JP2018154039A - 立体造形物の製造方法、立体造形材料セット、及び立体造形物の製造装置 - Google Patents

立体造形物の製造方法、立体造形材料セット、及び立体造形物の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】複雑な立体形状の立体造形物を、高強度、及び高精度にて製造することが可能な立体造形物の製造方法の提供。【解決手段】粒子を含む第一の立体造形用液体材料を用いて第一の立体造形用液体材料層を形成する層形成工程と、吸光発熱性物質を含む第二の立体造形用液体材料4を、前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に付与する付与工程と、前記付与工程後に赤外線を前記第一の立体造形用液体材料層に照射する赤外線照射工程と、を複数回繰り返すことにより造形する立体造形物の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、立体造形物の製造方法、立体造形材料セット、及び立体造形物の製造装置に関する。
近年、セラミックス微粉末を液体中に分散させたスラリー材料を用いて、立体造形物を得るバインダジェット方式が知られている。
前記セラミックス微粉末を用いたアプリケーションとして歯の補綴物(人工歯)への応用展開が見出されている。従来の人工歯は、コバルトクロム合金等の金属材料、ジルコニア等のセラミックス材料、フィラーを複合したハイブリッドレジン等の有機材料などから作られ使われてきた。
これらの人工歯は、機能不全の咬合機能を代行するものであるが、前記人工歯の材料の多くは、磨耗や腐食等の経時変化を起こすのみならず、天然歯に比べて白味が強いなどの審美性の観点でも問題がある。この問題を解消することが期待されている材料としては、例えば、ジルコニアが知られている。前記ジルコニアは透明性を持っており、色のグラデーションを付加すれば天然歯と並べても違和感の無い人工歯の作成が可能である。しかし、前記ジルコニアは極めて硬い材料であり、補綴物として扱うためには、所望の形状に成型加工する必要があるため、多くの時間を要するのみならず、特にCAD/CAMのような切削の場合であると内部構造を有した繊細な加工は不可能であった。
そこで、立体積層造形では内部構造を有した繊細な加工が可能となるため、新たな製造方式として期待されている。また、人工歯には非常に高い造形精度が要求されている。また、CAD/CAMの切削の場合よりも高速に造形できることが要求されている。
これらの要求を達成するために、造形部位から非造形部位をきれいに剥がす除去性に課題があることが知られている。除去を速やかに行うためには、造形部位は速やかに硬化させるが、非造形部位は未硬化のままであることが好ましい。
そこで、光硬化性樹脂バインダーに紫外線を照射して造形部位を硬化し、両親媒性ポリマーを用いて溶媒中に含浸することにより未硬化部分のみを除去して造形物を得る造形方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
本発明は、複雑な立体形状の立体造形物を、高強度、及び高精度にて製造することが可能な立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形物の製造方法は、粒子を含む第一の立体造形用液体材料を用いて第一の立体造形用液体材料層を形成する層形成工程と、吸光発熱性物質を含む第二の立体造形用液体材料を、前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に付与する付与工程と、前記付与工程後に赤外線を前記第一の立体造形用液体材料層に照射する光照射工程と、を複数回繰り返すことにより造形する。
本発明によると、複雑な立体形状の立体造形物を、高強度、及び高精度にて製造することが可能な立体造形物の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の立体造形物の製造装置の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の立体造形物の製造装置の他の一例を示す概略図である。
(立体造形物の製造方法、及び立体造形物の製造装置)
本発明の立体造形物の製造方法は、粒子を含む第一の立体造形用液体材料を用いて第一の立体造形用液体材料層を形成する層形成工程と、吸光発熱性物質を含む第二の立体造形用液体材料を、前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に付与する付与工程と、前記付与工程後に赤外線を前記第一の立体造形用液体材料層に照射する赤外線照射工程と、を複数回繰り返すことにより造形し、更に必要に応じて、造形後に未硬化の第一の立体造形用液体材料を除去する工程、その他の工程を含む。
本発明の立体造形物の製造方法は、従来の造形方法では、紫外線硬化性樹脂バインダーを付与し、紫外線照射した部位は、前記紫外線硬化性樹脂バインダーに含有されるモノマーが重合することで表面上は硬化するが、内部まで硬化するにはスラリー材料を分散している溶媒が乾燥するまで待たなければならず、高速造形の要求を満足するには至っていないという問題があるという知見に基づくものである。
また、本発明の立体造形物の製造方法は、セラミックスのような高融点の物質を用いて造形する場合は、焼結性を上げるために小粒系することが必要であるが、小粒系化することで粒子間力が増大することで搬送性が悪化するため、セラミックスを用いて粉末のまま層形成することは困難となる。そこで、小粒径化したセラミックス等を、溶媒を用いてスラリー化することにより搬送性を向上することにより層形成が容易となるが、残存する溶媒により強度が低下したり、インク滲みなどによる造形精度悪化などが起こることがあるという知見に基づくものである。
本発明においては、本発明は、吸光発熱性物質を含有する立体造形用液体材料を塗布して用いることにより、造形部位を硬化する際に、吸光発熱性物質が赤外線領域の光エネルギーを吸収して、塗布部位が局所的に加熱することによって、溶媒を揮発させることや、硬化反応が促進することにより、造形部位はすばやく硬化されるため高強度での高速造形が可能になる。高速造形とは、層形成工程後に、形成した層から溶媒を乾燥する乾燥工程が不要なことや、造形後に、硬化物に残存する溶媒を揮発させる工程が不要なために生産性が高いことをいう。また、非造形部位は溶媒が残留したままであるため、未硬化の柔らかい状態を保つことができ、造形部位と非造形部位との間に硬度差がつけられた結果、非造形部位のみを容易に除去することができる。さらに、造形部位がすばやく乾燥させられるため、インクの滲みによって不用意に造形部位が乱れることが抑制でき、より高精度で造形することが可能となる。
本発明の立体造形物の製造装置は、第一の立体造形用液体材料層を保持するための第一の立体造形用液体材料層保持手段と、前記第一の立体造形用液体材料層保持手段上に第一の立体造形用液体材料を用いて前記第一の立体造形用液体材料層を形成する層形成手段と、前記第一の立体造形用液体材料層保持手段上に形成された前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に第二の立体造形用液体材料を付与する付与手段と、前記第一の立体造形用液体材料層に赤外線を照射する赤外線照射手段と、を有し、前記第一の立体造形用液体材料が、吸光発熱性物質を含有し、更に必要に応じて、造形後に未硬化の第一の立体造形用液体材料を除去する手段、その他の手段を有する。
前記立体造形物の製造方法は、前記立体造形物の製造装置により好適に実施することができる。
<層形成工程及び層形成手段>
前記層形成工程は、粒子を含む第一の立体造形用液体材料を用いて第一の立体造形用液体材料層を形成する工程である。
前記層形成手段は、第一の立体造形用液体材料層保持手段上に第一の立体造形用液体材料を用いて前記第一の立体造形用液体材料層を形成する手段である。
前記層形成工程は、前記層形成手段により好適に実施することができる。
(第一の立体造形用液体材料)
前記第一の立体造形用液体材料(「第一の積層造形用液体材料」、「スラリー材料」とも称することがある)は、粒子を含み、更に必要に応じて、有機化合物A、溶媒、モノマー、重合開始剤、その他の成分を含む。
−粒子−
前記粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機粒子、樹脂粒子などが挙げられる。
前記無機粒子としては、例えば、セラミックス粒子、金属粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記粒子としては、生体適合性を有することが好ましく、造形物の強度から無機粒子がより好ましく、セラミックスであることが特に好ましい。
−−セラミックス粒子−−
前記セラミックス粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジルコニア粒子、アルミナ粒子、シリカ粒子、二ケイ酸リチウム粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジルコニア粒子が好ましい。前記セラミックス粒子としてジルコニア粒子を用いる場合は、安定化剤としてのイットリアやセリア等を含有してもよい。
前記セラミックス粒子の体積平均粒径としては、前記第一の立体造形用液体材料中において、5μm未満が好ましく、1μm未満がより好ましい。前記体積平均粒径が、5μm未満であると、グリンシート又はグリン体の密度が低くなることを防止し、良好に焼結することができ、力学的強度を向上できる。前記セラミックス粒子の体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の粒径測定装置を選択することができ、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。なお、前記グリンシート又はグリン体は、スラリー材料とバインダーの混錬物であるコンパウンドを射出成型したシート又は成型体である。
前記ジルコニア粒子は、極めて高い融点を持つことから、体積平均粒径を小さくしないと焼結できない。理想とする体積平均粒径は数十nmオーダーであり、1μm以上になると粒子間隙が多く残存するため、焼結することが困難となる。通常の積層造形を行う上では、ジルコニア粒子を含む材料を供給槽から印字槽へ搬送する必要があるが、前記材料を構成する粒子のサイズが小さいと、粒子間力が強く働き、流動性が著しく悪化してしまう傾向にある。したがって、焼結性を保持しつつ流動性を向上させるためには、体積平均粒径を数百nmオーダー以下で維持しながらスラリー化し、ハンドリングできるようにする必要がある。
