JP2021091944A - スパッタリングターゲット、及び、スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルカリ金属化合物に起因した異常放電の発生を抑制でき、アルカリ金属を含むCu膜を安定して成膜することが可能なスパッタリングターゲット、及び、このスパッタリングターゲットの製造方法を提供する。【解決手段】銅とアルカリ金属化合物からなり、母相である銅相中に前記アルカリ金属化合物が分散している分散相を有し、相対密度が90%以上であり、前記分散相の最大粒子径が25μm以下である。アルカリ金属化合物粉と銅粉とを粉砕混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉作製工程と、前記焼結原料粉を焼結して焼結体を得る焼結工程と、を有し、前記焼結原料粉中における前記銅粉の粒度分布から算出される粒指数Dが1.6以上である。【選択図】なし
Description
本発明は、例えばCIGS太陽電池の光吸収層となるCu−In−Ga−Se四元系合金薄膜を形成する際に用いられるスパッタリングターゲット、及び、このスパッタリングターゲットの製造方法に関するものである。
従来、化合物半導体からなる薄膜太陽電池として、Cu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を備えたCIGS系太陽電池が提供されている。
上述のCu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成する方法として、Moなどの電極層上に、Cu,In,Gaを含む積層膜を、複数のスパッタリングターゲットを用いて成膜し、この積層膜をSe雰囲気中で熱処理して、上述の積層膜をセレン化する方法が提供されている。
上述のCu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成する方法として、Moなどの電極層上に、Cu,In,Gaを含む積層膜を、複数のスパッタリングターゲットを用いて成膜し、この積層膜をSe雰囲気中で熱処理して、上述の積層膜をセレン化する方法が提供されている。
ここで、光吸収層となるCu−In−Ga−Se四元系合金薄膜においては、Na、K等のアルカリ金属を添加することにより、太陽電池の変換効率が向上することが知られている。
そこで、Cu−In−Ga−Se四元系合金薄膜にアルカリ金属を添加する手段として、例えば特許文献1には、積層膜の一部となるCu膜を成膜する際に用いられるCuスパッタリングターゲットにアルカリ金属を添加することが開示されている。
また、特許文献2には、積層膜の一部となるCu−Ga膜を成膜する際に用いられるCu−Ga合金スパッタリングターゲットにアルカリ金属を添加することが開示されている。
なお、アルカリ金属は、元素単体では反応性が非常に高く不安定であることから、特許文献1,2においては、アルカリ金属化合物として添加されている。
そこで、Cu−In−Ga−Se四元系合金薄膜にアルカリ金属を添加する手段として、例えば特許文献1には、積層膜の一部となるCu膜を成膜する際に用いられるCuスパッタリングターゲットにアルカリ金属を添加することが開示されている。
また、特許文献2には、積層膜の一部となるCu−Ga膜を成膜する際に用いられるCu−Ga合金スパッタリングターゲットにアルカリ金属を添加することが開示されている。
なお、アルカリ金属は、元素単体では反応性が非常に高く不安定であることから、特許文献1,2においては、アルカリ金属化合物として添加されている。
ところで、アルカリ金属化合物は、基本的に絶縁体であるため、スパッタ成膜時に異常放電の原因となり、安定して成膜を行うことができなくなるおそれがあった。
ここで、特許文献2においては、Cu−Ga合金スパッタリングターゲットを製造する際に、アルカリ金属化合物を含む粉とCu−Ga合金粉とを粉砕混合することにより、アルカリ金属化合物の粒子径を小さくし、異常放電の発生を抑制している。
ここで、特許文献2においては、Cu−Ga合金スパッタリングターゲットを製造する際に、アルカリ金属化合物を含む粉とCu−Ga合金粉とを粉砕混合することにより、アルカリ金属化合物の粒子径を小さくし、異常放電の発生を抑制している。
