JP2009102526A - 三次元造形用材料、及び、三次元造形物の製造方法 - Google Patents

三次元造形用材料、及び、三次元造形物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短時間にかつ低コストで、強度に優れた三次元造形物を提供可能な三次元造形用材料、及び、これを用いた三次元造形物の製造方法を提供すること。
【解決手段】(A)結合剤、及び、(B)粉末材料を含み、前記結合剤は、少なくとも1つの重合性基を有する重合性化合物を含有し、前記粉末材料又は前記重合性化合物の一方が、カチオン性基及び/又はカチオン性基になりうる基を有し、他の一方が、有機酸残基及び/又はその塩を有することを特徴とする三次元造形用材料。
【選択図】図1

Description

本発明は三次元造形用材料、及び、これを用いた三次元造形物の製造方法に関する。
従来から、立体的な造形対象物を平行な複数の面で切断した各断面形状に対応させて粉末の薄層を結合剤により結合し、この結合された薄層よりなる断面形状を順次積層させることによって、造形対象物の三次元モデルとなる造形物を作製する技術が知られている。
このような技術は、ラピッドプロトタイピングと呼ばれ、部品試作及びデザイン確認用途などに利用することができる。近年、安価かつ高速、さらにはカラーモデリング作製に適するインクジェットを利用する方式のものが提案されており、例えば特許文献1に開示されたものがある。この立体造形の具体的な手順を以下に説明する。
まず、ブレード機構により粉末を平らな表面上に均一な厚さを有する薄層に拡げ、この粉末の薄層表面に、インクジェットノズルヘッドを走査させて、造形対象物を平行な断面により切断した断面形状に対応させて、結合剤を吐出する。結合剤が吐出された領域の粉末材料は、必要な操作を施すことにより、粉末を接合状態にするとともに、既に形成済の下層の断面形状とも結合する。そして、造形物全体が完成するまで、粉末薄層を上部に順次積層しながら、結合剤を吐出する工程を繰り返す。最終的に、結合剤が吐出されなかった領域は、粉末が個々に独立して互いに接合しない状態であるため、造形物を装置から取り出す際に、粉末は容易に除去することができ、目的とする造形物が分離できる。以上の操作により、所望の三次元造形物が製造できる。
また、同様な方法で、イエロー(Y)、マゼンタ(M)又はシアン(C)のいずれかに着色を施した結合剤を吐出することにより、着色した三次元造形物を得る方法が開示されており、例えば特許文献2が挙げられる。
一方で、製造直後の三次元造形物は結合剤による接合力のみにより形作られているため、三次元造形物の取り扱い方法によっては強度が弱く壊れてしまう場合もある。そこで、従来、製造後の三次元造形物の粉末粒子の間に樹脂及びワックスなどを含浸させることにより強度を増大させてきた。しかしながら、このような工程は手間と時間を要する。
特許第2729110号公報 特開2001−150556号公報
本発明は、短時間にかつ低コストで、強度に優れた三次元造形物を提供可能な三次元造形用材料、及び、これを用いた三次元造形物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、以下の<1>又は<2>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<3>と共に以下に記載する。
<1> (A)結合剤、及び、(B)粉末材料を含み、前記結合剤は、少なくとも1つの重合性基を有する重合性化合物を含有し、前記粉末材料又は前記重合性化合物の一方が、カチオン性基及び/又はカチオン性基になりうる基を有し、他の一方が、有機酸残基及び/又はその塩を有することを特徴とする三次元造形用材料、
<2> 支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する工程、及び、造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように粉末材料層を結合剤により結合させる工程を順次繰り返すことを含み、前記結合剤及び前記粉末材料として上記<1>に記載の三次元造形用材料を用いることを特徴とする三次元造形物の製造方法、
<3> 粉末材料層を結合剤により結合させる前記工程が、結合剤をインクジェットにより吐出する工程を含む、上記<2>に記載の三次元造形物の製造方法。
本発明によれば、短時間にかつ低コストで、強度に優れた三次元造形物を提供可能な三次元造形用材料、及び、これを用いた三次元造形物の製造方法を提供することができた。
(三次元造形用材料)
本発明の三次元造形用材料は、(A)結合剤、及び、(B)粉末材料を含み、前記結合剤は、少なくとも1つの重合性基を有する重合性化合物を含有し、前記粉末材料又は前記重合性化合物の一方が、カチオン性基及び/又はカチオン性基になりうる基を有し、他の一方が、有機酸残基及び/又はその塩を有することを特徴とする。
本発明は結合剤と粉末材料の一方がカチオン性基及び/又はカチオン性基になりうる基を有し、他方が有機酸残基及び/又はその塩を有することにより、三次元造形物を作製した場合に、酸塩基相互作用により、強度に優れた三次元造形物を得ることができる。
以下、それぞれの成分について詳述する。
(A)結合剤
本発明において、結合剤は、重合性基を有する重合性化合物を含有し、前記重合性化合物は(1)カチオン性基及び/又はカチオン性基になりうる基を有する重合性化合物、又は、有機酸残基及び/又はその塩を有する重合性化合物を含有する。また、結合剤は前記の重合性化合物に加えて、(2)その他の重合性化合物を併用することもできる。さらに必要に応じて、(3)重合開始剤、(4)添加剤を含有する。結合剤は紫外光によって硬化する性質を有していることが好ましい。
以下、「カチオン性基及び/又はカチオン性基になりうる基を有する重合性化合物」(以下、(A−1)成分ともいう。)、並びに、「有機酸残基及び/又はその塩を有する重合性化合物」(以下、(A−2)成分ともいう。)について説明する。
(1)(A−1)成分及び(A−2)成分
(A−1)カチオン性基及び/又はカチオン性基になりうる基を有する重合性化合物
本発明において好適に使用される(A−1)成分について説明する。
(A−1)成分は、カチオン性基及び/又はカチオン性基になりうる基を有する重合性化合物である。(A−1)成分は、重合性基を有し、かつ、カチオン性基及び/又はカチオン性基になりうる基を有する化合物であれば特に限定されない。カチオン性基及び/又はカチオン性基になりうる基は、化合物中に1つ有していてもよいし、複数有していてもよい。また、複数のカチオン性基及び/又はカチオン性基になりうる基を有する場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。
(A−1)成分において、重合性基はラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を含むことが好ましく、重合性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基が好適に例示できる。
これらの中でも、(メタ)アクリロイルオキシ基及びビニル基が好ましい。
ここで、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、メタクリロイルオキシ基又はアクリロイルオキシ基のいずれか、又は、双方を意味する省略的な表記であり、(メタ)アクリルアミド基とは、メタクリルアミド基又はアクリルアミド基のいずれか、又は、双方を意味する省略的な表記である。
(A−1)成分は、重合性基を少なくとも1つ有しており、2以上の重合性基を有していてもよい。分子内に1〜4の重合性基を有していることが好ましく、より好ましくは1〜3であり、重合性基を1又は2有していることがさらに好ましい。
また、化合物中に2以上の重合性基を有する場合、それらの重合性基は同一であっても異なっていてもよい。
