JP6500523B2 - 立体造形材料セット、立体造形物の製造方法、及び立体造形物 - Google Patents

立体造形材料セット、立体造形物の製造方法、及び立体造形物 Download PDF

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Description

本発明は、立体造形材料セット、立体造形物の製造方法、及び立体造形物に関する。
従来より、歯の補綴物(人工歯)は、コバルトクロム合金等の金属材料、ジルコニア等のセラミックス材料、フィラーを複合したハイブリッドレジン等の有機材料などから作られ使われてきた。これらの人工歯は機能不全の咬合機能を代行するものであるが、前記人工歯の材料の多くは、磨耗や腐食等の経時変化を起こすのみならず、天然歯に比べて白味が強いなど、審美性の観点でも問題点がある。この問題点を解消することが期待されている材料としては、例えば、ジルコニアが知られている。前記ジルコニアは透明性を持っており、色のグラデーションを付加すれば天然歯と並べても違和感の無い人工歯の作成が可能である。しかし、前記ジルコニアは極めて硬い材料であり、補綴物として扱うためには、所望の形状に成型加工する必要があるため、多くの時間を要するのみならず、特にCAD/CAMのような切削の場合であると内部構造を有した繊細な加工は不可能である。
一方、前記粉末積層造形においては内部構造を有した繊細な加工が可能であると期待され、レーザーや電子線を用いた方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかし、前記ジルコニアにおいては融点が極めて高い故、通常のレーザーなどでは焼結することができず、立体造形することができない。
本発明は、高融点かつ高硬度材料を用いた複雑な立体形状の立体造形物を簡便かつ効率良く、高強度で素早く製造し得る立体造形材料セットを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形材料セットは、少なくとも、樹脂と、一次粒子の体積平均粒子径が1μm以下である無機粒子とからなる体積平均粒径が10μm以上70μm以下である造粒粒子を含む立体造形用粉末材料と、
アミノ基含有化合物を含む立体造形用液体材料と、を有する。
本発明によると、高融点かつ高硬度材料を用いた複雑な立体形状の立体造形物を簡便かつ効率良く、高強度で素早く製造し得る立体造形材料セットを提供することができる。
図1は、本発明で用いられる粉末積層造形装置の一例を示す概略図である。 図2は、本発明で用いられる粉末積層造形装置の他の一例を示す概略図である。
(立体造形材料セット)
本発明の立体造形材料セット(「積層造形材料セット」と称することもある)は、立体造形用粉末材料(「積層造形用粉末材料」と称することもある)と、立体造形用液体材料(「積層造形用液体材料」と称することもある)と、を有し、更に必要に応じてその他の材料を有してなる。
<立体造形用粉末材料>
前記立体造形用粉末材料は、造粒粒子を含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
−造粒粒子−
前記造粒粒子は、樹脂と、無機粒子とを造粒してなる粒子である。
前記造粒粒子の体積平均粒子径は、10μm以上70μm以下であり、30μm以上50μm以下が好ましい。前記体積平均粒子径が10μm以上であると、粉末材料の流動性が良好であり、造形する際に粉末材料を供給槽から供給することが容易である。一方、前記体積平均粒子径が70μm以下であると、造形後の粒子間隙が適切であり、焼結時の収縮が小さいので寸法精度が良好である。
前記造粒粒子の体積平均粒径は、公知の粒径測定装置、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
前記造粒粒子のBET比表面積は、6.0m/g以上8.0m/g以下が好ましく、6.5m/g以上7.5m/g以下がより好ましい。前記BET比表面積が、6.0m/g以上であると、内包化された樹脂の量が適切であり、造形時における樹脂の溶出量が適切であるため、造形物(グリン体)としての力学的強度が良好となり、所望形状での造形が可能となる。一方、前記BET比表面積が、8.0m/g以下であると、前記造粒粒子の最表面の凹凸の状態が適切であるため流動性が良好であり、造形時の粉体搬送が上手く行き、所望形状での造形が行える。
前記造粒粒子の下記式で表される平均円形度は、0.960以上が好ましく、0.980以上がより好ましい。
平均円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長)×100
前記平均円形度が、0.960以上であると、前記造粒粒子で薄層を形成した際に、前記薄層における前記造粒粒子の充填率が充分であり空隙が生じないため、得られる造形物に空隙等が生じることを防止できる。
前記平均円形度は、公知の円形度測定装置、例えば、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
前記造粒粒子の軽装嵩密度は、1.00g/cm以上1.40g/cm以下が好ましく、1.10g/cm以上1.30g/cm以下がより好ましい。前記軽装嵩密度が、1.00g/cm以上又は1.40g/cm以下であると、前記粉末材料の流動性が良好であり、造形時の粉体搬送が支障なく行え、所望形状での造形が容易になる。
前記造粒粒子の重装嵩密度は、1.20g/cm以上1.60g/cm以下が好ましく、1.30g/cm以上1.50g/cm以下がより好ましい。前記重装嵩密度が、1.20g/cm以上又は1.60g/cm以下であると、前記粉末材料の流動性が良好であり、造形時の粉体搬送が支障なく行え、所望形状での造形が容易になる。
前記軽装嵩密度及び前記重装嵩密度は、例えば、パウダーテスター(筒井理化学株式会社製)などを用いて測定することができる。
前記造粒粒子を1,000℃で1時間加熱した前後における質量減少率は、5質量%以下が好ましい。前記質量減少率が、5質量%以下であると、焼成残渣による結晶化への悪影響、又はクラック発生の抑制が可能となる。
前記質量減少率は、例えば、示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、TG−DTA6200 EXSTAR6000)により測定することができる。
−−無機粒子−−
前記無機粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジルコニア、アルミナ、シリカなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジルコニアが好ましい。
前記無機粒子としてジルコニアを用いる場合は、焼結助剤としてのイットリアや、不純物としてのアルミナなどが含有されてもよい。
前記無機粒子中のジルコニアの含有量は、90質量%以上が好ましく、94質量%以上がより好ましい。前記ジルコニアの含有量が、90質量%以上であると、焼結助剤或いは不純物の相対量が低下するため、力学的強度に優れ、変色が生じない。
前記無機粒子中のイットリアの含有量は、2質量%以上6質量%以下が好ましく、3質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記イットリアの含有量が、2質量%以上6質量%以下の範囲において、焼結助剤としての機能が十分に発揮され、焼成時にクラックが生じることがない。
前記無機粒子中のアルミナの含有量は、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。前記アルミナの含有量が、3質量%以下であると、焼結助剤としての機能が良好であり、色味にも悪影響がない。
前記無機粒子中のジルコニア、イットリア、及びアルミナの含有量は、例えば、ICP発光分光分析法により測定することができる。
前記無機粒子の一次粒子の体積平均粒子径は、1μm以下である。前記一次粒子の体積平均粒子径が1μm以下であると、焼成時にジルコニアが十分に溶解し、容易に焼結することができる。
前記無機粒子の体積平均粒径は、公知の粒径測定装置、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
