JP2017205303A - 立体造形材料セット、立体造形物の製造方法、立体造形物の製造装置、及び歯科用補綴物 - Google Patents

立体造形材料セット、立体造形物の製造方法、立体造形物の製造装置、及び歯科用補綴物 Download PDF

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Takuya Saito
拓也 斉藤
政樹 渡邉
Masaki Watanabe
政樹 渡邉
櫻井 陽一
Yoichi Sakurai
陽一 櫻井
新美 達也
Tatsuya Niimi
達也 新美
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Abstract

【課題】層を形成する部材への付着物が生じにくく、層乾燥性に優れ、高融点かつ高硬度材料を用いた複雑な立体造形物を、簡便かつ効率良く、高強度にて製造可能な立体造形材料セットの提供。【解決手段】溶媒、有機化合物A、及び無機粒子を含む第一の立体造形用液体材料と、有機化合物Bを含む第二の立体造形用液体材料と、を有し、前記第一の立体造形用液体材料中の溶媒が、炭素数6以下の多価アルコールを含む立体造形材料セットである。前記第二の立体造形用液体材料が、炭素数6以下の多価アルコールをさらに含む態様などが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、立体造形材料セット、立体造形物の製造方法、立体造形物の製造装置、及び歯科用補綴物に関する。
従来より、歯の補綴物(人工歯)は、コバルトクロム合金等の金属材料、ジルコニア等のセラミックス材料、フィラーを複合したハイブリッドレジン等の有機材料などから作られ使われてきた。
これらの人工歯は機能不全の咬合機能を代行するものであるが、前記人工歯の材料の多くは、磨耗や腐食等の経時変化を起こすのみならず、天然歯に比べて白味が強いなど、審美性の観点でも問題点がある。この問題点を解消することが期待されている材料としては、例えば、ジルコニアが知られている。前記ジルコニアは天然歯と並べても違和感の無い人工歯の作製が可能である。
しかし、ジルコニア自体は乳白色をしており、コーティングされていない修復品乃至修復部品は、不自然な歯のように見えるという問題がある。そこで、審美的な歯の修復のために、患者の状況に一致するように人工歯に色のグラデーションを付加する必要がある。
また、ジルコニアを用いて歯の補綴物を作製する際は、所望の形状に成型加工する必要があるため、CAD/CAMのような切削の場合であっても、歯科技工士といった専門家によって切削及び着色するために、多くの時間が必要になるということが問題になっている。
そこで、セラミックス粒子を分散させた懸濁液の層から水分を除去した後、乾燥させた前記層上に局所的にバインダーを被着させて固化することにより成形体を得る成形物の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、層を形成する部材への付着物が生じにくく、層乾燥性に優れ、高融点かつ高硬度材料を用いた複雑な立体造形物を、簡便かつ効率良く、高強度にて製造可能な立体造形材料セットを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形材料セットは、溶媒、有機化合物A、及び無機粒子を含む第一の立体造形用液体材料と、有機化合物Bを含む第二の立体造形用液体材料と、を有し、前記第一の立体造形用液体材料中の溶媒が、炭素数6以下の多価アルコールを含む。
本発明によると、層を形成する部材への付着物が生じにくく、層乾燥性に優れ、高融点かつ高硬度材料を用いた複雑な立体造形物を、簡便かつ効率良く、高強度にて製造可能な立体造形材料セットを提供することができる。
図1は、本発明の立体造形物の製造装置の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の立体造形物の製造装置の他の一例を示す概略図である。
(立体造形材料セット)
本発明の立体造形材料セット(「積層造形材料セット」とも称することがある)は、溶媒、有機化合物A、及び無機粒子を含む第一の立体造形用液体材料と、有機化合物Bを含む第二の立体造形用液体材料と、を有し、前記第一の立体造形用液体材料中の溶媒が、炭素数6以下の多価アルコールを含み、更に必要に応じてその他の材料を有してなる。
本発明の立体造形材料セットは、従来の成形物の製造方法では、水分を除去して乾燥させるため、被着したバインダーが層間を埋めることができず、層が剥離してしまうという問題があるという知見に基づくものである。
また、本発明の立体造形材料セットは、従来の成形物の製造方法では、積層スラリー造形法(LSD)を用いるため、以下のような問題があるという知見に基づくものである。 すなわち、従来の成形物の製造方法では、積層の際に用いるブレードにスラリー成分が付着するという問題がある。
従来の成形物の製造方法では、スラリーの媒質に用いる溶媒としては、水、アセトン、シクロヘキサン、ジオキサン、n−ヘキサン、n−オクタン、トルエン、トリクロロエタノール、ジメチルエチルケトン、イソプロパノール、エチルアルコール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤を用いることができることが記載されている。
前記媒質を用いてスラリーを積層すると、スラリーに分散している成分の付着が現れる。例えば、中空のドクターブレードに供給されたスラリーを、中空ドクターブレードのスリット形の出口開口から均質かつ同形で出すことにより所定の厚みの層を塗布する場合、積層を繰り返すとドクターブレードのスリット形の出口周辺にスラリーに分散させた金属やセラミックの付着物(1mm以上)が現れる。
前記付着物がブレード面に存在すると、付着物の存在する部分だけスラリーが窪んでしまい、均質かつ同形の層を塗布することを妨げられる。また、この付着物はスラリー中に入ると付着したままとれないため層内に留まり続ける。このことにより、付着物がどのような形で存在しようと、均質かつ同形の層を塗布することを妨げ、造形精度を悪くする。
また、ブレード面に付着が生じると除去するのが難しい。付着物に溶媒などを十分なじませた後、ウエスなどで拭き取ることが一般的であるが、付着を全て除去するのに時間がかかる。加えて、取り残しがあると取り残しを起点として付着物を生じやすくなる。そのため、付着物が生じにくいスラリーが求められる。付着物が生じにくいスラリーは、湿潤性を付与することが好ましい。しかし、スラリーに湿潤性を付与すると、スラリーから媒質を除去する工程が必要となり、造形に時間がかかってしまうという問題が生じる。
<第一の立体造形用液体材料(第一の積層造形用液体材料)>
前記第一の立体造形用液体材料(第一の積層造形用液体材料)は、溶媒、有機化合物A、及び無機粒子を含み、前記溶媒が炭素数6以下の多価アルコールを含み、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<<無機粒子>>
前記無機粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セラミックス粒子、金属粒子などが挙げられる。
前記無機粒子としては、生体適合性を有することが好ましい。
<<<セラミックス粒子>>>
前記セラミックス粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジルコニア粒子、アルミナ粒子、シリカ粒子、二ケイ酸リチウム粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジルコニア粒子が好ましい。前記セラミックス粒子としてジルコニア粒子を用いる場合は、安定化剤としてのイットリアやセリア等を含有してもよい。
前記セラミックス粒子の体積平均粒径としては、前記第一の立体造形用液体材料中において、5μm未満が好ましく、1μm未満がより好ましい。前記体積平均粒径が5μm未満であると、グリンシート又はグリーン体の密度が低くなることを防止し、良好に焼結することができ、力学的強度を向上できる。前記セラミックス粒子の体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の粒径測定装置を選択することができ、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。なお、前記グリンシート又はグリーン体は、スラリーとバインダーの混錬物であるコンパウンドを射出成型したシート又は成形体である。
