JP2018080370A - 立体造形物の製造方法、及び立体造形物の製造装置 - Google Patents

立体造形物の製造方法、及び立体造形物の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】グリン体の表面硬度が良好であり、焼成による収縮を抑制でき、簡便かつ効率良く立体造形物を製造することができる立体造形物の製造方法の提供。
【解決手段】無機粒子を含む第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する層形成工程と、前記第一の立体造形用材料層の所定領域に前記第一の立体造形用材料に対して反応性を示す第二の立体造形用材料を付与する材料付与工程と、を複数回繰り返して造形を行う立体造形物の製造方法であって、前記材料付与工程において、造形される立体造形物の表面領域を構成する第一領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量よりも、前記立体造形物の内部領域を構成する第二領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量が少ない立体造形物の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、立体造形物の製造方法、及び立体造形物の製造装置に関する。
従来、懸濁液中に無機粒子を分散させたシートを積層し、乾燥させた後、造形したい部分に結着剤を塗布して硬化させて、硬化部のみを取り出し焼成工程を経て無機の立体造形物を得る積層立体造形技術が知られている(以下、「スラリー積層造形方式」とも称することがある)。
前記スラリー積層造形方式は、粉末積層造形方式と比較して、小粒径粒子を分散させた懸濁液を積層して造形するため、高密度の立体造形物を得ることができるという利点がある。
しかし、前記スラリー積層造形方式で大型かつ高密度の立体造形物を製造する場合には、結着剤の付与領域が広くなるため結着剤の消費量が多くなり、硬化時間が長くなり、生産性に劣る。また、前記結着剤中の不揮発性成分が結着剤を付与した層からなる立体造形物中に残るため、立体造形物中の無機粒子以外の体積比率が上がり相対的に無機粒子密度が低下し、強度が低下する。そのため、無機材料のみからなる立体造形物を得るために熱により有機物除去する脱脂・焼成工程を行うと、収縮率が大きくなってしまうという問題がある。
そこで、所望の材料密度を有する立体造形物を高信頼で製造でき、かつ、製造設備にかかる負担を小さくする目的で、無機粒子をスラリー中に分散させ、バインダーを局所的に付与して立体造形物を得る光造形方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、生産性を向上する目的で、内部に網目構造を有する光造形物の立体構造データを作成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、立体造形物内部の各層間の機械的強度を上げる目的で、上層の下面と下層の端面とからなる角部を含む上面部に結着剤をより多く塗布する造形方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
本発明は、グリン体の表面硬度が良好であり、焼成による収縮を抑制でき、簡便かつ効率良く立体造形物を製造することができる立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形物の製造方法は、無機粒子を含む第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する層形成工程と、前記第一の立体造形用材料層の所定領域に前記第一の立体造形用材料に対して反応性を示す第二の立体造形用材料を付与する材料付与工程と、を複数回繰り返して造形を行う立体造形物の製造方法であって、前記材料付与工程において、造形される立体造形物の表面領域を構成する第一領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量よりも、前記立体造形物の内部領域を構成する第二領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量が少ない。
本発明によると、グリン体の表面硬度が良好であり、焼成による収縮を抑制でき、簡便かつ効率良く立体造形物を製造することができる立体造形物の製造方法を提供することができる。
図1Aは、付与手段から、第一の立体造形用材料を付与する工程を説明する概略説明図である。 図1Bは、スラリーを薄膜シート状に成形する工程について説明する概略説明図である。 図1Cは、第二の立体造形用材料を吐出し硬化する工程について説明する概略説明図である。 図2Aは、立体造形用の立体造形データの斜視図である。 図2Bは、図2Aの立体造形データを層ごとに積層して造形するための断面データの集合体である。 図2Cは、断面データの立体造形物の内部のデータ領域の画素を低減させた断面データの集合体である。 図3は、断面データの処理方法を示すフローチャートである。 図4Aは、データ処理をする前の断面データである。 図4Bは、副走査方向のデータ処理を示す断面データである。 図4Cは、主走査方向のデータ処理を示す断面データである。
(立体造形物の製造方法、及び立体造形物の製造装置)
本発明の立体造形物の製造方法は、無機粒子を含む第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する層形成工程と、前記第一の立体造形用材料層の所定領域に前記第一の立体造形用材料に対して反応性を示す第二の立体造形用材料を付与する材料付与工程と、を複数回繰り返して造形を行う立体造形物の製造方法であって、前記材料付与工程において、造形される立体造形物の表面領域を構成する第一領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量よりも、前記立体造形物の内部領域を構成する第二領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量が少なく、立体造形データ作成工程、加熱工程、除去工程、焼成工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の立体造形物の製造方法は、従来の光造形方法では、立体造形物が大型化した場合にバインダーの使用量が多くなり、前記バインダーの使用量が増えることにより、焼成後の立体造形物の密度が低くなり、焼成工程時の収縮変化が大きくなるという問題があるという知見に基づくものである。
本発明の立体造形物の製造方法は、従来の成形体の製造方法では、高密度の立体造形物を得ることができないという問題があるという知見に基づくものである。
さらに、本発明の立体造形物の製造方法は、従来の造形方法では、より高密度の焼成体の立体造形物を得ることができないという問題があるという知見に基づくものである。これは、前記造形方法の角部を含む上層部にのみ結着剤を増やす方法では、増加させた塗布領域が微小であるため、立体造形物の内部にも結着剤を使用しなければ形状が維持できない。そのため、立体造形物の内部に付与された結着剤により、高密度の立体造形物を得ることが難しいという知見に基づくものである。
本発明の立体造形物の製造装置は、立体造形物の表面領域以外に第一の立体造形用材料と反応する第二の立体造形用材料を付与しない又は単位面積あたりの付与量を減らした立体造形データを作成する手段と、第一の立体造形用材料を用いて第一の立体造形用材料層を形成する層形成手段と、前記第一の立体造形用材料層を保持するための第一の立体造形用材料層保持手段と、前記第一の立体造形用材料層の所定領域に前記第一の立体造形用材料に対して反応性を示す第二の立体造形用材料を付与する材料付与手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の立体造形物の製造方法は、本発明の立体造形物の製造装置を用いて好適に実施することができる。
