JP2018038551A - 歯科用補綴物及びその製造方法、並びに歯科用補綴物材料セット及び歯科用補綴物製造装置 - Google Patents

歯科用補綴物及びその製造方法、並びに歯科用補綴物材料セット及び歯科用補綴物製造装置 Download PDF

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政樹 渡邉
Masaki Watanabe
政樹 渡邉
新美 達也
Tatsuya Niimi
達也 新美
山口 剛男
Takeo Yamaguchi
剛男 山口
斉藤 拓也
Takuya Saito
拓也 斉藤
櫻井 陽一
Yoichi Sakurai
陽一 櫻井
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Abstract

【課題】多彩な色補正が可能であり、かつ隣接する天然歯に近い色味及び審美性を再現できる歯科用補綴物の提供。【解決手段】セラミックス、及び2種以上の無機顔料を含有し、前記2種以上の無機顔料として、CIE1976のL*a*b*表色系で規定する彩度a*と色相b*とからなるa*b*色度座標における第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、前記a*b*色度座標における第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、を含む歯科用補綴物である。【選択図】なし

Description

本発明は、歯科用補綴物及びその製造方法、並びに歯科用補綴物材料セット及び歯科用補綴物製造装置に関する。
従来より、歯科用補綴物(人工歯)は、コバルトクロム合金等の金属材料、ジルコニア等のセラミックス材料、フィラーを複合したハイブリッドレジン等の有機材料などから作製されてきた。
このような歯科用補綴物は、機能不全の咬合機能を代行するものであるが、前記歯科用補綴物の材料の多くは、磨耗や腐食等の経時変化を起こすのみならず、天然歯に比べて白味が強く、審美性の観点でも問題点がある。この問題点を解消することが期待されている材料として、例えば、ジルコニアが知られている。前記ジルコニアは透明性を有しており、色のグラデーションを付加すれば天然歯と並べても違和感の無い人工歯の作製が可能である。
近年では、グラデーション付きのCAD/CAM用ジルコニアディスクが提案されており、隣接歯とより近しい色味の再現ができてきている(例えば、特許文献1参照)。
一方、近年では、粉末積層造形等の三次元(3D)プリンタが提案されており、これらの方式によれば内部構造を有した繊細な立体造形が可能であると期待され、レーザーや電子線を用いた方法が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
本発明は、多彩な色補正が可能であり、かつ隣接する天然歯に近い色味及び審美性を再現できる歯科用補綴物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の歯科用補綴物は、セラミックス、及び2種以上の無機顔料を含有し、
前記2種以上の無機顔料として、CIE1976のL*a*b*表色系で規定する彩度a*と色相b*とからなるa*b*色度座標における第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、前記a*b*色度座標における第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、を含む。
本発明によると、多彩な色補正が可能であり、かつ隣接する天然歯に近い色味及び審美性を再現できる歯科用補綴物を提供することができる。
図1は、本発明の歯科用補綴物の一例を示す模式図である。 図2は、歯(天然歯)の構造を示す模式図である。 図3は、歯科用補綴物の縦方向断面におけるL*値、a*値、及びb*値の測定位置を示す模式図である。 図4は、本発明の歯科用補綴物製造装置の一例を示す概略図である。 図5は、本発明の歯科用補綴物製造装置の他の一例を示す概略図である。
(歯科用補綴物)
本発明の歯科用補綴物は、セラミックス、及び2種以上の無機顔料を含有し、
前記2種以上の無機顔料として、CIE1976のL*a*b*表色系で規定する彩度a*と色相b*とからなるa*b*色度座標における第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、前記a*b*色度座標における第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、を含み、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明の歯科用補綴物は、従来のグラデーション付きのCAD/CAM用ジルコニアディスクでは、歯科用補綴物の歯茎部から切端方向に沿ってL*a*b*の値が単調増加、又は単調減少していくだけであり、多彩な色や深みのある色を再現することができず、例えば、う触により変色した歯、加齢や遺伝によって黄変した歯、永久歯が形成されるときに服用したテトラサイクリンと反応してグレー色、黄色、オレンジ色、紫色、茶色等に変色した歯や縞模様に着色した歯などに対しては十分に適応できないという知見に基づくものである。
また、前記粉末積層造形等の三次元(3D)プリンタでは、歯科用補綴物において多彩な色補正や色味のカスタムメイドを実現することは困難であるという知見に基づくものである。
前記歯科用補綴物としては、う蝕、外傷、歯周病などにより失った天然歯の代わりに、その機能を回復するために作られた人工の歯であり、天然歯の一部であってもよく、全部であっても構わない。
前記歯科用補綴物としては、例えば、クラウン、ブリッジ、インレー、差し歯、部分入れ歯、総入れ歯などが挙げられる。
したがって、本発明の歯科用補綴物は、前記2種以上の無機顔料として、CIE1976のL*a*b*表色系で規定する彩度a*と色相b*とからなるa*b*色度座標における第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、前記a*b*色度座標における第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、を含むことによって、多彩な色補正が可能となり、かつ隣接する天然歯に近い審美性及び色味を再現できる。
<セラミックス>
前記セラミックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジルコニア、アルミナ、シリカ、二ケイ酸リチウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジルコニアが好ましい。
なお、前記セラミックスとしてジルコニアを用いる場合は、安定化剤としてのイットリアやセリア等を含有してもよい。
前記セラミックスとしてジルコニアを用いる場合には85質量%以上が、ジルコニアで構成されていることが好ましい。
前記ジルコニア中の前記安定化剤(イットリア、セリア等)の含有量としては、2質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上13質量%以下がより好ましい。前記含有量が、2質量%以上15質量%以下であると、安定化剤としての機能が十分に発揮され、焼成時にクラックが生じることが少なくなる。
前記ジルコニア中の前記安定化剤の含有量は、例えば、ICP発光分光分析法により測定することができる。
前記セラミックスの体積平均粒径としては、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。前記体積平均粒径が5μm以下であると、グリンシート又はグリン体の密度が低くなることを防止し、良好に焼結することができ、力学的強度を向上できる。
前記セラミックスの体積平均粒子径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
なお、前記グリンシート又はグリン体とは、スラリーとバインダーの混錬物であるコンパウンドを射出成型したシート又は成形体を意味する。
前記セラミックスとしてのジルコニアは、極めて高い融点を持つことから、体積平均粒径を小さくしないと焼結できない。理想とする体積平均粒径は数十nmオーダーであり、1μm以上になると粒子間隙が多く残存するため、焼結することが困難となる。通常の積層造形を行う上では、セラミックスとしてジルコニアを含む第一の歯科用補綴物液体材料を供給側貯留槽から造形側貯留槽へ搬送する必要があるが、前記材料を構成する粒子のサイズが小さいと、粒子間力が強く働き、流動性が著しく悪化してしまう傾向にある。したがって、焼結性を保持しつつ流動性を向上させるためには、体積平均粒径を数百nmオーダー以下で維持しながらスラリー化し、ハンドリングできるようにすることが好ましい。
前記ジルコニアの立方晶相率Aと正方晶相率Bの比(A/B)としては、0.3以上0.9以下が好ましい。前記比(A/B)が、0.3以上0.9以下であると、透明性が良好であり、無機顔料を内添した際の色味付与の効果が十分に得られ、審美性が良好となる。
前記ジルコニアの結晶構造は、例えば、X線粉末回折装置を用いて、所定の条件で測定することができる。
