JP2021066957A - スパッタリングターゲット、及び、スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Ag単体相に起因した異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことが可能なスパッタリングターゲット、及び、このスパッタリングターゲットの製造方法を提供する。【解決手段】全金属成分に対して、Gaを15.0原子%以上50.0原子%以下の範囲内、Agを0.1原子%以上20.0原子%以下の範囲内で含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、Ag単体相12の最大粒子径が45μm以下とされていることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、例えばCIGS太陽電池の光吸収層となるCu−In−Ga−Se四元系合金薄膜を形成する際に用いられるスパッタリングターゲット、及び、このスパッタリングターゲットの製造方法に関するものである。
従来、化合物半導体からなる薄膜太陽電池として、Cu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を備えたCIGS系太陽電池が提供されている。
ここで、Cu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成する方法として、In膜とCu−Ga膜との積層膜を形成し、この積層膜をSe雰囲気中で熱処理して上述の積層膜をセレン化する方法が提供されている。なお、In膜及びCu−Ga膜を形成する際には、Inスパッタリングターゲット及びCu−Ga合金スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法が適用される。
ここで、Cu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成する方法として、In膜とCu−Ga膜との積層膜を形成し、この積層膜をSe雰囲気中で熱処理して上述の積層膜をセレン化する方法が提供されている。なお、In膜及びCu−Ga膜を形成する際には、Inスパッタリングターゲット及びCu−Ga合金スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法が適用される。
上述のCu−Ga合金スパッタリングターゲットとしては、例えば、特許文献1,2に示すようなものが提案されている。
特許文献1には、焼結体からなるCu−Ga合金スパッタリングターゲットが提案されている。
特許文献2には、溶解鋳造法によって製造されて柱状組織を有する平板形状のCu−Ga合金スパッタリングターゲットが提案されている。
特許文献1には、焼結体からなるCu−Ga合金スパッタリングターゲットが提案されている。
特許文献2には、溶解鋳造法によって製造されて柱状組織を有する平板形状のCu−Ga合金スパッタリングターゲットが提案されている。
ところで、特許文献1,2に開示されたCu−Ga合金スパッタリングターゲットにおいては、加工性に劣るため、所定の寸法に加工する際に割れが生じてしまい、加工歩留まりが低下してしまうおそれがあった。
そこで、例えば特許文献3,4には、加工性の向上を図るために、例えばAg等を添加したCu−Ga合金スパッタリングターゲットが提案されている。
そこで、例えば特許文献3,4には、加工性の向上を図るために、例えばAg等を添加したCu−Ga合金スパッタリングターゲットが提案されている。
ところで、特許文献3,4に開示されたように、Agを添加されたCu−Ga合金スパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面においてCu−Ga合金相中にAg単体相が存在することになる。
ここで、スパッタ成膜を実施した場合、Ag単体相が優先的にスパッタされることになる。このため、スパッタが進行した際にスパッタ面に凹みが生じ、その後のスパッタ成膜時に異常放電の原因となるおそれがあった。
ここで、スパッタ成膜を実施した場合、Ag単体相が優先的にスパッタされることになる。このため、スパッタが進行した際にスパッタ面に凹みが生じ、その後のスパッタ成膜時に異常放電の原因となるおそれがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、Ag単体相に起因した異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことが可能なスパッタリングターゲット、及び、このスパッタリングターゲットの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のスパッタリングターゲットは、全金属成分に対して、Gaを15.0原子%以上50.0原子%以下の範囲内、Agを0.1原子%以上20.0原子%以下の範囲内で含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、Ag単体相の最大粒子径が45μm以下とされていることを特徴としている。
この構成のスパッタリングターゲットによれば、Gaを15.0原子%以上50.0原子%以下の範囲内、Agを0.1原子%以上20.0原子%以下の範囲内で含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成とされているので、加工性に優れており、加工時の割れの発生を抑制することができる。
そして、Ag単体相の最大粒子径が45μm以下に制限されているので、スパッタが進行した場合であっても大きな凹みが形成されず、その後のスパッタ時における異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。
そして、Ag単体相の最大粒子径が45μm以下に制限されているので、スパッタが進行した場合であっても大きな凹みが形成されず、その後のスパッタ時における異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。
ここで、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面におけるAg含有量のばらつきが4%以下とされていることが好ましい。
