JP2019044222A - In−Cu合金粉末、In−Cu合金粉末の製造方法、In−Cu合金スパッタリングターゲット及びIn−Cu合金スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents

In−Cu合金粉末、In−Cu合金粉末の製造方法、In−Cu合金スパッタリングターゲット及びIn−Cu合金スパッタリングターゲットの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸素含有量の少ないIn−Cu合金粉末とその製造方法、スパッタ時の異常放電回数の少ないIn−Cu合金スパッタリングターゲットとその製造方法を提供する。【解決手段】In−Cu合金粉末は、酸素含有量が1000質量ppm以下である。In−Cu合金粉末の製造方法は、InとCuとを含む原料金属を投入した耐熱容器を10Pa以下の真空度にする真空引き工程と、耐熱容器に酸素濃度が50体積ppm以下の不活性ガスを導入し、耐熱容器の内部を不活性ガスで満たした後、1100℃以上に加熱して、原料金属を溶融させ溶融原料とする溶融工程と、700℃以上の温度で溶融原料を酸素濃度が50体積ppm以下の不活性ガスでアトマイズするアトマイズ工程とを備える。In−Cu合金スパッタリングターゲットは、酸素含有量が1000質量ppm以下の焼結体であり、その製造方法は前記のIn−Cu合金粉末を含む原料粉末を焼結する。【選択図】なし

Description

本発明は、In−Cu合金の薄膜を成膜する際に用いられるIn−Cu合金スパッタリングターゲットとその製造方法に関する。本発明はまた、このIn−Cu合金スパッタリングターゲットを製造する際に有利に用いることができるIn−Cu合金粉末とその製造方法に関する。
従来、化合物半導体の薄膜太陽電池として、Cu−In−Ga−Se系合金の光吸収層を備えたCIGS系太陽電池が広く提供されている。
そして、この光吸収層を蒸着法により成膜する方法が知られている。蒸着法によって成膜された光吸収層を備えた太陽電池は、エネルギー交換効率が高いが、蒸着法は、大面積の基板に対して均一に成膜することが難しく、大面積の基板での製造が困難であるという点で生産効率が低い。
そこで、光吸収層を大面積の基板に対しても均一に形成する方法として、InとCuとGaを含む薄膜、又はこれらの元素を含む薄膜の積層膜を形成し、これをSe雰囲気中で熱処理してセレン化する方法が提供されている。ここで、薄膜を成膜する際には、各元素を含有するスパッタリングターゲットを用いたスパッタ法が適用される。InとCuを含む薄膜を成膜するためのスパッタリングターゲットは、以下の文献に記載されている。
特許文献1には、0.5〜7.5at%のCuを含有し、残部In及び不可避不純物からなるスパッタリングターゲットが記載されている。特許文献2には、30〜80原子%のCuを含有し、残部In及び不可避不純物からなるスパッタリングターゲットが記載されている。特許文献3には、Cuを5wtppm〜10000wtppmで含有し、酸素濃度が20wtppm以下で、残部がInからなるスパッタリングターゲットが記載されている。
特開2012−052190号公報 特開2012−079997号公報 国際公開第2015/004958号
ところで、特許文献1、3には、スパッタリングターゲットの製造方法として、InとCuを含む合金を溶解し、得られた溶湯を鋳造する溶解鋳造法が記載されている。しかしながら、溶解鋳造法では、InとCuとの比重差によって、溶湯中のInとCuとが偏析して、得られるスパッタリングターゲットに組成むらが大きくなるおそれがある。特に最近では、スパッタリングターゲットの大型化が望まれているが、溶解鋳造法では、サイズが大型になるほど、使用する溶湯が多量となるためInとCuが偏析しやすくなり、得られるスパッタリングターゲットに組成むらが生じやすくなる傾向がある。スパッタリングターゲットの組成むらが大きくなると、そのスパッタリングターゲットを用いて成膜した薄膜の組成むらが大きくなり、結果として太陽電池の光吸収層の組成むらが大きくなり、発電効率の低下につながる。
一方、特許文献2には、スパッタリングターゲットとして、純InターゲットにCuチップをチップオンしたものとIn−Cu合金ターゲットが記載されている。しかしながら、チップオンしたスパッタリングターゲットでは、InとCuとが互いに分離しているので、組成が均一な膜を成膜するのが難しい。一方、In−Cu合金ターゲットを粉末焼結法によって製造すれば、組成むらは防げるが、粉末原料は酸素含有量が多いため、スパッタリングターゲット中の酸素含有量が増大し、スパッタ時に異常放電が多発するおそれがある。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、In−Cu合金スパッタリングターゲットを製造する際に有利に用いることができるIn−Cu合金粉末、すなわち酸素含有量の少ないIn−Cu合金粉末とその製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、スパッタ時の異常放電の少ないIn−Cu合金スパッタリングターゲットと、その製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のIn−Cu合金粉末は、InとCuとを含み、酸素含有量が1000質量ppm以下であることを特徴としている。
このような構成とされた本発明のIn−Cu合金粉末によれば、酸素含有量が1000質量ppm以下と少ないので、このIn−Cu合金粉末を原料とすることで、酸素含有量が少なく、異常放電が発生しにくいIn−Cu合金スパッタリングターゲットを製造することが可能となる。
ここで、本発明のIn−Cu合金粉末においては、メディアン径D50が5μm以上150μm以下であることが好ましい。
この場合、In−Cu合金粉末のメディアン径D50が5μm以上150μm以下なので、このIn−Cu合金粉末から製造されるIn−Cu合金スパッタリングターゲットの酸素含有量を低く維持しながら、結晶粒子を微細化でき、切削加工時におけるチッピングを抑制できるとともに、チッピング跡に起因する異常放電を抑制できる。さらに、結晶粒子の持つ酸化膜厚が薄くなるため、スパッタ時に発生するノジュールやパーティクルを抑制することができる。
また、本発明のIn−Cu合金粉末においては、D10とメディアン径D50との比D10/D50が1/2以下である、もしくはD90とメディアン径D50との比D90/D50が2以上である、あるいはその両方であることが好ましい。
この場合、In−Cu合金粉末の粒子径分布の幅が広いため、In−Cu粉末を充填した際の初期充填密度が向上し、より高密度な焼結体を得ることができる。
さらに、本発明のIn−Cu合金粉末においては、45原子%以上90原子%以下のInを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有することが好ましい。