前記セラミックスの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱分解法、共沈法、加水分解法などが挙げられる。これらの中でも、ジルコニアにおいては熱分解法、共沈法が好ましい。
前記熱分解法としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウム水溶液を所定量混合し、塩化ナトリウム(又は塩化カリウム)をオキシ塩化ジルコニウム全量に対して、0.1質量%以上1質量%以下添加し、混合する方法などが挙げられる。この混合液を噴霧乾燥法等の瞬間乾燥を行い、乾燥粉末が得られる。
前記瞬間乾燥とは、10秒間以内に乾燥できる手法であり、乾燥温度は200℃以上の加熱空気中で行うことが好ましい。次に、前記乾燥粉末を空気中で800℃以上1,200℃以下の温度で熱分解させることで、酸化物仮焼粉末が得られる。前記酸化物仮焼粉末を湿式粉砕法で粉砕径を2μm以下になるように粉砕し、水洗する。
前記水洗の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、メンブレンフィルターを使用した連続式洗浄ろ過法が好ましい。前記水洗により、無機粒子中のナトリウム(又はカリウム)濃度が酸化物に換算した量として10ppm以上100ppm以下の範囲になるように十分に水洗する。前記水洗後のスラリーを乾燥させることにより、ジルコニア粉末が得られる。
前記共沈法としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウム水溶液を混合する方法などが挙げられる。ここで特にオキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムからのそれぞれの水和物が析出するpHを一定にするように金属錯体を形成させるため、硫酸ナトリウム(又は硫酸カリウム)をジルコニアに対しモル比が好ましくは0.3以上0.7以下となるように添加し、50℃以上100℃以下の温度で数時間以上反応させる。この混合液に水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリ水溶液を攪拌しながら加え、水溶液のpHを8以上10以下とする。得られた共沈水和物微粒子を十分水洗し、酸化物に換算したときのナトリウム(又はカリウム)が10ppm以上100ppm以下の範囲となっていることを確認する。水洗後の水和物微粒子を脱水及び乾燥させ、空気中で800℃以上1,200℃以下の温度で焼成することで酸化物仮焼粉末を得る。得られた酸化物仮焼粉末を2μm以下まで湿式粉砕し、乾燥することによりジルコニア粉末が得られる。
<無機顔料>
前記無機顔料としては、CIE1976のL*a*b*表色系で規定する彩度a*と色相b*とからなるa*b*色度座標における第一象限、第二象限、第三象限、及び第四象限のいずれかに位置する色に発色し、歯科用補綴物(グリン体)を焼成する温度に耐えられ、かつ生体適合性を有している材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、希土類金属、遷移金属、その他の金属、又はこれらの合金、金属間化合物、あるいは酸化物、複合酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩、又は硫化物などが挙げられる。
前記セラミックスを着色する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セラミックスに希土類金属又は遷移金属の酸化物以外の無機顔料を添加して焼結する方法、セラミックスに希土類金属又は遷移金属等の酸化物を混合添加して焼結する方法などが挙げられる。
これらの中でも、f軌道に空席をもつ希土類イオン、又はd軌道に空席があってエネルギー準位が配位子場の影響により分裂する遷移金属イオンの添加は、前記希土類金属又は遷移金属の酸化物以外の無機顔料を添加する方法に比べて微量でセラミックスを発色させることができるので好ましい。
前記希土類金属又は遷移金属の酸化物としては、例えば、Ce、Pr、Eu、Er、Fe、Co、Ni、Ti、V、Cr、Cu、Mn、Zn、Zr、及びCdから選択される少なくとも1種の酸化物が好ましく、生体適合性の点から、Pr、Fe、Ti、Zr、及びErから選択される酸化物がより好ましい。
なお、前記酸化物に、Cl、SO 、SO 、Br、F、NO 、NO などの陰イオンを含有する金属塩を添加してもよい。
前記無機顔料としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、P−40(Zr−Si−Pr、日陶顔料株式会社製)、M−67(Zr−Si−Pr−Fe、日陶顔料株式会社製)、GP−40(Zr−Si−Pr、日陶顔料株式会社製)、M−600(Zr−Si−V、日陶顔料株式会社製)、M−416(Cr−Co−Al−Zn、日陶顔料株式会社製)などが挙げられる。
前記無機顔料は、焼結後の歯科用補綴物の表面及び内部の少なくともいずれかに含有されていることが好ましい。歯科用補綴物の表面だけでなく、内部に無機顔料を含有させることにより、今までにない色の深みを出すことができる。
ここで、前記内部に無機顔料を含有していることは、例えば、ウルトラミクロトームで切断した歯科用補綴物の断面をSEMやTEM等の電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
前記無機顔料の含有量は、歯科用補綴物の全量に対して、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。前記含有量が、10質量%以下であると、インクジェットノズルからの液体材料の良好な吐出性が得られる。
前記無機顔料の体積平均粒径は、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。前記体積平均粒径が、5μm以下であると、インクジェットノズルでの液体材料の吐出性が良好である。
本発明においては、多彩な色補正を実現し、かつ隣接する天然歯に近い色味及び審美性を再現するため、2種以上の無機顔料を含有する。
前記2種以上の無機顔料としては、CIE1976のL*a*b*表色系で規定する彩度a*と色相b*とからなるa*b*色度座標における第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、を含む。
なお、前記「各象限に位置する色に発色した無機顔料」とは、歯科用補綴物(グリン体)を焼成することにより生じた色を有する無機顔料を意味する。
焼結後の歯科用補綴物における明度L*、彩度a*、及び色相b*は、例えば、ウルトラミクロトームのような汎用器具を用いて歯科用補綴物を切断し、その断面を測色計で測色したり、光学顕微鏡で撮影した画像を測色計で測色して測定することができる。
前記第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料を含むことにより、天然歯特有の黄色味を再現することができ、隣接歯との審美性が良好となる。
前記第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色を発色した無機顔料は、青味掛かった色であるため、前記第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と併せて用いることで、色の深みなどの単色では表せない色味を付与することができる。
前記第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料としては、例えば、Zr−Si−Pr、Zr−Si−Pr−Cd、Zr−Si−Pr−V、Zr−V、Sn−V、Fe−Cr−Zn−Al、Pr、Er、Fe、TiOなどが挙げられる。
前記第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料の含有量は、前記歯科用補綴物全量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
前記第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色を発色した無機顔料としては、例えば、Zr−Si−Fe、Zr−Si−V、Zr−Si−Cd−Se、Co−Si、Sn−Cr、Cr−Co−Al−Znなどが挙げられる。
前記第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料の含有量は、前記歯科用補綴物全量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
前記第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料Aと、前記第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色を発色した無機顔料Bとの含有量の質量比率(A:B)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、99.9:0.01〜90:10が好ましい。
前記第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料の含有量、並びに前記第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料の含有量は、例えば、蛍光X線法などにより測定することができる。