前記無機粒子の単斜晶相率は、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。前記単斜晶相率が、30%以下であると、正方晶相率が適切となり、力学的強度が良好である。
前記無機粒子の単斜晶相率は、例えば、X線粉末回折装置を用いて、所定の条件で測定することができる。
前記無機粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱分解法、共沈法、加水分解法、ジルコニアやイットリアの金属塩水溶液から合成する方法などが挙げられる。これらの中でも、熱分解法又は共沈法による方法が好ましい。
前記熱分解法は、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウム水溶液を所定量混合し、塩化ナトリウム(又は塩化カリウム)をオキシ塩化ジルコニウムに対し0.1質量%〜1質量%添加し、混合する。この混合液を噴霧乾燥法等の瞬間乾燥を行い、乾燥粉末を得る。
前記瞬間乾燥とは、10秒間以内に乾燥できる手法であり、乾燥温度は200℃以上の加熱空気中で行うことが好ましい。
次に、前記乾燥粉末を空気中で800℃〜1,200℃の温度で熱分解させることで、酸化物仮焼粉末を得る。前記酸化物仮焼粉末を湿式粉砕法で粉砕径を2μm以下になるように粉砕し、水洗する。前記水洗の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、メンブレンフィルターを使用した連続式洗浄ろ過法が好ましい。
前記水洗により、無機粒子中のナトリウム(又はカリウム)濃度が酸化物に換算した量として10ppm〜100ppmの範囲になるように十分に水洗する。前記水洗後のスラリーを乾燥させることにより、無機粒子(ジルコニア粉末)が得られる。
前記共沈法は、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウム水溶液を混合する。ここで特にオキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムからのそれぞれの水和物が析出するpHを一定にするように金属錯体を形成させるため、硫酸ナトリウム(又は硫酸カリウム)をジルコニアに対しモル比が好ましくは0.3〜0.7となるように添加し、50〜100℃の温度で数時間以上反応させる。この混合液に水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリ水溶液を攪拌しながら加え、水溶液のpHを8〜10とする。得られた共沈水和物微粒子を十分水洗し、酸化物に換算したときのナトリウム(又はカリウム)が10ppm〜100ppmの範囲となっていることを確認する。水洗後の水和物微粒子を脱水・乾燥させ、空気中で800℃〜1,200℃の温度で焼成することで酸化物仮焼粉末を得る。得られた酸化物仮焼粉末を2μm以下まで湿式粉砕し、乾燥することで無機粒子(ジルコニア粉末)が得られる。
−−樹脂−−
前記樹脂としては、水溶性樹脂が好適に用いられる。
前記水溶性樹脂における水溶性とは、室温(25℃)において、水に対して10質量%以上溶解することを意味する。
前記水溶性樹脂は、前記無機粒子に添加し、前記水溶性樹脂に対して架橋反応を示すアミノ基含有化合物を含む液体材料が付与されることで、水に溶解した前記水溶性樹脂が液体材料中のアミノ基含有化合物と瞬時に反応し、素早く造形物を得ることができる。
前記樹脂としては、酸性官能基を有するものが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などが挙げられる。これらの中でも、より酸性度が強いポリアクリル酸が好ましい。
前記ポリアクリル酸の重量平均分子量Mwは、500,000以上1,000,000以下が好ましく、600,000以上900,000以下がより好ましい。前記重量平均分子量Mwが500,000以上であると、前記液体材料との架橋構造の構築が容易であり、造形物の硬化時間が適切である。一方、前記重量平均分子量Mwが、1,000,000以下であると、スラリーの粘度が適切であり、スプレードライ造粒の際に、前記ポリアクリル酸水溶液の供給が良好であり、得られる造粒粒子のバラツキが生じない。
前記重量平均分子量Mwは、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって、単離したポリアクリル酸の分子量分布を求めて、これを基に重量平均分子量を算出することができる。
前記樹脂の前記無機粒子への添加方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレードライにより造粒するタイミングで樹脂を添加させ、無機粒子の凝集体(二次粒子)の内部にまで前記樹脂を担持させる方法などが挙げられる。
前記樹脂の前記無機粒子に対する添加量は、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がより好ましい。前記添加量が、0.1質量%以上であると、架橋反応が適切に起こり、造形物の強度が良好である。一方、前記添加量が5質量%以下であると、焼結後の造形物の力学的強度が良好である。
前記樹脂の添加量は、公知の熱分析装置、例えば、DSC−200(セイコー電子社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
既存の立体造形方式の場合、樹脂(結合剤)がすぐに反応、或いは、溶解しないため、造形が終わってから該造形物を取り出すまで、長い時間待たなければならない。例えば、樹脂がコーティングされた金属、或いは、セラミックス粒子に水系インクを着弾させた場合、前記樹脂が溶解して、その後固化すれば粒子間に存在する樹脂がバインダーの役割を果たし造形物が得られるが、その場合、溶解してから固化するまでの時間が非常に長くなる。したがって、前記樹脂に加えて、別の結合促進剤等を付与しながら硬化速度を向上させるなど、造形直後に造形物が取り出せるよう工夫する必要がある。
また、造形物(グリン体)の強度を得るために樹脂を多く添加することも可能だが、その場合、焼結後に有機残存物が多く存在してしまい、焼結物の力学的強度を著しく低下させてしまう恐れがある。したがって、硬化速度を素早くするために樹脂の添加量を増やすのは得策ではなく、可能な限り少量で硬化速度を向上させ、かつグリン体及び焼結後造形物の力学的強度を向上させることが望まれている。
<その他の成分>
前記立体造形用粉末材料が含み得るその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動化剤、フィラー、レベリング剤、焼結助剤などが挙げられる。
前記立体造形用粉末材料が、前記流動化剤を含むと前記立体造形用粉末材料による層等を容易にかつ効率よく形成し得る点で好ましく、前記フィラーを含むと得られる硬化物(立体造形物、積層造形物、焼結用硬化物)に空隙等が生じ難くなる点で好ましく、前記レベリング剤を含むと該立体造形用粉末材料の濡れ性が向上し、ハンドリング等が容易になる点で好ましく、前記焼結助剤を含むと、得られた硬化物(立体造形物、積層造形物、焼結用硬化物)につき焼結処理を行う場合において、より低温での焼結が可能となる点で好ましい。
<立体造形用液体材料>
前記立体造形用液体材料は、アミノ基含有化合物を含み、水性媒体及び界面活性剤を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
−アミノ基含有化合物−
前記アミノ基含有化合物は、25℃で液体であり、かつ水溶性であることが好ましい。
前記水溶性とは、室温(25℃)において、水に対して10質量%以上溶解することを意味する。
前記アミノ基含有化合物としては、前記樹脂に対して架橋構造を形成することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高分子材料であればポリエチレンイミン、低分子材料であればチタンラクテート等の金属錯体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエチレンイミンの重量平均分子量Mwは、10,000以上が好ましく、10,000以上80,000以下がより好ましい。前記重量平均分子量Mwが10,000以上であると、長期保管後でも析出物が発生せず、吐出安定性が良好である。一方、前記重量平均分子量Mwが80,000以下であると、粘度の上昇がなく、前記液体材料の安定吐出が可能となり、造形物の寸法精度が良好となり、力学的強度も良好となる。