カチオン性基としては、オニウム塩基が好ましく用いられる。オニウム塩としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩などがあげられるが、特に好ましくはアンモニウム塩である。
カチオン性基となりうる基としては、酸基とイオン結合を形成することでカチオン性基となる化合物であれば特に限定されないが、好ましくは、アミノ基が挙げられる。特に好ましくは3級アミノ基が挙げられる。
(A−1)成分の具体例として、以下に例示化合物(A’)〜例示化合物(O’)を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本発明において、化学式は、炭素(C)及び水素(H)を一部省略して記載している。
Figure 2009102526
(A−2)有機酸残基及び/又はその塩を有する重合性化合物
本発明において好適に使用される(A−2)成分について説明する。
(A−2)成分は重合性基を有し、かつ、有機酸残基及び/又はその塩を有する重合性化合物であれば特に限定されない。有機酸残基及び/又はその塩は、化合物中に合計1以上存在していればよく、2以上存在することが好ましい。
(A−2)成分は一種単独で使用することもでき、複数種を併用してもよい。
(A−2)成分において、重合性基はラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を含むことが好ましく、好適には、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基が例示でき、これらの中でも、(メタ)アクリロイルオキシ基又はビニル基が好ましい。
(A−2)成分は重合性基を少なくとも1つ有していればよく、2以上の重合性基を有していてもよい。(A−2)成分は、分子内に1〜4の重合性基を有していることが好ましく、より好ましくは1〜3であり、さらに好ましくは1又は2である。
また、(A−2)成分が重合性基を2以上有する場合、それらの重合性基は同じでも異なっていてもよい。
有機酸残基及び/又はその塩としては、下記(1)〜(6)に挙げる有機酸残基及び/又はその塩を含むものが好ましい。
(1)フェノール性水酸基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R、−SO2NH2
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)(−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R)
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸エステル基、リン酸基、ホスホン酸エステル基(−OPO32、−PO32、−OP(O)H(OH))
上記(1)〜(6)中、Arは2価のアリール連結基を表し、Rは、炭化水素基を表す。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸残基の中でも、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、又は(4)カルボン酸基を有するものが好ましく、特に(4)カルボン酸基を有するものが、これを使用した場合に強度に優れる三次元造形物を得られるという観点から、最も好ましい。
また、本発明の有機酸残基及び/又はその塩の中で好ましい構造としては以下の構造が挙げられる。
Figure 2009102526
上記式中、XはN原子又はCHを表し、p及びqはそれぞれ独立に1〜6の整数を表す。また、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。Arはアリール基上にカルボキシル基が直接又は連結基を通して結合されている構造を示す。
上記式(II)において、Rで表される炭素数1〜10までの一価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基;窒素原子、酸素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基が挙げられる。但し、Rの炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
上記式(II)において、Arは芳香族基(アリール基)上にカルボキシル基が直接又は連結基を通して結合されている構造であり、アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
以下に本発明の具体的な化合物例(例示化合物(1)〜例示化合物(29))を示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。なお、以下に示す化学式において、炭素(C)及び水素(H)を一部省略している。
Figure 2009102526
Figure 2009102526
Figure 2009102526
本発明において、(A−1)成分又は(A−2)成分は、結合剤の全重量に対して、3〜99重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜90重量%である。
上記の化合物の比率が3重量%以上であると、粉末材料との相互作用性が得られ、強度が高くなるので好ましい。また、99重量%以下であると、未反応の重合性化合物の量が少なく、良好な硬化性が得られるので好ましい。
(2)その他の重合性化合物
本発明における結合剤は、上記の重合性化合物以外に、その他の重合性化合物を含有していてもよい。
その他の重合性化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。その他の重合性化合物は用いなくてもよく、また任意の比率で数種以上を併用してもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル酸誘導体、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合物類、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、さらに具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー、及びポリマーを用いることができる。
また、ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化型の重合性化合物材料が知られており、これらも本発明においてその他の重合性化合物に適用することができる。
(A−1)成分又は(A−2)成分とその他の重合性化合物の重量比率としては、〔(A−1)成分又は(A−2)成分〕/〔その他の重合性化合物〕が10/90以上であることが好ましく、より好ましくは20/80以上である。
(A−1)成分又は(A−2)成分の比率が10より大きいと、粉末材料との相互作用性が得られ、高い強度が得られるので好ましい。
(3)重合開始剤
本発明において、結合剤は重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができる。本発明において、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
本発明に使用する重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び放射線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。放射線には、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
熱重合開始剤及び光重合開始剤としては公知の化合物が使用できる。
本発明においては、光重合開始剤を使用することが好ましく、特に、紫外線により重合開始種を発生する光重合開始剤を使用することが好ましい。すなわち、本発明において、重合開始剤として光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