前記歯科用補綴物は、前記a*b*色度座標での色再現に加え、更に、明度L*による色補正を加えることにより、更に隣接歯に対する審美的違和感を拭うことが可能となる。特に、前記ジルコニア単体では明度L*が極めて高いため、明度L*が低い前記無機顔料と組み合わせることで、より隣接歯の明度L*に近づけることが可能となる。
図3の歯科用補綴物の縦方向断面の模式図に示すように、天然歯の歯髄に相当する中央部A1、前記A1と歯茎部端との中点A2、前記A1と切端との中点A3、前記A1と天然歯のエナメル質に相当する左側壁端との中点B1、前記A1と天然歯のエナメル質に相当する右側壁端との中点B2におけるCIE1976のL*a*b*表色系で規定する明度L*が、A2からA3方向、A1からB1方向、及びA1からB2方向の少なくともいずれかの順序で上昇することが好ましい。これは、隣接する天然歯の歯茎部の明度L*が低く、切端部の明度L*が高いことに由来する。また、透明性を有するジルコニアと様々な色を発色する無機顔料を組み合わせることで、歯茎部では濃黄色、切端では薄黄色を有した透明性あるグラデーションが構築できる。特に、a*b*色度座標における第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色を発色した無機顔料を含有することで、例えば、歯茎部では黄色味が濃く、切端では青色味が強調されるようなグラデーションを構築することも可能となる。これは、実際に隣接する天然歯との色味を合わせることが可能となるため、審美的違和感という観点で好ましい。
CIE1976のL*a*b*表色系で規定する色相b*は、15以上であることが好ましい。
このように様々な色に発色した無機顔料を2種以上組み合わせて含有することで、隣接する天然歯に近づけた色再現が可能になったり、今までに無い特色のカラー歯を再現することが可能となる。
天然歯においては歯茎部では濃い色、切端部では薄い色或いは透明であることから、図3の歯科用補綴物の縦方向断面の模式図に示すように、天然歯の歯髄に相当する中央部A1、前記A1と歯茎部端との中点A2、前記A1と切端との中点A3、前記A1と天然歯のエナメル質に相当する左側壁端との中点B1、前記A1と天然歯のエナメル質に相当する右側壁端との中点B2における前記第一象限及び前記第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料の含有量が、A2からA3方向、A1からB1方向、及びA1からB2方向の少なくともいずれかの順序で減少することが好ましい。これにより、歯茎部から切端部方向に沿ったグラデーションが再現でき、隣接歯との審美性に優れている。
更に、そこに、前記第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色を発色する無機顔料を添加することで、例えば、歯茎部では黄色味が濃く、切端部では青色味が強調されるようなグラデーションを構築することも可能となる。
ここで、図1は、本発明の歯科用補綴物の一例を示す模式図である。図1中100は歯科用補綴物であり、歯茎部端102から切端101方向Xに向かって明度L*が徐々に上昇することが好ましい。また、前記前記第一象限及び前記第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料の含有量が歯茎部端102から切端101方向Xに向かって徐々に減少することが好ましい。なお、図1中106は歯茎、105は天然歯である。
図2は、天然歯110の構造を示す模式図である。天然歯110は、中央部に歯髄113を有し、その外側に象牙質112を有し、象牙質112の外側の周縁部にエナメル質111を有している。象牙質112は黄色を帯びており、エナメル質111は透明である。
歯髄113に相当する中央部からエナメル質111に相当する周縁部方向に向かって明度L*が徐々に上昇することが好ましい。また、前記前記第一象限及び前記第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料の含有量が歯髄113に相当する中央部からエナメル質111に相当する周縁部方向に向かって徐々に減少することが好ましい。
なお、図2中114は歯茎、115は歯根膜、116はセメント質、117は歯槽骨である。
前記歯科用補綴物(グリン体)は、粉末X線回折測定による単斜晶相の111面、単斜晶相の11−1面、正方晶相の111面、及び立方晶相の111面の反射ピーク強度を、それぞれIm(111)、Im(11−1)、It(111)、及びIc(111)とすると、
下記式(1)で示される立方晶相率Aと、下記式(2)で示される正方晶相率Bとの比(A/B)は、0.3以上0.9以下であることが好ましい。
立方晶相率A(%)=[Ic(111)]/[Im(111)+Im(11−1)+It(111)+Ic(111)] ・・・ 式(1)
正方晶相率B(%)=[It(111)]/[Im(111)+Im(11−1)+It(111)+Ic(111)] ・・・ 式(2)
ただし、前記式(1)及び前記式(2)中、Iは、ジルコニア結晶相の各面の反射ピーク強度を表し、添字m、t、及びcは、それぞれ単斜晶、正方晶、及び立方晶を示す。
前記歯科用補綴物(焼結体)の曲げ強度は、600MPa以上であることが好ましい。前記曲げ強度が、600MPa以上であると、口腔内において破折することがない。
前記曲げ強度は、例えば、ISO−6871に準拠して測定することができる。
前記歯科用補綴物(焼結体)の密度は、98%以上が好ましい。前記密度が、98%以上であると、力学的強度が低下し、口腔内で破折するのみならず、表面のボイド或いはクラック部に何らかの成分が入り込んで色味が変わってしまうことや、クラック部の応力によりジルコニア結晶相が単斜晶へ相転移し破折するなどの恐れがある。
前記密度は、例えば、JIS R1634に準拠して測定することができる。
(歯科用補綴物材料セット)
本発明の歯科用補綴物材料セットは、第一の歯科用補綴物液体材料と、第二の歯科用補綴物液体材料と、を有する。
<第一の歯科用補綴物液体材料>
前記第一の歯科用補綴物液体材料は、溶媒、有機化合物A、及びセラミックスを含み、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
<<セラミックス>>
前記セラミックスとしては、上述したものを用いることができる。
前記セラミックスの含有量としては、前記第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー)100質量部に対して、20質量部以上70質量部以下が好ましい。前記含有量が20質量部以上であると、揮発する溶媒量が相対的に少なくでき、グリンシート又はグリン体の密度を高くすることができ、70質量部以下であると、スラリーとしての流動性を向上でき、ドクターブレード等によるスラリー搬送を良好に行うことができる。
<<有機化合物A>>
前記有機化合物Aとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性樹脂などが挙げられる。また、前記有機化合物Aとしては、塩基性官能基と反応性を有する酸性官能基を有することが好ましく、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基などが挙げられる。このような酸性官能基を有する有機化合物Aとしては、例えば、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩基性官能基との反応性が高い点から、ポリアクリル酸が好ましい。
<<溶媒>>
前記溶媒としては、前記有機化合物Aを溶解することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、トルエン(沸点:110.6℃)等の極性溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、グリンシート又はグリン体造形の生産性を向上の点から、沸点が低い有機溶剤が好ましく、沸点が80℃以下である有機溶剤がより好ましい。
前記沸点が80℃以下である有機溶剤としては、例えば、エタノール(沸点:78.37℃)、メタノール(沸点:64.7℃)、酢酸エチル(沸点:77.1℃)、アセトン(沸点:56℃)、塩化メチレン(沸点:39.6℃)などが挙げられる。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、焼成時に消失する、或いは、焼成後に残存していても生体適合性を有しているものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分散剤、可塑剤、焼結助剤などが挙げられる。
前記第一の歯科用補綴物液体材料が、前記分散剤を含むと、前記セラミックス粒子の分散性を改善し、静止時の沈降を抑制することができる点で好ましく、グリンシート又はグリン体を造形する際にセラミックス粒子が連続して存在しやすくなる。また、前記可塑剤を含むと、前記第一の歯科用補綴物液体材料からなるグリンシート又はグリン体前駆体が乾燥した際に亀裂が入りにくくなる点で好ましい。前記焼結助剤を含むと、得られた積層造形物につき焼結処理を行う場合において、より低温での焼結が可能となる点で好ましい。