この場合、スパッタ面におけるAg含有量のばらつきが4%以下に制限されているので、局所的にAg単体相が集中して存在しておらず、スパッタが進行した場合であっても大きな凹みが形成されず、その後のスパッタ時における異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。また、成膜された膜の組成ばらつきを抑制することが可能となる。
この場合、スパッタ面におけるAg含有量のばらつきが4%以下に制限されているので、局所的にAg単体相が集中して存在しておらず、スパッタが進行した場合であっても大きな凹みが形成されず、その後のスパッタ時における異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。また、成膜された膜の組成ばらつきを抑制することが可能となる。
また、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、全金属成分に対して、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を合計で0.01原子%以上10.0原子%以下の範囲内で含んでいてもよい。
この場合、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む膜を成膜することができる。なお、これらの元素を含有することで、成膜された膜を用いた太陽電池の変換効率を向上させることが可能となる。
この場合、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む膜を成膜することができる。なお、これらの元素を含有することで、成膜された膜を用いた太陽電池の変換効率を向上させることが可能となる。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、上述のスパッタリングターゲットの製造方法であって、Cu−Ga−Ag合金粉を成形型に充填する際のタップ密度ρTと理論密度ρSとの比ρT/ρSを45%以上とし、前記成形型に充填した前記Cu−Ga−Ag合金粉を12MPa以上で加圧する工程と、非酸化性雰囲気で焼結を行う工程と、を備えていることを特徴とする。
この構成のスパッタリングターゲットの製造方法によれば、Cu−Ga−Ag合金粉を成形型に充填する際に、タップ密度ρTと理論密度ρSとの比ρT/ρSを45%以上としており、前記成形型に充填した前記Cu−Ga−Ag合金粉を12MPa以上で加圧しているので、Cu−Ga−Ag合金粉同士の間の空隙を小さくすることができ、焼結時にAg単体相が粗大化することを抑制できる。よって、Ag単体相の最大粒子径を45μm以下に制限することができる。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、上述のスパッタリングターゲットの製造方法であって、Cu−Ga粉とAg粉と必要に応じてCu粉とを、容器回転系の混合機で混合する工程と、得られた混合粉を成形型に充填し、非酸化性雰囲気で焼結を行う工程と、を備えていることを特徴とする。
この構成のスパッタリングターゲットの製造方法によれば、Cu−Ga粉とAg粉と必要に応じてCu粉とを混合する際に、容器回転系の混合機を用いているので、混合時にAg粉が凝集することを抑制できる。よって、Ag単体相が粗大化することを抑制でき、Ag単体相の最大粒子径を45μm以下に制限することができる。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、上述のスパッタリングターゲットの製造方法であって、Cu−Ga−Ag合金粉と、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉を成形型に充填する際のタップ密度ρTと理論密度ρSとの比ρT/ρSを45%以上とし、前記成形型に充填した前記Cu−Ga−Ag合金粉及び前記化合物粉を12MPa以上で加圧する工程と、非酸化性雰囲気で焼結を行う工程と、を備えていることを特徴とする。
この構成のスパッタリングターゲットの製造方法によれば、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉を成形型に充填しているので、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含むスパッタリングターゲットを製造することができる。
また、Cu−Ga−Ag合金粉とNa,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉を成形型に充填する際のタップ密度ρTと理論密度ρSとの比ρT/ρSを45%以上としており、前記成形型に充填した前記Cu−Ga−Ag合金粉及び前記化合物粉を12MPa以上で加圧しているので、Cu−Ga−Ag合金粉同士、Cu−Ga−Ag合金粉と化合物粉との間の空隙を小さくすることができ、焼結時にAg単体相が粗大化することを抑制できる。よって、Ag単体相の最大粒子径を45μm以下に制限することができる。
また、Cu−Ga−Ag合金粉とNa,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉を成形型に充填する際のタップ密度ρTと理論密度ρSとの比ρT/ρSを45%以上としており、前記成形型に充填した前記Cu−Ga−Ag合金粉及び前記化合物粉を12MPa以上で加圧しているので、Cu−Ga−Ag合金粉同士、Cu−Ga−Ag合金粉と化合物粉との間の空隙を小さくすることができ、焼結時にAg単体相が粗大化することを抑制できる。よって、Ag単体相の最大粒子径を45μm以下に制限することができる。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、上述のスパッタリングターゲットの製造方法であって、Cu−Ga粉とAg粉と、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉と必要に応じてCu粉とを、容器回転系の混合機で混合する工程と、得られた混合粉を成形型に充填し、非酸化性雰囲気で焼結を行う工程と、を備えていることを特徴とする。
この構成のスパッタリングターゲットの製造方法によれば、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉を混合しているので、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含むスパッタリングターゲットを製造することができる。