前記ジルコニア粒子中の前記安定化剤(イットリア、セリア等)の含有量としては、前記第一の立体造形用液体材料全量に対して、2質量%以上6質量%以下が好ましく、3質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、2質量%以上6質量%以下であると、安定化剤としての機能が十分に発揮され、焼成時にクラックが生じることが少なくなる。前記ジルコニア粒子中の前記安定化剤の含有量は、例えば、ICP発光分光分析法により測定することができる。
前記ジルコニア粒子の単斜晶相率としては、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。前記単斜晶相率が、30%以下であると、正方晶相率が適切となり、力学的強度が良好である。前記粒子の単斜晶相率は、例えば、X線粉末回折装置を用いて、所定の条件で測定することができる。
前記セラミックス粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱分解法、共沈法、加水分解法などが挙げられる。これらの中でも、ジルコニア粒子においては熱分解法、共沈法が好ましい。
前記熱分解法としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウム水溶液を所定量混合し、塩化ナトリウム(又は塩化カリウム)をオキシ塩化ジルコニウム全量に対して、0.1質量%以上1質量%以下添加し、混合する方法などが挙げられる。この混合液を噴霧乾燥法等の瞬間乾燥を行い、乾燥粉末が得られる。
前記瞬間乾燥とは、10秒間以内に乾燥できる手法であり、乾燥温度としては、200℃以上の加熱空気中で行うことが好ましい。次に、前記乾燥粉末を空気中で800℃以上1,200℃以下の温度で熱分解させることにより、酸化物仮焼粉末を得ることができる。前記酸化物仮焼粉末を湿式粉砕法にて粉砕径を2μm以下になるように粉砕し、水洗する。
前記水洗の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、メンブレンフィルターを使用した連続式洗浄ろ過法が好ましい。前記水洗により、粒子中のナトリウム(又はカリウム)濃度が酸化物に換算した量として、10ppm以上100ppm以下の範囲になるように十分に水洗する。前記水洗後のスラリー材料を乾燥させることにより、粒子(ジルコニア粉末)を得ることができる。
前記共沈法としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウム水溶液を混合する方法などが挙げられる。ここで、特にオキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムからのそれぞれの水和物が析出するpHを一定にするように金属錯体を形成させるため、硫酸ナトリウム(又は硫酸カリウム)をジルコニアに対し、モル比が好ましくは0.3以上0.7以下となるように添加し、50℃以上100℃以下の温度で数時間以上反応させる。この混合液に水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリ水溶液を撹拌しながら加え、水溶液のpHを8以上10以下とする。得られた共沈水和物微粒子を十分水洗し、酸化物に換算したときのナトリウム(又はカリウム)が10ppm以上100ppm以下の範囲となっていることを確認する。水洗後の水和物微粒子を脱水及び乾燥させ、空気中で800℃以上1,200℃以下の温度で焼成することにより酸化物仮焼粉末を得ることができる。得られた酸化物仮焼粉末を2μm以下まで湿式粉砕し、乾燥することにより粒子(ジルコニア粉末)が得られる。
−−金属粒子−−
前記金属粒子としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スズ粒子、スズ合金粒子、タングステン粒子、タングステン合金粒子、コバルト/クロム合金粒子、ステンレス合金粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スズ粒子、スズ合金粒子が好ましい。
前記金属粒子の体積平均粒径としては、50μm未満が好ましく、10μm未満がより好ましい。前記体積平均粒径が、50μm未満であると、粒子間隙を少なくでき、グリンシート又はグリン体の密度を高くできることにより、焼結時の焼成収縮を小さくでき、寸法精度を向上できる。前記金属粒子の体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の粒径測定装置を選択することができ、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
−−樹脂粒子−−
前期樹脂粒子としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、ポリフェニルスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフタルアミド、ポリスルフォン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、超高分子量ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・スチレン、ポリビニールアルコール、ポリメチルメタアクリル、ポリエチレンテフタレート、ポリ塩化ビニデリン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ユリア樹脂の粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン樹脂が好ましい。
前記ポリウレタン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱可塑性ポリウレタン粒子が好ましい。
前記熱可塑性ポリウレタン粒子としては、例えば、市販品を用いることができる。
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、50μm未満が好ましく、10μm未満がより好ましい。前記体積平均粒径が、50μm未満であると、粒子間隙を少なくでき、グリンシート又はグリン体の密度を高くできることにより、焼結時の焼成収縮を小さくでき、寸法精度を向上できる。前記樹脂粒子の体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の粒径測定装置を選択することができ、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
前記樹脂粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)100質量部に対して、下限値としては1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましく、20質量部以上が特に好ましく、上限値としては90質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、70質量部以下が特に好ましい。前記粒子の含有量が、1質量部以上であると、揮発する溶媒量が相対的に少なくでき、グリンシート又はグリン体の密度を高くすることができ、90質量部以下であると、スラリー材料としての流動性を向上でき、ドクターブレード等によるスラリー材料搬送を良好に行うことができる。
−有機化合物A−
前記有機化合物Aとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性樹脂などが挙げられる。前記水溶性樹脂における水溶性とは、室温(25℃)において、水に対して10質量%以上溶解することを意味する。
前記有機化合物Aとしては、塩基性官能基と反応性を有する酸性官能基を有することが好ましい。
前記酸性官能基としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基などが挙げられる。
前記酸性官能基を有する有機化合物Aとしては、例えば、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩基性官能基との反応性が高い点から、ポリアクリル酸が好ましい。
前記ポリアクリル酸の重量平均分子量(Mw)としては、400,000以上が好ましく、400,000以上1,000,000以下がより好ましく、600,000以上800,000以下が特に好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が、400,000以上であると、塩基性官能基を有する前記第二の立体造形用液体材料中の有機化合物Bとの架橋構造の構築が容易であり、立体造形物の硬化時間が適切である。一方、前記重量平均分子量(Mw)が、1,000,000以下であると、スラリー材料の粘度が適切であり、得られるスラリー材料中での粒子のバラツキが生じない傾向にある。前記重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって、単離したポリアクリル酸の分子量分布を求めて、これを基に重量平均分子量を算出することができる。
前記有機化合物Aの含有量としては、前記粒子100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下が好ましい。前記含有量が、5質量部以上であると、結着効果を十分に得ることができ、スラリー材料中での粒子の分散状態が良好になり、分散安定性を向上できる。一方、前記含有量が、30質量部以下であると、スラリー材料の粘度を低くでき、ドクターブレード等によるスラリー材料の搬送を良好に行うことができる。前記有機化合物Aの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の熱分析装置を選択することができ、例えば、DSC−200(セイコーインスツル株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
−溶媒−