前記重量平均分子量Mwは、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって、単離したポリアクリル酸の分子量分布を求めて、これを基に重量平均分子量を算出することができる。
前記ポリエチレンイミンの含有量は、前記液体材料の全量に対して、3質量%以上20質量%以下が好ましい。
例えば、重量平均分子量Mwが70,000のポリエチレンイミンを用いた場合は4質量%以上7質量%以下がより好ましい。
重量平均分子量Mwが10,000のポリエチレンイミンを用いた場合は15質量%以上20質量%以下がより好ましい。
前記含有量が、3質量%以上であると、架橋構造が十分に構築でき、造形物の力学的強度が良好となる。一方、前記含有量が20質量%以下であると、粘度の上昇がなく、液体材料の安定吐出が可能となり、造形物の寸法精度が良好となり、力学的強度も良好となる。
前記アミノ基を含有する低分子材料としては、金属を含む化合物が好ましく、前記金属種としては、チタン又はジルコニウムが好ましい。
前記金属を含む化合物としては、例えば、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンアミノエチルアミノエタノレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムアミノエチルアミノエタノレートなどが挙げられる。
−水性媒体−
前記水性媒体としては、例えば、水、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトン、などが挙げられるが、水が好ましい。なお、前記水性媒体は、前記水が前記アルコール等の水以外の成分を若干量含有するものであってもよい。
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水などが挙げられる。
−界面活性剤−
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル、ジスルホン酸塩、コール酸塩、デオキシコール酸塩等の陰イオン界面活性剤(アニオン性界面活性剤);アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型などの陽イオン界面活性剤(カチオン性界面活性剤);脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体、ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤;アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン、CHAPS等の両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、インクジェットノズルの詰まりを抑制する点から、室温下で液状の界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記立体造形用液体材料の全量に対して、1質量%以下が好ましい。前記含有量が1質量%以下であると、焼成した際に形物中に分解物が残らず、力学的強度が良好である。
<その他の成分>
前記立体造形用液体材料が含み得る公知のその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、粘度調製剤、顔料、保存剤、防腐剤、安定化剤、pH調整剤などが挙げられる。
−立体造形用液体材料の物性等−
前記立体造形用液体材料の粘度は、25℃で、4mPa・s以上20mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上8mPa・s以下がより好ましい。前記粘度が、4mPa・s以上、或いは20mPa・s以下であると、インクの安定吐出が可能となり、造形物の寸法精度が良好であり、力学的強度も向上する。なお、前記粘度は、例えば、JIS−K7117に準拠して、25℃で測定することができる。
前記立体造形用液体材料の表面張力は、50mN/m以下が好ましく、30mN/m以下が特に好ましい。前記表面張力が50mN/m以下であると、立体造形用液体材料の安定吐出が可能となり、造形物の寸法精度が良好であり、力学的強度も向上する。
前記立体造形用液体材料の前記立体造形用粉末材料への付与の方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。なお、これらの方式を実施するには公知の装置を前記硬化物形成手段として好適に使用することができる。これらの中でも、前記ディスペンサ方式は、液滴の定量性に優れるが、塗布面積が狭くなり、前記スプレー方式は、簡便に微細な吐出物を形成でき、塗布面積が広く、塗布性に優れるが、液滴の定量性が悪く、スプレー流による粉末の飛散が発生する。このため、本発明においては、前記インクジェット方式が特に好ましい。前記インクジェット方式は、前記スプレー方式に比べ、液滴の定量性が良く、前記ディスペンサ方式に比べ、塗布面積が広くできる利点があり、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点で好ましい。
前記インクジェット法による場合、前記硬化物形成手段は、該インクジェット法により前記インクを前記粉末材料層に付与可能なノズルを有する。なお、該ノズルとしては、公知のインクジェットプリンターにおけるノズルを好適に使用することができ、また、該インクジェットプリンターを前記硬化物形成手段として好適に使用することができる。なお、前記インクジェットプリンターとしては、例えば、株式会社リコー製のSG7100、などが好適に挙げられる。前記インクジェットプリンターは、ヘッド部から一度に滴下できるインク量が多く、塗布面積が広いため、塗布の高速化を図ることができる点で好ましい。本発明においては、前記インクを精度良くしかも高効率に付与可能な前記インクジェットプリンターを用いた場合においても、前記液体材料が、粒子等の固形物や、樹脂等の高分子の高粘度材料を含有しないため、前記ノズル乃至そのヘッドにおいて目詰り等が発生せず、腐食等を生じさせることもないため、造形物の製造効率に優れ、しかも樹脂等の高分子成分が付与されることがないため、予定外の体積増加等を生ずることがなく、寸法精度の良い硬化物が容易にかつ短時間で効率よく得られる点で有利である。
本発明の立体造形材料セットは、各種の造形物、構造体の簡便かつ効率的な製造に好適に用いることができ、後述する本発明の立体造形の製造方法、及び立体造形物の製造装置に特に好適に用いることができる。
(立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置)
本発明の立体造形物の製造方法は、層形成工程を少なくとも含み、層硬化工程及び焼結工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明で用いられる立体造形物の製造装置は、層形成手段を少なくとも有し、層硬化手段及び焼結手段を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明の立体造形物の製造方法は、本発明で用いられる立体造形物の製造装置を用いて好適に実施することができ、前記層形成工程は、前記層形成手段により好適に実施することができ、前記層硬化工程は、前記層硬化手段により好適に実施することができ、前記焼結工程は、前記焼結手段により好適に実施することができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に実施することができる。
<層形成工程及び層形成手段>
前記層形成工程は、支持体上に、本発明の前記立体造形材料セットにおける前記立体造形用粉末材料を用いて所定の厚みの立体造形用粉末材料層を形成する工程である。