また、Cu−Ga粉とAg粉と、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉と必要に応じてCu粉とを混合する際に、容器回転系の混合機を用いているので、混合時にAg粉が凝集することを抑制できる。よって、Ag単体相が粗大化することを抑制でき、Ag単体相の最大粒子径を45μm以下に制限することができる。
また、Cu−Ga粉とAg粉と、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉と必要に応じてCu粉とを混合する際に、容器回転系の混合機を用いているので、混合時にAg粉が凝集することを抑制できる。よって、Ag単体相が粗大化することを抑制でき、Ag単体相の最大粒子径を45μm以下に制限することができる。
本発明によれば、Ag単体相に起因した異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことが可能なスパッタリングターゲット、及び、このスパッタリングターゲットの製造方法を提供することが可能となる。
以下に、本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット、及び、スパッタリングターゲットの製造方法について説明する。
本実施形態に係るスパッタリングターゲットは、例えばCIGS系薄膜太陽電池においてCu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成するために、Cu−Ga合金薄膜をスパッタによって成膜する際に用いられるものである。
本実施形態に係るスパッタリングターゲットは、例えばCIGS系薄膜太陽電池においてCu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成するために、Cu−Ga合金薄膜をスパッタによって成膜する際に用いられるものである。
本実施形態に係るスパッタリングターゲット10は、全金属成分に対して、Gaを15.0原子%以上50.0原子%以下の範囲内、Agを0.1原子%以上20.0原子%以下の範囲内で含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成とされている。
なお、本実施形態に係るスパッタリングターゲット10においては、全金属成分に対して、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上を合計で0.01原子%以上10.0原子%以下の範囲内で含んでいてもよい。
なお、本実施形態に係るスパッタリングターゲット10においては、全金属成分に対して、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上を合計で0.01原子%以上10.0原子%以下の範囲内で含んでいてもよい。
このスパッタリングターゲット10の金属組織としては、図1に示すように、Cu−Ga相11とAg単体相12とを備えており、Cu−Ga相11の母相中にAg単体相12が分散している。
そして、本実施形態に係るスパッタリングターゲット10においては、Ag単体相12の最大粒子径が45μm以下とされている。
そして、本実施形態に係るスパッタリングターゲット10においては、Ag単体相12の最大粒子径が45μm以下とされている。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲット10においては、スパッタ面におけるAg含有量のばらつきが4%以下とされていることが好ましい。
なお、Ag含有量のばらつきは、複数の箇所で測定したAg含有量(原子%)の最大値と最小値(原子%)と平均値(原子%)とから、以下の式で定義した。
Ag含有量のばらつき=(最大値−最小値)/(平均値)×100(%)
なお、Ag含有量のばらつきは、複数の箇所で測定したAg含有量(原子%)の最大値と最小値(原子%)と平均値(原子%)とから、以下の式で定義した。
Ag含有量のばらつき=(最大値−最小値)/(平均値)×100(%)
ここで、図2に示すように、スパッタ面が矩形形状をなしている場合には、対角線が交差する中心部(1)と、4つの角部(2),(3),(4),(5)の5つのブロックから試料を採取し、これら5つのブロックを厚さ方向に(α),(β),(γ)のブロックに3分割(三等分)して、合計15個の試料を採取し、それぞれの試料のAg含有量を測定することが好ましい。なお、角部(2),(3),(4),(5)は、角部から内側に向かって対角線全長の10%以内の範囲内とした。
また、図3に示すように、スパッタ面が円形状をなしている場合には、スパッタ面がなす円の中心(1)、及び、円の中心を通過するとともに互いに直交する2本の直線上の外周部分(2),(3),(4),(5)の5つのブロックから試料を採取し、これら5つのブロックを厚さ方向に(α),(β),(γ)のブロックに3分割(三等分)して、合計15個の試料を採取し、それぞれの試料のAg含有量を測定することが好ましい。なお、外周部分(2),(3),(4),(5)は、外周縁から内側に向かって直径の10%以内の範囲内とした。
また、図4に示すように、スパッタ面が円筒面とされた円筒型スパッタリングターゲットにおいては、軸方向の下端部A、中央部B、上端部Cにおいて、それぞれ円周方向に等間隔(90°間隔)の(1),(2),(3),(4)の位置の合計12個のブロックから試料を採取し、これらの12個のブロックを厚さ方向(径方向)に(α),(β),(γ)のブロックに3分割(三等分)して、合計36個の試料を採取し、それぞれの試料のAg含有量を測定することが好ましい。
以下に、本実施形態に係るスパッタリングターゲット10において、Ag単体相12の最大粒子径、スパッタ面におけるAg含有量のばらつき、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の合計含有量について、上述のように規定した理由を示す。
(Ag単体相の最大粒子径)
Cu−Ga相とAg単体相が存在する場合、Ag単体相が優先的にスパッタされるため、スパッタが進行すると、スパッタ面に凹部が形成され、異常放電の原因となる。
ここで、Ag単体相12の最大粒子径を45μm以下とすることにより、スパッタが進行しても大きな凹部が形成されず、凹部を起因とした異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことが可能となる。