前記ジルコニア粒子は、極めて高い融点を持つことから、体積平均粒径を小さくしないと焼結できない。理想とする体積平均粒径は数十nmオーダーであり、1μm以上になると粒子間隙が多く残存するため、焼結することが困難となる。通常の積層造形を行う上では、ジルコニア粒子を含む材料を供給槽から印字槽へ搬送する必要があるが、前記材料を構成する粒子のサイズが小さいと、粒子間力が強く働き、流動性が著しく悪化してしまう傾向にある。したがって、焼結性を保持しつつ流動性を向上させるためには、体積平均粒径を数百nmオーダー以下で維持しながらスラリー化し、ハンドリングできるようにする必要がある。
前記ジルコニア粒子中の前記安定化剤(イットリア、セリア等)の含有量としては、前記第一の立体造形用液体材料全量に対して、2質量%以上6質量%以下が好ましく、3質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、2質量%以上6質量%以下であると、安定化剤としての機能が十分に発揮され、焼成時にクラックが生じることが少なくなる。
前記ジルコニア粒子中の前記安定化剤の含有量は、例えば、ICP発光分光分析法により測定することができる。
前記ジルコニア粒子の単斜晶相率としては、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。前記単斜晶相率が、30%以下であると、正方晶相率が適切となり、力学的強度が良好である。前記無機粒子の単斜晶相率は、例えば、X線粉末回折装置を用いて、所定の条件で測定することができる。
前記セラミックス粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱分解法、共沈法、加水分解法などが挙げられる。これらの中でも、ジルコニア粒子においては熱分解法、共沈法が好ましい。
前記熱分解法としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウム水溶液を所定量混合し、塩化ナトリウム(又は塩化カリウム)をオキシ塩化ジルコニウム全量に対して、0.1質量%以上1質量%以下添加し、混合する方法などが挙げられる。この混合液を噴霧乾燥法等の瞬間乾燥を行い、乾燥粉末が得られる。
前記瞬間乾燥とは、10秒間以内に乾燥できる手法であり、乾燥温度は200℃以上の加熱空気中で行うことが好ましい。次に、前記乾燥粉末を空気中で800℃以上1,200℃以下の温度で熱分解させることで、酸化物仮焼粉末が得られる。前記酸化物仮焼粉末を湿式粉砕法で粉砕径を2μm以下になるように粉砕し、水洗する。
前記水洗の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、メンブレンフィルターを使用した連続式洗浄ろ過法が好ましい。前記水洗により、無機粒子中のナトリウム(又はカリウム)濃度が酸化物に換算した量として10ppm以上100ppm以下の範囲になるように十分に水洗する。前記水洗後のスラリーを乾燥させることにより、無機粒子(ジルコニア粉末)が得られる。
前記共沈法としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウム水溶液を混合する方法などが挙げられる。ここで特にオキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムからのそれぞれの水和物が析出するpHを一定にするように金属錯体を形成させるため、硫酸ナトリウム(又は硫酸カリウム)をジルコニアに対しモル比が好ましくは0.3以上0.7以下となるように添加し、50℃以上100℃以下の温度で数時間以上反応させる。この混合液に水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリ水溶液を攪拌しながら加え、水溶液のpHを8以上10以下とする。得られた共沈水和物微粒子を十分水洗し、酸化物に換算したときのナトリウム(又はカリウム)が10ppm以上100ppm以下の範囲となっていることを確認する。水洗後の水和物微粒子を脱水及び乾燥させ、空気中で800℃以上1,200℃以下の温度で焼成することで酸化物仮焼粉末を得る。得られた酸化物仮焼粉末を2μm以下まで湿式粉砕し、乾燥することにより無機粒子(ジルコニア粉末)が得られる。
<<<金属粒子>>>
前記金属粒子としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン粒子、チタン合金粒子、コバルト/クロム合金粒子、ステンレス合金粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、チタン粒子、チタン合金粒子が好ましい。
前記金属粒子の体積平均粒径としては、50μm未満が好ましく、10μm未満がより好ましく、1μm未満が特に好ましい。前記体積平均粒径が、50μm未満であると、粒子間隙を少なくでき、グリンシート又はグリーン体の密度を高くできることで、焼結時の焼成収縮を小さくでき、寸法精度を向上できる。前記金属粒子の体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の粒径測定装置を選択することができ、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
前記無機粒子の含有量としては、前記第一の立体造形用液体材料(スラリー)100質量部に対して、20質量部以上70質量部以下が好ましい。前記含有量が20質量部以上であると、揮発する溶媒量が相対的に少なくでき、グリンシート又はグリーン体の密度を高くすることができ、70質量部以下であると、スラリーとしての流動性を向上でき、ドクターブレード等によるスラリー搬送を良好に行うことができる。
<<有機化合物A>>
前記有機化合物Aとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性樹脂などが挙げられる。前記水溶性樹脂における水溶性とは、室温(25℃)において、水に対して10質量%以上溶解することを意味する。
前記有機化合物Aとしては、塩基性官能基と反応性を有する酸性官能基を有することが好ましい。
前記酸性官能基としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基などが挙げられる。
前記酸性官能基を有する有機化合物Aとしては、例えば、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩基性官能基との反応性が高い点から、ポリアクリル酸が好ましい。
前記ポリアクリル酸の重量平均分子量(Mw)としては、400,000以上が好ましく、400,000以上1,000,000以下がより好ましく、600,000以上800,000以下が特に好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が400,000以上であると、塩基性官能基を有する前記第二の立体造形用液体材料中の有機化合物Bとの架橋構造の構築が容易であり、立体造形物の硬化時間が適切である。一方、前記重量平均分子量(Mw)が、1,000,000以下であると、スラリーの粘度が適切であり、得られるスラリー中での無機粒子のバラツキが生じない傾向にある。前記重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって、単離したポリアクリル酸の分子量分布を求めて、これを基に重量平均分子量を算出することができる。
前記有機化合物Aの含有量としては、前記無機粒子100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下が好ましい。前記含有量が、5質量部以上であると、結着効果を十分に得ることができ、スラリー中での無機粒子の分散状態が良好になり、分散安定性を向上できる。一方、前記含有量が、30質量部以下であると、スラリーの粘度を低くでき、ドクターブレード等によるスラリーの搬送を良好に行うことができる。前記有機化合物Aの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の熱分析装置を選択することができ、例えば、DSC−200(セイコーインスツル株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
<<溶媒>>