前記層形成手段は、支持体上に、本発明の前記立体造形材料セットにおける前記立体造形用粉末材料を用いて所定の厚みの立体造形用粉末材料層を形成する手段である。
−支持体−
前記支持体としては、前記粉末材料を載置することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記粉末材料の載置面を有する台、特開2000−328106号公報の図1に記載の装置におけるベースプレート、などが挙げられる。前記支持体の表面、即ち、前記粉末材料を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
−立体造形用粉末材料層の形成−
前記粉末材料を前記支持体上に配置させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、薄層に配置させる方法としては、特許第3607300号公報に記載の選択的レーザー焼結方法に用いられる、公知のカウンター回転機構(カウンターローラ)などを用いる方法、前記粉末材料をブラシ、ローラ、ブレード等の部材を用いて薄層に拡げる方法、前記粉末材料層の表面を押圧部材を用いて押圧して薄層に拡げる方法、公知の粉末積層造形装置を用いる方法などが好適に挙げられる。
前記カウンター回転機構(カウンターローラ)、前記ブラシ乃至ブレード、前記押圧部材などを用いて、前記支持体上に前記粉末材料を薄層に載置させるには、例えば、以下のようにして行うことができる。即ち、例えば、外枠(「型」、「中空シリンダー」、「筒状構造体」などと称されることもある)内に、前記外枠の内壁に摺動しながら昇降可能に配置された前記支持体上に前記粉末材料を、前記カウンター回転機構(カウンターローラ))、前記ブラシ、ローラ又はブレード、前記押圧部材などを用いて載置させる。このとき、前記支持体として、前記外枠内を昇降可能なものを用いる場合には、前記支持体を前記外枠の上端開口部よりも少しだけ下方の位置に配し、即ち、前記粉末材料層の厚み分だけ下方に位置させておき、前記支持体上に前記粉末材料を載置させる。以上により、前記粉末材料を前記支持体上に薄層に載置させることができる。
なお、このようにして薄層に載置させた前記粉末材料に対し、レーザーや電子線、或いは、インクジェット法による液体材料を作用させると硬化が生ずる。ここで得られた薄層の硬化物上に、上記と同様にして、前記粉末材料を薄層に載置させ、この薄層に載置された前記粉末材料(層)に対し、前記レーザーや電子線、或いは液体材料を作用させると硬化が生ずる。このときの硬化は、前記薄層に載置された前記粉末材料(層)においてのみならず、その下に存在する、先に硬化して得られた前記薄層の硬化物との間でも生ずる。その結果、前記薄層に載置された前記粉末材料(層)の約2層分の厚みを有する硬化物(立体造形物、積層造形物、焼結用硬化物)が得られる。
また、前記粉末材料を前記支持体上に薄層に載置させるには、前記公知の粉末積層造形装置を用いて自動的にかつ簡便に行うこともできる。前記粉末積層造形装置は、一般に、前記粉末材料を積層するためのリコーターと、前記粉末材料を前記支持体上に供給するための可動式供給槽と、前記粉末材料を薄層に載置し、積層するための可動式成形槽とを備える。前記粉末積層造形装置においては、前記供給槽を上昇させるか、前記成形槽を下降させるか、又はその両方によって、常に前記供給槽の表面は前記成形槽の表面よりもわずかに上昇させることができ、前記供給槽側から前記リコーターを用いて前記粉末材料を薄層に配置させることができ、前記リコーターを繰り返し移動させることにより、薄層の前記粉末材料を積層させることができる。
前記粉末材料層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一層当たりの平均厚みで、3μm以上200μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。前記平均厚みが、3μm以上であると、造形物が得られるまでの時間が適正であり、焼結等の処理乃至取扱い時に型崩れ等の問題が生じることがない。一方、前記平均厚みが、200μm以下であると、造形物の寸法精度が充分に得られる。
なお、前記平均厚みは、公知の方法に従って測定することができる。
<層硬化工程及び層硬化手段>
前記層硬化工程は、前記立体造形用粉末材料層に、本発明の前記立体造形材料セットにおける前記立体造形用液体材料をインクジェット法で付与し、前記立体造形用粉末材料層の所定領域を硬化させる工程である。
前記層硬化手段は、前記立体造形用粉末材料層に、本発明の前記立体造形材料セットにおける前記立体造形用液体材料をインクジェット法で付与し、前記立体造形用粉末材料層の所定領域を硬化させる手段である。
前記液体材料の前記粉末材料層への付与の方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。なお、これらの方式を実施するには公知の装置を前記層硬化手段として好適に使用することができる。これらの中でも、前記ディスペンサ方式は、液滴の定量性に優れるが、塗布面積が狭くなり、前記スプレー方式は、簡便に微細な吐出物を形成でき、塗布面積が広く、塗布性に優れるが、液滴の定量性が悪く、スプレー流による粉末の飛散が発生する。このため、本発明においては、前記インクジェット方式が特に好ましい。前記インクジェット方式は、前記スプレー方式に比べ、液滴の定量性が良く、前記ディスペンサ方式に比べ、塗布面積が広くできる利点があり、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点で好ましい。
前記インクジェット法による場合、前記層硬化手段は、前記インクジェット法により前記液体材料を前記粉末材料層に付与可能なノズルを有する。なお、前記ノズルとしては、公知のインクジェットプリンターにおけるノズルを好適に使用することができ、また、前記インクジェットプリンターを前記層硬化手段として好適に使用することができる。なお、前記インクジェットプリンターとしては、例えば、株式会社リコー製のSG7100、などが好適に挙げられる。前記インクジェットプリンターは、ヘッド部から一度に滴下できる液体材料量が多く、塗布面積が広いため、塗布の高速化を図ることができる点で好ましい。本発明においては、前記液体材料を精度良くしかも高効率に付与可能な前記インクジェットプリンターを用いた場合においても、前記液体材料が、粒子等の固形物や、樹脂等の高分子の高粘度材料を含有しないため、前記ノズル乃至そのヘッドにおいて目詰り等が発生せず、腐食等を生じさせることもないため、造形物の製造効率に優れ、しかも樹脂等の高分子成分が付与されることがないため、予定外の体積増加等を生ずることがなく、寸法精度の良い硬化物が容易にかつ短時間で効率よく得られる点で有利である。
<焼結工程及び焼結手段>
前記焼結工程は、前記層形成工程と前記層硬化工程とを順次繰り返して形成した立体造形物を焼結する工程であり、焼結手段により行われる。前記焼結工程を行うことにより、前記硬化物を一体化された成形体(焼結体)とすることができる。前記焼結手段としては、例えば、公知の焼結炉などが挙げられる。
前記焼結工程としては、前記のように硬化物を得てから焼結する方法以外にも、粉末材料を積層する段階で焼結する方法がある。
前記粉末材料を積層する段階で焼結する方法は、前記粉末材料層にレーザー照射及び電子線照射のいずれかを行い前記粉末材料層を焼結する方法である。
−レーザー照射−
前記レーザー照射におけるレーザーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、COレーザー、Nd−YAGレーザー、ファイバーレーザー、半導体レーザーなどが挙げられる。
前記レーザー照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、小型レーザーを用いる場合、前記粉末材料を溶融することができないため、併用する接着剤(例えば、ポリエステル系接着剤)を混在させて、レーザー照射により接着剤を溶融させて造形することが好ましい。その場合、COレーザーを用いることが好ましい。照射条件としては、例えば、レーザー出力15W、波長10.6μm、ビーム径0.4mm程度が好ましい。