なお、Ag単体相12の最大粒子径は、20μm以下とすることが好ましく、15μm以下とすることがより好ましい。また、Ag単体相12の最大粒子径の下限に特に制限はないが、実質的には、5μm以上となる。
Cu−Ga相とAg単体相が存在する場合、Ag単体相が優先的にスパッタされるため、スパッタが進行すると、スパッタ面に凹部が形成され、異常放電の原因となる。
ここで、Ag単体相12の最大粒子径を45μm以下とすることにより、スパッタが進行しても大きな凹部が形成されず、凹部を起因とした異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことが可能となる。
なお、Ag単体相12の最大粒子径は、20μm以下とすることが好ましく、15μm以下とすることがより好ましい。また、Ag単体相12の最大粒子径の下限に特に制限はないが、実質的には、5μm以上となる。
(スパッタ面におけるAg含有量のばらつき)
本実施形態において、スパッタ面におけるAg含有量のばらつきが4%以内である場合には、局所的にAg単体相12が集中して存在していないため、スパッタが進行した場合であっても大きな凹みが形成されず、その後のスパッタ時における異常放電の発生を抑制できる。また、成膜された膜の組成ばらつきを抑制することが可能となる。
なお、スパッタ面におけるAg含有量のばらつきは、2.0%以下とすることが好ましく、1.5%以下とすることがより好ましい。
本実施形態において、スパッタ面におけるAg含有量のばらつきが4%以内である場合には、局所的にAg単体相12が集中して存在していないため、スパッタが進行した場合であっても大きな凹みが形成されず、その後のスパッタ時における異常放電の発生を抑制できる。また、成膜された膜の組成ばらつきを抑制することが可能となる。
なお、スパッタ面におけるAg含有量のばらつきは、2.0%以下とすることが好ましく、1.5%以下とすることがより好ましい。
Agの添加量を0.1原子%以上20原子%以下の範囲内に設定した理由は、Agの添加量が0.1原子%未満であると、機械加工性の向上効果が得られず、20原子%を超えると異常放電が発生し易くなるからである。
なお、Ag含有量の下限は、3原子%以上とすることが好ましく、7原子%以上とすることがより好ましい。また、Ag含有量の上限は、15原子%以下とすることが好ましく、10原子%以下とすることがより好ましい。
なお、Ag含有量の下限は、3原子%以上とすることが好ましく、7原子%以上とすることがより好ましい。また、Ag含有量の上限は、15原子%以下とすることが好ましく、10原子%以下とすることがより好ましい。
Gaの含有量を15原子%以上50原子%以下の範囲内と規定した理由は、この範囲のGa含有量が、変換効率の高いCIGS光吸収層を形成するために、一般的なGa添加量だからである。
なお、Ga含有量の下限は、20原子%以上とすることが好ましく、25原子%以上とすることがより好ましい。また、Ga含有量の上限は、40原子%以下とすることが好ましく、35原子%以下とすることがより好ましい。
なお、Ga含有量の下限は、20原子%以上とすることが好ましく、25原子%以上とすることがより好ましい。また、Ga含有量の上限は、40原子%以下とすることが好ましく、35原子%以下とすることがより好ましい。
(Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の合計含有量)
本実施形態において、全金属成分に対して、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を合計で0.01原子%以上含有する場合には、成膜された膜を用いた太陽電池の変換効率を向上させることが可能となる。また、Na,K,Rb,Csは、通常、FやS等と結合している化合物として添加する。そのため、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素の合計含有量を10.0原子%以下とすることで、これらの元素の化合物を起因とした異常放電の発生を抑制できる。なお、FやS等は、金属成分には含まれない。
Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の合計含有量の下限は、0.1原子%以上とすることが好ましく、1.0原子%以上とすることがより好ましい。また、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の合計含有量の上限は、7.5原子%以下とすることが好ましく、5.0原子%以下とすることがより好ましい。
本実施形態において、全金属成分に対して、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を合計で0.01原子%以上含有する場合には、成膜された膜を用いた太陽電池の変換効率を向上させることが可能となる。また、Na,K,Rb,Csは、通常、FやS等と結合している化合物として添加する。そのため、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素の合計含有量を10.0原子%以下とすることで、これらの元素の化合物を起因とした異常放電の発生を抑制できる。なお、FやS等は、金属成分には含まれない。
Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の合計含有量の下限は、0.1原子%以上とすることが好ましく、1.0原子%以上とすることがより好ましい。また、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の合計含有量の上限は、7.5原子%以下とすることが好ましく、5.0原子%以下とすることがより好ましい。
次に、本実施形態に係るスパッタリングターゲット10の製造方法について説明する。本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、粉末焼結法によって製造することができる。ここで、粉末原料としては、Cu−Ga−Ag合金粉、あるいは、Cu−Ga合金粉とAg粉(必要に応じてCu粉)を用いることができる。
以下に、Cu−Ga−Ag合金粉を用いる場合の製造方法(製造方法1)とCu−Ga合金粉とAg粉を用いる場合の製造方法(製造方法2)について、図5及び図6のフロー図を参照して説明する。