本発明で使用されうる好ましいラジカル重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
本発明におけるラジカル重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光の作用によりラジカルを発生させる重合開始剤(光ラジカル重合開始剤)の例としてはアルキルフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンジル系化合物等が好ましい。アルキルフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure 907)等が挙げられる。ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等が挙げられる。
本発明において、重合開始剤は、前述の重合性化合物の総量に対して、好ましくは0.01〜35重量%、より好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜30重量%の範囲で結合剤に含有されるのが適当である。
また、感度を高める目的で、重合開始剤に加えて増感剤を用いてもよい。増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及び、チオキサントン誘導体が例示できる。
(4)添加剤
本発明において、結合剤は、上述の重合性化合物及び重合開始剤の他に、他の添加剤を含有することができる。
その他の添加剤としては、着色剤が例示できる。
(着色剤)
本発明において使用できる着色剤は染料と顔料に大別され、染料を好ましく使用することができる。
<染料>
染料としては、減色法の3原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の染料を使用することにより、広い範囲の色相を異なる彩度で再現することができる。本発明において、カラー写真のカラープリントに利用される染料を使用することが好ましい。以下に詳しく述べる。
イエロー染料としては、米国特許3,933,501号、同4,022,620号、同4,326,024号、同4,401,752号、同4,248,961号、特公昭58−10739号、英国特許1,425,020号、同1,476,760号、米国特許3,973,968号、同4,314,023号、同4,511,649号、欧州特許249,473A号、同502,424A号の式(I),(II)で表されるカプラー、同513,496A号の式(1),(2)で表されるカプラー(特に18頁のY−28)、同568,037A号のクレーム1の式(I)で表されるカプラー、米国特許5,066,576号のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表されるカプラー、特開平4−274425号の段落0008の一般式(I)で表されるカプラー、欧州特許498,381A1号の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35)、同447,969A1号の4頁の式(Y)で表されるカプラー(特に、Y−1(17頁),Y−54(41頁))、米国特許4,476,219号のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表されるカプラー(特にII−17,19(カラム17),II−24(カラム19))から得られるケトイミン型染料が挙げられる。好ましくは、特開2001−294773号公報、特開2002−121414号公報、特開2002−105370号公報、特開2003−26974号公報、特開2003−73598号公報に記載の染料が挙げられ、なかでも特開2003−73598号公報に記載の一般式(Y−II)で表されるピラゾール化合物がより好ましく用いられ、以下に示すY−1が例示できる。
Figure 2009102526
マゼンタ染料としては、特開2001−181549号公報、特開2002−121414号公報、特開2002−105370号公報、特開2003−12981号公報、特開2003−26974号公報に記載の染料が挙げられる。
なかでも特開2002−121414号公報に記載の一般式(III)で表されるピラゾロトリアゾールアゾメチン化合物が好ましく用いられ、以下に示すM−1及びM−6が例示できる。
Figure 2009102526
Figure 2009102526
シアン染料としては、特開2002−121414号公報、特開2002−105370号公報、特開2003−3109号公報、特開2003−26974号公報に記載の染料が挙げられる。
特開2002−121414号公報に記載の一般式(IV−1a)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物ならびに一般式(C−II−1)及び(C−II−2)で表されるフタロシアニン化合物が好ましく用いられ、以下に示すC−1、C−101及びC−105が例示できる。
Figure 2009102526
Figure 2009102526
Figure 2009102526
必要に応じて、CMY3原色に黒(ブラック)染料を併用してもよい。黒染料はCMY3染料を混合して作ることもできる。
上記以外の染料としては、印刷の技術分野(例えば印刷インキ、感熱インクジェット記録、静電写真記録等のコピー用色材又は色校正版など)で一般に用いられるものを使用することができる。
例えば、有機合成化学協会編「染料便覧」丸善株式会社(1970年刊)、安部田貞治、今田邦彦「解説 染料化学」(株)色染社(1988年刊)、大河原信編「色素ハンドブック」(株)講談社(1986年刊)、インクジェットプリンタ用ケミカルス−材料の開発動向・展望調査−」(株)シーエムシー(1997年刊)、甘利武司「インクジェットプリンタ−技術と材料」等に記載の染料類が挙げられる。
<顔料>
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、又は、顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
本発明おいて造形物の外表面に彩色するためには、断面形状の輪郭に上記のYMC結合剤による着色画像を形成し、この着色画像の直下に白色反射層を設けることが好ましい。白色反射層は、例えばカラープリントにおける下地に相当する役割を有し、白色顔料を含む結合剤(白色結合剤)を着画像のすぐ内側に使用することが好ましい。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく、化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、粉末材料や結合剤成分の種類に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
本発明において着色剤として、上述のCMY染料に替えてCMY顔料を使用することもできる。
有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等),C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
マゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
シアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
〔結合剤の性質〕
本発明において、結合剤はインクジェットで吐出することが好ましい。このような使用態様における好ましい物性について説明する。