前記立体造形物を積層造形するための断面データの表面領域以外には第二の立体造形用材料を付与しない、又は前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量を減らすことが好ましい。前記作成した断面データに基づいて、立体造形物を積層して造形することにより第二の立体造形用材料の使用量を削減できる。また、立体造形物の表面領域は第二の立体造形用材料が付与され、立体造形物を取り出す工程において十分な強度を発現させる。
さらに、立体造形物の表面領域以外は第二の立体造形用材料中の不揮発性成分が含まれない、又は単位面積あたりの付与量を減らすことにより無機粒子の相対密度が高く、焼成工程後の立体造形物の相対密度を高めることができる。また、有機化合物成分が少ないことにより焼成工程における立体造形物の収縮変化を低減することができる。
前記材料付与工程において、造形される立体造形物の表面領域を構成する第一領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量よりも、前記立体造形物の内部領域を構成する第二領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量が少なく、第一領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量に対して、前記第二領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量としては、上限値としては70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、下限値としては10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。
前記第一領域への単位面積あたりの付与量としては、材料や第一の立体造形材料層の平均厚さに応じて適宜選択することができ、グリン体が十分な強度を保てる量であれば適宜調節可能である。
第二領域への単位面積あたりの付与量としては、適宜調節可能であり、前記第一領域への単位面積あたりの付与量より少なくする、又は付与しないことによりグリン体の表面硬度を保ちつつ、焼結後の収縮を抑えることが可能であるが、例えば、第一領域の単位面積あたりの付与量:第二領域の単位面積あたりの付与量が、10:1〜10:7であることが好ましく、10:3〜10:6であることがより好ましい。
<層形成工程及び層形成手段>
前記層形成工程は、無機粒子を含む第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する工程である。
前記層形成手段は、無機粒子を含む第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する手段である。
前記層形成工程は、前記層形成手段により好適に実施することができる。
−第一の立体造形用材料−
前記第一の立体造形用材料は、無機粒子を含み、有機化合物A、溶媒、脱水縮合剤を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
−−無機粒子−−
前記無機粒子は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属粒子、セラミックス粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−−金属粒子−−−
前記金属粒子は、特に、高硬度の性質をもつ材料を選択することにより、高硬度な立体造形物が造形できる。
前記金属粒子としては、例えば、超硬合金(WC−Co炭化タングステン・カーバイドとコバルトの合金、炭化チタンや炭化タンタルを添加する場合もある)、炭素鋼、クロム鋼、マンガン鋼、クロムモリブデン鋼、ニッケルクロム鋼、アルミニウムクロムモリブデン鋼、ステンレス鋼(SUS)、インコネル、ハステロイを使った粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ステンレス鋼(SUS)粒子が好ましい。
前記金属粒子の体積平均粒径としては、20μm未満が好ましく、5μm未満がより好ましい。前記金属粒子の体積平均粒径は、目的に応じて適宜公知の粒径測定装置を選択することができ、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
前記無機粒子の含有量としては、無機粒子の比重に応じて好ましい含有量が変わる。
前記無機粒子の体積分率としては、揮発成分を除いたグリン体中の無機粒子の体積分率を20%から70%にすることにより焼結体の密度を高めることができる。
−−−セラミックス粒子−−−
前記セラミックス粒子のうち特に高硬度の性質をもつ材料を選択することで、高硬度な立体造形物が造形できる。高硬度の性質を示すセラミックス材料として、例えば、ジルコニア粒子、アルミナ粒子、シリカ粒子、二ケイ酸リチウム粒子、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジルコニア粒子、アルミナ粒子が好ましい。前記セラミックス粒子としてジルコニア粒子を用いる場合は、安定化剤としてのイットリアやセリア等を含有してもよい。
前記セラミックス粒子の体積平均粒径としては、前記第一の立体造形用材料中において、5μm未満が好ましく、1μm未満がより好ましい。前記体積平均粒径が5μm未満であると、グリンシート又はグリン体の密度が低くなることを防止し、良好に焼成することができ、力学的強度を向上できる。前記セラミックス粒子の体積平均粒径の測定としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜、公知の粒径測定装置を選択することができ、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。なお、前記グリンシート又はグリン体は、スラリーと樹脂の混錬物であるコンパウンドを射出成形したシート又は成形体である。
前記ジルコニア粒子は、極めて高い融点を持つことから、体積平均粒径を小さくしないと焼成できない。理想とする体積平均粒径は数十nmオーダーであり、1μm以上になると粒子間隙が多く残存するため、焼成することが困難となる。通常の積層造形を行う上では、ジルコニア粒子を含む材料を供給槽から印字槽へ搬送する必要があるが、前記材料を構成する粒子のサイズが小さいと、粒子間力が強く働き、流動性が著しく悪化してしまう傾向にある。したがって、焼成性を保持しつつ流動性を向上させるためには、体積平均粒径を数百nmオーダー以下で維持しながらスラリー化し、ハンドリングできるようにすることが好ましい。
前記ジルコニア粒子中の前記安定化剤(イットリア、セリア等)の含有量としては、前記第一の立体造形用材料全量に対して、2質量%以上6質量%以下が好ましく、3質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、2質量%以上6質量%以下であると、安定化剤としての機能が十分に発揮され、焼成時にクラックが生じることが少なくなる。
前記ジルコニア粒子中の前記安定化剤の含有量は、例えば、ICP発光分光分析法により測定することができる。
前記ジルコニア粒子の単斜晶相率としては、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。前記単斜晶相率が、30%以下であると、正方晶相率が適切となり、力学的強度が良好である。前記単斜晶相率は、例えば、X線粉末回折装置を用いて、所定の条件により測定することができる。
前記セラミックス粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱分解法、共沈法、加水分解法などが挙げられる。これらの中でも、ジルコニア粒子においては熱分解法、共沈法が好ましい。
前記熱分解法としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウム水溶液を所定量混合し、塩化ナトリウム(又は塩化カリウム)をオキシ塩化ジルコニウム全量に対して、0.1質量%以上1質量%以下添加し、混合する方法などが挙げられる。この混合液を噴霧乾燥法等の瞬間乾燥を行い、乾燥粉末が得られる。