以下に、Cu−Ga−Ag合金粉を用いる場合の製造方法(製造方法1)とCu−Ga合金粉とAg粉を用いる場合の製造方法(製造方法2)について、図5及び図6のフロー図を参照して説明する。
<製造方法1>
(Cu−Ga−Ag合金粉作製工程S01)
まず、原料粉として用いられるCu−Ga−Ag合金粉を作製する。
このCu−Ga−Ag合金粉作製工程S01においては、Cu原料、Ga原料及びAg原料を所定の組成となるように秤量し、カーボン製のるつぼに入れてガスアトマイズ装置にセットする。原料を溶解した後、孔径1mm以上3mm以下のノズルから溶湯を落下させながら、噴射ガス圧1Pa以上5Pa以下の条件でArガス又は窒素ガスを噴射させ、ガスアトマイズ粉を作製する。冷却後、得られたガスアトマイズ粉を10〜250μmのふるいで分級することにより、所定の粒子径のCu−Ga−Ag合金粉を得る。
(Cu−Ga−Ag合金粉作製工程S01)
まず、原料粉として用いられるCu−Ga−Ag合金粉を作製する。
このCu−Ga−Ag合金粉作製工程S01においては、Cu原料、Ga原料及びAg原料を所定の組成となるように秤量し、カーボン製のるつぼに入れてガスアトマイズ装置にセットする。原料を溶解した後、孔径1mm以上3mm以下のノズルから溶湯を落下させながら、噴射ガス圧1Pa以上5Pa以下の条件でArガス又は窒素ガスを噴射させ、ガスアトマイズ粉を作製する。冷却後、得られたガスアトマイズ粉を10〜250μmのふるいで分級することにより、所定の粒子径のCu−Ga−Ag合金粉を得る。
(混合工程S02)
必要に応じて、得られたCu−Ga−Ag合金粉に、Cu粉及びNa,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物からなる化合物粉を混合する。なお、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物としては、フッ化物、硫化物、セレン化物等が挙げられる。
また、混合方法については、特に制限はなく、ロッキングミキサー、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の各種方法を適宜選択することができる。
必要に応じて、得られたCu−Ga−Ag合金粉に、Cu粉及びNa,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物からなる化合物粉を混合する。なお、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物としては、フッ化物、硫化物、セレン化物等が挙げられる。
また、混合方法については、特に制限はなく、ロッキングミキサー、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の各種方法を適宜選択することができる。
(充填工程S03)
次に、上述のCu−Ga−Ag合金粉を成形型に充填する。なお、必要に応じてCu粉及びNa,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉をCu−Ga−Ag合金粉とともに充填してもよい。
ここで、成形型に充填する際には、タップ密度ρTと理論密度ρSとの比ρT/ρSを45%以上とする。なお、本実施形態では、ガスアトマイズ法によってCu−Ga−Ag合金粉を製造しているので、粉末が球状となり、タップ密度ρTを容易に向上させることが可能となる。なお、ρT/ρSは、48%以上とすることが好ましく、52%以上とすることがより好ましい。
次に、上述のCu−Ga−Ag合金粉を成形型に充填する。なお、必要に応じてCu粉及びNa,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉をCu−Ga−Ag合金粉とともに充填してもよい。
ここで、成形型に充填する際には、タップ密度ρTと理論密度ρSとの比ρT/ρSを45%以上とする。なお、本実施形態では、ガスアトマイズ法によってCu−Ga−Ag合金粉を製造しているので、粉末が球状となり、タップ密度ρTを容易に向上させることが可能となる。なお、ρT/ρSは、48%以上とすることが好ましく、52%以上とすることがより好ましい。
(成形工程S04)
次に、原料粉を成形型に充填した状態で、12MPa以上で加圧することにより、成形体を得る。本実施形態では、CIP(冷間静水圧プレス)によって加圧し、成形体を得ている。なお、加圧は13.5MPa以上とすることが好ましく、15MPa以上とすることがより好ましい。
次に、原料粉を成形型に充填した状態で、12MPa以上で加圧することにより、成形体を得る。本実施形態では、CIP(冷間静水圧プレス)によって加圧し、成形体を得ている。なお、加圧は13.5MPa以上とすることが好ましく、15MPa以上とすることがより好ましい。
(焼結工程S05)
次に、上述の成形体に対して、非酸化性雰囲気で常圧焼結を行う。焼結温度は、成形体におけるGa濃度によって適宜選択することが好ましい。
次に、上述の成形体に対して、非酸化性雰囲気で常圧焼結を行う。焼結温度は、成形体におけるGa濃度によって適宜選択することが好ましい。
なお、例えばホットプレス装置を用いて、成形工程S04と焼結工程S05とを同時に実施してもよい。
(機械加工工程S06)
上述のようにして得られた焼結体に対して機械加工を行うことにより、本実施形態であるスパッタリングターゲット10を得る。
上述のようにして得られた焼結体に対して機械加工を行うことにより、本実施形態であるスパッタリングターゲット10を得る。
<製造方法2>
(Cu−Ga合金粉作製工程S11)
まず、原料粉として用いられるCu−Ga合金粉を作製する。
このCu−Ga合金粉作製工程S11においては、Cu原料、Ga原料を所定の組成となるように秤量し、カーボン製のるつぼに入れてガスアトマイズ装置にセットする。原料を溶解した後、孔径1mm以上3mm以下のノズルから溶湯を落下させながら、噴射ガス圧1Pa以上5Pa以下の条件でArガス又は窒素ガスを噴射させ、ガスアトマイズ粉を作製する。冷却後、得られたガスアトマイズ粉を10〜250μmのふるいで分級することにより、所定の粒子径のCu−Ga合金粉を得る。
(Cu−Ga合金粉作製工程S11)
まず、原料粉として用いられるCu−Ga合金粉を作製する。