この場合、In−Cu合金粉末が45原子%以上90原子%以下のInを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有するので、このIn−Cu合金粉末から製造されるIn−Cu合金スパッタリングターゲットの組織中にInよりも硬いCu11In化合物相が形成され、これが破壊の起点となり、切削加工性を大幅に向上できる。また、In−Cu合金スパッタリングターゲットの結晶粒子を微細化させ、高密度化できる。
またさらに、本発明のIn−Cu合金粉末においては、In単体相とCu11In化合物相とを有し、前記In単体相のX線回折強度I(In)と前記Cu11In化合物相のX線回折強度I(Cu11In)との強度比I(In)/I(Cu11In)が0.01以上3以下であることが好ましい。
この場合、このIn−Cu合金粉末から製造されるIn−Cu合金スパッタリングターゲットも同様の相構成となり、In単体相と、In単体相よりも硬いCu11In化合物相とを有するので、切削加工性を大幅に向上できる。また、In単体相とCu11In化合物相のX線回折強度比I(In)/I(Cu11In)が0.01以上3以下なので、延性に優れたIn単体相と、破壊の起点となるCu11In化合物相とがバランスよく存在し、加工時の割れや欠けを抑制できるとともに、切削加工性を確実に向上できる。
本発明のIn−Cu合金粉末の製造方法は、InとCuとを含む原料金属を投入した耐熱容器を10Pa以下の真空度にする真空引き工程と、前記耐熱容器に酸素濃度が50体積ppm以下の不活性ガスを導入し、前記耐熱容器の内部を前記不活性ガスで満たした後、1100℃以上に加熱して、前記原料金属を溶融させ溶融原料とする溶融工程と、700℃以上の温度で前記溶融原料を酸素濃度が50体積ppm以下の不活性ガスでアトマイズするアトマイズ工程と、を備えることを特徴としている。
このような構成とされた本発明のIn−Cu合金粉末の製造方法によれば、耐熱容器を10Pa以下に真空引きした後、酸素濃度が50体積ppm以下の不活性ガスを導入するので、耐熱容器内部の酸素量を大幅に低減させることができる。また、酸素量を大幅に低減させた耐熱容器内部で、1100℃以上の温度で原料金属を加熱溶融させ、さらに700℃以上の温度で溶融原料を酸素濃度が50体積ppm以下の不活性ガスでアトマイズするので、酸素含有量が1000質量ppm以下に低減されたIn−Cu合金粉末を得ることができる。
ここで、本発明のIn−Cu合金粉末の製造方法においては、前記不活性ガスは、窒素ガスであることが好ましい。
この場合、不活性ガスとして窒素ガスを用いるので、アルゴンなどの希ガスと比較した場合、気体の持つ熱伝導率が高いため溶融原料の冷却がより早くなりIn−Cu合金粉末の酸素含有量をさらに低減できると考えられる。
本発明のIn−Cu合金スパッタリングターゲットの製造方法は、上述のIn−Cu合金粉末を含む原料粉末を焼結することを特徴とする。
このような構成とされた本発明のIn−Cu合金スパッタリングターゲットの製造方法によれば、酸素含有量の少ないIn−Cu合金粉末を含む原料粉末を焼結するので、酸素含有量が少なく異常放電の発生しにくいスパッタリングターゲットを製造できる。
本発明のIn−Cu合金スパッタリングターゲットは、InとCuとを含み、酸素含有量が1000質量ppm以下の焼結体からなることを特徴としている。
このような構成とされた本発明のIn−Cu合金スパッタリングターゲットによれば、酸素含有量が1000質量ppm以下と少ないので、異常放電を抑制できる。
ここで、本発明のIn−Cu合金スパッタリングターゲットにおいては、平均結晶粒子径が5μm以上150μm以下であることが好ましい。
この場合、平均結晶粒子径が5μm以上150μm以下なので、In−Cu合金スパッタリングターゲットの酸素含有量を低く維持しながら、結晶粒子を微細化でき、切削加工時におけるチッピングを抑制できるとともに、チッピング跡に起因する異常放電を抑制できる。
また、本発明のIn−Cu合金スパッタリングターゲットにおいては、45原子%以上90原子%以下のInを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有することが好ましい。
この場合、Inを45原子%以上90原子%以下の範囲で含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有するので、In−Cu合金スパッタリングターゲットの組織中にInよりも硬いCu11In化合物相が形成され、これが破壊の起点となり、切削加工性を大幅に向上できる。また、スパッタリングターゲットの結晶粒子を微細化させ、高密度化できる。
さらに、本発明のIn−Cu合金スパッタリングターゲットにおいては、In単体相とCu11In化合物相とを有し、前記In単体相のX線回折強度I(In)と前記Cu11In化合物相のX線回折強度I(Cu11In)の強度比I(In)/I(Cu11In)が0.01以上3以下であることが好ましい。
この場合、In単体相と、In単体相よりも硬いCu11In化合物相とが存在するので、切削加工性を大幅に向上できる。また、In単体相とCu11In化合物相のX線回折強度比I(In)/I(Cu11In)が0.01以上3以下なので、延性に優れたIn単体相と、破壊の起点となるCu11In化合物相とがバランスよく存在しており、加工時の割れや欠けを抑制できるとともに、切削加工性を確実に向上できる。
本発明によれば、酸素含有量の少ないIn−Cu合金粉末とその製造方法を提供することが可能となる。また、本発明によれば、スパッタ時の異常放電の少ないIn−Cu合金スパッタリングターゲットと、その製造方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るIn−Cu合金粉末の製造方法を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係るIn−Cu合金スパッタリングターゲットのX線回折パターンの一例である。 本発明の一実施形態に係るIn−Cu合金スパッタリングターゲットの組織観察写真の一例である。 本発明の一実施形態に係るIn−Cu合金スパッタリングターゲットの製造方法を示すフロー図である。
以下に、本発明の実施形態であるIn−Cu合金粉末、In−Cu合金粉末の製造方法、In−Cu合金スパッタリングターゲット及びIn−Cu合金スパッタリングターゲットの製造方法について、添付した図面を参照して説明する。
<In−Cu合金粉末>
本実施形態に係るIn−Cu合金粉末は、InとCuとを含み、酸素含有量が1000質量ppm以下である。より具体的には、In−Cu合金粉末は、45原子%以上90原子%以下のInを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有する。In−Cu合金粉末のメディアン径D50は5μm以上150μm以下であり、D10がメディアン径D50に対して1/2倍以下、若しくは、D90がメディアン径D50の2倍以上、あるいはその両方である。また、In−Cu合金粉末は、In単体相とCu11In化合物相とを有し、In単体相及びCu11In化合物相のXRDのピーク比I(In)/I(Cu11In)が0.01以上3以下である。