−電子線照射−
前記電子線としては、前記粉末材料が溶融するエネルギーの電子線を照射すること以外の制限は無く、目的に応じて適宜選択することができる。電子線を照射する際には、前記粉末材料は真空環境下で扱われる必要がある。
前記電子線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、出力1,500W、ビーム径0.1mm、真空度1.0×10−5mbar程度が好ましい。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、例えば、乾燥工程、表面保護処理工程、塗装工程、などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、乾燥手段、表面保護処理手段、塗装手段、などが挙げられる。
−乾燥工程及び乾燥手段−
前記乾燥工程は、前記層硬化工程において得られた硬化物を乾燥させる工程であり、乾燥手段により行われる。前記乾燥工程において、前記硬化物中に含まれる水分のみならず、有機物を除去(脱脂)してもよい。前記乾燥手段としては、例えば、公知の乾燥機などが挙げられる。
−表面保護処理工程及び表面保護処理手段−
前記表面保護処理工程は、前記層硬化工程、又は前記焼結工程において形成した造形物に保護層を形成する工程である。前記表面保護処理工程を行うことにより、前記造形物を例えばそのまま使用等することができる耐久性等を前記造形物の表面に与えることができる。前記保護層の具体例としては、耐水性層、耐候性層、耐光性層、断熱性層、光沢層、などが挙げられる。前記表面保護処理手段としては、公知の表面保護処理装置、例えば、スプレー装置、コーティング装置などが挙げられる。
−塗装工程及び塗装手段−
前記塗装工程は、前記造形物に塗装を行う工程である。この塗装工程を行うことにより、前記造形物に所望の色に着色させることができる。前記塗装手段としては、公知の塗装装置、例えば、スプレー、ローラ、刷毛等による塗装装置などが挙げられる。
ここで、図1に本発明で用いられる粉末積層造形装置の一例を示す。この図1の粉末積層造形装置は、造形側粉末貯留槽1と供給側粉末貯留槽2とを有し、これらの粉末貯留槽は、それぞれ上下に移動可能なステージ3を有し、該ステージ上に粉末材料からなる層を形成する。
造形側粉末貯留槽1の上には、該粉末貯留槽内の粉末材料に向けて液体材料4を吐出するインクジェットヘッド5を有し、更に、供給側粉末貯留槽2から造形側粉末貯留槽1に粉末材料を供給すると共に、造形側粉末貯留槽1の粉末材料層表面を均す、均し機構6(以下、リコーターということがある)を有する。
造形側粉末貯留槽1の粉末材料上にインクジェットヘッド5から液体材料4を滴下する。このとき、液体材料4を滴下する位置は、最終的に造形したい立体形状を複数の平面層にスライスした二次元画像データ(スライスデータ)により決定される。
一層分の描画が終了した後、供給側粉末貯留槽2のステージ3を上げ、造形側粉末貯留槽1のステージ3を下げる。その差分の粉末材料を、前記均し機構6によって、造形側粉末貯留槽1へと移動させる。
このようにして、先に描画した粉末材料層面上に、新たな粉末材料層が一層形成される。このときの粉末材料層の一層当たりの平均厚みは、数十μm以上100μm以下程度である。
前記新たに形成された粉末材料層上に、更に二層目のスライスデータに基づく描画を行い、この一連のプロセスを繰り返して造形物を得、図示しない加熱手段で加熱乾燥させることで造形物が得られる。
図2に、本発明で用いられる粉末積層造形装置の他の一例を示す。図2の粉末積層造形装置は、原理的には図1と同じものであるが、粉末材料の供給機構が異なる。即ち、供給側粉末貯留槽2は、造形側粉末貯留槽1の上方に配されている。一層目の描画が終了すると、造形側粉末貯留槽1のステージ3が所定量降下し、供給側粉末貯留槽2が移動しながら、所定量の粉末材料を造形側粉末貯留槽1に落下させ、新たな粉末材料層を形成する。その後、均し機構6で、粉末材料層を圧縮し、かさ密度を上げると共に、粉末材料層の高さを均一に均す。
図2に示す構成の粉末積層造形装置によれば、2つの粉末貯留槽を平面的に並べる図1の構成に比べて、装置をコンパクトにできる。
<立体造形物>
本発明の立体造形物は、本発明の前記立体造形物の製造方法により製造されたことを特徴とする。
前記立体造形物としては、口腔内の咀嚼力に長期間耐えることができ、審美性を有している点から、人工歯であることが好ましい。
前記人工歯は、う蝕、外傷、歯周病などにより失った天然歯の代わりに、その機能を回復するために作られた人工の歯であり、ブリッジ、クラウン等の歯科用補綴物も含まれる。
本発明の立体造形物の製造方法及び製造装置によれば、複雑な立体形状の造形物を、本発明の前記立体造形材料セットを用いて簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く製造することができる。こうして得られた造形物(硬化物)は、生体内に移植しても非吸収性のハイドロキシアパタイトへの転移が少なく、細胞毒性がなく、充分な強度を有し、寸法精度に優れ、微細な凹凸、曲面なども再現できるので、美的外観にも優れ、高品質であり、各種用途に好適に使用される。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(造粒粒子の調製例1)
<立体造形用粉末材料1の調製>
−無機粒子の合成−
20質量%のオキシ塩化ジルコニウム水溶液に、イットリア/ジルコニアの換算モル比が2.8/97.2となるように18質量%の塩化イットリウム水溶液を混合した。これに、塩化ナトリウムをオキシ塩化ジルコニウムに対し0.5質量%添加し溶解した。
次いで、得られた水溶液に塩化アルミニウムをジルコニアに対しアルミナとして0.4質量%となるように添加し溶解した。この水溶液を200℃の温度の空気内で噴霧乾燥し、乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末を、空気中で1,000℃の温度で焼成し、仮焼粉末を合成した。得られた仮焼粉末の単斜晶相率は15%であった。この仮焼粉末を、湿式アトライターで粉砕して30質量%スラリーを得た。
次に、得られたスラリーを、目開き0.5μmのメンブレンフィルターにて希釈・ろ過濃縮を繰り返し、ろ過水の電気伝導度が20μS以下になるまで繰り返し洗浄した。以上により、無機粒子1を合成した。
−立体造形用粉末材料1の造粒−
重量平均分子量Mwが800,000のポリアクリル酸(PAA、株式会社日本触媒製、AS−58)とともに、洗浄後の前記ジルコニアスラリーを入口空気温度230℃のスプレードライヤーで造粒噴霧乾燥し、前記ポリアクリル酸が3質量%含まれた立体造形用粉末材料1を得た。
得られた無機粒子1及び立体造形用粉末材料1について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1〜表2に示した。
<無機粒子の一次粒子径>
無機粒子の一次粒子の粒径は、LA−920(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。LA−920の測定の際にLA−920専用アプリケーション(Ver.3.32)(株式会社堀場製作所製)を用いて解析を行った。前記LA−920の測定は、具体的にはクロロホルムで光軸調整した後、バックグラウンドを測定した。その後、循環を開始しジルコニア分散液を滴下した。透過率が安定したことを確認した後に超音波を下記条件で照射した。照射した後に透過率の値が70%〜95%の範囲となる条件で分散粒子径を測定した。本測定装置は、粒子径の測定再現性の点から前記LA−920の透過率の値が70%〜95%の範囲となる条件で測定することが重要である。また、超音波照射後に透過率が前記値から外れた場合は再度測定を行う必要がある。前記透過率の値を得るために前記分散液の滴下量を調節する必要がある。なお、測定及び解析条件は、以下のように設定した。
[測定及び解析条件]
・データ取り込み回数:15回
・相対屈折率:1.20
・循環:5
・超音波強度:7
<無機粒子の結晶相の同定>
合成した前記無機粒子1としてのジルコニアの結晶相の同定を、X線粉末回折装置(リガク電機株式会社製、RINT1100)を用いて以下の条件で実施した。