前記瞬間乾燥とは、10秒間以内に乾燥できる手法であり、乾燥温度は200℃以上の加熱空気中にて行うことが好ましい。次に、前記乾燥粉末を空気中で800℃以上1,200℃以下の温度で熱分解させることにより、酸化物仮焼粉末が得られる。前記酸化物仮焼粉末を湿式粉砕法で粉砕径を2μm以下になるように粉砕し、水洗する。
前記水洗の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、メンブレンフィルターを使用した連続式洗浄ろ過法が好ましい。前記水洗により、無機粒子中のナトリウム(又はカリウム)濃度が酸化物に換算した量として0.001質量%(10ppm)以上0.01質量%(100ppm)以下の範囲になるように十分に水洗する。前記水洗後のスラリーを乾燥させることにより、無機粒子(ジルコニア粉末)を得ることができる。
前記共沈法としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウム水溶液とを混合する方法などが挙げられる。ここで、特にオキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムとからのそれぞれの水和物が析出するpHを一定にするように金属錯体を形成させるため、硫酸ナトリウム(又は硫酸カリウム)をジルコニアに対してモル比が好ましくは0.3以上0.7以下となるように添加し、50℃以上100℃以下の温度で数時間以上反応させる。この混合液に水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリ水溶液を撹拌しながら加え、水溶液のpHを8以上10以下とする。得られた共沈水和物微粒子を十分水洗し、酸化物に換算したときのナトリウム(又はカリウム)が0.001質量%(10ppm)以上0.01質量%(100ppm)以下の範囲となっていることを確認する。水洗後の水和物微粒子を脱水及び乾燥させ、空気中で800℃以上1,200℃以下の温度で焼成することで酸化物仮焼粉末を得る。得られた酸化物仮焼粉末を2μm以下まで湿式粉砕し、乾燥することにより無機粒子(ジルコニア粉末)を得ることができる。
−−有機化合物A−−
前記有機化合物Aとしては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性樹脂などが挙げられる。前記水溶性樹脂における水溶性とは、室温(25℃)において、水に対して10質量部以上溶解することを意味する。
前記有機化合物Aとしては、塩基性官能基と反応性を有する酸性官能基を有することが好ましい。
前記酸性官能基としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホ基などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸性官能基を有する有機化合物Aとしては、例えば、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩基性官能基との反応性が高い点から、ポリアクリル酸が好ましい。
前記ポリアクリル酸の重量平均分子量(Mw)としては、400,000以上が好ましく、400,000以上1,000,000以下がより好ましく、600,000以上800,000以下が特に好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が、400,000以上であると、塩基性官能基を有する前記第二の立体造形用材料中の有機化合物Bとの架橋構造の構築が容易であり、立体造形物の硬化時間が適切である。一方、前記重量平均分子量(Mw)が、1,000,000以下であると、スラリーの粘度が適切であり、得られるスラリー中での無機粒子のバラツキが生じない傾向にある。前記重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって、単離したポリアクリル酸の分子量分布を求めて、これを基に重量平均分子量を算出することができる。
前記有機化合物Aの含有量としては、前記無機粒子100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下が好ましい。前記含有量が、5質量部以上であると、結着効果を十分に得ることができ、スラリー中での無機粒子の分散状態が良好になり、分散安定性を向上できる。前記有機化合物Aの含有量は、目的に応じて適宜公知の熱分析装置を選択することができ、例えば、DSC−200(セイコーインスツル株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
−−溶媒−−
前記溶媒としては、前記樹脂Aを溶解することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノール(沸点:117℃)、トルエン(沸点:110.6℃)等の極性溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、グリンシート又はグリン体造形の生産性を向上の点から、沸点が低い有機溶剤が好ましく、沸点が80℃以下である有機溶剤がより好ましく、エタノールが特に好ましい。
前記沸点が80℃以下である有機溶剤としては、例えば、エタノール(沸点:78.37℃)、メタノール(沸点:64.7℃)、酢酸エチル(沸点:77.1℃)、アセトン(沸点:56℃)、塩化メチレン(沸点:39.6℃)などが挙げられる。
−−脱水縮合剤−−
前記脱水縮合剤は、前記第一の立体造形用材料、及び前記第二の立体造形用材料の少なくともいずれかに添加することが好ましい。さらに、添加した場合において得られた立体造形物を加熱工程することがより好ましい。脱水縮合剤の添加や立体造形物の加熱により前記有機化合物Aと前記有機化合物Bの間の静電的な相互作用による架橋の一部に共有結合を形成することができ、静電的相互作用と共有結合とが立体造形物中にて混在することになる。前記静電的な相互作用の結合は、水親和性が高いため吸水して膨潤することにより曲げ弾性率や硬度が低下する傾向にあるが、共有結合を有することにより立体造形物の硬度を一定以上保つことができる。その結果、後述する除去工程において立体造形物を取り出す際、変形や欠けなく容易に取り出すことができる。
前記第一の立体造形用材料が、前記脱水縮合剤を含むと付加脱離反応によりエステル・アミド結合などのカルボン酸誘導体を生起することが容易になる。
前記脱水縮合剤とは、付加脱離反応によってエステル・アミド結合等のカルボン酸誘導体を合成するための反応試薬を意味する。
前記脱水縮合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボジイミド縮合剤、イミダゾール縮合剤、トリアジン縮合剤、ホスホニウム縮合剤、ウロニウム縮合剤、ハロウニウム縮合剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カルボジイミド縮合剤としては、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミドなどが挙げられる。
前記イミダゾール縮合剤としては、N,N’−カルボニルジイミダゾール、1,1’−カルボニルジ(1,2,4−トリアゾール)などが挙げられる。
前記トリアジン縮合剤としては、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウム=クロリドn水和物、トリフルオロメタンスルホン酸(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−(2−オクトキシ−2−オキソエチル)ジメチルアンモニウムなどが挙げられる。
前記ホスホニウム縮合剤としては、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、(7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、クロロトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オンなどが挙げられる。