しかしながら、Cuスパッタリングターゲットを製造する際に、単純にアルカリ金属化合物を含む粉とCu−Ga合金粉とを粉砕混合した場合には、Cu粉はCu−Ga合金粉に比べて延性に優れていることから、Cu粉が容易に変形してしまい、焼結後に得られる焼結体の密度を向上させることができないおそれがあった。このため、スパッタリングターゲットの内部に空隙が存在し、この空隙を起因として異常放電が発生し、やはり、安定して成膜を行うことができなくなるおそれがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、スパッタ成膜時における異常放電の発生を抑制でき、アルカリ金属を含むCu膜を安定して成膜することが可能なスパッタリングターゲット、及び、このスパッタリングターゲットの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のスパッタリングターゲットは、銅とアルカリ金属化合物からなり、母相である銅相中に前記アルカリ金属化合物が分散した分散相を有し、相対密度が90%以上であり、前記分散相の最大粒子径が25μm以下であることを特徴としている。
この構成のスパッタリングターゲットによれば、銅とアルカリ金属化合物からなり、母相である銅相中にアルカリ金属化合物粒子が分散した組織を有しているので、Moなどの電極層上に、アルカリ金属を含むCu膜を成膜することができる。
そして、相対密度が90%以上であり、前記アルカリ金属化合物粒子の最大粒子径が25μm以下とされており、空隙が少なく、かつ、アルカリ金属化合物粒子のサイズが小さく抑えられているので、空隙やアルカリ金属化合物粒子に起因した異常放電の発生を抑制することができ、Moなどの電極層上に、安定してアルカリ金属を含むCu膜を成膜することができる。
そして、相対密度が90%以上であり、前記アルカリ金属化合物粒子の最大粒子径が25μm以下とされており、空隙が少なく、かつ、アルカリ金属化合物粒子のサイズが小さく抑えられているので、空隙やアルカリ金属化合物粒子に起因した異常放電の発生を抑制することができ、Moなどの電極層上に、安定してアルカリ金属を含むCu膜を成膜することができる。
ここで、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、金属成分として、アルカリ金属の含有量が0.1原子%以上12.5原子%以下の範囲内、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有することが好ましい。
この場合、金属成分としてアルカリ金属の含有量が0.1原子%以上12.5原子%以下の範囲内とされているので、アルカリ金属を十分に含むCu膜を成膜することができるとともに、銅の母相中に分散したアルカリ金属化合物の全体量が少なくなり、アルカリ金属化合物粒子に起因した異常放電の発生をさらに抑制することが可能となる。
この場合、金属成分としてアルカリ金属の含有量が0.1原子%以上12.5原子%以下の範囲内とされているので、アルカリ金属を十分に含むCu膜を成膜することができるとともに、銅の母相中に分散したアルカリ金属化合物の全体量が少なくなり、アルカリ金属化合物粒子に起因した異常放電の発生をさらに抑制することが可能となる。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、アルカリ金属化合物粉と銅粉とを粉砕混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉作製工程と、前記焼結原料粉を焼結して焼結体を得る焼結工程と、を有し、前記焼結原料粉中における前記銅粉の粒度分布から以下の式で算出される粒指数Dが1.6以上であることを特徴としている。
粒指数D=(D90−D50)/(D50−D10)
粒指数D=(D90−D50)/(D50−D10)
この構成のスパッタリングターゲットの製造方法によれば、アルカリ金属化合物粉と銅粉とを粉砕混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉作製工程において、前記焼結原料粉中における前記銅粉の粒度分布から算出される粒指数Dを1.6以上としているので、粉砕混合後の焼結原料粉中の銅粉が必要以上に変形しておらず、焼結後の密度を十分に向上させることが可能となる。
ここで、本発明のスパッタリングターゲットの製造方法においては、前記焼結原料粉作製工程における粉砕混合時間をX(時間)、粉砕混合前の前記アルカリ金属化合物粉の最大粒子径をAd(μm)、前記アルカリ金属化合物粉の含有比率をAw(mass%)、前記銅粉の含有比率をCw(mass%)、粉砕混合前の銅粉の粒指数をD´としたときに、以下の関係式を満足するように、粉砕混合時間Xを調整することが好ましい。
12+(Aw/300×Ad)≦X≦32+(Cw×D´)/50
12+(Aw/300×Ad)≦X≦32+(Cw×D´)/50