<第二の歯科用補綴物液体材料>
前記第二の歯科用補綴物液体材料は、前記有機化合物Aに対して反応性を示す有機化合物B、及び無機顔料を含有し、水性媒体を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有し、かつ前記無機顔料の種類が異なる2種以上の液体材料からなる。
<<無機顔料>>
前記無機顔料としては、前記歯科用補綴物における前記無機顔料と同様のものを用いることができる。
前記無機顔料は、前記第二の歯科用補綴物液体材料中に1種類のみ添加し、前記無機顔料の種類が異なる2種以上の第二の歯科用補綴物液体材料を独立で用意する。これにより、それぞれの色味を所望箇所で強調することが可能となる。
前記種類が異なる無機顔料として、CIE1976のL*a*b*表色系で規定する彩度a*と色相b*とからなるa*b*色度座標における第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色する無機顔料と、前記a*b*色度座標における第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色に発色する無機顔料と、を含むことが好ましい。
具体的には、第二の歯科用補綴物液体材料Aに第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色を発色する無機顔料を添加し、第二の歯科用補綴物液体材料Bに第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色を発色する無機顔料を添加し、最終的に造形したい人工モデル歯を複数の平面層にスライスした色情報を含む二次元画像データ(スライスデータ)に基づき、前記第二の歯科用補綴物液体材料Aと前記第二の歯科用補綴物液体材料Bとを適切な位置で適切量吐出することで、所望の色味を付与しつつ、前記第一の歯科用補綴物液体材料層の所定領域を硬化させることが可能となる。
したがって、前記無機顔料の種類は多い方が、色再現性がより良くなるので好ましい。例えば、ジルコニアに着色する場合、明度L*を低下させる無機顔料A、濃黄色系無機顔料B、淡黄色系無機顔料C、青色系無機顔料D、及び赤色系無機顔料Eのそれぞれを第二の歯科用補綴物液体材料に1種類ずつ添加し、合計5種類の第二の歯科用補綴物液体材料を用いると、ほぼどんな色も再現可能となる。
前記第二の歯科用補綴物液体材料に加える前記無機顔料の含有量は、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。前記含有量が、10質量%以下であると、インクジェットノズルからのインクの吐出性が良好である。
前記第二の歯科用補綴物液体材料中での前記無機顔料の体積平均粒径は、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。前記体積平均粒径が5μm以下であると、インクジェットノズルでの吐出性が良好となる。
<<有機化合物B>>
前記有機化合物Bとしては、前記有機化合物Aに対して反応性を示す有機化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性樹脂などが挙げられる。前記有機化合物Bとしては、酸性官能基と反応性を有する塩基性官能基を有することが好ましい。前記塩基性官能基としては、例えば、アミノ基などが挙げられる。
前記アミノ基を有する有機化合物Bとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸性官能基との反応性の点から、カチオン密度が高いポリアリルアミンが好ましい。
<<水性媒体>>
前記水性媒体としては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。なお、前記水性媒体は、前記水が前記アルコール等の水以外の成分を若干量含有するものであってもよい。
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、保存剤、防腐剤、安定化剤、pH調整剤などが挙げられる。
本発明の歯科用補綴物材料セットは、歯科用補綴物の簡便かつ効率的な製造に好適に用いることができ、後述する本発明の歯科用補綴物の製造方法及び歯科用補綴物製造装置に特に好適に用いることができる。
(歯科用補綴物の製造方法及び歯科用補綴物製造装置)
本発明の歯科用補綴物の製造方法は、層形成工程、及び液体材料付与工程を含み、層乾燥工程、及び焼結工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の歯科用補綴物製造装置は、液体材料層保持手段、層形成手段、及び液体材料付与手段を有し、層乾燥手段、及び焼結手段を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明の歯科用補綴物の製造方法は、本発明の歯科用補綴物製造装置を用いて好適に実施することができ、前記層形成工程は、前記層形成手段により好適に実施することができ、前記層乾燥工程は、前記層乾燥手段により好適に実施することができ、前記液体材料付与工程は、前記液体材料付与手段により好適に実施することができ、前記焼結工程は、前記焼結手段により好適に実施することができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に実施することができる。
<層形成工程及び層形成手段>
前記層形成工程は、本発明の歯科用補綴物材料セットにおける第一の歯科用補綴物液体材料を用いて、第一の歯科用補綴物液体材料層を形成する工程である。
前記層形成手段は、本発明の歯科用補綴物材料セットにおける第一の歯科用補綴物液体材料を用いて、第一の歯科用補綴物液体材料層を形成する手段である。
−支持体−
支持体(液体材料層保持手段)としては、前記第一の歯科用補綴物液体材料を載置することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記第一の歯科用補綴物液体材料の載置面を有する台、特開2000−328106号公報の図1に記載の装置におけるベースプレート、などが挙げられる。前記支持体の表面、即ち、前記第一の歯科用補綴物液体材料を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
−第一の歯科用補綴物液体材料層の形成−
前記第一の歯科用補綴物液体材料を前記支持体上に配置させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)を薄層に配置させる方法としては、特許第3607300号公報に記載の選択的レーザー焼結方法に用いられる、公知のカウンター回転機構(カウンターローラ)などを用いる方法、前記スラリー材料をブラシ、ローラ、ブレード等の部材を用いて薄層に拡げる方法、前記スラリー材料層の表面を押圧部材を用いて押圧して薄層に拡げる方法、公知の粉末積層造形装置を用いる方法などが好適に挙げられる。
前記カウンター回転機構(カウンターローラ)、前記ブラシ乃至ブレード、前記押圧部材などを用いて、前記支持体上に前記スラリー材料を載置させるには、例えば、以下のようにして行うことができる。即ち、例えば、外枠(「型」、「中空シリンダー」、「筒状構造体」などと称されることもある)内に、前記外枠の内壁に摺動しながら昇降可能に配置された前記支持体上に前記スラリー材料を、前記カウンター回転機構(カウンターローラ)、前記ブラシ、ローラ又はブレード、前記押圧部材などを用いて載置させる。このとき、前記支持体として、前記外枠内を昇降可能なものを用いる場合には、前記支持体を前記外枠の上端開口部よりも少しだけ下方の位置に配し、即ち、前記第一の歯科用補綴物液体材料層(スラリー材料層)の厚み分だけ下方に位置させておき、前記支持体上に前記スラリー材料を載置させる。以上により、前記スラリー材料を前記支持体上に薄層に載置させることができる。
なお、このようにして薄層に載置させた前記スラリー材料に対し、第二の歯科用補綴物液体材料を作用させると所望の色味を付与しつつ硬化させることができる。ここで得られた薄層の硬化物上に、上記と同様にして、前記スラリー材料を薄層に載置させ、この薄層に載置された前記スラリー材料(層)に対し、第二の歯科用補綴物液体材料を作用させると硬化が生ずる。このときの硬化は、前記薄層に載置された前記スラリー材料(層)においてのみならず、その下に存在する、先に硬化して得られた前記薄層の硬化物との間でも生ずる。その結果、前記薄層に載置された前記スラリー材料(層)の約2層分の厚みを有する硬化物(立体造形物)が得られる。
また、前記スラリー材料を前記支持体上に薄層に載置させるには、前記公知の粉末積層造形装置を用いて自動的にかつ簡便に行うこともできる。前記粉末積層造形装置は、一般に、前記スラリー材料を積層するためのリコーターと、前記スラリー材料を前記支持体上に供給するための可動式供給槽と、前記粉末材料を薄層に載置し、積層するための可動式成形槽とを備える。前記粉末積層造形装置においては、前記供給槽を上昇させるか、前記成形槽を下降させるか、又はその両方によって、常に前記供給槽の表面は前記成形槽の表面よりもわずかに上昇させることができ、前記供給槽側から前記リコーターを用いて前記粉末材料を薄層に配置させることができ、前記リコーターを繰り返し移動させることにより、薄層の前記スラリー材料を積層させることができる。この粉末積層造形装置をそのままスラリー積層用に置き換えてもよいし、リコーター部分をシート成形用のドクターブレードに変えてもよい。