本発明において、結合剤をインクジェットで吐出する場合には、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、20〜80℃、好ましくは25〜50℃)において、粘度が、好ましくは7〜30mPa・sであり、より好ましくは7〜25mPa・sである。例えば、結合剤の室温(25〜30℃)での粘度は、好ましくは35〜500mPa・s、より好ましくは35〜200mPa・sである。
また、本発明において、結合剤の表面張力は、好ましくは20〜30mN/m、より好ましくは23〜28mN/mである。
(B)粉末材料
本発明において、粉末材料は、カチオン性基及び/又はカチオン性基となりうる基を有する化合物(以下、(B−1)成分ともいう)であるか、あるいは、有機酸残基及び/又はその塩を有する化合物(以下、(B−2)成分ともいう。)である。
粉末材料としては、無機粉末及び有機粉末、さらには無機・有機複合粉末の全てが使用でき、上記の(B−1)成分又は(B−2)成分であれば特に限定されない。
無機粉末として、例えば、金属、酸化物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、窒化物、炭化物硫化物及びこれらの少なくとも2種以上の複合化物等を挙げることができる。具体的には、水酸化マグネシウム、シリカゲル、アルミナ、水酸化アルミニウム、硝子、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム、酸化マグネシウム、硼酸マグネシウム、水酸化カルシウム、塩基性硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ、炭化珪素、炭化チタン、硫化亜鉛、石膏、焼石膏、白土及びこれらの少なくとも2種以上の複合化物等が挙げられる。好ましくは、水酸化マグネシウム、シリカゲル、アルミナ、水酸化アルミニウム、硝子、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、焼石膏等が挙げられる。
有機粉末としては、例えば合成樹脂粒子、天然高分子粒子等が挙げられ、具体的にはアクリル樹脂、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、カルボキシメチルセルロールス、ゼラチン、デンプン、キチン、キトサン等であり、好ましくはアクリル樹脂、ポリウレタン、ゼラチン、ポリスチレン等である。
(B−1)カチオン性基及び/又はカチオン性基となりうる基を有する化合物
(B−1)成分としては、有機酸残基又はその塩と配位しうるカチオン性基又はカチオン性基となりうる基を有する化合物であれば特に限定されず、無機粉末、有機粉末、又は、無機・有機複合粉末のいずれを使用することもできる。
無機粉末としては、石膏、石灰石、クレー、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ガラス、酸化鉄、酸化亜鉛、磁鉄鉱、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ホウ素、ホウケイ酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウムカリウム、ポリリン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸カルシウム水和物、リン酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、消石灰(Ca(OH)2)などが挙げられる。
本発明において、カチオン性基及び/又はカチオン性基となりうる基を有する化合物(粉末材料)としては、特に2価の金属塩が好ましい。例えば硫酸マグネシウム、焼石膏(硫酸カルシウム水和物)等が好ましく例示できる。
(B−1)成分は、無機粉末、有機粉末、又は、無機・有機複合粉末等にカチオン性基及び/又はカチオン性基となりうる基を導入することで得ることもできる。
(B−1)成分としては、例えば、カチオン性オニウム塩を有する粉末材料(カチオン性オニウム塩化合物)が例示できる。
カチオン性オニウム塩残基を有する合成樹脂粒子は、例えば特開2007−106806号公報に記載の方法により合成した塩基性基含有粒子と、反応性化合物とを反応させることによって合成することができる。
具体的には、分散剤存在下、塩基性基を有する単量体を非水溶媒中で過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、ブチルリチウム等の重合開始剤の存在下に加熱重合させて得られた白色粒子に、脱離性を有する反応性化合物を反応させる事によって得られる。
脱離性を有する反応性化合物としては、塩基性基による求核置換反応が進行して脱離基が脱離する基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、メチルトリフラート、エチルトリフラートのようなトリフルオロメタンスルホン酸エステル化合物、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチルのようなスルホン酸エステル化合物、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸プロピル、トリフルオロ酢酸ブチル、トリフルオロ酢酸ペンチル、のようなトリフルオロ酢酸エステル化合物等が挙げられる。
(B−2)有機酸残基及び/又はその塩を有する化合物
また、有機酸残基及び/又はその塩を有する構造を含有する粉末材料も用いることができる。用いる粉末材料としては、特に限定されないが、有機粉末、さらには無機・有機複合粉末が好ましく利用される。
これらの合成方法としては特に限定されないが、先にあげられた「有機酸残基及び/又はその塩を有する重合性化合物」を単独重合又は他のモノマーと共重合した重合体を、粉末状にしたものが好ましく用いられる。
また、(B−2)成分は、有機酸残基及び/又はその塩を2以上有することが好ましく、分子中に有機酸残基及び/又はその塩を2以上有する重合性化合物の単独重合体又は他のモノマーと共重合した共重合体を粉末状にしたものが好ましく使用できる。
すなわち、(B−2)成分は、ポリマー側鎖(重合ユニット)に、有機酸残基及び/又はその塩を有する化合物(ポリマー)であれば、特に限定されずに使用することができる。2つ以上の有機酸残基及び/又はその塩をポリマー側鎖(重合ユニット)に有することが好ましい。
(B−2)成分は、有機酸残基及び/又はその塩を有する単量体単位を有するものである。換言すれば、(B−2)成分は、有機酸残基及び/又はその塩を有する重合性化合物の単独重合体、又は、他の重合性化合物との共重合体である。
有機酸残基及び/又はその塩を有する重合性化合物としては、上記(A−2)成分を好ましく使用することができる。
また、本発明において、(B−2)成分は、上記の(A−2)成分と、他の重合性化合物との共重合体であってもよい。
(A−2)成分と共重合に好適な重合性化合物としては、結合剤において、「その他の重合性化合物」として記載した重合性化合物を好適に使用することができる。
(B−2)成分において、有機酸残基及び/又はその塩を有する重合性化合物と他の重合性化合物との共重合比は、有機酸残基及び/又はその塩を有する重合性化合物が10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは、20重量%以上であり、さらに好ましくは30重量%以上である。
本発明において、上記の(B−2)成分は、重量平均分子量が3,000〜500,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜300,000であり、さらに好ましくは10,000〜200,000である。
また、本発明において、粉末材料として、(B−1)成分又は(B−2)成分の他に、他の粉末材料を使用することもできる。
(B−1)成分、又は、(B−2)成分の使用量は、粉末材料全体の60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