この場合、前記焼結原料粉作製工程における粉砕混合時間X(時間)を上述のように規定しているので、アルカリ金属化合物粉を十分に微細化することが可能となるとともに、銅粉の変形を十分に抑制することができる。よって、アルカリ金属化合物粒子のサイズが十分に小さく、かつ、相対密度が十分に高いスパッタリングターゲットを確実に製造することが可能となる。
本発明によれば、スパッタ成膜時における異常放電の発生を抑制でき、アルカリ金属を含むCu膜を安定して成膜することが可能なスパッタリングターゲット、及び、このスパッタリングターゲットの製造方法を提供することが可能となる。
以下に、本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット、及び、スパッタリングターゲットの製造方法について説明する。
本実施形態に係るスパッタリングターゲットは、例えばCIGS系薄膜太陽電池においてCu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成するために、Cu,In,Gaを含む積層膜の一部となるCu膜をスパッタによって成膜する際に用いられるものである。
本実施形態に係るスパッタリングターゲットは、例えばCIGS系薄膜太陽電池においてCu−In−Ga−Se四元系合金薄膜からなる光吸収層を形成するために、Cu,In,Gaを含む積層膜の一部となるCu膜をスパッタによって成膜する際に用いられるものである。
本実施形態に係るスパッタリングターゲットは、図1に示すように、銅とアルカリ金属化合物からなり、母相となる銅相11中にアルカリ金属化合物が分散した分散相12を有している。
そして、スパッタリングターゲットは、分散相12の最大粒子径が25μm以下に制限されるとともに、相対密度が90%以上とされている。
そして、スパッタリングターゲットは、分散相12の最大粒子径が25μm以下に制限されるとともに、相対密度が90%以上とされている。
ここで、本実施形態に係るスパッタリングターゲットにおいては、金属成分として、アルカリ金属の含有量が0.1原子%以上12.5原子%以下の範囲内、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有することが好ましい。すなわち、アルカリ金属であるNa,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上を合計で0.01原子%以上10.0原子%以下の範囲内で含んでいることが好ましい。
アルカリ金属化合物としては、特に制限はないが、例えば、フッ化物のLiF、NaF、KF、RbF、CsFや、硫化物のLi2S、Na2S、K2S、Rb2S、Cs2Sなどを用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、特に制限はないが、例えば、フッ化物のLiF、NaF、KF、RbF、CsFや、硫化物のLi2S、Na2S、K2S、Rb2S、Cs2Sなどを用いることができる。
以下に、本実施形態に係るスパッタリングターゲットにおいて、分散相12の最大粒子径、相対密度、アルカリ金属の含有量を、上述のように規定した理由を示す。
(アルカリ金属化合物粒子の最大粒子径)
銅相11中に分散する分散相12は絶縁体であるため、分散相12の最大粒子径が25μmを超えると、スパッタ時に異常放電が多発して、安定してCu膜を成膜することが困難となる。
このため、本実施形態では、分散相12の最大粒子径を25μm以下と設定している。なお、分散相12の最大粒子径は、外接円相当径、すなわち、観察された分散相12の領域を内接する円の直径である。
なお、分散相12の最大粒子径は、20μm以下とすることが好ましく、10μm以下とすることがより好ましい。また、分散相12の最大粒子径の下限に特に制限はないが、実質的には、0.01μm以上となる。
銅相11中に分散する分散相12は絶縁体であるため、分散相12の最大粒子径が25μmを超えると、スパッタ時に異常放電が多発して、安定してCu膜を成膜することが困難となる。
このため、本実施形態では、分散相12の最大粒子径を25μm以下と設定している。なお、分散相12の最大粒子径は、外接円相当径、すなわち、観察された分散相12の領域を内接する円の直径である。
なお、分散相12の最大粒子径は、20μm以下とすることが好ましく、10μm以下とすることがより好ましい。また、分散相12の最大粒子径の下限に特に制限はないが、実質的には、0.01μm以上となる。
(相対密度)
スパッタリングターゲットの相対密度が低いと、内部に空隙が存在することになり、スパッタ成膜時にこの空隙を起因として異常放電が発生するおそれがある。
このため、本実施形態では、スパッタリングターゲットの相対密度を90%以上としている。