このCu−Ga合金粉作製工程S11においては、Cu原料、Ga原料を所定の組成となるように秤量し、カーボン製のるつぼに入れてガスアトマイズ装置にセットする。原料を溶解した後、孔径1mm以上3mm以下のノズルから溶湯を落下させながら、噴射ガス圧1Pa以上5Pa以下の条件でArガス又は窒素ガスを噴射させ、ガスアトマイズ粉を作製する。冷却後、得られたガスアトマイズ粉を10〜250μmのふるいで分級することにより、所定の粒子径のCu−Ga合金粉を得る。
(混合工程S12)
次に、Cu−Ga合金粉と、Ag粉と、必要に応じてCu粉及びNa,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉と、ロッキングミキサーやボールミル等の容器回転系の混合装置を用いて混合する。
次に、Cu−Ga合金粉と、Ag粉と、必要に応じてCu粉及びNa,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉と、ロッキングミキサーやボールミル等の容器回転系の混合装置を用いて混合する。
(充填工程S13)
次に、上述のように混合した原料粉を成形型に充填する。
次に、上述のように混合した原料粉を成形型に充填する。
(成形工程S14)
次に、原料粉を成形型に充填した状態で加圧することにより、成形体を得る。本実施形態では、CIP(冷間静水圧プレス)によって加圧し、成形体を得ている。
次に、原料粉を成形型に充填した状態で加圧することにより、成形体を得る。本実施形態では、CIP(冷間静水圧プレス)によって加圧し、成形体を得ている。
(焼結工程S15)
次に、上述の成形体に対して、非酸化性雰囲気で常圧焼結を行う。焼結温度は、成形体におけるGa濃度によって適宜選択することが好ましい。
次に、上述の成形体に対して、非酸化性雰囲気で常圧焼結を行う。焼結温度は、成形体におけるGa濃度によって適宜選択することが好ましい。
なお、例えばホットプレス装置を用いて、成形工程S14と焼結工程S15とを同時に実施してもよい。
(機械加工工程S16)
上述のようにして得られた焼結体に対して機械加工を行うことにより、本実施形態であるスパッタリングターゲット10を得る。
上述のようにして得られた焼結体に対して機械加工を行うことにより、本実施形態であるスパッタリングターゲット10を得る。
以上のような構成とされた本実施形態に係るスパッタリングターゲット10によれば、Gaを15.0原子%以上50.0原子%以下の範囲内、Agを0.1原子%以上20.0原子%以下の範囲内で含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成とされているので、加工性に優れており、加工時の割れの発生を抑制することができる。
そして、Ag単体相12の最大粒子径が45μm以下に制限されているので、スパッタが進行した場合であっても大きな凹みが形成されず、その後のスパッタ時における異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。
そして、Ag単体相12の最大粒子径が45μm以下に制限されているので、スパッタが進行した場合であっても大きな凹みが形成されず、その後のスパッタ時における異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。
また、本実施形態において、スパッタ面におけるAg含有量のばらつきが4%以下とされている場合には、局所的にAg単体相12が集中して存在しておらず、スパッタが進行した場合であっても大きな凹みが形成されず、その後のスパッタ時における異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことができる。また、成膜された膜の組成ばらつきを抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態において、全金属成分に対して、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を合計で0.01原子%以上10.0原子%以下の範囲内で含んでいる場合には、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む膜を成膜することができる。なお、これらの元素を含有することで、成膜された膜を用いた太陽電池の変換効率を向上させることが可能となる。
本実施形態に係るスパッタリングターゲット10の製造方法であって、Cu−Ga−Ag合金粉を用いる場合の製造方法(製造方法1)においては、充填工程S03においてCu−Ga−Ag合金粉を成形型に充填する際にタップ密度ρTと理論密度ρSとの比ρT/ρSを45%以上としており、成形工程S04において、成形型に充填されたCu−Ga−Ag合金粉を12MPa以上で加圧しているので、Cu−Ga−Ag合金粉同士の間の空隙を小さくすることができ、焼結時にAg単体相12が粗大化することを抑制できる。よって、Ag単体相12の最大粒子径を45μm以下に制限することができる。
本実施形態に係るスパッタリングターゲット10の製造方法であって、Cu−Ga合金粉とAg粉を用いる場合の製造方法(製造方法2)においては、混合工程S12において、Cu−Ga粉とAg粉とを混合する際に、容器回転系の混合機を用いているので、混合時にAg粉が凝集することを抑制できる。よって、Ag単体相12が粗大化することを抑制でき、Ag単体相12の最大粒子径を45μm以下に制限することができる。
また、本実施形態に係るスパッタリングターゲット10の製造方法において、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉を混合する場合には、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含むスパッタリングターゲットを製造することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下に、前述した本発明のスパッタリングターゲット及びスパッタリングターゲットの製造方法について評価した評価試験の結果について説明する。
純度99.99質量%以上のCu金属塊と、純度99.99質量%以上のGa金属塊と、純度99.99質量%以上のAg金属塊と、を準備し、表1に示す合金組成となるように秤量し、ガスアトマイズ装置のカーボン坩堝内に装入した。これを溶解した後、噴射温度1100℃、噴射ガス圧(Arガス)2.5Pa、ノズル径1.5mmの条件でガスアトマイズし、Cu−Ga−Ag合金粉、及び、Cu−Ga合金粉を得た。なお、Cu−Ga−Ag合金粉の平均粒子径は15μm、Cu−Ga合金粉の平均粒子径は15μmとした。