以下に、本実施形態のIn−Cu合金粉末において、上述のように規定した理由を説明する。
(酸素含有量:1000質量ppm以下)
In−Cu合金粉末中の酸素含有量が1000質量ppmを超えると、これを用いて製造されるスパッタリングターゲットの酸素含有量も1000質量ppmを超えてしまい、組織中に存在する酸化物に起因してノジュールやパーティクルの発生が増加し、異常放電が発生しやすくなるおそれがある。このため、本実施形態では、In−Cu合金粉末中の酸素含有量を1000質量ppm以下としている。
酸素含有量の下限は特に制限されないが、酸素低減のために粒子径を過度に大きくする必要が生じることから、例えば、10質量ppmである。
酸素含有量は、10質量ppm以上500質量ppm以下であることが好ましく、20質量ppm以上200質量ppm以下であることがより好ましい。
なお、In−Cu合金粉末の粒子径を微細化すると比表面積が増加し、In−Cu合金粉末中の酸素含有量が多くなる傾向にあることから、その酸素含有量を低減するには、後述の製造方法によってIn−Cu合金粉末を製造する。
(In:45原子%以上90原子%以下)
InにCuを添加したIn−Cu合金粉末を用いてIn−Cu合金スパッタリングターゲットを製造すれば、その組織中にInよりも硬いCu11In化合物相が形成され、切削加工性を大幅に向上できる。また、In−Cu合金スパッタリングターゲットの結晶粒子を微細化できる。
ここで、Inの含有量が45原子%未満であると、In単体相が少なくなり、スパッタリングターゲットの密度が低下するおそれがある。一方、Inの含有量が90原子%を超えると、Cu11In化合物相が十分に形成されず、切削加工性が向上しないおそれがある。
このため、本実施形態においては、Inの含有量を45原子%以上90原子%以下としている。
Inの含有量は50原子%以上80原子%以下であることが好ましく、55原子%以上70原子%以下であることがより好ましい。
なお、Inの含有量を70原子%以下とすれば、圧延加工が可能となり、In−Cu合金スパッタリングターゲットの生産効率を大幅に向上できる。
(メディアン径D50:5μm以上150μm以下)
上述のように、スパッタリングターゲットの組織にCu11In化合物相が存在することにより、切削加工性を向上できる。ただし、このCu11In化合物相の平均粒子径が150μmを超えて粗大になると、切削加工時にチッピングの原因となるおそれがある。また、このチッピング跡に起因してスパッタ時に異常放電が発生するおそれがある。メディアン径D50が150μm以下のIn−Cu合金粉末を用いてIn−Cu合金スパッタリングターゲットを製造すれば、Cu11In化合物相の平均粒子径を150μm以下とすることができる。
なお、チッピングを確実に抑制するためには、In−Cu合金粉末のメディアン径D50を100μm以下とし、Cu11In化合物相の平均粒子径を100μm以下とすることが好ましい。
一方、In−Cu合金粉末のメディアン径D50が5μm未満であると、表面積が大きくなり、酸素含有量が増大するおそれがある。
このため、本実施形態においては、In−Cu合金粉末のメディアン径D50を5μm以上150μm以下としている。
In−Cu合金粉末のメディアン径D50は、10μm以上120μm以下であることが好ましく、20μm以上80μm以下であることがより好ましい。
(D10/D50が1/2以下、もしくは、D90/D50が2以上)
InにCuを添加したIn−Cu合金粉末を用いて、粉末焼結でIn−Cu合金スパッタリングターゲットを製造する際、粉末を充填型に充填する際の充填密度は、焼結後の密度に密接に関係する。特に粉末中に純In(In単体相)が存在する場合、焼結温度をInの融点以下に設定する必要があるため、充填密度を可能な限り高くすることで、より高密度な焼結体を得ることができる。
ここで、D10とメディアン径D50との比D10/D50が1/2を超え、かつ、D90とメディアン径D50との比D90/D50が2未満であると、充填型への充填密度が低くなり、スパッタリングターゲットの密度が低下するおそれがある。
このため、本実施形態においては、D10/D50が1/2以下、もしくは、D90/D50が2以上、あるいはその両方としている。
ここで、D10は、累積粒度分布曲線(篩下)において、累積値が10体積%となる粒子径を意味する。メディアン径D50は、累積粒度分布曲線(篩下)において、累積値が50体積%となる粒子径を意味する。D90は、累積粒度分布曲線(篩下)において、累積値が90体積%となる粒子径を意味する。
(In単体相及びCu11In化合物相のXRDのピーク比I(In)/I(Cu11In):0.01以上3以下)
In−Cu合金粉末のI(In)/I(Cu11In)が0.01未満の場合には、これを用いて製造したスパッタリングターゲットも同様の相構成となり、延性に優れたIn単体相の割合が少ないので、加工時に割れや欠けが発生するおそれがある。一方、I(In)/I(Cu11In)が3を超える場合には、Cu11In化合物相の割合が少なくなり、切削加工性が十分に向上しないおそれがある。
このため、本実施形態においては、I(In)/I(Cu11In)を0.01以上3以下としている。
I(In)/I(Cu11In)は、0.05以上2以下であることが好ましく、0.5以上1以下であることがより好ましい。
なお、本実施形態においては、I(Cu11In)を、Cu11In(DBカード01−065−4963)の(313)面に帰属されるピーク強度とした。また、I(In)を、In(DBカード01−074−6393)の(110)面に帰属されるピーク強度とした。なお、Inのメインピークは(101)であるが、Cu11Inの(310)のピークと重なることから、I(In)の算出には、(110)面を用いた。
<In−Cu合金粉末の製造方法>
本実施形態に係るIn−Cu合金粉末の製造方法は、図1のフローに示すように、InとCuとを含む原料金属を設置した容器を10Pa以下の真空度にする真空引き工程S01と、容器に酸素濃度が50体積ppm以下の不活性ガスを導入し、1100℃以上に加熱して、原料金属を溶融させ溶融原料とする溶融工程S02と、700℃以上の温度で溶融原料をアトマイズするアトマイズ工程S03とを備える。
以下、各工程について説明する。
(真空引き工程S01)
真空引き工程S01では、まず、InとCuとを含む原料金属を、アトマイズ装置の耐熱容器(るつぼ)に投入する。原料金属としては、例えば、純度99.99質量%以上のCu金属塊と、純度99.99質量%以上のIn金属塊を用いる。
次に、原料金属を投入した耐熱容器を10Pa以下の真空度にする。
ここで、到達真空度が10Paを超えると、雰囲気中に存在する酸素濃度が高くなるので、In−Cu合金粉末の酸素含有量を十分に低減することができないおそれがある。
このため、本実施形態においては、到達真空度を10Pa以下としている。到達真空度の下限は特に制限されないが、例えば、10−4Paである。到達真空度は、1Pa以下とすることが好ましく、10−1Pa以下とすることがより好ましい。