なお、スパッタリングターゲット(バッキングプレート等を含まない、いわゆるスパッタリングターゲット材)の相対密度は、95%以上とすることが好ましく、98%以上とすることがより好ましい。
スパッタリングターゲットの相対密度が低いと、内部に空隙が存在することになり、スパッタ成膜時にこの空隙を起因として異常放電が発生するおそれがある。
このため、本実施形態では、スパッタリングターゲットの相対密度を90%以上としている。
なお、スパッタリングターゲット(バッキングプレート等を含まない、いわゆるスパッタリングターゲット材)の相対密度は、95%以上とすることが好ましく、98%以上とすることがより好ましい。
(アルカリ金属の含有量)
本実施形態において、アルカリ金属(Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素)を合計で0.1原子%以上含有する場合には、成膜された膜を用いた太陽電池の変換効率を向上させることが可能となる。一方、アルカリ金属の合計含有量を12.5原子%以下とすることで、これらの元素の化合物を起因とした異常放電の発生を抑制できる。
なお、アルカリ金属の合計含有量の下限は、0.5原子%以上とすることが好ましく、1原子%以上とすることがより好ましい。また、アルカリ金属の合計含有量の上限は、8原子%以下とすることが好ましく、6原子%以下とすることがより好ましい。
本実施形態において、アルカリ金属(Na,K,Rb,Csから選択される1種又は2種以上の元素)を合計で0.1原子%以上含有する場合には、成膜された膜を用いた太陽電池の変換効率を向上させることが可能となる。一方、アルカリ金属の合計含有量を12.5原子%以下とすることで、これらの元素の化合物を起因とした異常放電の発生を抑制できる。
なお、アルカリ金属の合計含有量の下限は、0.5原子%以上とすることが好ましく、1原子%以上とすることがより好ましい。また、アルカリ金属の合計含有量の上限は、8原子%以下とすることが好ましく、6原子%以下とすることがより好ましい。
次に、本実施形態に係るスパッタリングターゲットの製造方法について説明する。本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、粉末焼結法によって製造することができる。
(焼結原料粉作製工程S01)
この焼結原料粉作製工程S01においては、アルカリ金属化合物粉と銅粉とを粉砕混合して、焼結原料粉を得る。なお、銅粉の純度は99.9mass%以上であることが好ましく、99.99mass%以上であることがより好ましい。例えば、銅粉の純度は、99.999mass%である。
このとき、焼結原料粉中における銅粉の粒度分布から、以下の(1)式で算出される粒指数Dが1.6以上となるように、粉砕混合する。
粒指数D=(D90−D50)/(D50−D10)・・・(1)
ここで、D10,D50,D90は、それぞれ、粒子径基準の積算量が10%,50%,90%となるときの粒径である。
この焼結原料粉作製工程S01においては、アルカリ金属化合物粉と銅粉とを粉砕混合して、焼結原料粉を得る。なお、銅粉の純度は99.9mass%以上であることが好ましく、99.99mass%以上であることがより好ましい。例えば、銅粉の純度は、99.999mass%である。
このとき、焼結原料粉中における銅粉の粒度分布から、以下の(1)式で算出される粒指数Dが1.6以上となるように、粉砕混合する。
粒指数D=(D90−D50)/(D50−D10)・・・(1)
ここで、D10,D50,D90は、それぞれ、粒子径基準の積算量が10%,50%,90%となるときの粒径である。
上述のように、焼結原料粉中における銅粉の粒指数Dを1.6以上とすることにより、銅粉の変形が抑制されていることになり、焼結後の密度を向上させることが可能となる。
粒指数Dが1.6未満であると、銅粉が歪に変形して、粒子間の間隙が拡大し、焼結しにくくなり、焼結後の密度が低下する。
なお、焼結原料粉中における銅粉の粒指数Dは2.5あることが好ましく、3.0あることがより好ましい。
粒指数Dが1.6未満であると、銅粉が歪に変形して、粒子間の間隙が拡大し、焼結しにくくなり、焼結後の密度が低下する。
なお、焼結原料粉中における銅粉の粒指数Dは2.5あることが好ましく、3.0あることがより好ましい。
ここで、焼結原料粉作製工程S01においては、粉砕混合時間をX(時間)、アルカリ金属化合物粉の最大粒子径をAd(μm)、アルカリ金属化合物粉の含有比率をAw(mass%)、前記銅粉の含有比率をCw(mass%)、粉砕混合前の銅粉の粒指数をD´としたときに、以下の(2)式を満足するように、粉砕混合時間Xを調整することが好ましい。