[測定条件]
・管球:Cu
・電圧:40kV
・電流:40mA
・開始角度:3°
・終了角度:80°
・スキャンスピード:0.5°/min
なお、ジルコニアの単斜晶相率(%)は、粉末X線回折測定により単斜晶相の111面及び11−1面、正方晶相の111面及び立方晶相の111面の反射ピーク強度Im(111)、Im(11−1)、It(111)、Ic(111)より、下記式(1)により算出した。
[式(1)]
単斜晶相率(%)=[Im(111)+Im(11−1)]/[Im(111)+Im(11−1)+It(111)+Ic(111)]
<立体造形用粉末材料の体積平均粒径Dv>
測定装置としてコールターマルチサイザーIII(コールターカウンター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機株式会社製)、及びパーソナルコンピューターを接続し、電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて1質量%NaCl水溶液を調製した。
測定法としては、この電解液としての水溶液100mL〜150mL中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1mL〜5mL加え、立体造形用粉末材料を2mg〜20mg加え、超音波分散器で1分間〜3分間の分散処理を行った。更に、別のビーカーに電解水溶液100mL〜200mLを入れ、その中に前記サンプル分散液を所定の濃度になるように加え、前記コールターマルチサイザーIIIによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用い、50,000個の粒子の平均を測定した。測定は装置が示す濃度が8%±2%となるように前記立体造形用粉末材料の分散液を滴下して行った。
<立体造形用粉末材料の平均円形度>
前記平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−3000」、シスメックス株式会社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA−3000 Data Processing Program For FPIA Version00−10)を用いて測定した。より具体的には、ガラス製の100mLビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩、ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.1mL〜0.5mL添加し、立体造形用粉末材料を0.1g〜0.5g添加してミクロスパーテルでかき混ぜ、次いで、イオン交換水80mLを添加した。得られた分散液を超音波分散器(本多電子株式会社製)で3分間分散処理した。この分散液について、前記FPIA−3000を用いて、濃度が5,000個/μL〜15,000個/μLとなるまで立体造形用粉末材料の形状及び分布を測定した。
<立体造形用粉末材料の軽装嵩密度>
パウダーテスター(筒井理化学株式会社製)を用いて、100cmの容器に立体造形用粉末材料を充填し、すりきって重量を測定した。これを3回繰り返して、重量の平均値を求め、容器の体積で除することで、立体造形用粉末材料の軽装嵩密度を求めた。
<立体造形用粉末材料のBET比表面積>
自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStar3000、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。立体造形用粉末材料1gを専用セルに入れ、TriStar用脱ガス専用ユニット、バキュプレップ061(株式会社島津製作所製)を用いて、前記専用セル内の脱気処理を行った。脱気処理は室温(25℃)下で行い、100mtorr以下の減圧条件下で20時間行った。脱気処理を行った専用セルについて、前記TriStar3000を用いて自動でBET比表面積を測定した。なお、前記脱気処理における吸着ガスとしては窒素ガスを用いた。
<立体造形用粉末材料の質量減少率>
前記立体造形用粉末材料を、示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、TG−DTA6200 EXSTAR6000)を用い、昇温条件:30−600℃、昇温速度:10℃/分で、1,000℃まで昇温し、1,000℃で1時間加熱した前後における質量減少率(質量%)を測定した。
<立体造形用粉末材料の流動性>
上下可動な供給側粉末貯留槽と造形側粉末貯留槽を有する装置を自作し、そこに、前記立体造形用粉末材料を敷き詰め、カウンター方向に回転するローラを走査させた後の粉体表面の平面度を、以下の基準で判定することで流動性を評価した。なお、ローラはSUS316製であり、走査速度100mm/s、回転速度300rpmで粉末材料上を移動している。
[評価基準]
○:表面が綺麗な平面となっている状態
△:表面が粗く梨肌となっている状態
×:表面が粗く溝ができてしまっている状態
(造粒粒子の調製例2)
<立体造形用粉末材料2の調製>
造粒粒子の調製例1において、重量平均分子量Mwが500,000のポリアクリル酸(株式会社日本触媒製)に変更した以外は、調製例1と同様にして、立体造形用粉末材料2を作製し、諸特性を評価した。結果を表1〜表2に示した。
(造粒粒子の調製例3)
<立体造形用粉末材料3の調製>
造粒粒子の調製例1において、重量平均分子量Mwが1,000,000のポリアクリル酸(株式会社日本触媒製)に変更した以外は、調製例1と同様にして、立体造形用粉末材料3を作製し、諸特性を評価した。結果を表1〜表2に示した。
(造粒粒子の調製例4)
<立体造形用粉末材料4の調製>
造粒粒子の調製例1において、ポリアクリル酸の含有量が5質量%となるように変更した以外は、調製例1と同様にして、立体造形用粉末材料4を作製し、諸特性を評価した。結果を表1〜表2に示した。
(造粒粒子の調製例5)
<立体造形用粉末材料5の調製>
造粒粒子の調製例1において、無機粒子合成時における仮焼粉末粉砕スラリーを希釈・濾過濃縮する際のメンブレンフィルターの目開きを1.5μmに変更した以外は、調製例1と同様にして、立体造形用粉末材料5を作製し、諸特性を評価した。結果を表1〜表2に示した。
(造粒粒子の調製例6)
<立体造形用粉末材料6の調製>
造粒粒子の調製例1で作製した立体造形用粉末材料1を分級し、エアブローの強さを弱く調整して粗粉側をカットすることで立体造形用粉末材料6を得た。得られた立体造形用粉末材料6について、調製例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1〜表2に示した。
(造粒粒子の調製例7)
<立体造形用粉末材料7の調製>
造粒粒子の調製例1で作製した立体造形用粉末材料1を分級し、エアブローの強さを強く調整して微粉側をカットすることで立体造形用粉末材料7を得た。得られた立体造形用粉末材料7について、調製例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1〜表2に示した。
(造粒粒子の調製例8)
<立体造形用粉末材料8の調製>
造粒粒子の調製例1において、立体造形用粉末材料1を造粒するときの樹脂としてのポリアクリル酸(PAA)をポリビニルアルコール(PVA、重量平均分子量Mw=800,000)に代えた以外は、調製例1と同様にして、立体造形用粉末材料8を作製し、諸特性を評価した。結果を表1〜表2に示した。
(造粒粒子の調製例9)
<立体造形用粉末材料9の調製>
造粒粒子の調製例1において、無機粒子合成時における仮焼粉末粉砕スラリーを希釈・濾過濃縮する際のメンブレンフィルターの目開きを1.5μmに変更した以外は、調製例1と同様にして、立体造形用粉末材料9を作製し、諸特性を評価した。結果を表1〜表2に示した。
(造粒粒子の調製例10)
<立体造形用粉末材料10の調製>