(B−1)成分又は(B−2)成分の使用量が上記範囲内であると、結合剤との良好な相互作用を得ることができ、強度の高い三次元造形物を得ることができる。
本発明に使用する粉末材料の平均粒子径は、0.1〜10,000μmであることが好ましく、0.5〜1,000μmであることがより好ましく、1〜100μmであることが最も好ましい。粒径分布は広くてもよいが、狭い方が好ましい。粒径分布は単分散に近い方が好ましく、粒径分布の変動係数は20%以下が好ましく、15%以下であることが特に好ましい。
(三次元造形物の製造方法)
本発明の三次元造形物の製造方法は、支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する工程(層形成工程)、及び、造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように粉末材料層を結合剤により結合させる工程(断面形状形成工程)を順次繰り返すことを含み、前記結合剤及び前記粉末材料として本発明の三次元造形用材料を用いることを特徴とする。
粉末材料を敷設する支持体としては、任意の表面形状を有する支持体が使用できるが、なめらかな表面を有する支持体が好ましく、平坦な面を有する支持体が好ましく使用できる。本発明の製造方法において、製造する三次元造形物の高さ以上に伸長可能な枠を周囲に有する水平な支持体を使用することが好ましい。
粉末材料層の所定の厚さとしては、1スライスピッチあたり10〜500μmの厚さの層とすることが好ましく、50〜150μmの厚さとすることがより好ましい。層形成工程及び断面形状形成工程を1回繰り返すごとに粉末材料層全体の積層厚さを前記のスライスピッチずつ増大させる。
断面形状とは、造形対象物を平行な多数の面で切断した一切断面の形状をいい、形状に対応する彩色を伴っていてもよい。形状に対応する彩色を伴う断面形状を、特に着色断面形状ともいう。断面形状は特に不透明な造形物の場合には、中空の造形物としてもよく、この場合には、形状の輪郭近傍の形状を再現すれば充分である。彩色も造形物表面の色彩を再現すればよく、形状の輪郭の色再現が重要である。
本発明の三次元造形物の製造方法の概要を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の三次元造形物の製造方法の一実施態様について主要な工程を示す模式図である。
本発明の製造方法においては、粉末材料の薄層1が三次元造形部3に設けられた支持体(造形ステージ)4の上に形成される。支持体4は、垂直方向移動部5により支持されており、周囲を枠6により取り囲まれている。粉末供給部から支持体4上に供給された余分の粉末材料上を、Y方向(紙面と垂直な方向)に長く伸びたブレード7がX方向(紙面上左から右方向)に移動することにより薄層1が形成される。このように形成された薄層1の上に、結合剤付与部のインクジェットヘッド8から、断面形状データにしたがって、結合剤が粉末材料の薄層1上に供給され、結合剤付与領域2を形成する。この結合剤付与領域2は、紫外線照射部9から照射される紫外線により硬化することにより、粉末材料をその結合剤付与領域2において薄層全体の厚さにわたり結合して断面形状を形成し、かつそのすぐ下の断面形状とも結合する。
引き続いて、垂直方向移動部5を1スライスピッチだけ下方に移動させ、新たな粉末材料層を形成する。
新たに形成された薄層の上に、結合剤付与部のインクジェットヘッドから、隣接する次の断面形状データにしたがって、結合剤が供給され、新たな結合剤付与領域が形成される。この領域に紫外線照射して硬化させることにより粉末材料を結合する。
粉末材料の薄層1の形成、結合剤の供給及び硬化を必要な回数順次繰り返した後、結合剤が付与されていない領域の粉末材料を分離することにより、三次元造形物10を得ることができる。
図2は、上記のような三次元造形物の製造において隣接する各層に形成された断面形状を模式的に示す斜視図である。
本発明の三次元造形物の製造方法における好ましい一実施態様について、以下に説明する。以下の5ステップは、(粉末材料)層形成工程及び断面形状形成工程に先立って、3次元形状データ作成工程及び断面毎の断面形状データ作成工程を実施するものである。
なお、上記の三次元形状データは彩色を伴う三次元形状色彩データであっても良く、この場合、断面形状データは、着色断面形状データとする。
第1ステップでは、コンピュータに、表面に着色模様等が施された三次元造形対象物を表現したモデルデータを作成させる。造形するための基になるモデルデータには、一般の3D−CADモデリングソフトウェアで作成されるカラー三次元モデルデータを使用することができる。また、三次元形状入力装置で計測された三次元着色形状のデータ及びテクスチャを利用することも可能である。
第2ステップでは、コンピュータが上記のモデルデータから造形対象物を水平方向にスライスした各断面ごとの断面データを作成する。モデルデータから積層する粉末の一層分の厚みに相当するピッチ(層厚t)でスライスされた断面体を切り出し、断面の存在する領域を示す形状データ及び彩色データを断面データとして作成する。なお、本発明において、「形状データ」及び「彩色データ」を併せて「着色(断面)形状データ」ともいう。
続いて、造形対象物を造形する際における粉末層の厚さ(断面データ作成の際のスライスピッチ)及び積層数(着色形状データのセット数)に関する情報が、コンピュータからパターン作成装置の駆動制御部に入力される。
第3ステップでは、造形ステージにおいて三次元造形物を製造する材料となる粉末材料の供給を行う。粉末材料のカウンター回転機構(以降「カウンターローラー」と称する。)を用いて、粉末材料を均一な厚さを有する層状に敷き詰め、所定量の粉末を供給完了した後、粉末材料の供給を停止する。
なお、本発明において、「層形成工程及び断面形状形成工程を順次繰り返す」とは、(1)新たな層形成工程を完了した後にその新たな層全面に対して断面形状を形成する工程を実施する以外に、(2)新たな層形成工程を実施しながら、その新たな層の形成が完結する前に、新たに形成された層の領域に対して断面形状を形成することを含むものである。後者の例は、特開2002−307562号公報に例示されている。
第4ステップでは、駆動制御部の制御の下に、切断面の着色形状データに基づき着色した断面形状を形成する工程である。この工程は非接触の方式を採用することが好ましい。代表例としてインクジェット方式を例にとり以下説明する。
第2ステップで作成された形状データ及び彩色データに基づき、格子状に細分化したCMY各色のビットマップ情報に変換して、インクジェットヘッドをXY平面内に移動させる。そして、移動中に彩色データに基づいて各インクジェット吐出ノズルから紫外線(UV)硬化性結合剤の吐出を適宜に行わせる。結合剤としては、少なくとも1種の着色された結合剤、白色の結合剤、及び無色透明の結合剤よりなる群から選ばれた2種以上の結合剤を使用することが好ましい。
結合剤を使用する場合、滲み出し防止液として、この化合物と相溶性のない、水、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、ジエチルエーテル、プロピルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、炭素数が14までの炭化水素を、単独又は混合物して使用することができる。
着色された結合剤としては、減色法の3原色である、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色の組み合わせとすることが好ましい。本発明において、イエローに着色された結合剤を「イエロー結合剤」、マゼンタに着色された結合剤を「マゼンタ結合剤」、シアンに着色された結合剤を「シアン結合剤」という。M染料及びC染料は濃淡2種類に着色した結合剤としてもよい。無色の結合剤は、CMYの色濃度を調節するために使用することができる。また、チタンホワイト等の白色顔料を含む結合剤(白色結合剤)や黒(ブラック)染料で着色した結合剤(ブラック結合剤)を併用して所望の効果を発現させることができる。