前記溶媒としては、前記有機化合物Aを溶解することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、トルエン(沸点:110.6℃)等の極性溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、グリンシート又はグリン体造形の生産性を向上の点から、沸点が低い有機溶剤が好ましく、沸点が80℃以下である有機溶剤がより好ましい。
前記沸点が80℃以下である有機溶剤としては、例えば、エタノール(沸点:78.37℃)、メタノール(沸点:64.7℃)、酢酸エチル(沸点:77.1℃)、アセトン(沸点:56℃)、塩化メチレン(沸点:39.6℃)などが挙げられる。
−モノマー−
前記モノマーとしては、例えば、不飽和炭素−炭素結合を1つ以上有する化合物などが挙げられる。
前記不飽和炭素−炭素結合を1つ以上有する化合物としては、例えば、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。
前記単官能モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体、その他の単官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、又はN,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体としては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)、N−イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
前記その他の単官能モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン(ACMO)、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記単官能モノマーを重合させることにより、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機ポリマーが得られる。
前記アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機ポリマーは、血管モデルの強度を保つために有利な構成成分である。
前記単官能モノマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、第一の立体造形用液体材料全量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
前記多官能モノマーとしては、2官能モノマー、3官能モノマー、4官能以上のモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記2官能モノマーとしては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアネート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記4官能以上のモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−重合開始剤−−
前記重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤などが挙げられる。
前記光重合開始剤としては、光(特に波長域220nm以上400nm以下の紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分散剤、可塑剤、焼結助剤、蛍光増白剤(増感剤)などが挙げられる。前記第一の立体造形用液体材料が、前記分散剤を含むと、前記粒子の分散性を改善し、静止時の沈降を抑制することができる点で好ましく、グリンシート又はグリン体を造形する際に粒子が連続して存在しやすくなる。また、前記可塑剤を含むと、前記第一の立体造形用液体材料からなるグリンシート又はグリン体前駆体が乾燥した際に亀裂が入りにくくなる点で好ましい。前記焼結助剤を含むと、得られた積層造形物につき焼結処理を行う場合において、より低温での焼結が可能となる点で好ましい。
前記蛍光増白剤(増感剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−ビス−(ベンズオキサゾイル−2−イル)ナフタレンなどが挙げられる。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セラミックス分散剤などが挙げられる。
前記セラミックス分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、市販品を使用することができる。前記市販品としては、例えば、マリアリム(登録商標)、日油株式会社製、AKM−0531などが挙げられる。
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸ベンジルブチルなどが挙げられる。
−第一の立体造形用液体材料層保持手段−
前記第一の立体造形用液体材料層保持手段(以下、「支持体」とも称することがある)としては、前記第一の立体造形用液体材料を載置することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記第一の立体造形用液体材料の載置面を有する台、特開2000−328106号公報の図1に記載の装置におけるベースプレートなどが挙げられる。前記支持体の表面、即ち、前記第一の立体造形用液体材料を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
−第一の立体造形用液体材料層の形成−
前記第一の立体造形用液体材料を前記支持体上に配置させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)を薄層に配置させる方法としては、特許第3607300号公報に記載の選択的レーザー焼結方法に用いられる、公知のカウンター回転機構(カウンターローラ)などを用いる方法、前記スラリー材料をブラシ、ローラ、ブレード等の部材を用いて薄層に拡げる方法、前記スラリー材料層の表面を押圧部材を用いて押圧して薄層に拡げる方法、公知の粉末積層造形装置を用いる方法などが好適に挙げられる。
前記カウンター回転機構(カウンターローラ)、前記ブラシ乃至ブレード、前記押圧部材などを用いて、前記支持体上に前記スラリー材料を載置させるには、例えば、以下のようにして行うことができる。即ち、例えば、外枠(「型」、「中空シリンダー」、「筒状構造体」などと称されることもある)内に、前記外枠の内壁に摺動しながら昇降可能に配置された前記支持体上に前記スラリー材料を、前記カウンター回転機構(カウンターローラ)、前記ブラシ、ローラ又はブレード、前記押圧部材などを用いて載置させる。このとき、前記支持体として、前記外枠内を昇降可能なものを用いる場合には、前記支持体を前記外枠の上端開口部よりも少しだけ下方の位置に配し、即ち、前記第一の立体造形用液体材料層(スラリー材料層)の厚み分だけ下方に位置させておき、前記支持体上に前記スラリー材料を載置させる。以上により、前記スラリー材料を前記支持体上に薄層に載置させることができる。
なお、このようにして薄層に載置させた前記スラリー材料に対し、レーザーや電子線、或いは、第二の立体造形用液体材料を作用させると硬化が生ずる。ここで得られた薄層の硬化物上に、上記と同様にして、前記スラリー材料を薄層に載置させ、この薄層に載置された前記スラリー材料(層)に対し、前記レーザーや電子線、或いは第二の立体造形用液体材料を作用させると硬化が生ずる。このときの硬化は、前記薄層に載置された前記スラリー材料(層)においてのみならず、その下に存在する、先に硬化して得られた前記薄層の硬化物との間でも生ずる。その結果、前記薄層に載置された前記スラリー材料(層)の約2層分の厚みを有する硬化物(立体造形物)が得られる。
また、前記スラリー材料を前記支持体上に薄層に載置させるには、前記公知の粉末積層造形装置を用いて自動的にかつ簡便に行うこともできる。前記粉末積層造形装置は、一般に、前記スラリー材料を積層するためのリコーターと、前記スラリー材料を前記支持体上に供給するための可動式供給槽と、前記粉末材料を薄層に載置し、積層するための可動式成形槽とを備える。前記粉末積層造形装置においては、前記供給槽を上昇させるか、前記成形槽を下降させるか、又はその両方によって、前記供給槽の表面は前記成形槽の表面よりもわずかに上昇させることができ、前記供給槽側から前記リコーターを用いて前記粉末材料を薄層に配置させることができ、前記リコーターを繰り返し移動させることにより、薄層の前記スラリー材料を積層させることができる。この粉末積層造形装置をそのままスラリー積層用に置き換えてもよいし、リコーター部分をシート成形用のドクターブレードに変えてもよい。
前記スラリー材料層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一層当たりの平均厚みで、3μm以上200μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。前記平均厚みが、3μm以上であると、立体造形物が得られるまでの時間が適正であり、焼結等の処理乃至取扱い時に型崩れ等の問題が生じることがない。一方、前記平均厚みが、200μm以下であると、立体造形物の寸法精度が充分に得られる。なお、前記平均厚みは、公知の方法に従って測定することができる。
<付与工程、及び付与手段>
前記付与工程は、吸光発熱性物質を含む第二の立体造形用液体材料を、前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に付与する工程である。
前記付与手段は、第一の立体造形用液体材料層保持手段上に形成された前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に第二の立体造形用液体材料を付与する手段である。
前記付与工程は、前記付与手段により好適に実施することができる。
−第二の立体造形用液体材料−
前記第二の立体造形用液体材料は、吸光発熱性物質を含有し、更に必要に応じて、前記有機化合物Aに対して反応性を示す有機化合物B、水性媒体、活性エネルギー線を照射することで硬化する成分(モノマー)、その他の成分を含有する。
−−吸光発熱性物質−−
前記吸光発熱性物質とは、波長域800nm以上1mm以下に少なくとも吸収ピークを有し、波長域800nm以上1mm以下の赤外線を照射することで発熱する物質のことをいう。