なお、比較例2においては、Cu−Ga−Ag合金からなる鋳塊を粉砕して、Cu−Ga−Ag合金粉を得た。
なお、比較例2においては、Cu−Ga−Ag合金からなる鋳塊を粉砕して、Cu−Ga−Ag合金粉を得た。
また、Ag粉(純度99.99mass%、最大粒子径25μm)と、Cu粉(純度99.99mass%、平均粒子径15μm)と、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉(フッ化物粉、平均粒子径20μm)を準備した。なお、粉末の粒子径はレーザ回折式粒度分布測定によって測定した。
そして、上述のCu−Ga−Ag合金粉、Cu−Ga合金粉、Ag粉、Cu粉、化合物粉を、表1に示す配合比で配合し、表2に記載した方法で混合した。なお、表2において、「ロッキング」は容器回転系の混合機であるロッキングミキサーを用いたものであり、「ヘンシェル」は攪拌系の混合機であるヘンシェルミキサーを用いたものである。
上述のように配合した原料粉を成形型に充填する。このとき、Cu−Ga−Ag合金粉を用いた場合には、その際のタップ密度ρTと理論密度ρSとの比ρT/ρS×100(%)が表2に示すものとした。
ここで、タップ密度は、JIS Z 2512に準じて測定した。理論密度は、当該組成の溶湯を溶製し、これを鋳型に注湯して冷却速度5℃/min以下の徐冷を行ってインゴットを作製し、このインゴットの密度を測定した。なお、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物を含有する場合には、上述のCu−Ga−Ag合金のインゴットの密度と当該化合物の密度(文献値)と重量比率から理論密度を算出した。
ここで、タップ密度は、JIS Z 2512に準じて測定した。理論密度は、当該組成の溶湯を溶製し、これを鋳型に注湯して冷却速度5℃/min以下の徐冷を行ってインゴットを作製し、このインゴットの密度を測定した。なお、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物を含有する場合には、上述のCu−Ga−Ag合金のインゴットの密度と当該化合物の密度(文献値)と重量比率から理論密度を算出した。
次に、表2に示す方法、条件で、加圧及び焼結を実施した。ここで、表2において、「一軸加圧」はホットプレスを用いて加圧しながら焼結を同時に行ったものであり、「CIP」は常温で加圧して成形体とした後、常圧焼結を行ったものである。
なお、比較例5,6では、溶解鋳造法を適用しており、焼結条件の欄には溶解温度を記載した。
なお、比較例5,6では、溶解鋳造法を適用しており、焼結条件の欄には溶解温度を記載した。
以上のようにして得られた焼結体を機械加工して、矩形平板形状のスパッタリングターゲット(126mm×178mm×厚さ6mm)を製造した。
作製された本発明例及び比較例のスパッタリングターゲットについて、以下の項目について評価した。
作製された本発明例及び比較例のスパッタリングターゲットについて、以下の項目について評価した。
(ターゲット組成)
測定試料を任意の位置で切り出し、これを酸で前処理した後、ICP−OES法により、定量分析を実施した。なお、銅は残部とした。測定結果を表3に示す。
測定試料を任意の位置で切り出し、これを酸で前処理した後、ICP−OES法により、定量分析を実施した。なお、銅は残部とした。測定結果を表3に示す。
(ターゲット中のAg単体相の最大粒子径)
観察試料を採取し、クロスセッションポリッシャ加工(CP加工)を行い、プローブマイクロアナライザ(EPMA)装置(日本電子株式会社製)を用いて、1000倍でCu,Ga,Agの元素マッピングにて約1430μm2の領域をそれぞれ5枚撮影し、Cu,Ga,Agの元素マッピング像から、Agのみが存在している領域をAg単体相と定義した。画像処理ソフトによりAg単体相の内接円の直径を測定し、これをAg単体相の粒子径とした。さらに、その中で最も大きいものを、Ag単体相の最大粒子径とした。評価結果を表4に示す。
観察試料を採取し、クロスセッションポリッシャ加工(CP加工)を行い、プローブマイクロアナライザ(EPMA)装置(日本電子株式会社製)を用いて、1000倍でCu,Ga,Agの元素マッピングにて約1430μm2の領域をそれぞれ5枚撮影し、Cu,Ga,Agの元素マッピング像から、Agのみが存在している領域をAg単体相と定義した。画像処理ソフトによりAg単体相の内接円の直径を測定し、これをAg単体相の粒子径とした。さらに、その中で最も大きいものを、Ag単体相の最大粒子径とした。評価結果を表4に示す。
(スパッタ面におけるAg含有量のばらつき)
図2に示す位置から測定試料を採取し、合計15個の測定試料を酸で前処理した後、ICP−AES法によりAgの含有量(原子%)を測定した。次いで、測定したAg含有量の最大値と最小値をそれぞれ抽出するとともに、Ag含有量の平均値を算出した。そして、実施形態に記載した式に基づいて、Ag含有量のばらつきを算出した。評価結果を表4に示す。
図2に示す位置から測定試料を採取し、合計15個の測定試料を酸で前処理した後、ICP−AES法によりAgの含有量(原子%)を測定した。次いで、測定したAg含有量の最大値と最小値をそれぞれ抽出するとともに、Ag含有量の平均値を算出した。そして、実施形態に記載した式に基づいて、Ag含有量のばらつきを算出した。評価結果を表4に示す。
(異常放電)
以下に示す条件で1時間のスパッタ成膜を行い、DC電源装置(京三製作所製HPK06Z−SW6)に備えられているアークカウント機能により、異常放電の回数をカウントした。評価結果を表4に示す。
Arガス圧:0.67Pa
パワー密度:6W/cm2
以下に示す条件で1時間のスパッタ成膜を行い、DC電源装置(京三製作所製HPK06Z−SW6)に備えられているアークカウント機能により、異常放電の回数をカウントした。評価結果を表4に示す。
Arガス圧:0.67Pa
パワー密度:6W/cm2
(膜におけるAg含有量のばらつき)
以下に示す条件によって成膜された膜の図7に示す5箇所から測定試料を採取し、これを酸で処理した後、ICP−AES法によりAgの含有量(原子%)を測定した。次いで、測定したAg含有量の最大値と最小値をそれぞれ抽出するとともに、Ag含有量の平均値を算出した。そして、スパッタ面と同様の式により、Ag含有量のばらつきを算出した。評価結果を表4に示す。
Arガス圧:0.67Pa
パワー密度:6W/cm2