前記溶媒としては、前記有機化合物Aを溶解することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、炭素数6以下の多価アルコールを含み、更に必要に応じてその他の溶媒を含む。
<<<多価アルコール>>>
前記多価アルコールは、炭素数6以下であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常温液体のジオール、トリオール、テトラオール等を第一の立体造形用液体材料に添加したり、固体のトリオール、テトラオール、多糖類等を可溶な溶剤に予備分散した後、第一の立体造形用液体材料に添加して用いることができる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2、2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、トリエチレングリコール、2,2’−チオジエタノール等のジオール;グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール等のトリオール;ブタン−1,2,3,4−テトラオール(エリトリトールを含む)、1,1,5,5−ペンタンテトラオール、1,2,3,5−ペンタンテトラオール、1α,2α,3α,4α−シクロペンタンテトラオール、ヘキサン−1,2,5,6−テトラオール、(3R,4S)−2−オキソペンタン−1,3,4,5−テトラオール等のテトラオール、グルコース等の多糖類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールの含有量としては、第一の立体造形用液体材料(スラリー)100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましく、0.5質量部以上10質量部以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部以上であると、ブレードへの付着を抑制することができ、20質量部以下であると、多価アルコールがスラリー中で分離/析出など不相溶の状態になることを防止でき、ブレードへの付着を抑制することができる。また、前記含有量が、0.5質量部以上10質量部以下であると、溶媒を除去しやすさを損なわず、付着物が生じにくくする効果が得られやすい。なお、複数の多価アルコールを加えた場合は、全ての多価アルコールの総量を添加量と見なす。
<<<その他の溶媒>>>
前記その他の溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、トルエン(沸点:110.6℃)等の極性溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、グリンシート又はグリーン体造形の生産性を向上の点から、沸点が低い有機溶剤が好ましく、沸点が80℃以下である有機溶剤がより好ましい。
前記沸点が80℃以下である有機溶剤としては、例えば、エタノール(沸点:78.37℃)、メタノール(沸点:64.7℃)、酢酸エチル(沸点:77.1℃)、アセトン(沸点:56℃)、塩化メチレン(沸点:39.6℃)などが挙げられる。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分散剤、可塑剤、焼結助剤などが挙げられる。前記第一の立体造形用液体材料が、前記分散剤を含むと、前記無機粒子の分散性を改善し、静止時の沈降を抑制することができる点で好ましく、グリンシート又はグリーン体を造形する際に無機粒子が連続して存在しやすくなる。また、前記可塑剤を含むと、前記第一の立体造形用液体材料からなるグリンシート又はグリーン体が乾燥した際に亀裂が入りにくくなる点で好ましい。前記焼結助剤を含むと、得られた積層造形物につき焼結処理を行う場合において、より低温での焼結が可能となる点で好ましい。
<第二の立体造形用液体材料(第二の積層造形用液体材料)>
前記第二の立体造形用液体材料は、有機化合物Bを含み、炭素数6以下の多価アルコールを含むことが好ましく、更に必要に応じて、炭素数6以下の多価アルコール以外の溶媒、その他の成分を含有してなる。
<<有機化合物B>>
前記有機化合物Bとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性樹脂などが挙げられる。前記水溶性樹脂における水溶性とは、室温(25℃)において、水と水性溶媒の混和物(水性溶媒を加えていない場合は水)に対して10質量%以上溶解することを意味する。
前記有機化合物Bとしては、前記有機化合物Aと反応性を示すことが好ましく、有機化合物A中の酸性官能基と反応性を有する塩基性官能基を有することがより好ましい。
前記塩基性官能基としては、例えば、アミノ基などが挙げられる。
前記アミノ基を有する有機化合物Bとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸性官能基との反応性の点から、カチオン密度が高いポリエチレンイミンが好ましい。
前記ポリエチレンイミンの重量平均分子量(Mw)としては、1,800以上が好ましく、1,800以上70,000以下がより好ましく、3,000以上20,000以下が特に好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が、1,800以上であると、酸性官能基を持つ前記第一の立体造形用液体材料中の有機化合物Aとの架橋構造の構築が容易であり、立体造形物の硬化時間が適切である。一方、前記重量平均分子量(Mw)が、70,000以下であると、第二の立体造形用液体材料の粘度が適切であり、安定した吐出が実現できる。前記重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。
前記有機化合物Bの含有量としては、前記第二の立体造形用液体材料100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下が好ましい。前記含有量が、3質量部以上であると、前記第一の立体造形用液体材料中の有機化合物Aとの架橋構造を十分に構築でき、得られるグリンシート又はグリーン体の強度を向上できる。一方、前記含有量が、20質量部以下であると、第二の立体造形用液体材料の粘度を低くでき、吐出安定性を向上できる。また、第二の立体造形用液体材料が第一の立体造形用液体材料と反応した成分がブレードに付着することがない。
前記有機化合物Bの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の熱分析装置を選択することができ、例えば、DSC−200(セイコーインスツル株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
<<炭素数6以下の多価アルコール>>
前記炭素数6以下の多価アルコールとしては、前記第一の立体造形用液体材料の溶媒における多価アルコールと同様のものを用いることができる。
前記多価アルコールとしては、前記第一の立体造形用液体材料の溶媒における多価アルコールと同一のものを使用してもよく、異なるものを使用してもよい。
<<炭素数6以下の多価アルコール以外の溶媒>>
前記炭素数6以下の多価アルコール以外の溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水性媒体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<<水>>>
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。
<<<水性媒体>>>
前記水性媒体としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、エーテル、ケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記水性媒体は、水との混和により分離せず相溶する量を添加するのが好ましい。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、例えば、界面活性剤、保存剤、防腐剤、安定化剤、pH調整剤などが挙げられる。
前記第二の立体造形用液体材料は、各種の積層造形物、構造体の簡便かつ効率的な製造に好適に用いることができ、後述する本発明の立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置に特に好適に用いることができる。