着色した結合剤、無色の結合剤及び白色結合剤の吐出総量は単位面積あたり、例えば1格子点当たり、又は隣接4格子点当たり、一定となるようにすることが好ましい。
なお、着色した断面形状の別の形成工程例として、形状データに基づき無色のUV硬化性結合剤のみを粉末材料に吐出して紫外線照射により硬化した後に、その層の彩色データに基づき、結合剤を含まない通常のCMYインクジェットを結合した粉末材料層上に吐出する2段階の工程とすることもできる。
紫外線硬化性結合剤の吐出と同時又は吐出後にUV露光装置により吐出した結合剤の表面にUV露光をおこなうことにより、粉末材料の接合体が生成される。
UV照射の雰囲気を窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気にするとラジカル重合性の重合性化合物の酸素による遅延効果を低減できる。
ここで使用するインクジェット方式とは、主としてオンデマンドインクジェット方式を指し、ピエゾオンデマンドインクジェット方式、サーマルオンデマンドインクジェット方式、静電オンデマンドインクジェット方式等が挙げられ、好ましくは、UV硬化性結合剤の安定性から、ピエゾオンデマンドインクジェット方式、静電オンデマンドインクジェット方式が挙げられる。
さらに、第3ステップ及び第4ステップを繰り返しおこなうことで、目的の三次元造形物が得られる。
なお、結合剤が塗布されない粉末材料の領域では粉末が個々に独立した状態を保持している。
第5ステップでは、結合剤が付与されていない領域の粉末材料を分離して、結合剤により結合された粉末の結合体(三次元造形物)を取り出す。なお、結合されなかった粉末材料は回収して、再度材料として利用することが可能である。
第3ステップ〜第4ステップを順次繰り返すことにより、造形対象物を複数の面で切断した切断面に対応する粉末材料の着色した結合体を順次積層形成して三次元造形物を製造することができる。
得られた三次元造形物に対して掃除、熱処理、樹脂又はワックス浸透、研磨などの後処理工程を行ってもよい。掃除は、上記三次元造形物をブローすることによって、及びブラシ掛けをして隙間に残されたあらゆる粉を取り除くことによって行われ、余分な粉末が取り除かれる。熱処理は、上記三次元造形物の強度及び耐久性を増加させる。ワックス浸透は間隙率を低下させ、上記三次元造形物を耐水性にし、より研磨仕上をしやすくすることができる。研磨仕上は表面平滑性を改良する。
なお、本実施例では、着色模様等が施された三次元造形対象物を例にして説明したが、本発明において、三次元造形対象物はこれに限定されるものではない。すなわち、彩色データを有していない断面形状データに基づいて、単色あるいは無色の三次元造形物を製造することもできることはいうまでもない。
(UV露光)
UV硬化性結合剤を硬化させるためのUV露光に関しては、一般に用いられる高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、DeepUVランプ、ハロゲンランプ等が使用可能であり、露光波長は450〜250nm、好ましくは、400〜300nmとすることができる。露光エネルギーは500mJ/cm2以下が好ましく、10〜400mJ/cm2がより好ましい。UV光源からUV透過性の光ファイバーを用いて粉末材料面にUV光を導くことができる。
次に本発明に好適な三次元造形物の製造装置について説明する。
本発明の製造装置は、紫外線硬化性化合物を含む結合剤を小滴として支持体の上に形成される粉末材料層に吐出するインクジェットヘッド及び粉末材料層に吐出された結合剤に光を照射する光源を備える。
本発明の製造装置には光源として、各インクジェットヘッドから吐出される結合剤の光硬化感度に合った波長光を発する光源が配置されている。
インクジェットヘッドから吐出された結合剤の小滴は粉末材料層に着弾し、光源からの光照射によって完全に硬化する。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を示す。
(結合剤の製造)
<結合剤(1)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(1)を得た。
・例示化合物(1)(北興化学工業(株)製) 40重量部
・トリプロピレングリコールジアクリレート(アルドリッチ社製) 30重量部
・TMPTA(日本化薬(株)製) 10重量部
・Irgacure 907(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 10重量部
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量部
・BYK−3510 (BYK Chemie社製) 2重量部
・着色剤:Y−1 5重量部
Figure 2009102526
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Figure 2009102526
<結合剤(2)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(2)を得た。
・例示化合物(6)(北興化学工業(株)製) 40重量部
・トリプロピレングリコールジアクリレート(アルドリッチ社製) 30重量部
・TMPTA(日本化薬(株)製) 10重量部
・Irgacure 907(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 10重量部
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量部
・BYK−3510(BYK Chemie社製) 2重量部
・着色剤:Y−1 5重量部
<結合剤(3)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して、結合剤(3)を得た。
・例示化合物(A’)(東京化成工業(株)製) 40重量部
・トリプロピレングリコールジアクリレート(アルドリッチ社製) 30重量部
・TMPTA(日本化薬(株)製) 10重量部
・Irgacure 907(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 10重量部
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量部
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量部
・着色剤:Y−1 5重量部
<結合剤(4)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(4)を得た。
・例示化合物(1)(北興化学工業(株)製) 70重量部
・TMPTA(日本化薬(株)製) 10重量部
・Irgacure 907(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 10重量部
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量部
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量部
・着色剤:Y−1 5重量部
<結合剤(5)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(5)を得た。
・例示化合物(6)(北興化学工業(株)製) 70重量部
・TMPTA(日本化薬(株)製) 10重量部
・Irgacure 907(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 10重量部
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量部
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量部