造粒粒子の調製例1で作製した立体造形用粉末材料1を分級し、エアブローの強さを弱く調整して粗粉側を大幅にカットすることで立体造形用粉末材料10を得た。得られた立体造形用粉末材料10について、調製例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1〜表2に示した。
(造粒粒子の調製例11)
<立体造形用粉末材料11の調製>
造粒粒子の調製例1で作製した立体造形用粉末材料1を分級し、微粉側を大幅にカットすることで立体造形用粉末材料11を得た。得られた立体造形用粉末材料11について、調製例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1〜表2に示した。
(液体材料の調製例1)
<立体造形用液体材料1の調製>
水94.5質量部と、重量平均分子量Mwが70,000のポリエチレンイミン(株式会社日本触媒製、P−1000、25℃で液体、水に易溶性)5質量部(5質量%)と、界面活性剤としてTween20(東京化成工業株式会社製)0.5質量部とを、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、立体造形用液体材料1を調製した。
得られた立体造形用液体材料1について、以下のようにして、粘度及び表面張力を測定した。結果を表4に示した。
<粘度>
前記立体造形用液体材料1の粘度は、東機産業株式会社製TVB−10MのB型回転粘度計を用いて、25℃で測定した。
<表面張力>
前記立体造形用液体材料1の表面張力(mN/m)は、協和界面科学株式会社製DY−300を用い、20℃にてWilhelmy法(Ptプレート)にて測定した。
(液体材料の調製例2)
<立体造形用液体材料2の調製>
液体材料の調製例1において、重量平均分子量Mwが10,000のポリエチレンイミン(株式会社日本触媒製、SP−200、25℃で液体、水に易溶性)に変更した以外は、液体材料の調製例1と同様にして、立体造形用液体材料2を調製し、諸特性を評価した。結果を表4に示した。
(液体材料の調製例3)
<立体造形用液体材料3の調製>
液体材料の調製例1において、ポリエチレンイミンの含有量を3質量部(3質量%)に変更した以外は、液体材料の調製例1と同様にして、立体造形用液体材料3を調製し、諸特性を評価した。結果を表4に示した。
(液体材料の調製例4)
<立体造形用液体材料4の調製>
液体材料の調製例1において、ポリエチレンイミンの含有量を20質量部(20質量%)に変更し、かつ重量平均分子量Mwを10,000(株式会社日本触媒製、SP−200、25℃で液体、水に易溶性)に変更した以外は、液体材料の調製例1と同様にして、立体造形用液体材料4を調製し、諸特性を評価した。結果を表4に示した。
(液体材料の調製例5)
<立体造形用液体材料5の調製>
液体材料の調製例1において、アミノ基含有化合物としてのポリエチレンイミンを、チタンアミノエチルアミノエタノレート(マツモトファインケミカル株式会社製、オルガチックスTC−510、25℃で液体、水に易溶性)に代えた以外は、液体材料の調製例1と同様にして、立体造形用液体材料5を調製し、諸特性を評価した。結果を表4に示した。
(液体材料の調製例6)
<立体造形用液体材料6の調製>
液体材料の調製例1において、アミノ基含有化合物としてのポリエチレンイミンを、ジルコニウムアミノエチルアミノエタノレート(マツモトファインケミカル株式会社製、25℃で液体、水に易溶性)に代えた以外は、液体材料の調製例1と同様にして、立体造形用液体材料6を調製し、諸特性を評価した。結果を表4に示した。
(液体材料の調製例7)
<立体造形用液体材料7の調製>
液体材料の調製例1において、界面活性剤としてのTween20を、TritonX−100(東京化成工業株式会社製)に代えた以外は、液体材料の調製例1と同様にして、立体造形用液体材料7を調製し、諸特性を評価した。結果を表4に示した。
(液体材料の調製例8)
<立体造形用液体材料8の調製>
液体材料の調製例2において、ポリエチレンイミンの含有量を5質量部から2質量部(2質量%)に下げることにより粘度を4.0mPa・sに変更した以外は、液体材料の調製例2と同様にして、立体造形用液体材料8を調製し、諸特性を評価した。結果を表4に示した。
(液体材料の調製例9)
<立体造形用液体材料9の調製>
液体材料の調製例1において、ポリエチレンイミンの添加量を5質量部から8質量部(8質量%)に上げることにより粘度を20.0mPa・sに変更した以外は、液体材料の調製例1と同様にして、立体造形用液体材料9を調製し、諸特性を評価した。結果を表4に示した。
(液体材料の調製例10)
<立体造形用液体材料10の調製>
液体材料の調製例1において、アミノ基含有化合物としてのポリエチレンイミンを添加しなかった以外は、液体材料の調製例1と同様にして、立体造形用液体材料10を調製し、諸特性を評価した。結果を表4に示した。
(実施例1)
<立体造形材料セットの作製>
得られた前記立体造形用粉末材料1と、前記立体造形用液体材料1とを組み合わせて実施例1の立体造形材料セットを作製した。前記立体造形材料セットを用いて、サイズ(長さ70mm×巾12mm)の形状印刷パターンにより、立体造形物1を以下のようにして製造した。
(1)まず、図1に示したような公知の粉末積層造形装置を用いて、供給側粉末貯留槽から造形側粉末貯留槽に前記立体造形用粉末材料1を移送させ、前記支持体上に平均厚みが100μmの立体造形用粉末材料1からなる薄層を形成した。
(2)次に、形成した立体造形用粉末材料1からなる薄層の表面に、前記立体造形用液体材料1を、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、SG7100)を用いてノズルから付与(吐出)し、前記立体造形用粉末材料1を硬化させた。
(3)次に、前記(1)及び前記(2)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰返し、硬化した前記立体造形用粉末材料1からなる薄層を順次積層していき、立体造形物1を製造した。得られた立体造形物1に対し、エアブローにより余分な前記立体造形用粉末材料を除去したところ、型崩れを生ずることはなかった。立体造形物1は強度、及び寸法精度に優れていた。
次に、得られた立体造形物1について、寸法精度を以下の基準にて評価した。結果を表4に示した。
<寸法精度>
×:得られた立体造形物の表面に歪みが生じており、激しく反りが生じている状態
△:得られた立体造形物の表面に若干の歪みと僅かに反りが生じている状態
○:得られた立体造形物の表面が滑らかで美麗であり、反りも生じていない状態
(4)前記(3)で得られた立体造形物1について、焼結炉内で真空条件、1,300℃で焼結処理を行った。この立体造形物1の焼結体は完全に一体化された構造体であり、硬質の床に叩きつけても破損等が生じなかった。
次に、得られた立体造形物1の焼結体について、以下のようにして、焼結後の圧縮強度、及び硬化速度を評価した。結果を表5に示した。
<焼結後の圧縮強度>
圧縮強度は、以下のサンプルの形状、及び測定条件の圧縮強度試験により評価した。試験機は株式会社島津製作所製のAUTOGRAPH−AGS−Jを用いた。
−サンプル形状−
・直径:5mm
・高さ:6mm〜7mm
・質量:0.16g〜0.18g
−圧縮強度試験条件(JIS R1608)−
・クロスヘッドスピード:0.5mm・s−1
・設定荷重:5kN
<硬化速度>
以下の基準により、立体造形物1の硬化速度を評価した。
×:立体造形後1時間経過しても立体造形物が脆くて取り出せない状態
△:立体造形後10分間経過してやっと立体造形物が手で取り出せる状態
○:立体造形後10秒間しか経過していなくても立体造形物が手で取り出せる状態
(実施例2〜15及び比較例1〜4)
<立体造形材料セットの作製>
実施例1において、表1、表3、及び表5に示ように立体造形用粉末材料と立体造形用液体材料とを組み合わせて立体造形材料セットを作製した以外は、実施例1と同様にして、各立体造形物を作製し、評価した。結果を表5に示した。
*重量平均分子量Mwが800,000のポリアクリル酸(PAA)(株式会社日本触媒製、AS−58)
*重量平均分子量Mwが500,000のポリアクリル酸(PAA)(株式会社日本触媒製)
*重量平均分子量Mwが1,000,000のポリアクリル酸(PAA)(株式会社日本触媒製)