前記スラリー材料層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一層当たりの平均厚みで、3μm以上200μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。前記平均厚みが、3μm以上であると、立体造形物が得られるまでの時間が適正であり、焼結等の処理乃至取扱い時に型崩れ等の問題が生じることがない。一方、前記平均厚みが、200μm以下であると、立体造形物の寸法精度が充分に得られる。なお、前記平均厚みは、公知の方法に従って測定することができる。
<層乾燥工程及び層乾燥手段>
前記層乾燥工程は、前記層形成工程後、前記液体材料付与工程前において、得られたスラリー層を乾燥させる工程であり、層乾燥手段により行われる。もちろん自然乾燥を行ってもよい。前記層乾燥工程において、前記スラリー層中に含まれる水分(溶媒)を揮発させることができる。なお、前記層乾燥工程としては、スラリー層から溶媒をすべて除去せず、半乾燥状態とすることが好ましい。前記層乾燥手段としては、例えば、公知の乾燥機などが挙げられる。
前記層乾燥工程における乾燥時間は適宜変更することができる。前記乾燥時間を長くすれば、前記層乾燥工程後の液体材料付与工程で付与される液体材料の横方向への染み出しが抑制され、造形精度が向上するが、層間の接着力が弱くなる傾向にある。一方、前記乾燥時間を短くすれば、層間での粒子移動が起こり、層間の接着力が強くなるが、前記層乾燥工程後の液体材料付与工程で付与される液体材料の横方向への染み出しが発生し、造形精度が悪化する傾向にある。これは用いる材料種によって適宜選択すればよい。
<液体材料付与工程及び液体材料付与手段>
前記液体材料付与工程は、前記第一の歯科用補綴物液体材料層の所定領域に、本発明の歯科用補綴物材料セットにおける第二の歯科用補綴物液体材料を付与する工程である。
前記液体材料付与手段は、前記第一の歯科用補綴物液体材料層の所定領域に、本発明の歯科用補綴物材料セットにおける第二の歯科用補綴物液体材料を付与する手段である。
前記第二の歯科用補綴物液体材料は、前記有機化合物Aに対して反応性を示す有機化合物B、及び無機顔料を含有し、水性媒体を含むことが好ましく、かつ前記無機顔料の種類が異なる2種以上の液体材料からなる。
例えば、第二の歯科用補綴物液体材料Aとして第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色を発色する無機顔料を添加したものを用意し、第二の歯科用補綴物液体材料Bとして第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色を発色する無機顔料を添加したものを用意し、最終的に造形したい歯科用補綴物(人工モデル歯)を複数の平面層にスライスした色情報を含む二次元画像データ(スライスデータ)に基づき、前記第二の歯科用補綴物液体材料Aと前記第二の歯科用補綴物液体材料Bとを適切な位置で適切量吐出することで、所望の色味を付与しつつ、前記第一の歯科用補綴物液体材料層の所定領域を硬化させることができる。
前記第二の歯科用補綴物液体材料の前記スラリー材料層への付与の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などで用いられている液体吐出手段などが挙げられる。本発明においては、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点で、前記インクジェット方式で用いられる液体吐出手段(圧電アクチュエーター等の振動素子を用い、複数ノズルから液滴を吐出するもの)が好ましい。
<除去工程及び除去手段>
前記除去工程は、前記層形成工程と前記液体材料付与工程とを順次繰り返して形成した立体造形物を液体に浸漬して未硬化のスラリー材料を除去する工程である。
前記除去手段は、前記層形成手段と前記液体材料付与手段とを順次繰り返して形成した立体造形物を液体に浸漬して未硬化のスラリー材料を除去する手段である。
前記液体としては、例えば、水などが挙げられる。
<焼結工程及び焼結手段>
前記焼結工程は、前記層形成工程と前記液体材料付与工程とを順次繰り返して形成した歯科用補綴物を焼結する工程であり、焼結手段により行われる。前記焼結工程を行うことにより、前記硬化物を一体化された成形体(焼結体)とすることができる。
前記焼結手段としては、例えば、公知の焼結炉などが挙げられる。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、例えば、築盛工程、研磨工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、築盛手段、研磨手段などが挙げられる。
−築盛工程及び築盛手段−
前記築盛工程は、前記液体材料付与工程、又は前記焼結工程において形成した歯科用補綴物上にポーセレンを盛る工程である。前記築盛工程を行うことにより、前記歯科用補綴物の微妙な色補正等ができる。
前記築盛手段としては、公知の築盛材料及び器具などが挙げられる。
−研磨工程及び研磨手段−
前記研磨工程は、前記歯科用補綴物表面を研磨する工程である。この研磨工程を行うことにより、前記歯科用補綴物に所望の輝きを付与させることができるのみならず、対合歯(天然歯)の削りを抑制することも可能となる。
前記研磨手段としては、公知の研磨装置、例えば、ヤスリなどが挙げられる。
ここで、図4に本発明の歯科用補綴物製造装置の一例を示す。この図4の歯科用補綴物製造装置は、造形側貯留槽1と供給側貯留槽2とを有し、これらの材料貯留槽は、それぞれ上下に移動可能なステージ3を有し、該ステージ上にスラリー材料からなる層を形成する。
造形側貯留槽1の上には、該造形側貯留槽内の第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)に向けて無機顔料の種類が異なる2種以上の第二の歯科用補綴物液体材料4を吐出するインクジェットヘッド5を有し、更に、供給側貯留槽2から造形側貯留槽1にスラリー材料を供給すると共に、造形側貯留槽1のスラリー材料層表面を均す、均し機構6(以下、リコーターということがある)を有する。
造形側貯留槽1のスラリー材料上にインクジェットヘッド5から第二の歯科用補綴物液体材料4を滴下する。このとき、第二の歯科用補綴物液体材料4を滴下する位置は、最終的に造形したい歯科用補綴物(人工モデル歯)を複数の平面層にスライスした色情報を含む二次元画像データ(スライスデータ)により決定される。
一層分の描画が終了した後、供給側貯留槽2のステージ3を上げ、造形側貯留槽1のステージ3を下げる。その差分のスラリー材料を、前記均し機構6によって、造形側貯留槽1へと移動させる。
このようにして、先に描画したスラリー材料層上に、新たなスラリー材料層が一層形成される。このときのスラリー材料層一層の厚みは、数十μm以上100μm以下程度である。前記新たに形成されたスラリー材料層上に、更に二層目のスライスデータに基づく描画を行い、この一連のプロセスを繰り返して立体造形物を得、図示しない加熱手段で加熱乾燥させることで造形物が得られる。
図5に、本発明の歯科用補綴物製造装置の他の一例を示す。図5の歯科用補綴物製造装置は、原理的には図4と同じものであるが、第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)の供給機構が異なる。即ち、供給側貯留槽2は、造形側貯留槽1の上方に配されている。一層目の描画が終了すると、造形側貯留槽1のステージ3が所定量降下し、供給側貯留槽2が移動しながら、所定量のスラリー材料を造形側貯留槽1に落下させ、新たなスラリー材料層を形成する。その後、均し機構6で、第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)層を圧縮し、かさ密度を上げると共に、スラリー材料層の高さを均一に均す。
図5に示す構成の歯科用補綴物製造装置によれば、2つの貯留槽を平面的に並べる図4の構成に比べて、装置をコンパクトにできる。
本発明の歯科用補綴物の製造方法及び本発明の歯科用補綴物製造装置によれば、歯科用補綴物を簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く製造することができる。得られた歯科用補綴物は、多彩な色補正が可能であり、かつ隣接する天然歯に近い審美性及び色味を再現でき、細胞毒性がなく、充分な強度を有し、寸法精度及び色再現性に優れており、高品質なものである。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例では、立体造形(積層造形)を用い、型を用いないで歯科用補綴物を製造した例を示したが、これらに制限されるものではない。
(第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)の調製例1)
<第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)1の調製>