(立体造形物(積層造形物)の製造方法、及び立体造形物(積層造形物)の製造装置、並びに歯科用補綴物の製造方法及び歯科用補綴物の製造装置)
本発明の立体造形物(積層造形物)の製造方法は、層形成工程、及び液体材料付与工程を含み、層乾燥工程、及び焼結工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明で用いられる立体造形物(積層造形物)の製造装置は、液体材料層保持手段、層形成手段、及び液体材料付与手段を有し、層乾燥手段、及び焼結手段を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明の立体造形物(積層造形物)の製造方法は、本発明で用いられる立体造形物の製造装置を用いて好適に実施することができ、前記層形成工程は、前記層形成手段により好適に実施することができ、前記層乾燥工程は、前記層乾燥手段により好適に実施することができ、前記液体材料付与工程は、前記液体材料付与手段により好適に実施することができ、前記焼結工程は、前記焼結手段により好適に実施することができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に実施することができる。
前記歯科用補綴物の製造方法は、前記歯科用補綴物の製造装置を用いて好適に実施することができ、前記層形成工程は、前記層形成手段により好適に実施することができ、前記層乾燥工程は、前記層乾燥手段により好適に実施することができ、前記液体材料付与工程は、前記液体材料付与手段により好適に実施することができ、前記焼結工程は、前記焼結手段により好適に実施することができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に実施することができる。
<層形成工程及び層形成手段>
前記層形成工程は、本発明の前記第一の立体造形用液体材料を用いて第一の立体造形用液体材料層を形成する工程である。
前記層形成手段は、本発明の前記第一の立体造形用液体材料を用いて第一の立体造形用液体材料層を形成する手段である。
−支持体−
前記支持体(液体材料層保持手段)としては、前記第一の立体造形用液体材料を載置することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記第一の立体造形用液体材料の載置面を有する台、特開2000−328106号公報の図1に記載の装置におけるベースプレート、などが挙げられる。前記支持体の表面、即ち、前記第一の立体造形用液体材料を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
−第一の立体造形用液体材料層の形成−
前記第一の立体造形用液体材料を前記支持体上に配置させる方法としては、層形成部材を用いて薄層を形成する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)を薄層に配置させる方法としては、特許第3607300号公報に記載の選択的レーザー焼結方法に用いられる、公知のカウンター回転機構(カウンターローラ)などを用いる方法、前記スラリー材料をブラシ、ローラ、ブレード等の層を形成する部材(層形成部材)を用いて薄層に拡げる方法、前記スラリー材料層の表面を押圧部材を用いて押圧して薄層に拡げる方法、公知の粉末積層造形装置を用いる方法などが好適に挙げられる。
前記カウンター回転機構(カウンターローラ)、前記ブラシ乃至ブレード、前記押圧部材などを用いて、前記支持体上に前記スラリー材料を載置させるには、例えば、以下のようにして行うことができる。即ち、例えば、外枠(「型」、「中空シリンダー」、「筒状構造体」などと称されることもある)内に、前記外枠の内壁に摺動しながら昇降可能に配置された前記支持体上に前記スラリー材料を、前記カウンター回転機構(カウンターローラ)、前記ブラシ、ローラ又はブレード、前記押圧部材などを用いて載置させる。このとき、前記支持体として、前記外枠内を昇降可能なものを用いる場合には、前記支持体を前記外枠の上端開口部よりも少しだけ下方の位置に配し、即ち、前記第一の立体造形用液体材料層(スラリー材料層)の厚み分だけ下方に位置させておき、前記支持体上に前記スラリー材料を載置させる。以上により、前記スラリー材料を前記支持体上に薄層に載置させることができる。
なお、このようにして薄層に載置させた前記スラリー材料に対し、レーザーや電子線、或いは、第二の立体造形用液体材料を作用させると硬化が生ずる。ここで得られた薄層の硬化物上に、上記と同様にして、前記スラリー材料を薄層に載置させ、この薄層に載置された前記スラリー材料(層)に対し、前記レーザーや電子線、或いは第二の立体造形用液体材料を作用させると硬化が生ずる。このときの硬化は、前記薄層に載置された前記スラリー材料(層)においてのみならず、その下に存在する、先に硬化して得られた前記薄層の硬化物との間でも生ずる。その結果、前記薄層に載置された前記スラリー材料(層)の約2層分の厚みを有する硬化物(立体造形物)が得られる。
また、前記スラリー材料を前記支持体上に薄層に載置させるには、前記公知の粉末積層造形装置を用いて自動的にかつ簡便に行うこともできる。前記粉末積層造形装置は、一般に、前記スラリー材料を積層するためのリコーターと、前記スラリー材料を前記支持体上に供給するための可動式供給槽と、前記粉末材料を薄層に載置し、積層するための可動式成形槽とを備える。前記粉末積層造形装置においては、前記供給槽を上昇させるか、前記成形槽を下降させるか、又はその両方によって、常に前記供給槽の表面は前記成形槽の表面よりもわずかに上昇させることができ、前記供給槽側から前記リコーターを用いて前記粉末材料を薄層に配置させることができ、前記リコーターを繰り返し移動させることにより、薄層の前記スラリー材料を積層させることができる。この粉末積層造形装置をそのままスラリー積層用に置き換えてもよいし、リコーター部分をシート成形用のドクターブレードに変えてもよい。
前記スラリー材料層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一層当たりの平均厚みで、3μm以上200μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。前記平均厚みが、3μm以上であると、立体造形物が得られるまでの時間が適正であり、焼結等の処理乃至取扱い時に型崩れ等の問題が生じることがない。一方、前記平均厚みが、200μm以下であると、立体造形物の寸法精度が充分に得られる。なお、前記平均厚みは、公知の方法に従って測定することができる。
<層乾燥工程及び層乾燥手段>
前記層乾燥工程は、前記層形成工程後、前記液体材料付与工程前において、得られたスラリー層を乾燥させる工程であり、層乾燥手段により行われる。もちろん自然乾燥を行ってもよい。前記層乾燥工程において、前記スラリー層中に含まれる水分(溶媒)を揮発させることができる。なお、前記層乾燥工程としては、スラリー層から溶媒をすべて除去せず、半乾燥状態とすることが好ましい。前記層乾燥手段としては、例えば、公知の乾燥機などが挙げられる。
前記層乾燥工程における乾燥時間は適宜変更することができる。前記乾燥時間を長くすれば、前記層乾燥工程後の液体材料付与工程で付与される液体材料の横方向への染み出しが抑制され、造形精度が向上するが、層間の接着力が弱くなる傾向にある。一方、前記乾燥時間を短くすれば、層間での粒子移動が起こり、層間の接着力が強くなるが、前記層乾燥工程後の液体材料付与工程で付与される液体材料の横方向への染み出しが発生し、造形精度が悪化する傾向にある。これは用いる材料種によって適宜選択すればよい。
<液体材料付与工程及び液体材料付与手段>
前記液体材料付与工程は、前記スラリー材料層に、水性媒体を含む第二の立体造形用液体材料(積層造形用材料)を前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に付与する工程である。
前記液体材料付与手段は、前記スラリー材料層に、水性媒体を含む第二の立体造形用液体材料(積層造形用材料)を前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に付与する手段である。
前記第二の立体造形用液体材料の前記スラリー材料層への付与の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などで用いられている液体吐出手段などが挙げられる。本発明においては、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点で、前記インクジェット方式で用いられる液体吐出手段(圧電アクチュエーター等の振動素子を用い、複数ノズルから液滴を吐出するもの)が好ましい。