(溶融工程S02)
溶融工程S02では、耐熱容器に酸素濃度が50体積ppm以下の不活性ガスを導入し、耐熱容器の内部を不活性ガスで満たした後、1100℃以上に加熱して、原料金属を溶融させる。
ここで、不活性ガスの酸素濃度が50体積ppmを超える場合、粉末の酸素濃度が高くなる。不活性ガスの酸素濃度の下限は、特に制限されないが、例えば、1体積ppmである。酸素濃度は、10体積ppm以下とすることが好ましく、5体積ppm以下とすることがより好ましい。
加熱温度が1100℃未満であると、原料インゴットに含まれる酸化物層由来の酸素を除去しにくく、得られるIn−Cu合金粉末の酸素含有量を十分に低減することができないおそれがある。
このため、本実施形態では、加熱温度を1100℃以上としている。
加熱温度の上限は特に制限されないが、インジウムの蒸発による組成ずれが発生することから、例えば、1200℃以下とすることが好ましい。
加熱温度は、1120℃以上1170℃以下とすることが好ましく、1140℃以上1160℃以下とすることがより好ましい。
本実施形態では、容器に導入する不活性ガスとして、窒素を用いる。窒素を用いることで、アルゴンと比較した際に、ガスの持つ熱伝導度が高いため、溶湯の冷却がより早くなりIn−Cu合金粉末の酸素含有量をより一層、低減できると考えられる。
(アトマイズ工程S03)
アトマイズ工程S03では、700℃以上の温度で溶融原料をアトマイズする。
ここで、アトマイズの噴射温度が700℃未満であると、アトマイズ時にノズルが閉塞しやすくなる。また、Cu11In化合物相の生成の割合が増加し、Inの生成量が低下するおそれがある。したがって、Inの含有量が45〜55原子%と比較的少ない場合には、特に注意が必要である。
以上のことから、本実施形態では、アトマイズの噴射温度を700℃以上としている。 アトマイズの噴射温度の上限は、特に制限されないが、例えば、900℃である。噴射温度が900℃を超えると、得られるIn−Cu合金粉末のIn単体相の割合がIn−Cu状態図から得られる割合に比べて多くなり、Cu11In化合物相が不足し、切削加工性が向上しにくくなるおそれがある。また、アトマイズ時にチャンバー内に粉が付着し、In−Cu合金粉末の収率が低下するおそれがある。
噴射温度は、750℃以上880℃以下とすることが好ましく、800℃以上850℃以下とすることがより好ましい。
また、本実施形態では、噴射ガスに酸素濃度が50体積ppm以下の不活性ガスを用い、噴射ガス圧を1.5MPa以上4.0MPa以下、ノズル径を0.5mm以上3.0mm以下とした。
ここで、噴射ガスの酸素濃度が50体積ppmを超える場合、粉末の酸素濃度が高くなる。噴射ガスの酸素濃度の下限は、特に制限されないが、例えば、1体積ppmである。酸素濃度は、10体積ppm以下とすることが好ましく、5体積ppm以下とすることがより好ましい。
噴射ガス圧が1.5MPaよりも低いと、アトマイズ粉(In−Cu合金粉末)が粗大になり、ターゲットを製造する際の切削加工時にチッピングが生じるおそれがある。また、このチッピング跡に起因してスパッタ時に異常放電が発生するおそれがある。噴射ガス圧が4.0MPaよりも高いと、アトマイズ粉が細かくなりすぎ、表面積の増加に伴う酸素量が増加し、異常放電の原因となるノジュールが発生するおそれがある。また、噴射ガス量が多いので、ノズルの冷却が進行しやすくなり、アトマイズ時に閉塞が発生しやすくなり、アトマイズ粉が得られにくくなる。
ノズル径が0.5mmよりも小さいと、アトマイズ時に閉塞が発生しやすくなり、アトマイズ粉が得られにくくなる。また、ノズル径が3.0mmよりも大きいと、アトマイズ粉が粗大になり、ターゲットを製造する際の切削加工時にチッピングが生じるおそれがある。また、このチッピング跡に起因してスパッタ時に異常放電が発生するおそれがある。
噴射ガス圧は、2.0MPa以上3.5MPa以下とすることが好ましく、2.5MPa以上3.0MPa以下とすることがより好ましい。
ノズル径は、0.75mm以上2.0mm以下とすることが好ましく、1.0mm以上1.5mm以下とすることがより好ましい。
なお、本実施形態では、得られたIn−Cu合金粉末を500μm以下の篩で分級した。
<In−Cu合金スパッタリングターゲット>
本実施形態に係るIn−Cu合金スパッタリングターゲットは、InとCuとを含み、酸素含有量が1000質量ppm以下の焼結体からなる。より具体的には、In−Cu合金スパッタリングターゲットは、45原子%以上90原子%以下のInを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有する。In−Cu合金スパッタリングターゲットの平均結晶粒子径は、5μm以上150μm以下である。また、In−Cu合金スパッタリングターゲットは、図2及び図3に示すように、In単体相とCu11In化合物相とを有し、In単体相及びCu11In化合物相のXRDのピーク比I(In)/I(Cu11In)が0.01以上3以下である。
さらに、本実施形態のIn−Cu合金スパッタリングターゲットでは、Cu11In化合物相の平均粒子径が150μm以下であり、In単体相の平均粒子径が1mm以下である。スパッタリングターゲットの理論密度比(組成から算出される理論密度に対する相対密度)は、85%以上である。
また、本実施形態のIn−Cu合金スパッタリングターゲットにおいては、さらに、アルカリ金属化合物を含有してもよい。例えば、Na化合物としてNaF、NaCl、NaS、NaSe、K化合物としてKF、KCl、KS、KSe、Rb化合物としてRbF、RbCl、RbS、RbSe、Cs化合物としてCsF、CsCl、CsS、CsSeを含有させることができる。これらのアルカリ金属化合物は1種を単独で含有させてもよいし、2種以上を組合せて含有させてもよい。
アルカリ金属化合物の平均粒子径は、10μm以下とされている。また、アルカリ金属の含有量は、In,Cu,Na,K,Rb,Csの合計に対するアルカリ金属(Na,K,Rb,Cs)の合計で、0.1原子%以上10原子%以下とされている。
以下に、本実施形態のIn−Cu合金スパッタリングターゲットにおいて、上述のように規定した理由を説明する。ただし、すでにIn−Cu合金粉末の説明において記載した内容については、説明を省略する。
(平均結晶粒子径:5μm以上150μm以下)
平均結晶粒子径が5μm以上150μm以下なので、スパッタリングターゲットの酸素含有量を低く維持しながら、結晶粒子を微細化でき、切削加工時におけるチッピングを抑制できるとともに、チッピング跡に起因する異常放電を抑制できる。
ここで、平均結晶粒子径を5μm未満とするためには、原料のIn−Cu合金粉末のメディアン径D50を小さくする必要があり、In−Cu合金粉末の酸素含有量が増大するおそれがある。平均結晶粒子径が150μmを超えると、切削加工時にチッピングが発生してスパッタ時の異常放電が増大するおそれがある。