ジルコニア粒子(東ソー株式会社製、TZ−PX−430)30質量部、重量平均分子量(Mw)が800,000であるポリアクリル酸A(PAA、株式会社日本触媒製、AS−58)5質量部、可塑剤としてのフタル酸ベンジルブチル10質量部、セラミックス分散剤(マリアリム、日油株式会社製、AKM−0531)1.5質量部、及びエタノール60質量部を混合し、直径3mmのジルコニアビーズにて3時間ビーズミル分散することで第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)1を得た。
得られた第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)1中のジルコニアの体積平均粒径を、以下のようにして測定した。
−ジルコニアの体積平均粒径−
前記第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)1中における前記ジルコニアの体積平均粒径は、装置名:LA−920(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。LA−920の測定の際にLA−920専用アプリケーション(Ver.3.32)(株式会社堀場製作所製)を用いて解析を行った。
具体的には、クロロホルムで光軸調整した後、バックグラウンドを測定した。その後、循環を開始し前記第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)を滴下した。透過率が安定したことを確認した後に超音波を下記条件で照射した。照射した後に透過率の値が70%以上95%以下の範囲となる条件で体積平均粒径を測定した。体積平均粒径の測定再現性の点から、前記LA−920の透過率の値が70%以上95%以下となる条件で測定した。また、超音波照射後に透過率が前記値から外れた場合は再度測定を行った。前記透過率の値を得るために前記第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)の滴下量を調節した。なお、測定及び解析条件は、以下のように設定した。
[測定及び解析条件]
・データ取り込み回数:15回
・相対屈折率:1.20
・循環:5
・超音波強度:7
(第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)の調製例2〜15)
第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)の調製例1において、下記表1の組成、及び含有量に変更した以外は、第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)の調製例1と同様にして、第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)2〜15を得た。
(第二の歯科用補綴物液体材料の調製例101)
<第二の歯科用補綴物液体材料101の調製>
−第二の歯科用補綴物液体材料A−1の調製−
水88質量部、重量平均分子量(Mw)が10,000であるポリエチレンイミン(PEI、株式会社日本触媒製、SP−200)12質量部、無機顔料A(Zr−Si−Pr、日陶顔料株式会社製、GP−40)5質量部、及び界面活性剤としてTween20(東京化成工業株式会社製)0.5質量部を、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、第二の歯科用補綴物液体材料A−1を調製した。
−第二の歯科用補綴物液体材料B−1の調製−
水88質量部、重量平均分子量(Mw)が10,000であるポリエチレンイミン(PEI、株式会社日本触媒製、SP−200)12質量部、無機顔料B(Zr−Si−V、日陶顔料株式会社製、M−6000)5質量部、及び界面活性剤としてTween20(東京化成工業株式会社製)0.5質量部を、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、第二の歯科用補綴物液体材料B−1を調製した。
得られた第二の歯科用補綴物液体材料101における第二の歯科用補綴物液体材料A−1及び第二の歯科用補綴物液体材料B−1中の無機顔料の色度座標1及び色度座標2は、以下のようにして、測定した。結果を表2−1及び表2−2に示した。
−無機顔料の色度座標1及び色度座標2−
各無機顔料を圧縮成型し、錠剤化した試料を、測色計(クリスタルアイ、オリンパス株式会社製)を用いて測定した。
得られた第二の歯科用補綴物液体材料101における第二の歯科用補綴物液体材料A−1及び第二の歯科用補綴物液体材料B−1中の無機顔料の体積平均粒径について、以下のようにして測定した。結果を表2−1及び表2−2に示した。
−無機顔料の体積平均粒径−
前記第二の歯科用補綴物液体材料中における前記無機顔料の体積平均粒径は、装置名:LA−920(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。前記LA−920の測定の際にLA−920専用アプリケーション(Ver.3.32)(株式会社堀場製作所製)を用いて解析を行った。
具体的には、クロロホルムで光軸調整した後、バックグラウンドを測定した。その後、循環を開始し前記第二の歯科用補綴物液体材料を滴下した。透過率が安定したことを確認した後に超音波を下記条件で照射した。照射した後に透過率の値が70%以上95%以下の範囲となる条件で体積平均粒径を測定した。体積平均粒径の測定再現性の点から、前記LA−920の透過率の値が70%以上95%以下となる条件で測定した。また、超音波照射後に透過率が前記値から外れた場合は再度測定を行った。前記透過率の値を得るために前記第二の歯科用補綴物液体材料の滴下量を調節した。なお、測定及び解析条件は、以下のように設定した。
[測定及び解析条件]
・データ取り込み回数:15回
・相対屈折率:1.20
・循環:5
・超音波強度:7
(第二の歯科用補綴物液体材料の調製例102〜112)
−第二の歯科用補綴物液体材料A−2〜A−12の調製−
−第二の歯科用補綴物液体材料B−2〜B−12の調製−
第二の歯科用補綴物液体材料の調製例101において、下記表2−1及び表2−2に示す無機顔料及び有機化合物Bの組成、及び含有量に変更した以外は、第二の歯科用補綴物液体材料の調製例101と同様にして、第二の歯科用補綴物液体材料A−2〜A−12及び第二の歯科用補綴物液体材料B−2〜B−12を調製した。
なお、B−9液とB−10液はなし(A−9液とA−10液のみを付与する)。
第二の歯科用補綴物液体材料の調製例101と同様にして、無機顔料の色度座標1及び色度座標2、無機顔料の体積平均粒径を測定した。結果を表2−1及び表2−2に示した。
*無機顔料C(Zr−V、日陶顔料株式会社製、Z−300)
*B−9液とB−10液は使用しない(A−9液とA−10液のみを付与する)。
*無機顔料D(Cr−Co−Al−Zn、日陶顔料株式会社製、M−416)
*無機顔料E(Zr−Si−Fe、日陶顔料株式会社製、M−663)
(実施例1)
得られた第一の歯科用補綴物液体材料(スラリー材料)1と、第二の歯科用補綴物液体材料101(第二の歯科用補綴物液体材料A−1及び第二の歯科用補綴物液体材料B−1)とを組み合わせて歯科用補綴物材料セット1とした。
この歯科用補綴物材料セット1を用いて、最終的に作製する歯科用補綴物(人工モデル歯)を複数の平面層にスライスした色情報を含む二次元画像データ(スライスデータ)により、以下の(1)〜(3)のようにして、歯科用補綴物1を作製した。
(1)まず、図4に示したような歯科用補綴物製造装置を用いて、供給側貯留槽から造形側貯留槽に第一の歯科用補綴物液体材料1を移送させ、前記支持体上に平均厚みが100μmの第一の歯科用補綴物液体材料1からなる薄層を形成した。
(2)次に、形成した第一の歯科用補綴物液体材料1からなる薄層の表面に、前記第二の歯科用補綴物液体材料101(第二の歯科用補綴物液体材料A−1及び第二の歯科用補綴物液体材料B−1)を、最終的に作製する歯科用補綴物(人工モデル歯)の色情報を含むスライスデータに基づき、前記第二の歯科用補綴物液体材料A−1と前記第二の歯科用補綴物液体材料B−1とをインクジェットプリンター(株式会社リコー製、SG7100)を用いてノズルから、適切な位置で適切量吐出することで、所望の色味を付与しつつ、前記第一の歯科用補綴物液体材料1からなる薄層の所定の領域を硬化させた。
(3)次に、前記(1)及び前記(2)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰返し、硬化した第一の歯科用補綴物液体材料1からなる薄層を順次積層して硬化物を得た。得られた硬化物を常温放置にて乾燥し、溶媒を揮発させて、歯科用補綴物1(グリン体)を製造した。
得られた歯科用補綴物1(グリン体)について、この歯科用補綴物1を水中に浸漬することにより、硬化していない第一の歯科用補綴物液体材料を除去したところ、型崩れを生ずることはなかった。得られた歯科用補綴物1(グリン体)は強度、及び寸法精度に優れていた。
(実施例2〜27、及び比較例1〜3)
実施例1において、下記表3−1に示すように第一の歯科用補綴物液体材料と第二の歯科用補綴物液体材料(第二の歯科用補綴物液体材料A−1〜A−12及び第二の歯科用補綴物液体材料B−1〜B−12)とを組み合わせて、歯科用補綴物材料セット2〜30を作製した以外は、実施例1と同様にして、歯科用補綴物(グリン体)2〜30を作製した。なお、第二の歯科用補綴物液体材料B−9とB−10はなし(第二の歯科用補綴物液体材料A−9とA−10のみ)。