前記ウロニウム縮合剤としては、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O−(3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン−3−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、S−(1−オキシド−2−ピリジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルチウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、O−[2−オキソ−1(2H)−ピリジル]−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、{{[(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデン)アミノ]オキシ}−4−モルホリノメチレン}ジメチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩などが挙げられる。
前記ハロウニウム縮合剤としては、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロリン酸塩、1−(クロロ−1−ピロリジニルメチレン)ピロリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、2−フルオロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロリン酸塩、フルオロ−N,N,N’,N’−テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸塩などが挙げられる。
これらの中でも、水やアルコール等の極性溶媒中にて反応が起こるトリアジン縮合剤として、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウム=クロリドn水和物(DMT−MM)が好ましい。
前記脱水縮合剤の含有量としては、立体造形物の硬度の観点から、前記第一の立体造形用材料、及び前記第二の立体造形用材料の少なくともいずれか100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましく、1.9質量部以上24.1質量部以下がより好ましい。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分散剤、可塑剤、焼成助剤などが挙げられる。
前記第一の立体造形用材料が、前記分散剤を含むと、前記無機粒子の分散性を改善し、静止時の沈降を抑制することができ、グリン体を造形する際に無機粒子が連続して存在しやすくなる。
また、前記可塑剤を含むと、前記第一の立体造形用材料からなるグリンシート又はグリン体前駆体が乾燥した際に亀裂が入りにくくなる点で好ましい。
前記焼成助剤を含むと、得られた積層造形物につき焼成工程を行う場合において、より低温での焼成が可能となる点で好ましい。
<材料付与工程及び材料付与手段>
前記材料付与工程は、前記第一の立体造形用材料層の所定領域に前記第一の立体造形用材料に対して反応性を示す第二の立体造形用材料を付与する工程である。
前記材料付与手段は、前記第一の立体造形用材料層の所定領域に前記第一の立体造形用材料に対して反応性を示す第二の立体造形用材料を付与する手段である。
前記材料付与工程は、前記材料付与手段により好適に実施することができる。
−第二の立体造形用材料−
前記第二の立体造形用材料は、前記第一の立体造形用材料に対して反応性を示し、有機化合物B、水性媒体、脱水縮合剤を含み、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−−有機化合物B−−
前記有機化合物Bとしては、前記有機化合物Aに対して反応性を示す有機化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性樹脂などが挙げられる。前記水溶性樹脂における水溶性とは、室温(25℃)において、水に対して10質量%以上溶解することを意味する。
前記有機化合物Bとしては、酸性官能基と反応性を有する塩基性官能基を有することが好ましい。
前記塩基性官能基としては、例えば、アミノ基、オキサゾリン基などが挙げられる。
前記アミノ基としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基などが挙げられる。
前記アミノ基を有する有機化合物Bとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミンなどが挙げられる。
前記ポリエチレンイミンとしては、分岐型であることが好ましい。
前記オキサゾリン基を有する有機化合物Bとしては、例えば、オキサゾリン基含有ポリマーなどが挙げられる。
前記ポリエチレンイミンの重量平均分子量(Mw)としては、1,800以上が好ましく、1,800以上70,000以下がより好ましく、3,000以上20,000以下が特に好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が、1,800以上であると、酸性官能基を持つ前記第一の立体造形用材料中の有機化合物Aとの架橋構造の構築が容易であり、立体造形物の硬化時間が適切である。一方、前記重量平均分子量(Mw)が、70,000以下であると、第二の立体造形用材料の粘度が適切であり、安定した吐出が実現できる。前記重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。
前記有機化合物Bの含有量としては、前記第二の立体造形用材料100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下が好ましい。前記含有量が、3質量部以上であると、前記第一の立体造形用材料中の有機化合物Aとの架橋構造を十分に構築でき、得られるグリンシート又はグリン体の強度を向上できる。一方、前記含有量が、20質量部以下であると、第二の立体造形用材料の粘度を低くでき、吐出安定性を向上できる。
前記有機化合物Bの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の熱分析装置を選択することができ、例えば、DSC−200(セイコーインスツル株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
[有機化合物Aと有機化合物Bとの間の新規共有結合の確認方法]
前記有機化合物Aと前記有機化合物Bとの間の新規共有結合の確認は、固体高分解能13C−NMR(装置名:ECX−500 NMR、日本電子株式会社製)スペクトルを用いて、測定することにより確認することができる。なお、測定条件、及び測定試料は、下記の通りである。
−測定条件−
・積算回数40,000回
・C.T. =2msec
・SW =240ppm
・Offset =110ppm
・Rotation =16kHz(127.2ppm)
・X_amp_CP =52.7%
・X_amp_grad =22.0%
−測定試料−
・有機化合物A単独
・有機化合物B単独
・有機化合物Aと有機化合物Bとをモル比1:1になるように高純水中にて混合させて、恒温槽により50℃条件下で24時間乾燥させた試料
・有機化合物Aと有機化合物Bと縮合剤とをモル比1:1:1になるように高純水中で混合させて、恒温槽により50℃条件下で24時間乾燥させた試料
・有機化合物Aと有機化合物Bとをモル比1:1になるように高純水中で混合させて、ホットプレートにより150℃条件下で加熱した試料
−−水性媒体−−
前記水性媒体としては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。なお、前記水性媒体は、前記水が前記アルコール等の水以外の成分を若干量含有するものであってもよい。