12+(Aw/300×Ad)≦X≦32+(Cw×D´)/50・・・(2)
12+(Aw/300×Ad)≦X≦32+(Cw×D´)/50・・・(2)
粉砕混合時間Xを12+(Aw/300×Ad)以上とすることにより、アルカリ金属化合物粉を確実に粉砕して微細化することが可能となる。一方、粉砕混合時間Xを132+(Cw×D´)/50以下とすることにより、銅粉の変形を抑制でき、粒子間の間隙拡大を抑制し、焼結後の密度を向上させることが可能となる。
好ましい粉砕混合時間Xは、正確には上記の式(2)によって算定されるが、例えば、8時間超え50時間未満が好ましく、10時間以上45時間以下がより好ましく、15時間以上40時間以下がさらに好ましい。
好ましい粉砕混合時間Xは、正確には上記の式(2)によって算定されるが、例えば、8時間超え50時間未満が好ましく、10時間以上45時間以下がより好ましく、15時間以上40時間以下がさらに好ましい。
(成形工程S02)
次に、上述の焼結原料粉を成形型に充填して加圧することにより成形体を得る。ここで、加圧方法について特に制限はなく、例えば、CIP(冷間静水圧プレス)を用いてもよい。
次に、上述の焼結原料粉を成形型に充填して加圧することにより成形体を得る。ここで、加圧方法について特に制限はなく、例えば、CIP(冷間静水圧プレス)を用いてもよい。
(焼結工程S03)
次に、上述の成形体に対して、非酸化性雰囲気(好ましくは酸素還元雰囲気)で焼結を行う。なお、焼結温度は、600℃以上1000℃以下の範囲内、焼結温度での保持時間を120分以上420分以下の範囲内とすることが好ましい。
次に、上述の成形体に対して、非酸化性雰囲気(好ましくは酸素還元雰囲気)で焼結を行う。なお、焼結温度は、600℃以上1000℃以下の範囲内、焼結温度での保持時間を120分以上420分以下の範囲内とすることが好ましい。
ここで、例えばホットプレス装置を用いて加圧焼結し、成形工程S02と焼結工程S03とを同時に実施してもよい。
(機械加工工程S04)
上述のようにして得られた焼結体に対して機械加工を行うことにより、本実施形態であるスパッタリングターゲットが製造される。
上述のようにして得られた焼結体に対して機械加工を行うことにより、本実施形態であるスパッタリングターゲットが製造される。
以上のような構成とされた本実施形態に係るスパッタリングターゲットによれば、銅とアルカリ金属化合物からなり、母相となる銅相11中にアルカリ金属化合物が分散した分散相12を有する組織とされているので、アルカリ金属を含むCu膜を成膜することができる。
そして、相対密度が90%以上であり、分散相12の最大粒子径が25μm以下とされているので、空隙が少なく、かつ、分散相12のサイズが小さく抑えられており、空隙や分散相12に起因した異常放電の発生を抑制することができ、安定してアルカリ金属を含むCu膜を成膜することができる。
そして、相対密度が90%以上であり、分散相12の最大粒子径が25μm以下とされているので、空隙が少なく、かつ、分散相12のサイズが小さく抑えられており、空隙や分散相12に起因した異常放電の発生を抑制することができ、安定してアルカリ金属を含むCu膜を成膜することができる。
また、本実施形態において、金属成分として、アルカリ金属の含有量が0.1原子%以上12.5原子%以下の範囲内、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有する場合には、アルカリ金属を十分に含むCu膜を成膜できるとともに、銅相11中にアルカリ金属化合物が分散した分散相12の個数が少なくなり、分散相12に起因した異常放電の発生をさらに抑制することが可能となる。
本実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法によれば、アルカリ金属化合物粉と銅粉とを粉砕混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉作製工程S01において、焼結原料粉中における銅粉の粒度分布から(1)式にて算出される粒指数Dを1.6以上としているので、焼結原料粉中の銅粉が必要以上に変形しておらず、焼結後の密度を十分に向上させることが可能となる。