<結晶相率>
得られた各歯科用補綴物(グリン体)の結晶相の同定は、X線粉末回折装置(リガク電機株式会社製、RINT1100)を用いて、以下の条件で実施した。結果を表3−5に示した。
[測定条件]
・管球:Cu
・電圧:40kV
・電流:40mA
・開始角度:3°
・終了角度:80°
・スキャンスピード:0.5°/min
ジルコニアからなる歯科用補綴物の立方晶相率(%)は、粉末X線回折測定により単斜晶相の111面単斜晶相の11−1面、正方晶相の111面、及び立方晶相の111面の反射ピーク強度Im(111)、Im(11−1)、It(111)、及びIc(111)より、下記式(1)により算出した。
立方晶相率(%)=[Ic(111)]/[Im(111)+Im(11−1)+It(111)+Ic(111)] ・・・ 式(1)
また、ジルコニアからなる歯科用補綴物の正方晶相率(%)は下記式(2)により算出した。
正方晶相率(%)=[It(111)]/[Im(111)+Im(11−1)+It(111)+Ic(111)] ・・・ 式(2)
ただし、前記式(1)及び前記式(2)中、Iは、ジルコニア結晶相の各面の反射ピーク強度を表し、添字m、t、及びcは、それぞれ単斜晶、正方晶、及び立方晶を示す。
<寸法精度>
次に、得られた各歯科用補綴物(グリン体)について、目視にて観察し、下記評価基準に基づいて、寸法精度を評価した。結果を表3−5に示した。
[評価基準]
○:得られた歯科用補綴物の表面が滑らかで美麗であり、反りも生じていない状態
△:得られた歯科用補綴物の表面に若干の歪みと僅かに反りが生じている状態
×:得られた歯科用補綴物の表面に歪みが生じており、激しく反りが生じている状態
次に、前記(3)で得られた歯科用補綴物について、前記寸法精度を評価した後、以下(4)のようにして焼結処理を行い、焼結後の歯科用補綴物の焼結体を作製した。
(4)セラミックスとしてジルコニアを用いた実施例及び比較例における歯科用補綴物は、焼結炉内で空気環境下、1,500℃での焼結処理を行った。
セラミックスとして二ケイ酸リチウムを用いた実施例5における歯科用補綴物は、空気環境下、900℃での焼結処理を行った。
セラミックスとしてアルミナを用いた実施例23における歯科用補綴物は、焼結炉内で空気環境下、1,360℃での焼結処理を行った。
金属としてチタンを用いた比較例2における歯科用補綴物は、真空環境下、1,100℃での焼結処理を行った。
これらの歯科用補綴物の焼結体は完全に一体化された構造体であり、硬質の床に叩きつけても破損等が生じなかった。
次に、作製した歯科用補綴物(焼結体)について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表3−1、表3−2、表3−3、表3−4、及び表3−5に示した。
<焼結後の歯科用補綴物の明度L*、彩度a*、及び色相b*の測定>
歯科用補綴物の明度L*、彩度a*、及び色相b*は、ウルトラミクロトームで切断した歯科用補綴物の縦方向断面を測色計(装置名:クリスタルアイ、オリンパス株式会社製)を用いて測定した。具体的には、図3の歯科用補綴物における縦方向断面の模式図に示すように、歯科用補綴物100の歯茎部端102から切端101の真ん中に位置するA1、歯茎部端102から前記A1の真ん中に位置するA2、切端101から前記A1の真ん中に位置するA3、左側壁端103から前記A1の真ん中に位置するB1、右側壁端104から前記A1の真ん中に位置するB2をそれぞれ測色した。
<第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料の含有量、並びに前記第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料の含有量>
無機顔料の含有量は、下面照射型蛍光X線(株式会社リガク製)を用いて測定した。具体的には、真空で50kV、60mA、40sの条件で、各種顔料中に存在する金属元素のX線強度を測定し、バックグラウンド分を差し引いた強度を造形物表面に存在する金属元素の強度とした。ここで得られた金属元素の強度から、各種顔料の含有量を算出した。
なお、無機顔料の含有量の測定位置は、前記明度L*、彩度a*、及び色相b*の測定と同様である。
<歯科用補綴物の色再現性>
次に、得られた焼結後の歯科用補綴物の色再現性は、Vitaシェードガイドと比較し、目視により、下記基準で評価した。
[評価基準]
○:歯茎部から切端部方向に沿ったグラデーションが再現できており、隣接歯との審美的違和感を感じないレベル
△:隣接歯と色味は近いが、審美的違和感を感じるレベル
×:歯茎部から切端部方向に沿ったグラデーションが再現できていない
<歯科用補綴物の曲げ強度又は耐力>
次に、得られた歯科用補綴物の焼結体について、以下のようにして、焼結後の曲げ強度、又は耐力を以下の基準にて評価した。
セラミックス(ジルコニア、アルミナ、及び二ケイ酸リチウム)を用いた歯科用補綴物の曲げ強度は、ISO−6871に基づいて、「焼結後の曲げ強度」を測定し、金属(チタン)を用いた歯科用補綴物はJIS−T6123に基づいて、「耐力」を測定して、焼結後の曲げ強度、又は耐力を測定した。なお、前記測定は、株式会社島津製作所製のAUTOGRAPH−AGS−Jを用いた。
また、前記焼結後の歯科用補綴物の曲げ強度、及び耐力の測定結果から、下記評価基準に基づいて、歯科用補綴物の焼結性を評価した。
[ジルコニアを用いた場合の評価基準]
○:焼結後の曲げ強度が、600MPa以上
△:焼結後の曲げ強度が、400MPa以上600MPa未満
×:焼結後の曲げ強度が、400MPa未満
[二ケイ酸リチウムを用いた場合の評価基準]
○:焼結後の曲げ強度が、350MPa以上
△:焼結後の曲げ強度が、200MPa以上350MPa未満
×:焼結後の曲げ強度が、200MPa未満
[アルミナを用いた場合の評価基準]
○:焼結後の曲げ強度が、300MPa以上
△:焼結後の曲げ強度が、200MPa以上300MPa未満
×:焼結後の曲げ強度が、200MPa未満
[チタンを用いた場合の評価基準]
○:耐力が、400MPa以上
△:耐力が、240MPa以上400MPa未満
×:耐力が、240MPa未満
<歯科用補綴物の密度>
次に、得られた焼結後の歯科用補綴物の密度(%)は、JIS−R1634に基づいて測定した。
*比較例1は、A−9液のみを付与した。
*比較例3は、A−10液のみを付与した。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> セラミックス、及び2種以上の無機顔料を含有し、
前記2種以上の無機顔料として、CIE1976のL*a*b*表色系で規定する彩度a*と色相b*とからなるa*b*色度座標における第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、前記a*b*色度座標における第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、を含むことを特徴とする歯科用補綴物である。
<2> 天然歯の歯髄に相当する中央部A1、前記A1と歯茎部端との中点A2、前記A1と切端との中点A3、前記A1と天然歯のエナメル質に相当する左側壁端との中点B1、前記A1と天然歯のエナメル質に相当する右側壁端との中点B2におけるCIE1976のL*a*b*表色系で規定する明度L*が、A2からA3方向、A1からB1方向、及びA1からB2方向の少なくともいずれかの順序で上昇する前記<1>に記載の歯科用補綴物である。
<3> 天然歯の歯髄に相当する中央部A1、前記A1と歯茎部端との中点A2、前記A1と切端との中点A3、前記A1と天然歯のエナメル質に相当する左側壁端との中点B1、前記A1と天然歯のエナメル質に相当する右側壁端との中点B2における前記第一象限及び前記第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料の含有量が、A2からA3方向、A1からB1方向、及びA1からB2方向の少なくともいずれかの順序で減少する前記<1>から<2>のいずれかに記載の歯科用補綴物である。
<4> 前記無機顔料が、Zr−Si−Pr、Zr−V、Zr−Si−V、Cr−Co−Al−Zn、及びZr−Si−Feから選択される少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載の歯科用補綴物である。
<5> 粉末X線回折測定による単斜晶相の111面、単斜晶相の11−1面、正方晶相の111面、及び立方晶相の111面の反射ピーク強度を、それぞれIm(111)、Im(11−1)、It(111)、及びIc(111)とすると、
下記式(1)で示される立方晶相率Aと、下記式(2)で示される正方晶相率Bとの比(A/B)が、0.3以上0.9以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の歯科用補綴物である。
立方晶相率A(%)=[Ic(111)]/[Im(111)+Im(11−1)+It(111)+Ic(111)] ・・・ 式(1)
正方晶相率B(%)=[It(111)]/[Im(111)+Im(11−1)+It(111)+Ic(111)] ・・・ 式(2)