<層を形成する部材(層形成部材)の清掃工程及び清掃手段>
前記清掃工程は、層を形成する部材(層形成部材)に付着する第一の立体造形用液体材料を除去する工程である。
前記層形成部材の清掃工程は、前記層形成部材の清掃手段により好適に実施することができる。
前記第一の立体造形用液体材料の層を形成するために用いた前記カウンター回転機構(カウンターローラ)、前記ブラシ乃至ブレード、前記押圧部材等の層形成部材は、層形成後に前記第一の立体造形用液体材料を除去することにより、層形成部材への第一の立体造形用液体材料の付着が抑制される。
前記層形成部材の清掃方法は、任意の方法で行うことができ、例えば、ゴム・フィルム・布・紙など異なる媒体を用いて物理的に拭き取る方法;水、アルコール等の極性溶媒に浸す方法;溶剤やオイル等の非極性溶媒に浸す方法;前記極性溶媒乃至前記非極性溶媒や粒子等を部材に衝突させる方法;超音波等の物理的振動を加える方法などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水、アルコール等の極性溶媒に浸す方法が好ましく、水に浸す方法がより好ましい。
前記層形成部材を水に浸すことにより、付着したスラリーが水を取り込み、前記層形成部材に付着したスラリーや付着物を容易に除去することができる。
<除去工程及び除去手段>
前記除去工程は、前記層形成工程と前記液体材料付与工程とを順次繰り返して形成した立体造形物を液体に浸漬して未硬化のスラリー材料を除去する工程である。
前記除去手段は、前記層形成手段と前記液体材料付与手段とを順次繰り返して形成した立体造形物を液体に浸漬して未硬化のスラリー材料を除去する手段である。
前記液体としては、例えば、水などが挙げられる。
<焼結工程及び焼結手段>
前記焼結工程は、前記層形成工程と前記液体材料付与工程とを順次繰り返して形成した立体造形物(積層造形物)を焼結する工程であり、焼結手段により行われる。前記焼結工程を行うことにより、前記硬化物を一体化された成形体(焼結体)とすることができる。前記焼結手段としては、例えば、公知の焼結炉などが挙げられる。
前記焼結工程としては、前記のように硬化物を得てから焼結する方法以外にも、第一の立体造形用液体材料を積層する段階で焼結する方法がある。前記第一の立体造形用液体材料を積層する段階で焼結する方法は、前記第一の立体造形用液体材料層にレーザー照射及び電子線照射のいずれかを行い前記第一の立体造形用液体材料層を焼結する方法である。
−レーザー照射−
前記レーザー照射におけるレーザーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、COレーザー、Nd−YAGレーザー、ファイバーレーザー、半導体レーザーなどが挙げられる。前記レーザー照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、小型レーザーを用いる場合、前記粉末材料を溶融することができないため、併用する接着剤(例えば、ポリエステル系接着剤)を混在させて、レーザー照射により接着剤を溶融させて造形することが好ましい。その場合、COレーザーを用いることが好ましい。照射条件としては、例えば、レーザー出力15W、波長10.6μm、ビーム径0.4mm程度が好ましい。
−電子線照射−
前記電子線照射としては、前記第一の立体造形用液体材料中の無機粒子が溶融するエネルギーの電子線を照射すること以外の制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。電子線を照射する際には、前記第一の立体造形用液体材料は真空環境下で扱われる必要がある。前記電子線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、出力1,500W、ビーム径0.1mm、真空度1.0×10−5mbar程度が好ましい。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、例えば、表面保護工程、塗装工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、表面保護手段、塗装手段などが挙げられる。
−表面保護工程及び表面保護手段−
前記表面保護工程は、前記液体材料付与工程、又は前記焼結工程において形成した立体造形物に保護層を形成する工程である。前記表面保護工程を行うことにより、前記立体造形物を、例えば、そのまま使用等することができる耐久性等を前記立体造形物の表面に与えることができる。
前記保護層としては、例えば、耐水性層、耐候性層、耐光性層、断熱性層、光沢層などが挙げられる。
前記表面保護手段としては、公知の表面保護処理装置、例えば、スプレー装置、コーティング装置などが挙げられる。
−塗装工程及び塗装手段−
前記塗装工程は、前記立体造形物に塗装を行う工程である。この塗装工程を行うことにより、前記立体造形物に所望の色に着色させることができる。前記塗装手段としては、公知の塗装装置、例えば、スプレー、ローラ、刷毛等による塗装装置などが挙げられる。
ここで、図1に本発明で用いられる立体造形物の製造装置の一例を示す。この図1の立体造形物の製造装置は、造形側スラリー貯留槽1と供給側スラリー貯留槽2とを有し、これらのスラリー貯留槽は、それぞれ上下に移動可能なステージ3を有し、該ステージ上にスラリー材料からなる層を形成する。
造形側スラリー貯留槽1の上には、該スラリー貯留槽内の第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)に向けて第二の立体造形用液体材料4を吐出するインクジェットヘッド5を有し、更に、供給側スラリー貯留槽2から造形側スラリー貯留槽1にスラリー材料を供給すると共に、造形側スラリー貯留槽1のスラリー材料層表面を均す、均し機構6(以下、リコーターということがある)を有する。
造形側スラリー貯留槽1のスラリー材料層上にインクジェットヘッド5から第二の立体造形用液体材料4を滴下する。このとき、第二の立体造形用液体材料4を滴下する位置は、最終的に造形したい立体形状を複数の平面層にスライスした二次元画像データ(スライスデータ)により決定される。
一層分の描画が終了した後、供給側スラリー貯留槽2のステージ3を上げ、造形側スラリー貯留槽1のステージ3を下げる。その差分のスラリー材料を、前記均し機構6によって、造形側スラリー貯留槽1へと移動させる。
このようにして、先に描画したスラリー材料層面上に、新たなスラリー材料層が一層形成される。このときのスラリー材料層一層の厚みは、数十μm以上100μm以下程度である。前記新たに形成されたスラリー材料層上に、更に二層目のスライスデータに基づく描画を行い、この一連のプロセスを繰り返して立体造形物を得、図示しない加熱手段で加熱乾燥させることで造形物が得られる。
図2に、本発明で用いられるスラリー積層造形装置の他の一例を示す。図2の立体造形物の製造方法は、原理的には図1と同じものであるが、第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)の供給機構が異なる。即ち、供給側スラリー貯留槽2は、造形側スラリー貯留槽1の上方に配されている。一層目の描画が終了すると、造形側スラリー貯留槽1のステージ3が所定量降下し、供給側スラリー貯留槽2が移動しながら、所定量のスラリー材料を造形側スラリー貯留槽1に落下させ、新たなスラリー材料層を形成する。その後、均し機構6で、第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)層を圧縮し、かさ密度を上げると共に、スラリー材料層の高さを均一に均す。
図2に示す構成の立体造形物の製造装置によれば、2つのスラリー貯留槽を平面的に並べる図1の構成に比べて、装置をコンパクトにできる。
(立体造形物(積層造形物、歯科用補綴物))
前記立体造形物(積層造形物)は、本発明の前記立体造形物の製造方法により製造される。
前記立体造形物としては、口腔内の咀嚼力に長期間耐えることができ、審美性を有している点から、人工歯であることが好ましい。
前記人工歯は、う蝕、外傷、歯周病などにより失った天然歯の代わりに、その機能を回復するために作られた人工の歯であり、ブリッジ、クラウン等の歯科用補綴物も含まれる。