・着色剤:Y−1 5重量部
<結合剤(6)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(6)を得た。
・例示化合物(A’)(東京化成工業(株)製) 70重量部
・TMPTA(日本化薬(株)製) 10重量部
・Irgacure 907(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 10重量部
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量部
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量部
・着色剤:Y−1 5重量部
<結合剤(7)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(7)(比較例)を得た。
・スチレン(東京化成工業(株)製) 40重量部
・トリプロピレングリコールジアクリレート(アルドリッチ社製) 30重量部
・TMPTA(日本化薬(株)製) 10重量部
・Irgacure 907(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 10重量部
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量部
・BYK−3510 (BYK Chemie社製) 2重量部
・着色剤:Y−1 5重量部
<結合剤(8)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(8)(比較例)を得た。
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成工業(株)製) 40重量部
・トリプロピレングリコールジアクリレート(アルドリッチ社製) 30重量部
・TMPTA(日本化薬(株)製) 10重量部
・Irgacure 907(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 10重量部
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量部
・BYK−3510(BYK Chemie社製) 2重量部
・着色剤:Y−1 5重量部
<結合剤(9)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(9)(比較例)を得た。
・スチレン(東京化成工業(株)) 70重量部
・TMPTA(日本化薬(株)製) 10重量部
・Irgacure 907(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 10重量部
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)) 3重量部
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量部
・着色剤:Y−1 5重量部
<結合剤(10)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(10)(比較例)を得た。
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート(東京化成工業(株)製) 40重量部
・トリプロピレングリコールジアクリレート(アルドリッチ社製) 30重量部
・TMPTA(日本化薬(株)製) 10重量部
・Irgacure 907(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 10重量部
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量部
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量部
・着色剤:Y−1 5重量部
(粉末材料の製造)
有機粒子(1)は以下のようにして合成した。
<有機粒子(1)の合成>
以下の方法で分散剤(C−I)を合成し、それを用いて有機粒子(1)を合成した。
〔分散剤(C−I)〕
トルエン(200重量部)を窒素気流下撹拌しながら80℃に加温した。そこへ、トルエン200重量部に溶解させたスチレン(5.2重量部)、メタクリル酸ステアリル(322重量部)、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)(3.3重量部;以下、適宜、「A.I.B.N」と略称する)を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間80℃で反応を行った後に、さらに、A.I.B.Nを2重量部加えて、2時間反応した。冷却後、3,950重量部のメタノール中に、混合溶液を再沈し、粉末を濾集後、乾燥して、白色固体(C−I)を収率92%で得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mwと略称する)は、4×104であった。なお、構造はNMR、IRで同定した。
〔有機粒子(1)の合成〕
メタクリル酸メチル 30重量部
アクリル酸メチル 30重量部
メタクリル酸ジメチルアミノエチル 40重量部
分散剤(C−I) 20重量部
アイソパーG(イソパラフィン系溶剤、エクソンモービル社製) 250重量部
以上の混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤としてA.I.B.N.を1.5重量部加え、3時間反応した。さらに、開始剤A.I.B.N.を1.0重量部加えて、温度80℃に加温して4時間反応した。続けて温度を100℃に上げ1時間撹拌し、未反応のモノマーを留去した。
冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率99.3%で平均粒径1.10μm、Mwは6.1×104の有機粒子(1)分散物であった。
粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
得られた有機粒子(1)分散物に対して、トリフルオロメタンスルホン酸メチルを40重量部加えて、80℃で2時間反応させた反応液を、遠心分離機にかけた。上澄み液を除去後に沈殿物を乾燥させることによって、有機粒子(1)を得た。
<有機粒子(2)の合成>
以下の方法で有機粒子(2)を合成した。
メタクリル酸メチル 30重量部
アクリル酸メチル 30重量部
メタクリル酸ジエチルアミノエチル 40重量部
分散剤(C−I) 20重量部
アイソパーG(イソパラフィン系溶剤、エクソンモービル社製) 250重量部
以上の混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤としてA.I.B.N.を1.5重量部加え、3時間反応した。さらに、開始剤A.I.B.N.を1.0重量部加えて、温度80℃に加温して4時間反応した。続けて温度を100℃に上げ1時間撹拌し、未反応のモノマーを留去した。
冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率97.3%で平均粒径1.13μm、Mwは7.5×104の有機粒子(2)分散物であった。
粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
得られた有機粒子(2)分散物に対して、p−トルエンスルホン酸メチルを40重量部加えて、80℃で2時間反応させた反応液を、遠心分離機にかけた。上澄み液を除去後に沈殿物を乾燥させることによって、有機粒子(2)を得た。
<有機粒子(3)〜有機粒子(5)の合成>
使用するモノマーを適宜変更した以外は有機粒子(2)と同様にして、有機粒子(3)〜有機粒子(5)を得た。それぞれの平均粒径及びMwを以下に示す。
Figure 2009102526
<有機粒子(6)の合成>