前記吸光発熱性物質としては、特に、顔料、染料であることが好ましい。
前記顔料としては、例えば、炭素化合物(カーボン材料(例えば、カーボンブラック))、金属酸化物、有機金属錯体などが挙げられる。
前記染料としては、例えば、有機化合物、有機金属錯体などが挙げられる。
前記吸光発熱性物質としては、例えば、カーボンブラック、スズ系酸化物(例えばスズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO))、シアニン系化合物、ポリメチン系化合物、アミニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、フタロシアニン系化合物(例えば、銅フタロシアニン)、メロシアニン系化合物、ベンゼンチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、芳香族ジアミン系金属錯体、ニッケル錯体化合物、アントラキノン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、インドレニン化合物、ビス[4,4’−ジメトキシ(ジチオベンジル)]ニッケルなどが挙げられる。
本発明においては、光吸収を効果的に行うという観点から、上記化合物の中でも、波長域800nm以上1mm以下に吸収ピークを有する化合物を使用することが好ましく、800nm以上3μm以下に吸収ピークを有する化合物を使用することが好ましく、800nm以上1,800nm以下に吸収ピークを有する化合物を使用することが更に好ましく、800nm以上1,400nm以下に吸収ピークを有する化合物を使用することが特に好ましい。
前記波長域800nm以上1mm以下に最大吸収波長を有する化合物としては、例えば、カーボンブラックなどが挙げられる。
前記波長域800nm以上3μm以下に最大吸収波長を有する化合物としては、例えば、ITO、アルミナ、酸化銅、二クロム酸化物などが挙げられる。
前記波長域800nm以上1,400μm以下に最大吸収波長を有する化合物としては、波長域800nm以上870nm以下に最大吸収波長を有する化合物である、ポリメチン系化合物(商品名:IR−820B、日本化薬株式会社製)、シアニン系化合物(商品名:CY−2、商品名:CY−4、商品名:CY−9、以上、日本化薬株式会社製)、インドレニン化合物(下記化学式(A)で表される化合物)などが挙げられる。
<化学式(A)>
波長域870nm以上1,000nm以下に最大吸収波長を有する化合物である、ジイモニウム系化合物(商品名:NIR−AM1、商品名:NIR−IM1(以上、ナガセケムテックス株式会社製);商品名:IRG−022、商品名:IRG−023(以上、日本化薬株式会社製);フタロシアニン系化合物(商品名:TX−305A、株式会社日本触媒製);アミニウム系化合物(商品名:CIR−960、商品名:CIR−961(以上、日本カーリット株式会社製);商品名:IRG−002、商品名:IRG−003、商品名:IRG−003K(以上、日本化薬株式会社製);下記化学式(B)で表される化合物)などが挙げられる。
<化学式(B)>
前記吸光発熱性物質の最大吸収波長を測定するための装置は、特に制限されず、通常の分光吸収測定装置(例えば、モノクロメータ(装置名:UV−2600、株式会社島津製作所製)を用いることができる。
前記吸光発熱性物質の含有量としては、第二の立体造形用液体材料100質量部に対して、0.01質量部以上2質量部以下が好ましく、0.1質量部以上1質量部以下がより好ましい。前記含有量が、0.01質量部以上2質量部以下であると、色再現性、コスト等の問題を生じることがない。
また、前記吸光発熱性物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
2種以上を併用する場合、波長域800nm以上870nm以下に最大吸光度を有する吸光発熱性物質の含有量と、波長域870nm以上1,000nm以下に最大吸光度を有する吸光発熱性物質の含有量との比率(波長域800nm以上870nm以下に最大吸光度を有する吸光発熱性物質:波長域870nm以上1,000nm以下に最大吸光度を有する吸光発熱性物質の添加量)が1:4〜4:1、好ましくは1:3〜2:1が少量の含有量で定着性を向上させる観点から好ましい。
−−有機化合物B−−
前記有機化合物Bは、前記有機化合物Aに対して反応性を示せば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性樹脂などが挙げられる。前記水溶性樹脂における水溶性とは、室温(25℃)において、水に対して10質量%以上溶解することを意味する。
前記有機化合物Bとしては、酸性官能基と反応性を有する塩基性官能基を有することが好ましい。
前記塩基性官能基としては、例えば、アミノ基などが挙げられる。
前記アミノ基を有する有機化合物Bとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸性官能基との反応性の点から、カチオン密度が高いポリエチレンイミンが好ましい。
前記ポリエチレンイミンの重量平均分子量(Mw)としては、1,800以上が好ましく、1,800以上70,000以下がより好ましく、3,000以上20,000以下が特に好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が、1,800以上であると、酸性官能基を持つ前記第一の立体造形用液体材料中の有機化合物Aとの架橋構造の構築が容易であり、立体造形物の硬化時間が適切である。一方、前記重量平均分子量(Mw)が、70,000以下であると、第二の立体造形用液体材料の粘度が適切であり、安定した吐出が実現できる。前記重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。
前記有機化合物Bの含有量としては、前記第二の立体造形用液体材料100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下が好ましい。前記含有量が、3質量部以上であると、前記第一の立体造形用液体材料中の有機化合物Aとの架橋構造を十分に構築でき、得られるグリンシート又はグリン体の強度を向上できる。一方、前記含有量が、20質量部以下であると、第二の立体造形用液体材料の粘度を低くでき、吐出安定性を向上できる。
前記有機化合物Bの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の熱分析装置を選択することができ、例えば、DSC−200(セイコーインスツル株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
−−水性媒体−−
前記水性媒体としては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。なお、前記水性媒体は、前記水が前記アルコール等の水以外の成分を若干量含有するものであってもよい。
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。
−−モノマー−−
前記モノマー(活性エネルギー線を照射することで硬化する成分)としては、第一の立体造形用液体材料におけるモノマーと同様のものを用いることができる。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、例えば、界面活性剤、保存剤、防腐剤、安定化剤、pH調整剤、紫外線硬化樹脂などが挙げられる。紫外線硬化樹脂を紫外線に照射することでさらに高硬化性を付与することができる。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
前記紫外線硬化樹脂としては、カチオンを活性種とする重合反応によって硬化するカチオン重合型の紫外線硬化樹脂を含むものと、ラジカルを活性種とする重合反応によって硬化するラジカル重合型の紫外線硬化樹脂を含むものとがある。
本実施の形態においては、これらのいずれに属する紫外線硬化樹脂も用いることができる。
前記ラジカル重合型の紫外線硬化樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂などが挙げられる。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、及びポリエーテルアクリレート系樹脂などが挙げられる。
また、カチオン重合型の紫外線硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、例えば、アクリルシリコーン樹脂、ポリエステルシリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、メルカプトシリコーン樹脂などが挙げられる。
前記第二の立体造形用液体材料の前記スラリー材料層への付与の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などで用いられている液体吐出手段などが挙げられる。本発明においては、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点から、前記インクジェット方式で用いられる液体吐出手段(圧電アクチュエーター等の振動素子を用い、複数ノズルから液滴を吐出するもの)が好ましい。
−活性エネルギー線照射−
前記活性エネルギー線照射は、赤外線照射、紫外線照射、レーザー照射、電子線照射などが挙げられる。
−赤外線照射工程、及び赤外線照射手段−
前記赤外線照射工程は、前記付与工程後に波長域800nm以上1mm以下の波長を有する赤外線を前記第一の立体造形用液体材料層に照射する工程である。
前記赤外線照射手段は、波長域800nm以上1mm以下の波長を有する赤外線を前記第一の立体造形用液体材料層に照射する手段である。
前記赤外線照射工程は、前記赤外線照射手段により好適に実施することができる。
−−赤外線照射−−
前記赤外線照射工程は、スラリー材料積層全体に光エネルギーが照射されてもよいが、少なくともスラリー材料層の第二の立体造形用液体材料の付与された所定の領域に照射されればよい。また、前記赤外線照射は、第二の立体造形用液体材料の滴下と交互に行うことや、スラリー積層毎に行うこと、又は複数のスラリー材料層に対して一度に行ってもよい。