本発明の立体造形物の製造方法及び本発明の立体造形物の製造装置によれば、複雑な立体形状の造形物を、本発明の前記第一の立体造形用液体材料を用いて、簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く製造することができる。こうして得られた立体造形物(硬化物)は、細胞毒性がなく、充分な強度を有し、寸法精度に優れ、微細な凹凸、曲面なども再現できるので、美的外観にも優れ、高品質であり、各種用途に好適に使用される。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、立体造形(積層造形)を用い、型を用いないで積層造形物を製造した例を示したが、これらに制限されるものではない。
(第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)の調製例1)
<無機粒子1の合成>
20質量%のオキシ塩化ジルコニウム水溶液に、イットリア及びジルコニアの換算モル比(イットリア:ジルコニア)が2.8:97.2となるように、18質量%の塩化イットリウム水溶液を混合した。これに、塩化ナトリウムをオキシ塩化ジルコニウム全量に対して、0.5質量%添加し溶解した。
次いで、得られた水溶液に塩化アルミニウムをジルコニア全量に対して、アルミナとして0.4質量%となるように添加し溶解した。この水溶液を200℃の温度の空気内で噴霧乾燥し、乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末を、空気中で1,000℃の温度で焼成し、仮焼粉末を合成した。得られた仮焼粉末の単斜晶相率は8.2%であった。この仮焼粉末を、湿式アトライターで粉砕して30質量%スラリーを得た。次に、得られたスラリーを、目開き0.5μmのメンブレンフィルターにて希釈・ろ過濃縮を繰り返し、ろ過水の電気伝導度が20μS以下になるまで繰り返し洗浄して、無機粒子1(ジルコニア粒子)を合成した。なお、前記仮焼粉末の単斜晶相率は下記のようにして同定した。
[無機粒子1(ジルコニア粒子)の結晶相率の同定]
合成した無機粒子1としてのジルコニアの結晶相の同定を、X線粉末回折装置(リガク電機株式会社製、RINT1100)を用いて以下の条件で実施した。
[測定条件]
・管球:Cu
・電圧:40kV
・電流:40mA
・開始角度:3°
・終了角度:80°
・スキャンスピード:0.5°/min
なお、ジルコニアの単斜晶相率(%)は、粉末X線回折測定により単斜晶相の111面及び11−1面、正方晶相の111面及び立方晶相の111面の反射ピーク強度Im(111)、Im(11−1)、It(111)、Ic(111)より、下記式(1)により算出した。
[式(1)]
単斜晶相率(%)=[Im(111)+Im(11−1)]/[Im(111)+Im(11−1)+It(111)+Ic(111)]
<第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)1の調製>
無機粒子1(ジルコニア粒子)30.0質量部、有機化合物Aとして重量平均分子量(Mw)が80,000であるポリエチレンオキシド(PEO、明成化学工業株式会社製、アルコックスL−8)5.0質量部、可塑剤としてのフタル酸ベンジルブチル10.0質量部、セラミックス分散剤(マリアリム、日油株式会社製、AKM−0531)1.5質量部、エタノール48.5質量部、及び多価アルコールとしてグリセリン5.0質量部を混合し、直径3mmのジルコニアビーズにて3時間ビーズミル分散して、第一の立体造形用液体材料1を得た。
得られた第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)1中の無機粒子の体積平均粒径について、以下のように測定した。
−無機粒子の体積平均粒径−
前記第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)1中における前記無機粒子の体積平均粒径は、装置名:LA−920(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。LA−920の測定の際にLA−920専用アプリケーション(Ver.3.32)(株式会社堀場製作所製)を用いて解析を行った。具体的にはクロロホルムで光軸調整した後、バックグラウンドを測定した。その後、循環を開始し前記第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)を滴下した。透過率が安定したことを確認した後に超音波を下記条件で照射した。照射した後に透過率の値が70%以上95%以下の範囲となる条件で体積平均粒径を測定した。体積平均粒径の測定再現性の点から、前記LA−920の透過率の値が70%以上95%以下となる条件で測定した。また、超音波照射後に透過率が前記値から外れた場合は再度測定を行った。前記透過率の値を得るために前記第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)の滴下量を調節した。なお、測定及び解析条件は、以下のように設定した。
[測定及び解析条件]
・データ取り込み回数:15回
・相対屈折率:1.20
・循環:5
・超音波強度:7
(第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)の調製例2〜21)
第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)の調製例1において、下記表1及び表2の組成、及び含有量に変更した以外は、第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)の調製例1と同様にして、第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)2〜21を得た。また、前記無機粒子の体積平均粒径を、第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)の調製例1と同様にして測定した。
前記第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)1〜21の組成、及び無機粒子の体積平均粒径を下記表1及び表2に示した。
なお、前記表1及び表2において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・重量平均分子量(Mw)が800,000のポリエチレンオキシド(PEO):明成化学工業株式会社製、商品名:アルコックスL−8
・重量平均分子量(Mw)が70,000のポリエチレンイミンA(PEI):株式会社日本触媒製、商品名:SP−1000
・重量平均分子量(Mw)が800,000のポリアクリル酸A(PAA):株式会社日本触媒製、商品名:AS−58
・重量平均分子量(Mw)が400,000のポリアクリル酸B(PAA):ポリアクリル酸A(PAA)を超音波装置で分解し、重量平均分子量が400,000のポリアクリル酸B(PAA)を得た。
・重量平均分子量(Mw)が300,000のポリアクリル酸C(PAA):ポリアクリル酸A(PAA)を超音波装置で分解し、重量平均分子量が300,000のポリアクリル酸B(PAA)を得た。
・二ケイ酸リチウム粒子:内製品
・チタン粒子:堺化学工業株式会社製、商品名:SA−120
(第二の立体造形用液体材料の調製例1)
<第二の立体造形用液体材料1の調製>
水94.5質量部、有機化合物Bとして重量平均分子量(Mw)が80,000であるポリエチレンオキシド(PEO、明成化学工業株式会社製、アルコックスL−8)5.0質量部、及び界面活性剤としてTween20(Polyoxyethylene(20)sorbitan monolaurate、Ficher−Scientific社製)0.5質量部を、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、第二の立体造形用液体材料1を調製した。
(第二の立体造形用液体材料の調製例2)
<第二の立体造形用液体材料2の調製>
水74.5質量部、有機化合物Bとしてポリエチレンオキシド(アルコックスL−8)5.0質量部、多価アルコールとして1,2−ヘキサンジオール20.0質量部、及び界面活性剤としてTween20(Polyoxyethylene(20)sorbitan monolaurate、Ficher−Scientific社製)0.5質量部を、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、第二の立体造形用液体材料2を調製した。