また、本実施形態において、焼結原料粉作製工程S01における粉砕混合時間をX(時間)、アルカリ金属化合物粉の最大粒子径をAd(μm)、アルカリ金属化合物粉の含有比率をAw(mass%)、銅粉の含有比率をCw(mass%)、粉砕混合前の銅粉の粒指数をD´としたときに、上述した(2)式を満足するように粉砕混合時間Xを調整した場合には、アルカリ金属化合物粉を十分に微細化することが可能となるとともに、銅粉の変形を十分に抑制することができる。よって、分散相12のサイズが十分に小さく、かつ、相対密度が十分に高いスパッタリングターゲットを確実に製造することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下に、前述した本発明のスパッタリングターゲット及びスパッタリングターゲットの製造方法について評価した評価試験の結果について説明する。
表1に示す原料比率でアルカリ金属化合物粉及び銅粉を秤量した。これらをボールミル法によって粉砕混合した。容積10Lのポリエチレンポットに直径2mmのジルコニアボールとアルカリ金属化合物粉及び銅粉を、重量比でボール:アルカリ金属化合物粉及び銅粉=2:1となるように投入し、回転速度は80rpmとし、表2に示す時間で粉砕混合した。混合前の原料の総重量は3000g、銅粉の粒指数D’は3.3である。
ここで、粉砕混合前の銅粉の粒指数D´、及び、粉砕混合後の焼結原料粉中の銅粉の粒指数Dは、以下のようにして測定した。
レーザ回折式粒度分布測定法(湿式:水)を用いて、各種銅粉のD10、D50,D90の値を測定し、上述の(1)式に基づいて粒指数D(D´)を算出した。なお、焼結原料粉中のアルカリ金属化合物粉は、液体媒体中に溶け込むため、混合原料粉を湿式のレーザ回折式粒度分布測定法で粒度分布を解析することで、焼結原料粉中の銅粉の粒度分布を測定することになる。
レーザ回折式粒度分布測定法(湿式:水)を用いて、各種銅粉のD10、D50,D90の値を測定し、上述の(1)式に基づいて粒指数D(D´)を算出した。なお、焼結原料粉中のアルカリ金属化合物粉は、液体媒体中に溶け込むため、混合原料粉を湿式のレーザ回折式粒度分布測定法で粒度分布を解析することで、焼結原料粉中の銅粉の粒度分布を測定することになる。
また、アルカリ金属化合物粉の最大粒径は、レーザ回折式粒度分布測定法(乾式:大気)を使用し、得られた最大の粒径を表2に示した。
上述のように粉砕混合して得られた焼結原料粉を成形型に充填した。
次に、表2に示す方法、条件で、加圧及び焼結を実施した。焼結の温度は650℃、圧力は20MPaとした。ここで、表2において、「一軸加圧」はホットプレスを用いて加圧しながら焼結を行ったものであり、「常圧焼結」は常温でCIP(冷間静水圧プレス)にて加圧して成形体とした後、常圧焼結を行ったものである。
次に、表2に示す方法、条件で、加圧及び焼結を実施した。焼結の温度は650℃、圧力は20MPaとした。ここで、表2において、「一軸加圧」はホットプレスを用いて加圧しながら焼結を行ったものであり、「常圧焼結」は常温でCIP(冷間静水圧プレス)にて加圧して成形体とした後、常圧焼結を行ったものである。
その後、機械加工を行い、円形平板形状のスパッタリングターゲット(φ125mm×厚さ6mm)を製造した。
作製された本発明例及び比較例のスパッタリングターゲットについて、以下の項目について評価した。評価結果を表3に示す。
作製された本発明例及び比較例のスパッタリングターゲットについて、以下の項目について評価した。評価結果を表3に示す。
(相対密度)
まず、理論密度を算出した。理論密度は、Cu及びアルカリ金属化合物の含有量比によって変動する。Cu及びアルカリ金属化合物は、それぞれ独立して存在している為、下記式にて算出した。
(理論密度)=100/((Wa/Ma)+(Wb/Mb))
Wa:Cuの重量比、Ma:Cuの理論密度
Wb:アルカリ金属化合物の重量比、Mb:アルカリ金属化合物の理論密度
なお、アルカリ金属化合物の重量比Wbについては、ICPでCuの重量比Wa(mass%)及びアルカリ金属の重量比(mass%)を測定するとともに、XRDにてアルカリ金属化合物を特定し、これらの結果から算出した。
まず、理論密度を算出した。理論密度は、Cu及びアルカリ金属化合物の含有量比によって変動する。Cu及びアルカリ金属化合物は、それぞれ独立して存在している為、下記式にて算出した。
(理論密度)=100/((Wa/Ma)+(Wb/Mb))
Wa:Cuの重量比、Ma:Cuの理論密度
Wb:アルカリ金属化合物の重量比、Mb:アルカリ金属化合物の理論密度
なお、アルカリ金属化合物の重量比Wbについては、ICPでCuの重量比Wa(mass%)及びアルカリ金属の重量比(mass%)を測定するとともに、XRDにてアルカリ金属化合物を特定し、これらの結果から算出した。
測定密度は、得られたスパッタリングターゲットから測定試料を採取し、アルキメデス法によって測定した。
そして、以下の式により、相対密度(%)を算出した。
(相対密度)=((測定密度)/(理論密度))×100
そして、以下の式により、相対密度(%)を算出した。