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。
−−脱水縮合剤−−
前記脱水縮合剤としては、前記第一の立体造形用材料と同様のものを用いることができる。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、例えば、界面活性剤、保存剤、防腐剤、安定化剤、pH調整剤、消泡剤などが挙げられる。
前記第二の立体造形用材料は、各種の積層造形物、構造体の簡便かつ効率的な製造に好適に用いることができ、後述する本発明の立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置に特に好適に用いることができる。
<立体造形データ作成工程及び立体造形データ作成手段>
前記立体造形データ作成工程は、層形成工程前に、前記第二領域に前記第二の立体造形用材料を付与しない、又は前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量を減らした立体造形データを作成する工程である。
前記立体造形データ作成手段は、層形成工程前に、前記第二領域に前記第二の立体造形用材料を付与しない、又は前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量を減らした立体造形データを作成する手段である。
前記立体造形データ作成工程は、前記立体造形データ作成手段により好適に実施することができる。
前記立体造形データ作成工程としては、立体造形データを積層ピッチに応じて作成する工程と、断面データの表面領域を検出する工程と、検出された表面領域以外の画素を低減又は0にする工程を含むことが好ましい。
なお、前記第一領域以外、及び前記第二領域以外の領域(造形される立体造形物を構成しない領域)においては、前記第二の立体造形用材料を付与しないことが好ましい。
また、前記立体造形物の製造方法は、表面領域の大きさを選択する工程を含むことが好ましい。
前記表面領域の大きさを選択する工程を含み、立体造形物の表面領域を適宜選択することにより、立体造形物の強度と精度を向上することができる。
<加熱工程及び加熱手段>
前記加熱工程は、造形後、除去工程前に、加熱する工程である。
前記加熱手段は、造形後、除去工程前に、加熱する手段である。
前記加熱工程は、前記加熱手段により好適に実施することができる。
前記加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、赤外線ヒーター、ホットプレートの高温加熱炉等の加熱装置などが挙げられる。
<除去工程及び除去手段>
前記除去工程は、造形後に、液体浸漬により未硬化部位を除去する工程である。
前記除去手段は、造形後に、液体浸漬により未硬化部位を除去する手段である。
前記除去工程は、前記除去手段により好適に実施することができる。
前記除去としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、造形したグリン体の立体造形物を水中に浸漬することなどが挙げられる。
前記浸漬としては、特に制限はなく、目的に応じて、浸漬時間、浸漬温度など適宜選択することができる。
前記浸漬時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5分間以上1時間以下が好ましく、10分間以上30分間以下がより好ましく、10分間以上20分間以下が特に好ましい。
前記浸漬温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、15℃以上100℃以下が好ましい。
<焼成工程及び焼成手段>
前記焼成工程は、前記層形成工程と前記液体材料付与工程とを順次繰り返して形成した立体造形物(積層造形物)を焼成する工程であり、焼成手段により行われる。前記焼成工程を行うことにより、前記硬化物を一体化された成形体(焼成体)とすることができる。
前記焼成手段としては、例えば、公知の焼成炉などが挙げられる。
前記焼成後の立体造形物の収縮率としては、焼成前のグリン体と比較して30%未満が好ましい。
前記焼成の温度としては、1,200℃以上1,600℃以下の範囲にて行うと、発色が良く十分な強度がある焼成体を得ることができる。
また、前記ジルコニア粒子を含有する立体造形物は、空気環境下、1,500℃で焼成することが好ましく、前記アルミナ粒子を含有する立体造形物は、空気環境下、1,500℃で焼成することが好ましく、ステンレス鋼(SUS)粒子を含有する立体造形物は、減圧雰囲気下、1,200℃で焼成することが好ましい。
前記焼成工程としては、上記のように硬化物を得てから焼成する方法以外にも、第一の立体造形用材料を積層する段階で焼成する方法がある。前記第一の立体造形用材料を積層する段階で焼成する方法は、前記第一の立体造形用材料層にレーザー照射及び電子線照射のいずれかを行い前記第一の立体造形用材料層を焼成する方法である。
−レーザー照射−
前記レーザー照射におけるレーザーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、COレーザー、Nd−YAGレーザー、ファイバーレーザー、半導体レーザーなどが挙げられる。前記レーザー照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、小型レーザーを用いる場合、前記粉末材料を溶融することができないため、併用する接着剤(例えば、ポリエステル系接着剤)を混在させて、レーザー照射により接着剤を溶融させて造形することが好ましい。その場合、COレーザーを用いることが好ましい。照射条件としては、例えば、レーザー出力15W、波長10.6μm、ビーム径0.4mm程度が好ましい。
−電子線照射−
前記電子線照射としては、前記第一の立体造形用材料中の無機粒子が溶融するエネルギーの電子線を照射すること以外の制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。電子線を照射する際には、前記第一の立体造形用材料は真空環境下で扱われる必要がある。前記電子線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、出力1,500W、ビーム径0.1mm、真空度1.0×10−5mbar程度が好ましい。
次に、図1A〜図1Cに本発明で用いられる立体造形物の製造装置の一例を示す。この図1Aは、付与手段から、第一の立体造形用材料を付与する工程を説明する概略説明図である。101は前記スラリーを積層していくにあたり支持体の役割を果たすステージである。このステージ101上にスラリーを積層し立体造形物を造形する。ステージは平滑面を有する。
102は前記第一の立体造形用材料(スラリー)を格納する容器である。スラリーは揮発性の溶媒を含むため、スラリーの粒子濃度、有機化合物濃度が変化しないように密閉されている。
103は格納容器内にあるスラリーである。104は容器内にあるスラリーの保管時の分散安定性を維持するための分散装置である。必要に応じて、スラリーを物理的に撹拌し、スラリー中の無機粒子を分散させることが好ましい。105はスラリーを要求に応じて押し出す圧力供給機構である。106はスラリーを成形部にまで搬送するノズルである。107は容器内から吐出されたスラリーである。108は吐出されてステージ101に着弾したスラリーを平滑にするための移動するブレードである。109は前記成形用ブレードの移動方向を示す。立体造形の要求に応じて、必要があれば撹拌機構104を一定時間回転し、スラリー103中の無機粒子を分散させる。その後、圧力機構105で容器内に圧をかけてノズル106を通じてステージ101上に供給する。
図1Bは、スラリーを薄膜シート状に成形する工程について説明する概略説明図である。
111は前記成形用ブレードで、ステージ(第一の立体造形用材料層保持手段)上に吐出されたスラリーを薄膜層状に成形する。112は成形されたスラリー層を表す。薄膜シートの平均厚みは、1μm以上100μm以下が積層方向の精度面から好ましい。113は成形されたスラリーから前記溶媒が揮発している様子を模式的に示す。シート成形時の温度・湿度が影響するため、シート成形部の環境は一定に制御されていることが好ましい。