前記赤外線照射の光源としては、発振波長域として少なくとも800nm以上1mm以下に発光スペクトルピークを有する光源を用いることができ、波長に応じて適宜選択することができる。
前記光源としては、発光スペクトルピークを有するキセノンランプ等を用いることができる。
前記発振波長域としては、800nm以上3μm以下が好ましく、800nm以上1,800nm以下がより好ましく、800nm以上1,400nm以下が特に好ましい。
―紫外線照射工程及び紫外線照射手段―
第一の立体造形用液体材料及び/又は第二の立体造形用液体材料がモノマー等を含む活性エネルギー線硬化型組成物である場合は、前記800nm以上の波長を有する赤外線光の照射に加えて、前記モノマーの重合反応に必要な、例えば、紫外線やレーザなどの活性エネルギー線を、少なくともスラリー材料層の第二の立体造形用液体材料の付与された所定の領域に照射する。また、前記紫外線照射は、第二の立体造形用液体材料の滴下と交互に行うことや、スラリー積層毎に行うこと、又は複数のスラリー材料層に対して一度に行ってもよい。
紫外線照射工程及び紫外線照射手段としては、例えば、紫外線発光ダイオード(UV−LED)や紫外線レーザダイオード(UV−LD)などを用いることができる。
−レーザー照射−
前記レーザー照射におけるレーザーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、COレーザー、Nd−YAGレーザー、ファイバーレーザー、半導体レーザーなどが挙げられる。前記レーザー照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、小型レーザーを用いる場合、前記粉末材料を溶融することができないため、併用する接着剤(例えば、ポリエステル系接着剤)を混在させて、レーザー照射により接着剤を溶融させて造形することが好ましい。その場合、COレーザーを用いることが好ましい。照射条件としては、例えば、レーザー出力15W、波長10.6μm、ビーム径0.4mm程度が好ましい。
−電子線照射−
前記電子線照射としては、前記第一の立体造形用液体材料中の無機粒子が溶融するエネルギーの電子線を照射すること以外の制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。電子線を照射する際には、前記第一の立体造形用液体材料は真空環境下で扱われる必要がある。前記電子線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、出力1,500W、ビーム径0.1mm、真空度1.0×10−5mbar程度が好ましい。
<造形後に未硬化の第一の立体造形用液体材料を除去する工程(除去工程)及び造形後に未硬化の第一の立体造形用液体材料を除去する手段(除去手段)>
前記造形後に未硬化の第一の立体造形用液体材料を除去する工程(除去工程)は、前記層形成工程と前記液体材料付与工程とを順次繰り返して形成した立体造形物から未硬化のスラリー材料を除去する工程である。
なお、除去手段としては、例えば、液体付与、静置による崩壊、超音波照射による崩壊、液体撹拌による崩壊などが挙げられる。また、除去液(以下、「第三の立体造形用液体材料」とも称することがある)に浸漬することで除去工程を行うことが好適に用いられる。例えば、第一の立体造形用液体材料中に有機化合物Aが含まれる場合、前記除去液が前記有機化合物Aを融解する有機溶媒を含むことにより、前記未硬化の第一の立体造形用液体材料を簡便に除去することができる。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、例えば、表面保護工程、塗装工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、表面保護手段、塗装手段などが挙げられる。
−表面保護工程及び表面保護手段−
前記表面保護工程は、前記液体材料付与工程、又は前記光照射工程において形成した立体造形物に保護層を形成する工程である。前記表面保護工程を行うことにより、前記立体造形物を、例えば、そのまま使用等することができる耐久性等を前記立体造形物の表面に与えることができる。
前記保護層としては、例えば、耐水性層、耐候性層、耐光性層、断熱性層、光沢層などが挙げられる。
前記表面保護手段としては、公知の表面保護処理装置、例えば、スプレー装置、コーティング装置などが挙げられる。
−塗装工程及び塗装手段−
前記塗装工程は、前記立体造形物に塗装を行う工程である。この塗装工程を行うことにより、前記立体造形物に所望の色に着色させることができる。前記塗装手段としては、公知の塗装装置、例えば、スプレー、ローラ、刷毛等による塗装装置などが挙げられる。
ここで、図1に本発明で用いられる立体造形物の製造装置の一例を示す。この図1の立体造形物の製造装置は、造形側スラリー貯留槽1と供給側スラリー貯留槽2とを有し、これらのスラリー貯留槽は、それぞれ上下に移動可能なステージ3を有し、該ステージ上にスラリー材料からなる層を形成する。
造形側スラリー貯留槽1の上には、該スラリー貯留槽内の第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)に向けて第二の立体造形用液体材料4を吐出するインクジェットヘッド5を有し、更に、供給側スラリー貯留槽2から造形側スラリー貯留槽1にスラリー材料を供給すると共に、造形側スラリー貯留槽1のスラリー材料層表面を均す、均し機構6(以下、リコーターということがある)を有する。
造形側スラリー貯留槽1のスラリー材料上にインクジェットヘッド5から第二の立体造形用液体材料4を滴下する。このとき、第二の立体造形用液体材料4を滴下する位置は、最終的に造形したい立体形状を複数の平面層にスライスした二次元画像データ(スライスデータ)により決定される。
一層分の描画が終了した後、供給側スラリー貯留槽2のステージ3を上げ、造形側スラリー貯留槽1のステージ3を下げる。その差分のスラリー材料を、前記均し機構6によって、造形側スラリー貯留槽1へと移動させる。
このようにして、先に描画したスラリー材料層面上に、新たなスラリー材料層が一層形成される。このときのスラリー材料層一層の厚みは、数十μm以上100μm以下程度である。前記新たに形成されたスラリー材料層上に、更に二層目のスライスデータに基づく描画を行い、この一連のプロセスを繰り返して立体造形物を得、図示しない加熱手段で加熱乾燥させることで造形物が得られる。
図2に、本発明で用いられるスラリー積層造形装置の他の一例を示す。図2の立体造形物の製造方法は、原理的には図1と同じものであるが、第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)の供給機構が異なる。即ち、供給側スラリー貯留槽2は、造形側スラリー貯留槽1の上方に配されている。一層目の描画が終了すると、造形側スラリー貯留槽1のステージ3が所定量降下し、供給側スラリー貯留槽2が移動しながら、所定量のスラリー材料を造形側スラリー貯留槽1に落下させ、新たなスラリー材料層を形成する。その後、均し機構6で、第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)層を圧縮し、かさ密度を上げると共に、スラリー材料層の高さを均一に均す。
図2に示す構成の立体造形物の製造装置によれば、2つのスラリー貯留槽を平面的に並べる図1の構成に比べて、装置をコンパクトにできる。
(立体造形材料セット)
本発明の立体造形材料セット(「積層造形材料セット」とも称することがある)は、粒子を含む第一の立体造形用液体材料と、吸光発熱性物質を含む第二の立体造形用液体材料と、を有し、更に必要に応じてその他の材料を有してなる。
本発明の立体造形材料セットは、レーザーや電子線を用いた従来の方法においては粉末の搬送をしなければならず、ジルコニアのような焼結を必要とするセラミックスにおいては、焼結性を担保させるために小粒径化した場合に、ジルコニアの流動性が著しく悪化してしまい、搬送できなくなるという知見に基づくものである。
また、レーザーや電子線を用いた従来の方法では、人工歯に対して、グラデーションを付加することができないが、インクジェット方式であれば、第二の立体造形用液体材料側に色材を含有させることで造形時のグラデーション付加が可能であり、更なる高付加価値化が期待できる。
前記第二の立体造形用液体材料は、各種の積層造形物、構造体の簡便かつ効率的な製造に好適に用いることができ、本発明の立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置に特に好適に用いることができる。
前記第一の立体造形用液体材料としては、前記層形成工程における第一の立体造形用液体材料と同様のものを用いることができる。
前記第二の立体造形用液体材料としては、前記付与工程における第一の立体造形用液体材料と同様のものを用いることができる。
<立体造形物(積層造形物)>
前記立体造形物(積層造形物)は、本発明の立体造形物の製造方法により製造される。
前記立体造形物としては、口腔内の咀嚼力に長期間耐えることができ、審美性を有している点から、人工歯であることが好ましい。
前記人工歯は、う蝕、外傷、歯周病などにより失った天然歯の代わりに、その機能を回復するために作られた人工の歯であり、ブリッジ、クラウン等の歯科用補綴物も含まれる。
本発明の立体造形物の製造方法及び本発明の立体造形物の製造装置によれば、複雑な立体形状の造形物を、前記第一の立体造形用液体材料を用いて、簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く製造することができる。こうして得られた立体造形物(硬化物)は、細胞毒性がなく、充分な強度を有し、寸法精度に優れ、微細な凹凸、曲面なども再現できるので、美的外観にも優れ、高品質であり、各種用途に好適に使用される。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、立体造形(積層造形)を用い、型を用いないで積層造形物を製造した例を示したが、これらに制限されるものではない。
なお、以下のようにして、「吸光発熱性物質の最大吸収波長」を測定した。
(吸光発熱性物質の最大吸収波長)
前記吸光発熱性物質の最大吸収波長は、モノクロメータ(装置名:UV−2600、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
(第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)の調製例1)