このため、本実施形態においては、平均結晶粒子径を5μm以上150μm以下としている。平均結晶粒子径は、10μm以上100μm以下であることが好ましく、15μm以上50μm以下であることがより好ましい。
(In単体相の平均粒子径:1mm以下)
In単体相の平均粒子径を1mm以下とすることで、異常放電を抑制できる。
このため、本実施形態においては、In単体相の平均粒子径を1mm以下としている。
In単体相の平均粒子径の下限には特に制限はないが、例えば、0.010mm以上である。In単体相の平均粒子径は、0.5mm以下であることが好ましく、0.1mm以下であることがより好ましい。
In単体相の平均粒子径は、原料であるIn−Cu合金粉末のメディアン径D50により調整でき、In−Cu合金粉末のメディアン径D50を150μm以下とすれば、In単体相の平均粒子径を1mm以下にできる。
(理論密度比:85%以上)
スパッタリングターゲットの理論密度比が85%未満であると、空隙が多く存在するので、スパッタ時に異常放電が発生しやすくなるおそれがある。
このため、本実施形態においては、理論密度比を85%以上としている。
理論密度比の上限は、特に制限されないが、例えば、100%である。
理論密度比は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
なお、理論密度は、組成(Cu/In比)によって変動することから、本実施形態においては、当該Cu/In比の溶湯を溶製し、これを鋳造して徐冷(冷却速度5℃/min以下)することで得られた無欠陥の鋳塊(10cm×10cm×10cm)の密度を、「理論密度」とした。
(アルカリ金属化合物の平均粒子径:10μm以下)
アルカリ金属の平均粒子径が10μmを超えると、スパッタ時に異常放電が発生するおそれがある。
このため、本実施形態では、アルカリ金属化合物の平均粒子径は10μm以下としている。
アルカリ金属化合物の平均粒子径の下限は、特に制限されないが、例えば、0.1μmである。アルカリ金属の平均粒子径は、7μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
(アルカリ金属の含有量:0.1原子%以上10原子%以下)
アルカリ金属(Na,K,Rb,Cs)の合計含有量が0.1原子%未満の場合には、添加による変換効率の向上効果が得られにくく、10原子%を超える場合には、アルカリ金属に起因する異常放電が多発するおそれがある。
このため、本実施形態では、アルカリ金属の含有量は、In,Cu,Na,K,Rb,Csの合計に対するアルカリ金属(Na,K,Rb,Cs)の合計で0.1原子%以上10原子%以下としている。
アルカリ金属の含有量は、0.2原子%以上3原子%以下であることが好ましく、0.3原子%以上1原子%以下であることがより好ましい。
<スパッタリングターゲットの製造方法>
本実施形態のスパッタリングターゲットは、上述のIn−Cu合金粉末を含む原料粉末を焼結することで製造される。
本実施形態に係るスパッタリングターゲットの製造方法は、図4のフローに示すように、焼結工程S11と、機械加工工程S12とを備える。
以下、各工程について説明する。
(焼結工程S11)
焼結工程S11では、原料粉末をモールド内に充填し、加圧焼結を実施する。
原料粉末は、上述のIn−Cu合金粉末のみであってもよく、In−Cu合金粉末に、Cu粉末や、Na化合物粉末、K化合物粉末等のアルカリ金属化合物粉末を混合した混合粉末であってもよい。
Cu粉末を用いる場合、純度が4N以上、メディアン径D50が5〜50μm、酸素含有量1000質量ppm以下とする。また、電解Cu粉が好ましい。純度が4N以上である理由は、純度が低いと太陽電池の性能劣化につながる可能性があるためである。メディアン径D50が5〜50μmである理由は、5μm未満であると表面積増加に伴う酸素濃度上昇につながり、異常放電の原因となるノジュールが生成しやすくなる。メディアン径D50が50μmを超えると、アルカリ金属化合物との粉砕混合の際に、アルカリ金属化合物の凝集が発生して、スパッタ時の異常放電の原因となりうる。また、焼結時に密度が向上しにくくなる。酸素含有量が1000質量ppmより多い場合、ターゲット中に含まれる酸素濃度が高くなり、異常放電の原因となるノジュールが発生しやすくなる。
In−Cu合金粉末と他の粉末との混合条件としては、例えば、10Lポットのボールミルでφ5mmのジルコニアボールを用いて回転数85rpmで24時間混合する条件である。ただし、In−Cu合金粉末のInの組成比率が高い場合、例えば70原子%以上の場合は、ジルコニアボールにInが付着しやすくなるおそれがある。このため、In−Cu合金粉末のInの組成比率が高い場合は、ロッキングミキサー等のマイルドな混合装置を使用することが好ましい。ロッキングミキサーを使用する場合は、粉砕力がボールミルに劣るため、あらかじめアルカリ金属化合物粉末については、それ単体で粉砕をしておくことが望ましい。
この焼結工程S11においては、加熱温度をInの融点(156.6℃)よりも10〜40℃低い温度とし、圧力を20〜100MPa、保持時間を1〜3時間とした。また、焼結時の雰囲気を10Pa以下の真空中あるいは、Ar等の不活性ガス中にすることで、原料粉の酸化を防ぎ、焼結体においても酸素含有量を1000質量ppm以下に制御できる。なお、不活性ガス雰囲気にて実施する場合は、不活性ガスを真空置換により導入した。このときの到達真空度は10Pa以下とした。さらに500μm以下に分級された原料粉を用いるので、平均結晶粒子径が150μm以下の焼結体を得ることできる。以上の条件により、理論密度比が85%以上の焼結体を得ることができる。
(機械加工工程S12)
機械加工工程S12では、焼結工程S11で得られた焼結体に対して、旋盤加工、フライス加工等の機械加工を実施する。これにより、所定形状のIn−Cu合金スパッタリングターゲットを得る。
<効果>
本実施形態に係るIn−Cu合金粉末によれば、酸素含有量が1000質量ppm以下と少ないので、このIn−Cu合金粉末を原料とすることで、酸素含有量が少なく異常放電が発生しにくいスパッタリングターゲットを製造できる。
本実施形態においては、In−Cu合金粉末のメディアン径D50が5μm以上150μm以下なので、このIn−Cu合金粉末から製造されるIn−Cu合金スパッタリングターゲットの酸素含有量を低く維持しながら、結晶粒子を微細化でき、切削加工時におけるチッピングを抑制できるとともに、チッピング跡に起因する異常放電を抑制できる。
本実施形態においては、In−Cu合金粉末が45原子%以上90原子%以下のInを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有するので、この合金粉末から製造されるスパッタリングターゲットの組織中にInよりも硬いCu11In化合物相が形成され、これが破壊の起点となり、切削加工性を大幅に向上できる。また、スパッタリングターゲットの結晶粒子を微細化させ、高密度化できる。