(第二の立体造形用液体材料の調製例3〜14)
<第二の立体造形用液体材料3〜14の調製>
第二の立体造形用液体材料の調製例2において、下記表3の組成、及び含有量に変更した以外は、第二の立体造形用液体材料の調製例2と同様にして、第二の立体造形用液体材料3〜14を得た。
前記第二の立体造形用液体材料1〜14の組成、及び含有量を下記表3に示した。
なお、前記表3において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・重量平均分子量(Mw)が800,000のポリエチレンオキシド(PEO):明成化学工業株式会社製、商品名:アルコックスL−8
・重量平均分子量(Mw)が10,000のポリアクリル酸D(PAA):株式会社日本触媒製、商品名:HL−415
・重量平均分子量(Mw)が10,000のポリエチレンイミンB(PEI):株式会社日本触媒製、商品名:SP−200
・重量平均分子量(Mw)が1,800のポリエチレンイミンC(PEI):株式会社日本触媒製、商品名:SP−018
・重量平均分子量(Mw)が1,500のポリエチレンイミンD(PEI):株式会社日本触媒製、商品名:SP−015
・重量平均分子量(Mw)が10,000のポリビニルピロリドン(PVP):東京化成工業株式会社製、商品名:K−15
(実施例1)
得られた第一の立体造形用液体材料(スラリー材料)1と、前記第二の立体造形用液体材料1とを用いて立体造形材料セット1とし、サイズ(長さ70mm×巾12mm)の形状印刷パターンにより、立体造形物(積層造形物)1を以下(1)〜(3)のようにして作製した。
(1)まず、図1に示したような立体造形物の製造装置を用いて、供給側粉末貯留槽から造形側粉末貯留槽に層形成部材であるドクターブレード(商品名:マルチアプリケータ、ビックガードナー社製)を用いて、前記スラリー材料1を移送させ、前記支持体上に平均厚みが100μmのスラリー材料1からなる薄層を形成した。
前記ドクターブレードは、スラリー移送後に25℃の水が入った槽に15秒間以上浸した後、ドクターブレードに付着したスラリーを紙ワイプ(商品名:キムタオル、日本製紙クレシア株式会社製)にて拭き取った。
(2)次に、形成したスラリー材料1からなる薄層の表面に、前記第二の立体造形用液体材料1を、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、SG3100KE)を用いてノズルから付与(吐出)し、前記スラリー材料1を硬化させた。
(3)次に、前記(1)及び前記(2)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰返し、硬化した前記スラリー材料1からなる薄層を順次積層して硬化物を得た。得られた硬化物を常温放置にて乾燥し、溶媒を揮発させて、立体造形物1を製造した。得られた立体造形物1に対し、立体造形物を水中に浸漬することにより、硬化していないスラリー材料成分を除去したところ、型崩れを生ずることはなかった。
(実施例2〜25、及び比較例1〜8)
実施例1において、下記表4に示すように第一の立体造形用液体材料と第二の立体造形用液体材料とを組み合わせて立体造形材料セット2〜33を作製した以外は、実施例1と同様にして、立体造形物を作製した。
<層形成部材付着物の除去性>
次に、立体造形物を20個連続にて造形した後のドクターブレードを目視にて観察し、下記評価基準に基づいて、「層形成部材付着物の除去性」を評価した。
[評価基準]
◎:スラリー由来の付着物が見られない
○:スラリー由来の付着物が見られ、アセトンを含んだウエスで1度拭き取ることにより付着物が除去できる
×:スラリー由来の付着物が見られ、アセトンを含んだウエスで2度以上拭き取らないと付着物を除去できない
<層乾燥性>
次に、前記(3)内にある乾燥後に、常温下で3分間放置した後、層表面に4cm四方に切った紙(商品名:リサイクルペーパー100、王子製紙株式会社製)を載せて、その上に200g分銅(株式会社佐藤商事製)が紙面からはみ出さないように置いた状態で30秒間押し付け、紙を除去した。切った紙の重さの変化を測定する。
[評価基準]
○:重量の増加が、0.25g/cm未満
×:重量の増加が、0.25g/cm以上
<グリーン体の曲げ強度>
次に、得られたグリーン体(立体造形物)について、以下のようにして、曲げ強度を以下の基準にて評価した。
セラミックス粒子(ジルコニア粒子、及び二ケイ酸リチウム粒子)を用いたグリーン体は、ISO−6871に基づいて、「グリーン体の曲げ強度」を測定し、金属粒子(チタン粒子)を用いたグリーン体は、JIS−T6123に基づいて、「グリーン体の曲げ強度」を測定した。なお、前記測定は、株式会社島津製作所製のAUTOGRAPH−AGS−Jを用いた。
また、前記グリーン体の曲げ強度の測定結果から、下記評価基準に基づいて、「グリーン体の強度」を評価した。結果を下記表4に示した。
[グリーン体の曲げ強度の評価基準]
◎:グリーン体の曲げ強度が、400MPa以上
○:グリーン体の曲げ強度が、300MPa以上400MPa未満
△:グリーン体の曲げ強度が、300MPa未満

なお、前記表4中の( )の数値は、グリーン体の曲げ強度の測定値を表す。
前記表4の結果から、比較例1〜8では、層形成部材付着物の除去性及び層乾燥性がともに劣っていた。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 溶媒、有機化合物A、及び無機粒子を含む第一の立体造形用液体材料と、
有機化合物Bを含む第二の立体造形用液体材料と、を有し、
前記第一の立体造形用液体材料中の溶媒が、炭素数6以下の多価アルコールを含むことを特徴とする立体造形材料セットである。
<2> 前記第二の立体造形用液体材料が、炭素数6以下の多価アルコールをさらに含む前記<1>に記載の立体造形材料セットである。
<3> 前記有機化合物Bが、前記有機化合物Aに対して反応性を示す前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<4> 前記有機化合物Aが、酸性官能基を有し、
前記有機化合物Bが、塩基性官能基を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<5> 前記有機化合物Aが、カルボキシル基であり、
前記有機化合物Bが、アミノ基である前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<6> 前記有機化合物Aが、400,000以上の重量平均分子量を有するポリアクリル酸である前記<1>から<5>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<7> 前記有機化合物Aの含有量が、前記無機粒子100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<8> 前記有機化合物Bが、1,800以上の重量平均分子量を有するポリエチレンイミンである前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<9> 前記有機化合物Bが、前記第二の立体造形用液体材料100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下である前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<10> 前記無機粒子が、セラミックス粒子、及び金属粒子の少なくともいずれかである前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<11> 前記無機粒子が、生体適合性を有する前記<1>から<10>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<12> 前記無機粒子の前記第一の立体造形用液体材料中における体積平均粒径が、1μm未満である前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<13> 前記無機粒子の含有量が、前記第一の立体造形用液体材料100質量部に対して、20質量部以上70質量部以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<14> 前記溶媒が、有機溶剤である前記<1>から<13>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<15> 前記有機溶剤が、極性溶媒である前記<14>に記載の立体造形材料セットである。