<粒子1の合成>
20質量%のオキシ塩化ジルコニウム水溶液に、イットリア及びジルコニアの換算モル比(イットリア:ジルコニア)が2.8:97.2となるように、18質量%の塩化イットリウム水溶液を混合した。これに、塩化ナトリウムをオキシ塩化ジルコニウム全量に対して、0.5質量%添加し溶解した。
次いで、得られた水溶液に塩化アルミニウムをジルコニア全量に対して、アルミナとして0.4質量%となるように添加し溶解した。この水溶液を200℃の温度の空気内で噴霧乾燥し、乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末を、空気中で1,000℃の温度で焼成し、仮焼粉末を合成した。得られた仮焼粉末の単斜晶相率は8.2%であった。この仮焼粉末を、湿式アトライターで粉砕して30質量%スラリー材料を得た。次に、得られたスラリー材料を、目開き0.5μmのメンブレンフィルターにて希釈・ろ過濃縮を繰り返し、ろ過水の電気伝導度が20μS以下になるまで繰り返し洗浄して、粒子1(ジルコニア粒子)を合成した。なお、前記仮焼粉末の単斜晶相率は下記のようにして同定した。
[粒子1(ジルコニア粒子)の結晶相率の同定]
合成した粒子1としてのジルコニアの結晶相の同定を、X線粉末回折装置(リガク電機株式会社製、RINT1100)を用いて以下の条件で実施した。
[測定条件]
・管球:Cu
・電圧:40kV
・電流:40mA
・開始角度:3°
・終了角度:80°
・スキャンスピード:0.5°/min
なお、ジルコニアの単斜晶相率(%)は、粉末X線回折測定により単斜晶相の111面及び11−1面、正方晶相の111面及び立方晶相の111面の反射ピーク強度Im(111)、Im(11−1)、It(111)、Ic(111)より、下記式(1)により算出した。
[式(1)]
単斜晶相率(%)=[Im(111)+Im(11−1)]/[Im(111)+Im(11−1)+It(111)+Ic(111)]
<第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)1の調製>
粒子1(ジルコニア粒子)28.2質量部、重量平均分子量(Mw)が800,000であるポリアクリル酸A(PAA、株式会社日本触媒製、AS−58)4.7質量部、可塑剤としてのフタル酸ベンジルブチル9.4質量部、セラミックス分散剤(マリアリム(登録商標)、日油株式会社製、AKM−0531)1.4質量部、及び水56.3質量部を混合し、直径3mmのジルコニアビーズにて3時間ビーズミル分散することで第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)1を得た。
得られた粒子1(ジルコニア粒子)の結晶相率の同定の体積平均粒径について、以下のように測定した。
−粒子の体積平均粒径−
前記第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)1中における前記粒子の体積平均粒径は、装置名:LA−920(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。LA−920の測定の際にLA−920専用アプリケーション(Ver.3.32)(株式会社堀場製作所製)を用いて解析を行った。具体的にはクロロホルムで光軸調整した後、バックグラウンドを測定した。その後、循環を開始し前記第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)を滴下した。透過率が安定したことを確認した後に超音波を下記条件で照射した。照射した後に透過率の値が70%以上95%以下の範囲となる条件で体積平均粒径を測定した。体積平均粒径の測定再現性の点から、前記LA−920の透過率の値が70%以上95%以下となる条件で測定した。また、超音波照射後に透過率が前記値から外れた場合は再度測定を行った。前記透過率の値を得るために前記第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)の滴下量を調節した。なお、測定及び解析条件は、以下のように設定した。
[測定及び解析条件]
・データ取り込み回数:15回
・相対屈折率:1.20
・循環:5
・超音波強度:7
粒子1の体積平均粒径は0.15μmであった。
(第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)の調製例2)
<第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)2の調製>
粒子2(シリカ粒子、商品名:SE−8、株式会社トクヤマ製)16.5質量部、ポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量:150,000〜400,000、住友精化株式会社製)25.8質量部、及び水57.7質量部を混合し、第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)2を得た。
(第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)の調製例3)
<第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)3の調製>
熱可塑性ポリウレタン粒子(TPU)16.5質量部、ポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量:150,000〜400,000、住友精化株式会社製)25.8質量部、水57.7質量部を混合し、第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)3を得た。
第一の立体造形用液体材料1〜3の組成を下記表1に示す。
(第二の立体造形用液体材料の調製例1)
<第二の立体造形用液体材料1の調製>
水88.0質量部、重量平均分子量(Mw)が10,000であるポリエチレンイミンA(PEI、株式会社日本触媒製、SP−200)12.0質量部と、界面活性剤としてTween20(東京化成工業株式会社製)0.5質量部、カーボンブラック(三菱化学株式会社製)5質量部を、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、第二の立体造形用液体材料1を調製した。なお、前記カーボンブラックの最大吸収波長は、1,400nmであった。
(第二の立体造形用液体材料の調製例2)
<第二の立体造形用液体材料2の調製>
第二の立体造形用液体材料の調製例1において、カーボンブラックをスズドープ酸化インジウム(商品名:ITO−R、CIKナノテック株式会社製)に変更した以外は、第二の立体造形用液体材料の調製例1と同様にして、第二の立体造形用液体材料2を得た。なお、前記ITO−Rの最大吸収波長は、1,400nmであった。
(第二の立体造形用液体材料の調製例3)
<第二の立体造形用液体材料3の調製>
第二の立体造形用液体材料の調製例1において、カーボンブラックを銅フタロシアニン(東京化成工業株式会社製)に変更した以外は、第二の立体造形用液体材料の調製例1と同様にして、第二の立体造形用液体材料3を得た。なお、前記銅フタロシアニンの最大吸収波長は、850nmであった。
(第二の立体造形用液体材料の調製例4)
<第二の立体造形用液体材料4の調製>
第二の立体造形用液体材料の調製例1において、カーボンブラックをビス[4,4’−ジメトキシ(ジチオベンジル)]ニッケル(東京化成工業株式会社製)に変更した以外は、第二の立体造形用液体材料の調製例1と同様にして、第二の立体造形用液体材料4を得た。なお、前記ビス[4,4’−ジメトキシ(ジチオベンジル)]ニッケルの最大吸収波長は、1,030nmであった。
(第二の立体造形用液体材料の調製例5)
<第二の立体造形用液体材料5の調製>
第二の立体造形用液体材料の調製例1において、カーボンブラックをポリメチン系化合物(IR−820B、日本化薬株式会社製)に変更した以外は、第二の立体造形用液体材料の調製例1と同様にして、第二の立体造形用液体材料5を得た。なお、前記ポリメチン系化合物の最大吸収波長は、820nmであった。
(第二の立体造形用液体材料の調製例6)
<第二の立体造形用液体材料6の調製>
第二の立体造形用液体材料の調製例1において、カーボンブラックをシアニン系化合物(CY−2、日本化薬株式会社製)に変更した以外は、第二の立体造形用液体材料の調製例1と同様にして、第二の立体造形用液体材料6を得た。なお、前記シアニン系化合物の最大吸収波長は、800nmであった。
(第二の立体造形用液体材料の調製例7)
<インドレニン化合物の合成>
4,5−ベンゾ−1−(2−メトキシエチル)−3,3−ジメチル−2−メチレンインドリン2.7質量部、及び2−クロロ−1−ホルミル−3−ヒドロキシメチレンシクロヘキセン0.8質量部を無水酢酸4.0質量部中にて、還流冷却下1時間煮沸し、次いで、室温(25℃)まで冷却した後、この反応液を吸引濾過し、不溶な不純物を除去した。次いで、この反応液をテトラフルオロほう酸ナトリウム0.5質量部を溶解させた水4.0質量部に注入し、沈殿した結晶を吸引濾過し、ジメチルホルムアミド(DMF)2.0質量部で再結晶させ、メタノール2.0質量部にて洗浄し、乾燥し、以下に示す構造を有するインドレニン化合物が2.5質量部得られた。このインドレニン化合物の最大吸収波長は820nmであった。
<第二の立体造形用液体材料7の調製>
第二の立体造形用液体材料の調製例1において、カーボンブラックを得られたインドレニン化合物に変更した以外は、第二の立体造形用液体材料の調製例1と同様にして、第二の立体造形用液体材料6を得た。
(第二の立体造形用液体材料の調製例8)
<第二の立体造形用液体材料8の調製>
以下の組成の活性エネルギー線硬化型組成物を混合し、第二の立体造形用液体材料8を得た。
<紫外線硬化樹脂>
・カーボンブラック:5質量部
<紫外線硬化樹脂>
・フェノキシエチルアクリレート(東京化成工業株式会社製):38.8質量部
・ジエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製):4.6質量部
<モノマー>
・4−ヒドロキシブチルアクリレート(日本化成株式会社製):47.6質量部
<重合開始剤>
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(東京化成工業株式会社製):1.0質量部