基板:ガラス 20mm×20mm
以下に示す条件によって成膜された膜の図7に示す5箇所から測定試料を採取し、これを酸で処理した後、ICP−AES法によりAgの含有量(原子%)を測定した。次いで、測定したAg含有量の最大値と最小値をそれぞれ抽出するとともに、Ag含有量の平均値を算出した。そして、スパッタ面と同様の式により、Ag含有量のばらつきを算出した。評価結果を表4に示す。
Arガス圧:0.67Pa
パワー密度:6W/cm2
基板:ガラス 20mm×20mm
Cu−Ga−Ag合金粉を用いて常温加圧する際の圧力が11.7MPaとされた比較例1においては、Ag単体相の最大粒子径が50μmとなり、異常放電回数が11回と多くなった。
Cu−Ga−Ag合金粉を用いてタップ密度と理論密度の比が40%とされた比較例2においては、Ag単体相の最大粒子径が51μmとなり、異常放電回数が15回と多くなった。
Cu−Ga−Ag合金粉を用いて一軸加圧して焼結する際の圧力が11.7MPaとされた比較例3においては、Ag単体相の最大粒子径が48μmとなり、異常放電回数が11回と多くなった。
これら比較例1−3においては、Cu−Ga−Ag合金粉同士の間の隙間が大きく、焼結時にAg単体相が粗大化したと推測される。
Cu−Ga−Ag合金粉を用いてタップ密度と理論密度の比が40%とされた比較例2においては、Ag単体相の最大粒子径が51μmとなり、異常放電回数が15回と多くなった。
Cu−Ga−Ag合金粉を用いて一軸加圧して焼結する際の圧力が11.7MPaとされた比較例3においては、Ag単体相の最大粒子径が48μmとなり、異常放電回数が11回と多くなった。
これら比較例1−3においては、Cu−Ga−Ag合金粉同士の間の隙間が大きく、焼結時にAg単体相が粗大化したと推測される。
Cu−Ga合金粉とAg粉とをヘンシェルミキサーを用いて混合した比較例4においては、Ag単体相の最大粒子径が63μmとなり、異常放電回数が13回と多くなった。Cu−Ga合金粉とAg粉とを混合する際にAg粉が凝集したために、Ag単体相が粗大化したと推測される。
溶解鋳造法によって製造された比較例5,6においては、Ag単体相の最大粒子径がそれぞれ79μm、74μmとなり、異常放電回数がそれぞれ30回、29回と多くなった。また、比較例5においては、スパッタ面におけるAg含有量のばらつきが6.3%となり、膜におけるAg含有量のばらつきが6.2%となった。そして、比較例6においては、スパッタ面におけるAg含有量のばらつきが6.8%となり、膜におけるAg含有量のばらつきが6.7%となった。このように、比較例5、6においては、溶解鋳造法では、Ag単体相の大きさ及び分布を制御することは困難であった。
これに対して、本発明例1−27においては、Ag単体相の最大粒子径が45μm以下とされており、異常放電回数が3回以下に抑えられていた。また、スパッタ面におけるAg含有量のばらつきも小さく、Ag含有量のばらつきが少ない膜を安定して成膜することが可能であった。
以上のことから、本発明例によれば、Ag単体相に起因した異常放電の発生を抑制でき、安定してスパッタ成膜を行うことが可能なスパッタリングターゲット、及び、このスパッタリングターゲットの製造方法を提供可能であることが確認された。
10 スパッタリングターゲット
12 Ag単体相
12 Ag単体相
Claims (7)
- 全金属成分に対して、Gaを15.0原子%以上50.0原子%以下の範囲内、Agを0.1原子%以上20.0原子%以下の範囲内で含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、
Ag単体相の最大粒子径が45μm以下とされていることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - スパッタ面におけるAg含有量のばらつきが4%以下とされていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
- 全金属成分に対して、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上を合計で0.01原子%以上10.0原子%以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
- 請求項1又は請求項2に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、
Cu−Ga−Ag合金粉を成形型に充填する際のタップ密度ρTと理論密度ρSとの比ρT/ρSを45%以上とし、前記成形型に充填した前記Cu−Ga−Ag合金粉を12MPa以上で加圧する工程と、非酸化性雰囲気で焼結を行う工程と、を備えていることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、
Cu−Ga粉とAg粉と必要に応じてCu粉とを、容器回転系の混合機で混合する工程と、得られた混合粉を成形型に充填し、非酸化性雰囲気で焼結を行う工程と、を備えていることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。 - 請求項3に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、
Cu−Ga−Ag合金粉と、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉を成形型に充填する際のタップ密度ρTと理論密度ρSとの比ρT/ρSを45%以上とし、前記成形型に充填した前記Cu−Ga−Ag合金粉及び前記化合物粉を12MPa以上で加圧する工程と、非酸化性雰囲気で焼結を行う工程と、を備えていることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。 - 請求項3に記載のスパッタリングターゲットの製造方法であって、
Cu−Ga粉とAg粉と、Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素を含む化合物粉と必要に応じてCu粉とを、容器回転系の混合機で混合する工程と、得られた混合粉を成形型に充填し、非酸化性雰囲気で焼結を行う工程と、を備えていることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
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