(相対密度)=((測定密度)/(理論密度))×100
(アルカリ金属化合物粒子の最大粒子径)
得られたスパッタリングターゲットから観察試料を採取し、スパッタ面に対して、クロスセッションポリッシャ加工(CP加工)を行い、プローブマイクロアナライザ(EPMA)装置(日本電子株式会社製)を用いて、1000倍でアルカリ金属の元素マッピング像をそれぞれ5枚撮影した。元素マッピング像から、アルカリ金属の外形が内包される最小の円の直径を粒子径として測定し、その最大粒子径を表3に記載した。
得られたスパッタリングターゲットから観察試料を採取し、スパッタ面に対して、クロスセッションポリッシャ加工(CP加工)を行い、プローブマイクロアナライザ(EPMA)装置(日本電子株式会社製)を用いて、1000倍でアルカリ金属の元素マッピング像をそれぞれ5枚撮影した。元素マッピング像から、アルカリ金属の外形が内包される最小の円の直径を粒子径として測定し、その最大粒子径を表3に記載した。
(異常放電)
以下に示す条件でスパッタ成膜を行い、DC電源装置(京三製作所製HPK06Z−SW6)に備えられているアークカウント機能により、異常放電の回数をカウントした。評価結果を表3に示す。
電源:DC
Arガス圧:0.5Pa
スパッタ電力:500W
スパッタ時間:1時間
以下に示す条件でスパッタ成膜を行い、DC電源装置(京三製作所製HPK06Z−SW6)に備えられているアークカウント機能により、異常放電の回数をカウントした。評価結果を表3に示す。
電源:DC
Arガス圧:0.5Pa
スパッタ電力:500W
スパッタ時間:1時間
粉砕混合後の焼結原料粉中の銅粉の粒指数Dが1.5である比較例1においては、相対密度87%と低くなり、異常放電回数が60回となった。粉砕混合時に銅粉が大きく変形したため、焼結時に密度が十分に上昇しなかったと推測される。
母相となる銅相中に分散したアルカリ金属化合物粒子の最大粒子径が41μmである比較例2においては、異常放電回数が42回となった。粗大なアルカリ金属化合物粒子に起因して異常放電が発生したと推測される。
母相となる銅相中に分散したアルカリ金属化合物粒子の最大粒子径が41μmである比較例2においては、異常放電回数が42回となった。粗大なアルカリ金属化合物粒子に起因して異常放電が発生したと推測される。
これに対して、本発明例1−23においては、母相となる銅相中に分散したアルカリ金属化合物粒子の最大粒子径が25μm以下であり、かつ、相対密度が90%以上であり、異常放電回数が8回以下に抑えられていた。
以上のことから、本発明例によれば、アルカリ金属化合物に起因した異常放電の発生を抑制でき、アルカリ金属を含むCu膜を安定して成膜することが可能なスパッタリングターゲット、及び、このスパッタリングターゲットの製造方法を提供可能であることが確認された。
11 銅相
12 分散相
12 分散相
Claims (4)
- 銅とアルカリ金属化合物からなり、母相である銅相中に前記アルカリ金属化合物が分散している分散相を有し、相対密度が90%以上であり、
前記分散相の最大粒子径が25μm以下であることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 金属成分として、アルカリ金属の含有量が0.1原子%以上12.5原子%以下の範囲内、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
- アルカリ金属化合物粉と銅粉とを粉砕混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉作製工程と、前記焼結原料粉を焼結して焼結体を得る焼結工程と、を有し、
前記焼結原料粉中における前記銅粉の粒度分布から以下の式で算出される粒指数Dが1.6以上であることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
粒指数D=(D90−D50)/(D50−D10) - 前記焼結原料粉作製工程における粉砕混合時間をX(時間)、粉砕混合前の前記アルカリ金属化合物粉の最大粒子径をAd(μm)、前記アルカリ金属化合物粉の含有比率をAw(mass%)、前記銅粉の含有比率をCw(mass%)、粉砕混合前の銅粉の粒指数をD´としたときに、以下の関係式を満足するように、粉砕混合時間Xを調整することを特徴とする請求項3に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
12+(Aw/300×Ad)≦X≦32+(Cw×D´)/50
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