<16> 前記有機溶剤の沸点が、80℃以下である前記<14>から<15>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<17> 前記セラミックス粒子が、ジルコニア粒子、及び二ケイ酸リチウム粒子の少なくともいずれかである前記<10>から<16>のいずれかに記載の立体造形材料セットである。
<18> 前記<1>から<17>のいずれかに記載の立体造形材料セットにおける第一の立体造形用液体材料を用いて第一の立体造形用液体材料層を形成する層形成工程と、
前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に、前記<1>から<17>のいずれかに記載の立体造形材料セットにおける第二の立体造形用液体材料を付与する液体材料付与工程と、
を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<19> 前記層形成工程時に、層を形成する部材を用いて薄層を形成する前記<18>に記載の立体造形物の製造方法である。
<20> 前記層形成工程後に、前記層を形成する部材に付着する第一の立体造形用液体材料を除去する清掃工程を含む前記<19>に記載の立体造形物の製造方法である。
<21> 前記層形成工程後に、前記溶媒を揮発させる層乾燥工程を含む前記<18>から<20>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<22> 造形後に、液体浸漬により未硬化の第一の立体造形用液体材料を除去する除去工程を含む前記<18>から<21>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<23> 歯科用補綴物を製造する前記<18>から<22>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<24> 第一の立体造形用液体材料層を保持するための液体材料層保持手段と、
前記<1>から<17>のいずれかに記載の立体造形材料セットにおける第一の立体造形用液体材料を用いて第一の立体造形用液体材料層を形成する層形成手段と、
前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に、前記<1>から<17>のいずれかに記載の立体造形材料セットにおける第二の立体造形用液体材料を付与する液体材料付与手段と、を有することを特徴とする立体造形物の製造装置である。
<25> 前記<18>から<23>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法により製造されたことを特徴とする歯科用補綴物である。
前記<1>から<17>のいずれかに記載の立体造形材料セット、前記<18>から<23>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法、前記<24>に記載の立体造形物の製造装置、及び前記<25>に記載の歯科用補綴物は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特表2014−522331号公報
4 第二の立体造形用液体材料
6 均し機構(層を形成する部材)

Claims (19)

  1. 溶媒、有機化合物A、及び無機粒子を含む第一の立体造形用液体材料と、
    有機化合物Bを含む第二の立体造形用液体材料と、を有し、
    前記第一の立体造形用液体材料中の溶媒が、炭素数6以下の多価アルコールを含むことを特徴とする立体造形材料セット。
  2. 前記第二の立体造形用液体材料が、炭素数6以下の多価アルコールをさらに含む請求項1に記載の立体造形材料セット。
  3. 前記有機化合物Bが、前記有機化合物Aに対して反応性を示す請求項1から2のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  4. 前記有機化合物Aが、カルボキシル基を有し、
    前記有機化合物Bが、アミノ基を有する請求項1から3のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  5. 前記有機化合物Aが、400,000以上の重量平均分子量を有するポリアクリル酸である請求項1から4のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  6. 前記有機化合物Aの含有量が、前記無機粒子100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下である請求項1から5のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  7. 前記有機化合物Bが、1,800以上の重量平均分子量を有するポリエチレンイミンである請求項1から6のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  8. 前記有機化合物Bの含有量が、前記第二の立体造形用液体材料100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下である請求項1から7のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  9. 前記無機粒子が、セラミックス粒子、及び金属粒子の少なくともいずれかである請求項1から8のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  10. 前記無機粒子が、生体適合性を有する請求項1から9のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  11. 前記無機粒子の前記第一の立体造形用液体材料中における体積平均粒径が、1μm未満である請求項1から10のいずれかに記載の立体造形材料セット。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の立体造形材料セットにおける第一の立体造形用液体材料を用いて第一の立体造形用液体材料層を形成する層形成工程と、
    前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に、請求項1から11のいずれかに記載の立体造形材料セットにおける第二の立体造形用液体材料を付与する液体材料付与工程と、
    を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法。
  13. 前記層形成工程時に、層を形成する部材を用いて薄層を形成する請求項12に記載の立体造形物の製造方法。
  14. 前記層形成工程後に、前記層を形成する部材に付着する前記第一の立体造形用液体材料を除去する清掃工程を含む請求項13に記載の立体造形物の製造方法。
  15. 前記層形成工程後に、前記溶媒を揮発させる層乾燥工程を含む請求項12から14のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  16. 造形後に、液体浸漬により未硬化の第一の立体造形用液体材料を除去する除去工程を含む請求項12から15のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  17. 歯科用補綴物を製造する請求項12から16のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  18. 第一の立体造形用液体材料層を保持するための液体材料層保持手段と、
    請求項1から11のいずれかに記載の立体造形材料セットにおける第一の立体造形用液体材料を用いて第一の立体造形用液体材料層を形成する層形成手段と、
    前記第一の立体造形用液体材料層の所定領域に、請求項1から11のいずれかに記載の立体造形材料セットにおける第二の立体造形用液体材料を付与する液体材料付与手段と、を有することを特徴とする立体造形物の製造装置。
  19. 請求項12から17のいずれかに記載の立体造形物の製造方法により製造されたことを特徴とする歯科用補綴物。
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