−第一の立体造形用材料層保持手段−
前記第一の立体造形用材料層保持手段(支持体)としては、前記第一の立体造形用材料を載置することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記第一の立体造形用材料の載置面を有する台、特開2000−328106号公報の図1に記載の装置におけるベースプレート、などが挙げられる。前記支持体の表面、即ち、前記第一の液体材料を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
図1Cは、第二の立体造形用材料を吐出し硬化する工程について説明する概略説明図である。
121は、前記第二の立体造形用材料を吐出する機構である。機構121としては、画像の印刷に使われるインクジェットヘッドなどを好適に用いることができる。122は、粒子化された前記第二の立体造形用材料である。123は前記スラリー中の有機化合物Aと前記第二の立体造形用材料が反応し、硬化した様子を模式的に示す。成形後には、支持体を下に下げることにより、ブレードと成形したシートとの間隔を広げて、シート層の上に同じ平均厚みにて第一の立体造形用材料層を積層することができる。
図2A〜図2Cは、立体造形物の表面領域以外の立体造形物の内部領域を構成する第二領域において、前記第二の立体造形用材料を付与しない又は単位面積あたりの付与量を減らした立体造形データを作成し、立体造形物を製造する立体造形物の製造方法の説明斜視図である。
図2A(201)は、立体造形用の立体造形データの斜視図である。
201のデータを積層造形方式で立体造形物を得るためにデータ処理を行う。
図2B(202)は、前記201(図2A)の立体造形データを層ごとに積層して造形するための断面データの集合体である。断面データの個数は立体造形物の精度に影響を与える。そこで、得たい立体造形物の精度に応じて、積層ピッチを選択することができる。
図2C(203)は、前記断面データの立体造形物の内部のデータ領域の画素を低減させた断面データの集合体である。204は処理により画素の階調が低減された画素領域(第二領域)を示す。
なお、前記表面領域とは、立体造形物の断面データの最表面から内部へ連続する領域を意味する。
作成した立体造形データに基づいて、第一の立体造形用材料層に前記第二の立体造形用材料を付与する。
204の領域は、前記第二の立体造形用材料を付与しなくてもよいし、ベタ画像から画像面積率が低いドットやラインやランダムのディザにて前記第二の立体造形用材料を付与してもよい。
205(第一領域)は前記201と同様に画素の階調を維持し、前記第一の立体造形用材料を付与する。
203は202に比べて前記第二の立体造形用材料を付与する領域が少ないため、前記第二の立体造形用材料の消費量を低減できる。
図3は、断面データの処理方法を示すフローチャートである。
301で立体造形物の3次元データ処理を開始する。データに対して処理をするかどうかは任意に選択することができる。
302で立体造形物の造形方向を決定する。
303で造形方向からみて法線方向に立体造形物の断面がスライスした形状の断面データを生成する。
304で断面データの造形順序ごとに断面データに番号iを付与する。iは1〜jまでのデータの造形順を示す。
305で断面データの造形開始と終了のn枚の断面データには処理の非処理フラグを立てる(マスクする)。これは、造形の開始時と終了時のデータは立体造形物の表面領域を含むため、それらに処理をすると立体造形物の強度と精度が維持できないからである。
306で断面データiは1であることを確認する。
307で断面データi+nからデータ処理を開始する。
308で断面データの画素の並びを副走査方向から認識(カウント)し、特定の配列パターンが続いたときに指定の画素に処理フラグを立てる。
309で前記308と同様に主走査方向から認識(カウント)して、特定のパターンが連続した場合に指定の画素に処理フラグを立てる。
310で主走査、走査の処理フラグが2つ重なった画素の階調を低減又は0にする。
311は、307から310までの処理を断面データの最終番号jからn前の断面データまで繰り返すことで全ての断面データに対して処理を行う。
断面データ番号がi≦j−nの場合(N)にループを抜けて、312にて3次元のデータ処理を終了する。断面データ番号がi≦j−nの場合(Y)は、307に戻る。
図4A〜図4Cは、断面データの画像処理方法について説明する図である。
図4A(401)は、データ処理をする前の断面データである。
図4B(402)は、副走査方向のデータ処理を示す断面データである。副走査方向の列ごとに画素をカウントする。カウントした画素のうち両端から複数画素以外の同ラインの画素に対して処理フラグを立てる。両端からいくつの画素からフラグをたてるかどうかは任意に設定することが可能である。なお、両端から4つ目の画素からフラグを立てることが好ましい。
図4C(403)は、主走査方向のデータ処理を示す断面データである。403でも前記402と同様に主走査方向の列ごとに画素をカウントして処理フラグを立てる。処理フラグが重なった画素に対して階調を低減する、又は0にする。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(第一の立体造形用材料(スラリー材料)の調製例1)
<第一の立体造形用材料(スラリー材料)1の調製>
ジルコニア粒子(商品名:TZ−3Y−E、東ソー株式会社製、比重:6、体積平均粒径:200nm以上300nm以下)30質量部、重量平均分子量(Mw)が800,000であるポリアクリル酸(PAA、株式会社日本触媒製、AS−58)3.9質量部、及び溶剤としてエタノール(和光純薬工業株式会社製)60.0質量部を混合し、直径3mmのジルコニアビーズにて3時間ビーズミル分散することにより第一の立体造形用材料(スラリー材料)1を得た。
得られた第一の立体造形用材料(スラリー材料)1中のジルコニアの体積平均粒径を、以下のようにして測定した。
−ジルコニアの体積平均粒径−
前記第一の立体造形用材料(スラリー材料)1中における前記ジルコニアの体積平均粒径は、装置名:LA−920(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。LA−920の測定の際にLA−920専用アプリケーション(Ver.3.32)(株式会社堀場製作所製)を用いて解析を行った。
具体的には、クロロホルムで光軸調整した後、バックグラウンドを測定した。その後、循環を開始し、前記第一の立体造形用材料(スラリー材料)1を滴下した。透過率が安定したことを確認した後に、超音波を下記条件で照射した。照射した後に透過率の値が70%以上95%以下の範囲となる条件で体積平均粒径を測定した。体積平均粒径の測定再現性の点から、前記LA−920の透過率の値が70%以上95%以下となる条件で測定した。また、超音波照射後に透過率が前記値から外れた場合は再度測定を行った。前記透過率の値を得るために前記第一の立体造形用材料(スラリー材料)の滴下量を調節した。なお、測定及び解析条件は、以下のように設定した。
[測定及び解析条件]
・データ取り込み回数:15回
・相対屈折率:1.20
・循環:5
・超音波強度:7
(第一の立体造形用材料(スラリー材料)の調製例2〜11)
<第一の立体造形用材料(スラリー材料)2〜11の調製>
第一の立体造形用材料(スラリー材料)の調製例1において、下記表1の組成に変更した以外は、第一の立体造形用材料(スラリー材料)の調製例1と同様にして、第一の立体造形用材料(スラリー材料)2〜11を得た。
なお、前記表1において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・ジルコニア粒子:東ソー株式会社製、商品名:TZ−3Y−E、比重:6、体積平均粒径:200nm以上300nm以下
・ステンレス鋼粒子:山陽特殊製鋼株式会社製、商品名:ガスアトマイズステンレス粉、比重:7.9、体積平均粒径:8μm以下
・アルミナ粒子:日本軽金属株式会社製、商品名:LS−231、比重:3.9、体積平均粒径:300nm以上700nm以下