本実施形態においては、In−Cu合金粉末がIn単体相とCu11In化合物相とを有し、In単体相及びCu11In化合物相のXRDのピーク比I(In)/I(Cu11In)が0.01以上3以下なので、この合金粉末から製造されるスパッタリングターゲットも同様の相構成となり、In単体相と、In単体相よりも硬いCu11In化合物相とを有するので、切削加工性を大幅に向上できる。
また、In単体相及びCu11In化合物相のXRDのピーク比I(In)/I(Cu11In)が0.01以上3以下なので、延性に優れたIn単体相と、破壊の起点となるCu11In化合物相とがバランスよく存在し、加工時の割れや欠けを抑制できるとともに、切削加工性を確実に向上できる。
本実施形態のIn−Cu合金粉末の製造方法によれば、容器を10Pa以下に真空引きした後、不活性ガス雰囲気下1100℃以上で原料金属を加熱溶融させ、700℃以上の温度でアトマイズするので、酸素含有量が1000質量ppm以下に低減されたIn−Cu合金粉末を得ることができる。
本実施形態においては、不活性ガスとして窒素を用いるので、アルゴンと比較した際、気体の熱伝導度が高いため、溶湯の冷却速度が早くなり、合金粉末の酸素含有量をさらに低減できると考えられる。
本実施形態のIn−Cu合金スパッタリングターゲットによれば、合金粉末の効果として上述した内容に加えて、下記の効果が得られる。
本実施形態のIn−Cu合金スパッタリングターゲットにおいては、Cu11In化合物相の平均粒子径が150μm以下なので、切削加工時のチッピングとスパッタ時の異常放電を抑制できる。
本実施形態のIn−Cu合金スパッタリングターゲットにおいては、In単体相の平均粒子径が1mm以下と微細なので、スパッタの進行によってターゲット面が消費された場合でも、ターゲット面の凹凸が抑えられ、異常放電を抑制できる。
本実施形態のIn−Cu合金スパッタリングターゲットにおいては、さらに、アルカリ金属化合物を含有する場合には、アルカリ金属を含むIn膜を成膜できる。このIn膜を用いてCu−In−Ga−Se系合金薄膜を形成することで、CIGS系太陽電池の変換効率を向上できる。
さらに、アルカリ金属化合物の平均粒子径が10μm以下なので、スパッタ時の異常放電を抑制できる。
本実施形態のIn−Cu合金スパッタリングターゲットの製造方法によれば、酸素含有量の少ない合金粉末を含む原料粉末を焼結するので、酸素含有量が少なく異常放電の発生しにくいスパッタリングターゲットを製造できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更できる。
例えば、本実施形態の合金粉末の製造方法では、不活性ガスとして窒素を用いたが、これに限らず、アルゴン等の他の不活性ガスを用いてもよい。
また、本実施形態のIn−Cu合金スパッタリングターゲットでは、In単体相の平均粒子径を1mm以下としたものとして説明したが、これに限定されない。
本実施形態のIn−Cu合金スパッタリングターゲットでは、アルカリ金属化合物として、Na化合物、K化合物、Rb化合物またはCs化合物を含有してもよいと説明したが、これら化合物を2種以上含むものであってもよい。
以下に、本発明に係るIn−Cu合金粉末、In−Cu合金粉末の製造方法、In−Cu合金スパッタリングターゲット及びIn−Cu合金スパッタリングターゲットの製造方法の作用効果について評価した評価試験の結果を説明する。
<本発明例1〜14及び比較例1〜4:In−Cu合金粉末>
原料金属として、純度99.99質量%以上のCu金属塊と、純度99.99質量%以上のIn金属塊を用意した。これらの原料金属を、表1に示す配合比で全体重量が1200gとなるように秤量した。秤量した原料金属を、アトマイズ装置の耐熱容器(カーボン坩堝)に投入し、耐熱容器を表1に示す到達真空度まで真空引きした。次いで、耐熱容器に表1に記載の不活性ガスを耐熱容器の内圧力が0.1MPaとなるまで導入し、耐熱容器の内部を不活性ガスで満たした後、表1に記載の加熱温度に加熱して、原料金属を溶融させた。そして、耐熱容器内部で生成した溶融原料を表1に示す噴射温度でガスアトマイズし、In−Cu合金粉末を作製した。このとき、噴射ガスとしては、耐熱容器に導入したものと同じ不活性ガスを用い、噴射ガス圧とノズル径は表1に記載の値とした。また、比較例3では、噴射直後にノズルの閉塞が発生したため、アトマイズ粉(In−Cu合金粉末)を得ることができなかった。
得られたIn−Cu合金粉末について、組成、酸素含有量、粒度分布およびIn単体相存在比を、下記の方法により測定した。表2に、その結果を示す。なお、粒度分布は、メディアン径D50、D10/D50、D90/D50を示した。
(In−Cu合金粉末の組成)
In−Cu合金粉末を酸で溶解した。得られた溶液中のInの含有量をICPによって測定した。Cu及びその他の成分については、残部とした。
(In−Cu合金粉末の酸素含有量)
JIS Z 2613「金属材料の酸素定量方法通則」に記載された赤外線吸収法に準拠し、LECO社製TC600を用いて、酸素含有量を測定した。
(In−Cu合金粉末の粒度分布)
ヘキサメタリン酸ナトリウム濃度0.2%の水溶液を100mL調製し、この水溶液にIn−Cu合金粉末を10mg加え、レーザー回折散乱法(測定装置:日機装株式会社製、Microtrac MT3000)を用いて、粒子径分布を測定した。得られた粒子径分布から累積粒度分布曲線を作成し、D10、メディアン径D50、D90を得て、D10/D50、D90/D50を算出した。
(In−Cu合金粉末のIn単体相存在比)
In−Cu合金粉末のX線回折パターンを下記の条件で測定した。
装置:理学電気社製(RINT−Ultima/PC)
管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:40mA
走査範囲(2θ):10°〜80°
スリットサイズ:発散(DS)2/3度、散乱(SS)2/3度、受光(RS)0.8mm
測定ステップ幅:2θで0.02度
スキャンスピード:毎分2度
試料台回転スピード:30rpm
得られたX線回折パターンからIn単体相のX線回折強度I(In)と、Cu11In化合物相のX線回折強度I(Cu11In)とを計測し、その強度比I(In)/I(Cu11In)を算出した。
原料金属を投入した耐熱容器に対する真空引きの際の到達真空度が10Paを超える圧力とされた比較例1は、In−Cu合金粉末の酸素含有量が1000質量ppmを超えることが確認された。これは、真空引きの際の到達真空度が低く、耐熱容器内に酸素が多量に残存し、その残存した酸素が、アトマイズ中に混入したためであると推察される。
加熱温度が1100℃未満とされた比較例2は、In−Cu合金粉末の酸素含有量が1000質量ppmを超えることが確認された。これは、加熱温度が低いため、溶融原料中の酸素が十分に除去されずに残留したためであると考えられる。
噴霧温度が700℃未満とされた比較例3では、噴射温度が低すぎるため、アトマイズ直後に、ノズル部分で溶融原料が固化して、ノズルが閉塞した。このため、In−Cu合金粉末が得られなかった。
