X線回折パターンにおけるIn単体相の(110)面に帰属されるピーク強度をI(In)、Cu単体相の(111)面に帰属されるピーク強度をI(Cu)、Cu7In3相の(−232)面に帰属されるピーク強度をI(Cu7In3)、Cu1In1相の(200)面に帰属されるピーク強度をI(Cu1In1)、Cu11In9相の(313)面に帰属されるピーク強度をI(Cu11In9)、Na化合物に起因する最大ピーク強度I(Na化合物)、K化合物相に起因する最大ピーク強度I(K化合物)とした場合に、下記の式(1)によって算出されるIn単体相の存在量が5%以上85%以下である原料粉を準備する原料粉準備工程と、
In単体相の存在量(%)=[I(In)/{I(Cu7In3)+I(Cu1In1)+I(Cu11In9)+I(In)+I(Cu)+I(Na化合物)+I(K化合物)}]×100・・・(1)
前記原料粉を90℃以上140℃以下の温度で静水圧加圧して、焼結させる焼結工程と、
を備えていることを特徴とするIn−Cu焼結体スパッタリングターゲットの製造方法。
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