*表5中比較例4の「−」は測定不能であることを意味する。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 少なくとも、樹脂と、一次粒子の体積平均粒子径が1μm以下である無機粒子とからなる体積平均粒径が10μm以上70μm以下である造粒粒子を含む立体造形用粉末材料と、
アミノ基含有化合物を含む立体造形用液体材料と、を有することを特徴とする立体造形材料セットである。
<2> 前記アミノ基含有化合物が、25℃で液体である前記<1>に記載の立体造形材料セットである。
<3> 前記アミノ基含有化合物が、水溶性である前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<4> 前記アミノ基含有化合物が、ポリエチレンイミンである前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<5> 前記ポリエチレンイミンの重量平均分子量Mwが、10,000以上である前記<4>に記載の立体造形材料セットである。
<6> 前記ポリエチレンイミンの含有量が、3質量%以上20質量%以下である前記<4>から<5>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<7> 前記アミノ基含有化合物が、金属を含む化合物である前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<8> 前記金属を含む化合物の金属種が、チタン及びジルコニウムのいずれかである前記<7>に記載の立体造形材料セットである。
<9> 前記立体造形用液体材料が、更に界面活性剤を含む前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<10> 樹脂が、水溶性樹脂である前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<11> 前記樹脂が、酸性官能基を有する前記<1>から<10>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<12> 前記樹脂が、ポリアクリル酸及びポリビニルアルコールのいずれかである前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<13> 前記ポリアクリル酸の重量平均分子量Mwが、500,000以上1,000,000以下である前記<12>に記載の立体造形材料セットである。
<14> 前記造粒粒子を1,000℃で1時間加熱した前後における質量減少率が5質量%以下である前記<1>から<13>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<15> 支持体上に、前記<1>から<14>のいずれかに記載の立体造形材料セットにおける立体造形用粉末材料を用いて所定の厚みの立体造形用粉末材料層を形成する層形成工程を少なくとも含むことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<16> 前記立体造形用粉末材料層に、前記<1>から<14>のいずれかに記載の立体造形材料セットにおける立体造形用液体材料をインクジェット法で付与し、前記立体造形用粉末材料層の所定領域を硬化させる層硬化工程を含む前記<15>に記載の立体造形物の製造方法である。
<17> 前記層形成工程と前記層硬化工程とを順次繰り返して形成した立体造形物を焼結する焼結工程を更に含む前記<16>に記載の立体造形物の製造方法である。
<18> 前記立体造形用粉末材料層に、レーザー照射及び電子線照射のいずれかを行い前記立体造形用粉末材料層を焼結させる焼結工程を含む前記<15>に記載の立体造形物の製造方法である。
<19> 前記<15>から<18>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法により製造されたことを特徴とする立体造形物である。
<20> 人工歯に用いられる前記<19>に記載の立体造形物である。
1 造形側粉末貯留槽
2 供給側粉末貯留槽
3 ステージ
4 立体造形用液体材料
5 インクジェットヘッド
6 均し機構
特表2003−531034号公報 特開2011−21218号公報

Claims (18)

  1. 少なくとも、水溶性樹脂と、一次粒子の体積平均粒子径が1μm以下である無機粒子とからなる体積平均粒径が10μm以上70μm以下である造粒粒子を含む立体造形用粉末材料と、
    前記水溶性樹脂と架橋構造を形成可能なアミノ基含有化合物を含む立体造形用液体材料と、を有することを特徴とする立体造形材料セット。
  2. 前記アミノ基含有化合物が、25℃で液体である請求項1に記載の立体造形材料セット。
  3. 前記アミノ基含有化合物が、水溶性である請求項1から2のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  4. 前記アミノ基含有化合物が、ポリエチレンイミンである請求項1から3のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  5. 前記ポリエチレンイミンの重量平均分子量Mwが、10,000以上である請求項4に記載の立体造形材料セット。
  6. 前記ポリエチレンイミンの含有量が、3質量%以上20質量%以下である請求項4から5のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  7. 前記アミノ基含有化合物が、金属を含む化合物である請求項1から2のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  8. 前記金属を含む化合物の金属種が、チタン及びジルコニウムのいずれかである請求項7に記載の立体造形材料セット。
  9. 前記立体造形用液体材料が、更に界面活性剤を含む請求項1から8のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  10. 前記水溶性樹脂の前記無機粒子に対する添加量が、0.1質量%以上5質量%以下である請求項1から9のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  11. 前記水溶性樹脂が、酸性官能基を有する請求項1から10のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  12. 前記水溶性樹脂が、ポリアクリル酸及びポリビニルアルコールのいずれかである請求項1から11のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  13. 前記ポリアクリル酸の重量平均分子量Mwが、500,000以上1,000,000以下である請求項12に記載の立体造形材料セット。
  14. 前記造粒粒子を1,000℃で1時間加熱した前後における質量減少率が5質量%以下である請求項1から13のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  15. 支持体上に、請求項1から14のいずれかに記載の立体造形材料セットにおける立体造形用粉末材料を用いて所定の厚みの立体造形用粉末材料層を形成する層形成工程を少なくとも含むことを特徴とする立体造形物の製造方法。
  16. 前記立体造形用粉末材料層に、請求項1から14のいずれかに記載の立体造形材料セットにおける立体造形用液体材料をインクジェット法で付与し、前記立体造形用粉末材料層の所定領域を硬化させる層硬化工程を含む請求項15に記載の立体造形物の製造方法。
  17. 前記層形成工程と前記層硬化工程とを順次繰り返して形成した立体造形物を焼結する焼結工程を更に含む請求項16に記載の立体造形物の製造方法。
  18. 前記立体造形用粉末材料層に、レーザー照射及び電子線照射のいずれかを行い前記立体造形用粉末材料層を焼結させる焼結工程を含む請求項15に記載の立体造形物の製造方法。
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