・ポリアクリル酸:株式会社日本触媒製、商品名:AS−58、重量平均分子量:80,000
・エタノール:和光純薬工業株式会社製
・メタノール:和光純薬工業株式会社製
・ブタノール:和光純薬工業株式会社製
・4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリウムクロリド:和光純薬工業株式会社製、商品名:DMT−MM
(第二の立体造形用材料の調製例1)
<第二の立体造形用材料1の調製>
水88.0質量部、重量平均分子量(Mw)が10,000であるポリエチレンイミン(PEI、株式会社日本触媒製、SP−200)12.0質量部、及び界面活性剤としてTween20(東京化成工業株式会社製)0.5質量部を、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、第二の立体造形用材料1を調製した。
(第二の立体造形用材料の調製例2〜5)
<第二の立体造形用材料2〜5の調製>
第二の立体造形用材料の調製例1において、下記表2の組成に変更した以外は、第二の立体造形用材料の調製例1と同様にして、第二の立体造形用材料2〜5を得た。
なお、前記表2において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・ポリエチレンイミン:株式会社日本触媒製、商品名:SP−200、重量平均分子量:10,000、PEI
・ポリアリルアミン:ニットーボーメディカル株式会社製、商品名:PAA−01
・オキサゾリン基含有ポリマー:株式会社日本触媒製、商品名:エポクロス
・Tween20:東京化成工業株式会社製
(実施例1)
得られた第一の立体造形用材料(スラリー材料)1と、第二の立体造形用材料1とを組み合わせて立体造形材料セット1とした。
この立体造形材料セット1を用いて、最終的に作製する立体造形物を複数の平面層にスライスした色情報を含む二次元画像データ(スライスデータ)により、以下の(1)〜(4)のようにして、立体造形物1を作製した。
(1)図1に示したような立体造形物の製造装置を用いて、前記ブレードとステージの距離が100μmになるようにブレードの位置を設定して、10mm/sの速度でブレードを水平移動させて、第一の立体造形用材料層を形成した。
(2)形成したスラリー1からなる第一の立体造形用材料層(薄層グリン体シート)の表面に、前記第二の立体造形用材料1を、下記表3に示す単位面積あたりの付与量にて、インクジェットヘッド(株式会社リコー製、SG7100)を用いてノズルから吐出し、造形される立体造形物の表面領域を構成する第一領域、及び前記立体造形物の内部領域を構成する第二領域における前記スラリー1を硬化させた。その後、第一の立体造形用材料層の平均厚みが100μmずつになるようにブレードと第一の立体造形用材料層の距離を計算してブレードの位置を設定した。
(3)前記(1)及び前記(2)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰返し、硬化した前記スラリー1からなる薄層を順次積層してグリン体の立体造形物を得た。前記グリン体の立体造形物を下記表3に記載の加熱乾燥温度にて、15分間ホットプレートで加熱した後、グリン体の立体造形物を20℃の高純水中に浸漬することにより、硬化していないスラリー成分を除去した。立体造形が硬度、及びしなやかさを両立することにより欠けなどの形状変形を生ずることなく取り出すことができた。
(表面硬度)
硬化していないスラリー成分を除去し、得られたグリン体の立体造形物について、マイクロゴム硬度計(装置名:MD−1 capa、高分子計器株式会社製)を用いて、グリン体の立体造形物の表面硬度を測定した。まず、グリン体の立体造形物を台の上にのせ、圧子を試料から15mm程度の位置まで近づけて測定を開始した。得られた測定値から、下記評価基準に基づいて、「表面硬度」を評価した。結果を下記表3に示す。
−評価基準−
◎:60度以上
○:45度以上60度未満
△:30度以上45度未満
×:30度未満
(4)次に、得られたグリン体の立体造形物の焼成工程を実施し、焼成体を得た。なお、焼成工程において、使用した無機粒子により下記のような焼成条件とした。
・ジルコニア粒子・・・空気環境下、1,500℃で焼成
・ステンレス鋼(SUS)粒子・・・減圧雰囲気下、1,200℃で焼成
・アルミナ粒子・・・空気環境下、1,500℃で焼成
(実施例2〜20、及び比較例1〜3)
実施例1において、下記表3に示すように第一の立体造形用材料と第二の立体造形用材料とを組み合わせて、立体造形材料セット2〜23を作製した以外は、実施例1と同様にして、立体造形物2〜23を作製した。
前記立体造形材料セット2〜23について、実施例1と同様にして、「表面硬度」を評価した。結果を下記表3に示す。
得られた立体造形材料セット1〜23について、以下のようにして、「収縮率」を評価した。結果を下記表3に示す。
(収縮率)
ノギスを用いて、グリン体の立体造形物、及び焼成後の立体造形物の各辺の寸法を計測して焼成前の各辺の長さ、及び焼成後の各辺の長さから、焼結前後の立体造形物の体積を算出し、下記式を用いて収縮率を計算して、下記評価基準に基づいて、「収縮率」を評価した。
収縮率(%)=(焼成前の立体造形物の体積−焼成後の立体造形物の体積)/(焼成前の立体造形物の体積)×100
−評価基準−
○:30%未満
△:30%以上40%未満
×:40%以上
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 無機粒子を含む第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する層形成工程と、前記第一の立体造形用材料層の所定領域に前記第一の立体造形用材料に対して反応性を示す第二の立体造形用材料を付与する材料付与工程と、を複数回繰り返して造形を行う立体造形物の製造方法であって、
前記材料付与工程において、造形される立体造形物の表面領域を構成する第一領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量よりも、前記立体造形物の内部領域を構成する第二領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量が少ないことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<2> 層形成工程前に、前記第二領域に前記第二の立体造形用材料を付与しない、又は前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量を減らした立体造形データを作成する立体造形データ作成工程をさらに含む前記<1>に記載の立体造形物の製造方法である。
<3> 前記第一の立体造形用材料が、溶媒を含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<4> 前記第一領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量に対して、前記第二領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量が、70質量%以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<5> 前記第一の立体造形用材料及び前記第二の立体造形用材料の少なくともいずれかが、脱水縮合剤をさらに含む前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<6> 造形後に、液体浸漬により未硬化部位を除去する除去工程をさらに含む前記<1>から<5>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<7> 造形後、前記除去工程前に、加熱工程をさらに含む前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<8> 造形後に、焼成する焼成工程をさらに含み、