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF社製):1.8質量部
<蛍光増白剤(増感剤)>
・1,4−ビス−(ベンズオキサゾイル−2−イル)ナフタレン(東京化成工業株式会社製):0.2質量部
<界面活性剤>
・ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK社製):1.0質量部
(第二の立体造形用液体材料の調製例9)
<第二の立体造形用液体材料9の調製>
第二の立体造形用液体材料の調製例1において、カーボンブラックを使用しなかった以外は、第二の立体造形用液体材料の調製例1と同様にして、第二の立体造形用液体材料9を得た。
第二の立体造形用液体材料1〜9の組成を下記表2に示す。
(第二の立体造形用液体材料の調製例10)
<第二の立体造形用液体材料10の調製>
染料としてFHI 104422P(Fabric Color Holding Company社製)0.75質量部、2−ピロリジノン75質量部、2−メチルー1,3−プロパンジオール7質量部、テトラエチレングリコール7質量部、Liponic EG−1(lipo chemicals inc)6.36質量部、Surfynol CT151(air products & chemicals inc社製)0.99質量部、Zonyl FSO(DuPont社製)0.09質量部、SMA1440H(Cray Valley)3.11質量部、トリスヒドロキシメチルアミノメタン0.45質量部、及び水:51.75質量部を、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、第二の立体造形用液体材料10を調製した。なお、前記染料(FHI 104422P)の最大吸収波長は、1,064nmであった。
(実施例1)
得られた第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)1と、前記第二の立体造形用液体材料1とを用いて立体造形材料セット1とし、サイズ(長さ70mm×巾12mm)の形状印刷パターンにより、立体造形物(積層造形物)1を以下(1)〜(3)のようにして作製した。なお、造形時、薄層を形成する層形成工程後に形成した層を乾燥する層乾燥工程を実施せず造形することが可能であった。また、造形後、すぐに硬化物を取り出すことができた。
(1)まず、図1に示したような立体造形物の製造装置を用いて、供給側粉末貯留槽から造形側粉末貯留槽に前記スラリー材料1を移送させ、前記支持体上に平均厚みが100μmのスラリー材料1からなる薄層を形成した。
(2)次に、形成したスラリー材料1からなる薄層の表面に、前記第二の立体造形用液体材料1を、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、SG7100)を用いてノズルから付与(吐出)し、前記スラリー材料1を硬化させた。
次に、硬化したスラリー材料1の表面を発振波長域として少なくとも810nm以上840nm以下、及び900nm以上980nm以下に発光スペクトルピークを有するキセノンランプを有するフラッシュ照射装置を用いて、照射パワー3.0J/cmにて速度120mm/secで移動させながら照射した。
(3)次に、前記(1)及び前記(2)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰返し、硬化した前記スラリー材料1からなる薄層を順次積層して硬化物を得た。
(実施例2)
実施例1において、第二の立体造形用液体材料1を第二の立体造形用液体材料2に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形材料セット2とした。
次に、実施例1において、立体造形材料セット1を立体造形材料セット2に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形物(積層造形物)を得た。
(実施例3)
実施例1において、第二の立体造形用液体材料1を第二の立体造形用液体材料3に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形材料セット3とした。
次に、実施例1において、立体造形材料セット1を立体造形材料セット3に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形物(積層造形物)を得た。
(実施例4)
実施例1において、第二の立体造形用液体材料1を第二の立体造形用液体材料4に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形材料セット4とした。
次に、実施例1において、立体造形材料セット1を立体造形材料セット4に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形物(積層造形物)を得た。
(実施例5)
実施例1において、第二の立体造形用液体材料1を第二の立体造形用液体材料5に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形材料セット5とした。
次に、実施例1において、立体造形材料セット1を立体造形材料セット5に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形物(積層造形物)を得た。
(実施例6)
実施例1において、第二の立体造形用液体材料1を第二の立体造形用液体材料6に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形材料セット6とした。
次に、実施例1において、立体造形材料セット1を立体造形材料セット6に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形物(積層造形物)を得た。
(実施例7)
実施例1において、第二の立体造形用液体材料1を第二の立体造形用液体材料7に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形材料セット7とした。
次に、実施例1において、立体造形材料セット1を立体造形材料セット7に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形物(積層造形物)を得た。
(実施例8)
得られた第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)2と、前記第二の立体造形用液体材料8とを用いて立体造形材料セット8とした。
次に、得られた第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)2と、前記第二の立体造形用液体材料8とを用いて立体造形材料セット8とし、サイズ(長さ70mm×巾12mm)の形状印刷パターンにより、立体造形物(積層造形物)8を以下(1)〜(3)のようにして作製した。
(1)まず、図1に示したような立体造形物の製造装置を用いて、供給側粉末貯留槽から造形側粉末貯留槽に前記スラリー材料2を移送させ、前記支持体上に平均厚みが100μmのスラリー材料1からなる薄層を形成した。
(2)次に、形成したスラリー材料2からなる薄層の表面に、前記第二の立体造形用液体材料8を、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、SG7100)を用いてノズルから付与(吐出)し、紫外線を照射して前記スラリー材料の所定領域を硬化した。
次に、硬化したスラリー材料2の表面を発振波長域として少なくとも810nm以上840nm以下、及び900nm以上980nm以下に発光スペクトルピークを有するキセノンランプを有するフラッシュ照射装置を用いて、照射パワー3.0J/cmにて速度120mm/secで移動させながら照射した。
(3)次に、前記(1)及び前記(2)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰返し、硬化した前記スラリー材料1からなる薄層を順次積層して硬化物を得た。
(実施例9)
実施例1において、第一の立体造形用液体材料1を第一の立体造形用液体材料3に、第二の立体造形用液体材料1を第二の立体造形用液体材料9に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形材料セット10とした。
次に、実施例1において、立体造形材料セット1を立体造形材料セット9に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形物(積層造形物)を得た。
(比較例1)
実施例1において、第二の立体造形用液体材料1を第二の立体造形用液体材料9に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形材料セット9とした。
次に、実施例1において、立体造形材料セット1を立体造形材料セット9に変更した点、及び造形後に硬化物を常温放置し、溶媒を揮発させて乾燥した点以外は、実施例1と同様にして、立体造形物(積層造形物)を得た。
(比較例2)
実施例1において、スラリー材料1を粒子1に変更して、図1に示したような立体造形物の製造装置を用いて、供給側粉末貯留槽から造形側粉末貯留槽に前記粒子1を平均厚みが100μmの層を形成するように前記支持体上に移送したところ、粒子1を十分に移送することができず、ひび割れ、供給不良が発生したため、層形成できなかった。
得られた立体造形物について、以下のようにして、「除去性」、「寸法精度」、及び「造形物強度(グリン体強度)」を評価した。結果を下記表3に示す。
(除去性)
得られた立体造形物に対して、硬化していない第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)を流水で除去を実施して得られた立体造形物を目視にて観察し、下記評価基準に基づいて、除去性を評価した。
[評価基準]
○:立体造形物の表面より未硬化部が速やかに分離できている
△:スパチュラ等で未硬化部を掻きとることで、立体造形物の表面より分離できている
×:流水や掻きとりを長時間実施しないと分離できない
(寸法精度)
次に、得られた立体造形物について、目視にて観察し、下記評価基準に基づいて、寸法精度を評価した。結果を下記表3に示した。
[評価基準]
○:立体造形物の表面が滑らかで美麗であり、反りも生じていない状態
△:立体造形物の表面に若干の歪みと僅かに反りが生じている状態