不活性ガスとして、酸素濃度が60体積ppmの窒素ガスを用いた比較例4は、In−Cu合金粉末の酸素含有量が1000質量ppmを超えることが確認された。これは、不活性ガス中に含まれる酸素が、アトマイズ中に混入したためであると推察される。
これに対して、本発明例1〜14で作製したIn−Cu合金粉末は、いずれも酸素含有量が1000質量ppm以下と低いことが確認された。
<本発明例21〜45及び比較例5〜7:In−Cu合金スパッタリングターゲット>
本発明例1〜14及び比較例1〜2、4で作製したIn−Cu合金粉末と、必要に応じてCu粉(純度:4N、メディアン径D50:20μm、酸素濃度700質量ppm)とアルカリ金属化合物粉末(純度:2N、メディアン径D50:100μm)とを、表3に示す配合比で混合した。混合条件は、乾式のボールミルとし、上述の通り、10Lポットのボールミルでφ5mmのジルコニアボールを用いて回転数85rpmで24時間混合とした。Inが70原子%以上の場合は、ロッキングミキサーを用い、混合条件は85rpmで30分混合とした。
そして、この混合粉を、表3に示す条件で加圧焼結した。得られた焼結体を、旋盤とフライス盤とを用いて126mm×178mm×6mmtサイズのスパッタリングターゲットに加工した。
<比較例8:鋳造のIn−Cu合金スパッタリングターゲット>
溶解鋳造法によってIn−Cu合金スパッタリングターゲットを製造した。
純度99.99質量%以上のCu金属塊と、純度99.99質量%以上のIn金属塊を用意した。In:70原子%、残:Cuで全体重量が3500gとなるように秤量した。
秤量した原料を、カーボン坩堝に充填して、アルゴン雰囲気及び温度1150℃、保持時間10分で溶解した後、170mm×220mm×11mmtのモールドに鋳込むとともに、引け巣の生成を防ぐために適宜溶湯を足した。その後、放冷した。
得られたIn−Cu合金インゴットを、旋盤とフライス盤とを用いて126mm×178mm×6mmtサイズのIn−Cu合金スパッタリングターゲットに加工した。
得られたIn−Cu合金スパッタリングターゲットについて、組成、組成むら、酸素含有量、In単体相存在比、平均結晶粒子径、In単体相の平均粒子径、Cu11In化合物相の平均粒子径、アルカリ金属化合物相の平均粒子径、理論密度比、加工性(切り屑付着、チッピングサイズ、表面粗さRa)、異常放電回数を、下記の方法により測定した。表4に、その結果を示す。
(組成)
In−Cu合金スパッタリングターゲットの一部を削り取って、酸で溶解した。得られた溶液中のIn、Na、K、Rb、Csの含有量をICPによって測定した。Cu及びその他の成分については、残部とした。
(組成むら)
In−Cu合金スパッタリングターゲットのスパッタ面(旋盤加工面:126mm(Y方向)×178mm(X方向)の面)に対して、蛍光X線分析(XRF)装置(ZSX PrimusII Rigaku社製)で、Cu及びInの測定を行った。スパッタ面の中心座標を(X=0mm,Y=0mm)とした場合、(X=−70mm,Y=50mm)、(X=−70mm,Y=−50mm)、(X=0mm,Y=0mm)、(X=70mm,Y=50mm)、(X=70mm,Y=−50mm)の5箇所のInの測定値のうち最大値から最小値を引いた値を「組成むら」とした。なお、測定前にあらかじめ濃度のわかったCuとInの溶液をそれぞれ3種類異なる濃度の溶液を用意し、検量線を引いた。
(酸素含有量)
In−Cu合金スパッタリングターゲットを湿式加工して、10mm×10mm×5mmtのバルク体を得た。得られたバルク体の表面を硝酸でエッチングした後、純水で洗浄し、乾燥して測定試料とした。
得られた測定試料を用いたこと以外は、前述のIn−Cu合金粉末の酸素含有量と同様にして、酸素含有量を測定した。
(In単体相存在比)
In−Cu合金スパッタリングターゲットの破片をマイクロカッターで採取し、採取した破片をSiC耐水研磨紙(SiC−Paper、grit 1000)にて湿式研磨した後、乾燥して測定試料とした。
得られた測定試料を用いたこと以外は、前述のIn−Cu合金粉末のIn単体相存在比と同様にして、In単体相存在比を測定した。
(平均結晶粒子径)
平均結晶粒子径は、プラニメトリック法にて測定した。In−Cu合金スパッタリングターゲットのスパッタ面(旋盤加工面)を硝酸で、1分程度エッチングし、純水で洗浄した後、光学顕微鏡によって任意の5箇所を観察した。ここで、光学顕微鏡による観察によって組織が明確に確認できない場合には、硝酸によるエッチングを追加で行った。
得られた表面を、SEM(走査型電子顕微鏡)により倍率1000倍程度にて写真撮影した。次いで、得られた写真上に直径100μmの円を描き、円内の結晶粒子数(Nc)と円周にかかる結晶粒子数(Nj)をそれぞれ計測して、次に示す式で平均結晶粒子径を算出した。上記5箇所における平均結晶粒子径をそれぞれ算出し、その平均値を求めた。その平均値が、表4の「平均結晶粒子径(μm)」欄に示されている。
平均結晶粒子径=2/(π×Ng)1/2
単位面積当たりの結晶粒子数Ng=〔Nc+(1/2)×Nj〕/A
A:円の面積
Nc:円内の結晶粒子数
Nj:円周にかかった結晶粒子数
(In単体相、Cu11In化合物相、アルカリ金属化合物相の平均粒子径)
In−Cu合金スパッタリングターゲットのスパッタ面に対して、クロスセッションポリッシャ加工(CP加工)を実施した。CP加工したスパッタ面について、プローブマイクロアナライザ(EPMA)装置(日本電子株式会社製)を用いて、倍率1000倍で、縦90μm、横120μmのCuとInの元素マッピング像(図3参照)をそれぞれ5枚写真撮影した。得られた元素マッピング像の写真から、CuとInとが共通して存在している領域をCu11In化合物相、Inのみが存在している領域をIn単体相と定義した。
Cuの元素マッピング像の5枚の写真について、写真を縦方向に横切って4等分するように線分をそれぞれの写真に3本引き、各線分の中でIn単体相とCu11In化合物相が存在している長さと個数をそれぞれ測定し、下記の計算式にしたがって縦方向の粒子径を算出し平均した。5枚の写真の結果の平均値を平均粒子径とした。
(In単体相の縦方向の粒子径)=(In単体相の長さの合計値/In単体相の個数)
(Cu11In化合物相の縦方向の粒子径)=(Cu11In化合物相の長さの合計値/Cu11In化合物相の個数)
次に、同様の操作を横方向に対して行って、横方向の粒子径を算出した。そして、得られた縦方向の粒子径と横方向の粒子径との平均値をIn単体相及びCu11In化合物相の平均粒子径とした。
また、アルカリ金属化合物を含むIn−Cu合金スパッタリングターゲットについては、アルカリ金属の元素マッピング像を写真撮影し、上述と同様の方法により、アルカリ金属化合物相の平均粒子径を算出した。
(理論密度比)
In−Cu合金スパッタリングターゲットの理論密度比は、以下のようにして算出した。
本発明例21〜45及び比較例5〜8で作製した各In−Cu合金スパッタリングターゲットに対応する組成比のCu−In金属を1200℃で溶解し、これを鋳造して徐冷(冷却速度5℃/min以下)することで得られた無欠陥の鋳塊(10cm×10cm×10cm)の密度を、「理論密度」とした。これに対して作製したスパッタリングターゲットの重量を寸法から得られた体積で割った値を「測定密度」とした。