メタクリル酸シクロヘキシル 60重量部
メタクリル酸ジメチルアミノエチル 40重量部
分散剤(C−I) 20重量部
アイソパーG(イソパラフィン系溶剤、エクソンモービル社製) 250重量部
以上の混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤としてA.I.B.N.を1.5重量部加え、3時間反応した。さらに、開始剤A.I.B.N.を1.0重量部加えて、温度80℃に加温して4時間反応した。続けて温度を100℃に上げ1時間撹拌し、未反応のモノマーを留去した。
冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率95.3%で平均粒径1.40μm、Mwは9.6×104の有機粒子(6)分散物であった。
粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
得られた有機粒子(3)分散物を、遠心分離機にかけた。上澄み液を除去後に沈殿物を乾燥させることによって、有機粒子(6)を得た。
<有機粒子(7)〜有機粒子(11)の合成>
使用するモノマーを適宜変更した以外は有機粒子(6)と同様にして、有機粒子(7)〜有機粒子(11)を合成した。得られた有機粒子の平均粒径及びMwを以下に示す。
Figure 2009102526
<有機粒子(12)の合成>
メタクリル酸メチル 50重量部
例示化合物(1) 40重量部
分散剤(C−I) 20重量部
アイソパーG(イソパラフィン系溶剤、エクソンモービル社製) 250重量部
以上の混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤としてA.I.B.N.を1.5重量部加え、3時間反応した。さらに、開始剤A.I.B.N.を1.0重量部加えて、温度80℃に加温して4時間反応した。続けて温度を100℃に上げ1時間撹拌し、未反応のモノマーを留去した。
冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率95.0%で平均粒径1.19μm、Mwは7.6×104の有機粒子(12)分散物であった。
粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
得られた有機粒子(12)分散物を、遠心分離機にかける。上澄み液を除去後に沈殿物を乾燥させることによって、有機粒子(12)を得た。
<有機粒子(13)〜有機粒子(17)の合成>
上記と同様の方法により、有機粒子(13)〜有機粒子(17)を合成した。
得られた有機粒子について以下に記載する。
Figure 2009102526
<有機粒子(18)の合成>
以下の方法で有機粒子(18)(比較例)を合成した。
メタクリル酸メチル 30重量部
アクリル酸メチル 30重量部
メタクリル酸ブチル 40重量部
分散剤(C−I) 20重量部
アイソパーG(イソパラフィン系溶剤、エクソンモービル社製) 250重量部
以上の混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤としてA.I.B.N.を1.5重量部加え、3時間反応した。さらに、開始剤A.I.B.N.を1.0重量部加えて、温度80℃に加温して4時間反応した。続けて温度を100℃に上げ1時間撹拌し、未反応のモノマーを留去した。
冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は、重合率96.3%で平均粒径1.20μm、Mwは8.4×104の有機粒子(18)分散物であった。
粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
得られた有機粒子(18)分散物を遠心分離機にかけた。上澄み液を除去後に沈殿物を乾燥させることによって、有機粒子(18)を得た。
<有機粒子(19)の合成>
以下の方法で比較例の有機粒子(19)(比較例)を合成した。
メタクリル酸メチル 30重量部
アクリル酸メチル 30重量部
メタクリル酸2−エチルヘキシル 40重量部
分散剤(C−I) 20重量部
アイソパーG(イソパラフィン系溶剤、エクソンモービル社製) 250重量部
以上の混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤としてA.I.B.N.を1.5g加え、3時間反応した。さらに、開始剤A.I.B.N.を1.0重量部加えて、温度80℃に加温して4時間反応した。続けて温度を100℃に上げ1時間撹拌し、未反応のモノマーを留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合率95.6%で平均粒径1.21μm、Mwは7.9×104の有機粒子(19)分散物であった。粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
得られた有機粒子(19)分散物を遠心分離機にかけた。上澄み液を除去後に沈殿物を乾燥させることによって、有機粒子(19)を得た。
(三次元モデル作製)
粉末材料を約100μmの厚さになるようロッドで1層分の粉末材料層を敷設した後、データにもとづいて吐出ノズルから結合剤の吐出を適宜に行わせる。
該UV硬化性結合剤をインクとしたインクジェット方式により、600dpiの解像度(約42μmのドット間隔)で、各ドットが連続した線になるように液滴を吐出した。次いで、1スライスピッチに相当する厚さ分厚くした粉末材料層を形成して、その断面に該当する断面形状に対応する結合剤を供給することを繰り返すことにより三次元造形物を作製、評価した。
結合剤及び粉末材料として、下記の表に示す結合剤及び粉末材料を用いて、直径10cm、厚さ2mmのプレートを作製した。
作製した三次元モデルに対して、以下の評価を行った。
<強度評価>
作製した直径10cm、厚さ2mmのプレートを、直径9cm(外径9cm、内径7cm)、厚さ1cmのドーナツ状の台に置き、プレートの上から1kgの重りを載せて、プレートが割れるまでの時間を評価した。
本評価は時間が長いほど、強度が高い事を示す。
Figure 2009102526
Figure 2009102526
Figure 2009102526
Figure 2009102526
本発明の三次元造形物の製造方法の一実施態様について各工程を示す模式図である。 図1に示した三次元造形物の製造において形成されるいくつかの層の断面形状を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1 薄層
2 結合剤付与領域
3 三次元造形部
4 支持体(造形ステージ)
5 垂直方向移動部
6 枠
7 ブレード
8 インクジェットヘッド
9 紫外線照射部
10 三次元造形物

Claims (3)

  1. (A)結合剤、及び、
    (B)粉末材料を含み、
    前記結合剤は、少なくとも1つの重合性基を有する重合性化合物を含有し、
    前記粉末材料又は前記重合性化合物の一方が、カチオン性基及び/又はカチオン性基になりうる基を有し、
    他の一方が、有機酸残基及び/又はその塩を有することを特徴とする
    三次元造形用材料。
  2. 支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する工程、及び、
    造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように粉末材料層を結合剤により結合させる工程を順次繰り返すことを含み、
    前記結合剤及び前記粉末材料として請求項1に記載の三次元造形用材料を用いることを特徴とする
    三次元造形物の製造方法。
  3. 粉末材料層を結合剤により結合させる前記工程が、結合剤をインクジェットにより吐出する工程を含む、請求項2に記載の三次元造形物の製造方法。
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