ただし、前記式(1)及び前記式(2)中、Iは、ジルコニア結晶相の各面の反射ピーク強度を表し、添字m、t、及びcは、それぞれ単斜晶、正方晶、及び立方晶を示す。
<6> CIE1976のL*a*b*表色系で規定する色相b*が15以上である前記<1>から<5>のいずれかに記載の歯科用補綴物である。
<7> 前記無機顔料の体積平均粒径が、5μm以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の歯科用補綴物である。
<8> 前記セラミックスの85質量%以上が、ジルコニアで構成されている前記<1>から<7>のいずれかに記載の歯科用補綴物である。
<9> 曲げ強度が、600MPa以上である前記<1>から<8>のいずれかに記載の歯科用補綴物である。
<10> 密度が、98%以上である前記<1>から<9>のいずれかに記載の歯科用補綴物である。
<11> 溶媒、有機化合物A、及びセラミックスを含有する第一の歯科用補綴物液体材料と、
前記有機化合物Aに対して反応性を示す有機化合物B、及び無機顔料を含有し、かつ前記無機顔料の種類が異なる2種以上の液体材料からなる第二の歯科用補綴物液体材料と、
を有することを特徴とする歯科用補綴物材料セットである。
<12> 前記無機顔料として、CIE1976のL*a*b*表色系で規定する彩度a*と色相b*とからなるa*b*色度座標における第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色する無機顔料と、前記a*b*色度座標における第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色に発色する無機顔料と、を含む前記<11>に記載の歯科用補綴物材料セットである。
<13> 前記<11>から<12>のいずれかに記載の歯科用補綴物材料セットにおける第一の歯科用補綴物液体材料を用いて、第一の歯科用補綴物液体材料層を形成する層形成工程と、
前記第一の歯科用補綴物液体材料層の所定領域に、前記<11>から<12>のいずれかに記載の歯科用補綴物材料セットにおける第二の歯科用補綴物液体材料を付与する液体材料付与工程と、
を複数回繰り返すことを特徴とする歯科用補綴物の製造方法である。
<14> 前記層形成工程後に、前記溶媒を揮発させる層乾燥工程を含む前記<13>に記載の歯科用補綴物の製造方法である。
<15> 造形後に、液体浸漬により未硬化の第一の歯科用補綴物液体材料を除去する除去工程を含む前記<13>から<14>のいずれかに記載の歯科用補綴物の製造方法である。
<16> 第一の歯科用補綴物液体材料層を保持するための液体材料層保持手段と、
前記<11>から<12>のいずれかに記載の歯科用補綴物材料セットにおける第一の歯科用補綴物液体材料を用いて、第一の歯科用補綴物液体材料層を形成する層形成手段と、
前記第一の歯科用補綴物液体材料層の所定領域に、前記<11>から<12>のいずれかに記載の歯科用補綴物材料セットにおける第二の歯科用補綴物液体材料を付与する液体材料付与手段と、
を有することを特徴とする歯科用補綴物製造装置である。
<17> 溶媒を揮発させる層乾燥手段を有する前記<16>に記載の歯科用補綴物製造装置である。
<18> 液体浸漬により未硬化の第一の歯科用補綴物液体材料を除去する除去手段を有する前記<16>から<17>のいずれかに記載の歯科用補綴物製造装置である。
前記<1>から<10>のいずれかに記載の歯科用補綴物、前記<11>から<12>のいずれかに記載の歯科用補綴物材料セット、前記<13>から<15>のいずれかに記載の歯科用補綴物の製造方法、並びに前記<16>から<18>のいずれかに記載の歯科用補綴物製造装置は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
特開2014−218418号公報 特表2003−531034号公報 特開2011−21218号公報
4 第二の歯科用補綴物液体材料
100 歯科用補綴物
110 歯(天然歯)

Claims (15)

  1. セラミックス、及び2種以上の無機顔料を含有し、
    前記2種以上の無機顔料として、CIE1976のL*a*b*表色系で規定する彩度a*と色相b*とからなるa*b*色度座標における第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、前記a*b*色度座標における第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料と、を含むことを特徴とする歯科用補綴物。
  2. 天然歯の歯髄に相当する中央部A1、前記A1と歯茎部端との中点A2、前記A1と切端との中点A3、前記A1と天然歯のエナメル質に相当する左側壁端との中点B1、前記A1と天然歯のエナメル質に相当する右側壁端との中点B2におけるCIE1976のL*a*b*表色系で規定する明度L*が、A2からA3方向、A1からB1方向、及びA1からB2方向の少なくともいずれかの順序で上昇する請求項1に記載の歯科用補綴物。
  3. 天然歯の歯髄に相当する中央部A1、前記A1と歯茎部端との中点A2、前記A1と切端との中点A3、前記A1と天然歯のエナメル質に相当する左側壁端との中点B1、前記A1と天然歯のエナメル質に相当する右側壁端との中点B2における前記第一象限及び前記第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色した無機顔料の含有量が、A2からA3方向、A1からB1方向、及びA1からB2方向の少なくともいずれかの順序で減少する請求項1から2のいずれかに記載の歯科用補綴物。
  4. 粉末X線回折測定による単斜晶相の111面、単斜晶相の11−1面、正方晶相の111面、及び立方晶相の111面の反射ピーク強度を、それぞれIm(111)、Im(11−1)、It(111)、及びIc(111)とすると、
    下記式(1)で示される立方晶相率Aと、下記式(2)で示される正方晶相率Bとの比(A/B)が、0.3以上0.9以下である請求項1から3のいずれかに記載の歯科用補綴物。
    立方晶相率A(%)=[Ic(111)]/[Im(111)+Im(11−1)+It(111)+Ic(111)] ・・・ 式(1)
    正方晶相率B(%)=[It(111)]/[Im(111)+Im(11−1)+It(111)+Ic(111)] ・・・ 式(2)
    ただし、前記式(1)及び前記式(2)中、Iは、ジルコニア結晶相の各面の反射ピーク強度を表し、添字m、t、及びcは、それぞれ単斜晶、正方晶、及び立方晶を示す。
  5. CIE1976のL*a*b*表色系で規定する色相b*が15以上である請求項1から4のいずれかに記載の歯科用補綴物。
  6. 前記無機顔料の体積平均粒径が、5μm以下である請求項1から5のいずれかに記載の歯科用補綴物。
  7. 前記セラミックスの85質量%以上が、ジルコニアで構成されている請求項1から6のいずれかに記載の歯科用補綴物。
  8. 曲げ強度が、600MPa以上である請求項1から7のいずれかに記載の歯科用補綴物。
  9. 密度が、98%以上である請求項1から8のいずれかに記載の歯科用補綴物。
  10. 溶媒、有機化合物A、及びセラミックスを含有する第一の歯科用補綴物液体材料と、
    前記有機化合物Aに対して反応性を示す有機化合物B、及び無機顔料を含有し、かつ前記無機顔料の種類が異なる2種以上の液体材料からなる第二の歯科用補綴物液体材料と、
    を有することを特徴とする歯科用補綴物材料セット。
  11. 前記無機顔料として、CIE1976のL*a*b*表色系で規定する彩度a*と色相b*とからなるa*b*色度座標における第一象限及び第二象限の少なくともいずれかに位置する色に発色する無機顔料と、前記a*b*色度座標における第三象限及び第四象限の少なくともいずれかに位置する色に発色する無機顔料と、を含む請求項10に記載の歯科用補綴物材料セット。
  12. 請求項10から11のいずれかに記載の歯科用補綴物材料セットにおける第一の歯科用補綴物液体材料を用いて、第一の歯科用補綴物液体材料層を形成する層形成工程と、
    前記第一の歯科用補綴物液体材料層の所定領域に、請求項10から11のいずれかに記載の歯科用補綴物材料セットにおける第二の歯科用補綴物液体材料を付与する液体材料付与工程と、
    を複数回繰り返すことを特徴とする歯科用補綴物の製造方法。
  13. 前記層形成工程後に、前記溶媒を揮発させる層乾燥工程を含む請求項12に記載の歯科用補綴物の製造方法。
  14. 造形後に、液体浸漬により未硬化の第一の歯科用補綴物液体材料を除去する除去工程を含む請求項12から13のいずれかに記載の歯科用補綴物の製造方法。
  15. 第一の歯科用補綴物液体材料層を保持するための液体材料層保持手段と、
    請求項10から11のいずれかに記載の歯科用補綴物材料セットにおける第一の歯科用補綴物液体材料を用いて、第一の歯科用補綴物液体材料層を形成する層形成手段と、
    前記第一の歯科用補綴物液体材料層の所定領域に、請求項10から11のいずれかに記載の歯科用補綴物材料セットにおける第二の歯科用補綴物液体材料を付与する液体材料付与手段と、
    を有することを特徴とする歯科用補綴物製造装置。

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