この理論密度と、得られたスパッタリングターゲットの測定密度とを用いて、理論密度比を下記の式により算出した。
理論密度比(%)=(測定密度)/(理論密度)×100
(加工性:切り屑の付着)
In−Cu合金スパッタリングターゲットに旋盤加工を行い、加工時の切り屑の付着の有無を目視観察した。加工途中に切り屑の付着が発生し、乾式加工の継続が困難であったものを「×」、切り屑の付着はあったが、最後まで加工を行えたものを「△」、付着が全く発生しなかったものを「○」とした。なお、加工条件は以下の通りとした。また、切り屑の付着の評価が「×」と「△」であったものに対しては、アルコールを滴下させながら加工を行い、最後まで加工を行った。
工具:超硬インサート(三菱マテリアル株式会社製、TNMG160404−MJVP05RT)
送り:0.7mm/rpm
回転数:100rpm
1回の切込量:1mm
切削環境:乾式
(加工性:チッピングサイズ)
上記の旋盤加工後のIn−Cu合金スパッタリングターゲットの端部のチッピングの有無を確認した。チッピングが発生した場合には、スパッタリングターゲットの端面から欠けた部分の最大距離をデジタルノギスで測定した。このとき、チッピングが面している面のうち、欠けた部分が最も大きい面に対して測定を行った。なお、チッピングが発生していない場合は0とした。
(加工性:表面粗さ)
上述と同様の条件で旋盤加工を行い、加工後の表面のツールマークに対して直交方向の線分にて、Mitutoyo社製サーフテストSV−3000H4を用いて表面粗さRaの測定を行った。測定は、1サンプルに対して、スパッタリングターゲットの端部から15mm以内の領域の4箇所で実施し、その平均値をそのサンプルの表面粗さ(算術平均粗さ)Raとした。
(異常放電)
In−Cu合金スパッタリングターゲットを用いて、次のような条件でスパッタによる成膜を行った。DCマグネトロンスパッタ装置により、スパッタガスとしてArガスを用いて、流量50sccm,圧力0.67Paとし、投入電力として、6W/cmの電力にて、180分間のスパッタを行い、DC電源装置(京三製作所社製HPK06Z−SW6)に備えられているアークカウント機能により、異常放電の回数をカウントした。
原料粉末として、酸素含有量が1000質量ppmを超えるIn−Cu合金粉末を用いて製造した比較例5〜7のIn−Cu合金スパッタリングターゲットは、酸素含有量が1000質量ppmを超え、スパッタ時の異常放電回数が多くなることが確認された。これは、In−Cu合金スパッタリングターゲットの組織中に存在する酸化物に起因してノジュールやパーティクルが生成し、この生成したノジュールやパーティクルを起点として異常放電が発生しやすくなったためであると推察される。
また、溶解鋳造法で製造した比較例8のIn−Cu合金スパッタリングターゲットは組成むらが大きくなった。これは、CuとInの比重差によって、溶解鋳造時の溶湯中でInとCuの濃度差が生じたためであると推察される。In−Cu合金スパッタリングターゲットの組成むらは、直接、膜の組成むらに影響するため、組成むらが大きいことは好ましくない。
これに対して、原料粉末として酸素含有量が1000質量ppmを超えるIn−Cu合金粉末を用い、粉末焼結によって製造した本発明例21〜45のIn−Cu合金粉末は、いずれも酸素含有量が1000質量ppm以下で、スパッタ時の異常放電回数が低減し、かつ組成むらが小さいことが確認された。
以上のことから、本発明例によれば、酸素含有量の少ないIn−Cu合金粉末とその製造方法、およびスパッタ時の異常放電の少ないIn−Cu合金スパッタリングターゲットとその製造方法を提供することが可能となることが確認された。

Claims (12)

  1. InとCuとを含み、酸素含有量が1000質量ppm以下であることを特徴とするIn−Cu合金粉末。
  2. メディアン径D50が5μm以上150μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のIn−Cu合金粉末。
  3. D10とメディアン径D50との比D10/D50が1/2以下である、もしくはD90とメディアン径D50との比D90/D50が2以上である、あるいはその両方であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のIn−Cu合金粉末。
  4. 45原子%以上90原子%以下のInを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のIn−Cu合金粉末。
  5. In単体相とCu11In化合物相とを有し、前記In単体相のX線回折強度I(In)と前記Cu11In化合物相のX線回折強度I(Cu11In)との強度比I(In)/I(Cu11In)が0.01以上3以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のIn−Cu合金粉末。
  6. InとCuとを含む原料金属を投入した耐熱容器を10Pa以下の真空度にする真空引き工程と、
    前記耐熱容器に酸素濃度が50体積ppm以下の不活性ガスを導入し、前記耐熱容器の内部を前記不活性ガスで満たした後、1100℃以上に加熱して、前記原料金属を溶融させ溶融原料とする溶融工程と、
    700℃以上の温度で前記溶融原料を酸素濃度が50体積ppm以下の不活性ガスでアトマイズするアトマイズ工程と、
    を備えることを特徴とするIn−Cu合金粉末の製造方法。
  7. 前記不活性ガスは、窒素ガスであることを特徴とする請求項6に記載のIn−Cu合金粉末の製造方法。
  8. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のIn−Cu合金粉末を含む原料粉末を焼結することを特徴とするIn−Cu合金スパッタリングターゲットの製造方法。
  9. InとCuとを含み、
    酸素含有量が1000質量ppm以下の焼結体からなることを特徴とするIn−Cu合金スパッタリングターゲット。
  10. 平均結晶粒子径が5μm以上150μm以下であることを特徴とする請求項9に記載のIn−Cu合金スパッタリングターゲット。
  11. 45原子%以上90原子%以下のInを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のIn−Cu合金スパッタリングターゲット。
  12. In単体相とCu11In化合物相とを有し、前記In単体相のX線回折強度I(In)と前記Cu11In化合物相のX線回折強度I(Cu11In)の強度比I(In)/I(Cu11In)が0.01以上3以下であることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか一項に記載のIn−Cu合金スパッタリングターゲット。
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