×:立体造形物の表面に歪みが生じており、激しく反りが生じている状態
(造形物強度(グリン体強度))
次に硬化していないスラリー材料成分を流水で除去を実施して得られた立体造形物(グリン体)について、下記評価基準に基づいて、「造形物強度」を評価した。
[評価基準]
○:立体造形物が硬化しており、手で保持しても変形せず、5cm程度の高さから落としても容易に破壊されない
△:立体造形物が手で保持できるが、5cm程度の高さから落とすと変形する程度に柔らかい
×:立体造形物が手で保持しても変形するほどに柔らかく、容易に破壊できる
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 粒子を含む第一の立体造形用液体材料を用いて第一の立体造形用液体材料層を形成する層形成工程と、
吸光発熱性物質を含む第二の立体造形用液体材料を、前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に付与する付与工程と、
前記付与工程後に赤外線を前記第一の立体造形用液体材料層に照射する赤外線照射工程と、を複数回繰り返すことにより造形することを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<2> 前記吸光発熱性物質が、800nm以上1mm以下に吸光ピークを持つ前記<1>に記載の立体造形物の製造方法である。
<3> 前記吸光発熱性物質が、800nm以上3μm以下に吸光ピークを持つ前記<2>に記載の立体造形物の製造方法である。
<4> 前記吸光発熱性物質が、800nm以上1,400nm以下に吸光ピークを持つ前記<3>に記載の立体造形物の製造方法である。
<5> 前記吸光発熱性物質が、顔料、及び染料のいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<6> 前記顔料が、炭素、金属酸化物、及び有機金属錯体から選択される少なくとも1種である前記<5>に記載の立体造形物の製造方法である。
<7> 前記粒子の体積平均粒径が、1μm未満である前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<8> 前記粒子が、無機粒子である前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<9> 造形後に未硬化の第一の立体造形用液体材料を除去する工程をさらに含む前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<10> 前記第一の立体造形用液体材料が、有機化合物Aを含み、
前記第二の立体造形用液体材料が、前記有機化合物Aに対して反応性を示す有機化合物Bをさらに含む前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<11> 前記第一の立体造形用液体材料及び前記第二の立体造形用液体材料の少なくともいずれかが、モノマーを含み、
前記付与工程後に、紫外線照射工程をさらに含む前記<1>から<10>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<12> 前記第一の立体造形用液体材料中の前記粒子が、セラミックス粒子、及び金属粒子の少なくともいずれかである前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<13> 前記セラミックス粒子が、ジルコニア粒子、アルミナ粒子、シリカ粒子、及び二ケイ酸リチウム粒子から選択される少なくとも1種である前記<12>に記載の立体造形物の製造方法である。
<14> 前記セラミックス粒子の体積平均粒径が、5μm未満である前記<11>から<13>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<15> 粒子を含む第一の立体造形用液体材料と、
吸光発熱性物質を含む第二の立体造形用液体材料と、を有することを特徴とする立体造形材料セットである。
<16> 前記粒子の体積平均粒径が、1μm未満である前記<15>に記載の立体造形材料セットである。
<17> 前記第一の立体造形用液体材料が、有機化合物Aをさらに含み、
前記第二の立体造形用液体材料が、前記有機化合物Aに対して反応性を示す有機化合物Bをさらに含む前記<16>に記載の立体造形材料セットである。
<18> 前記有機化合物Aが、ポリアクリル酸である前記<15>から<17>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<19> 前記ポリアクリル酸の重量平均分子量が、400,000以上である前記<15>から<18>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<20> 前記第一の立体造形用液体材料及び前記第二の立体造形用液体材料の少なくともいずれかが、モノマーを含む前記<15>から<19>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<21> 第一の立体造形用液体材料層を保持するための第一の立体造形用液体材料層保持手段と、
前記第一の立体造形用液体材料層保持手段上に第一の立体造形用液体材料を用いて前記第一の立体造形用液体材料層を形成する層形成手段と、
前記第一の立体造形用液体材料層保持手段上に形成された前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に第二の立体造形用液体材料を付与する付与手段と、
前記第一の立体造形用液体材料層に赤外線を照射する赤外線照射手段と、を有し、
前記第一の立体造形用液体材料が、吸光発熱性物質を含有することを特徴とする立体造形物の製造装置である。
前記<1>から<14>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法、前記<15>から<20>のいずれかに記載の立体造形材料セット、及び<21>に記載の立体造形物の製造装置は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特許5692430号公報 特許5831610号公報
4 第二の立体造形用液体材料

Claims (14)

  1. 粒子を含む第一の立体造形用液体材料を用いて第一の立体造形用液体材料層を形成する層形成工程と、
    吸光発熱性物質を含む第二の立体造形用液体材料を、前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に付与する付与工程と、
    前記付与工程後に赤外線を前記第一の立体造形用液体材料層に照射する赤外線照射工程と、を複数回繰り返すことにより造形することを特徴とする立体造形物の製造方法。
  2. 前記吸光発熱性物質が、800nm以上1,400nm以下に吸光ピークを持つ請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
  3. 前記吸光発熱性物質が、顔料、及び染料のいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  4. 前記顔料、及び前記染料の少なくともいずれかが、炭素化合物、金属酸化物、及び有機金属錯体から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の立体造形物の製造方法。
  5. 前記粒子の体積平均粒径が、1μm未満である請求項1から4のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  6. 前記粒子が、無機粒子である請求項1から5のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  7. 造形後に未硬化の第一の立体造形用液体材料を除去する工程をさらに含む請求項1から6のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  8. 前記第一の立体造形用液体材料が、有機化合物Aを含み、
    前記第二の立体造形用液体材料が、前記有機化合物Aに対して反応性を示す有機化合物Bをさらに含む請求項1から7のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  9. 前記第一の立体造形用液体材料及び前記第二の立体造形用液体材料の少なくともいずれかが、モノマーを含み、
    前記付与工程後に、紫外線照射工程をさらに含む請求項1から8のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  10. 粒子を含む第一の立体造形用液体材料と、
    吸光発熱性物質を含む第二の立体造形用液体材料と、を有することを特徴とする立体造形材料セット。
  11. 前記粒子の体積平均粒径が、1μm未満である請求項10に記載の立体造形材料セット。
  12. 前記第一の立体造形用液体材料が、有機化合物Aをさらに含み、
    前記第二の立体造形用液体材料が、前記有機化合物Aに対して反応性を示す有機化合物Bをさらに含む請求項10から11のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  13. 前記第一の立体造形用液体材料及び前記第二の立体造形用液体材料の少なくともいずれかが、モノマーを含む請求項10から12のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  14. 第一の立体造形用液体材料層を保持するための第一の立体造形用液体材料層保持手段と、
    前記第一の立体造形用液体材料層保持手段上に第一の立体造形用液体材料を用いて前記第一の立体造形用液体材料層を形成する層形成手段と、
    前記第一の立体造形用液体材料層保持手段上に形成された前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に第二の立体造形用液体材料を付与する付与手段と、
    前記第一の立体造形用液体材料層に赤外線を照射する赤外線照射手段と、を有し、
    前記第一の立体造形用液体材料が、吸光発熱性物質を含有することを特徴とする立体造形物の製造装置。
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