前記焼成後の立体造形物の収縮率が、30%未満である前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<9> 前記表面領域の大きさを選択する工程を含む前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<10> 前記第一の立体造形用材料が、有機化合物Aをさらに含み、
前記有機化合物Aが、ポリアクリル酸である前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<11> 前記ポリアクリル酸の重量平均分子量が、400,000以上である前記<10>に記載の立体造形物の製造方法である。
<12> 前記無機粒子が、金属粒子、及びセラミックス粒子の少なくともいずれかである前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<13> 前記金属粒子が、ステンレス鋼である前記<12>に記載の立体造形物の製造方法である。
<14> 前記セラミックス粒子が、ジルコニア粒子、及びアルミナ粒子の少なくともいずれかである前記<12>から<13>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<15> 前記第二の立体造形用材料が、酸性官能基と反応性を有する塩基性官能基を有する有機化合物Bをさらに含む前記<1>から<14>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<16> 前記有機化合物Bが、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、及びオキサゾリン基含有ポリマーから選択される少なくとも1種である前記<15>に記載の立体造形物の製造方法である。
<17> 前記ポリエチレンイミンの重量平均分子量(Mw)が、1,800以上である前記<16>に記載の立体造形物の製造方法である。
<18> 前記第二の立体造形用材料が、水性媒体をさらに含む前記<1>から<17>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<19> 前記立体造形データ作成工程が、立体造形データを積層ピッチに応じて作成する工程と、
断面データの表面領域を検出する工程と、
検出された表面領域以外の画素を低減又は0にする工程を含む前記<2>から<18>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<20> 前記第一の立体造形用材料が、塩基性官能基と反応性を有する酸性官能基を有する有機化合物Aをさらに含む前記<2>から<19>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<21> 立体造形物の表面領域以外に第一の立体造形用材料と反応する第二の立体造形用材料を付与しない又は単位面積あたりの付与量を減らした立体造形データを作成する手段と、
第一の立体造形用材料を用いて第一の立体造形用材料層を形成する層形成手段と、
前記第一の立体造形用材料層を保持するための第一の立体造形用材料層保持手段と、
前記第一の立体造形用材料層の所定領域に前記第一の立体造形用材料に対して反応性を示す第二の立体造形用材料を付与する材料付与手段と、
を有することを特徴とする立体造形物の製造装置である。
前記<1>から<20>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法、及び前記<21>に記載の立体造形物の製造装置は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
特開2014−52231号公報 特開2004−130529号公報 特開2012−030530号公報
101 第一の立体造形用材料層保持手段
103、107 第一の立体造形用材料
122 第二の立体造形用材料
204 第二領域
205 第一領域

Claims (11)

  1. 無機粒子を含む第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する層形成工程と、前記第一の立体造形用材料層の所定領域に前記第一の立体造形用材料に対して反応性を示す第二の立体造形用材料を付与する材料付与工程と、を複数回繰り返して造形を行う立体造形物の製造方法であって、
    前記材料付与工程において、造形される立体造形物の表面領域を構成する第一領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量よりも、前記立体造形物の内部領域を構成する第二領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量が少ないことを特徴とする立体造形物の製造方法。
  2. 層形成工程前に、第二領域に前記第二の立体造形用材料を付与しない、又は前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量を減らした立体造形データを作成する立体造形データ作成工程をさらに含む請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
  3. 前記第一の立体造形用材料が、溶媒を含む請求項1から2のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  4. 前記第一領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量に対して、前記第二領域に対する前記第二の立体造形用材料の単位面積あたりの付与量が、70質量%以下である請求項1から3のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  5. 前記第一の立体造形用材料及び前記第二の立体造形用材料の少なくともいずれかが、脱水縮合剤をさらに含む請求項1から4のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  6. 造形後に、液体浸漬により未硬化部位を除去する除去工程をさらに含む請求項1から5のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  7. 造形後、前記除去工程前に、加熱工程をさらに含む請求項1から6のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  8. 造形後に、焼成する焼成工程をさらに含み、
    前記焼成後の立体造形物の収縮率が、30%未満である請求項1から7のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  9. 前記立体造形データ作成工程が、立体造形データを積層ピッチに応じて作成する工程と、
    断面データの表面領域を検出する工程と、
    検出された表面領域以外の画素を低減又は0にする工程を含む請求項2から8のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  10. 前記立体造形データ作成工程が、前記表面領域の大きさを選択する工程を含む請求項2から9のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  11. 立体造形物の表面領域以外に第一の立体造形用材料と反応する第二の立体造形用材料を付与しない又は単位面積あたりの付与量を減らした立体造形データを作成する手段と、
    第一の立体造形用材料を用いて第一の立体造形用材料層を形成する層形成手段と、
    前記第一の立体造形用材料層を保持するための第一の立体造形用材料層保持手段と、
    前記第一の立体造形用材料層の所定領域に前記第一の立体造形用材料に対して反応性を示す第二の立体造形用材料を付与する材料付与手段と、
    を有することを特徴とする立体造形物の製造装置。

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